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モデリング手法(その1)
平成24年8月4日
有限会社ジール
松本 巖
ビジネス・モデリング手法:IDEF
• IDEF手法は、1970年代初期の米空軍のICAMプロジェクトで
利用者の合意形成手段として発表されたモデリング手法群であ
る。
– このICAMプロジェクトは空軍使用機材の製造にコンピュータを活用して効率化
する事を目指した。
– この効率化を追求の結果、「効果的なコンピューター・システムを活用には、
それを運用する人間系の認識合わせが最も重要」との結論に至り、3つのID
EF手法が誕生した。
– IDEF0:アクティビティ・モデリング
– IDEF1:情報モデリング
– IDEF2:シミュレーション・モデリング)
– 当初のIDEFは、Icam DEFinitionの略であった。
• IDEF1手法は1980年代に、リレーショナル・データベースの設計
(実装設計)まで包含するIDEF1Xに拡張された。
– 日本ではこの拡張されたIDEF1Xを中心にIDEF手法を情報システム開発の手段と理解さ
れている。
– IDEFは、1990年代になりIDEF3の拡充などを経て米連邦政府
における標準のBPR手段となっている
2013/5/27 2有限会社ジール
2013/5/27 有限会社ジール 3
IDEFの主な生立ち
• 1973年 米空軍にてICAMプロジェクト発足
– ICAM : Integrated Computer-Aided Manufacturing
• 1975年 IDEF0、1、2をIDEF手法として発表
– IDEF(旧) : ICAM DEFnition
– IDEF0 : SADT(構造化分析設計手法)を基にしたアクティビティ・モデリング手法
– IDEF1 : エンティティ・リレーション(ER)方式の情報モデリング手法
– IDEF2 : シミュレーション・モデリング手法-現在あまり使われていない
• 1983年 IISSプロジェクトにてIDEF1X(IDEF1の拡張)の発表
– IISS : Integration Information Support System
– IDEF1X : IDEF1をRDB設計用に拡張した情報/データ・モデリング手法
• 1993年 米空軍のIICEプログラムにて、IDEF3を発表
– IICE : Information Integration for Concurrent Engineering
– IDEF3 : プロセス・フローを表現するプロセス記述獲得手法
• 1993年 IDEF0と1XがNISTのFIPS183,184として制定された
– NIST : National Institute of Standards and Technology
– FIPS : Federal Information Processing Standard
– IDEF(新) : Integration DEFinition
2013/5/27 有限会社ジール 4
現在活用されているIDEF
• IDEF0:アクティビティ・モデリング手法
– IDEF0は、60年代末にSADT(Structure Analysis and Design Techology)としてMIT
で開発され,その後前述のICAMプロジェクトの標準として採用されIDEF0手法と
なっている。
– IDEF0手法は現在もそれに勝る手法は無いと高く評価されている。
• IDEF1X:情報/データ・モデリング手法
– IDEF1Xは1983年ごろ当初のIDEF1をデータベース設計用に拡張されIDEF1X:情報
/データ・モデリング手法となっている。
– 当初のIDEF1は、1960年代から盛んに使われていたエンティティ・リレーション方
式の多数のデータ・モデリング手法をICAMプロジェクトで統合化し、情報モデリ
ング手法として開発した。
• IDEF3:プロセス記述獲得手法
– 1970年代から1980年代に盛んに活用されたIDEF0の実績から、IDEF0のアクティビティ・
(機能)モデルとプロセス・フロー・モデルを明確に分離した方が効率的と判断して開発さ
れた。
– IDEF0に比べ実務屋がより気楽に業務の実態を表現できる知識獲得手段として位
置づけられている。
IDEFは米連邦政府標準のBPR手
段
• 1990年代初期に、新たなIDEF3手法が開発されるとともに、IDEF0及
びIDEF1Xが米国連邦情報処理標準(FIPS183及び184)に制定された。
– FIPSでIDEF手法は、Integration DEFinition Method(統合化のための定義手法)に改
名された。
• 1990年ごろから米連邦政府では、新しい情報化時代に向けて情報統
合を中心とした業務改革活動が展開され、1990年代のCALS・BPR活動、
それに続くEA活動へと引き継がれ、着実な成果を生み出している。
• 連邦政府の業務効率とIDEF手法はこれらの活動の【情報統合】を促
進する枠組みと基本手段として今日も重要な役割を果たしている。
– 一時期モデリング手段がすべてUMLに置き換えられるような期待感も持たれてい
たが、最近はIDEFが利用者のためのモデリング手段であり、UMLはそこで描かれ
たモデルを情報システムのため統合する手段であるとの棲み分けが出来てきた
感じである。
2013/5/27 5有限会社ジール
IDEF0とは
• IDEF0は、機能モデリング手法とも呼ばれ、機能的側面から組織にお
けるアクティビティとアクティビティ間を結ぶ媒体との関係を図的
に表現する。
• IDEF0では、モデルのテーマである『主題』を最上位に、特定化され
た『目的』と『視点』のもと分割する階層構造を採っている。
• 用途としては、組織の現状業務の実態を把握し、業務に対する制約
や事実を認識した(As-Isモデル)上で、それら業務に必要な媒体
(経営資源)を統合化して、業務のあるべき姿(To-Beモデル)を描
き出す。
• IDEF0は、単にモデルの表記方法を規定しているだけでなく、モデル
の構築方法やモデル化を進める体制あるいはレビュー方式等を含む
総合的な手法を形成している。
• 手法が規定しているオーサー/リーダー・レビュー・サイクルでは、
価値観の異なる関係者が業務に関して共通に理解し、コンセンサス
造りを促進する。
2013/5/27 有限会社ジール 6
2013/5/27 有限会社ジール 7
IDEF0の表現形式
– ボックス・・・・アクティビティ(A)で動詞で表現する
– アロー・・・・・『もの』で名詞で表現する
• 入力(I)、制約(C)、出力(O)、機構(M)がある。
• アローを総称しICOMと呼ぶ。
– 5W1Hを明らかにする機能面で捉える。
– IDEF0ダイアグラムはシナリオを物語る。
• アクティビティ(A)は入力(I)を制約(C)に従い機構
(M)によって出力(O)に変換する。
2013/5/27 有限会社ジール 9
A-0(コンテキスト) ダイアグラムの図解
特殊部品を
製作する
A0
Top
CONTEXT:WORKING
DRAFT
RECOMMENDED
PUBLICATION
READER DATEAUTHOR:
PROJECT:
NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
DATE:
REV:
USED AT: 96.1.15
NODE: TITLE: NUMBER:
A-0
Marca
PMS
X
ジョブ完了
目標
品質標準
マニュアル
ワーク キット
マシン&ツール
搬出部品
ジョブ完了
予定
マシン ショップ
要員
目的 :マシン ショップの要員のためトレーニング マニュアルが書けるように
特殊部品の製作に関わる作業と、それらの作業間の関連を理解する。
視点 :特殊部品試作工場のマネージャ
DAM005
(DAM004)
境界条件
(コンテキスト) 主題
(サブジェクト)
視点
(ビューポイント)
目的
(パーパス)
2013/5/27 有限会社ジール 11
A0 ダイアグラムの図解
C1
ジョブ完了
目標
C2
品質標準
マニュアル
I1
ワーク キット
I2 マシン&ツール
O1
搬出部品O2
ジョブ完了
予定
M1
マシン ショップ
要員
CONTEXT:WORKING
DRAFT
RECOMMENDED
PUBLICATION
READER DATEAUTHOR:
PROJECT:
NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
DATE:
REV:
USED AT: 96.1.15
NODE: TITLE: NUMBER:特殊部品を 製作するA0
Marca
PMS
X
ジョブを
管理する
A1
ワーク キット
を完成する
A2
ジョブを
検査する
A3
合格シール
ジョブ
ステータス
設計図面
ジョブ計画
完了または
未完了ジョブ
原材料または未完成部品
合格したジョブ
不合格のジョブ
タグ付部品
合格したが
未完成のジョブ
監督
機械工
検査員
DAM006
(DAM003)
スクラップ
材料
ICOMの合流
(バンドル)
ICOMの分岐
(アンバンドル)
CとOのない
ボックスは不可
機能の分割
(デコンポジション)
3~6個への分割
ICOMの継承
(インヘリット)
2013/5/27 有限会社ジール 15
データリストとアクティビティリストの図解
データリスト
ワークキット
ジョブ指図
設計図面
タイムカード
原材料
受入ベンチ
未完成ジョブ
機械加工ステップ
注意書き
時間予測
加工ツール
操作
道具入れ
カッター
クランプ
手道具
品質レベル
検査手順書
標準マニュアル
部品タグ
合格シール
搬出ベンチ
スクラップ瓶
詳細計画
アク
ジョブを管理する
キットを
完成させる
ティビティリスト
ジョブを受付る
ジョブを割当る
ワークキットをレビューする
操作シーケンスを比較する
詳細な操作を展開する
注意書きを作る
機械加工ツールを準備する
他の道具を選ぶ
検査レートを決める
ジョブを検査する
ジョブをはじく
ジョブを承認する
タグを付ける
承認する
部品を返却する
サインする
スクラップ保持する
進行中の作業をモニターする
時間予測を更新する
ジ ョ ブ を検査する
CONTEXT:WORKING
DRAFT
RECOMMENDED
PUBLICATION
READER DATEAUTHOR:
PROJECT:
NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
DATE:
REV:
USED AT:
4/14 /8
6
M arca
PM S
X
NODE: TITLE: NUMBER:
PM S/A 0 特殊部品を製作する
DAM001
実態に即した『もの』
をデータリストとして拾う
類似のものをグルー
プ化し、抽象化さ
れた名前をつける
類似の活動をグループ
化し、抽象化された
活動名をつける
実際行われている
『行動』をアクティビティ
リストとして拾う
抽象化された活動が
3つから6つになるまで
グループ化を繰返す
2013/5/27 有限会社ジール 18
IDEF0表現によるレビューの進め方
I1
専門の知識
O 1
発行される
モデル
C1
プロジェクト
の計画と目標
CONTEXT:WORKING
DRAFT
RECOMMENDED
PUBLICATION
READER DATEAUTHOR:
PROJECT:
NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
DATE:
REV:
USED AT:
5/31/86
NODE: TITLE
:
NUMBER:
IDEF0を 実践する
Ma rca
本
X
インタビュー
する
A1 オーサリング
する
A2
配布する
A3
検証する
A4 承認する
A5
情報ニーズシステム
の事実
エキスパート
オーサ
ライブラリアン リーダ
技術レビュー委員会
ダイアグラム、モデル、キット
喚起
レビュー用
のキット
コメント付キット
プロセス/A0
コメント付キット
承認状態
レビューへのモデルおよび
リーダからのコメントは必ず
ライブラリアンを経由して
2013/5/27 有限会社ジール 19
IDEF0モデリングで得られる成果
• 現状業務の仕組みを共通理解する(As-Isモデル)
– 各業務への隠れた(暗黙)制約や事実を明確にする。
– 各関係者で各業務の役割をお互いに正しく理解する。
– 業務の重複あるいは欠落を発見し合意形成する。
• As-Isモデルで識別された『もの』の概念を情報統合のため情報モデ
リング(IDEF1X)に引き渡す。
• 情報モデリングによって構造化された『もの』の概念に沿って業務
のあるべき姿を体系的に描き出す(To-Beモデル)。
– 定義の曖昧な業務や欠けている業務を補充する。
– 業務の重要性や情報統合結果で仕組みを再編成する。
• 共通理解されたあるいはあるべき姿のアクティビティ・モデルを基盤として
各種マネージメントに活用する。
– 用語集や業務規定を整備する。
– 活動基準原価法(ABC)やバランスド・スコア・カード(BSC)の基盤に活用する
– その他多種多様な(品質、安全、人材、財務・・)マネージメントの基盤として活用
する。
– ITシステム化の情報基盤として活用する。
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 20
IDEF3の基本
• IDEF3は、IDEF0をより効果的に活用するため開発された。
– IDEF0は業務の理解を共有化し改革を進めていく上で大変強力な手段で
あり今日でも高く評価されている。
– しかしIDEF0モデルを描くには、その業務知識の充足とモデルとしての
まとめにはそれなりのセンスが求められ、モデルの作成は必ずしも容
易ではない。
– IDEF3は、IDEF0によるモデル化に先立ち必要な業務知識を得るため作業の
流れで業務を記述できるプロセス記述獲得手法として開発された。
• IDEF3は1980年代後半にその必要性が議論され、1992
年に米空軍のIICEプロジェクトで開発され、第1版が発表された。
• その後並行的に開発が進められたIDEF5:オントロジー獲得手法と合体さ
れたIDEF3の拡張版が1995年に発表されている。
• IDEF3は開発目的であったプロセス記述獲得のためだけではなく、
業務の自動化を推進するワークフローモデル構築手法としても幅広
く活用できる。
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 21
IDEF3の2つの表現形式
• プロセス中心の表現
– プロセスフロー図(PFD)
• オブジェクト中心の表現
– オブジェクト状態遷移ネットワーク図(OSTN)
1
2
3 4 5
X X
資材を要求する
既存の供給元
に発注する
見積もりを
要求する
見積もりを
評価する
新しい供給元
に発注する
購買申請
フォーム
調達仕様署
のドラフト
承認された
調達仕様書
購入仕様を
承認する
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 22
IDEF3:プロセス・フロー図の例
入札を
受付ける
4.1 A4312
入札を
募集する
3.1 A4311
新規供給者
仕様を
開発する
6.1 A14
既存の
取引先へ
発注する
2.1 A22
X
J1
資材の
調達を
依頼する
1.1
L5
L4L3L8L2
L1L7
注釈 /
取引
先リスト
プロセス
影つきは分割有
レファレント
ジャンクション
矢印
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 24
UOBの詳述(エラボレーション)と分割
ふるまいの単位
(UOB)
UOB#
UOBラベル:
UOB参照番号:
オブジェクト:
事実:
制約:
説明:
分割 詳述(エラボレーション)
& &
1
2
3
Aをする
Bの行動
Cをする
UOBは階層に分割できる
UOBや結合ボックスはエラボレーションによって
それに関わるコンセプトを割当てる
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 29
プロセス・フロー図のジャンクション・タイプ
• ジャンクションには分岐/合流に対してそのタイミングの表記法が
決められている。
非同期 And — すべての先行(ま
たは後続)アクションが完了(ま
たは開始)しなくてはならない。
& &
同期And —すべての先行(または後
続)アクションが同時に完了(または
開始)しなくてはならない。
非同期 Or —1つまたは複数
の先行(または後続)アクショ
ンが完了(または開始)しなく
てはならない。
同期Or —1つまたは複数の先
行(または後続)アクションが
同時に完了(または開始)しな
くてはならない。
OO
X
排他Or — ちょうど1つの先行
(または後続)アクションが同時に
完了(または開始)しなくてはなら
ない。
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 30
IDEF3におけるオブジェクト状態遷移図(OSTN)
のびた髪
散髪した
髪
見よい
髪型の髪
醜い
髪型の髪
UOB
顧客が散髪用
椅子に座る
2
UOB
理容師が顧客
の髪を刈る
4
UOB
顧客が結果を
確かめる
9
UOB
顧客が料金を
レジ係に支払う
6
UOB
顧客が結果を
確かめる
9
UOB
顧客が料金を
レジ係に支払う
6
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 31
IDEF3によるプロセス記述獲得の手順
• エキスパートにインタビューし、そのインタビュー結果を文章で解
説的に記述する。
• 記述された文章を分析し、そこに登場する動作、もの(オブジェクト)、
事実あるいは制約を拾い出しリスト化する。
• 動作を時間的関係で並べ、分岐や合流と組み合せてプロセス・フロー図を
作成する。
• 各動作や分岐/合流にコンセプト(オブジェクト、事実、制約)を関連付け、
詳述に割当てる。(エラボレーション)
• プロセスフロー図として体系を整える。-->IDEF0へ
– 用語の統一、グループ化、抽象化
– 動作のグループ化、抽象化、階層化
• コンセプトをオブジェクト、状態あるいは属性等に層別し、プロセス中心のモデ
ルからオブジェクト中心のモデル(IDEF1X)へ発展させる。
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 32
インタビュー結果の文章記述の例
• その理髪店には2人の理容師がおり、それぞれが散髪するための椅
子を持っている。 また顧客が待っている間利用する4つの椅子が
ある。
• さらに、店には机上で働くレジ係と待合中の顧客が見る雑誌を入
れるマガジン・ラックがある。
• 顧客が到着した時、理容師が空いていれば、その顧客は散髪用の椅
子に座り、散髪を始める。
• さもなければ理容師が空くまで待合椅子で待つ。 待っている顧客
はその間、ラックから雑誌を取り出しそれを読むかもしれない。
• しかし、どの理容師も空いていなく、かつすべての待ち椅子もふ
さがっているなら、客は『がっかりして』立ち去る。
• 散髪が終わった顧客は、レジ係にお金を支払った後立ち去る。
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 33
動作、オブジェクト、事実/制約の抽出例
・動作
- 顧客が到着する
- 顧客が散髪用椅子に座る
- 顧客が待合い椅子で待つ
- 理容師が顧客の髪を切る
- 顧客ががっかりして帰る
- 顧客が支払いをする
- 顧客が立ち去る
- 顧客が雑誌を読む
・事実または制約
- 2人の理容師
- 2つの散髪用椅子
- 4つの待合い椅子
- 理容師が散髪出来るか空いている
- 理容師も椅子も使えない
・オブジェクト
- 顧客
- 理髪店
- 散髪用椅子
- 理容師
- 待合い椅子
- レジ係
- 必要な散髪
- 雑誌
- マガジン・ラック
理髪店例のプロセス・フロー図
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 35
IDEF3:プロセス記述獲得手法の役割
• 第1の用途はその手法名が示す通りIDEF0によるBPRの推進等の前段
としての業務の実態把握のための手段である。(Pre-IDEF0)
– エキスパートが業務の実態を表現するときは作業の手順を時間軸に沿って解説するの
が一般であり、最初からその業務は何のため、どのような方法で、何をどうし
ているかを説明するのは難しい。IDEF3はこのような時間軸に沿った作業の流れ
とそれに必要な資源その他(オブジェクト)をそのまま気楽に表現出来る。
• IDEF3はIDEF0に先立つ業務知識獲得の他に、得られた業務のあるべ
き姿(To-Beモデル)を具現化し、自動化するための動的プロセス・モデル
の設計手法としても幅広く活用される。(Post-IDEF0)
– 業務遂行のための作業手順書の記述。
– 作業の流れを自動化するワークフロー・モデルの設計
– 業務遂行の負荷予測やコスト分析を行うビジネス・シミュレーション・モデルの構築
– 従来ギャップが大きかったIDEF0:機能モデリングとIDEF1X:データモデリングの補完的役
割
– プロジェクト管理のためのタスク・フローへの適用
• 更にIDEF3は昨今のオブジェクト指向技術活用による業務知識のモジュール
化のための役割もになっている。
IDEF0とIDEF3の違い
• IDEF0は機能的視点での業務遂行の単位(機能モジュー
ル)を表す静的なモデルである。
– ボックスは業務の機能的単位
– アローは機能間を結合する媒体
– 疑似的のシミュレーションが体験できる
• IDEF3は作業的視点で業務追行の流れ(ワークフロー)
を表す動的なモデルである。
– ボックスは業務の作業的単位
– アローは最初は時間的順序関係
– 動的シミュレーションのベースとなる
2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 37
IDEF0とIDEF3の連携
注文を
登録するA1
受注を
処理するA2
完成した
注文書
製品を
出荷する A3
出荷
指示書
顧客の
注文
出荷
製品
製品
を売る A0
顧客の注文 出荷製品
A-0
A1
A0
A2 A3
業務モデル化の前に
ビジネス実態の把握
業務モデル化の後で
ビジネスプロセスの設計
(ワークフロー)
IDEF0による
業務モデル化/体系化

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  • 2. ビジネス・モデリング手法:IDEF • IDEF手法は、1970年代初期の米空軍のICAMプロジェクトで 利用者の合意形成手段として発表されたモデリング手法群であ る。 – このICAMプロジェクトは空軍使用機材の製造にコンピュータを活用して効率化 する事を目指した。 – この効率化を追求の結果、「効果的なコンピューター・システムを活用には、 それを運用する人間系の認識合わせが最も重要」との結論に至り、3つのID EF手法が誕生した。 – IDEF0:アクティビティ・モデリング – IDEF1:情報モデリング – IDEF2:シミュレーション・モデリング) – 当初のIDEFは、Icam DEFinitionの略であった。 • IDEF1手法は1980年代に、リレーショナル・データベースの設計 (実装設計)まで包含するIDEF1Xに拡張された。 – 日本ではこの拡張されたIDEF1Xを中心にIDEF手法を情報システム開発の手段と理解さ れている。 – IDEFは、1990年代になりIDEF3の拡充などを経て米連邦政府 における標準のBPR手段となっている 2013/5/27 2有限会社ジール
  • 3. 2013/5/27 有限会社ジール 3 IDEFの主な生立ち • 1973年 米空軍にてICAMプロジェクト発足 – ICAM : Integrated Computer-Aided Manufacturing • 1975年 IDEF0、1、2をIDEF手法として発表 – IDEF(旧) : ICAM DEFnition – IDEF0 : SADT(構造化分析設計手法)を基にしたアクティビティ・モデリング手法 – IDEF1 : エンティティ・リレーション(ER)方式の情報モデリング手法 – IDEF2 : シミュレーション・モデリング手法-現在あまり使われていない • 1983年 IISSプロジェクトにてIDEF1X(IDEF1の拡張)の発表 – IISS : Integration Information Support System – IDEF1X : IDEF1をRDB設計用に拡張した情報/データ・モデリング手法 • 1993年 米空軍のIICEプログラムにて、IDEF3を発表 – IICE : Information Integration for Concurrent Engineering – IDEF3 : プロセス・フローを表現するプロセス記述獲得手法 • 1993年 IDEF0と1XがNISTのFIPS183,184として制定された – NIST : National Institute of Standards and Technology – FIPS : Federal Information Processing Standard – IDEF(新) : Integration DEFinition
  • 4. 2013/5/27 有限会社ジール 4 現在活用されているIDEF • IDEF0:アクティビティ・モデリング手法 – IDEF0は、60年代末にSADT(Structure Analysis and Design Techology)としてMIT で開発され,その後前述のICAMプロジェクトの標準として採用されIDEF0手法と なっている。 – IDEF0手法は現在もそれに勝る手法は無いと高く評価されている。 • IDEF1X:情報/データ・モデリング手法 – IDEF1Xは1983年ごろ当初のIDEF1をデータベース設計用に拡張されIDEF1X:情報 /データ・モデリング手法となっている。 – 当初のIDEF1は、1960年代から盛んに使われていたエンティティ・リレーション方 式の多数のデータ・モデリング手法をICAMプロジェクトで統合化し、情報モデリ ング手法として開発した。 • IDEF3:プロセス記述獲得手法 – 1970年代から1980年代に盛んに活用されたIDEF0の実績から、IDEF0のアクティビティ・ (機能)モデルとプロセス・フロー・モデルを明確に分離した方が効率的と判断して開発さ れた。 – IDEF0に比べ実務屋がより気楽に業務の実態を表現できる知識獲得手段として位 置づけられている。
  • 5. IDEFは米連邦政府標準のBPR手 段 • 1990年代初期に、新たなIDEF3手法が開発されるとともに、IDEF0及 びIDEF1Xが米国連邦情報処理標準(FIPS183及び184)に制定された。 – FIPSでIDEF手法は、Integration DEFinition Method(統合化のための定義手法)に改 名された。 • 1990年ごろから米連邦政府では、新しい情報化時代に向けて情報統 合を中心とした業務改革活動が展開され、1990年代のCALS・BPR活動、 それに続くEA活動へと引き継がれ、着実な成果を生み出している。 • 連邦政府の業務効率とIDEF手法はこれらの活動の【情報統合】を促 進する枠組みと基本手段として今日も重要な役割を果たしている。 – 一時期モデリング手段がすべてUMLに置き換えられるような期待感も持たれてい たが、最近はIDEFが利用者のためのモデリング手段であり、UMLはそこで描かれ たモデルを情報システムのため統合する手段であるとの棲み分けが出来てきた 感じである。 2013/5/27 5有限会社ジール
  • 6. IDEF0とは • IDEF0は、機能モデリング手法とも呼ばれ、機能的側面から組織にお けるアクティビティとアクティビティ間を結ぶ媒体との関係を図的 に表現する。 • IDEF0では、モデルのテーマである『主題』を最上位に、特定化され た『目的』と『視点』のもと分割する階層構造を採っている。 • 用途としては、組織の現状業務の実態を把握し、業務に対する制約 や事実を認識した(As-Isモデル)上で、それら業務に必要な媒体 (経営資源)を統合化して、業務のあるべき姿(To-Beモデル)を描 き出す。 • IDEF0は、単にモデルの表記方法を規定しているだけでなく、モデル の構築方法やモデル化を進める体制あるいはレビュー方式等を含む 総合的な手法を形成している。 • 手法が規定しているオーサー/リーダー・レビュー・サイクルでは、 価値観の異なる関係者が業務に関して共通に理解し、コンセンサス 造りを促進する。 2013/5/27 有限会社ジール 6
  • 7. 2013/5/27 有限会社ジール 7 IDEF0の表現形式 – ボックス・・・・アクティビティ(A)で動詞で表現する – アロー・・・・・『もの』で名詞で表現する • 入力(I)、制約(C)、出力(O)、機構(M)がある。 • アローを総称しICOMと呼ぶ。 – 5W1Hを明らかにする機能面で捉える。 – IDEF0ダイアグラムはシナリオを物語る。 • アクティビティ(A)は入力(I)を制約(C)に従い機構 (M)によって出力(O)に変換する。
  • 8. 2013/5/27 有限会社ジール 9 A-0(コンテキスト) ダイアグラムの図解 特殊部品を 製作する A0 Top CONTEXT:WORKING DRAFT RECOMMENDED PUBLICATION READER DATEAUTHOR: PROJECT: NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 DATE: REV: USED AT: 96.1.15 NODE: TITLE: NUMBER: A-0 Marca PMS X ジョブ完了 目標 品質標準 マニュアル ワーク キット マシン&ツール 搬出部品 ジョブ完了 予定 マシン ショップ 要員 目的 :マシン ショップの要員のためトレーニング マニュアルが書けるように 特殊部品の製作に関わる作業と、それらの作業間の関連を理解する。 視点 :特殊部品試作工場のマネージャ DAM005 (DAM004) 境界条件 (コンテキスト) 主題 (サブジェクト) 視点 (ビューポイント) 目的 (パーパス)
  • 9. 2013/5/27 有限会社ジール 11 A0 ダイアグラムの図解 C1 ジョブ完了 目標 C2 品質標準 マニュアル I1 ワーク キット I2 マシン&ツール O1 搬出部品O2 ジョブ完了 予定 M1 マシン ショップ 要員 CONTEXT:WORKING DRAFT RECOMMENDED PUBLICATION READER DATEAUTHOR: PROJECT: NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 DATE: REV: USED AT: 96.1.15 NODE: TITLE: NUMBER:特殊部品を 製作するA0 Marca PMS X ジョブを 管理する A1 ワーク キット を完成する A2 ジョブを 検査する A3 合格シール ジョブ ステータス 設計図面 ジョブ計画 完了または 未完了ジョブ 原材料または未完成部品 合格したジョブ 不合格のジョブ タグ付部品 合格したが 未完成のジョブ 監督 機械工 検査員 DAM006 (DAM003) スクラップ 材料 ICOMの合流 (バンドル) ICOMの分岐 (アンバンドル) CとOのない ボックスは不可 機能の分割 (デコンポジション) 3~6個への分割 ICOMの継承 (インヘリット)
  • 10. 2013/5/27 有限会社ジール 15 データリストとアクティビティリストの図解 データリスト ワークキット ジョブ指図 設計図面 タイムカード 原材料 受入ベンチ 未完成ジョブ 機械加工ステップ 注意書き 時間予測 加工ツール 操作 道具入れ カッター クランプ 手道具 品質レベル 検査手順書 標準マニュアル 部品タグ 合格シール 搬出ベンチ スクラップ瓶 詳細計画 アク ジョブを管理する キットを 完成させる ティビティリスト ジョブを受付る ジョブを割当る ワークキットをレビューする 操作シーケンスを比較する 詳細な操作を展開する 注意書きを作る 機械加工ツールを準備する 他の道具を選ぶ 検査レートを決める ジョブを検査する ジョブをはじく ジョブを承認する タグを付ける 承認する 部品を返却する サインする スクラップ保持する 進行中の作業をモニターする 時間予測を更新する ジ ョ ブ を検査する CONTEXT:WORKING DRAFT RECOMMENDED PUBLICATION READER DATEAUTHOR: PROJECT: NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 DATE: REV: USED AT: 4/14 /8 6 M arca PM S X NODE: TITLE: NUMBER: PM S/A 0 特殊部品を製作する DAM001 実態に即した『もの』 をデータリストとして拾う 類似のものをグルー プ化し、抽象化さ れた名前をつける 類似の活動をグループ 化し、抽象化された 活動名をつける 実際行われている 『行動』をアクティビティ リストとして拾う 抽象化された活動が 3つから6つになるまで グループ化を繰返す
  • 11. 2013/5/27 有限会社ジール 18 IDEF0表現によるレビューの進め方 I1 専門の知識 O 1 発行される モデル C1 プロジェクト の計画と目標 CONTEXT:WORKING DRAFT RECOMMENDED PUBLICATION READER DATEAUTHOR: PROJECT: NOTES: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 DATE: REV: USED AT: 5/31/86 NODE: TITLE : NUMBER: IDEF0を 実践する Ma rca 本 X インタビュー する A1 オーサリング する A2 配布する A3 検証する A4 承認する A5 情報ニーズシステム の事実 エキスパート オーサ ライブラリアン リーダ 技術レビュー委員会 ダイアグラム、モデル、キット 喚起 レビュー用 のキット コメント付キット プロセス/A0 コメント付キット 承認状態 レビューへのモデルおよび リーダからのコメントは必ず ライブラリアンを経由して
  • 12. 2013/5/27 有限会社ジール 19 IDEF0モデリングで得られる成果 • 現状業務の仕組みを共通理解する(As-Isモデル) – 各業務への隠れた(暗黙)制約や事実を明確にする。 – 各関係者で各業務の役割をお互いに正しく理解する。 – 業務の重複あるいは欠落を発見し合意形成する。 • As-Isモデルで識別された『もの』の概念を情報統合のため情報モデ リング(IDEF1X)に引き渡す。 • 情報モデリングによって構造化された『もの』の概念に沿って業務 のあるべき姿を体系的に描き出す(To-Beモデル)。 – 定義の曖昧な業務や欠けている業務を補充する。 – 業務の重要性や情報統合結果で仕組みを再編成する。 • 共通理解されたあるいはあるべき姿のアクティビティ・モデルを基盤として 各種マネージメントに活用する。 – 用語集や業務規定を整備する。 – 活動基準原価法(ABC)やバランスド・スコア・カード(BSC)の基盤に活用する – その他多種多様な(品質、安全、人材、財務・・)マネージメントの基盤として活用 する。 – ITシステム化の情報基盤として活用する。
  • 13. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 20 IDEF3の基本 • IDEF3は、IDEF0をより効果的に活用するため開発された。 – IDEF0は業務の理解を共有化し改革を進めていく上で大変強力な手段で あり今日でも高く評価されている。 – しかしIDEF0モデルを描くには、その業務知識の充足とモデルとしての まとめにはそれなりのセンスが求められ、モデルの作成は必ずしも容 易ではない。 – IDEF3は、IDEF0によるモデル化に先立ち必要な業務知識を得るため作業の 流れで業務を記述できるプロセス記述獲得手法として開発された。 • IDEF3は1980年代後半にその必要性が議論され、1992 年に米空軍のIICEプロジェクトで開発され、第1版が発表された。 • その後並行的に開発が進められたIDEF5:オントロジー獲得手法と合体さ れたIDEF3の拡張版が1995年に発表されている。 • IDEF3は開発目的であったプロセス記述獲得のためだけではなく、 業務の自動化を推進するワークフローモデル構築手法としても幅広 く活用できる。
  • 14. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 21 IDEF3の2つの表現形式 • プロセス中心の表現 – プロセスフロー図(PFD) • オブジェクト中心の表現 – オブジェクト状態遷移ネットワーク図(OSTN) 1 2 3 4 5 X X 資材を要求する 既存の供給元 に発注する 見積もりを 要求する 見積もりを 評価する 新しい供給元 に発注する 購買申請 フォーム 調達仕様署 のドラフト 承認された 調達仕様書 購入仕様を 承認する
  • 15. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 22 IDEF3:プロセス・フロー図の例 入札を 受付ける 4.1 A4312 入札を 募集する 3.1 A4311 新規供給者 仕様を 開発する 6.1 A14 既存の 取引先へ 発注する 2.1 A22 X J1 資材の 調達を 依頼する 1.1 L5 L4L3L8L2 L1L7 注釈 / 取引 先リスト プロセス 影つきは分割有 レファレント ジャンクション 矢印
  • 16. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 24 UOBの詳述(エラボレーション)と分割 ふるまいの単位 (UOB) UOB# UOBラベル: UOB参照番号: オブジェクト: 事実: 制約: 説明: 分割 詳述(エラボレーション) & & 1 2 3 Aをする Bの行動 Cをする UOBは階層に分割できる UOBや結合ボックスはエラボレーションによって それに関わるコンセプトを割当てる
  • 17. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 29 プロセス・フロー図のジャンクション・タイプ • ジャンクションには分岐/合流に対してそのタイミングの表記法が 決められている。 非同期 And — すべての先行(ま たは後続)アクションが完了(ま たは開始)しなくてはならない。 & & 同期And —すべての先行(または後 続)アクションが同時に完了(または 開始)しなくてはならない。 非同期 Or —1つまたは複数 の先行(または後続)アクショ ンが完了(または開始)しなく てはならない。 同期Or —1つまたは複数の先 行(または後続)アクションが 同時に完了(または開始)しな くてはならない。 OO X 排他Or — ちょうど1つの先行 (または後続)アクションが同時に 完了(または開始)しなくてはなら ない。
  • 18. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 30 IDEF3におけるオブジェクト状態遷移図(OSTN) のびた髪 散髪した 髪 見よい 髪型の髪 醜い 髪型の髪 UOB 顧客が散髪用 椅子に座る 2 UOB 理容師が顧客 の髪を刈る 4 UOB 顧客が結果を 確かめる 9 UOB 顧客が料金を レジ係に支払う 6 UOB 顧客が結果を 確かめる 9 UOB 顧客が料金を レジ係に支払う 6
  • 19. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 31 IDEF3によるプロセス記述獲得の手順 • エキスパートにインタビューし、そのインタビュー結果を文章で解 説的に記述する。 • 記述された文章を分析し、そこに登場する動作、もの(オブジェクト)、 事実あるいは制約を拾い出しリスト化する。 • 動作を時間的関係で並べ、分岐や合流と組み合せてプロセス・フロー図を 作成する。 • 各動作や分岐/合流にコンセプト(オブジェクト、事実、制約)を関連付け、 詳述に割当てる。(エラボレーション) • プロセスフロー図として体系を整える。-->IDEF0へ – 用語の統一、グループ化、抽象化 – 動作のグループ化、抽象化、階層化 • コンセプトをオブジェクト、状態あるいは属性等に層別し、プロセス中心のモデ ルからオブジェクト中心のモデル(IDEF1X)へ発展させる。
  • 20. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 32 インタビュー結果の文章記述の例 • その理髪店には2人の理容師がおり、それぞれが散髪するための椅 子を持っている。 また顧客が待っている間利用する4つの椅子が ある。 • さらに、店には机上で働くレジ係と待合中の顧客が見る雑誌を入 れるマガジン・ラックがある。 • 顧客が到着した時、理容師が空いていれば、その顧客は散髪用の椅 子に座り、散髪を始める。 • さもなければ理容師が空くまで待合椅子で待つ。 待っている顧客 はその間、ラックから雑誌を取り出しそれを読むかもしれない。 • しかし、どの理容師も空いていなく、かつすべての待ち椅子もふ さがっているなら、客は『がっかりして』立ち去る。 • 散髪が終わった顧客は、レジ係にお金を支払った後立ち去る。
  • 21. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 33 動作、オブジェクト、事実/制約の抽出例 ・動作 - 顧客が到着する - 顧客が散髪用椅子に座る - 顧客が待合い椅子で待つ - 理容師が顧客の髪を切る - 顧客ががっかりして帰る - 顧客が支払いをする - 顧客が立ち去る - 顧客が雑誌を読む ・事実または制約 - 2人の理容師 - 2つの散髪用椅子 - 4つの待合い椅子 - 理容師が散髪出来るか空いている - 理容師も椅子も使えない ・オブジェクト - 顧客 - 理髪店 - 散髪用椅子 - 理容師 - 待合い椅子 - レジ係 - 必要な散髪 - 雑誌 - マガジン・ラック
  • 23. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 35 IDEF3:プロセス記述獲得手法の役割 • 第1の用途はその手法名が示す通りIDEF0によるBPRの推進等の前段 としての業務の実態把握のための手段である。(Pre-IDEF0) – エキスパートが業務の実態を表現するときは作業の手順を時間軸に沿って解説するの が一般であり、最初からその業務は何のため、どのような方法で、何をどうし ているかを説明するのは難しい。IDEF3はこのような時間軸に沿った作業の流れ とそれに必要な資源その他(オブジェクト)をそのまま気楽に表現出来る。 • IDEF3はIDEF0に先立つ業務知識獲得の他に、得られた業務のあるべ き姿(To-Beモデル)を具現化し、自動化するための動的プロセス・モデル の設計手法としても幅広く活用される。(Post-IDEF0) – 業務遂行のための作業手順書の記述。 – 作業の流れを自動化するワークフロー・モデルの設計 – 業務遂行の負荷予測やコスト分析を行うビジネス・シミュレーション・モデルの構築 – 従来ギャップが大きかったIDEF0:機能モデリングとIDEF1X:データモデリングの補完的役 割 – プロジェクト管理のためのタスク・フローへの適用 • 更にIDEF3は昨今のオブジェクト指向技術活用による業務知識のモジュール 化のための役割もになっている。
  • 24. IDEF0とIDEF3の違い • IDEF0は機能的視点での業務遂行の単位(機能モジュー ル)を表す静的なモデルである。 – ボックスは業務の機能的単位 – アローは機能間を結合する媒体 – 疑似的のシミュレーションが体験できる • IDEF3は作業的視点で業務追行の流れ(ワークフロー) を表す動的なモデルである。 – ボックスは業務の作業的単位 – アローは最初は時間的順序関係 – 動的シミュレーションのベースとなる
  • 25. 2006/12/5 有限会社ジール 松本 巖 37 IDEF0とIDEF3の連携 注文を 登録するA1 受注を 処理するA2 完成した 注文書 製品を 出荷する A3 出荷 指示書 顧客の 注文 出荷 製品 製品 を売る A0 顧客の注文 出荷製品 A-0 A1 A0 A2 A3 業務モデル化の前に ビジネス実態の把握 業務モデル化の後で ビジネスプロセスの設計 (ワークフロー) IDEF0による 業務モデル化/体系化