IGDA日本 SIG-地方創生セミナー 2021.3.2 講演２

1. IGDA日本 SIG-地方創生セミナー
講演② 数百万会員のプラットフォームにおける
ゲームを活用した美術館収益拡大事業
公益財団法人山種美術財団理事長 / 山種美術館館長 山﨑 妙子
株式会社ジー・モード 井口 守弘

2. Confidential
講師：山﨑 妙子
公益財団法人山種美術財団理事長 / 山種美術館館長
東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。東京藝術
大学大学院美術研究科修士課程を経て1991年博士課程
修了。学術博士。同年、山種美術財団理事・山種美術館
特別研究員。副館長を経て、2007年5月、山種美術財団
理事長兼山種美術館館長に就任し、現在に至る。著書に、
『速水御舟の芸術』（日本経済新聞社）、『現代日本素描
全集④速水御舟』（ぎょうせい）など。
各所での講演会のほか、英語ガイドツアー、着物イベント、
ミュージアム・コンサート、休館日を利用した地域への社
会貢献（小中学生のための鑑賞会）などを実施し、日本
画の普及を幅広く行っている。

3. Confidential
山種美術館とは
山﨑種二(山種証券[現SMBC日興証券]創業者)のコレクションをもとに、
昭和41（1966）年に日本初の日本画専門美術館として開館。
今年で開館55周年を迎える。
○所蔵作品について
・横山大観、川合玉堂、速水御舟、奥村土牛など
近代・現代を代表する日本画家たちの作品や、
琳派や浮世絵といった江戸時代の作品が中心。
・重要文化財（6点）や重要美術品を含む、
約1800点を所蔵。
○展覧会について
・年5～6回の展覧会を開催。
↑速水御舟
《炎舞》【重要文化財】
↑横山大観《心神》
展示室

4. Confidential
ゲームとのコラボ実績
2019年の春と夏にアプリゲーム「明治東亰恋伽～ハヰカラデヱト～」とコラボ
コラボ内容
・コラボグッズの販売…
当館作品を使用したキャラクターブロマイド&缶バッジ
・ゲームユーザー(ファンクラブ)向けのイベント…
館長によるギャラリートークと、
キャラクターをイメージした和菓子の提供など
・コラボカフェメニューの提供…
和菓子とコースターのセットメニュー
・グッズ付入場券の販売
日本画家・横山大観と菱田春草がゲームに登場することから、
展覧会とのコラボを実施。ゲームにあわせて各画家の作品を展示。
コラボと同時期にアニメ、実写ドラマ、実写映画の放送もあり、
10代～20代女性を中心に、述べ1500人ほどご来館。
※コラボ終了後も、当館のお客様としてご来館している方も多い。

5. Confidential
コロナ禍の影響
○来館者数減…
2020年上半期（4～9月）は前年比で約93％減、
10月以降は徐々に来館者が戻ってきてはいるが、平年の4割程度。
現役世代のお客様の来館が戻りつつあるが、
特に、当館のメインターゲットであるシニア層（65歳以上）のお客様は減少。
○売り上げ減…
来館者数の減少にともない、入館料、カフェやショップの売り上げも落ち込んでいる。
○クラウドファンディングの実施(2020年10月～12月)…
これまでの事業収入は、入館料による収入が主体であった。
今後も安定した美術館運営をしていくために実施。
総額13,109,000円、計872人にご支援いただいた。

6. Confidential
今回のコラボに期待すること
○イメージの払拭と新たな顧客層へのアプローチ…
従来、美術館は敷居が高いといわれてきたが、少しでも親しみやすく感じて
いただけるよう当館では様々な努力を重ねている。
今回は、今まで美術館や日本画に関心のなかった層へアプローチする「きっかけ」作り。
○周知効果…
・日本画について：日本固有の文化である日本画（作品、画家含め）の楽しみ方を知っていただく。
・山種美術館について：日本画専門の美術館である当館について知っていただく。
○美術館のコンテンツの充実…
美術館外でも楽しめるコンテンツを増やしていきたい。
「お客様との結びつきを可能にする仕組み」のひとつとなれば。
○来館者増、ミュージアムグッズ・カフェ等の売り上げ増

7. Confidential
ゲーム業界との今後
○ゲームとのコラボを積極的に考えている
例）・ゲーム内に当館の所蔵作品が登場するなど。
・イベントの実施、コラボグッズの販売など。
○当館から提供できるリソース
・所蔵作品（約1800点）の高精細画像データ
→著作権（画家の没後70年間保護）が切れた作品の画像中心。
・所蔵作品や画家の解説テキストや、資料のデータ類
→当館の展覧会や図録中で、実際使用しているテキストデータ。
肖像画像や手紙など、画家本人の実像を伝える二次的資料のデータ。
・当館公式HPやSNS（毎日更新）による宣伝告知
→Twitter（フォロワー数 約15万人）、Facebook（2.8万人）、Instagram（2.7万人）

8. Confidential
講師：井口 守弘
株式会社ジー・モード
セーバー株式会社、株式会社アコースティックにて携帯電話
向け動画配信事業に携わり、その後当時の親会社である株
式会社ジー・モードに合流。以後同社にて、NTTドコモ、KDDI、
SoftBankなどの携帯キャリアが提供する月額サービスに関す
るコンテンツ運営業務を担当。

9. Confidential
株式会社ジー・モードとは
カジュアルゲームを中心とした企画/開発/運営
フィーチャーフォン時代から、NTTドコモ・KDDI・SoftBank の
月額サイト（サブスクリプション）にコンテンツを提供。
現在もNTTドコモ「スゴ得コンテンツ」を中心にサービスを展開。
Nintendo Switch、 PlayStation、Xbox など、家庭用ゲーム機
へのゲーム提供。
自社コンテンツのみならずパブリッシュ事業も手掛ける。
1970年代～1990年代に人気を博したゲーム会社「DATA EAST」。
同社の約120タイトルについてライセンスを保有。
HTML5 ゲームの開発を先駆けて開始。
Facebook インスタントゲーム、 LINE QUICK GAME※に
ゲームを提供。
※2020年10月終了
携帯キャリア
HTML5
コンシューマー
IP事業

10. Confidential
Nintendo Switch タイトル
今春新作リリース。「空気読み。」シリーズ
失われゆく、全てのアプリを救う。「G-MODEアーカイブス」
シリーズ累計１０００万人に遊ばれている
KY度診断ゲーム。
人気YouTuber・VTuberも多数動画を投稿、
シリーズ総再生回数2000万回を突破。
フィーチャーフォンでプレイした
あのゲームがNintendo Switch で遊べる！
待望の復刻プロジェクト。
現在３１タイトル配信、今後も続々新作が
登場予定。

11. Confidential
DATA EAST タイトル
レトロゲームのブームにのり海外で大好評
「バーガータイム」、「カラテチャンプ（空手道）」、
「マジカルドロップ」、「BAD DUDES」など
北米・欧州で根強いファンがいるゲームブランド。
複数タイトルがプリインされたゲーム機や、
当時をしのばせる筐体型などさまざまなかたちで商品を
展開中。

12. Confidential
スゴ得コンテンツとは
NTTドコモが提供する、月額制の遊び放題サービス
 月額 418円（税込）
 約200種類のサイト・アプリが追加放題
 ニュース、生活ツールなど実務系から
占い、TV などのエンターテイメントまで
 G-MODEは特に人気ゲーム、キャラクター
ジャンルにて次のサイトを提供中
「Get!!プチアプリ forスゴ得」
「Get!!プリキャラ forスゴ得」
サービス属性
 会員数 550万人以上（2021年3月現在）
 利用者の年齢層は、40代～50代が中心
 男女比はほぼ半々
 気軽に遊べるシンプルなコンテンツが人気 TM & Ⓒ Othello,Co. and MegaHouse ©るるてあ

13. Confidential
今回のコラボを実施した理由
ユーザーの属性、趣向にマッチしたコンテンツとして期待
• ターゲット年齢層にマッチ
⇒年齢が高いほど、文化や芸術に関心が高い
• 「日本画」というスゴ得内にはまだないジャンル
• 絵画・美術館という公益性とドコモとの親和性
• 美術館のリアルイベントとの連動
• 新規顧客の獲得
⇒山種美術館様Twitterフォロワー約15万人
ポイント
出典：文化庁「文化に関する世論調査（令和元年度調査）」
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/pdf/92221801_01.pdf
図 Q1 鑑賞した文化芸術のジャンル
スゴ得コンテンツにあった新しいコンテンツの企画を
常に模索中。
その中で、山種美術館様をご紹介いただきました。

14. Confidential
ゲームの特徴
 主役はあくまで「絵画」
 ユーザーにあわせたシンプルで
カジュアルなゲーム性
 毎日１問、新しい問題を提供
 プレイを通じて日本画についての
造形が深まる
⇒教養コンテンツとしての楽しみも
 美術館開催の特別展とも連携
スゴ得ユーザー向け割引の実施
ゲームを通じて日本画の楽しみながら知識を深める
企画方針

15. Confidential
今後の展開
• 「絵画」をテーマにしたさらなるゲームの追加。
ジグソーパズル、アハ体験など
・ゲームと連動した「検定」コンテンツなども。
本取り組みを文化・芸術コンテンツ展開のきっかけに
コンテンツの展開
• 日本全国にまだまだ沢山ある美術館、博物館ともコラボ。
• ゲームを軸に文化施設をつなげるポータルとしてのコンテンツを。
• 5Gを見越した、美術館・美術品のVR／ARコンテツなど。
横展開
ゲームの手軽さと、実際の絵画がもつ「本物」の価値をつなげるサービスを

16. お問合せ
IGDA日本 理事/SIG-地方創生 正世話人
総務省 地域力創造アドバイザー
蛭田 健司
k.hiruta@igda.jp