入社半年での開発ストーリー - 千人規模の顔認証受付サービスを 1ヶ月で作った話 -

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入社半年での開発ストーリー
- 千人規模の顔認証受付サービスを
1ヶ月で作った話 -
アマゾンウェブサービスジャパン株式会社
アソシエイトソリューションアーキテクト
針原佳貴
2019.02.14 [14-C-5] 14:10 – 14:55

これは5人の “新卒” SA のストーリーです
• 2018年4月アマゾンウェブサービス (AWS) Japan に入社
• 新卒と言っても全員大学院卒 (5人に3人は博士持ち)
Name:
Like:
2
針原飯塚奥野石見宮本
ドラムガジェット宇宙テニス動画

Introduction
入社からプロジェクト開始まで
3

新卒のための技術研修
4
Tech-U という教育プログラム洗練された学習コース数多くのサービスを短期間で学ぶ

しばらく経つと…
5
元々決められたことをやるのがすごく苦手なので、
物足りなくなって、何か新しいことを始めたいと思うようになった

6月に入って、ある時急に
6
マネージャーが5人を
お昼ご飯に誘ってくれた
「6月末に1週間のシアトル出張ね」
見どころは
Starbucks とか!?

というわけで、シアトルへ
7
Photo by MILKOVÍ on Unsplash

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Amazon GO

Just Walk Out
9

日本未発売の AWS DeepLens も
10
AWS IoT Greengrass
Lambda
function
機器学習モデル
動画
ストリーミング出力

Capstone: まとめプロジェクト
11
Photo by Jeremy Bishop on Unsplash

Capstone Project
Simple Location Finder
12

まずはじめに
• 2 pager と呼ばれるドキュメントを書いた
• PR/FAQ (後述) の短縮版
• 目的、アーキテクチャ、予算など
• 今回は要望の多かったオフィスでの人探しサービスを顔認識で
• 新オフィスに移転
• フリーアドレスになったので「誰がどこにいるか分かるサービスが欲しい」と要望が
13

Simple Location Finder (Architecture)
14
SAs
DeviceService
bucket with
objects
Lambda
function
Amazon
Rekognition
RecognitionService
Amazon
API Gateway
DataService Frontend
Amazon
DynamoDB
Office/17F/West
Amazon
DynamoDB
Data lake Web Hosting
Vue.js
Amazon
Cognito
SAs
Office/17F/North
SAs
Office/17F/East

小規模のテスト運用
• 5段階のアンケートでも好評 (サンプル7人)
15
気に入った
⭐4.86
抵抗感問題ない
⭐4.86
人に勧めたい
⭐4.43

9月12日頃…
• 10月下旬にある Amazon/AWS 合同「All Hands」ミーティングの相談
• イベントに参加する人に Wow! と思ってもらえるような体験を提供したい
• 「このプロジェクト、興味ありますか？」と言われ、やりたいと即答
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Benjamin Child Unsplash

Face Recognition Gate
10月の社内イベントに向けて
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Invent and Simplify
18
これを会場でやって
本当に便利かは謎と思った
イベントの受付を
顔認証で
たしかに顔認識での人探しは
Invent and Simplify

でも冷静に考えると
19
イベントまで
あと1ヶ月しかない
厳しいセキュリティ基準
(セキュリティはAWS の最優先事項)
5人で作れる？
ちゃんとした運用ってやったことない

まずはじめに考えたのは
• PR/FAQ
• Press Release + 質問集
• インターナルのプレスリリースで価値を明確に
定義
• 例 (AmazonGuardDutyの Press release)
• タイトル
• 日付
• 本文
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PR/FAQ (要約)
Press Release (PR)
• 10月の社内イベント向けのサービス。素早く・簡単に入場できる
• 顔認証と、社員証の所持 (目視) を合わせた2要素認証
• 事前登録は社員証の写真で行える
FAQ
• 誰が作っているか？
• 5人のTech-U メンバー
• データは保存されるか？
• 顔写真は保存されません
• イベント後のデータの取扱いは？
• 証跡管理のための運用記録だけ残し、残りのデータは AWS アカウントごと削除
• 他の手段で入場できるか？
• 社員証による入場も可
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Design
入場ゲートの全体像とデバイスの選定
22

Amazon Rekognition
- Deep Learning を用いた画像分析 API サービス
- SearchFacesByImage API で、送った画像に似た登録済みの FaceID を検索する機能を提
供。
- 我々が試した時は応答時間は RTT で 500 ms ほど (注: 環境による) だったので、
Rekognition に送ればイベント受付でリアルタイムの認証が実現可能
23
Amazon Rekognition

Rekognition が簡単に使えるとはいえ
24
そのまま画像を送りつけると
結構遅い (1秒ぐらいかかる)
先に顔の周りを切り取って
Rekognition に送る
顔検出は
学習済みのモデルを呼び出し

受付で用いるデバイス
- 撮影・切出し・API 呼出・結果表示
- ラップトップ
- ディスプレイ (ユーザー確認用)
- USB カメラ
- デスクライトで明るさを補正
25

会場配置
26

実際に歩いて確かめる
27
待ち行列先頭
WAIT STOP
Camera
50 cm180 cm
移動するだけで
2秒ぐらいかかる!

通過時間の試算
- Rekognition 1試行 500 ms
- 登録済みの人が 1秒 (2回) 試せば 99% の確率で通るよう閾値 (= 91) を設定
- 注1: Face Model のバージョンによって値は変わります。(当時の v3 での結果をもとに算定)
- 注2: 期間が限られていたため少ないサンプル数での結果です。環境・要件によって適切な閾値は変
化します。
28
待ち行列先頭
WAIT STOP

事前のテスト
• UI/UX の重要性
• 「認識中」を表示
• 認証失敗の一番の原因は登録もれ
• 今回も概ね好評
29

Our Architecture
Secure, Scalable Serverless AI Application
30

Display
AWS Cloud
31
Overall Architecture
Edge Device
NG OK
受付
スタッフ
User
Name
画像
結果
Lambda
function
Amazon DynamoDB
Amazon Rekognition
Amazon CloudWatch
AWS CloudTrail
写真
+ 名前
S3
Bucket
S3 BucketAPI
操作履歴 Archive
AWS Cloud
USB カメラ
Temporary
security
credential
FaceID

Display
AWS Cloud
32
Overall Architecture (登録)
Edge Device
NG OK
受付
スタッフ
User
Name
画像
結果
Amazon CloudWatch
AWS CloudTrail
S3 BucketAPI
AWS Cloud
USB カメラ
Temporary
security
credential
FaceID Lambda
function
Amazon DynamoDB
Amazon Rekognition
写真
+ 名前
S3
Bucket

Amazon CloudWatch
AWS CloudTrail
AWS Cloud
33
Overall Architecture (認証)
S3 BucketAPI
AWS Cloud
Lambda
function
S3
Bucket
Display
Edge Device
NG OK
受付
スタッフ
User
Name
画像
結果
USB カメラ
Temporary
security
credential
FaceID
Amazon DynamoDB
Amazon Rekognition

USB カメラ
受付
スタッフ
Display
AWS Cloud
34
Overall Architecture (ログ)
Edge Device
NG OK
User
Name
画像
結果
Lambda
function
Amazon DynamoDB
Amazon Rekognition
S3
Bucket
FaceID
Amazon CloudWatch
AWS CloudTrail
S3 BucketAPI
AWS Cloud
Temporary
security
credential

© 2019, Amazon Web Services, Inc. or its affiliates.All rights reserved. 35
Overall Architecture (イベント終了後)
Archive
AWS Cloud

Display
AWS Cloud
36
Overall Architecture
Edge Device
NG OK
受付
スタッフ
User
Name
画像
結果
Lambda
function
Amazon DynamoDB
Amazon Rekognition
Amazon CloudWatch
AWS CloudTrail
S3
Bucket
S3 BucketAPI
AWS Cloud
USB カメラ
Temporary
security
credential
FaceID
写真
+ 名前

Demo
DemoVideo
37

ユーザーへの表示
38

Guideline
Security and Compliance
39

複数 AWS アカウントの利用
Develop アカウント
• IAM ユーザー
• Dev power user (開発)
• IAM ロール
• Client role (デバイス用)
• Admin role (環境構築)
• Rekognition
• 公開データセット + 5人
• CodeCommit レポジトリ
Production アカウント
• IAM ロール
• Client role
• Admin role
• Rekognition
• 実データ
40
Staging アカウント
• IAM ロール
• Client role
• Admin role
• Rekognition
• 公開データセット + 5人

セキュリティ上の考慮点
41
一時的な認証情報を利用
オフィスネットワークからの IP 制限
(VPN 接続経由)
顔認証のみではなく
社員証の所持と合わせた
2要素認証
API エンドポイントを
自前で作らない

その他考慮事項
• S3, DynamoDB はサーバーサイド暗号化
• TTL を指定し、一定時間経つと自動で削除
• 登録用の写真・認証用の画像は保存しない
• Rekognition image への入力画像は学習データとして用いられない (2018.10.17 時点)
• サービスチーム (Rekognition 開発チーム) に確認
• 東京リージョンのみを使用
• データが東京リージョンにのみ流れる
• RekognitionAPI のレスポンス時間を最小化
• サーバーレスによる高い可用性
• 東京リージョンが止まるような災害時はイベントがそもそも開催されない
42

当日設置した看板
• 登録は任意
• 一度登録しても画像・情報は
削除可能
• 使いたくなければ当日その場でも
社員証での入場を選択できる
43
顔認証ゲートでは
撮影を行います
• 撮影されることを望まない方は
バッジゲートにお並びください
• 撮影された画像は、顔認証の目的にのみ
使用されます
• 撮影された画像は、ゲート通過後速やか
に削除されます
顔認証
ゲート
バッジ
ゲート
バッジ
ゲート
バッジをご準備の上
列にお並びください

Results
実際に運用してみた結果
44

Rekognition レスポンス時間
- ネットワーク環境に大きく依存
- オフィス ~ 500 ms
- ポケットWi-Fi ~ 700 ms
- 幅 120 px へリサイズすると
精度・速度のバランスが最適
45
(Order=2)

ゲート通過時間
- 目標: 2秒 / 人
- 実測: 3.38 秒 / 人
- ピーク時間帯の中央値
- 設計値に満たなかったのには様々な要因:
- ネットワーク環境 (単一リクエスト時間増)
- 現地の照明環境 (リトライ増)
- 類似度分布の変化 (成功確率減)
- メガネなど
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メガネあり / なし
閾値
(Face Model v3)

コスト
47
イベント当日のコストは $20 以下
Rekognition ($15), KMS ($2), CloudTrail ($2), etc…

ユーザーからの評価
48
5つ星のうち 4.53

まとめ
Ending
49

まとめ
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Working Backwards が
アイディアを発展させる上での肝
AWS を使うと
新しいアイディアを思いついてから
短時間でサービス構築できる
個人のスキルも大事だけど
何より仲間との信頼関係が大事

ありがとうございました！
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