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チーム医療と信念対立 2014JSPENハンドアウト
- 6. ワークショップ構成
NVC
今回は、NVC(Non Violent
(Non-Violent Communication)
Communication)で使われるエンパシー
「ありのままを観て、感じる」ため サークルという手法を用いた。これは、
には、「感情・ニーズへのアクセス」が 3~4人一組となり、それぞれが、ストー
重要である。我々は、目に見える行動の リーテリングを行う。その上で、見えて
深層に思考・感情・ニーズがある。しか くる感情・ニーズを表出するのをグルー
し、我々は幼少期から感情を抑えること プのメンバーがサポートする手法で、内
を教えられ育ってきた。そのため、「∼ 省に対して慣れていない参加者でもサポ
せねば」とか「こうあらねば」という
ートを得ることで、比較的容易に自分の
「評価・判断の声(VOJ)」が先立ち、自 感情・ニーズにアクセスしやすい。
分の感情と向き合うことを阻んでいる。
リアリスティック・アプローチの
氷山モデル
今回のワークでは、お互いの実際に
あった信念対立の場面のシナリオを持ち
応用
オランダの教育学者F.コルトハーヘ
ンは「教師教育学」の中で「氷山モデ
寄ってもらい、実際の目に見える言動の
行間の思考・感情を埋めていく作業を行
ル」というものを用いて説明している。 った。
どうしても、我々は目に見える行動のみ
に注目しがちだが、その深層には、思考
があり、その深層に感情・(意識下・無
F.Korthagen
意識下の)望み(ニーズ)が存在する。
信念対立を解明する上で、この表面
の行動ばかりに注目してしまうと、対立
は解明されない。逆に言えば、自分(実
は対立を起こしているのは、自分に向き
合ってない事が問題で、それにより事実
を歪めている事が多々ある)と相手の思
考・感情と掘り下げていく事で、お互い
のニーズへ
り着く事が出来る。
その上で、お互いのロールを取るワーク
を行いながら、その中で新たに出てくる
感情・ニーズと向き合い、解明策を探し
ていく。対立が深刻なほど、実はお互い
同じニーズから発生している事が多く、
この作業を深く掘り下げる事が重要とな
る。
- 7. メンタルモデルへのアプロー て、比較的容易にメンタルモデルに
チ(ITC MAPの利用)
アクセスできる。
①まず、各々の困っている問題
実際にこの「信念対立解明」を を呈示し、その改善目標を抽出す
行っていくと、最後の障壁となる
のは、お互いの思い込みや固定概
る。
②その改善目標を阻害している
念などのメンタルモデルの存在であ 自らの行動を抽出。
る。これには、ちょっとした思い
③②の阻害行動を取らないとし
込みから、幼少期のトラウマから
たら、不安や怖れになることを抽
生じるものなど、多種多彩であ
出し、そこから、自分の意識下に
る。
ある裏の目標を導き出す。
今回は、メンタルモデルに比較
的容易にアクセスできるImmunity
to Change(ITC) MAPを用いてワー
クを行った。
④③の裏の目標から、メンタル
モデルを読み取る。
急に、全ての人がメンタルモデ
ルに
り着くわけではないが、少
しのサポートで り着く事が出
ITC MAP
ITC MAPとは、発達心理学の権 来、自己トレーニングが出来る利
威ロバート・ギーガンの提唱する
もので、プラットフォームを用い
Uプロセスの応用
医療現場への応用
このUプロセスは、「信念対立解明」だけでなく、医療現場での
様々な問題解決に応用可能である。
深刻な対立場面だけでなく、「ありのままを観て、感じる」だけで
も、患者さんとの共感や日々の会議に今までにない変化を及ぼし、医療
者自身も自分で歪曲して作り上げたストーリーに苦しむ事から解放され
るのではないだろうか?
点がある。