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尾藤誠司 feat.吉本尚
No.1 生物心理社会モデル
• 何を書くべきか?:
– 患者と医療者のやり取りの中で、医学モデルだけではうまく
いかないようなケースに対して多面的にアプローチした例
• 典型的事例
– Bio-Psycho > 抗菌薬を処方してほしい風邪の患者。ステロ
イド拒否のアトピー
– Bio-Social > タクシー運転手で生活が夜型。生活を変えよ
うとすると仕事に大きく支障が出るような慢性疾患
• 背景となる理論
– 解釈モデルの分析
– 文化的多様性や社会構造によって人の意識や行動が規定
されること
– Jorge Engel のBPSモデル
– Two Feet Principle
No.2 家族志向のケア
• 何を書くべきか?:
– 家族図
– 家族カンファレンスに関する事例を取り上げる。カンファレンスで
ゴール設定まで持っていく記述
– 指導医とのディスカッション カンファレンスのセッティング
• 典型的事例
– 退院の際に家族が「退院は困る」と困惑したが、MSWなどにも
援助をもらいながら家族カンファレンスを行い自宅退院に至った
例。
– 糖尿病コントロールに対して家族と一緒に自己注射や生活支援
について相談した事例。
• 背景となる理論
– 家族図の書き方 家族という背景を持っている患者分析
– 人生のライフサイクルと、家族との関係性に関する分析
No. 3 統合的ケア
• 何を書くべきか?:
– NTMCでは「組織の統合」か「専門性の統合」の切り口で書くの
がよろし
– 「組織の統合」なら、医療と福祉・生活支援
– 「専門性の統合」なら他科との連携でうまくいった例
• 典型的事例
– 「組織の統合」:複数の健康問題がある人に対して優先順位をつ
けながらいろいろな医療資源をうまく活用した例
– 「専門性の統合」:ポリファーマシーでNSAIDs3か所で出されて
いるような人をうまく調整した例 受診日の調整
• 背景となる理論
– あまりない。複雑なものを患者の利益を優先してまとめていくよう
な考察が見られればOK 保留できるものを保留することなど
No.4 行動変容アプローチ
• 何を書くべきか?:
– 一般的な行動変容の手順を事例ベースに分析的に記述し
ていく
• 典型的事例
– 禁煙外来
– 糖尿病・脂質異常の生活習慣改善介入
• 背景となる理論
– 行動療法
– 認知行動療法
– ステージモデル
No. 5 ヘルスプロモーション
• 何を書くべきか?:
– 病棟診療は無理
– できれば外に出ているとき(東埼玉とか松村とか)の経験が
いいと思う
• 典型的事例
– 爪の切り方教室など 糖尿病教室など 高校生へのコン
ドーム それを自主的に企画して、さらに住民からのフィー
ドバックがあると最高
– (個人であれば)肺炎球菌ワクチンの持ちかけなど
• 背景となる理論
– PRECEED/PROCEED
– 地域の統計情報に基づいたアプローチがあるとよい
No.6 EBM/コミュニケーション
• 何を書くべきか?:
– 基本はEBMのステップ4部分を書く 意思決定プロセスを
書く
– ガイドラインの推奨が弱めの時に患者と相談して意思決定
を行ったような事例
• 典型的事例
– 高齢の心房細動のワーファリン導入
– 鉄欠乏性貧血患者に対するCFの意思決定
• 背景となる理論
– EBMのステップ4部分
– Value Based Practice
– 4分割法
No. 7 プロフェッショナリズム
• 何を書くべきか?:
– 医師として揺さぶられた事例。特に感情的に揺らいだ例
– 立派なことを書くべきではない。
• 典型的事例
– 誤薬の患者への告白 患者に「ごめんなさい」と言えた事
例
– 同僚の見過ごせない行為にやんわりとちくっとした事例
• 背景となる理論
– もはヒポ
– ミレニアム憲章
– 白衣のポケットの中
– リスボン宣言
No.8 組織・制度・運営
• 何を書くべきか?:
– QC活動的なことにかかわれていれば最高
– 自分が立ち上げてリードした事例が望ましい。
• 典型的事例
– 院内で、新たに多職種カンファレンスを立ち上げて、そこそ
こうまくいった例
– 研修医プロジェクトのメンター補佐としてプロジェクトを完遂
させた例
• 背景となる理論
– リーダーシップ理論 チームワーク コーチング
– プロジェクト管理
– ドラッカー的な・・・
No.9 教育
• 何を書くべきか?:
– 研修医との1:1のメンタリング場面が理想
– プロフェッショナリズム等に関する内容
– コーチングスキルを発揮したと思われる事例
• 典型的事例
– なかなか自分の思うように動いてくれない研修医との対話
– 浮腫の鑑別を研修医に教えるときに病態とともに診察所見
との関連も含めうまくインストラクションできた事例
• 背景となる理論
– 5 micro skill
– コーチング
No. 10 研究
• 何を書くべきか?:
– 研究をしないと書けません。
– どこかで「ゼミ」に入ってください。
• 典型的事例
– 「家から入院して施設に退院する患者の特性要因に関する
研究」
– これは何でもいいです。時間かかります。
• 背景となる理論
– 医学的研究のデザイン (MEDSI)
No. 11 個人への健康増進・疾病予防
• 何を書くべきか?:
– 慢性疾患の外来患者でうまくいった事例について、自分が
できたことを理論的に分析する。
• 典型的事例
– 40代の女性に対する乳がんスクリーニングの有用性に関
するコンサルテーション
– 地中海食の紹介と具体的な説明の事例
• 背景となる理論
– 事例によります
– エビデンスをうまく交えながら本人のモチベーションを上げ
ていくような戦略が書ければGOOD
No.12 小児・思春期
• 何を書くべきか?:
– 小児には本人だけでなく、両親に対して気の利いたコメント
を出すことで、不安を解消できたような例。
– 思春期は逆で、親をいったん外に出して、本音を話しても
らったような例
• 典型的事例
– 小児 > インフルエンザのタミフルに関するコミュニケー
ション。アトピー性皮膚炎の治療導入
– 思春期 > IBSの尐年で、受験戦争のストレスなどが背
景にありそうなことについて発見できた例
• 背景となる理論
– 小児については一般的な小児科知識 normal childの発達
– 思春期についてはBPSモデル
No.13 高齢者へのケア
• 何を書くべきか?:
– 高齢者特有の問題(認知症・せん妄・嚥下機能低下)に
フォーカスして、CGAアセスメントをしたうえで、いい感じに
ケア出来た事例を選ぶ
• 典型的事例
– 認知症で暴れちゃっていた患者に対して縛らずにうまくいっ
た例
– せん妄をいち早く診断して何事もなく退院できた例
– 誤嚥性肺炎だけど何とかまた食べられて退院した例
• 背景となる理論
– CGA
– CAM HELP
– ユマニチュード
No.14 終末期のケア
• 何を書くべきか?:
– 基本倫理マターについて書く
– 緩和ケアの知識を入れる
• 典型的事例
– ステージ4患者へのBad news telling
– 病院で看取ることを念頭にケアし、実際に看取った例
• 背景となる理論
– SPIKES・SHARE
– 4分割法 その他倫理規範
– アウトカムと目標の関係者間での共有
No.15 ジェンダーイシュー
• 何を書くべきか?:
– 自分が差別的な視点を持っておらず、文化の多様性に対す
る配慮を持ちながらケアにあたることができることについて
書く
– あなたが男性なら女性について、女性なら男性について書く
のがよい
• 典型的事例
– HIV患者を担当して、ゲイカルチャーについて尊重しながら
うまく関係性を保てた例
– 乳がんが見つかった患者に対して今後の挙児希望にも共感
しつつ支援できた例 HRTの導入
• 背景となる理論
– それぞれの医学的な知識
– Value Based Practice
No. 16 リハビリテーション
• 何を書くべきか?:
– 入院患者のリハで、PT・OT・STとカンファレンスを行ったう
えで、効果的な処方が見いだせた事例が理想
• 典型的事例
– 嚥下障害の高齢者のRHでうまくいって胃瘻を回避できた
事例
– 脳こうそくの患者に対するRHの中で、その人の生活機能
に応じたRH介入ができた例 > リハビリカンファについて
書く
• 背景となる理論
– ADL/IADL その他理学療法的アセスメント
– 国際生活機能分類
– 主観的健康観
No. 17 メンタルヘルス
• 何を書くべきか?:
– これは普通のメンタルヘルスケアの事例をかければ思いま
す。
– 精神科へのリファーを必ずしも必要としない場合の線引き。
あるいは精神科との併診事例がよいです
• 典型的事例
– 抑うつ・適応障害で仕事とのおりあいがうまくついた事例
– パニック障害 > CBT含め生活に支障が軽くなった事例
• 背景となる理論
– 一般的な精神科診断
– CBT
– 基本的な薬物治療

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  • 2. No.1 生物心理社会モデル • 何を書くべきか?: – 患者と医療者のやり取りの中で、医学モデルだけではうまく いかないようなケースに対して多面的にアプローチした例 • 典型的事例 – Bio-Psycho > 抗菌薬を処方してほしい風邪の患者。ステロ イド拒否のアトピー – Bio-Social > タクシー運転手で生活が夜型。生活を変えよ うとすると仕事に大きく支障が出るような慢性疾患 • 背景となる理論 – 解釈モデルの分析 – 文化的多様性や社会構造によって人の意識や行動が規定 されること – Jorge Engel のBPSモデル – Two Feet Principle
  • 3. No.2 家族志向のケア • 何を書くべきか?: – 家族図 – 家族カンファレンスに関する事例を取り上げる。カンファレンスで ゴール設定まで持っていく記述 – 指導医とのディスカッション カンファレンスのセッティング • 典型的事例 – 退院の際に家族が「退院は困る」と困惑したが、MSWなどにも 援助をもらいながら家族カンファレンスを行い自宅退院に至った 例。 – 糖尿病コントロールに対して家族と一緒に自己注射や生活支援 について相談した事例。 • 背景となる理論 – 家族図の書き方 家族という背景を持っている患者分析 – 人生のライフサイクルと、家族との関係性に関する分析
  • 4. No. 3 統合的ケア • 何を書くべきか?: – NTMCでは「組織の統合」か「専門性の統合」の切り口で書くの がよろし – 「組織の統合」なら、医療と福祉・生活支援 – 「専門性の統合」なら他科との連携でうまくいった例 • 典型的事例 – 「組織の統合」:複数の健康問題がある人に対して優先順位をつ けながらいろいろな医療資源をうまく活用した例 – 「専門性の統合」:ポリファーマシーでNSAIDs3か所で出されて いるような人をうまく調整した例 受診日の調整 • 背景となる理論 – あまりない。複雑なものを患者の利益を優先してまとめていくよう な考察が見られればOK 保留できるものを保留することなど
  • 5. No.4 行動変容アプローチ • 何を書くべきか?: – 一般的な行動変容の手順を事例ベースに分析的に記述し ていく • 典型的事例 – 禁煙外来 – 糖尿病・脂質異常の生活習慣改善介入 • 背景となる理論 – 行動療法 – 認知行動療法 – ステージモデル
  • 6. No. 5 ヘルスプロモーション • 何を書くべきか?: – 病棟診療は無理 – できれば外に出ているとき(東埼玉とか松村とか)の経験が いいと思う • 典型的事例 – 爪の切り方教室など 糖尿病教室など 高校生へのコン ドーム それを自主的に企画して、さらに住民からのフィー ドバックがあると最高 – (個人であれば)肺炎球菌ワクチンの持ちかけなど • 背景となる理論 – PRECEED/PROCEED – 地域の統計情報に基づいたアプローチがあるとよい
  • 7. No.6 EBM/コミュニケーション • 何を書くべきか?: – 基本はEBMのステップ4部分を書く 意思決定プロセスを 書く – ガイドラインの推奨が弱めの時に患者と相談して意思決定 を行ったような事例 • 典型的事例 – 高齢の心房細動のワーファリン導入 – 鉄欠乏性貧血患者に対するCFの意思決定 • 背景となる理論 – EBMのステップ4部分 – Value Based Practice – 4分割法
  • 8. No. 7 プロフェッショナリズム • 何を書くべきか?: – 医師として揺さぶられた事例。特に感情的に揺らいだ例 – 立派なことを書くべきではない。 • 典型的事例 – 誤薬の患者への告白 患者に「ごめんなさい」と言えた事 例 – 同僚の見過ごせない行為にやんわりとちくっとした事例 • 背景となる理論 – もはヒポ – ミレニアム憲章 – 白衣のポケットの中 – リスボン宣言
  • 9. No.8 組織・制度・運営 • 何を書くべきか?: – QC活動的なことにかかわれていれば最高 – 自分が立ち上げてリードした事例が望ましい。 • 典型的事例 – 院内で、新たに多職種カンファレンスを立ち上げて、そこそ こうまくいった例 – 研修医プロジェクトのメンター補佐としてプロジェクトを完遂 させた例 • 背景となる理論 – リーダーシップ理論 チームワーク コーチング – プロジェクト管理 – ドラッカー的な・・・
  • 10. No.9 教育 • 何を書くべきか?: – 研修医との1:1のメンタリング場面が理想 – プロフェッショナリズム等に関する内容 – コーチングスキルを発揮したと思われる事例 • 典型的事例 – なかなか自分の思うように動いてくれない研修医との対話 – 浮腫の鑑別を研修医に教えるときに病態とともに診察所見 との関連も含めうまくインストラクションできた事例 • 背景となる理論 – 5 micro skill – コーチング
  • 11. No. 10 研究 • 何を書くべきか?: – 研究をしないと書けません。 – どこかで「ゼミ」に入ってください。 • 典型的事例 – 「家から入院して施設に退院する患者の特性要因に関する 研究」 – これは何でもいいです。時間かかります。 • 背景となる理論 – 医学的研究のデザイン (MEDSI)
  • 12. No. 11 個人への健康増進・疾病予防 • 何を書くべきか?: – 慢性疾患の外来患者でうまくいった事例について、自分が できたことを理論的に分析する。 • 典型的事例 – 40代の女性に対する乳がんスクリーニングの有用性に関 するコンサルテーション – 地中海食の紹介と具体的な説明の事例 • 背景となる理論 – 事例によります – エビデンスをうまく交えながら本人のモチベーションを上げ ていくような戦略が書ければGOOD
  • 13. No.12 小児・思春期 • 何を書くべきか?: – 小児には本人だけでなく、両親に対して気の利いたコメント を出すことで、不安を解消できたような例。 – 思春期は逆で、親をいったん外に出して、本音を話しても らったような例 • 典型的事例 – 小児 > インフルエンザのタミフルに関するコミュニケー ション。アトピー性皮膚炎の治療導入 – 思春期 > IBSの尐年で、受験戦争のストレスなどが背 景にありそうなことについて発見できた例 • 背景となる理論 – 小児については一般的な小児科知識 normal childの発達 – 思春期についてはBPSモデル
  • 14. No.13 高齢者へのケア • 何を書くべきか?: – 高齢者特有の問題(認知症・せん妄・嚥下機能低下)に フォーカスして、CGAアセスメントをしたうえで、いい感じに ケア出来た事例を選ぶ • 典型的事例 – 認知症で暴れちゃっていた患者に対して縛らずにうまくいっ た例 – せん妄をいち早く診断して何事もなく退院できた例 – 誤嚥性肺炎だけど何とかまた食べられて退院した例 • 背景となる理論 – CGA – CAM HELP – ユマニチュード
  • 15. No.14 終末期のケア • 何を書くべきか?: – 基本倫理マターについて書く – 緩和ケアの知識を入れる • 典型的事例 – ステージ4患者へのBad news telling – 病院で看取ることを念頭にケアし、実際に看取った例 • 背景となる理論 – SPIKES・SHARE – 4分割法 その他倫理規範 – アウトカムと目標の関係者間での共有
  • 16. No.15 ジェンダーイシュー • 何を書くべきか?: – 自分が差別的な視点を持っておらず、文化の多様性に対す る配慮を持ちながらケアにあたることができることについて 書く – あなたが男性なら女性について、女性なら男性について書く のがよい • 典型的事例 – HIV患者を担当して、ゲイカルチャーについて尊重しながら うまく関係性を保てた例 – 乳がんが見つかった患者に対して今後の挙児希望にも共感 しつつ支援できた例 HRTの導入 • 背景となる理論 – それぞれの医学的な知識 – Value Based Practice
  • 17. No. 16 リハビリテーション • 何を書くべきか?: – 入院患者のリハで、PT・OT・STとカンファレンスを行ったう えで、効果的な処方が見いだせた事例が理想 • 典型的事例 – 嚥下障害の高齢者のRHでうまくいって胃瘻を回避できた 事例 – 脳こうそくの患者に対するRHの中で、その人の生活機能 に応じたRH介入ができた例 > リハビリカンファについて 書く • 背景となる理論 – ADL/IADL その他理学療法的アセスメント – 国際生活機能分類 – 主観的健康観
  • 18. No. 17 メンタルヘルス • 何を書くべきか?: – これは普通のメンタルヘルスケアの事例をかければ思いま す。 – 精神科へのリファーを必ずしも必要としない場合の線引き。 あるいは精神科との併診事例がよいです • 典型的事例 – 抑うつ・適応障害で仕事とのおりあいがうまくついた事例 – パニック障害 > CBT含め生活に支障が軽くなった事例 • 背景となる理論 – 一般的な精神科診断 – CBT – 基本的な薬物治療