社会情報天気図の一周年記念号として、景気ウオッチャーの第一四半期の消費活動のトレンドを分析した。社会情報天気図は、GDPの6割を占める消費の実相とその動向を深く理解し、先を読んで、社会をより豊かにするために挑戦すべき課題の探索を支援することを目的にしている。
消費の実相トレンドは、景気動向水準を示すDIとその理由、市場要因等の景気の様相属性をマップ化し、そこに2016年の4月、5月、6月度の日本各地と各業種の動きをプロットした。消費動向を示す空間は、“良い-悪い”軸と、“変わらない-変わる”軸で構成された。
また消費の景気観は、そのマジョリテイは、“変わらない”で、約30%を占めている。これに隣接した“やや悪い”の17%を加えると、50%ととなり、決して楽観できる状況ではない。そこに多くの地域や業種が含まれている。新車導入にも関わらず、大手自動車メーカの燃費不正問題が、影を落としている。
これに対抗するマイノリティは、“良い方向”には、北海道と沖縄と中国があり、インバウンド効果や観光産業がそれを支えているが、個々の要因が限定的で、共通性が見当たらない。
逆のマイノリティの“悪い方向”には、近畿と百貨店が構造不況業種となって固定されている。特に高額商品やブランド商品を支えてきたインバウンドと、株価が支えてきた高齢者の慎重な購買態度が表出した。 熊本地震は、この動きを加速し、日本の消費構造の脆弱さを露呈させたが、九州地方は。少しづつ悪さから脱出方向にある。
地域特性としては、関東や東海近畿が優れず、九州を除く、北海道や沖縄中国等が比較的良い。
業種特性としては、百貨店や商店街などに代表される物販が冴えず、観光関係やレストラン等のサービス業が良い方向にあり、モノからコトへとシフトしている。
今イノベーションが叫ばれる。プロダクツ、サービス、また政策にも、エモーションを伴うソリューションが求められている。
社会情報マップの目的は、現状を把握することで、あるべき未来につながる挑戦するに足る課題を探索することである。
今月は、1周年記念号として、IoT時代に出現する、多種多様な変数のプロフィールデータに対し、世界初のフュージョンデータ分析に挑戦し、一定の手応えを得ることができた。