地下街が停電し,避難が必要である状況を考える.地下街が停電すると,壁や床等が見えない状況下におかれる.そのような状況下では唯一の目印である避難誘導灯を用いて避難することになる.しかし先行研究によると避難誘導灯を利用する避難者は 2 割程度であることがわかっている.このように避難誘導灯は避難誘導の役割を十分に果たしているとは言えない.本稿では,避難者の携えるスマートフォンの発する光 (バックライトとフラッシュライト,総じてスマホライトと呼ぶ) を用いた避難誘導方式を提案する.避難すべき方向 (避難方向) に光の帯が流れるように見えるよう,各スマホライトを制御する手法を取る.避難者は光の帯が流れるように見えた方向に避難すればよいことになる.提案するシステムは避難誘導装置とスマートフォンからなる.避難誘導装置は無線 LAN を具備し,電源は非常用電源に接続されており,非常用電源が入ると起動する.給電された避難誘導装置は,あらかじめ設定されている避難データを近隣のスマートフォンにブロードキャストする.避難データを受け取った各スマートフォンは,あらかじめ設定されている分散型アルゴリズムにしたがって,避難方向に光の帯が流れるように見えるよう,スマホライトを制御する.提案手法では,光の帯は一定の幅を持ち避難方向に等速に移動するものとし,光の帯の範囲内にあるスマホライトを点灯させる手法を取る.また,要素技術として位置推定アルゴリズムと時刻同期アルゴリズムを用いる.