硬式野球部員へのアンケートと部長へのヒアリングを通じて、マネジメントの在り方、目的に向かって努力できるチームづくりの方向性を探った。目を背けがちな「自ら問題を発見し、解決する」という課題や「学年に関係なく意見を言い合えるチーム作り」の重要性などを確認でき、「使い走り」に終わらないマネージャーの役割を明確にできた。

1. マネージャーの役割と貢献
～大学野球部と社会人野球をめぐって～
2119069 保浦 遼麿
主査：櫛引 素夫
副査：佐藤 淳

2. 論文の目的・方法
• 本研究の目的は、筆者自らの体験をベースに、大学の部活動に
おけるマネージャーの役割の特徴および課題、さらには実社会
におけるマネジメントの在り方について検討し、より適切な部
活動の展開に何らかの貢献をすることである。
• 研究は、マネージャーに関する先行研究の検討、青森大学硬式
野球部部員へのアンケート、ならびに青森大学硬式野球部監督
への聞き取り調査を通じて行った。

3. 結果①
• 筆者の経験で最も大変だと感じていた「自ら問題を発見し、解
決する」という課題が重要であると先行研究でも指摘されてい
たが、自分は目を背けてきたことが理解できた。また、「学年
に関係なく意見を言い合えるチーム作り」の重要性などを先行
研究から確認した。
• 選手へのアンケートの結果、選手は自らに直接的な利益がある
事柄への関心が強いことを確認できた。また、マネージャーの
業務は筆者の想像以上に理解しており、感謝の念も抱いている
ことが分かった。

4. 結果②
• さらに、アンケートを通じて、マネージャーの「自ら問題を発
見し、解決」、「全員参加の組織能力」、「独自の優位性につ
なげる」といった本来の役割が明確になった。
• 聞き取り調査によると、学生野球と社会人野球とでマネー
ジャーの業務に大きな違いはない。しかし、教育現場で社会的
に守られながら業務を行う学生マネージャーと、賃金に対する
対価と責任を求められる立場の社会人マネージャーは、大きな
差異があるとの証言があった。

5. 結論
• マネージャーの役割として、選手の要望や直接的な利益を意識
することが重要であり、選手への直接的なサポートがチームへ
の貢献につながる。一方で、マネージャーはチームの使い走り
に甘んじるのではなく、「自ら問題を発見し、解決」、「全員
参加の組織能力」、「独自の優位性につなげる」といった本来
の役割を果たすことによって、チームへの貢献が可能になる。
また、社会人野球のマネージャーとは、業務に大きな差はない
が、責任については大きな差があった。

6. 主要参考文献・資料
• ・新保 利弘（2019）「現場力を高めるためのプログラムオ
フィサーの役割とプロジェクトオフィサーの役割とプロジェク
トマネジメント〜企業への新たな導入〜」、国際P2M学会誌、
１４巻１号、pp.301-319