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日本認知・行動療法第48回大会 自主企画シンポジウム9
2022/10/2(Sun) 11:30~13:00
実験研究の魅力と意義
-認知臨床心理学をもっとCBTに活かしたい-
16. • 認知的再評価は誰でも容易に行える方略というわけではない
• 影響する要因を同定することは,臨床的にも意味がありそう
• メカニズムの解明が必要
✓30~50%の人が認知的再評価によってネガティブ感情が増加
✓認知的再評価を試みた人の半数近くが上手くできたか自信はない
✓強い感情喚起刺激に対しては難しい(逆に抑うつが増加することも)
✓ 状況によっては再評価は認知資源を気晴らし以上に消費
特に認知的再評価の精神健康へのポジティブな影響が知られているが…
Troy et al., 2013; Troy et al., 2010;Ford et al., 2017;Sheppes, 2014; Sheppes & Meiran, 2008; Sheppes & Meiran, 2007などを参照
17. • 「わかるけど,なんだかなあ」 ← ×
• 「なるほど!!」 ← 〇
• 顕在的な行動のみならず私的出来事(認知事象)への影響も。
• 「理屈はわかるんだけど,なんだか納得できない」という状態
⇒問題に対する持続した反復性思考が生起していると考えられる
• Total Convictionは,疑問をもたないor解消されている状態の理解
• 行動変容に影響する情報処理スタイル(伊藤,2009;重松,2020)
• 行動・感情の変容が期待される情報が個体に入力されたときに,
個体の体験に基づいて行動・感情の変容を促す認知的操作
:experience-based cognitive manipulation (Shigematsu et al., 2022)
腑に落ちる理解 Total Conviction
感情制御のメカニズムのヒント-腑に落ちる理解-
25. (寄り道)拡張版プロセスモデル Ford et al.,2019
識別
V
感情の評価
P
感情の
知覚
A
制御目標の
活性化
V
P A
W
感情生起
A
方略使用
目標の活性化
選択
V
使用し得る
方略の評価
P
使用し得る
方略の知覚
W
制御目標
実行
V
使用し得る
手段の評価
P
使用し得る
手段の知覚
A
方略使用
手段の活性化
W
方略使用の
目標
モニタリング
おそらく実証研究が今後追加されていく
そこに臨床的観点を同時に追加していくことで,モデルが臨床的現象から離れるのを防ぐ
26. (寄り道)シロクマ実験 Wegner et al.,1987
練習
「シロクマ考えないで」
(抑制)
「シロクマのことを
考えて」
(表出)
「シロクマのことを
考えて」
(表出)
「シロクマ考えないで」
(抑制)
「シロクマ考えないで」
「もし思い浮かんだら
赤いフォルクスワーゲ
ンのことを考えて」
(気晴らし)
「シロクマのことを
考えて」
(表出)
初期抑制条件
• 参加者は5分間,思い浮かんだことを言語化してテープレコーダーに吹き込む
• 抑制段階で『シロクマ』が思い浮かんだり,『シロクマ』と言ってしまったりしたら,ベルを鳴らす
初期表出条件 気晴らし条件
抑制段階のシロクマ想起
• 平均6.15回/5分
• 初期抑制条件>初期表出条件
• 気晴らし条件と初期抑制条件に
有意差なし
表出段階のシロクマ思考時間
• 初期抑制条件>初期表出条件
≒気晴らし条件
• 初期抑制条件のリバウンド効果と,
気晴らし条件によるリバウンド効
果の低減
よく知られた現象
しかし,その手続きを知らないと誤解を招く