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津波被災における
 避難実態の可視化
  Team Masters&Forever 22

   高安 伶奈 (東大新領域情報生命)
   坂田 隼人 (東大新領域情報生命)
田村 光太郎 (東工大総理工知能システム科学)
 高安 秀樹 (明治大先端数理・ソニーCSL)
高安 美佐子 (東工大総理工知能システム科学)
津波被災地の避難は
なぜ遅れたのか?
解析したデータ
•   ZENRIN(250mx250m区画1時間刻みの人口変動)
•   国土地理院(津波浸水地域及び土地利用方法)
•   Honda道路情報(被災後1週間で通行履歴のある道路)
•   避難所のデータ(避難所ごとの人数推移、体験情報な
    ど)
    注目した地区:岩手県大槌町(人口15239人,2011/3時点)
    ------->町の中心部は津波で壊滅
    ------->津波の被害で約10%の人命を失った
    ------->山に囲まれており避難は可能な地形
    ------->親戚が3家族おり(1名津波で行方不明)
            被災体験の生の声も入手
             事前・事後の現地の状況も直接知っている

震災前後の人口密度の変化などをgoogleマップ上に可視化
し、今のデータの持つ問題点と、今後の災害時にどのよう
なデータを取るべきか提言する。
人口密度高   人口変動の可視化
                   津波到達ライン




人口密度低
人口密度高       人口変動の可視化
                                              津波到達ライン

                            15:14 GPSブイが津波高さの急上昇を検知。
                            岩手・福島6m、宮城10m以上に上方修正。
                            15:21 第1波が堤防を超える。
                            15:30 岩手・宮城・福島10m以上に上方修正




    2011/3/11 16:00~17:00

人口密度低
実際の個人の動きはとても複雑
人口密度高     人口変動の可視化
                           津波到達ライン




        1時間刻みは粗すぎる(正確なタイムスタンプも
        必要)
        携帯電話の電池切れによりデータが少なくなって
        行く
人口密度低
ZENRINデータで沿岸部を見る限
            界
  1時間刻みは粗すぎる(正確なタイムスタンプも必要)
    定義不明瞭な規格化のため、数値は極めて誤差が大きい
     (ポアソン過程なら、生データで100でも誤差10%)
    例えば92は92÷190×60≒30分で通信が途絶えた?
    生データなら使えるが加工データは使いづらい。

                                              半端な人数ばかり
                 190人地点が多数                    →次の時刻では消滅




3/12 2:00~3:00               3/12 3:00~4:00

    津波後、12時間までは浸水領域にも複数の携帯電話信号あり
   個別の電話が何時何分に切れたかまでが見えていると思われる
提案:携帯電話に災害時緊急モード
を!
携帯電話:災害時緊急モード
     3日間電池が持つ省エネモード
      無駄な機能を全て停止(GPS・メール・声の
み)
      間欠的に電波を送受信(輻輳回避)
電話会社:全個別データを保存・有益データの抽
      消防・自衛隊や親族に携帯電話情報を提供
      被災者の携帯に避難・救援情報を送信
       ex 津波情報の訂正をメール送信
      移動可能な基地局を用意(ヘリコプタで運
ぶ)
  亡くなられた方の携帯情報も全て遺族に提供する
政府:個人情報保護法など限定解除
     携帯情報を被災者救助に活用させる
道路の形状解析
 道路をネットワーク、道路上の車の流れをネットワクー
 ク上のフローと考えて”渋滞が起きやすい道路の形状””
 被災によって孤立しやすい道路”を見つける。
実際には津波によって通常時の予測
以上の道路分断が起きる可能性もある。                 釜石




連結グラフにおいて、除くとネットワークが
分断されるEdgeの例(赤で示す)            大船渡


 孤立しやすい地域には、避難経路の増
 設、ヘリポートや無線連絡装置、自家     気仙沼
 発電のある避難場所設置などの必要が
                       赤線:Bridgeとなる道路
 ある。
                       青線:津波の到達ライン

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  • 1. 津波被災における 避難実態の可視化 Team Masters&Forever 22 高安 伶奈 (東大新領域情報生命) 坂田 隼人 (東大新領域情報生命) 田村 光太郎 (東工大総理工知能システム科学) 高安 秀樹 (明治大先端数理・ソニーCSL) 高安 美佐子 (東工大総理工知能システム科学)
  • 3. 解析したデータ • ZENRIN(250mx250m区画1時間刻みの人口変動) • 国土地理院(津波浸水地域及び土地利用方法) • Honda道路情報(被災後1週間で通行履歴のある道路) • 避難所のデータ(避難所ごとの人数推移、体験情報な ど) 注目した地区:岩手県大槌町(人口15239人,2011/3時点) ------->町の中心部は津波で壊滅 ------->津波の被害で約10%の人命を失った ------->山に囲まれており避難は可能な地形 ------->親戚が3家族おり(1名津波で行方不明) 被災体験の生の声も入手 事前・事後の現地の状況も直接知っている 震災前後の人口密度の変化などをgoogleマップ上に可視化 し、今のデータの持つ問題点と、今後の災害時にどのよう なデータを取るべきか提言する。
  • 4. 人口密度高 人口変動の可視化 津波到達ライン 人口密度低
  • 5. 人口密度高 人口変動の可視化 津波到達ライン 15:14 GPSブイが津波高さの急上昇を検知。 岩手・福島6m、宮城10m以上に上方修正。 15:21 第1波が堤防を超える。 15:30 岩手・宮城・福島10m以上に上方修正 2011/3/11 16:00~17:00 人口密度低
  • 7. 人口密度高 人口変動の可視化 津波到達ライン 1時間刻みは粗すぎる(正確なタイムスタンプも 必要) 携帯電話の電池切れによりデータが少なくなって 行く 人口密度低
  • 8. ZENRINデータで沿岸部を見る限 界 1時間刻みは粗すぎる(正確なタイムスタンプも必要) 定義不明瞭な規格化のため、数値は極めて誤差が大きい (ポアソン過程なら、生データで100でも誤差10%) 例えば92は92÷190×60≒30分で通信が途絶えた? 生データなら使えるが加工データは使いづらい。 半端な人数ばかり 190人地点が多数 →次の時刻では消滅 3/12 2:00~3:00 3/12 3:00~4:00 津波後、12時間までは浸水領域にも複数の携帯電話信号あり 個別の電話が何時何分に切れたかまでが見えていると思われる
  • 9. 提案:携帯電話に災害時緊急モード を! 携帯電話:災害時緊急モード 3日間電池が持つ省エネモード 無駄な機能を全て停止(GPS・メール・声の み) 間欠的に電波を送受信(輻輳回避) 電話会社:全個別データを保存・有益データの抽 消防・自衛隊や親族に携帯電話情報を提供 被災者の携帯に避難・救援情報を送信 ex 津波情報の訂正をメール送信 移動可能な基地局を用意(ヘリコプタで運 ぶ) 亡くなられた方の携帯情報も全て遺族に提供する 政府:個人情報保護法など限定解除 携帯情報を被災者救助に活用させる
  • 10. 道路の形状解析 道路をネットワーク、道路上の車の流れをネットワクー ク上のフローと考えて”渋滞が起きやすい道路の形状”” 被災によって孤立しやすい道路”を見つける。 実際には津波によって通常時の予測 以上の道路分断が起きる可能性もある。 釜石 連結グラフにおいて、除くとネットワークが 分断されるEdgeの例(赤で示す) 大船渡 孤立しやすい地域には、避難経路の増 設、ヘリポートや無線連絡装置、自家 気仙沼 発電のある避難場所設置などの必要が 赤線:Bridgeとなる道路 ある。 青線:津波の到達ライン