SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  23
肝移植 
(制度統計を中心に) 
2014.6.6 
08211011 河内健二 
参考文献 
金沢大学附属病院http://www15.ocn.ne.jp/~itoda/koue3.pdf 
京大病院 
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~transplant/Guide.pdf 
肝移植のup to date2001
大ざっぱ臓器イメージ 
• 肝臓に入る血管(肝動脈、門脈)と、肝臓から出て行く血管(肝静脈)と胆管がそれぞ 
れ左右に分かれている。そのため肝臓は大きく左右に分けることができ、その機能は 
左右でまったく同じものとなっている。実際には、健康なドナーの肝臓の約50~60%程 
度を摘出しレシピエントに移植する。(生体肝移植)
肝移植とは 
意義: 
• これを受けない場合近いうちに必ず亡くなるであろうと危惧さ 
れる患者さんを、この治療法により健康人と同じような生活 
を取り戻させる可能性がある 
現状:重症肝臓病の治療として確立されつつある 
• ドナー(肝臓提供者)の安全性はこの手術で最大の要件
肝移植の二種類 
• 生体部分肝臓移植 
• 脳死(全肝) 肝臓移植
世界各国の肝移植数の推移
累計総数 
• 本邦においては、生体肝移植症例はこれま 
で6500例以上を経験している。 
• 脳死肝移植においても2010年7月の法改正 
以降は症例数が増加しているが、2012年12 
月の時点で脳死肝移植は176例にとどまって 
いる 
• (日本の特徴)
需要供給バランス? 
• 移植希望登録者数 
• 約370名 
• 移植実施数 
• 脳死後の移植:年間約10名 
• 生体移植:年間約450~500名
脳死臓器提供の特殊性 
突然襲った身内の不幸を 
目前にした家族の 
逆ベクトル人間愛提供の決断から始まる 
• その心情はいかほどか
社会的制度の整備 
①法としての整備 
• 臓器移植法=脳死下での扱いの法律 
• 1997年制定 
• 本人生前遺族賛成15歳以上 
• 2010年改正 
• 親族優先本人不明→家族の承諾でOK 15歳未満OK 
②運用上の整備 
• 臓器移植ネットワーク 
→臓器の分配公平性を保つ 
• ③お金・保険系 
• 2006年ver
費用 
• ドナーの費用 
一旦自費でお支払いして頂いた後、移植手術後に返金 
ドナーの適応になられなかった場合は自費になる 
一般の保険会社の多くは、ドナーの費用を傷病補償の対象とし 
ていません。
• ドナー側には費用の負担も報酬もありません。 
また、レシピエント側の医療費も、小腸を除く 
臓器移植がすべて保険適用になっています。 
• 約200〜400万円前後の自己負 
肝移植は60万円くらい? 
• 約200〜400万円前後の自己負担額 
• 月8万円を超える医療費については高額医療 
費制度があり後に還付
統計どんな人が?
生体部分肝臓移植 
• 健康な人から一部わけてもらう 
子どもを対象に、母親などから臓器の提供が主として行なわれ 
てきている 
生きている二人にドナーとレシピエントという関係が生じ、 
移植施設ごとの倫理委員会と適応基準審査 
日本開始1989年島根医科大学(小児) 
世界開始1988年 
移植の部位:小児→一番小さな左葉外側区域S2 S3 
成人→大きな右葉
レシピエント適応基準 
• 各移植施設には移植の適応を判断するための基準がある 
• (1)病気の原因が肝臓にあり、肝臓移植によって元気に生活できる可能 
性があること。 
• (2)従来の治療方法 
• (内科的、外科的、放射線科的)では生命を救うことができない病気であ 
り、その治療が限界であること。 
• (3)他の主要臓器に大きな障害がないこと。 
• (4)他の臓器に悪性腫瘍がないこと。 
• (5)肝臓癌の場合は肝臓内にとどまり、門脈や肝静脈という太い血管へ 
の浸潤がないこと。 
• 肝臓の外に転移が認められないこと。 
• *肝臓の外に癌が転移していた場合、移植後に投与する免疫抑制剤 
等の作用により、全身に腫瘍がひろがる可能性が大きく、かえって寿 
命を縮めてしまう結果になることがあるので、移植の適応にはなりません。
生体肝移植ドナーの条件 
• ① 自発的かつ明確な意志の表明 
• ② 6親等以内の血族または3親等以内の姻族配 
偶者 
• ③ 16(20)歳~60歳前後 
• ④ 心身ともに健康 
• ⑤ レシピエントの標準肝容積の30%以上,もしく 
は 
• 標準体重の0.8%以上のグラフトが確保される 
※グラフト=移植片
生体肝移植の問題点 
• ドナー側に 
• 健康体(本来手術される理由のない人)に 
• にメスを入れる 
• 京大でドナーが1例死亡(NASH) 
• 群馬大学でドナーが1例下半身麻痺となる 
• 過小グラフト症候群 
あちらを立てればこちらが立たず 
症状: 大量腹水、黄疸の遷延、凝固脳障害、感染症
移植手術における 
インフォームドコンセントの必要性 
=術後の合併症について 
• レシピエントに手術後の合併症 
• 術後1-2週目に約30%の方に急性拒絶反応=風邪に類似した症 
状(発熱、全身倦怠感)とともに上腹部痛が出現することがある 
• (慢性拒絶反応免疫抑制剤による副作用胆管狭窄)も多く、 
生涯にわたる免疫抑制剤の内服や定期的な外来通院といった管理 
が必要である 
• ドナーのほうも日常生活に支障きたすほどの合併症がおこること 
もあり得る
世界各国の脳死臓器移植に関する法律 
• 脳死について→法律で脳死を死と定めている国, 
→あるいは法律には規定せず,医学会・医師会などの判断 
によって脳死を死と認めている国がある. 
日本国における法的な脳死の定義については「臓器の移植に関する法律」第6条の 
規定による。すなわち、現在の日本において法的に脳死と認められるのは、臓器提 
供のために法的脳死判定を行った場合のみに限られる 
• 本人の意思が不明な場合は,家族が提供を承諾すれば可能とする国→アメリカ, 
カナダ,オーストラリア現在の日本など 
・本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ,臓器提供が可能という「推 
定同意」の法律を制定している国 
→スペイン,ベルギー,オーストリアヨーロッパ 
• 世界保健機構(WHO)による「臓器移植に関する指導指針」(1991年5月) 
臓器を提供できる条件は「本人意思が最優先で,不明の場合は遺族の意思による」 
とされている.あわせて同指針では,臓器提供者となりうる患 
者の死亡判定に移植医は関与できないこと,臓器売買の禁止,レシピエント 
は公平・公正に決められなければならないことなどが,国際社会の移植に関するコン 
センサスとして示されている.

Contenu connexe

Plus de Kenji Kawanai

小児 熱性けいれん
小児 熱性けいれん小児 熱性けいれん
小児 熱性けいれんKenji Kawanai
 
子宮頸がん 組織診 細胞診
子宮頸がん 組織診 細胞診子宮頸がん 組織診 細胞診
子宮頸がん 組織診 細胞診Kenji Kawanai
 
4-5.5 意識障害
4-5.5  意識障害4-5.5  意識障害
4-5.5 意識障害Kenji Kawanai
 
4-4・5 人工心肺 iabp
4-4・5 人工心肺 iabp4-4・5 人工心肺 iabp
4-4・5 人工心肺 iabpKenji Kawanai
 
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神Kenji Kawanai
 
4-2・5 冠動脈造影
4-2・5 冠動脈造影4-2・5 冠動脈造影
4-2・5 冠動脈造影Kenji Kawanai
 
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大Kenji Kawanai
 
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスクKenji Kawanai
 
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気Kenji Kawanai
 
2.4肺の過膨張の機序樽状変形
2.4肺の過膨張の機序樽状変形2.4肺の過膨張の機序樽状変形
2.4肺の過膨張の機序樽状変形Kenji Kawanai
 
1.4胸部写真のパターン.
1.4胸部写真のパターン.1.4胸部写真のパターン.
1.4胸部写真のパターン.Kenji Kawanai
 
5.5胆石による膵臓への影響
5.5胆石による膵臓への影響5.5胆石による膵臓への影響
5.5胆石による膵臓への影響Kenji Kawanai
 
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)Kenji Kawanai
 
3.5直腸診の意義
3.5直腸診の意義3.5直腸診の意義
3.5直腸診の意義Kenji Kawanai
 
上部消化管内視鏡 できることできないこと
上部消化管内視鏡 できることできないこと上部消化管内視鏡 できることできないこと
上部消化管内視鏡 できることできないことKenji Kawanai
 
十二指腸潰瘍と血液検査
十二指腸潰瘍と血液検査十二指腸潰瘍と血液検査
十二指腸潰瘍と血液検査Kenji Kawanai
 

Plus de Kenji Kawanai (20)

不妊の原因
不妊の原因不妊の原因
不妊の原因
 
子宮頸がん
子宮頸がん子宮頸がん
子宮頸がん
 
自閉症
自閉症自閉症
自閉症
 
小児 熱性けいれん
小児 熱性けいれん小児 熱性けいれん
小児 熱性けいれん
 
不妊の原因
不妊の原因不妊の原因
不妊の原因
 
子宮頸がん 組織診 細胞診
子宮頸がん 組織診 細胞診子宮頸がん 組織診 細胞診
子宮頸がん 組織診 細胞診
 
4-5.5 意識障害
4-5.5  意識障害4-5.5  意識障害
4-5.5 意識障害
 
4-4・5 人工心肺 iabp
4-4・5 人工心肺 iabp4-4・5 人工心肺 iabp
4-4・5 人工心肺 iabp
 
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神
4-3・5 循環器における物理系利用 As(大動脈弁狭窄症)で息切れ 失神
 
4-2・5 冠動脈造影
4-2・5 冠動脈造影4-2・5 冠動脈造影
4-2・5 冠動脈造影
 
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大
4-1・5心房細動 動悸 高血圧 左室肥大
 
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク
4.4肺癌の検査生検サンプル気管支検鏡のリスク
 
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気
3.4自宅で行う酸素療法非侵襲的 マスク換気
 
2.4肺の過膨張の機序樽状変形
2.4肺の過膨張の機序樽状変形2.4肺の過膨張の機序樽状変形
2.4肺の過膨張の機序樽状変形
 
1.4胸部写真のパターン.
1.4胸部写真のパターン.1.4胸部写真のパターン.
1.4胸部写真のパターン.
 
5.5胆石による膵臓への影響
5.5胆石による膵臓への影響5.5胆石による膵臓への影響
5.5胆石による膵臓への影響
 
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
 
3.5直腸診の意義
3.5直腸診の意義3.5直腸診の意義
3.5直腸診の意義
 
上部消化管内視鏡 できることできないこと
上部消化管内視鏡 できることできないこと上部消化管内視鏡 できることできないこと
上部消化管内視鏡 できることできないこと
 
十二指腸潰瘍と血液検査
十二指腸潰瘍と血液検査十二指腸潰瘍と血液検査
十二指腸潰瘍と血液検査
 

4.5肝移植(制度 統計を中心に)

  • 1. 肝移植 (制度統計を中心に) 2014.6.6 08211011 河内健二 参考文献 金沢大学附属病院http://www15.ocn.ne.jp/~itoda/koue3.pdf 京大病院 http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~transplant/Guide.pdf 肝移植のup to date2001
  • 2. 大ざっぱ臓器イメージ • 肝臓に入る血管(肝動脈、門脈)と、肝臓から出て行く血管(肝静脈)と胆管がそれぞ れ左右に分かれている。そのため肝臓は大きく左右に分けることができ、その機能は 左右でまったく同じものとなっている。実際には、健康なドナーの肝臓の約50~60%程 度を摘出しレシピエントに移植する。(生体肝移植)
  • 3. 肝移植とは 意義: • これを受けない場合近いうちに必ず亡くなるであろうと危惧さ れる患者さんを、この治療法により健康人と同じような生活 を取り戻させる可能性がある 現状:重症肝臓病の治療として確立されつつある • ドナー(肝臓提供者)の安全性はこの手術で最大の要件
  • 4. 肝移植の二種類 • 生体部分肝臓移植 • 脳死(全肝) 肝臓移植
  • 6.
  • 7. 累計総数 • 本邦においては、生体肝移植症例はこれま で6500例以上を経験している。 • 脳死肝移植においても2010年7月の法改正 以降は症例数が増加しているが、2012年12 月の時点で脳死肝移植は176例にとどまって いる • (日本の特徴)
  • 8. 需要供給バランス? • 移植希望登録者数 • 約370名 • 移植実施数 • 脳死後の移植:年間約10名 • 生体移植:年間約450~500名
  • 9.
  • 10. 脳死臓器提供の特殊性 突然襲った身内の不幸を 目前にした家族の 逆ベクトル人間愛提供の決断から始まる • その心情はいかほどか
  • 11. 社会的制度の整備 ①法としての整備 • 臓器移植法=脳死下での扱いの法律 • 1997年制定 • 本人生前遺族賛成15歳以上 • 2010年改正 • 親族優先本人不明→家族の承諾でOK 15歳未満OK ②運用上の整備 • 臓器移植ネットワーク →臓器の分配公平性を保つ • ③お金・保険系 • 2006年ver
  • 12. 費用 • ドナーの費用 一旦自費でお支払いして頂いた後、移植手術後に返金 ドナーの適応になられなかった場合は自費になる 一般の保険会社の多くは、ドナーの費用を傷病補償の対象とし ていません。
  • 13. • ドナー側には費用の負担も報酬もありません。 また、レシピエント側の医療費も、小腸を除く 臓器移植がすべて保険適用になっています。 • 約200〜400万円前後の自己負 肝移植は60万円くらい? • 約200〜400万円前後の自己負担額 • 月8万円を超える医療費については高額医療 費制度があり後に還付
  • 15.
  • 16.
  • 17. 生体部分肝臓移植 • 健康な人から一部わけてもらう 子どもを対象に、母親などから臓器の提供が主として行なわれ てきている 生きている二人にドナーとレシピエントという関係が生じ、 移植施設ごとの倫理委員会と適応基準審査 日本開始1989年島根医科大学(小児) 世界開始1988年 移植の部位:小児→一番小さな左葉外側区域S2 S3 成人→大きな右葉
  • 18.
  • 19. レシピエント適応基準 • 各移植施設には移植の適応を判断するための基準がある • (1)病気の原因が肝臓にあり、肝臓移植によって元気に生活できる可能 性があること。 • (2)従来の治療方法 • (内科的、外科的、放射線科的)では生命を救うことができない病気であ り、その治療が限界であること。 • (3)他の主要臓器に大きな障害がないこと。 • (4)他の臓器に悪性腫瘍がないこと。 • (5)肝臓癌の場合は肝臓内にとどまり、門脈や肝静脈という太い血管へ の浸潤がないこと。 • 肝臓の外に転移が認められないこと。 • *肝臓の外に癌が転移していた場合、移植後に投与する免疫抑制剤 等の作用により、全身に腫瘍がひろがる可能性が大きく、かえって寿 命を縮めてしまう結果になることがあるので、移植の適応にはなりません。
  • 20. 生体肝移植ドナーの条件 • ① 自発的かつ明確な意志の表明 • ② 6親等以内の血族または3親等以内の姻族配 偶者 • ③ 16(20)歳~60歳前後 • ④ 心身ともに健康 • ⑤ レシピエントの標準肝容積の30%以上,もしく は • 標準体重の0.8%以上のグラフトが確保される ※グラフト=移植片
  • 21. 生体肝移植の問題点 • ドナー側に • 健康体(本来手術される理由のない人)に • にメスを入れる • 京大でドナーが1例死亡(NASH) • 群馬大学でドナーが1例下半身麻痺となる • 過小グラフト症候群 あちらを立てればこちらが立たず 症状: 大量腹水、黄疸の遷延、凝固脳障害、感染症
  • 22. 移植手術における インフォームドコンセントの必要性 =術後の合併症について • レシピエントに手術後の合併症 • 術後1-2週目に約30%の方に急性拒絶反応=風邪に類似した症 状(発熱、全身倦怠感)とともに上腹部痛が出現することがある • (慢性拒絶反応免疫抑制剤による副作用胆管狭窄)も多く、 生涯にわたる免疫抑制剤の内服や定期的な外来通院といった管理 が必要である • ドナーのほうも日常生活に支障きたすほどの合併症がおこること もあり得る
  • 23. 世界各国の脳死臓器移植に関する法律 • 脳死について→法律で脳死を死と定めている国, →あるいは法律には規定せず,医学会・医師会などの判断 によって脳死を死と認めている国がある. 日本国における法的な脳死の定義については「臓器の移植に関する法律」第6条の 規定による。すなわち、現在の日本において法的に脳死と認められるのは、臓器提 供のために法的脳死判定を行った場合のみに限られる • 本人の意思が不明な場合は,家族が提供を承諾すれば可能とする国→アメリカ, カナダ,オーストラリア現在の日本など ・本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ,臓器提供が可能という「推 定同意」の法律を制定している国 →スペイン,ベルギー,オーストリアヨーロッパ • 世界保健機構(WHO)による「臓器移植に関する指導指針」(1991年5月) 臓器を提供できる条件は「本人意思が最優先で,不明の場合は遺族の意思による」 とされている.あわせて同指針では,臓器提供者となりうる患 者の死亡判定に移植医は関与できないこと,臓器売買の禁止,レシピエント は公平・公正に決められなければならないことなどが,国際社会の移植に関するコン センサスとして示されている.