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評価士のお仕事〜大澤望の場合〜

  1. 評価士のお仕事 〜大澤望の場合〜 2023年2月26日 大澤 望(株式会社 大沢会計&人事コンサルタンツ) 劇団銅鑼創立50周年記念公演第3弾「自由」 No.58『アウトカム~僕らがつかみ取ったもの』プレトークイベント どうなの評価?どうする評価?私たちの大事なものって何だっけ?
  2. 最初に・・・ • 「みんなで評価に取り組みましょう!」という話をしたいわけ ではありません(そもそもみんな日々評価をしています) • ましてや「評価士に評価を依頼しましょう!」という話でも ないです • 「評価」というものについてより意識的になってみる、 そして評価の捉え方・使い方、評価との向き合い方を改めて 考えてみるきっかけになってほしいと考えています ©Nozomu Osawa 1
  3. 自己紹介 大澤 望(おおさわ のぞむ) • 岩手県盛岡市出身 • 早稲田大学公共経営大学院修了(公共経営修士) • 日本評価学会認定評価士 <主な所属> • 株式会社 大沢会計&人事コンサルタンツ 取締役 • 一般社団法人 インパクト・マネジメント・ラボ 共同代表・アソシエイト • 特定非営利活動法人 日本評価学会 理事 • 日本おせっかい学会 • 大阪おせっかい研究所 2 ©Nozomu Osawa
  4. 評価への関心のきっかけ • 2010年に聴いた広瀬大地氏(当時、NPO法人プラネットファイナン スジャパンに所属)の講演 • マイクロファイナンスの世界では、ソーシャル・パフォーマンス・マネジメ ントが非常に熱いトピックになっているという内容 <関心を持った課題> • 営利性と公共性の2つの尺度の両立 • ミッションの達成度合いを把握するための評価システム ※マイクロファイナンス:貧困層や低所得層を対象に貧困緩和を目的として行われる小規模金融のこと 出所:JICA(2004)『マイクロファイナンスへのJICAの支援事例分析』 ©Nozomu Osawa 3
  5. 評価士とは • 日本評価学会の評価士養成講座を受講し、評価士認定試験に合格 することで付与される資格 • 2022年9月時点で790名(出所:日本評価学会ウェブサイト) • ただし「評価士でないと評価ができない」というわけではない ©Nozomu Osawa 4 <今回の言葉の使い分け> 評価士←職業として評価に携わる人 評価者←評価を行う人(評価士に限らない)
  6. そもそも、評価とは ① 事実特定(事実を明らかにする) 「何が起きているのか?」 「どういう状態・状況なのか?」 ② 価値判断 「良かったのか?悪かったのか?」 「十分か?不十分か?」 「満足か?不満足か?」 事実を特定し、基準に基づき、評価対象についての価値判断を行う ©Nozomu Osawa 5
  7. 評価の例 ① パン屋に行く ② パンを買って食べる ③ パン屋を評価する • パンの味「なかなか良い」 • パンの種類「多い」 • パンの価格「高い」 • 接客「普通」 • お店の雰囲気「良い」 ↓ パン屋についての総合的な評価 「なかなか良い店だ」 ©Nozomu Osawa 6 他にも いろいろ
  8. 評価の例(詳細) • パンの価格:「価格は安いか?」 → 「 (他店と比べて)高い」 ©Nozomu Osawa 7 価値とするもの についての問い 事実特定 「300円前後の パンが多い」 価値判断 「自分がよく行くA店は 200円前後の パンが多い」 →「それと比べると 高い」 確認 前提 「価格が安い方 が望ましい」 客観的な 事実 注:人によっては 「安い」と判断する (基準とするもので変わる)
  9. 評価の例(詳細) • パンの味:「美味しいか?」→「 (A店と比べて)なかなか良い」 • パンの種類:「種類は多いか?」 → 「 (A店と比べて)多い」 • 接客:「気持ちよく買い物できたか?(不快な思いはしなかった か?)」→ 「普通」 • お店の雰囲気:「自分の好みにどれだけ当てはまるか?」→ 「 (自分の好みの要素がいくつもあるので)良い」 ↓ パン屋についての総合的な評価: 「自分は価格よりも味を重視」→「なかなか良い店だ」(評価結果) →「また来よう」「友人におすすめしよう」(意思決定) ©Nozomu Osawa 8 パン屋に対する 総合的な価値判断
  10. 評価の例のポイント みんな日々無意識に評価を行っている そして人によって・・・ • 評価する項目(パンの種類の多さなど)が異なる • 評価の基準(比べるお店など)が異なる • 評価する項目の重み付け(味を重視するなど)が異なる ↓ • 人によって評価結果は変わる • 前提が異なるので「話が噛み合わない」ということにもなる 多くの人が関わる事業(プロジェクト)の評価の場合はそれが課題に ©Nozomu Osawa 9
  11. 評価士にとっての評価とは ① 評価対象である社会的介入行為の改善と説明責任の遂行に資す るために、 ② しかるべき情報に基づいて事実を確認し、 ③ 明確な判断基準に基づいて何がしかの価値判断を下す行為 出所:日本評価学会(2012)「評価者倫理ガイドライン」 ©Nozomu Osawa 10 (公益を目的とした事業など)
  12. 評価士の仕事(例) • 評価の実施 Ø事業の資金提供者からの依頼(財団、企業など) 依頼目的(例):資金提供(助成など)の結果の検証・把握 Ø事業者からの依頼 依頼目的(例) :事業の効果の把握、改善点の発見 • 評価実施の支援 • 評価の研修 ©Nozomu Osawa 11 民間団体・企業の他、 省庁や自治体の案件なども 最近はこれが多い
  13. これまでに携わってきた評価案件 • 就労支援事業 • 青少年のための科学/経済教育事業 • 子どもと大人のための環境教育事業 • 悩み相談事業 • 防災リーダー育成・普及啓発事業 • 再犯防止推進事業 • 介護職の魅力発信事業 • 水産業の6次産業化事業 • コミュニティツーリズム事業 • 自伐林家育成事業 • 若者演劇ワークショップ事業 ©Nozomu Osawa 12 …などなど
  14. 評価実施の仕事の手順(例) ① 評価目的の確認(評価の必要性の検討含む) ② 評価デザインの提案(どういう評価を行うか) ③ 契約内容の確認 ④ 関係者との合意形成(関係づくり含む) ⑤ 調査の実施(数ヶ月〜数年)* ⑥ 調査結果の整理・分析 ⑦ 関係者への共有・意見交換 ⑧ 報告書**の作成・提出 * 事業開始前から作業をスタートさせる場合もあれば、事業終了後に評価を行う(依頼が来る)場合もある ** 一般公開される場合もあるが、非公開(内部利用に限定)の場合も多い ©Nozomu Osawa 13
  15. 事業(プロジェクト)評価の手順(例) ① 事業の背景・目的の確認(地域や関係者らの分析含む) ② 戦略・計画の検証 ③ 評価項目の特定および評価指標の設定 ④ 事業の実施状況の検証 ⑤ 成果(事業により生まれた良いor悪い変化)の検証 ⑥ 事業についての総合的な価値判断 ⑦ 提言・教訓の策定 ©Nozomu Osawa 14 「事業目的の実現につながる 良い取り組みといえるか?」 などを判断する
  16. 事業(プロジェクト)評価のポイント • 評価するのは事業の良し悪し「この事業で目的を実現できるのか?」 • スタッフらの出来不出来を評価するのではない(人のせいにしない) ↓ そのために「そもそものテーマ設定に問題はないか?」→「戦略や計 画は妥当か?適切か?」 → 「順調に事業は実施できているか?」 → 「どんな成果や変化が生まれているか?」という順序で事業について 体系的に検証して、課題を発見する ↓ それによって成功/失敗要因などが明らかになり、学び(知見)が 蓄積されていき、事業改善や新たな事業開発につながっていく ©Nozomu Osawa 15 失敗を許容できることが大事 (失敗は今後の財産になる) 評価の大前提!
  17. ロジックモデルとは • ロジックモデルは、事業などの目的を実現させるための道筋や考え方 を整理・検証するための道具の一つ* • インプット(資源)、活動、アウトプット(活動が生み出すもの)、アウト カム(成果)の論理的なつながりを図で示す • 「② 戦略・計画の検証」や「④ 成果(事業により生まれた変化)の検 証」の場面で用いられる * その他にも「セオリー・オブ・チェンジ」など様々な手法がある ©Nozomu Osawa 16
  18. ロジックモデルの例(ダイエットの場合) ©Nozomu Osawa 17 エネルギー 摂取量の減少 エネルギー 消費量の増加 体重の 減少 食事の 管理 日常的な 運動 アウトカム (成果・変化) 活動 アウトプット (活動の結果) 良い変化とは 限らない
  19. ロジックモデルの例(ダイエットの場合) ©Nozomu Osawa 18 エネルギー 摂取量の減少 エネルギー 消費量の増加 体重の 減少 体力の 向上 食事の 管理 日常的な 運動 最終アウトカム (一番大事な目的) 活動 適正体重か? 健康的なペースか? 栄養バランスを 意識しているか? アウトカム (成果・変化) 無理はないか? • ⽬的と⼿段を整理する • 検証・分析が必要な事項を特定する アウトプット (活動の結果)
  20. 調査の種類(例) • 観察 • インタビュー • アンケート • ワークショップ ©Nozomu Osawa 19
  21. 評価士として大事にしていること • 他者からの評価、価値基準の押し付け ↓ 評価によって人は抑圧される、不自由になる(評価の負の側面) • 重視しているのは事業に関わる人たちのエンパワーメント ↓ 参加型で評価を行う、みんなで「価値」について議論・共有する ↓ それぞれが評価に対する主体性を持つ(腑に落ちる評価軸を持つ) 評価はその取り組みの「本質」についてじっくり考えるきっかけになる →自分にとって、みんなにとって大事なものを発見する、再確認する ©Nozomu Osawa 20 「こういう評価を しないとダメだ!」 のようなことも含む リーダーシップ を発揮できる ようになる
  22. 評価士としてのやりがい • 取り組みに関わる人たちに発見や気づきが生まれること、 やってきたことの手応えを実感してもらえること ©Nozomu Osawa 21 今後より力を 入れるべきことが 見えてきた 自分たちの 取り組みの意義を 確認できた ・・・ただし、そうならないこともある 事業者(現場の人)らにとってやらされ感が強い場合はそうなりづらい 関係者との 相互理解が 深まった
  23. 最後に・・・大澤望が考える「評価」とは 評価は前に進むためのもの だが時には立ち止まるのも悪くない あえて評価しない(性急に評価しない)ことも大事 ©Nozomu Osawa 22 意思決定 ・事業者「続けよう/やめよう」 ・関係者「協力しよう」 学び(成長) ・事業者「大事なのはこれだ」 ・社会の人々「参考になる」
  24. ご清聴ありがとうございました! 大澤望 連絡先 nozosawabiz@gmail.com ©Nozomu Osawa 23
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