1. RubyWorld Conference 2012
松江市役所における
アジャイル開発の取り組み
～ 集計･分析･推計システムの紹介と
見えてきた課題 ～
2012.11.8
株式会社テクノプロジェクト
藤見 昌延

2. はじめに
システムの紹介
事業の背景
システムの概要
長期プロジェクトにおけるアジャイルへの挑戦
イテレーションによる実装
ウォーターフォールの併用
プロジェクトの過程で見えてきた課題
ドキュメントの必要性
コスト可視化の重要性
アジャイル手法自体に言及するものではなく
特に長期に及ぶ行政情報システム開発の際に
こうした開発手法を用いることでの効果と課題に着目
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3. 事業の背景
統計数値活用による業務遂行の必要性の高まりから
2007.11 「統計情報データベース」を整備しインターネットで公開
中国管内の市役所では初の取り組み
機構改革・・・統計専門監の設置
2010.4 市長：「統計専門監を設置して、データに基づいた施策
展開をやっていきたい。」
新行政情報システムの整備に着手
2010.8 基幹システムのダウンサイジングにより、業務データの
収集が一層容易に
機構改革・・・政策企画課内に政策統計室を新設
2012.4 市長：「統計データの政策への活用ということをさらに
充実をさせていきたい。」
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4. 事業の背景
統計データの
政策活用
基幹システムの 職員ノウハウの
ダウンサイジング 形式知化
【 政策統計システム 】
職員自らが、「必要な時に」「必要な情報を」「必要な形式で」入手し
集計・分析・推計により経年推移や将来動向を把握するための仕組み
Ruby City MATSUE
プロジェクト
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5. 政策統計システムの全体像
住民
新行政情報システム
（基幹業務システム群）
現状分析
･･･ 政策立案
住民記録 税 福祉 等
インターネット
職員
職員
データの連携 集計・経年推移 統計情報DB公開
データの加工 将来推計 CMS
データの蓄積 グラフ化/CSV化 稟議書作成
(1)情報収集機能 (2)情報活用機能 (3)情報公開機能
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6. 政策統計システムの機能
(1)情報収集機能
【特徴】
基幹業務システム、外部機関システム、各課所有データなど、様々な発生源
から大量のデータを収集し、データベースに蓄積する。
住民記録 国勢調査 ・・・ 発生源となる業務数：20
市税 収納
必要項目の抽出
福祉 保健
DB 個人情報の隠蔽
データ間の関連付け
年金 検診
幼保 観光 ・・・
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7. 政策統計システムの機能
(2)情報活用機能
【特徴】
地域別、年齢別等の切り口でデータを抽出し、経年推移による現状把握や、
将来推計による施策シミュレーションを行う。
経年推移分析の一例 将来推計の一例
人口、世帯数 国勢調査結果・人口
社会動態（出生/死亡/転入出） 国保 加入者/医療費/給付費
検診受診状況 集計の切り口
幼稚園、保育園、小中学校の
公民館区別、年齢別、性別
児童生徒数
検診種別、観光施設 など
国保 加入者/医療費/給付費
観光客 推計手法
コーホート変化率法
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8. 政策統計システムの機能
(3)情報公開機能
【特徴】
統計情報（統計データ/統計関連図書）公開用のCMSで、従来使用していた
システムの改善要望を反映した。
管理機能 公開機能
コンテンツ編集 検索・表示
（統計データ/統計関連図書） （統計データ/統計関連図書）
フォルダ管理
ページ管理
稟議書作成
「島根県CMS」をベースに
カスタマイズを実施
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9. 政策統計システムの機能
Apache Web Server Apache Web Server
Application 島根県CMS + customize
Ruby on Rails 3.0.11 Ruby on Rails
MySQL
PostgreSQL
5.0
Ruby 1.9.2 Ruby
Linux(RHEL5.6) Linux
(2)情報活用機能 (3)情報公開機能
テクノプロジェクト ネットワーク応用通信研究所
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10. プロジェクトスタート時の状況
情報公開機能
出来上がりイメージを
既存のシステム(CMS)が存在 共有しやすく、
機能的な改善要望事項が具体的 すぐにイテレーションによる
実装が可能
情報活用機能
どんな情報を、どんな形で 業務や機能の幅が広く、
活用するか未知数 要求分析・要件定義が必要な
機能的な要求事項が具体化されて ことから、ウォータフォール
いない 手法を併用
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11. 「情報公開機能」に対する開発のアプローチ
2011 2012
8 9 10 11 12 1 2 3
デ
現 実装1-2 ー
状 実装1 タ
修正
把 移
握 行
・ 実装2 ・
改 マ
善 ニ
事 実装3-4 ュ
実装3
項 修正 ア
整 ル
理 整
実装4 備
ページ管理
統計データ管理
公開側機能
統計関連図書の管理 その他機能
起案・承認 要望対応
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12. 開発アプローチによる効果
情報公開機能
出来上がりイメージを
既存のシステム(CMS)が存在 共有しやすく、
機能的な改善要望事項が具体的 すぐにイテレーションによる
実装が可能
仕様確認 → 実装 → 実機レビュー → 修正 の
プロセスにより要求機能実現とUI向上が図れた
住民向け情報公開サイトのリニューアル
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13. ［公開サイト］ http://ntoukei.city.matsue.shimane.jp/
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14. プロジェクトスタート時の状況
情報公開機能
出来上がりイメージを
既存のシステム(CMS)が存在 共有しやすく、
機能的な改善要望事項が具体的 すぐにイテレーションによる
実装が可能
情報活用機能
どんな情報を、どんな形で 業務や機能の幅が広く、
活用するか未知数 要求分析・要件定義が必要な
機能的な要求事項が具体化されて ことから、ウォータフォール
いない 手法を併用
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15. 「情報活用機能」に対する開発のアプローチ
2010 2011 2012
10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 …
★仕様凍結 ★納品
（ 25課
プ
ト ロ 運
ッ 各課 用
ト ヒアリング
プ タ （
レ イ 仮
ビ ピ ウォーターフォールによる全体工程計画 稼
ュ ン 働
ー グ 要件 総合 ）
） 基本設計 実装
定義 試験
イテレーションによる機能実装計画
約20業務 実装1
約50機能 …
実装X
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16. 「情報活用機能」に対する開発のアプローチ
2010 2011 2012
10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 …
★仕様凍結 ★納品
課題① ドキュメント（設計書）の必要性
（ プ
ト ロ 運
ッ 各課 用
ト 25課
プ ヒアリング （
タ
レ イ 仮
ビ ピ ウォーターフォールによる全体工程の進行 稼
ュ ン 働
ー グ 要件 総合 ）
） 基本設計 実装
定義 試験
課題② イテレーションによる機能実装計画
要求実現に向けた 実装1
約20業務
コストの可視化
…
約50機能
実装X
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17. 課題① ドキュメントの必要性
行政機関の発注という性格上、ドキュメントを成果品とする納品が必要
仕様凍結においても、同様にドキュメントでの合意
長期安定運用の観点でも、設計ドキュメントは重要な位置づけ
業務範囲・機能範囲が幅広く、ドキュメント作成に多大な労力
実装による変更を、設計ドキュメントに反映させる作業も発生
2011 2012
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
★仕様凍結
ドキュメントの作成と修正に要した期間
各課
ヒアリング
スケジュールと
要件 コストへの影響
基本設計
定義
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18. 課題② 要求実現に向けたコストの可視化
ヒアリング、要件定義、基本設計で予定以上の期間・工数を消化
バックヤードで、業務ノウハウを有するSEの活動コストが必要
ドキュメントに係る負担が増加（作成・レビュー・修正）
十分なイテレーションを実施するための期間が圧縮
要件の追加や変更に対応するための工数が減少
2011 2012
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
★仕様凍結
スケジュールとコストの制約
各課 実装1
ヒアリング 実装2
・・・
実装X
機能に対する
要件 満足度に影響
基本設計
定義
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19. 課題に対する取り組み
ドキュメントにより仕様と工程を プロトタイピング、イテレーション
マネジメントする手法 といった実装手法
スケジュールとコストの制約下での 機能や要望を最大限に反映
プロジェクト運営 させることでの満足度向上
両立には相応の負担（既知）
その影響が顕著に
長期におよぶ開発プロジェクト あらわれた
広い業務範囲をカバーするシステム
発注者・受注者 双方の取り組み
計画と実装の分離 予実コストの 『アジャイル』の
実装の分割発注 指標化・基準化 定義と共有
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20. 『アジャイル』の定義と共有
曖昧なイメージ プロジェクトを取り巻く
都合のよい理解・解釈 環境は多種多様
設計書は 業種や業務の
ニーズは 不要 要求スキルの 特性
納品物は
何でも吸収 範囲や水準 開発規模
曖昧
Ruby=Agile? 開発体制
プロジェクト期間
プロジェクトの環境や特性に応じ
計画段階でプロジェクトの
『アジャイル』を定義し共有
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21. 行政機関におけるアジャイルプロセス
1年以上の開発期間や年度跨ぎの契約期間 計画段階で共有すべき
成果物（設計図書等）の納入と検査 アジャイルプロセス
既存システム連携や複数業務横断の要件
機能、画面、規模感の目安
イテレーション単位、数量、反復回数
計画段階で
時期、工程、期間ごとの予定コスト 概略要件の
制度施行、組織変更などの外的要因 合意形成が必要
予定コストの積算根拠
実績コストの計測基準 お客様満足度の
イテレーションのマイルストーン 向上にむけ
ドキュメントの必要水準、必要時期 明確化が重要
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22. 今後の取り組みと期待
行政機関の予算、執行、検査といった仕組み
行政発注の仕組みを前提としたベンダーのマネジメントスタイル
試行錯誤を続けるアジャイル開発プロセス
準委任型や派遣型の契約によりアジャイルを推進することは可能だが
行政分野での実現性は限定的
発注者・受注者双方が、請負型契約においても
従来の型に捉われないスタイルに数多くチャレンジ
『行政機関におけるアジャイルプロセス』がますます重要に
アジャイル エンジニアの
市場の活性化
効果の最大化 拡大
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23. ご清聴ありがとうございました
*記載されている会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です。
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