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G106 長坂晟・伊藤武彦 (2009). 性同一性障害者の自意識-性別適合手術前のMale-to-femaleおよびFemale-to-maleを対象とした質問紙調査- 日本応用心理学会第76回大会発表論文集, 32.
- 1. 社会・文化
性同一性障害者の自意識
ー 闘IJ適合判貯前の Male-to-femaleおよびFemale-to-maleを対象とした質問既周査一
0長坂底。伊藤武彦a
(1)明治明樹立学大朝是心理学研矧ヰ a和光大学現代人間学部)
Keywords:性同ー性障害, MTF,FIM,公的自意識,私的自意識
盟畳二E血 genderidentitydisorderの略語である GIDは
医学的疾患であり,生物学的性別 (sex) と性の自己意識・
自己認知(gender)が一致しない状態である.GIDの特徴
として,手術前の外見や戸籍の性別と本人の性自認が合致
しないため,カミングアウトやパッ、ンング(外見や態度,
振る舞し、がし、かに反対の↑生別のものに見えるか,塚田,
2004)ができず,他者からの見られ方に対する過敏性,自
分自身について考えることが多いことが挙げられる.菅原
(1984)は,対人不安静哉の強し、者及び自己顕示性の著し
い者は,他者からのまなざしに対する正反対の反応鞘教を
持つこと,つまり他者の目に映る自分を強く意識しやすい
人は,積極的自己呈示行動か,逆に防衛的・迎壁的行動を
取りやすし、と指摘している.以上のことから,本研究では
性同一性障害当事者群(以下, GID群とする)と非当事者
群(以下, Non-GID群とする)に分け,心醐句な問題とし
て自意識を取り上げ,心理的鞘数を明らかにし Non-GID
群と比較検討を行い,相違点を見出すこととする.
主輩 GID当事者である FIM34名, MTF37名の計71名と,
Non-GID女性 42名,男性 30名の計 72名に対して 2004
年 6月下旬から 10月中旬に質問慨を行った.倫離酒己慮の
もと当事者には直接依頼して記入,回収し,非当事者にも
同様に直接依頼,記入されたものを回収した自意識につ
いては,菅原(1984)の 21項目 7件法から成る自意識尺度を
用し、公的自意識と私的自意識を測定した.当事者のみ,性
同一性障害と治療に関する項目をたずねた
益基 自意識21項目について GID当事者と Non-GID143人
におい因子分析(主因子法・パリマックス回転)を行った
ところ, 2因子に分かれ,項目を検討すると,菅原 (1984)
の因子構造と同ーの結果が得られた.F1は公的自意識, F2
は私的自意識であった.GID群 (FIM,MTF),Non-GID
群 (Female,Male) における自意識の平均値および標準
偏差について, Tab1e.1に示す.
考察 GIDは Non-GIDよりも自意識が高いとし、う結果は
日常生活における周囲からの無理解,同性愛との混同などが
原因と考えられる.牛島 (1999)によれば性同一性障害者
同司固からの偏見や誤解されることにより外働本験をして不
安を増強させている.このような外傷体験をしないよう,自
分が周囲に与える印象や周囲からの評価を考えながら行動す
るため,高い公的自意識得点となったのであろう.また,当
事者は性同~性障害であるか否か考えることが多く,答えを
得ょうと来院するケースも多い(阿15日ら, 2003). このように
当事者は Non-GIDに比べ生活の中で自己に目を向ける傾
向が強く私的自意識が Non-GIDより高くなったのであろう.
そして,公的自意識は MTFより FIMが高かったが,一つ
の原因として年齢が考えられる.オs:='WllI査における FIMは低
年齢が多く,M'四、は高年齢が多かった.周囲を気にし始める
思春期頃は,周りからの評価に最も敏感になる時期であり公
的自意識は上がる.つまり,高年齢の MTFより低年齢のFTM
の公的自意識得点が上がったといえる.さらに,治療段階に
ついても言及できる.MTFは身1柏句加療を行っており,女性
的併観を獲得し性自認に近づきつつあるが, FIMは身榊句加
療に至っているケースが少ないことからも,身榊句外観が性
自認と合致しておらず,人からの見られ方に過敏になってい
るのであろう.また, MTFに比べて FIMは幼少期から性別
に違和感を抱いている,いわゆる中核群であるケースが多い
との報告もあり(中塚ら, 2003),MTFに比べ早期より周囲
の目や言刊簡を気にし始めると考えられる.一方で,支持され
なかった私的自意識は,自己内省することであり,個人差が
影響しやすいものと考えられる.また, FIM.MTFともに,
今の自分や今後の治療方針など, GIDに関する朝丙を常に考
えており,両者に差がみられない結果となったと推察できる.
主要引用参考文献
菅原健介 1984 自意識尺度(self-∞nsciousnessscale)日
本語版作成の試み心理学研究, 55,184-188.
(ながさかのぼる・いとう たけひこ)
Tab,le.1 GID伺'M.MTF),Non-GID(民male・陥1e)における自意識の平均値と標準偏差
FTM MTF Female 地 1e 多重比較@也晶) GID(71名) Non-GID(72名)
(34名) (37名) (42名) (30名) 伺'M+阻明(Female+刷 e)
公的自意識 5.71 4.80 4.70 4.04 FIM>MTF, Female,Male 5.23(1.32) > 4.43(.99)
(1.34) (1.14) (.73) (1.17) .F(3,13百戸12.634明 a141F4.159叩
私的自意識 5.75 5.30 4.83 4.25 FIM>Female,Male 5.52(.78) > 4.59(.94)
(0.69) (.08) (.62) (1.17) FIM,MTF, Female>Male al4lF6.442出
R主139F19.659出
安**p<.001
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