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Plus de Daisuke Sakuma (20)
130112分類学会連合
- 1. 生きた自然を記録・継承し、守り人
を育てる自然史博物館とその標本
佐久間大輔(大阪市立自然史博物館)
2013年1月12日
分類学会連合シンポジウム@国立科学博物館
13年1月13日日曜日
- 3. 今日のお話
• 標本の学術的価値は釈 に説法です
==>なので私はしません
13年1月13日日曜日
- 4. 今日のお話
• 標本の学術的価値は釈 に説法です
==>なので私はしません
• 博物館界としてする議論、文化財レスキューの検証も、別の場が用
意されています(例えば1月23日、2月4日、23日に開かれます)
==>なので、今日は分類学分野全体に向けて、博物館から考える
論点をアピールします
13年1月13日日曜日
- 5. 今日のお話
• 標本の学術的価値は釈 に説法です
==>なので私はしません
• 博物館界としてする議論、文化財レスキューの検証も、別の場が用
意されています(例えば1月23日、2月4日、23日に開かれます)
==>なので、今日は分類学分野全体に向けて、博物館から考える
論点をアピールします
• すぐに何か法制度が動くとは残念ながら思っていません
==>なので、いくつかきっかけとして出来そうな提言を書きます
13年1月13日日曜日
- 7. 1.天然記念物や自然保護区の
科学的証拠標本としての自然史標本
• 文化財行政で所管されている自然:天然記念物、世界
自然遺産(、それと名勝?)
• 天然記念物などをどう意義付け、管理するのか
• 世界自然遺産を文化財で扱うのであれば、国立公園や
その他自然保護区にも文化財的意義を認めるのが自然
13年1月13日日曜日
- 8. 京都市深泥池
生物群集全体が天然記念物に
13年1月13日日曜日
- 9. 天然記念物をどう管理する?
• 過去の記録は報告書・研究成果報告書などだけでいいのか
• 昔の深泥池はどんなだったのか?例えばある生物が在来個
体群だったのか、遺伝子で再検証する必要がある……など
==>標本による検証が必要(誰がどこでどう責任を持つ
のか)
13年1月13日日曜日
- 10. おなじことが、国立公園など環境省事業にもいえる
(あえて厳しく言えば生物多様性センターの規模では難しい)
・過去との比較ができず、地域ぐるみの継続したモニ
タリングがない。
・ナショナルセンターに保管されても残念ながら地域
での活用はできない
13年1月13日日曜日
- 11. 植物標本庫
(ハーバリウム)
13年1月13日日曜日
- 12. 植物標本庫
(ハーバリウム)
大阪市立自然史博物館の標本を基礎に作られた
植物関連の生物多様性情報
・大阪府植物誌
・奈良県植物誌(作成中)
・近畿地方の苔類(児玉コレクション)
・和歌山県産シダ植物標本目録(真砂コレクション)
・近畿地方の保護上重要な植物
・大阪府レッドリスト
・奈良県レッドリスト
・三重県レッドリスト
・堺市レッドリスト、上野市レッドリスト・・
13年1月13日日曜日
- 13. 今後はレッドリストと並び生物多様性
ホットスポットもより重要に
• ホットスポットのコアになるのは天然記念物・国
立公園などなど。
• 生物多様性国家戦略の立場で天然記念物や国立公
園のモニタリングをどう実施し、貢献できるの
か?
13年1月13日日曜日
- 15. 提言
• 天然記念物の現状調査の際に可能な範囲で「現状を記録する標本」を!
それを地域の博物館で保管を(保管の現地主義を)
• その事業を端緒に文化庁は地域の自然史博物館とコンタクトを
• 世界遺産指定地だけでなく、国立公園などの自然にも文化財的価値
そうした複合的価値について積極的な対話を
• 実は地方には自然系部局がなく、文化財以上に脆弱なところが多い。地
方の文化財担当が「我が事」と意識を持つことが重要。国の動きは地方
にも反映されることが期待できる
13年1月13日日曜日
- 16. 2.文化的景観の
構成要素として
滋賀県近江八幡
奈良県明日香村
13年1月13日日曜日
- 19. 文化財的価値は
複合的価値の一つ
• 景観に関わる歴史資料・民俗資料==>指定
ではその構成要素である生物要素は?=>所管外??
• 文化庁として対処するなら
天然記念物と同様の制度付けはできないのか?
• 自然要素は環境省、農地は農水省、公園は国土交通省ではある
が、共管を模索しては
• (名勝、の制度も活用を考えるべきだろう)
13年1月13日日曜日
- 20. 提言!
• 文化多様性と生物多様性複合に関する制度設計のため
の調査を環境・農水・文化の共同でパイロットスタ
ディを!!
The Classic Historyof
Britain’s Landscape,Flora and Fauna
ギ ス
イ リ の ギ ス
イ リ の
カン リー
ト
サイド カン リー
ト
人と自然の
人と 然の
サイド
景観形成史
景観 成史 Oliver Rackham
人と自然の
リ ・ッ ム
オ バー ラ カ
Oliver Rackham
Oliver Rackham 景観形成史
監訳 伊東宏樹
奥敬一 リ ・ッ ム
オ バー ラ カ
佐久間大輔
Oliver Rackham
篠沢健太
深町加津枝 監訳 伊東宏樹
奥敬一
佐久間大輔
篠沢健太
深町加津枝
昭 昭
和 和
堂 堂
Showado Showado
13年1月13日日曜日
- 21. 3.自然とともに暮らす
市民科学の成果として
• 地域の自然史博物館の標本は誰が集めた?その先人は
どういう存在?
• 標本を利用し、成果を還元されるべきは誰?
• そのことによって育つ次世代
13年1月13日日曜日
- 22. 積極的な情報発信が、
集まる情報の質を高める
良い標本の取り方・送り
方マニュアル
自然を楽しむための視点
の提供
その結果として良い展示
webで事前学習・楽しみ
方も多様に
13年1月13日日曜日
- 25. レスキューをオンサイトと
オフサイトに切り分ける
オンサイト オフサイト
• 人命救助 • 避難提供
• 遺体捜索 • 情報収集整理
• 生活復旧 • 資金収集
• 物資収集
• 文化財修理・保管
• 回収・トリアージ • 復興支援
• 方針決定
13年1月13日日曜日
- 27. 自然史博周辺の
コミュニティの実力試験
・友の会、植物のアマ
チュア研究者など、標
本の扱いに習熟した
ボランティアがすぐに
呼応。驚くべきスピー
ドで処理をしてくれた
・のべ40人余が参加
・緊急即応なので習熟
したスタッフの存在が
鍵。
13年1月13日日曜日
- 28. 西日本自然史系博物館ネットワークをはじめ、昆虫学芸員協議会や
S-net参加館、GMMLなど自然系の博物館が震災に際して見せた
動き
遠隔地での植物標本レスキュー
遠隔地での昆虫標本レスキュー、現地への派遣支援
化石標本の現地でのレスキュー
中間総括シンポジウム
その他、正式に西日本事業ではないが、大阪自然史センターな
どと共同した「子どもワークショップ」の遠征団派遣
これらの活動は、現地の皆さんの活動が
あってはじめて成立したもの
13年1月13日日曜日
- 29. ∼ 三木茂博士が研究したメタセコイアと水草 ∼
三木茂博士生誕110年 メタセコイア発見70年
2011年は三木博士が化石をもとにメタセコイアを発見してから70年、生誕110年。
基本に忠実な観察で、それまでヌマスギやセコイアとされていた化石が未知の植物であ
落葉樹。公園や学
科の 校 ることを見出し、1941年にそれをメタセコイアと命名したのです。その後1945年に中
ギ に
ス
国で三木博士が推定したとおりの、「生きているメタセコイア」が発見され、三木博
よ
く
?
植
とは 士の研究の正確さが実証されました。郷土香川県が輩出した三木博士の偉業は「20
えら
メタセコイア
世紀前半における植物学最大の発見!」と称賛されました。
れています。
今回、三木博士の36000点余りの膨大な研究物を保管している大阪市立自然史博
物館から、300点もの貴重な資料が貸し出されます。世界的な研究をした三木博士
の成果の一端を見て、実感してください。
* 期間中、親子教室「三木茂博士に挑戦しよう!」を実施しています。
三木町運動公園内「太古の森」
会 1 期 2011年 7月16日 ∼ 9月11日
(土) (日) 観覧料無料
期 2011年 9月17日 ∼11月23日
午前9 30∼午後4 30まで
: :
2 期 (土) (水) 月曜休館(祝日の場合は翌日休館)
さぬき市雨滝自然科学館 国道11号
〒761-0902 香川県さぬき市大川町富田中515番地2
TEL.0879-43-0155 FAX.0879-23-2138
主催:さぬき市雨滝自然科学館 第三P
(50台)
共催:大阪市立自然史博物館 さぬき市教育委員会 第一P
(20台)
後援:三木町教育委員会 香川県教育委員会 香川県小学校理科教育研究会 第二P
(19台)
13年1月13日日曜日 香川県中学校教育研究会理科部会 香川県高等学校教育研究会生地部会
- 31. 現地保存・現地活用により
どう広げるのか
=博物館活動・社会教育活動
• 先人を天上人にしない、身近に研究者、学芸員、アマ
チュア研究者たちがたくさんいて、交流できる環境
• 住民であるアマチュアのレベルアップが博物館コレク
ションの質を上げる。
• 次世代がひきつけられ、刺激され、育つ環境
13年1月13日日曜日
- 32. 市民を自然へいざなう
自然を語るための博
物館の展示は、展示室
内で完結しません。
大阪各地の自然環境
へと市民を誘い、また
アマチュア研究者の楽
しく、奥深い道へと誘
います。
13年1月13日日曜日
- 33. アマチュアの育成・支援
好きな事を科学や活動
を通して社会に還元す
る存在
続けるためには交流の
輪が必要
13年1月13日日曜日
- 34. ジュニア自然史クラブ
親子では参加しない、中高生をターゲットにし
た活動。もはや学校には文化部的活動は稀少
既に初期のメンバーの中には博物館周辺で活躍
する社会人、教員、ポスドク研究者などが
13年1月13日日曜日
- 35. 地域に根をはるための
博物館の活用
• 文化財であるなら現地保存・現地公開が原則
そうでなければ担い手も育たない
• ここまで述べてきたとおり博物館の保つ役割は大きい
• 地方自然史系博物館の活用
しかし現状では地方博物館は自治体の意向で改廃も容
易・事業費の余裕もあるわけではない
13年1月13日日曜日
- 36. 使いやすさ優先の悲劇
• 「文化財にしてしまうと住みに
くいから」と条例指定文化財に
しなかった渡辺家住宅の悲劇
• 安定的維持の担保と活用のバラ
ンスの制度設計をどうするか
• 現状で博物館の改廃は届出のみ 渡辺家住宅
(文化財保護行政とのアンバラ 毎日新聞より
ンス)
13年1月13日日曜日
- 38. 提言!!
• 天然記念物や文化的景観・地域の自然史解明に関連した「重要コレク
ション」をコレクション単位で文化財と認定しては。国宝、重文級にす
ることが必要なのではなく、登録文化財のように広く、薄く。活用の判
断の中に学芸員を位置づける。
• 公開承認施設のように、「文化財保存施設」を承認。その廃止や重要な
変更は文化庁申請。保護法24条に基づく国庫補助が付けば理想的。
• 博物館の保全施策は一元的な施策をあるいは共管を(知らないとはいっ
てくれるな)
13年1月13日日曜日
- 39. 自然史博物館は「地域の自然の情報拠点」
情報がたまっている場所
情報の発信拠点
情報が集まってくる場所
情報を持った人が集まる
場所
情報にきづき、集める人
を育てる場所
情報を価値付ける場所
13年1月13日日曜日