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勉強会資料:行政学の構成と視点
- 3. はじめに なぜ行政学なのか
• 現在の研究テーマは
公共図書館!
• 地方自治体の機関のひとつ
• 行政学の観点が必要なのではないか
行政学の講義をとってみよう!
3
- 4. はじめに なぜ行政学なのか
なにをとればよいのかよくわからない…
4
- 5. はじめに なぜ行政学なのか
そもそも私がやりたかったのは行政学なのか
経営学なのか公共経済学なのか
社会学か政治学なのか
図書館情報学なのか
5
- 6. はじめに なぜ行政学なのか
そこで今回は行政学とはなんなのか勉強する
今日の構成
• 行政サービスのはじまり
• 行政学とはなにか
• 行政学の構成
• 行政学における民間委託
• 最近の行政学研究トピック
6
- 10. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの発展
• 古代・中世の政治支配
– 古代中世の時代における政治支配者の果たすべき統治の
職能
• 国防
• 警察
• 裁判
– 政治支配者はこれを保証することの対価として、人民に
賦役を課し、この権力によって兵力を保持してきた
10
- 11. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの発展
• 近世の殖産興業政策と官房学
– 近世になって中世封建制の支配体制が崩れ、絶対君主を
政治支配者とする中央集権体制の国民国家が形成され始
めた
– 絶対君主たちは富国強兵を競い合うことになり殖産興業
政策が推進
– 統治の職能は次第にその範囲を広げはじめ、これを担う
新しい人材として近代的な意味での官僚が誕生した
11
- 12. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの発展
• 近代国家の自由放任主義
– 絶対君主制のもとでやがて資本主義経済が発達し市民階
級が登場
– 国家による殖産興業政策が彼らによって批判され始める
– 殖産興業政策とは
• 関税政策
• 国家による各種の規制・介入措置など
12
- 13. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの発展
• 近代国家の自由放任主義
– 国家は市民生活と経済活動に対する不必要な規制・介入
をやめ、市民社会側の自由な活動を許容すべきとの主張
• 資本主義経済をのびのびと発展させ・国を豊かにする早道である
• 自由放任主義
• アダム・スミス
– ヨーロッパ大陸諸国にまで広く普及していき、これが国
家の職能の拡大に歯止めをかける
• 「安上がりの政府」論
13
- 14. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの発展
• 職能国家への変遷
– 西欧諸国の政府は、19世紀半ばから末にかけて、新しい
社会問題と都市問題への対応を余儀なくされる
• 産業化と都市化による新しい社会問題
– 再び職能の範囲を広げていくことになった
• 農村から都市に流入してきた貧民の救済
• コレラ・チフスの万永を契機にして上下水道の整備
• 都市交通事業の経営
• 社会保険制度の創設
安上がりの政府から職能国家へ
14
- 15. 第1章 行政サービスの役割
福祉国家の生成
• 福祉国家への旅立ち
– 西欧諸国における政府の職能=行政サービスの拡大傾向
は20世紀に入って以降さらに加速
– 加速によって、政府の財政規模と公務員数を膨張させて
いく
– 量の膨張だけでなく質の変化ももたらした
福祉国家へ
15
- 16. 第1章 行政サービスの役割
福祉国家の生成
• 福祉国家への旅立ち
– 福祉国家の起点
• 19世紀から20世紀への世紀転換期に発生
– 各国で労働組合が結成
– 選挙権が徐々に拡張され普通平等選挙制度が施行
– 有権者の支持を受けるために各党が社会政策・労働政策・
産業政策を政策綱領に掲げ、これを政党政治の主要な争点
にする
• 政治制度における大衆民衆制の実現こそが現代国家
をして福祉国家への道に歩みださせたもっとも基本
的な契機であった
16
- 17. 第1章 行政サービスの役割
福祉国家の生成
• 福祉国家への旅立ち
– この契機を決定づけたのが世界大戦と世界恐慌
• 両大戦に参戦した国々は、総力戦を戦い抜くために国家総動員
体制、挙国一致体制を敷いて、広く国民各層の参加と協力を調
達
– この戦時行政が国民各層への行政サービスの平準化を促進
– 大恐慌が市場のメカニズムに対する信頼感を根底から揺る
がし、政府の政策構想の基調を一変させた
– 同時期に社会主義体制の国も誕生
» 対抗上資本主義体制の国も分配の不公平をある程度是正
することを余儀なくされる
17
- 18. 第1章 行政サービスの役割
福祉国家の生成
• 福祉国家の要件
– ここでは福祉国家とは以下の国家のこと
1. 生存権の保障を国家の責務として受け入れる
2. 所得の再分配を国家の当然の機能と考える
3. 景気変動調節のために市場経済に積極的に介入する
18
- 19. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 石油危機と財政危機
– 1960年代の世界的な経済高度成長の後石油危機を境に
して先進国は一斉に不況期を迎える
• どこの国も財政危機に直面
– 1980年代には
行政活動の範囲を見直し縮小することに
• 減量経営を目指した行政改革が先進諸国の政治課題
– サッチャー政権
– レーガン政権
– 中曽根政権
• このへんは比較研究の格好の素材になっている 19
- 20. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 民間活動と行政活動
– 「小さな政府」の時期の行政改革論議
• 行政活動を民間活動との関係から分類しその 問題点 を指摘
するという論法が流行
– 4つの類型
1. 民間活動を規制する 問題点
2. 民間活動を助成する 問題点
3. 民間活動の不足を補完する 問題点
4. 民間活動によっては解決できないもの
20
- 21. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 民間活動と行政活動
問題点
1. 民間活動を規制する
民間活動の活性化を妨げている場合が少なくない
⇒規制緩和が求められる
21
- 22. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 民間活動と行政活動
問題点
2. 民間活動を助成する
これが過保護になっている場合がある
⇒民間の自立自助の大切さが説かれる
22
- 23. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 民間活動と行政活動
問題点
3. 民間活動の不足を補完する
民間活動を補完しているというよりも、民間と競
合しこれを圧迫している場合がある
⇒民間活力の活用、民間委託の促進、官業の民営
化などが推奨される 23
- 24. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 民間活動と行政活動
1. 民間活動を規制する
2. 民間活動を助成する
3. 民間活動の不足を補完する
これらの議論に一貫していたのはこれまで以上に
市場メカニズムを信頼しこれを活用して
その活性化を図れという要求
24
- 25. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
現代国家が職能国家になる
↓
国家の介入・規制排除を市民要求(神の見えざる手)
↓
現実の市場メカニズムからさまざまな社会問題が発生
↓
その問題の解決するため福祉国家誕生
↓
不況期に入り行政の範囲見直し縮小 イマ
↓ ココ!!
市場メカニズムを信頼し活用してその活性化を図れ!
25
- 26. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
• 行政サービスの適正な範囲とは何か
• 市場の経済活動と政府の行政活動のあるべき境界線はどこか
⇒これらは歴史上繰り返し論じられてきた論点
• これから先も振り子運動を繰り返すであろう
行政学は
市場のメカニズムによるサービス供給と
政治のメカニズムによるサービス供給の利害損失を
明らかにすることを通してこの論点を整理することが出来る
26
- 27. 第1章 行政サービスの役割
行政サービスの範囲
しかし
• この論争に最終裁定を下しうるような学問上の科学的な基
準を持ち合わせてはいない
• 行政サービスの範囲は、学問の確定しうるところではなく、
あくまでも政治のメカニズムを通して決定されるべき性質
のものである
• それゆえに、国ごとに多様であって当然であり、時代と共
に変遷して当然のものである
27
- 29. 第2章 行政学の構成
アメリカにおける行政学の展開
★ATENSSION!
本来であれば現代世界の行政学の源流であり主流で
あるアメリカ行政学について概説すべきところです
が時間の都合により超概説とさせていただきます
29
- 30. 第2章 行政学の構成
アメリカにおける行政学の展開
ヨーロッパ諸国にならって行政活動を目指す
↓
自由な行政の領域を確立しなければならない
↓
分離の規範の確立を求める基礎理論が盛ん
↓
科学的管理法への関心高まる
↓
行政学と経営学が紙一重的なものになる
このへんからアメリカ産学問として成長発展
30
- 31. 第2章 行政学の構成
アメリカにおける行政学の展開
効率的な運営のため総括管理機関の整備充実が必要
↓
書記官を包括する大統領府が創設
↓
(同時期に地方でも)首長の行政府が執政を掌握
↓
行政府が立法府に対してさえ指導力を発揮し始める
↓
あれ?政府と行政一緒でいいんじゃない?
31
- 32. 第2章 行政学の構成
行政学とは
行政活動について考察する学
↓狭義
公的な官僚制組織の活動について考察する学
↓狭義
政府に属するヒエラルヒー型組織の集団行動につい
て考察する学
政府とは
行政府だけでなく立法府・司法府も含まれる
中央政府のみならず地方政府も含まれる 32
- 33. 第2章 行政学の構成
行政学とは
他の隣接諸学との分業に配慮すると行政学とは
公的な官僚制組織の集団行動に焦点を当て
これについて政治学的に考察する学
33
- 34. 第2章 行政学の構成
行政学とは
「公的」な官僚制組織の特殊性とは何か
1. その規模が概して大きいこと
2. その業務が多種多様であること
3. 誌企業経営の組織の場合における収益・利潤に相当するような、その
各種の活動が組織に寄与している度合いを相対的に評価する統一的な
基準・尺度がないこと
4. その業務がしばしば独占的性格をもち、競争条件にさらされていない
こと
5. その活動を規律するルールが細かく定めされていて活動に柔軟性が欠
けること
6. その活動を急遽肉おいて規律しているのが政治のメカニズムであるこ
と
34
- 35. 第2章 行政学の構成
他の学問との分業
• 社会学や経営学との差異
– 「公的な」官僚制組織が持つところの特殊性を意識し続け
ること
35
- 36. 第2章 行政学の構成
他の学問との分業
• 財政学との差異
– 政治学の1分野として個人・集団・階層間の関係に着眼し
ていること
– 資材に関心をよせるか、人材に関心を寄せるか
※財政学がその制度・活動に考察の焦点をあてるとき、財政
学と行政学の違いは紙一重
36
- 37. 第2章 行政学の構成
他の学問との分業
• 公法学との差異
– 法律行為よりもむしろ事実行為にこそ主要な関心を寄せ
る
– 予算などの規範の持つ統制機能をより重視する
37
- 38. 第2章 行政学の構成
他の学問との分業
• 政治学との差異
– 行政活動には組織内の統制・調整・協働関係が混在して
いるがゆえに、それが通常の政治現象とはどのような点
で異なっているのかを描きだし、協議の政治学研究を補
完する
38
- 39. 第2章 行政学の構成
行政学とは
なんかまだもやっとする…
なぜか
それは、現代国家が
1. 職能国家
2. 福祉国家
3. 行政国家
という3つの性格を持っているから。
行政学は現代国家に特有の行政課題に対応すべく誕生し成長したものであるが、
その重点の置きどころを問われている。 39
- 40. 第2章 行政学の構成
職能国家に主眼を置いた行政学
• 膨張拡大が最大の関心ごと
– 業務量
– 職員数
– 財政規模
• 主な研究課題
– 事務事業の膨張の抑制、執務方法の簡素化・合理化・能
率化
– 業務の民間委託、官業の民営化
– 定員管理、人事管理等の改善
40
- 41. 第2章 行政学の構成
職能国家に主眼を置いた行政学
• 行政管理と行政改革のための行政学
• 重視されるもの
– 経済性・能率性
– 経営管理学に限りなく近い
41
- 42. 第2章 行政学の構成
福祉国家に主眼を置いた行政学
• 政府が実施する政策が最大の関心ごと
– 政府が提供するサービスの主観的意図
– 客観的効果の妥当性
• 主な研究課題
– 政策・サービスの最終効果についての事前。事後の評価
の方法
– 実現可能性・有効性・合理性を担保する諸条件
– 状況変化に対する適応の度合い
42
- 43. 第2章 行政学の構成
福祉国家に主眼を置いた行政学
• 新しい政策学の創生をめざす行政学
• 重視されるもの
– 有効性
– 適応性
43
- 44. 第2章 行政学の構成
行政国家に主眼を置いた行政学
• 制度の比較が最大の関心ごと
• 主な研究課題
– 旧来の権力分立原理と新しい行政権の優越化現象との関係
– 旧来の地方自治性原理と新中央集権化現象の関係
44
- 45. 第2章 行政学の構成
行政国家に主眼を置いた行政学
• 狭義の政治学(政治制度学)に限りなく近い行政学
• 重視されるもの
– 正当性
– 合理性
– 公平性
45
- 46. 第2章 行政学の構成
3つの価値基準と行政学
1. 行政管理と行政改革のための行政学
2. 新しい政策学の創生をめざす行政学
3. 狭義の政治学に限りなく近い行政学
• こうして行政学は3つの学を抱え込んでいる
• 3つの価値基準をその魂としながら進むべき道を模索し続け
ている
46
- 48. 第3章 行政学における民間委託
行政学的に
公的機関やサービスの民間委託は
どのように位置づけられているのか
1. 行政需要の施策のバランスからの視点
2. 行政改革の一環としての視点
49
- 49. 第3章 行政学における民間委託
1. 行政需要の施策のバランスからの視点
• 環境の変化の認知にもとづいて、新しい政策対応の立案
を行う
• 行政需要または行政ニーズの概念が必要となる
• 行政需要とは
• 人々が政府にその充足を期待する効用
• 行政ニーズとは
• 政府の側が行政サービスによって対応すべき課題と
認定したもの
50
- 50. 第3章 行政学における民間委託
1. 行政需要の施策のバランスからの視点
• 行政需要と行政ニーズそれ自体は計量的に測定しがたい
• 行政ニーズの認定それ自体が明確に定式化されているとは限ら
ない
• 政府の努力義務がどの範囲のどの程度にまで及ぶのか不明確で
あるのが通常である
• 行政需要を充足する財・サービスのすべてを、政府が自
ら供給しなければならないとは限らない
51
- 51. 第3章 行政学における民間委託
1. 行政需要の施策のバランスからの視点
ある行政需要を
• 政府の対応すべき行政ニーズに認定する否か
• 種々の財・サービスを誰が供給するのが最善か
• 供給主体をどのように組み合わせるのが妥当か
という点についての判断に関わる問題
公私の役割分担
民間活力の活用 などの論議へ
民間委託の推進
52
- 52. 第3章 行政学における民間委託
2. 行政改革の一環としての視点
• 石油危機以降の財政危機からはじまる「行政改革」
• 1980年代の行政改革の特徴は
市場メカニズムを活用する諸方策の推進
• 国営企業の民営化
• 規制緩和
• 民間委託の推進
53
- 53. 第3章 行政学における民間委託
2. 行政改革の一環としての視点
• また同時期に
• 地方自治制度と財政調整制度の改革
• 公務員給与制度の改革
• コミュニティの連帯の強化など
行政活動を出来るだけ管理可能な規模に分割し
納税者・消費者の監視と統制のもとにおく発想
54
- 54. 第3章 行政学における民間委託
2つの視点から民間委託に関する論議が行われる
1. 行政需要の施策のバランスからの視点
⇒行政がやるのが最適なのか民間がやるのが最適なのか
2. 行政改革の一環としての視点
⇒民間に任せても成り立つのではないか(背景には財政危機)
★他の教科書では
NPMにページを割いているものもいくつかありました
55
- 55. 第3章 行政学における民間委託
行政学的に
民間委託はどのような
研究がされているのか
民間委託 NPMなどの研究が掲載されている
雑誌を調べてみた
56
- 56. 第3章 行政学における民間委託
民間委託 NPM 民営化
57
- 57. 第3章 行政学における民間委託
民間委託に関する研究
• 行政学や政治学ではなく経営「される」側のほうが盛んに
議論を行っている印象をうけた
• 研究するとしても、制度の成り立ちとか外国との比較研究
ぐらいしか方法が思いつかない
58