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1304ソーシャルファブを考えるために by 公文俊平
- 3. 私の遍歴1
• 1935年生まれ
– 10歳で敗戦:軍国尐年から民主尐年へ
– 20歳で幻滅:
• 55:日本共産党の暴力革命路線自己批判
• 56:スターリンの恐怖政治批判
• 比較:村上春樹(と全共闘)世代:1949年生ま
れ
– 10歳ごろの価値観転換:政治から経済へ
• 60年安保の挫折
– 20歳ごろの幻滅:60年代末の「政治の季節」の終
わり
• 「母」に見守られた「父」への反抗。あっけなく圧殺
された。
• 「新左翼」の内ゲバによる自壊2013/4/24 3
- 4. 私の遍歴2:社会主義から社会システム論へ、
そして情報社会学へ
• 50年代後半:左翼的動物農場への幻滅
– マル経から近経への転向
• 60年代:ソ連経済の現実に幻滅
– 計画経済学/サイバネティクスから一般システム論へ
• 70年代:資源・環境危機の中で経済学にも幻滅
→『社会システム論』78の構想(進化論的アプローチ)
– 複合主体の三基本型
• 共働体~同盟体~統一体(可換体~通過体~依存体)
– 相互行為の基本型と社会ゲーム
• 交渉と操縦:脅迫・強制~取引・搾取~説得・誘導
• 社会ゲーム:威のゲーム→富のゲーム→智のゲーム
• 80~90年代:情報化への関心、『ネットワーク社会』88、『情報文
明論』94
• 00年代:『文明の進化と情報化』01、『情報社会学序説』04
– ガーシシェンフェルドとの出会い
2013/4/24 4
- 13. 近代化論と日本社会論
• 戦後日本での二つの問い:
– 日本は本当に近代/西欧化したのか? Yes and No.
– なぜ非西欧では日本だけが近代化できたのか?
• 梅棹:文明の生態史観:並行近代化論
• 岡田:世界史の誕生:モンゴル世界帝国と広
義近代化論→梅棹のみた世界は「広義近代」
• 村上/公文/佐藤:イエ社会論
– 実は日本の近代化も10世紀ごろから開始
– 西欧の「封建化」も広義近代化の出現局面
• 川勝:文明の海洋史観
2013/4/24 13
- 16. 16
13世紀モンゴル世界帝国の発展
1. 1205-1227 西夏の征服
2. 1209 ウィグル王国の投降
3. 1210-1234金帝国の征服
4. 1218 カラ・キタイの征服
(カラ・キタイ帝国自体は、亡命していたナイマン王子クチュル
クの反乱で1211に滅亡していた。クチュルクが皇帝を名乗ってい
た)
5. 1219-1226 イスラム世界のセルジュク帝国の後のホラズム帝国の征
服。これで北インドに達した
6. 1234-1241 ヨーロッパ(キプチャク草原)征服作戦。オゴディ・ハー
ンの死で中止
7. 1253-1260 西アジア征服作戦。アッバース朝は征服したが、シリア、
エジプトは失敗
8. 1253-1276 華中・華南征服作戦。1276に南宋を滅ぼす。その他、タ
イ、高麗、チベットなど
2013/4/24
- 17. 17
モンゴルの遺産:現在の諸国民の
姿を作る
インド人:ムガル(モンゴル)帝国→インド・パキスタン
イラン人:サファヴィー朝
中国人:明朝(制度はすべてモンゴル式)、朝鮮王国
儒教も、道教の術語だけ置き換えた新儒学(宋学、朱子学として大成)を元朝が保護したおかげで、
明朝で公認された。(仏教は845の大迫害以後、傍流化)
清朝は1616独立して後金国をたて、1635内モンゴルを征服。元朝を投降させ、1636モンゴル帝国
を引き継いだ清朝を建国。清朝は種族ごとに別々の法典を適用して統治。第一公用語はマンジュ
語。中国は、新帝国の一植民地にすぎず。清朝の統治者は中国人には「皇帝」として、他種族に
は「ハーン」としてふるまう。皇帝は冬を北京でキャンプし、夏は内モンゴルの承徳で移動式の
オルドに住んですごした。229-30
1911の辛亥革命の後に生まれた中華民国は、中国だけの共和国。外モンゴルとチベットは別途独
立し、相互承認した。満州はロシアと日本の勢力下にあって独立できず。内モンゴルは中国人の
入植が盛んで、これも独立できず。
1949に成立した中華人民共和国は、外モンゴル以外の清朝の領土をすべて支配。チベットも軍事
力で併合。つまり、現中国もモンゴル帝国の継承国家。
ロシア人:500年間、黄金のオルドのハーン達に臣従していたルーシは、その間に文化、軍事、
行政のすべてがほぼ完全にモンゴル化。これが現在のロシア文明の基礎を作る。その後もクリミ
アの黄金のオルドへの臣従は長く続いた。やっと独立した最初のツァーリがピョートル一世。つ
まり、ロシアは18世紀まではモンゴル文明の一環。
トルコ人:オスマン帝国は、イル・ハーン国の後継。モンゴルが目指した征服事業をすべて達成。
エジプトを征服し,東ローマ帝国を滅ぼした。18世紀に弱体化し、第一次大戦で解体。アナトリ
アだけが残り、これをケマル・アタテュルクがトルコ共和国に再編。「トルコ民族」の観念を人
為的に作った。
資本主義経済(1275のモンゴル紙幣が嚆矢)
2013/4/24
- 19. 時間
出 現
← 広 義 の 近 代 化→
成 熟
突 破
指
標
1000 20001500
1250 22501750
出
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←狭義の近代化→
2500
← 超宗教文
明の出現 →
2013/4/24 19
- 33. 時間
出 現
← 広 義 の 近 代 化→
成 熟
突 破
指
標
1000 20001500
1250 22501750
出
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←狭義の近代化→
2500
← 超宗教文
明の出現 →
2013/4/24 33
- 34. 図2-13:日欧近代文明の邂逅
出 現 成 熟突 破
10-15c 21c-16-20c
西欧封建制
日本原イエ社
会
西欧近代社会
日本大イエ社会
西欧化
第一次邂
逅:Gの邂逅
コエミュレー
ション
第二次邂逅:
I の邂逅
独立に出現
2013/4/24 34
- 39. 第一の波(軍事化) 第二の波(産業化) 第三の波(情報化)
出現の契機 封建化 商業化 人文化
核パワー 軍事力 産業力 情報力
核主体 主権国家:政治家 産業企業:実業家 情報智業:智業家
メンバー 臣民(国民) 従業員(市民) 交流・共働者(知民)
基本権 主権(公権) 財産権(私権) 情報権(共権)
活動空間 地政学的空間 商業的空間 ネットワーク空間
主要産物 領土・領民 商品 通識・通有物
広域社会システム 国際社会 世界市場 地球智場
社会ゲーム 威のゲーム 富のゲーム 智のゲーム
ゲーム特性 負・零和 零・正和 正和
ゲームの理念 平和 繁栄 共愉
秩序 政治秩序(学) 経済秩序(学) 社会秩序(学)
秩序特性 集中・集権的 分散・分権的 超分散・分権的
補完権 人権 環境権 身体権
近代化の三つの波:総括
2013/4/24 39
- 48. 21世紀前半の世界:
第三次産業革命と第一次情報革命の同時進行
• 第三次産業革命の新技術パラダイム
– 自律分散小規模、ネットワーク、
– 革新速度の急増(ムーア法則)
– シミュレーション技術、ソーシャルファブ、創種ラボ
• 第一次情報革命の社会パラダイム:ネット個人主義社会
– トリプル革命
• ソーシャルネットワーク
• インターネット
• モバイルネットワーク
• モバイル・コンテンツよりもモバイル・ライフ
– ソーシャルメディアに囲まれた生活:新コミュニケーション
– トリプル革命環境が生みだした「破壊的技術」効果:
新モデル・ビジネス(売買、決済、金融、送金等)の普遍的プラットフォームにも
• モバイル・ライフよりもスマート・ライフ:新楽観主義
– 第一次情報革命を支える情報リテラシー
• 注意、吟味、参加、共働、ネットスマート
– 知(科学技術)への信頼回復
– 地球問題の解決:戦争、人口、貧困、資源、気候
2013/4/24 48