自動運転という言葉を、近年私たちもよく耳にするようになってきた。日本の各自動車メーカーも現在自動運転の導入に向けて開発をすすめている。自動運転が普及した近未来では6つの社会問題が解決されるといわれる。1つ目は交通事故の削減、2つ目は交通渋滞の緩和、3つ目は環境負担の低減、4つ目は運転の快適性向上、5つ目は移動の支援、6つ目は国際競争力の強化である。自動運転の普及によってこれらの問題が解決された社会が実現できるとされる。自動運転が普及した近未来では、自動運転技術を含めた解決しなければいけない制度などの社会問題が複数存在する。
本論文で明らかにしたことは以下の通りである。現在の自動運転技術や歴史を通して自動運転導入におけるニーズを明確にした。自動化のニーズがある一方で、その展開に伴う課題として雇用問題が顕著となった。その中でもドライバーが自動運転に置き換わった場合の雇用に着目した。航空機業界のように自動化が進み人員削減された例もあるが、人間的な考え方によって未然に重大事故を回避した事例もある。
以上のことから、レベル4の自動運転が導入されても最終的には人の判断が必要ということになるが、現在の雇用とは大きく異なる。自動運転技術の発展に伴ってシステムトラブルなどに対応し得る専門的な知識や能力がドライバーに求められるようになり、現在の雇用の代替にはなり得ない。
一方で、新たに生まれる雇用も数多く存在する。大きなビジネス機会を生む例として、まず1つ目にモビリティサービスが生み出す雇用について述べていきたい。モビリティサービスの中でまず挙がってくるのがモビリティサービス自体を構成する、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供するというビジネスである。すでに自動車メーカーが販売している自動車の付加価値の中の、少なからずこのシステムが占めている。自動運転技術を使ったモビリティサービスでは、その割合が増え、自動車の外側にも運行システムの市場ができると考えられる。例えば、自動運転が導入された自動車には様々なコンテンツやシステムが搭載されるが、それらを使いこなせないユーザーや突然のトラブルなどに対応できるサポートセンターなどや、自動運転技術の制御システムは膨大な量のデータを生むことが考えられ、そのビッグデータの処理や解析などをする会社などである。インフラ整備が生み出す雇用については、自動運転導入により大きなインフラ整備が必要であるため、そこに新たな雇用が生まれる。
今後は、自動運転技術の発展に伴ってシステムトラブルなどに対応し得る専門的な知識や能力がドライバーに求められる。