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青木和人「交通事故統計情報オープンデータを用いた京都府内のホットスポット分析」

  1. 1 交通事故統計情報 オープンデータを用いた 京都府内のホットスポット分析 青木和人 あおき地理情報システム研究所 地理情報システム学会 第31回学術研究発表大会 於:沖縄産業支援センター 2022.10.30
  2. 2016年12月7日 「官民データ活用推進基本法」 成立 政府だけでなく地方自治体もオープンデータを実施 2022年1月12日時点の取組率は約68%(1,223/1,788自治体) 日常の行政実務の詳細データを公開するopen by dafaultのオ ープンデータ公開事例は少ない. このような詳細な行政データは,これまで行政機関に関わる一 部の関係者や大学等の研究機関しか入手困難だった。 open by dafaultによる詳細な行政オープンデータは,市民によ るアカデミック分野でのシチズンサイエンスの進展にも寄与で きる. 問題の所在
  3. 交通事故統計情報オープンデータ 国のオープンデータ官民ラウンドテーブルでの公開要望に 警察庁が応えて,全国の交通事故の発生箇所や日時等の 詳細な行政情報をオープンデータとして公開する「交通事故 統計情報オープンデータ」2019年,2020年の381,237件の膨 大なデータが公開されている.現在、 2021年も公開された。 1 資料区分 21 道路形状 41 車両形状(当事者A) 2 都道府県コード 22 環状交差点の直径 42 車両形状(当事者B) 3 警察署等コード 23 信号機 43 速度規制(指定のみ)(当事者A) 4 本票番号 24 一時停止規制 標識(当事者A) 44 速度規制(指定のみ)(当事者B) 5 事故内容 25 一時停止規制 表示(当事者A) 45 車両の衝突部位(当事者A) 6 死者数 26 一時停止規制 標識(当事者B) 46 車両の衝突部位(当事者B) 7 負傷者数 27 一時停止規制 表示(当事者B) 47 車両の損壊程度(当事者A) 8 路線コード 28 車道幅員 48 車両の損壊程度(当事者B) 9 上下線 29 道路線形 49 エアバッグの装備(当事者A) 10 地点コード 30 衝突地点 50 エアバッグの装備(当事者B) 11 市区町村コード 31 ゾーン規制 51 サイドエアバッグの装備(当事者A) 12 発生日時 年 32 中央分離帯施設等 52 サイドエアバッグの装備(当事者B) 13 発生日時 月 33 歩車道区分 53 人身損傷程度(当事者A) 14 発生日時 日 34 事故類型 54 人身損傷程度(当事者B) 15 発生日時 時 35 年齢(当事者A) 55 地点 緯度(北緯) 16 発生日時 分 36 年齢(当事者B) 56 地点 経度(東経) 17 昼夜 37 当事者種別(当事者A) 57 曜日(発生年月日) 18 天候 38 当事者種別(当事者B) 58 祝日(発生年月日) 19 地形 39 用途別(当事者A) 20 路面状態 40 用途別(当事者B) 表1.交通事故統計情報オープンデータ項目
  4. 既往研究 本データを加工した北海道でのオープン データ再公開や民間部門での地図化活 用例が進められている. しかし、本オープンデータを活用したアカ デミック分野における既往研究は少ない. 大西 ・藤生(2021) 10)は,本オープンデ ータを利用して,石川県内で発生した歩 行者事故を対象とし,歩行者の年齢区分 毎に法令違反と人的要因を分析している. しかし,都道府県単位での本オープンデ ータに関する研究は未だない. また、シチズンサイエンスの観点からの 研究事例も未だない. 出典:北海道総合政策部次世代社会戦略局DX推進課 (2021)交通事故統計情報のオープンデータ【北海道分】 - 北海道オープンデータポータルサイト https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1794.html(2022年 7月閲覧)
  5. 5 1.3 研究目的 本研究では シチズンサイエンスの視点 から, 交通事故統計情報オープン データを分析し, 市区町村別の集計や 地図化・空間分析により, 京都府内を対象とした 交通事故発生状況の集計と 分布を検証する 図5.交通事故発生箇所
  6. 2.1 使用するデータと研究対象地域 本オープンデータ2020年の京都府内事故4,118件 都道府県別1位は茨城県25,642,最少47位は島根県 737件,47都道府県の平均は6,577件,中央値3,262件, 標準偏差7,352件. 京都府は18位の4,118件であり,順位や発生件数から, 標準的な日本の事故発生状況を示している. また、 シチズンサイエンスの観点から,地図化・分析には、 オープンソースソフトウエアQGIS v3.22.10を使用した.
  7. 7 2.1 京都府 市区町村別 事故発生数 京都府内4,118件の36市区町村別の基本統計量は, 平均114,中央値76,標準偏差117 上位5市区で京都府全体の41.164% 概ね人口規模に比例している. 図1.京都府内市区町村別の事故発生件数と1000人あたり件数 490 343 316 279 267 247 211 200 187 181 156 124 118 115 105 95 94 73 67 61 59 41 41 37 31 27 18 17 15 9 6 4 3 1 1 1.76 1.70 2.11 1.55 2.62 2.24 1.56 2.68 1.13 2.19 1.33 8.13 1.37 1.37 1.31 2.60 1.22 1.01 1.04 1.18 0.83 0.73 1.29 1.30 0.73 0.86 1.69 1.39 1.01 0.75 1.22 0.67 3.50 0.86 0.42 0.52 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 京 都 市 伏 見 区 京 都 市 右 京 区 京 都 市 西 京 区 宇 治 市 京 都 市 南 区 京 都 市 中 京 区 京 都 市 山 科 区 城 陽 市 京 都 市 左 京 区 京 都 市 下 京 区 京 都 市 北 区 久 御 山 町 亀 岡 市 京 都 市 上 京 区 舞 鶴 市 京 都 市 東 山 区 福 知 山 市 木 津 川 市 八 幡 市 向 日 市 京 田 辺 市 長 岡 京 市 綾 部 市 南 丹 市 京 丹 後 市 精 華 町 大 山 崎 町 京 丹 波 町 宮 津 市 与 謝 野 町 井 手 町 宇 治 田 原 町 笠 置 町 和 束 町 南 山 城 村 伊 根 町 事故件数 1000人 あたり件数
  8. 8 2.1 市区町村別1000人あたり事故発生数 1000人あたり事故件数は京都府全体で1.60件 1位は久御山町1000人あたり事故件数8.13件突出して高い 交通の結節点、久御山JCTがあり、製造業数が多く、製造物 の運輸にかかる多量の交通量が原因であると考えられる. 図1.京都府内市区町村別の事故発生件数と1000人あたり件数 490 343 316 279 267 247 211 200 187 181 156 124 118 115 105 95 94 73 67 61 59 41 41 37 31 27 18 17 15 9 6 4 3 1 1 1.76 1.70 2.11 1.55 2.62 2.24 1.56 2.68 1.13 2.19 1.33 8.13 1.37 1.37 1.31 2.60 1.22 1.01 1.04 1.18 0.83 0.73 1.29 1.30 0.73 0.86 1.69 1.39 1.01 0.75 1.22 0.67 3.50 0.86 0.42 0.52 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 京 都 市 伏 見 区 京 都 市 右 京 区 京 都 市 西 京 区 宇 治 市 京 都 市 南 区 京 都 市 中 京 区 京 都 市 山 科 区 城 陽 市 京 都 市 左 京 区 京 都 市 下 京 区 京 都 市 北 区 久 御 山 町 亀 岡 市 京 都 市 上 京 区 舞 鶴 市 京 都 市 東 山 区 福 知 山 市 木 津 川 市 八 幡 市 向 日 市 京 田 辺 市 長 岡 京 市 綾 部 市 南 丹 市 京 丹 後 市 精 華 町 大 山 崎 町 京 丹 波 町 宮 津 市 与 謝 野 町 井 手 町 宇 治 田 原 町 笠 置 町 和 束 町 南 山 城 村 伊 根 町 事故件数 1000人 あたり件数
  9. 突出して件数の高い久御山町 南部の2位以下は薄い赤色 逆に北部、南部に白色 京都府中部は一定の事故件数が ある. 人口140万人を擁する京都市や京 都府南部は,人口に比較して, 1000人あたり事故件数が少ない 公共交通機関での移動が多いた めであると推察される. 2.1 市区町村別1000人あたり事故発生数 図2.1000人あたり事故件数
  10. 10 2.2 市街地/非市街地発生件数 1.京都市内の交通事故発生場所は、ほぼ市街地での発生 2.伏見区や西京区、宇治市、久御山町、木津川市など京都府南部 福知山市、舞鶴市の中部のベッドタウンは,非市街地も多い 3.人口が少なく,過疎化が進展している市区町村では市街地,非市街 地を問わず交通事故発生件数自体が少ない 図4.市区町村別の市街地/非市街地発生件数 145 115 172 247 90 181 247 323 414 199 266 49 75 17 237 8 57 55 55 39 28 6 4 20 23 53 0 0 0 0 8 0 0 0 0 11 0 15 0 5 0 20 20 76 12 50 45 30 24 42 9 61 78 12 4 34 33 31 37 59 4 71 9 6 4 3 23 1 18 1 15 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 京 都 市 北 区 京 都 市 上 京 区 京 都 市 左 京 区 京 都 市 中 京 区 京 都 市 東 山 区 京 都 市 下 京 区 京 都 市 南 区 京 都 市 右 京 区 京 都 市 伏 見 区 京 都 市 山 科 区 京 都 市 西 京 区 福 知 山 市 舞 鶴 市 綾 部 市 宇 治 市 宮 津 市 亀 岡 市 城 陽 市 向 日 市 長 岡 京 市 八 幡 市 京 田 辺 市 京 丹 後 市 南 丹 市 木 津 川 市 大 山 崎 町 久 御 山 町 井 手 町 宇 治 田 原 町 笠 置 町 和 束 町 精 華 町 南 山 城 村 京 丹 波 町 伊 根 町 与 謝 野 町 市街地 非市街地
  11. 1.京都市内の交通事故発生場所 は、ほぼ市街地での発生 2.伏見区や西京区、宇治市、久 御山町、木津川市など府南部 福知山市、舞鶴市の府中部のベ ッドタウンは,非市街地も多い 3.人口が少なく,過疎化が進展し ている市区町村では、ほぼ非市街 地で発生 2.2 市街地/非市街地発生件数 図3.市街地発生割合
  12. 人口の集中している京都市とその 南部の京阪神ベッドタウンの都市 である向日市,長岡京市,宇治市, 城陽市,久御山町、最南端の木津 川市に集中 京都府中部では,京都市内から京 都府北部へ続く国道9号線沿いの 亀岡市,京丹波町 京都府北部では福知山市,舞鶴 市の中心部で事故発生箇所が連 なっている. 3.1 京都府内の交通事故発生箇所の点分布 図5.交通事故発生箇所
  13. 京都市,向日市,長岡京市,宇治 市,城陽市,久御山町 国道9号線沿いの亀岡市 木津川市が青色 京都市中心部の中京区において, 最も集中した赤色のホットスポット が確認できる. 3.2京都府内の交通事故発生箇所のホットスポット 図6.交通事故発生箇所のホットスポ ット
  14. カーネル密度推定量最大34.07 京都市中京区の四条蛸薬師通交 差点周辺であった. カーネル密度推定量20~30のホッ トスポット 四条西大路交差点から国道9号線 沿いの五条葛野大路までの800m 国道9号千代原口交差点 3.2 交通事故発生箇所のホットスポット 図8.京都府南部の交通事故発生箇所 のホットスポット
  15. 京都市内都市部は塗りつぶされて 判読できないが, 京都府北部から中部にかけての 国道・地方道の1000m周辺に事故 発生地点が存在している 3.3国道・地方道1000m距離帯バッファと事故発生 地点 図9.国道・地方道1000m範囲と事故 発生地点
  16. 国道・地方道上の事故発生で ある10m以内の事故発生件数 は1103(26.78%),27%. 国道・地方道から10~1000m 以内が71% 国道・地方道に近接する市街 地内道路上での事故発生であ ると考えられる. 1000m以上は99(2.40%)であり, 主要な国道・地方道から離れ た事故発生は2%程度 3.4国道・地方道からの距離帯別に事故発生地点を 空間集計 図10.国道・地方道距離帯別の 事故発生件数 1103, 27% 287, 7% 210, 5% 609, 15% 754, 18% 1056, 26% 99, 2% 10m以内 50m以内 100m以内 250m以内 500m以内 1000m以内 1000m以上
  17. 17 4.まとめ 交通事故統計情報オープンデータを活用し,フリーオープ ンソースGISを使用して,京都府を対象とした市区町村別の 事故発生件数の集計や空間分析 ・人口1000人あたり事故件数久御山町8.13件が突出. ・人口の集中している京都市とその南部の京阪神ベッドタ ウンの都市で事故発生が集中 ・人口が多い京都市各区や長岡京市,大山崎町,宇治市, 向日市,舞鶴市の市街地発生割合が高い ・京都市中京区四条河原町交差点から三条河原町交差点に かけての河原町通りに最大ホットスポットが見られた →市民も参加可能で →公開されたデータによる第3者の検証可能性の高い オープンデータによる地理情報シチズンサイエンス研究
  18. 18 4.今後の課題 ・よりミクロレベルの交通事故多発地域を絞 った空間分析により,その要因を明らかにし て,具体的な事故防止活動の取組につながる ことが期待される. ・今回の分析対象は2020年データのみのため、 2019,2021年を対象とした分析や2020年度との 比較が必要.