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2015年11月9日
Firebrand Technologies, Fran Toolan, Chief Igniter
(主催)株式会社出版デジタル機構
 3.4兆円 –年2%弱の成長
 6300億円(約20%)がAmazonでの売り上げ
 独立系書店売り上げ:4560億円
 出版社の新刊総点数は2007年から2014年
にかけて30万点から70万点に増大
 新刊のうちリアル書店に在庫される確率は1%
未満
2
 売り上げ(電子含む)の80%は下記への販売
◦ Amazon(直販)
◦ Barnes & Noble (最大手書店チェーン・直販)
◦ Ingram (取次会社)
◦ Baker & Taylor (取次会社)
◦ Apple(直販)
 売り上げの残り20%は数百の小規模顧客への直接
販売
3
日本での書籍流通
大手取次 A
出版社 A B C D E …………
大手取次 B
書店 A B C 書店 D …
米国での書籍流通(電子含む)
取次 A
(自社流通)
出版社 A B D ……
B
書店 A B C
…………
D
出版社 C E
取次C
(中規模)
…
○日本
-大手取次と書店が帳合関係
-書店は原則、取次一社と取引
-取次はほぼ全ての出版社の作品を
扱う。
○米国
-出版社が自社流通を所有
-または特定の取次に流通を委託
-書店は複数の流通会社を通して出
版社の作品を仕入れる
4
 2000年から2007年にかけて、1000以上の独立系
書店が閉店
 2009年から2014年にかけて、独立系書店の数は
1650から2100へ増加(27%)
 独立系書店の売り上げは書籍総売り上げの約10%を
占める
 最大手Barnes&Nobleの店舗数:679店
 その他チェーンの店舗数は300未満
 Amazonがリアル書店をオープン
5
 多すぎる作品数
◦ 書店によるコミュニティーに適した作品の選書
 書籍販売数自体は伸びていない
◦ 書店は本だけを販売しているのではない
 読書は他の娯楽に対する「マインドシェア」を失いつつ
ある
◦ 書店による読者が重要性を感じ得るイベントの開催
 小規模なビジネスで利益を生むことは難しい
◦ 米国書店協会(ABA)の協力
◦ 協力的かつ良きビジネスパートナーになりつつある書店員
6
 出版社の卸正味が低い傾向にある
◦ 出版社は利益を求めなければならない
◦ 人件費が高い
◦ 出版社は業務を効率化する必要がある
◦ 大学出版局も助成金などを失っている
 数百存在するオンライン書店 (紙と電子の併売含む)
◦ 出版社は自社刊行物が適切に陳列されることを確実にする必要がある
 出版社は紙版と電子版を等しく扱っている
◦ 電子版は、単純に別フォーマットに過ぎない
 米国出版社は読者目線で考えることを学んできた
◦ 過去15年の出版における最も重要な変化
7
著者 出版社 取次
小売店
図書館
読者
8
 時に娯楽のため
 時に学ぶため
 時に購入し
 時に図書館や友人から借りる
 間違った本を選ぶ時間はない
 本を買うことを楽しみたい。価格が気になる
 読書体験も大事
9
 学習に必要だから
 薦められたから
 読み終えたら本棚に残したいから
 スマートフォンやタブレットで簡単に入手でき
るから
 誰かにプレゼントしたいから
10
 時にオンラインで
◦ 何が欲しいかわかっている場合
◦ 買うのが簡単だから
◦ 友人に発送するのが簡単だから
◦ オンラインの方が安いことが多いから
◦ 電子書籍をすぐにスマートフォンにDLできるから
 時に書店店頭で
◦ 何が欲しいか明確でない時は、散策が必要
◦ 新しく変わった何かを見つけたい
◦ 紙の書籍が欲しい
◦ 散策する時間があるから
◦ プレゼントを探しているから
11
 一時的にだけ必要な本だから
 本の購入にお金を使いたくないから
 図書館員がとても親切で役立つから
 見つけたらすぐに手に入るから
 何か新しいものを試したいから
12
 友人からのオススメ
 ブログやSNSでの「Buzz(話題性)」
 魅力的な説明文や試し読みサンプル
 オンラインレビュー
 陳列 – 書店店頭や図書館
 オンラインでの検索と発見
 新聞やメディアへの広告
 映画やTVシリーズ、ゲームとのタイアップ
 著者とのつながり
 読書サイト (GoodReads、LibraryThing)
13
 何を出版すべきか注意深く考えるようになる
 書籍に対する期待の創出を促すようになる
 あらゆる販売チャンネルで作品の露出に関して一貫
性を持とうとする力が働く
 どうしたら有名になれるかを著者に教えようと懸命に
なる
 書籍の売れ行きに関して顧客に定期的な情報提供を
行うようになる
14
 Better Product Planning --より良い作品計画
◦ Title Managementサービスを通して
 Creating Anticipation ––期待の創出
◦ NetGalley
◦ メタデータ配信の最適な実施
 Consistency of message ––メッセージの一貫性
◦ Eloquenceサービスを通した一貫的なメタデータの発信
◦ 図書館・オンラインサイトへの試し読みの提供
 Production Quality –-品質支援
◦ FlightDeck
◦ プロダクションプランニングツール
 Operational effectiveness –-有効な運用の支援
◦ レポートや各種統計を通して
15
刊行前の電子献本を用い影響力のある読者とのつながりを生み出す読者開発
ツール
本の発見のプラットフォームであり、本のレビューを生み出し拡散するための
ツール
What is NetGalley?- NetGalleyとは?
16
NetGalley – 各種数字
270,000+
世界中の登録会員
(非US会員が35%)
月間ページビュー
400万 +
80,000+ ユニークビジター
月間書籍閲覧数
~170,000
(60% がKindleで閲覧)
ページ再訪率81%
うち、62% が
9回以上得訪問
レビューの2%
がSNSでシェア
月間レビュー数
40,000
DL作品の
12-20%
がレビュー獲得
上位100作品の平均レ
ビュー率
31%
カバーデザイン投票数
44,000
(直近30日)
300+
出版社
および著者数百
メンバー アクティビティー フィードバック
blog.netgalley.com
月間ページビュー
16,000 views
17,900 13,800
17
Community Demographics-会員構成
139K
Reviewer
レビュアー
139,000
Educator
教育関係者
34,000
Media Professional
メディア
27,000
Librarian
図書館員
24,000
Bookseller
書店員
14,000
• 図書推薦200点/週
• ニュースレター開封率52%
• 講義への採用
• デスク用
• 教育者向けニュースレター
• 図書推薦2800+点/月
• 4,000 ALA 会員
• 図書館員向けニュースレター
• 招待ウィジェット
• 投稿履歴
• 全会員の57%
• 話題の拡散
• レビュー投稿
18
ユーザーダッシュボード
19
出版社ページがブランド力を高める
20
Manage Requests –リクエストの管理
21
リクエスト承認⇒快適なDL⇒閲覧
22
メディアへの招待機能の活用
23
 アクセスを制限する多様な手段
◦ DRMの設定 –Adobe、ソーシャルDRM、DRMフリー
 閲覧可能端末の選択
◦ Kindle? その他リーディングアプリ?
 作品の公開(パブリック)・非公開(プライベート)設定
 閲覧できる読者の選択と決定
 特定読者の自動承認設定
 作品と読者に関する豊富なデータの管理
 メールでの作品の促進
NetGalleyで出版社ができること
24
• 送信メールでレビューのリマインドを
• レポート機能でフォローアップを
• 投稿されたレビューを作品ページに追加
• 会員属性ごとに設定されたフィードバック項目
フィードバックを意味あるものに
25
 アカウント上でリクエスト履歴の確認
 フィードバックレポートの取得
カタログ作品のレビュー状況と会員属性を集計
 作品ごとのレポートサマリーの取得
リクエスト状況の簡単な集計
 作品ごとの詳細レポートの取得
作品へのレビュー内容の集計や
類似作品への招待リスト作成
リアルタイムでのデータ取得と活用
会員による
カバーデザイン投票
26
会員コミュニティーへの促進活動
NetGalley.com上での作品の集中取り上げ
• 週ごとの取り上げテーマ設定
• SNSでのクロスプロモート
特定会員タイプへの訴求
• ABA(北米書店協会)会員向けメルマガ
• 図書館員向け月刊ニュースレター
• 教育関係者向けニュースレター
会員属性やジャンルごとにカスタマイズされた有
効度の高いメルマガ
27
書店員と図書館員向けのメールプログラム
28
Understanding Metadata
メタデータとは?
~編集初期からの整備~
29
著者 出版社 取次
小売店
図書館
読者
30
 売上に直結した影響を与える!
 メッセージの一貫性
◦ 作品の露出場所は縮小ではなく拡大している。
◦ オンラインサイトでは、メタデータ(およびカバー画像)が顧客が見る情報の全て
 紙でも電子でも、オンラインでの発見には必要不可欠
◦ 大半の作品は検索クエリの結果で発見される
◦ 検索結果のトップ10‐20にない場合、発見されるチャンスはない
 出版社のメッセージは他の事業者に操作される
◦ Amazon、楽天、その他主要取次会社
◦ 往々にしてデータの互換性がなく、カタログや小売店ごとに異なるフィールドを採用
◦ XMLデータフィード(ONIXが一般的)は小売店ごとにカスタマイズが必要
◦ システムが定期的に変更される
 出版社は自身のメッセージに責任を持つ必要がある!
31
 作品に対する出版社自身による紹介
 基礎データ
◦ タイトル/サブタイトル、著者名/協力者名
◦ フォーマット、価格、ページ数、イラスト、シリーズ、版、刊行日
◦ ISBN、テーマ・カテゴリコード、販売地域
◦ カバー画像
 拡張データ
◦ 内容説明・長 (2,000文字)、内容説明・短 (250文字)
◦ 著者/協力者 プロフィール
◦ Q&A、パブリシティ、補助素材
◦ レビュー、読者フィードバック
◦ 試し読み
◦ 目次
32
 説明文:もっとも大切な要素
◦ あらすじの正確な記述
◦ 著者の重要な情報:出身地や他作品など
◦ ターゲッティング、関連語、特定的な単語
◦ 説明文へのキーワードの盛り込み
 目次
◦ 可能であれば含める
 試し読み
◦ 読者がストーリーと雰囲気をつかむ非常に便利な手段
33
編 集
マーケティング
制 作
ビジネス管理
企画 開発
コピー
エディット
デザイン
ファイル
制作
発売計画 パブリシ
ティ
カタログ
新企画
説明会
価格
発行部数
刊行
スケジュール
契約
34
 Pre-Publication- 発売前
◦ レビュー、タイトル/サブタイトル、カバー画像、説明文、著者プロフィール、ジャ
ンル
◦ 刊行日の綿密な管理
 Post-Publication- 発売後
◦ レビュー、読者フィードバック、著者のパブリシティやプロモーション情報の追
加
◦ テーマ・カテゴリーコードや価格の精査
 Brush Up Your Backlist- バックリストのブラッシュアップ
◦ 作品が強いほど、定期的なレビューが重要
35
出版社
オンライン
書店
図書館
流通会社
書誌・目録
管理団体
36
 読者目線で考える
 発売時の販売を最大化する「バズ」の創出
 適切で正しく配信されるメタデータは、一作品
の売上を大きく改善する
37

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