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Ajg2009okinawa

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  1. 1. 2009.10.25 日本地理学会秋季大会シンポジウム(琉球大学) 「琉球列島における地元主導のツーリズムと自然保護との共生」 沖縄における自然保護活動の現状 財団法人 自然保護助成基金 目代邦康
  2. 2. 沖縄における開発問題の類型 ● 米軍基地の影響(辺野古大浦湾,ヤンバル) ● 基地の新設,移転 ● 地域振興計画(ヤンバル,泡瀬,土地改良事業) ● 林道建設,海岸の埋め立て,土地造成などの公共事業 ● 大規模観光開発(西表) ● 地域振興 ● オーバーユース ● 地域の自然,文化を破壊
  3. 3. 西表島 ● 人口2000人 ● 年間入域観光客38 万人(2006年).その 多くは,石垣島から の日帰り観光客 (1000人/日). ● ツアー観光客は,島 外の会社 ● 90年代以降,ダイビ ングやエコツアーが 増加 西表島の観光客数の推移
  4. 4. トゥドゥマリ浜でのリゾートホテル建設問題 ● 開発主体;東京の企業 ● 住民の一部が反対 ● 地元住民にとっては神聖 な場所 ● 農業,観光業が主要産業
  5. 5. 浦内川の環境 ● 南西諸島で最大の河川.全長35km ● 河口部のマングローブ林は100ha.日本最大規模.(藤本・大 貫,1995) ● 天然記念物の生物,絶滅危惧種,希少種が豊富.魚類の記載 数360種国内最多. ● 沖縄県(1998)「自然環境の厳正な保護を図る区域」 ● 環境省(2002)「日本の重要湿地500」
  6. 6. 経緯 【前史】 昭和初期 野田小一郎(西表の石炭王)の炭鉱開発 1972 真喜屋優「太陽村」リゾート計画-失敗 1987 総合地域保養整備法(リゾート法)によるリゾート構想 1995 西洋環境開発(西武グループ)が西表リゾート事業より撤退 1996.5 西表島エコツーリズム協会設立 【開発依頼から認可まで】 1999 西島本竹富町長(当時)がユニマットに開発依頼 2000.7 ユニマット受諾,土地売買契約 2000~2002ユニマット及び町による現地説明会 2002.7.1 ユニマットから竹富町へ開発許可申請書提出 2002.7.22 町から県に開発許可申請(住民の同意書はなし) 2002.7.13 開発協定書締結 【反対運動】 2002.7.15 西表島エコツーリズム協会が町に開発見直し要請 2002.10.22 全国環境保護連盟「西表島保安林確認請求訴訟」 2002.10.29 西表島リゾート開発差し止め動植物原告訴訟 2002.10.23 沖縄県の認可 2003.2.26 月ヶ浜リゾート開発を促進する会.県に対し開発に積極的に対応するよう          要請 2003.3.6 沖縄県建築認可
  7. 7. 2003.3.10 工事着工 2003.3.11 建築禁止仮処分命令申立書を沖縄地裁石垣支部へ送付 →却下 2003.3.19 工事撤回を求め,抗議行動 【学術団体などの動き】 2003.3.23 日本生態学会「西表島浦内地区におけるリゾート施設建設の中断と環境          影響評価の実施を求める要望書」 2003.5.24 沖縄生物学会「西表島浦内地区におけるリゾート施設建設の見直しに関          する要望書 2003.6.12 日本魚類学会「ユニマット不動産による西表リゾート開発の中断と環境影          響評価の実施を求める要望書」 2003.7.14 リゾートホテルの建物撤去と営業差し止めを求めた訴訟提訴 2003.9.10 WWF-J「トゥドゥマリ浜(西表島浦内川河口右岸)におけるリゾート開発の          問題点について 【ホテル完成】 2004.4 ホテルプレオープン 2004.7 本格オープン 4階建て客室141室 【裁判敗訴】 2007.9.20 リゾートホテルの建物撤去と営業差し止めを求めた訴訟で最高裁で住民          側の敗訴決定 奥田(2006),リゾート開発差し止め訴訟関連ウェブサイトを元に作成
  8. 8. 地元住民の主張 ● 西表島リゾート開発差し止め訴訟 ● 原告団団長 石垣金星氏(郷土史家,農家) ● 訴訟代理人弁護士 井口 博氏 ● ホテルの営業により渇水被害,健康被害,自然環境破 壊等(有害廃棄物の排出・発生),景観破壊が発生し, 控訴人の環境権,人格権が侵害される. ● 森林法違反(みなし保安林の立木の伐採) ● 自然調和型生活の破壊 ● 入会地の汚染・破壊 ● エコツーリズムの基盤の破壊
  9. 9. 問題点 ● 地元住民の同意が得られない開発 ● エコツーリズムによって町おこし(島おこし)をしようとす る立場と,税収アップを考える立場の相違 ● 環境影響評価(環境アセスメント)が必要ない規模 (14ha)の開発であり(県の環境アセスは,20ha以 上の開発),国立公園特別地域外. ● 多くの生物種が存在するが,評価されていない ● 沿岸~海岸地帯の保護区の制度が存在しない
  10. 10. 学会,環境NGOの対応 ● 日本生態学会(4100名),日本魚類学会(1400名),日本ベ ントス学会(500名),沖縄生物学会(500名),WWF-J(個人サ ポーター35000人)が,開発中止と環境アセスメントの要望 を出す.(2003) ● 主張1:開発の一時中止 ● 主張2:環境アセスメントの実施を求める – 未記載の生物が多く,生物多様性に富む ● 西表浦内川流域研究会が,「生物多様性と伝統的 自然資源利用の綜合調査報告書1,2」を発行 (2005)
  11. 11. 平成15年 6月 12日 環境大臣 鈴木俊一殿 日本魚類学会会長 松浦啓一 ユニマット不動産による西表リゾート開発の中断と環境影響評価の実施を求める要望書  沖縄県西表島の浦内川は、広大なマングローブが発達し、日本最大級の亜熱帯生態系を有する河川で、環境 省によって日本の重要湿地500のひとつに選出されています。同河川は、これまでに目立った開発行為を免れ てきたことから、河川本来の形態を今にとどめると同時に、下記の1から6の特徴を有する希有な河川です。ま た、河川からは、これまでに約360種の魚類が記録されており、国内では最も種多様性が高い河川でもありま す。その中には、この水域だけでしか記録のない10種を含め、注目すべき魚類が多数含まれることがわかって います。 1.環境省指定の絶滅危惧種(IA類:4種;IB類:8種;II類:2種)が14種生息する。 2.レッドリストに将来掲載される可能性のある種が13種生息する。 3.浦内川以外からは記録のない魚類が10種分布している。 4.学術上は未知の種が5種生息し、今後も新たな発見が十分に予想される。 5.マングローブ汽水域を稚魚・未成魚期の成育場として利用している水産上重要な種が多数生息する。 6.全出現種約360種のほとんどは周縁性淡水魚と生活史の一時期に海と河川を往復する通し回遊魚である。 後者は河口付近の汽水域を移動の際の生理的順応のために利用しており、これらの中には主たる生息場所が 淡水域にあり、汽水域での順応が生存上特に重要になると思われる魚が24種含まれる.  現在、浦内川河口から隣接の月が浜にいたる地域に、(株)ユニマット不動産による大型リゾート開発(85758 平方メートル)(25942坪)が進行しています。この計画は、沖縄県が環境影響評価を実施しないまま、2002年10 月25日付で許可したものです。このままでは絶滅が危惧される魚類だけでなく、せっかくこれまで健全に維持さ れてきた魚類群集や水産上重要な魚類資源にも悪影響が及ぶことが強く懸念されます。日本魚類学会はこの 事態を重く見て、以下の事を要望します。 記 1.事業者は、リゾート開発の進行を一時中断し、その全体計画と営業内容から予測される自然環境・地域社会 への影響を客観的・科学的に評価して公表すること。 2.自然環境への影響評価のために「保全対策委員会」を組織すること。委員会には日本魚類学会が推薦する 専門家ならびに公的機関の専門家が含められること。 3.計画の進行や営業の継続に伴う影響をモニタリングし、自然環境に改変がみられた場合はすみやかに改善 策を講じること。モニタリングや改善策の検討は上記委員会が主導で行い、その詳細を公表すること。
  12. 12. 企業・行政の対応と判決 ● 法的に定められた手続きに則っているとして,計画 の中断,環境影響評価は行われなかった. ● 学会,NGOの要望書は無視. ● 環境アセスは,企業が自主的に行う. ● 住民の合意は得られなかった.(行政:合意形成を 放棄) ● 神聖な場所が侵されることや,アオウミガメの産卵 地,トゥドゥマリハマグリ,カンムリワシの生育環境 の破壊は,原告にとっての権利の侵害ではないた め,訴訟は却下.
  13. 13. 地域の自然環境を保護する上での 問題点 ● 未記載の自然環境=価値が認められない ● 開発問題が発生してから調査をしても遅い ● 環境破壊の立証責任はだれにあるか? ● 私有財産権重視の制度体系 ● 現代の法制度になじまない,共同体の持つ伝統的 慣習,文化の維持は,地元住民の権利として認め られにくい.
  14. 14. 特筆点 ● 島民以外の原告適格が認めら れる. ●西表の自然が壊されること がその人の精神的苦痛を もたらす(人格権の侵害). ● 弁護士も全国から公募. http://amanakuni.net/Namaenonai-shinbun/Namae119-iriomote.html
  15. 15. 建設後残ったもの ● 自然環境の悪化(水質悪化,ウミガメが上陸しなく なった,トゥドゥマリハマグリの減少) ● 受け入れ賛成の人と,反対の人との間のしこり ● 全国的な問題になることへの嫌悪感 ● 地元住民の雇用は,増えていない
  16. 16. 判決をどう受け止めるか ● 「人と自然の関わり方」のあり方を問うもの. ● 生物学的な評価(動植物の新種の記載,生物多様 性の評価)は,島外住民の原告適格の根拠になり うる. ● 地理学者として,景観,環境,共同体の価値をどう 評価するか. ● 自然物の個別の評価だけではなく,総合的な評価 が必要. ● 景観の破壊,自然環境の破壊に対して,それを研 究対象とする研究者は何をすべきか?
  17. 17. 自然・文化の保護 ● 生物学的な蓄積 ● 生物多様性 – 経済的価値(生態系サービス) ● 「何が大事か」 ● 生物以外の自然環境は? ● 文化,民俗は? ● 自然環境・文化の経済的価値は計れない. ● モノではないものの評価

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