物流しくみと最新動向【図解】
- 18. 1.8 コンビニエンスストアの物流システム
コンビニエンスストアの物流システムはその出店戦略、 店舗展開と密接な関係があ
ります。大手コンビニエンスストアの多くはドミナント戦略(Dominant Policy)を
もとに出店戦略、店舗展開を行っています。
ドミナント戦略とは高密度集中出店方式のことです。各チェーン店を一定区域内に集
中して出店させるのです。通常、商品は物流センターなどから店頭に届けられます。
店舗と店舗の間隔が近ければ近いほど配送コストを削減することが可能となるという
考えからです。
しかもジャストインタイムで商品を決められた時間に補充する際にも店舗が隣接して
いれば、配送を正確に行うことができます。大手コンビニの多くではPOS(販売時
点情報管理)システムなどが高度に構築され、店頭情報が本部で統括管理されていま
す。
コンビニで売られる弁当や惣菜の流通経路は、毎日の多頻度小口輸送が大前提になり
ます。また卸売業を通さず、メーカーから直接、仕入れて流通経路も可能な限りの短
縮化、圧縮化を図っています。
惣菜メーカーや牛乳メーカー、加工食品メーカーなどのそれぞれの商品は毎日、共同
配送センターに集められます。コンビニエンスストアの物流センターでは配送先の店
舗にあわせて商品が振り分けられます。
- 37. 2-6. QR・ECRシステム
QR(クイック・リスポンス 英語:Quick Response)は1980年代からアメリカ
のアパレル産業で推進されてきたもので、メーカーと卸売業、小売業が協力して、商
品の回転率を高めるシステムです。
QRでは、その名前のように(1)効率的な品揃え、(2)効率的なプロモーション、(3)効
率的な生産・調達、(4)取引ルールの透明化という4つのエリアで改革を追求し、消費
者満足と収益力の強化を狙っています。
EGR (エフィシェント・コンシューマー・リスポンス 英語:Efficient Consumer
Response)も、QRと同様、売れる商品をタイムリーに店頭に補充していくシステ
ムです。
E CRは、日用雑貨品などの低価格化が進むディスカウント・ストアに対抗する戦
略として、やはりアメリカではじまりました。ECRの目的は、「必要な商品を、必
要な時、必要な場所に、必要な量だけ供給すること」です。
いつ、どこで何が必要かといった情報が生産者から販売者まで共有されれば、品切れ
防止だけのために抱えていた在庫は削減できます。食品における廃棄の量も減少させ
ることができます。