REBOKを社内展開する際の障壁

REBOKを社内で
展開する際の障壁
ＭＲＴコンサルティング
鈴木三紀夫
2014/2/19

自己紹介
•

委員会等

•

雑誌

Web

NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER) 理事
日本ソフトウェアテスト資格認定委員会(JSTQB) 技術委員会副委員長
ソフトウェアテストシンポジウム(JaSST) 東京実行委員
日本科学技術連盟ソフトウェア品質委員会(SQiP) ステアリング委員
ソフトウェア品質知識体系(SQuBOK) 策定部会
ISO/IEC JTC1/SC7 WG26（ソフトウェアテスト）国内委員会エキスパート
情報サービス産業協会(JISA) 要求工学知識体系策定WG
派生開発推進協議会運営委員

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ソフトウエア・テスト

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テストエンジニアの視点で読み解く「発注者ビューガイドライン」（gihyo.jp）
新人注目！テストを極める最初の一歩（gihyo.jp）
テストリーダへの足がかり，最初の一歩（gihyo.jp）
だれも教えてくれなかった外部設計の「極意」（ITPro）
Ｗモデルに関する悩み相談（ソフトウェア品質の本音、SQiP）

© 2014 Mikio Suzuki All rights reserved.

PRESS
PRESS
PRESS
PRESS
PRESS
PRESS

Vol.2「三色ボールペンで読む仕様書」
Vol.3～5「マインドマップから始めるテスト設計」
Vol.6～7「テストエンジニアのためのデータモデリング入門」
Vol.7～8「シナリオアプローチによる仕様分析」
Vol.4～9、総集編「ソフトウェアテスト技法道場」
Vol.10「テスト計画書のアンチパターン」

1

自己紹介
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書籍

講演

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マインドマップから始めるソフトウェアテスト（共著）
ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation（共著）
ソフトウェアテスト入門押さえておきたい<<要点・重点>>（共著）
発注者ビューガイドラインに学ぶ失敗しない外部設計（共著）
高信頼化ソフトウェアのための開発手法ガイドブック（共著）
要求工学知識体系（共著）

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Using MindMap for Software Testing Activities
（2007 ASTA Software Testing Conference & Tutorials (KOREA)）
三色ボールペンとマインドマップの活用（JaSST'07 Osaka）
テストをもっと創造的に分析・設計エクササイズ（JaSST'08 Sapporo)
マインドマップによるテストの分析と設計（JaSST'09 Shikoku）
マインドマップを使ったテスト分析＆テスト設計（JaSST'09 Tokai）
Ｗモデルの実践を目指して（SQiPシンポジウム2011）
日本科学技術連盟 SQiP研究会ソフトウェア工学演習コース講師（2007～11）
日本科学技術連盟 SQiP研究会ソフトウェアテスト演習コース講師（2009～11）
香川大学特別講座エンタープライズシステムの品質保証について（2009）
高品質ソフトウェア技術交流会(QuaSTOM) 講師(2011)
脱・初心者テスト技法チュートリアル（JaSST'12 Tokyo）

•

その他、企業のオンサイトでの講演多数

•


2

はじめに
• ＴＩＳで要件定義関連施策を行っていた経験に
基づいて話をします。(2007～2011)
• 主にREBOKをSIerに展開する際の注意点（壁）
を取り上げます。


3

流れ
• 最初に、現場でREBOK準拠の自社方法論を
展開するときに現れる様々な障壁を説明します。
• 次にプロセス、成果物、テクニック

4

プロセス

テクニック

成果物
5

プロセス

テクニック

成果物
6

１．要求工学プロセスについて
• （REBOKの要求工学プロセスをみて）
要求獲得から要求検証まで、ウォータフォール
のように進むものだ。


7

要求工学プロセス
REBOK
共通知識カテゴリ

要求の計画と管理
要求開発

要求獲得

獲得要求

要

要求分析

求

シ
ス

分析要求

テ

の
ム
源
泉

要求仕様化
REBOK
拡張知識
カテゴリ

構

要求仕様化

築

エンタープライズ分析
要求の検証・
妥当性確認・評価

プロダクト分析

要求工学プロセス
基礎知識

実践知識

実践の考慮点

要求工学の基礎


8

要求獲得


要求分析

要求仕様化

要求検証＆
妥当性確認

9

２．要求工学プロセスと開発工程
• （要求工学プロセスはウォーターフォールでは
ないことを受けて）
REBOKの要求工学プロセスは理解できるが、
現場の仕事のやり方と合わない。
• ＳＩビジネスはお客様のやり方に合わせること
が大半だ。本部が決めたプロセスは使えない。


10

社会・環境
顧客

政府・行政
顧客

地域

企業
ＣＥＯ

株主

業務、ユーザ
ＩＴシステム

サプライヤー

ＣＩＯ
ビジネスユーザ

ソフトウェア

EA Rep

オペレータ

社員
開発者

保守者

シグネチャー

Functional
Model

システム管理者
トランザクション

Component Operational
Model
Model
ユースケース
Business
Process Model
Business
Model
Economic
Model

ビジネス・イベント

取引

法律・コンプライアンス

Environmental
Model


11

ITアーキテクトサミット2009 日本IBM 榊原彰氏講演資料を参考に作成

要求獲得

要求分析

要求仕様化

要求検証＆
妥当性確認

経営
社会・環境
顧客
顧客接点
業務
システム境界
システム
運用
移行


12

要件定義
要求獲得

要求分析

業務
要件定義

要求検証＆
要求仕様化
妥当性確認

システム
要件定義

外部設計

経営
社会・環境
顧客
顧客接点
業務
システム境界
システム
運用
移行


13

３．要求工学プロセスと参画要員
• 要求工学プロセスは教科書的だ。工程が変わる
と要員も変わることが分かっていない。
• REBOKに書かれているような方法で要件定義を
実施したいのだが、お客様への見積には載せて
いない。超過コストは本部が持つのか。


14

確認

準備

獲得

引継

管理

分析

設定

検証

記述


15

コタツモデル
経営

周辺メンバ
中核メンバ

現場

情シス

16

要求開発アライアンスコタツモデルを参考にして作成

コタツモデル
最悪

現場のけ者

経営

現場

情シ

ＲＯＩダメ

現場


情シ

ハッピー
経営

経営

現場

経営

情シ

現場

情シ

17

ステークホルダー関連図
ケース１：

ケース３：

コンサル

経営
経営

委員会
現場
自社

現場

情シス

情シス

自社

同業他社

インフラ
アプリ

ケース２：

ケース４：
経営
経営

現場

情シス
現場

情シス

情報
子会社

自社

自社


18

パワーストラクチャー（人物相関図）
この例では以下のように
グループ間の対立

良好関係

同期

対立

○

ゴルフ
仲間

ゴルフ仲間

デシジョンライン
承認ルート

事業部長

当社に対する
態度

対立関係

○

－

営業部長

△

製造部長

情報システム部長

同期
△
営業課長

－
販促課長


×
設計課長

△
製造課長

○

×

システム課長運用課長
19

４．要求の全体像
• REBOKを読むと、「新規の要求」に焦点が当
たっているように思われる。ＳＩビジネスでは、
まったく新規の開発というのはほとんど無い。
これだけ見てもREBOKは使えない。


20

要求獲得

ビ
ジ
ネ
ス
（プ

改革・改善が
必要な領域

要求分析

範囲外
の要求
新
規
の
要
求

カット

新

シ
テ

ス

ジ
ェ
ク
現
行

行
業

シ

）の
目

テ
し
い

し
範

い

る

要
現
て

い
範

シ

範
現

て

（現
で

新

業
務
現

ど

現
り

範
囲
（確
定
）

す

囲
す
る

る

る

）

範

範

範

囲

囲

囲

現行
廃止
現行(AsIs)

現

実

お
囲

企画(ToBe)

実

現
す

囲
実

行

の

で

範

実

で

求

務

る

要

業

い

る

新囲
て

し

ス
ム

範

る
実

テ

る

す

し

求

囲

で

ム

新
囲

実
て

現

現

実
範

の

テ

す
る

で

実

で

黙

現
的

で
ス

現

暗
ム

ム

務

変
更

実

シ

実

求

で
・目

業

行

ス

新

で

要

務
標

新

現

現

ト

務

の

制約により実現
されない領域
新
シ
ス
テ
ム
で
実
現
す
る
範
囲

新
業

ロ

要求検証＆
妥当性確認

要求仕様化

実現案１

実現案２

比較検討

実現案３

選択された
実現案

確定した
実現案

当初の要求(AsIs)

21

要求開発・管理ベストプラクティスとその体系化の調査研究・・・CSKシステムズにおける要求定義と要件定義の事例を参考に作成

業務の範囲

カット

範囲外の要求
新規の要求

追加範囲
既存システムの範囲

既存システムで問題に
なっている機能 ≒
現行変更要求の源

範囲外
の要求
新
規
の
要
求

の

現
要
行
求
変
更
暗
黙

コア機能
の
要
求
（現
行
ど
お
り

利用していない機能
≒ 現行廃止要求の源

）
現行
廃止

要求の全体像


22

佐川博樹：「要求定義」の現場成功する要求分析と文書化のメカニズムを参考に作成

５．要求の状態遷移
• REBOKは初心者向けでは無い。
初心者に一番最初に何を伝えればよいのか。
• 要件定義を経験していない人が要件定義工程に
参画すると、要求変更に振り回されてしまう。
経験者はそれほど振り回されているようには
見えない。何か理由があるのか。


23

要求の状態遷移のイメージ
• 形の定まらないぶよぶよしたものが、固まるイメージ。
• 要求というものは成長するもの。
我々は要求の核を見つけ、それを成長させていく。
• 最初の要求は不純物が多くて使いものにならない。
精錬のように不純物を取り除く。
• 宝石のようなもので、原石を磨かないと本当の要求が
現れない。
• 要求は出世魚のように名前が変わるが、
本質的には同じもの。
• 要求は昆虫の変態のように一見すると全く異なるような
ものに変わることがある。

24

要求の状態遷移のイメージ
• 要求は日本刀を作るときのように鍛錬するイメージ。
• 要求は最初はぼやけているものだ。
我々は凸レンズで光を集めるように焦点をあてる。
• 最初の要求がぼやけているイメージは同じ。
しかし、私はピント合わせのように、ぼやけた像から
はっきりした像になっていくイメージを持っている。
• 要求は振り子が揺れているような状況から、
揺れが止まるようなイメージ。
• 要求は発酵物のように発酵させるもの。腐る要求もある。


25

６．要望、要求、要件
• 要件定義で大事なのは「要望、要求、要件」だ。
REBOKには書かれていないからダメだ。


26

外部環境
企業環境
システム化
構想立案
システム化
企画立案
要望

業務

要求

要件

BRS

システム

業務
要件定義
要望

要求

要件

ソフトウェア

BRS
システム
要件定義
要望

要求

要件

SysRS
ソフトウェア
要件定義
要望

要求

要件

SRS

BRS：Business Requirements Spec.、SysRS：System Requirements Spec.、SRS：Software Requirements Spec.
※要求工学では、基本的に「要求」を用いる。記述された要求は「要求仕様」を用いる。


共通フレーム2007第2版改訂情報7を参考に作成

27

要望、要求、要件
• 別紙参照


28

プロセス

テクニック

成果物
29

７．要件定義工程の成果物
• ＳＩビジネスはお客様指定の成果物を作らなけ
ればならない。本部が勝手に成果物を定義して
もそんなものは使えない。
• REBOKを読んでも成果物は作れないのでダメだ。
• 本部が成果物を決めてもらわないと困る。お客
様から当社の成果物を紹介して欲しいと言われ
ることが多いのだが、提案書に書けずに失注し
ている。何とかならないのか。


30

業務

＜人物相関図＞
同期

【課題定義】
目的

ねらい

課題状況目標解決

＜ステークホルダー一覧＞

＜業務ルール＞

対立

＜職務分掌＞

＜ゴール定義書＞

ゴルフ
仲間

＜業務ポリシー＞
【業務フロー】
【入出力概念設計】
（画面イメージ）

＜アクターマップ＞

システム

＜業務機能階層図＞

＜デシジョンテーブル＞
【業務機能要件】
業務機能

＜業務シナリオ＞
＜ユースケース＞

説明

＜アクセス・コントロール・リスト＞

【システム処理フロー】
（データフロー）

＜システム機能階層図＞

画
ロール面

名称
事前条件
事後条件

【システム機能一覧】

Who Why
【サブシステム構造図】
＜業務機能概念図＞

How

＜商品・サービス一覧＞

サブシステシステム機能
ム

What

【概念データモデル】

【論理データモデル】

Where When
【画面設計書】
（イベント設計）

＜用語集＞

【実行処理方式】（ロバストネス分析）

＜状態遷移表＞
【プラットフォーム構成】

状
イベント態

＜状態／データマトリクス＞

＜システム概念図＞

状
態
データ属性

【実行処理方式】（ジョブフロー）
0:00
8:00

＜状態遷移図＞
＜ロケーション一覧＞
＜業務サイクル＞
＜システム構成図＞

日月
次次
業務

＜業務イベントリスト＞
イベント

業務

＜業務スケジュール＞
４月


５月

６月

７月

31

プロセス

テクニック

成果物
32

８．成果物のレビュー
• お客様に要件定義書のレビューをやっていただ
いているのだが、レビュー担当の方が少なく、
どうしても漏れてしまう。自社である程度のレ
ビューを実施したいのだが、どうしたら良いか。


33

顧客
販売係
倉庫係
システム
顧客
販売係
倉庫係
システム
顧客
販売係
倉庫係
システム

To

顧客

販売係

倉庫係

システム

From
顧客

販売係

倉庫係

システム


34

誰が

イベント

入力

誰に

目的

出力

処理
事前状態

事後状態
環境

要求リスト

目的

誰が
どこで事前条件イベント
入力
(遂行者) （環境）（状態）
（トリガー）

処理
（動作）

出力

事後条件誰に
（状態） (受益者)

確認項目

35

業務機能レベル１：企画レベル２：商品計画

部署

入出力情報

No. レベル３

レベル４

説明

入力

出力

1

外部情報の収集

店長の耳目情報、業界紙などを収集す店舗（店長）
る
商品企画室

耳目情報
業界紙

メモ

2

商品動向の作成

商品動向を調査し、「商品動向概況」を商品企画室
作成する

メモ

商品動向概況

3

商品動向の配布

商品部担当に「商品動向概況」を配布
する

商品動向概況

商品動向概況（コ
ピー）

No.

外部情報の収集

業務機能
（処理）

目的

誰が

1

外部情報の収・自分でまとめ・企画室担当
集
る意図は？
以外に行う人
・商品動向をはいるのか？
まとめたレ
ポートがあれ
ば購入する？

2

商品動向の配・商品動向を
布
商品部の担当
に知らせれば
よいのか？
・コピーで配布
する目的は何
か？

環境

事前状態

イベント

・職場だけ？
・図書館とか
行く？
・現場でレポー
トまとめること
は？

・毎回、真っ新
の状態で行
う？
・前回の結果
を踏まえること
は？

・何をトリガー
に収集するの
か？
・毎回、同じト
リガーで行う
のか？

・外部情報が
そろっているこ
と以外に、事
前にやっておく
ことはある？

・外部情報収・メモ以外に使・商品動向概・商品動向概
集完了がトリうものはある況は何ページ況を作ればこ
ガー？
のか？
ぐらい？
の仕事を終え
てもよいの
・何らかのサイ
か？
クルはないの
か？

・商品動向概
況を企画室内
で見せ合うこと
はあるのか？

・配布に必要
な条件はある
のか？

・配布のトリ
・商品動向概
ガーは何か？況以外に使っ
ているものは
あるか？

・商品部の担
当以外に、配
布先が増える
可能性はある
のか？
・紙媒体だか
ら配布先が決
まっているの
か？

商品動向の作・商品部の担
成
当以外に商品
動向概況を使
うか？

3


商品企画室
商品部担当

・配布の環境
に、何かある
のか？

入力

出力

事後状態

誰に

・業界紙は何・メモ以外にま・何をもって、・収集した情報
紙見ているのとめることはあこのタスクを完レベルで誰か
か？
るか？
了するのか？に見せること
はあるのか？
・業界紙は新
聞だけ？雑誌
も？

紙で渡してい
る意味はある
のか？（紙に
コメントを書き
込んでいるた
めとか）

・商品動向概
況（コピー）を
渡し終わった
ら仕事を終え
て良いのか？

36

意地悪漢字
落
止

失

廃

無
滅

欠

捨
解

略

隠

裏

乱

切

消
飛

除

移

迷
散

壊
禁

減

稀

異

誤

違
不

未
降

急

縮

延
退

遅

衰
断


37

意地悪漢字
戻
間

中

限

外
周

返

替
変

再

独

表

差

特

端
全

代

片

満
微

優
超

過

共

連

交

続
合

同
分
別

割

入

離
脇

極
越


38

ご清聴ありがとう
ございました
mail:
twitter:

mikio.suzuki@mrtconsulting.jp
@mkoszk
39

オタクの息子に悩んでます
– 朝日新聞「悩みのるつぼ」より
– 岡田斗司夫 FREEex (著)
– 幻冬舎 (2012/9/28)
＜内容紹介＞

• 父親が大嫌い、Twitterで悪口を書かれた、女優と結婚した
い……こうした悩みを打ち明けられたとき、どんなアドバイ
スができるか。朝日新聞beの人気連載「悩みのるつぼ」で、
誰よりも相談者の気持ちに寄り添い、「役立つ回答」を編み
出し、読者や相談者本人から絶大な信頼を誇る著者が、「回
答」に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開。人生相談と本
気で格闘することで、問題解決のための分析力、思考力が身
につく、画期的な書。
40

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