SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  88
1
誰も教えてくれなかった
カルテの書き方
Presented by Kotaro Hayashi
はじめに
参考資料は最後の方にあります
カルテの書き方を勉強し始めた
医学部5年生〜を想定
あくまでシニアレジデントがまとめたもの
→もっと勉強したい人は本を買って読もう!
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日の内容
ですが…
3
4
実際にカルテを書いてみよう!
講義に入る前に…
5
手元のカルテ用紙に診察内容や評価・計画を記載
代表者1人による医療面接
程度の
6
あなたは名市大病院の研修医1年目
設定
あなたは◯×病院の研修医1年目です 7
設定
今夜は初めての当直! 8
設定
9
緊張していると、早速患者さんが…
10
11
【主訴】呼吸苦
【現病歴】
普段からたまに咳が出ていたが放置していた.
数年前までは近所のスーパーまで歩行できたが
労作時息切れが徐々に増悪,ここ1年は自宅内
を動くだけでも息切れがするようになった.
3日前日から38℃の発熱と悪寒が出現.
息切れが増悪し改善しないため,本日救急外来
を受診した.
12
【既往歴】
糖尿病(1995年〜)
膀胱癌→TUR-Bt(2014年)
【服薬歴】
メトグルコ錠(250) 1回1錠 1日3回毎食
【アレルギー】
なし
【嗜好品】
喫煙:20本×50年,2014年から禁煙.
飲酒:機会飲酒
13
【生活歴】
妻と二人暮らし.キーパーソンは妻.
職業:タクシーの運転手→60歳で退職.
旅行歴なし.温泉には入っていない.
庭仕事なし.
ペット飼育なし,鳥と接触なし.
【ROS】
咳嗽あり,喀痰は黄色粘稠.
鼻汁なし,咽頭痛なし
夜間呼吸苦なし.
【ナラティブ】
とにかく苦しいのを何とかして欲しい.
14
身体所見
【身体情報】
身長157cm,体重43kg,やせ型.
【バイタルサイン】
意識清明
体温 38.0℃
脈拍 96回/分,血圧 129/67mmHg,
呼吸数 30回/分,SpO2 92%(room air)
15
身体所見
【身体所見】
結膜貧血黄染なし,口腔内やや乾燥
頸部リンパ節触知せず.
右下肺野で吸気性雑音を聴取する.
心音整,心雑音なし.
腹部平坦・軟,圧痛なし.
ばち指なし,下腿浮腫なし.
16
17
18
検査所見
胸部単純X線写真
検査所見
19
12誘導心電図
検査所見
20
喀痰グラム染色
血液検査+静脈血ガス
WBC 12,800/μL LDH 219U/L pH 7.396
Hb 13.5g/dL CK 61U/L
PCO2 68.3Torr
PLT 155,000/μL CRP 10.17mg/dL PO2 48.5Torr
TP 7.9g/dL BUN 11.1mg/dL HCO3- 29.0mEq/L
alb 3.7g/dL Cre 0.61mg/dL Na 138mEq/L
AST 30U/L Glc 157mg/dL K 4.1mEq/L
ALT 17U/L HbA1c 6.6% Cl 98mEq/L
21
22
アセスメントとプランを書いてみよう
Thinking Time
ロールプレイ終了
23
上手に書けましたか?
本当にそれでOK?
そもそも学校では誰も教えてくれない
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日の内容
24
カルテとは何か?
25
診療記録=Karte(独),Chart(英)
医師法に規定された公文書
→私的なメモではない
→きちんとした記載が求められる
カルテは何のために書くのか?
26
日々の記録
診療のプロセスを助ける
チーム医療のため
それだけではなく
27
良い医者は良いカルテから!
カルテ=書いた人自身
良いカルテの条件とは?
28
1. 正しい日本語
2. 必要十分な長さ
3. フォーマット(型)に沿う
フォーマットに沿ったカルテの利点
29
1. 業務効率の改善
2. 診断推論能力の習得
3. 多職種連携に活きる
4. トラブルが減る
1. 業務効率の改善
30
型通りに記載すると:
書くとき→順序を考えず素早く書ける
読むとき→素早く情報を検索できる
2. 診断推論能力の習得
31
SOAPの順に書く習慣をつけると:
S/Oを元にA/Pを考える力が身につく
3. 他職種連携に活きる
32
A/Pをしっかり書いておくと:
他職が見ても現状・方針を把握できる
4. トラブルが減る
33
P欄をしっかり書いておくと:
チェックリストとして機能
検査や治療の忘れ・遅れが減る
Q: では、どんなフォーマットが良い?
34
→「POS」の考え方に基づいた
「SOAP形式」のカルテが推奨され
る
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日の内容
35
POS/POMRとは
36
POS(Problem-oriented system)
日本語:「問題志向型診療システム」
POMR(Problem-oriented medical records)
日本語:「問題志向型診療録」
従来の診療録では
37
主治医が重要だと思う疾患のみ記載
=「疾患志向型」
患者の持つ問題をすべて把握できない
「問題志向型」とは?
38
患者の持つ問題をリストアップ
問題解決の流れを重視する
=「問題志向型」
患者本位の医療の精神に基づく
(例え症状がなくてもプロブレムとする)
要するに何が特徴?
39
患者ごとに「プロブレムリスト」を作成し,
それに則って診療を行う
プロブレムリストの例
40
例えば先ほどの75歳男性ならば
【プロブレムリスト】
#1. 糖尿病
#2. 慢性閉塞性肺疾患
#3. 膀胱癌→TUR-Bt[20XX-1]
#4. 肺炎[20XX]
というように…
41
ここからが本題
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日の内容
42
SOAP形式とは
43
Subjective
Objective
Assessment
Plan
主観情報.主訴,現病歴,既往歴,その他が含まれる.
客観情報.身体所見,検査所見が含まれる.
アセスメント=評価.
プロブレムリストもここに含まれる.
プラン=計画.
いつ,誰が,何を行うのか具体的に記す.
S(Subjective)に何を書くか
44
【主訴】
【現病歴】
【既往歴】
【服薬歴】
【その他】
S -【主訴】
45
今回の主題を明確化
訴えを「医学用語」に置き換える
おまけ:【受診理由】
46
(認知症などで)本人が困っていない場合や
本人と周囲の問題意識が異なる場合に重要
S -【現病歴】
47
経過:
「時間経過」を明確化
患者に起きた順番に記載
症状解析:
「痛みのOPQRST」「TLQQSFA」など
おまけ:【現病歴】の追加事項
48
Review of systems(ROS):
鑑別にかかわる臓器系に絞って記載
ナラティブ:
「かきかえ」=解釈,期待,感情,影響 など
OPQRST/TLQQSFAって何だっけ?
49
痛みのOPQRST
Onset of the event(発症様式)
Provocation or Palliation(増悪寛解因子)
Quality of the pain(痛みの性状)
Region and Radiation(痛みの場所と放散痛)
Severity(重症度 - 10段階評価など)
Time(時間経過による変化)
バリエーション:
PをPosition(場所)とする場合や,
「AAA」を追加し「OPQRST-AAA」とする場合
Aggravation/alleviating factors(増悪寛解因子)
Associated symptoms(随伴症状)
Attributions/adaptations(思い当たる原因/症状への対処)
出典:Wikipedia.com
OPQRST/TLQQSFAって何だっけ?
50
TLQQSFA
Timing(時間)
Location(部位)
Quality(症状の質)
Quantity(症状の強さ)
Setting(状況)
Factor(寛解増悪因子)
Association(随伴症状)
出典:名古屋市立大学講義プリント
51
覚えてない人は今日覚えよう!
OPQRST/TLQQSFA
S -【既往歴】
52
今も活動性のある疾患:
病状や治療内容,かかりつけ医なども併記
過去に治癒した疾患:
手術歴,輸血歴,妊娠・出産歴や
アレルギー歴がないか
S -【服薬歴】
53
具体的な薬品名・用法容量を控えておく
→患者も覚えていない既往歴がわかることも
S -【その他】
54
家族歴:
同様の症状の近親者
同居家族・キーパーソン
生活歴:
嗜好品 ー 飲酒・喫煙など
生活習慣 ー 食事・運動,排泄状況など
社会歴 ー 職業,交友関係,居住地・家屋など
O(Objective)に何を書くか
55
【身体所見】
【検査所見】
O -【身体所見】
56
全身状態:
パッと見の重篤感・ABCの評価
バイタルサイン:
意識,体温,脈拍,血圧,呼吸数,SpO2
重症度・病態判断に必須
全身診察:
頭頸部→胸部→腹部→背部→四肢→皮膚
頭の先からつま先まで
O -【身体所見】
57
全身状態:
パッと見の重篤感・ABCの評価
バイタルサイン:
意識,体温,脈拍,血圧,呼吸数,SpO2
重症度・病態判断に必須
全身診察:
頭頸部→胸部→腹部→背部→四肢→皮膚
頭の先からつま先まで
airway, breathing, circulation
O -【検査結果】
58
検体検査:
血液検査(血算・生化学・凝固・血ガス)
尿検査など
生理検査:
超音波検査,心電図
画像検査:
胸部単純X線写真,CT等
余談…「サルも聴診器」
59
「サルも聴診器」
60
「サルも聴診器」
酸素・ルート・モニター・超音波・心電図・胸部単純X線
おまけ:SとOをどう区別するか
61
S=「患者や家族,前医などの他人」から収集した
「過去から現在に至る」までの「間接的情報」で
「患者や家族の証言,前医の手紙やカルテに記載され
た情報」
O=「医師自身や,診察能力を把握している同僚」が
取った,「現時点」で「直接観察した所見」で「診察
時の身体所見と検査所見」
ちょっと休憩…
お茶・お菓子・雑談タイム
62
A(Assessment)に何を書くか
63
【プロブレムリスト】
問題リストとも
SOAP形式のキモ
【評価・方針】
プロブレムごとに評価,
鑑別診断と方針を記す
プロブレムリストの作り方
64病歴や身体所見から,「病気」がいくつあるか考える
#1. プロブレム①
#2. プロブレム②
#3. プロブレム③
おまけ:A(Assessment)の具体例
65
【問題リスト】
#1. 高血圧 #2. 糖尿病 #3.急性冠症候群
【評価】
#3.急性冠症候群 (プロブレム名)
多重する心血管リスクを認める患者の,30分以上持続する
胸部絞扼感.心電図異常と心筋逸脱酵素上昇を伴い,急性
冠症候群(ACS)の基準に合致する.(brief summary)
鑑別診断としては心膜心筋炎,たこつぼ型心筋症,心筋以外
からの酵素逸脱が挙げられるが,諸検査の結果からその可能
性は低いと考える.
ACSの評価目的で心臓カテーテル検査は速やかに行うので,
この結果をみて診断を確定し,ACSであれば引き続き治療を
行う.(方針)
P(Plan)に何を書くか
66
【計画】
診断プラン:
検査の日時,経過観察の目標
治療プラン:
具体的な薬品名や用法・用量も明確に
説明プラン:
Informed consentの内容,生活指導
おまけ:方針(A)と計画(P)の違い
67
方針:
上司が「最近仕事も大変だったし,パーッ
と飲みに行って気晴らししよう!」という
ような,考え・提案
計画:
「4月16日19時から居酒屋『萬々事々』で,
『兼松』の名前で予約」というような,
参加者全員が共有しないと実行に支障が
出るような具体的な行動目標
ここで一旦整理
68
カルテの書き方 まとめ
69
【既往歴】
【服薬歴】
【アレルギー】
【家族歴】
・誰と何人暮らし
【生活歴】
・喫煙,飲酒
<S>
【診察日時】
【情報源】
【主訴】
【現病歴】
・時間経過
・症状解析
・ROS
・ナラティブ
カルテの書き方 まとめ
70
<O>
【バイタルサイン】
・意識
・体温
・脈拍数と血圧
・呼吸数とSpO2
【身体所見】
・全身状態(表情)
・頭頸部
・胸部
・腹部
・背部
・四肢
・皮膚
【検体検査】
・血液検査,尿検査
【生理検査】
・心電図,エコー
【画像検査】
・Xp, CT, MRI
カルテの書き方 まとめ
71
※暫定プロブレム:一過性の病気や,病気かどうかわからない異常値など
<P>
【計画】
・いつ
・誰が
・どのように
・何をするのか
具体的に書く
<A>
【問題リスト】
#1. 正式プロブレム①
#2. 正式プロブレム②
#3. 正式プロブレム③
#a. 暫定プロブレム①
#b. 暫定プロブレム②
#c. 暫定プロブレム③
【評価・方針】
#1.
brief summary
評価とその根拠
大まかな方針
おまけ:自分のこだわりポイント
72
他の人が読めるように書くこと.
(たとえ学生や患者さんでも!)
そのために
「てにをは」を抜かさない
「にて」を連発しない
略語や外来語は極力使わない
息切れを主訴に受診した75歳男性
73
息切れを主訴に受診した75歳男性.20年前より糖尿病を指摘され,近医で投薬を受
けHbA1c 6%前後で推移していた.2014年12月に血尿を契機に膀胱癌を指摘され12
月18日に膀胱鏡手術を受けた.1日20本×50年喫煙していたが以後禁煙した.普段か
らたまに咳が出ていたが放置していた.数年前までは近所のスーパーまで歩行でき
たが,労作時息切れが徐々に増悪し,ここ1年は自宅内を動くだけでも息切れがする
ようになった.2015年4月1日から39℃の発熱と悪寒が出現,息切れが増悪し改善し
ないため4月2日に当院総合内科を受診した.旅行なし,庭仕事なし,ペット飼育な
し,鳥と接触なし.咳嗽あり,喀痰は白色粘稠.鼻汁なし,咽頭痛なし.夜間呼吸
苦なし.内服薬は近医からテネリア錠(20)1T/朝のみ.飲酒なし.アレルギー歴なし.
身長157cm,体重43kg,やせ型.意識清明,体温37.9℃,脈拍96回/分,血圧
129/67mmHg,呼吸数24回/分,SpO2 93%(経鼻酸素1L/分).結膜貧血黄染なし,口
腔内やや乾燥,頸部リンパ節触知せず.両下肺野でwheezeを聴取する.心音整,心
雑音なし.腹部平坦・軟,圧痛なし.ばち指なし,下腿浮腫なし.WBC 7500/μL,
Hb 13.5g/dL,PLT 15.5万/μL,TP 7.9g/dL,alb 3.7g/dL,AST 30IU/L,ALT 17IU/L,
LDH 219IU/L,CK 61 IU/L,CRP 10.17mg/dL,BUN 11.1mg/dL,Cre 0.61mg/dL,
Glc,157mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 98mEq/L,HbA1c 6.6%.静脈血
ガス(room air)でpH 7.396,PaCO2 68.3Torr,PaO2 48.5Torr,HCO3- 29.0mEq/L.
心電図は洞調律.胸部単純X線写真で両肺の過膨張,滴状心を認め,右下肺野にair
bronchogramを伴う斑状影を認める.喀痰グラム染色で多数のグラム陽性双球菌を
認める.
息切にて主訴に受診した75歳男性
74
息切れにて受診した75歳男性.20年前より糖尿病を指摘され,近医にて投薬を受け
HbA1c 6%前後で推移していた.2014年12月に血尿にて膀胱癌を指摘され12月18日
に膀胱鏡手術を受けた.1日20本×50年喫煙していたが以後禁煙した.普段からたま
に咳が出ていたが放置していた.数年前までは近所のスーパーまで歩行できたが,
労作時息切れが徐々に増悪し,ここ1年は自宅内にて動くだけでも息切れがするよう
になった.2015年4月1日から39℃の発熱と悪寒が出現,息切れが増悪し改善しない
ため4月2日に当院総合内科を受診した.旅行なし,庭仕事なし,ペット飼育なし,
鳥と接触なし.咳嗽あり,喀痰は白色粘稠.鼻汁なし,咽頭痛なし.夜間呼吸苦な
し.内服薬は近医にてテネリア錠(20)1T/朝のみ.飲酒なし.アレルギー歴なし.身
長157cm,体重43kg,やせ型.意識清明,体温37.9℃,脈拍96回/分,血圧129/67
mmHg,呼吸数24回/分,SpO2 93%(経鼻酸素1L/分).結膜貧血黄染なし,口腔内や
や乾燥,頸部リンパ節触知せず.両下肺野にてwheezeを聴取する.心音整,心雑音
なし.腹部平坦・軟,圧痛なし.ばち指なし,下腿浮腫なし.WBC 7500/μL,Hb
13.5g/dL,PLT 15.5万/μL,TP 7.9g/dL,alb 3.7g/dL,AST 30IU/L,ALT 17IU/L,
LDH 219IU/L,CK 61 IU/L,CRP 10.17mg/dL,BUN 11.1mg/dL,Cre 0.61mg/dL,
Glc,157mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 98mEq/L,HbA1c 6.6%.静脈血
ガス(room air)にてpH 7.396,PaCO2 68.3Torr,PaO2 48.5Torr,HCO3- 29.0mEq/L.
心電図は洞調律.胸部単純X線写真にて両肺の過膨張,滴状心を認め,右下肺野に
air bronchogramを伴う斑状影を認める.喀痰グラム染色にて多数のグラム陽性双球
菌を認める.
75
これはこれで格好いいですが,学生さんや患者さんには読めませんよね.
75yo Male, CC: dyspnea. HPI: 普段からたまにcoughが出ていたが放置していた.
数年前までは近所まで歩行できたが,dyspneaが徐々に増悪.2015年4月1日から
39℃のfeverとchillが出現,dyspneaが増悪し改善しないため4月2日に当科を受診.
旅行(-),庭仕事(-),ペット(-),鳥(-).cough (+),喀痰は白色粘稠.鼻汁(-),咽頭痛
(-).夜間呼吸苦(-).PMH: DM, bladder Ca. Meds: 近医にてテネリア.喫煙:1日20
本×50年,以後禁煙.飲酒(-).アレルギー(-).PE:身長157cm,体重43kg,やせ型.
cons. : alart,T 37.9,P96,129/67,24,SpO2 93% (NC1L).conj. not anemic,
not icteric,口腔内ややdry,CLN触知せず.両下肺野でwheezeを聴取する.No M.
abd. s&f,tenderness(-).ばち指なし,edema(-).L/D: WBC 7500/μL,Hb 13.5g/dL,
PLT 15.5万/μL,TP 7.9g/dL,alb 3.7g/dL,AST 30IU/L,ALT 17IU/L,LDH 219IU/L,
CK 61 IU/L,CRP 10.17mg/dL,BUN 11.1mg/dL,Cre 0.61mg/dL,Glc,157mg/dL,
Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 98mEq/L,HbA1c 6.6%.Vgas(room air)にてpH
7.396,PaCO2 68.3Torr,PaO2 48.5Torr,HCO3- 29.0mEq/L.EKG: sinus.CXR
にて両肺の過膨張,滴状心(+),右下肺野に斑状影(+) air bronchogram(+).喀痰gram
stainにて多数のGPCを認める.
75yo M w/ dyspnea
76
もう少し!
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日の内容
77
RIMEモデルとは
78
Level 2
Level 3
Level 1
Top Level
Reporter
(情報を正しく報告できる)
Interpreter
(情報を自分で考えて適切に判断できる)
Manager
(自分で考えた判断に基づいて実際に行動できる)
Educator
(判断や行動原理について他の人に教えられる)
RIMEモデルとは
79
Reporter
Interpreter
Manager
Educator
情報を正しく報告できる段階.
SOAPのS・Oがしっかり書ける相当する.
情報を自分で考えて適切に判断を下せる段階.
SOAPのAがしっかり書ける段階に相当する.
自分で下した判断に基づいて適切に行動できる段階.
SOAPのPに相当する.いわゆるデキレジ.
自分の判断や行動原理を他の人に教えられる段階.
ここまでできれば超研修医級!?
Step by step
焦らずに まずはReporterになろう!
80
カルテは
こう書け!
総合プロブレム
方式
診療録の記載と
プレゼンテーション
のコツ
80ページと薄く読みやすい.
総合プロブレム方式の入門編
のような図書.会話形式,
step by stepで進む.価格も
手頃(2800円+税)
総合プロムレム方式の元祖。
「カルテはこう書け!」では
物足りない人向け.会話形式
が苦手な人はいきなりこちら
でもいいかもしれない.
診療録にまつわる法律や,S
・Oの部分の書き方が書いて
あるのが特徴.プレゼンテー
ションについても書いてあり
,侮れない一冊.
参考資料
81
Name of Quotation’s Author
「型」が身につく
カルテの書き方
(医学書院)
「週刊医学界新聞」の人気連載
を書籍化。
「型ができていない者が芝居を
すると型なしになる。型がしっ
かりした奴がオリジナリティを
押し出せば型破りになれる」
参考資料
82
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
本日のまとめ
83
84
良い医者は良いカルテから!
カルテ=書いた人自身
85
覚えてない人は今日覚えよう!
OPQRST/TLQQSFA
Step by step
焦らずに まずはReporterになろう!
86
連絡先
87
カルテとは何か?
POS/POMRとは何か?
RIMEモデルとは何か?
SOAP形式とは何か?
1
2
3
4
お疲れ様でした
88

Contenu connexe

Tendances

不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group
不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group
不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest GroupKiyoshi Shikino
 
今すぐ使える血ガスの読み方2020
今すぐ使える血ガスの読み方2020今すぐ使える血ガスの読み方2020
今すぐ使える血ガスの読み方2020Tsuneyasu Yoshida
 
カテコラミンの勉強会
カテコラミンの勉強会カテコラミンの勉強会
カテコラミンの勉強会小滝 和也
 
第2回 「一過性意識障害, 失神」
第2回 「一過性意識障害, 失神」第2回 「一過性意識障害, 失神」
第2回 「一過性意識障害, 失神」清水 真人
 
血液培養についてまとめておく
血液培養についてまとめておく血液培養についてまとめておく
血液培養についてまとめておくKuniaki Sano
 
ゴロ合わせでおぼえる救急診療
ゴロ合わせでおぼえる救急診療ゴロ合わせでおぼえる救急診療
ゴロ合わせでおぼえる救急診療Yuichi Kuroki
 
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症について
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症についてCV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症について
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症についてMaebashiRedCrossHosp
 
食欲不振 パート1 鑑別診断
食欲不振 パート1 鑑別診断食欲不振 パート1 鑑別診断
食欲不振 パート1 鑑別診断NEURALGPNETWORK
 
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチNEURALGPNETWORK
 
第8回 「熱傷」
第8回 「熱傷」第8回 「熱傷」
第8回 「熱傷」清水 真人
 
輸液の話 基本の『き』
輸液の話 基本の『き』輸液の話 基本の『き』
輸液の話 基本の『き』Kuniaki Sano
 
抗菌薬と細菌について改訂版
抗菌薬と細菌について改訂版抗菌薬と細菌について改訂版
抗菌薬と細菌について改訂版Kuniaki Sano
 
カテコラミン類 基本の『き』
カテコラミン類 基本の『き』カテコラミン類 基本の『き』
カテコラミン類 基本の『き』Kuniaki Sano
 
カンジダ血症レビュー
カンジダ血症レビューカンジダ血症レビュー
カンジダ血症レビューKuniaki Sano
 
語呂で覚える 緊急気道管理
語呂で覚える 緊急気道管理語呂で覚える 緊急気道管理
語呂で覚える 緊急気道管理清水 真人
 
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチNEURALGPNETWORK
 
第7回 「眼科救急」
第7回 「眼科救急」第7回 「眼科救急」
第7回 「眼科救急」清水 真人
 

Tendances (20)

不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group
不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group
不明熱〜身体診察〜_General Medicine Interest Group
 
今すぐ使える血ガスの読み方2020
今すぐ使える血ガスの読み方2020今すぐ使える血ガスの読み方2020
今すぐ使える血ガスの読み方2020
 
カテコラミンの勉強会
カテコラミンの勉強会カテコラミンの勉強会
カテコラミンの勉強会
 
第2回 「一過性意識障害, 失神」
第2回 「一過性意識障害, 失神」第2回 「一過性意識障害, 失神」
第2回 「一過性意識障害, 失神」
 
血液培養についてまとめておく
血液培養についてまとめておく血液培養についてまとめておく
血液培養についてまとめておく
 
肺塞栓症
肺塞栓症肺塞栓症
肺塞栓症
 
ゴロ合わせでおぼえる救急診療
ゴロ合わせでおぼえる救急診療ゴロ合わせでおぼえる救急診療
ゴロ合わせでおぼえる救急診療
 
身体診察
身体診察身体診察
身体診察
 
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症について
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症についてCV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症について
CV留置と胸腔ドレーン挿入に伴う合併症について
 
食欲不振 パート1 鑑別診断
食欲不振 パート1 鑑別診断食欲不振 パート1 鑑別診断
食欲不振 パート1 鑑別診断
 
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ
腹痛 パート1 鑑別診断へのアプローチ
 
第8回 「熱傷」
第8回 「熱傷」第8回 「熱傷」
第8回 「熱傷」
 
輸液の話 基本の『き』
輸液の話 基本の『き』輸液の話 基本の『き』
輸液の話 基本の『き』
 
抗菌薬と細菌について改訂版
抗菌薬と細菌について改訂版抗菌薬と細菌について改訂版
抗菌薬と細菌について改訂版
 
カテコラミン類 基本の『き』
カテコラミン類 基本の『き』カテコラミン類 基本の『き』
カテコラミン類 基本の『き』
 
カンジダ血症レビュー
カンジダ血症レビューカンジダ血症レビュー
カンジダ血症レビュー
 
語呂で覚える 緊急気道管理
語呂で覚える 緊急気道管理語呂で覚える 緊急気道管理
語呂で覚える 緊急気道管理
 
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ
呼吸困難 パート1 鑑別診断へのアプローチ
 
第7回 「眼科救急」
第7回 「眼科救急」第7回 「眼科救急」
第7回 「眼科救急」
 
抗生剤一覧
抗生剤一覧抗生剤一覧
抗生剤一覧
 

Plus de 林整形外科クリニック (11)

【医学教育におけるUDフォントの有用性について】
【医学教育におけるUDフォントの有用性について】【医学教育におけるUDフォントの有用性について】
【医学教育におけるUDフォントの有用性について】
 
Googleの配色を参考にした症例報告用テンプレートの検討
Googleの配色を参考にした症例報告用テンプレートの検討Googleの配色を参考にした症例報告用テンプレートの検討
Googleの配色を参考にした症例報告用テンプレートの検討
 
「診断学」について
「診断学」について「診断学」について
「診断学」について
 
60分でわかる感染症診療の基本 改訂第3版
60分でわかる感染症診療の基本 改訂第3版60分でわかる感染症診療の基本 改訂第3版
60分でわかる感染症診療の基本 改訂第3版
 
印象的な写真を撮る10の秘訣
印象的な写真を撮る10の秘訣印象的な写真を撮る10の秘訣
印象的な写真を撮る10の秘訣
 
美しい写真を撮る10の秘訣
美しい写真を撮る10の秘訣美しい写真を撮る10の秘訣
美しい写真を撮る10の秘訣
 
うつ病からの社会復帰
うつ病からの社会復帰うつ病からの社会復帰
うつ病からの社会復帰
 
上手な脱線の仕方
上手な脱線の仕方上手な脱線の仕方
上手な脱線の仕方
 
NaCl 1g = 17mEq
NaCl 1g = 17mEqNaCl 1g = 17mEq
NaCl 1g = 17mEq
 
body fluid
body fluidbody fluid
body fluid
 
daily intake
daily intakedaily intake
daily intake
 

誰も教えてくれなかったカルテの書き方 講義用

Notes de l'éditeur

  1. <S/O>  75歳男性.呼吸苦を主訴に来院.   <A> 発熱と低酸素血症を認める.  肺炎,COPDの急性増悪のほかに心不全,喘息,心筋梗塞,肺塞栓,気胸などが鑑別に上がる.  CURB65で1点(外来治療)A-DROP2点(外来または入院),適切な酸素投与と抗菌薬投与が必要 <P> ・酸素は経鼻酸素2L/分で開始しSpO2 90-94%を目標に漸増する. ・肺炎球菌尿中抗原検査を追加.スパイロメトリーを行う. ・COPDに合併した市中肺炎であり,想定される微生物はS. pneumoniae, H. influenzae, Molaxella, Legionella, S. aureus(まれ) ・SanfordによればLVFX500mg po daily または CTRX 1g div daily + AZM 500mg daily for 3 days