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• 佐賀県でICTを使った地域おこし活動
を展開するシビックテック団体
– メンバー:佐賀県のIT関連企業・大学教
職員・自治体職員・デザイナー・マスコ
ミ・自営業・学生など多様
– 情報交換:月1程度のゆるい集まり(井
戸端会議+飲み会)とSNSでの連絡
– キックオフ:2014年2月22日に開催した、
インターナショナル・オープンデータ・
デイ in 佐賀
– これまでチャレンジした課題:マッピン
グ活動による景観保全・交通事故防止
Editor's Notes こんにちは、Code for Saga、佐賀大学の吉賀夏子です。本日は、Code for Sagaでのバスオープンデータに対する取り組みについて、お話しします。
また、私たちが作った、GTFSリアルタイムデータをはじめとした、オープンデータ、ツールを活用したアプリ開発について、ご紹介します。
Code for Sagaは、佐賀県でICTを使った地域おこし活動を展開する、シビックテック団体です。
メンバーは、IT関連企業、大学教職員、自治体職員、デザイナー、マスコミ、自営業、学生など多様です。
情報交換は、月1程度の飲み会を兼ねたゆるい集まりと、SlackやFacebookなどを使ったSNSでの連絡で行なっています。
5年前のオープンデータ・デイから始まった活動ですが、これまでに、マッピング活動による景観保全や、交通事故防止を課題に活動してきました。 今年の取り組みは、公共交通をテーマとしました。
ただし、このテーマが出た時、メンバー内の、日頃、自動車を使う人と使わない人では、バスそのものの重要度が、大きく違うというのが、最初の印象でした。
なぜかというと、地方では、車社会で、バスよりも自動車を利用する傾向が強いためです。
おそらく、路線、時間の点で市民のニーズに合わないのが原因だと思われます。
しかし、これから30年後には、地方で、老年者が急増し、交通事故の増加、そして交通弱者の増加となるのは確実です。
したがって、このまま自動車中心の生活を続けていけば、交通トラブルも増えていくだろうと思われます。
現時点でも、佐賀県では、手軽に所有できて、維持費の安い軽自動車が多く、交通事故も多いという結果が現れています。
公共サービスとしての、交通の見直しは避けられません。 そこで、Code for Sagaは、課題に取り組むきっかけとして、アーバンデータチャレンジ2018コンテストに参加しました。
アーバンデータチャレンジとは、オープンデータ利活用促進のためのアイデアを提案するコンテストです。
Code for Sagaでは、キックオフとして勉強会、アイデアソン、アイデア絞り込みのためのアイデアソン、ハッカソンを年末にかけて行いました。 まず、キックオフですが、去年10月に、タイミングよく、佐賀県が、GTFSデータをリアルタイムデータを含めて配信することをアナウンスしました。
そこで、GTFSについての勉強会・バス利用促進に向けたアイデア出しを行いました。 このアイデアソンの後、バスに人が何を求めているのかをまとめました。
その結果、例えば、バス位置や混み具合、バス待ちしている客の数を取得できるといった、バスに安心・確実に乗るための機能面の向上、
イベント情報のプッシュ配信、飲み会対策としてバスを活用したい、車いすを含めた席の確保といった支援の高度化、
快適な移動のみではない価値が得られるような仕組みとして、乗車特典でポイントを貯めて、いいものをゲットといったアイデアが多く集まっていました。
そのほか、バスの中やバス停待ちで遊べるゲーム・キャラクター、
車内で物品やサービスの販売、
見守り、占い、健康チェックなど、面白いアイデアがたくさんでました。 翌月には、アプリ化するため、前回のアイデアから4つの具体案に集約しました。
この時は、東大の伊藤先生を勉強会講師としてお招きしました。 当日、伊藤先生は、佐賀県で配信中のGTFSデータが載ったGoogleの経路案内を頼りに、途中乗り継ぎとバス停間のやや分かりづらい徒歩移動があるにも関わらず、
空港から佐賀市内の会場まで迷わずバスで来ていただけました。
このことで、私たちもGTFSデータのすごさを体感することができました。
その後、アーバンデータ鍋をつつきながらアプリを作っていきました。 その結果、年明け1月になんとか5作品をUDCに応募することができ、そのうち、アイデア部門に応募した、話せばわかる、バスストップ乗り降りお知らせアプリが予選通過しました。
これは、運転手さんに乗り降りを知らせたり、ありがとうのメッセージを送れる、運転手と乗客間のコミュニケーションを促進するアプリのアイデアです。
3月15-16両日にチームがUDC最終審査に臨みます。
もしUDCに行かれる方がいらっしゃいましたら、ぜひご声援よろしくお願いします。
そのほか、すれ違うバス同士で乗客がアプリを使って手を振るという、佐賀バス手ふり県民運動、
データ部門では、バスオープンデータに関連する取り組みの総括として、佐賀県のバス情報オープンデータとその活用をまとめました。
さらに、実際に動作するアプリを応募するアプリケーション部門では、以下の2作品を応募しました。
まず、いざゆけUDバスは、標柱つまりバス停を使ったポイント獲得ゲームで、周辺イベント、観光情報などと連携してポイントをたくさん獲得すると、
バスの停車ボタンやラッピングの権利をもらえたり、新しい標柱の提案ができます。
もう片方の、ちどりーどは、経路検索を単純化したアプリで、スマホ画面のバスボタンを押せば、帰りたいバス停までの検索結果がでるものです。
酔っ払いでも、バスイケメンなどのナビキャラの助けでバスで家に帰れるというモチーフで作っており、バスに乗る前、乗った後の不安を楽しく解消できるようになっています。 これらのアプリでは、GTFS-RT、リアルタイム運行情報を活用した実装方法を検討しました。
特に、汎用性と動作スピードに配慮するようにしました。
つまり、5374.jpという、市民が簡単な操作でゴミを仕分けられるアプリのように、様々な地域で使いまわせるコードになるように、工夫しました。
また、PCでもモバイルでも使えるWebアプリで、アクセス速度ができるだけ速くなるようにも、工夫しました。 ちなみに、ちどりーどについては、Qiita解説記事2編・Githubにソースコードを公開しています。
さらに、このスライド自体もSlide Shareで公開しています。
ちどりーどとひらがなでググるとヒットします。
これから数枚のスライドにもQRコードを貼りますので、ぜひご参照ください。 では、2つのアプリの技術的な工夫例をご紹介します。
まず、GTFSリアルタイムデータの取得ですが、圧縮された状態で、2,30秒に1回程度の頻度で更新されているため、このデータを定期的に取得した後、圧縮データのデコードを行う必要があります。
これら一連の取得作業をWebで簡単に行うため、AWS上にAPIサービスを設けました。 また、小規模運用なら無料で使える外部のAPIとGTFSデータをマッシュアップしました。
例えば、佐賀駅北口の標柱の緯度経度がGTFSデータから得られるので、バス停周辺の画像を自動で取得したり、
自分の近くにある飲食店とバス停を地図で確認して、バスで帰りやすい飲食店をチェックできるようにしました。 また、OpenTripPlannerという、オープンソースの経路検索ツールを利用して、使い方を研究しました。
具体的には、バスの乗客が、自分がどこにいこうとしてるのか、バス内外でわかるようにする機能を作りました。
例えば、OTPからの経路検索結果には、圧縮された旅程の緯度経度情報が入っていますが、解読して地図上に描画できるようにしました。
右側の画面では、バスに乗車して、秒速5m以上をスマホが検知すると、バス車内とみなして、自分のバスとスマホの現在位置と、通過バス停の順番、そして、目的のバス停までの距離を確認できるようにしました。 最後に、シビックテック活動を通じて、公共交通に対する関心が確実に高まりました。
その中で、バスは車や人の影響を受けやすい乗り物であることを再確認しました。
また、巨大企業のシステムに頼りすぎることなく、地元のバスに関わる会社、運転手、乗客が、共創できるシステムやアプリを作ることには、大いに意義があると感じました。
特に、リアルタイム情報が重要であることや、他者とのコミュニケーションの可能性を生かした技術開発の余地は測り知れません。
これで発表を終わります。