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Plus de Yasushi Hara (20)
東洋大学 産業組織論 A 2014 0
- 3. 講義スケジュール (前期, 前半)
• 1. 4/8: オリエンテーション(産業組織論ってなんだろう?)
2. 4/15: 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 I
• (泉田・柳川 pp.22-28、長岡・平尾 pp.1-16)
• 3. 4/22: 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 II
• (泉田・柳川 pp.28-44、長岡・平尾 pp.1-16)
• 4. 4/29: 独占企業の価格設定 I
• (泉田・柳川 pp.45-54、長岡・平尾 pp.43-68)
• 5. 5/13: 独占企業の価格決定 II
• (泉田・柳川 pp.54-68、長岡・平尾 pp.43-68)
• 6. 5/20: 自然独占と規制 I
• (泉田・柳川 pp.69-76、長岡・平尾 pp.247-272)
• 7. 5/27: 自然独占と規制 II
• (泉田・柳川 pp.77-87、長岡・平尾 pp.247-272)
• 8. 6/3: 中間テスト
- 4. 講義スケジュール (前期, 後半)
• 9. 6/10: 参入の経済効果 I (泉田・柳川 pp.87-96)
10. 6/17: 参入の経済効果 II (泉田・柳川 pp.96-106)
11. 6/24: ゲーム理論 I (泉田・柳川 pp.107-116)
12. 7/1: ゲーム理論 II (泉田・柳川 pp.117-121)
13. 7/8: 技術進歩と研究開発競争 I (長岡・平尾 pp.187-1
98)
14. 7/15: 技術進歩と研究開発競争 II (長岡・平尾 pp.199
-206)
15. 7/22: 期末試験
• 公式な試験日は7/29 ですが、国際学会@ドイツ に出席する必要がある
ため講義内に期末試験を行おうと考えています.
- 6. 受講者内訳
• 火1 • 火7
学年 経済 国際経済 総合政策
合
計
3年生 51 1 52
4年生 51 2 53
総計 102 1 2 105
学年 経済 合計
2年生 3 3
3年生 14 14
4年生 7 7
総計 24 24
- 7. 今日の内容
• 前半 :泉田・柳川 pp.22-28
• 完全競争
• 不完全競争
• 需要曲線
• 後半:長岡・平尾 pp.1-8
• 限界費用と平均費用
• 規模の経済
• サンクコスト
- 9. 完全競争市場
• 完全競争市場の条件
• 1. 取引される財・サービスが同質的である
• 財は標準化され、汎用化されている場合が多い
• 2. 需要者と供給者の数が「十分」に多い
• 供給者も需要者も財の価格を決定することができないため、プライステイカーと
なる
• 3. 情報が完全である
• 売り手や買い手が財に関する情報を十分に所有している
• 4. 参入と退出が自由である
• 企業や買い手は好きなタイミングで市場に参入したり、退出したりすることがで
きる
- 10. 不完全競争市場と産業組織論
• 不完全競争市場の条件
• 1. 財が同質的ではなく、差別化されている
• 例. 自動車とか携帯電話とか (ブランディングによる差別化)
• 2. 供給者の数が限られている
• ガスや電気のように、供給する企業の数が限定されている
• 3. 情報が不完全である
• 「情報の非対称性」が存在する
• 売り手しか知らない情報、買い手しか知らない情報がたくさん存在する
• 4. 主に政府によって、市場への参入や退出が制限されている
⇒ 世の中に存在する市場のほとんどは、不完全競争市場である
産業組織論で取り扱うのは、不完全競争市場のお話。
- 11. 消費者行動と需要曲線
• 消費者はなぜ財を購入するの
か? = 「効用」を得るため
• 消費者は予算制約に基づき、自
身の効用を最大化させるよう購
入する財の数を決定する
• 財の価格が与えられた時, 消費
者がどれだけの数量を購入する
か決定する = 需要曲線
• 所得 D と財 p1,p2 の変化に伴う
U(x1, x2)=max{f(q1,q2)}
s.t. p1q1+p2q2<=D
P’
P’’
q’ q’’
d
d’
P
q
- 12. 消費者行動と需要曲線
• 価格がP’ のとき, 財はq’ にな
る
• 消費者は価格 P’ と、財 q’ に同
じ価値を見出し P’ を支払う
• 限界効用
• q’ 個の消費に、最大限支払え
る額は P’ (支払意志額) である
• 需要曲線は右肩下がりとなる
• 価格P が低くなるほど, より多
くの財を欲しがる
P’
P’’
q’ q’’
d
d’
P
q
- 15. 需要の価格弾力性
• 需要曲線が D”D” に変化した場合
• 需要量はQ’’’ へと減尐する
• △P は同じで、△Q の絶対値は大きく
なる
• P/Q の値が同じ時、傾きが緩やかで、
△Q/△P の絶対値が大きいD”D” のほう
が、需要曲線 D’D’ よりも弾力性εの値
は大きくなる
⇒ 需要曲線の傾きが大きいほど弾力性は
小さく、需要曲線の傾きが小さいほど弾
力性は大きい
P
Q
P’’
P’
Q’’’ Q’’ Q’
D’
D’’
- 16. 価格弾力性の変化
• 価格がP’ から P’’ に変化する場合
• 需要は Q’ から Q’’ に変化する
• 地点 A-> B
• 価格がP’’ から P’’’ に変化する場合
• 需要はQ’’ から Q’’’ に変化する
• 地点 B-> C
• このとき、傾き △P/△Q は同じだが、
P/Q の値は異なる
• 地点が上昇するたびに、P/Q が大きくなる
ため弾力性ε も大きくなる
• 座標が左上に行くほど、需要の価格弾力性
は多くなる
P
Q
P’’
P’
Q’’’ Q’’ Q’
D’
D’’
P’’’
A
B
C
- 17. 価格弾力性の変化(需要曲線が上方シフトした場
合)
• 価格がP’’’ のとき
• 需要曲線 D’D’ では需要量は Q’’’
• 需要曲線 D”D” では需要量は Q’
⇒
・需要曲線の傾きは同じ (△Q/△P は同値)
・P/Q は D’D’ のほうが大きくなる
⇒
・よって、弾力性εも D’D’ のほうが大きくな
る
P
Q
P’’
P’
Q’’’ Q’’ Q’
D’
D’’
P’’’
A
B
C
- 18. 価格弾力性の変化(需要曲線が上方シフトした場
合)
• 需要量がQ’ のとき
• 需要曲線 D’D’ では価格はP’
• 需要曲線 D”D” では価格は P”’
⇒
・需要曲線の傾きは同じ (△Q/△P は同値)
・P/Q は D”D” のほうが大きくなる
(地点 A と地点C’ を比較!)
⇒
・よって、弾力性εは D”D” のほうが大きく
なる
P
Q
P’’
P’
Q’’’ Q’’ Q’
D’
D’’
P’’’
A
B
C C’
- 22. 振り返り: 微分(1)
• 変化率
• 関数 y =f(x) が与えられたとする
• このとき, x の値によって y は感応
して変化する
• 変数 x が微小に △x だけ変化し
たとき、y は f(x) から f(x+△x) だ
け変化する.
• y の変化量をxの変化量で割ると,
「y の x に対する変化率とな
る」. このとき,
• たとえば, y=x2+3 のとき,
- 23. 振り返り: 微分(2)
• y を x について微分するとは,
変化率 △x を極めて微小にす
ることであり, 以下の式で表
される.
• f’(x) は x がある値から小さな1
単位増加した時 y がどれだけ
変化するかを示しており, f(x)
の導関数と呼ぶ.
• 導関数は, f(x) の接線の傾きを
示している.
• f’(x) をx についてさらに微分
すると, 2次導関数が与えられ
る.
- 24. 振り返り: 微分(3)
• 例2. y=3x2のとき, f’(x)=6x
二次導関数は
• 二次導関数が
• f”(x) <=0 のとき, f(x) は凹関数
• f”(x) >0 のとき, f(x) は凸関数
• 導関数の計算規則
• y=f(x)=a, f’(x)=0
• y=f(x)=xa, f’(x)=axa-1
• f(x)=ax, f’(x)= ax ln(a)
• f(x)= ex, f’(x)= ex
• f(x)=ln*g(x)+, f’(x)=g’(x)/g(x)
• f(x)=ln*x+, f’(x)=1/x
• f(x)=g(x)✕h(x),
f’(x)=g’(x)h(x)+g(x)h’(x)
• y=g(z), z=h(x) -> y=g(h(x)),
dy/dx=(dy/dz)(dz/dx)
- 25. 企業のコストとその決定要因
• 生産コスト = 消費者に対して財や
サービスを供給する際係るすべての
コスト
• 企業が1単位、生産を増やすのに追
加的に必要な費用 = 限界費用 (MC)
• 企業の生産量が q, q を生産するため
に必要な総費用が C(q) のとき、
で与えられる (総費用曲線を q について
微分したもの)
0 q
C(q)
固定費用
平均費用
限界費用
総費用曲線
A
B
C
- 26. 企業のコストとその決定要因
• 平均費用 (AC) = 総費用を生産数量
で割ったもの
• 総費用曲線の各点と原点とを結
んだ直線の傾き
• 固定費用 (研究開発コスト, 資本コ
スト etc…) が大きく、生産量が尐な
いほど平均費用が高くなる
0 q
C(q)
固定費用
平均費用
限界費用
総費用曲線
A
B
C
- 29. 規模の経済性
• 生産量の拡大によって平均費用が低
下する場合 = 規模の経済性が存在す
る
• q2>q1 のとき, AC(q1) > AC(q2) となる場合
• コストの比較
• 生産箇所が一箇所の場合
• q x AC(q)
• 生産箇所が二箇所の場合
• 2 x {(q/2) x AC (q/2)} = q X AC (q/2)
• このとき, 規模の経済性が存在する場合
AC(q) < AC(q/2) なので, 生産を集中させた
ほうがコストが小さくなる
0 q_opt
限界費用曲線
平均費用曲線
F
D
E
AC(q1)
AC(q2)
q1 q2
- 30. 規模の経済の発生条件
• 1. 研究開発投資、広告宣伝費など固定費用が大きな産業であるこ
と
• ソフトウェア産業や医薬品など, 研究開発により優れた新製品を生み出せ
ば (=固定費を大量に投入すれば), 必要最低限の生産費用で利潤をえること
ができる
• 2. 組み立て機械、化学プラントなどの資本財の生産費用の増加は、
資本財の生産能力の増加に比べ緩やかであること
• 処理能力あたりの限界費用が、生産ごとに低下していくような状況
• 3. 切り替えコストを必要最小限にすることができること
• 生産量を増やし、特定のラインで川上から川下まで一元化された生産体制
を実現する
• 4. 容量の増大に比べて、必要なコストの増分が尐ないこと
• 稼働率を高い状態で機器を動作させることで、総費用を低下させる
- 31. 規模の経済性の実例: ファスナー
• YKK の場合
• 戦前: ファスナーは手工業で生産されていたため歩留まり率が悪く、
品質も悪かった。
• 戦後: 1950年、アメリカよりチェーンマシンを導入。ファスナーの生
産工程を自動化させる。また、原材料の生産工場を自社内に整備する
ことで、品質およびコストの最適化を図ることにより、高品質かつ比
較的安価な商品を市場に投入することによって、市場の寡占を実現し
た。
- 34. 機会費用 (opportunity cost)
• 生産費用 = {生産に利用する原
材料、中間材料、機械、労働
力の総計}
• 企業が市場から生産資源を購
入する場合、生産費用は購入
費用に等しくなる
• 機会費用
• ある生産資源を想定している用
途と代替的な関係にある他の用
途に用いた場合に得られる最大
の収入
• 機会費用は生産資源を入手す
るために実際に支出された費
用と等しくはならない
- 35. サンク・コスト (Sunk Cost)
• サンクコスト
• 固定費用のうち、他の代替的用途
への転換などによって回収するこ
とができない費用
• 機会費用がゼロの固定費用
• 例. 広告宣伝費や研究開発費
• サンクコストの場合、企業は当
該事業から撤退してもコストを
回収することができない
• 例. ある地点まで進んでいた研究
開発製品を諦める場合、そこまで
のコストはサンクコストになる
(もし転用出来ない場合)
• 企業が赤字であっても、費用の
うちサンクコストを除けば黒字
になる場合 (準レント [企業収入
– サンクコストを除いた生産費
用]が正) の場合、企業は退出し
ない
• サンクコストが高い産業は、企
業が参入・退出しずらい
- 37. 連絡方法
• 東洋大には 9:00-10:30 と, 19:50-21:20 しかいません
• 非常勤のためオフィスアワーを設定できませんので、以下の手
段でご連絡ください。
• ツイッター @harayasushi
• フェイスブック : https://www.facebook.com/toyo.io.2014
• LINE : @harayasushi (LINE は東洋大内では遮断されているようです)