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社会の意見のダイナミクスを物理モデルとして考えてみる
- 6. シミュレーションの目的は二つ
1. 理解
「なぜ利他的な行動は競争環境下でも生き残るのか」「なぜバブルは発生するのか」
「なぜ人種や宗教による棲み分けは発生するのか」
2. 予測
「テーマパークの混雑状況を知らせることで、混雑がどの程度減少するのか」「電
気自動車の充電設備をどこに配置したらいいのか」
参考:鳥海不二夫, 山本仁志, (2014), マルチエージェントシミュレーションの基本設計, ”情報処理”, Vol.55, 530-538
- 7. シミュレーションの目的は二つ
「普遍的な性質を説明する」
→物理学はこっちを目指す
1. 理解
「なぜ利他的な行動は競争環境下でも生き残るのか」「なぜバブルは発生するのか」
「なぜ人種や宗教による棲み分けは発生するのか」
2. 予測
「テーマパークの混雑状況を知らせることで、混雑がどの程度減少するのか」「電
気自動車の充電設備をどこに配置したらいいのか」
参考:鳥海不二夫, 山本仁志, (2014), マルチエージェントシミュレーションの基本設計, ”情報処理”, Vol.55, 530-538
- 8. 目的によって「良い」モデルが
違う!
「普遍的な性質を説明する」
→物理学はこっちを目指す
1. 理解
「なぜ利他的な行動国は競や争場環所境下にで関もわ生らき残ずる似のたか現」「象ながぜ発バブ生
ルは発生するのか」
「なぜ人→種や共宗通教すにるよる「棲本み質分」けは的発な生要す素るのでかモ」
デリング(抽象的)
2. 予測
「テーマパークの混雑(状例況えを知ばら)せ混る雑こと状で況、を混雑予が測どしのた程度い
減少するのか」「電
気自動車の→充ア電ト設備ラをクどシこョに配ン置のし配た置らいないどのをか再」
現する(具体的)
参考:鳥海不二夫, 山本仁志, (2014), マルチエージェントシミュレーションの基本設計, ”情報処理”, Vol.55, 530-538
- 10. 1.人(エージェント)
を配置
3.社会科学の複雑な性質
を説明する
2.相互作用のルール
を設定
参考:“Opinion formation on social media: An empirical approach” http://scitation.aip.org/content/aip/
journal/chaos/24/1/10.1063/1.4866011
- 11. 1.人(エージェント)
を配置
3.社会科学の複雑な性質
を説明する
globalな性質が
どう変わるか
2.相互作用のルール
を設定
人・相互作用の
ルールを変更
参考:“Opinion formation on social media: An empirical approach” http://scitation.aip.org/content/aip/
journal/chaos/24/1/10.1063/1.4866011
- 14. 人の意見の「同調」する性質
• 社会的影響(social influence)
ex.高校生のコミュニティの間で、薬物使用が「感染」する
• ネットワーク効果(network effect)
ex.通信機器は、普及すればするほど便利になる
• 人の移動
自分と似た人の多い地域に移動する(Schelling,1971)
参考:David Easley, Jon Kleinberg著, 浅野孝夫, 浅野泰仁訳 (2013)『ネットワーク・大衆・マーケット などなど
―現代社会の複雑な連結性についての推論―』
- 16. Ising model
• 磁性体の性質を単純化したモデル
• 各格子点は+1か-1のスピンをもつ
• (強磁性体の場合)周囲の格子点
と同じ状態をとる”確率が高い”
• ほとんどの分子が同じ向きに揃っ
た場合、その磁性体は磁力をもつ
• 「相転移」
格子点=原子
+1
-1
-1 -1
- 17. Ising model
をOpinion modelとして見た場合
• 磁性体の性質を単純化したモデル
• 各格子点は+1か-1のスピンをもつ
• (強磁性体の場合)周囲の格子点
と同じ状態をとる”確率が高い”
• ほとんどの分子が同じ向きに揃っ
た場合、その磁性体は磁力をもつ
• 「相転移」
格子点=原子
たとえば「賛成」「反対」
人間
社会的な合意のとれた状態
社会の合意形成プロセス
+1
-1
-1 -1
- 20. 例)意見の同期と反転
Ising model(positive or negative)
好況・不況の波を外部磁場として与えてシミュレーション
(適当なサイン関数で)
参考:“Social application of two-dimensional Ising models”
http://arxiv.org/abs/0706.3983
- 22. 例)意見の同期と反転
ちょっとしたきっかけで
「流行」が発生
→「バブル」を説明?
参考:“Social application of two-dimensional Ising
models” http://arxiv.org/abs/0706.3983
ちょっとした外部磁場で
全体の状態が反転してしまう
- 24. 他に考えるべき(かもしれない)
社会のいろいろな要素
• 複雑ネットワーク構造
• 例えばコミュニティ間で普及がストップ
• エージェントがOpinionとActionの二つの変数
• 意見の状態数を増やす or 連続値にする
• Ising modelでは意見の「過激さ」が表現できない
• 人の個性(変数のばらつき)を入れる
• (多分)スピングラスモデル
参考:“Continuous Opinions and Discrete Actions in Opinion Dynamics Problems”
http://arxiv.org/abs/0711.1199 など