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教育社会心理学


  富田英司
愛媛大学教育学部



           1
今日のアジェンダ
• 授業目的や到達目標,評価基準,ルール
  等

• ICT活用について

• 今日のワーク
 – 教育心理学理論をつくろう

• 連絡事項
                       2
授業目的と到達目標
 人が学び,成長する過程においてコミュニケーションが
いかに本質的に関わっているかを,心理学を中心に,教育
学,人類学,認知科学などの研究知見に基づいて理解し,
関連する専門知識を身につける。

(1)この100年間ほどの教育研究トレンドの変遷とその
  理由を行動主義以前,行動主義,認知主義,認知主義
  以降の4つに分けて説明することができる。
(2)認知発達について,ピアジェとヴィゴツキーの理論
  の違いを説明することができる。
(3)学習においてコミュニケーションが果たす役割につ
  いて自分の考えを論じることができる。

                     加えて,授業を通して
                 コミュニケーション力も培ってほしい
             3
受講のルールにかかわる情報:
• グループ活動やプレゼンテーションなど参加型の活動に参
  加することが受講の条件です。

• 修学支援システムや大学のメールなどを必ずよく見るメー
  ルアドレスに転送設定してください。また,これらのメー
  ルは,平日は毎日ご確認ください。

• 学期末テストに出席できない場合は,2週間以上前に申し出
  てください。

• 以下に授業に関連したリンク集や資料がありますので,第
  2回の講義までに必ず訪れてください。
   http://www.slideshare.net/EijiTomida

                   4
教材にかかわる情報:
 – 教科書:『教育方法学』 佐藤学/著 岩波書店
 – 参考書:シラバスを参照のこと
 – その他,授業中に資料を配付します。

評価にかかわる情報:
 – 授業への積極的参加:                30%
 – 提出物:                      30%
 – テスト等:               40%

オフィスアワー・その他:
 –   オフィスアワー:月曜5限,水曜2限
 –   Eメール:tomida@ehime-u.ac.jp
 –   授業用ツイッターアカウント:etinclass
 –   フェイスブック

                   5
PC等を活用した学習
• 資料はウェブからダウンロード
 – ダウンロードするにはSlideShareにログインが必要
   • FaceBookのアカウントがあればなお便利

• 修学支援システム
 – 携帯またはPCメールに転送設定をしておくこと
 – 大学のメールは平日は毎日チェックすること

• PCやスマホを授業中にも活用してください
 – メディアセンターのIDとパスで無線LAN使用可
 →授業のスライドを授業中にDLして書き込み
 →分からない語はすぐ調べる
 →ツイッターで授業中に発言する 等々

                                  6
この授業の展開
• 前半
 –   教育心理学理論を素朴につくる
 –   受講生が現代人に必要なスキルを互いに教える
 –   その教授学習過程を他の受講生が観察する
 –   素朴につくった教育心理学理論を洗練させる

• 後半
 – 自分たちのつくった理論とプロの理論を関連づけ
   る
 – 理論が社会の実践にどのように貢献できるか明確
   化                     7
授業の背景にある問題意識
• 新しい社会「知識基盤社会」の到来
• 過去の学校モデルへの執着
 – 世の中の問題には答えがあるという誤った信念
 – 国内「学力」競争に勝つことが人生の成功に繋がるという誤った
   信念
 – 社会や組織ではなく,個人の利益だけを追い求める狭い自己意識

• このような社会では従来の理論は役立ちにくい
 – 「活動理論」の可能性
 – ヴィゴツキー → レオンチェフ → エンゲストローム の系
   譜

• しかし,理論だけでは分かりにくい
 – 自らの素朴理論を自分たちの過去経験に基づいて構成し,それと
   照らし合わせながら,プロの理論を理解する
 – 「理論」というものを体験的に理解してほしい        8
何を説明する理論?
•   子どもの発達
•   色彩
•   生徒に好かれる教師
•   成績のあげ方
•   予習復習の役割や効果的な方法
•   効果的な教授法
•   児童生徒の意欲を高める授業のつくりかた
    – 授業で子どもに考えさせる方法:発問,グループワーク等
    – 外発的動機づけから内発的動機づけの変遷の方法
•   特別支援のあり方
•   ノートの取り方の理論
•   楽しく分かりやすい授業のつくりかた
•   生徒とのコミュニケーションの取り方
•   学級運営
    – みんなの居場所のある教室作り
    – いじめをなくすための教員の取組
    – 保護者・児童生徒の関係作り
•   義務教育の効果・意義
•   学習の環境
    – 家庭内環境,教師のサポート
    – 物理的環境(机の並べ方など)
                                   9
次回までの課題
• 過去の授業資料をダウンロードしてみる
 – ツイッターなど,その他のツールも試してみ
   る


• 未だ買っていない人は教科書を買う

• 次回のワークについて,自分のアイデア
  を考えてくる

           10
次回のワーク
• 相互教授学習のテーマを決める
 – あなたができることの中で,他の人が身につ
   ければ今後の人生に役立ちそうなことは何で
   しょうか

• 役割を決める
 – 相互教授学習に取り組むグループ
 – 上記グループの観察をするグループ

• プレテストとしてのディスカッション
                          11
素朴教育心理学
• ノートを取らせる方法       • 効果的教授法
 – 色ペン,プリント         – 身近な内容と結びつける
 – 予習復習,授業での取り方     – 生徒から意見を引き出す
• 効果的な教授法          • 義務教育の年齢
 – 子どもの主体性を中心に      – 早期教育が重要
 – 内発的動機づけが重要      • 楽しく分かりやすい授業
• 効果的な動機づけ          – 子どもへの敬意が重要
 – (+)競争,目標の魅力,賞    – 教師の内発的動機づけが重要
   罰               • 生徒に好かれる教師
 – (ー)命令,アンダーマイニ    – 筋が通っている,明るくおもしろ
   ング                 い
• 発問GWによる意欲向上       – 深く関わることができる先生
 – 安心感の醸成が重要       • LDの通常学級における支援
 – 正の強化が効果的(行動主     – 多様性の確保が教育に効果的
   義)
   • トークン・エコノミー    • いじめをなくす
• 生徒とのコミュニケーショ      – いじめは偏見が原因→価値が重要
  ン                • 学級運営における親との関係作り
 – 子どもを信頼           – 間接:親の信頼感は子どもの評価を
                                    12
                      通して形成される
 – しかり方:簡潔にその場で
相互教授学習のテーマ

•   折り紙 3名 1T    • 英語発音 1名1T
•   姿勢 6名 2T     • 走り方 8名1T
•   東北弁 3名 1T    • お箸 4名1名
•   イラスト 1名 1T   • ハングルの書き方 6
•   色の塗り絵 4名 1     名2T
    T            • 鹿児島弁 10名1T



                            13
グループ分け
• グループ

• 役割分担
 – 教師
 – 生徒
 – 研究者




                  14
用紙の使い方
• 全員分の氏名 グループ名

• 先生チーム
 – 教えるプラン     必要な道具


• 観察チーム
 – 観察対象     必要な道具


                      15
宿題
• 教師役
 – 教えられるように材料を用意する
 – 購入する必要のあるものは今週中にメール
• 生徒
 – ノート


• 研究者
 – 記録用の道具:ノート,カメラ,ビデオ,PC

                         16
ふり返り
• 教師と調査者
 – 白紙の紙に「氏名」「今日の良かった点」「反省点(教え
   るのが難しかった点は必ず含める)」「次回への改善案」
   「感想」

• 学習者への共通アンケート
 –   おもしろそうだと思った
 –   やりがいがあった
 –   やればできそうだと思った
 –   やってよかったと思った
 –   新しい発見があったか
 –   内容を理解できた
 –   学んだこと(自由記述)
 –   感想(必ず書いてください)

                            17
次回の課題
• 時間外に2時間程度集まる+各自2時間程
  度
 – 調査グループ
  • 観察結果とアンケートをWord等にまとめる
    – 学習の促進要因と阻害要因について仮説をつくる
    – 仮説検証や要因解明に繋がる調査法を提案する
    – 担当者やテーマが分かるように文頭に示す
 – 教師グループ
  • 今回の「実施内容」と「反省点」「改善案」「次
    回の学習指導案」をWord等で作成
  • 担当者やテーマが分かるように文頭に示す
  →それぞれ来週月曜までにEメールで提出
    tomida@ehime-u.ac.jp
                               18
グループ一覧
•   イラスト
•   ハングル
•   英語発音
•   美しい姿勢
•   鹿児島弁
•   走り方
•   色塗り
•   折り紙
•   箸の使い方
•   東北弁

                     19
スケジュール
• 11/15   インストラクション2
  – 課題:プレゼンの準備

• 11/22   プレゼンテーション
  – 課題:教科書やその他の文献を読む


• 11/29   文献による仮説の検証


                       20
今日の活動
• 前回の課題のシェアリング(10分)
 – 教師チームと調査チームに分かれて議論

• インストラクションと調査の打合せ(15分)
 – 教師チームと調査チームに分かれて議論
 – 機材等の準備

• 本日のインストラクション(50分)

• 授業時間外の打合せ(5分)

                          21
次回(11月22日)までの課題
• これまでの活動を通して分かったことを集約
 – 自分達が観察・体験したことに基づいていること
 – 事実と推論,推論と思いつきを分けること

• 全員で協力して,A4一枚の配布資料を作成
 – 来週月曜までに提出

• 5分間でプレゼンする準備
 – 誰でも発表できるように
 – パワーポイントで画像や動画を活用
 – 来週月曜までに提出
                            22
宿題
• 自分たちの授業で分かったことに関連し
  た文献を印刷してくる
 – CiNii(さいにぃ)
 – Googleスカラー
 – 図書館



 – コピーカードが必要な人は富田まで

                       23
前回の提出物について
• (前回)関連論文の提出
 – 班の中で大きなバラツキ
 – テーマを集約する必要がある
 – 今日の議論:どのようなテーマで論文を集めるか検
   討
  • 特定の「仮説」や「主張」に関連した論文に絞る
  • これまでの相互教授活動に関連したものに限る


• 次々回への展開
 – 毎回3つの班ごとに論文調査で分かったことを発表
 – 12月20日は「食事マナー」「ハングル」「走り方」
  • 今週中に一度ドラフトを富田に送ってください
  • 新しく論文が増えた時は富田にメールで送る(URL/PDF)
                                    24
前回の宿題と今後の展開
• 12月20日の発表に備えて
 – 「食事マナー」「ハングル」「走り方」が発表
   • 12月9日までに一度ドラフトを富田に送る
   • 新しく論文が増えた時は富田にメールで送る
     (URL/PDF)

• 教科書の内容について
 – 年内で第2章について理解する
 – 12月22日までの宿題:年表を作成して提出
 – 新年の授業でグループでまとめる
   • 最終的に,各班の教授学習理論を年表に関連づける

• 筆記のテストは第15回で実施します
                               25
観察した事実
        他の教育場面で 学校の先生が
                       に基づいてい
        も利用できそう 知らなそう
                       る
色の塗り方      4.11   2.44   4.18
折り紙       3.89    2.50   4.10
東北弁       4.23    3.11   4.08
イラスト      3.26    2.55   3.69
英語の発音     3.84    2.81   4.13
美しい姿勢     3.87    3.08   4.15
お箸のマ
          3.48    2.28   3.67
ナー
鹿児島弁      3.31    2.44   3.40
ハングル      4.10    2.87   4.29
走り方       3.98    3.07   4.23
教科書第2章第1節
• 近代以前の教育方法
 – キーワードは「リテラシー」
 – リテラシーの2つの側面
  • 民衆を支配する道具として
  • 民衆をエンパワーする道具として
   – 道具や媒介は必ず双方向性を持っている
   – 教育という活動が持つ典型的展開
      » 支配のために与えた道具や培った力量が,民衆の自
        立の道具になっていく



                              27
リーディング・クエスチョン
• コメニウスとペスタロッチの教育理論の
  違い
• ヘルバルトとペスタロッチの教育理論の
  違い
• ライン理論は形式的段階をどのように変
  化させたか
• デューイがもたらした教育方法の転換と
  は

                       28
12月22日締切の宿題
• 教科書2章の内容を年表にしてまとめる

• 形式
 – A4横置き1ページ(Word)
 – Eメールに添付して提出
 – 提出先
       submissionet@googlegroups.com


                                       29
教育史     人の知は先験的に
                     規定されている
                     =経験以前の話

• 古代ギリシャ
    – プラトンの『メノン』・・・観念論
•   中世の教会
•   宗教革命と印刷技術の発明・・・経験論
•   市民社会のための教育
                    知識は人々の
•   国民国家のための教育      経験の結果

•   新しい市民社会のための教育

               30
教授学の成立 The First Pedagogy
• Comenius『大教授学』
 – いろいろな意味で世界初の体系的な教授学
1. 全ての民衆を対象に段階に分かれた学校制度の構想
 – 幼児学校,初等学校,中等学校,大学
2. ラテン語→母国語への翻訳
 – 民衆教育へのアプローチ
3. 教育方法に関連づけられた教育内容の開発
 – 教科書『開かれた言語の扉』:一種の百科事典
4. 帰納法的経験主義によって基礎づけられている
 –   ベーコンの認識論を基礎に
5. メディアミックス
 – 挿絵つき教科書の採用
6. 教授の技術を体系化
 – 庭仕事,大工仕事,絵画,印刷としての教育
 – 「印刷機」としての教師,「紙」としての子ども


                   31
冬休みの宿題(第10回の宿
      題)
• 教科書の第5章(V)まで読む

• グループ研究をさらに進める
 – 適切な論文の検索
 – 文献研究結果の集約




                   32
2012年1月17日(12回)へ
        の課題
• 第2章と第4章を読んでくる
• 時間があれば,第5章も




                  33
合自然の教育学
  Developing Independent-Minded Citizens
• Pestalozzi『探究』
• 自然主義教育学のルソーに影響を受ける
• 市民革命:封建主義からの解放は魂の解放を意
  味しない。不平等,貧困,略奪,不公平な競争。
  →人間の内面からの主体的な解放が重要
• 孤児と貧困児童のための学校運営
 – 合自然の認識論と教育方法:労働重視,親的な教師像
 – 「あいまいな直観から言語的概念へ」
   • 子どもの近代的な主体の獲得過程
 – ただし,教師や学校の役割は限定的

                    34
国民国家の教育学
        Pedagogy for Nation States
• Herbart『一般的教育学』
 –   一斉授業の普及と制度化
 –   ペスタロッチの「直観から概念へ」に影響
 –   教育学と心理学の統合
 –   教育目標を「品性」の陶冶に置いた
 –   教育過程:「管理(態度)」「訓練(意欲)」「教授(知識)」
 –   教授過程:明瞭→連合→系統→方法
     • ヘルバルトの段階的教授
• 特徴:「主体の脱落」「国民国家の建設」「個人の脱落」
• ZillerとReinへと引き継がれ,世界に影響

                     35
進歩主義的教育
      Progressive Education
• Dewey「実験学校(1896-1904)」
 – 産業社会の発展 → 民主主義の担い手を育てる教育
 – 子どもの関心や興味から出発する活動的学習

• 学校の整備に尽力
 – 学校は社会の縮図:学校での主体的な経験が,民主
   主義を支える市民を育成する

• 現代教育への影響
 – Kilpatrick「プロジェクトメソッド」
 – 「フリースクール」「総合的な学習の時間」「話し合い」
 – 知識伝達から「学び」や「学びあい」への展開

                36
経験の原理①:連続性の原理
       (Dewey, 1938)
• 現在の状況と類似しているから過去経験が利用できる
• これまで経験したものは必ず未来に影響を与える
• そのため,教育内容は将来活かされる状況に対応すべき
 – 教師の言動や存在は社会の一員を代表したものでなければ,学
   習者にとって意味を持たない


                現在:
                状況A

   過去:
   状況A’

                                  37
経験の原理②:相互作用の原理
      (Dewey, 1938)
• 内的条件は変えられない.内的条件を読み取り,それに
  あわせて客観的条件を調整するのが教育者の役割

           状 況

 子ど                  客観的条件
             内的条件に
      内的
 も    条件
            合わせて調整



      解釈             調整
            親や
            教師

                 先人の知恵や
                  専門的知識      38
効率主義の教育学
    Engineered Approach to Education
• Bobbit
  – カリキュラムの科学的研究の創始者
    •   テイラーによる「科学的経営の原理」を援用
    •   組み立て工場における生産過程を教育に持ち込む
    •   「教育目標」という概念が登場
    •   国家主義と産業主義の二重支配構造が確立
  – Chartersへと継承
• 教育工学へと発展
  – 例)Instructional Design:ADDIEモデル
                   39
2012年1月31日(14回)への課
          題
• 課題
 – 以前に提出した年表を2部印刷して持参


• 次回の予定
 – 第2章に関するグループディスカッション
 – 講義の補足
 – 試験に関する説明


                         40
第14回 今日の内容
• DP対応調査

• デューイの「経験の原理」解説
• ヴィゴツキー理論の解説
• 正統的周辺参加論の解説

• 年表についてディスカッション
 – 時代は理論に何を付け加えたのか

• テストについて
                     41
ヴィゴツキーの理論的貢献
• 媒介項が高次精神機能の肝
 – 心理学ツールを通して文化的蓄積は個人に影響
 – 特に言語的媒介が高次精神機能を支える

• 媒介項(補助的刺激)X                  S       R
 •   人間が外部の力を借り,外部から自分
     の行動をコントロール可能
 •   Sの意味をXが媒介するだけでなく,
     RによってXを持ち込み,自発的にS
     を作ることができる                     X
 •   心理的ツール:言語,計数システム,
     記憶術,数シンボルシステム,芸術作         媒介された行為の構造
     品,文字,略図・図解・地図・製図,
     様式的記号など(Vygotsky, 1981)
• しかし,社会との関係については
  検討が深くなされていない                          42
ヴィゴツキー理論の3つのテーマ
   (Wertsch,1985)
(1)発生的方法:発生的方法(Genetic
 Method)の必要を唱える


(2)認知機能の社会的起源:個人の認知
 機能は社会的相互作用に由来する

(3)社会的媒介:心的過程は心的道具や
 記号によって媒介される
                         43
(1)発生的方法
• 前提:人間の心的過程はより原始的な形態からの
  系統発生的発達という観点からのみ理解されうる

• 発達を捉える3つの領域
  – a.進化的・系統発生的領域:ヒトが類人猿
    からいかにヒトとなりえたか
  – b.社会・文化的歴史の領域:人類の原始的
    祖先がいかに文明化したのか
  – c.個体発生的領域:人間の個体はいかに発達
    するのか

• →大人の心的機能は以上の3つの領域における発
  達の結果として眼前に現れたものである

                           44
(2)認知機能の社会的起源
• 文化的発達の一般発生的法則
 – General Gentic Law of Cultural Development

• 「・・・子どもの文化的発達におけるすべて
  の機能は,二度,二つの水準にあらわれる.
  最初は社会的水準であり,後に心理的水準に
  あらわれる.すなわち,最初は精神間カテゴ
  リーとして人々の間に,後に精神内カテゴ
  リーとして人々の間にあらわれる.このこと
  は,随意的注意,論理的記憶,概念形成,意
  志の発達など,いずれにも同じようにあては
  まる.」
                                                45
スキャフォールディングにおけるチュー
              ターの
   機能( Wood, Bruner & Ross, 1976)
1. チューターが定義したのと同じ課題への関心を子ど
   もから引きだす.
2. 課題を単純化することによって問題解決に必要なス
   テップの数を減らし,学習者自身がプロセスの要素
   を管理し,いつ課題が要求するものに達したのか認
   識できるようにする.
3. 子どもの動機付けと活動の方向付けを通して,目標
   の追求を維持する.
4. 子どもが生産したものと理想的な解との違いの決定
   的な違いを特徴づける.
5. 問題解決におけるフラストレーションとリスクを抑
   制する.
6. 遂行すべき理想的な仕方で問題を解いてみせる.
                                    46
足場作り(スキャフォールディング)の例
      7+6+5= □ +5
– 先生:「□のところにはどんな数が入るかな。」
– 児童:「23。」
– 先生:「どうやって答えを出したのかな。」
– 児童:まず□を指さし,続いて「7」と「6」を指差しな
  がら,
      「13と10を足して,23になる。」
– 先生:7と6を手で覆いながら,
      「これを隠すわね。そうすると,両側には何が見
      えるかしら。5と5よね。」

             47
思考力の発達を巡る議論
1. 思考力→コミュニケーション力
 – 代表的研究者:ピアジェ
  •   子どもは自分のことに夢中で他者と共同的でない
      が,自分を客観視できるほどの知能を獲得した後
      に他者と共同することができる


2. コミュニケーション力→思考力
 – 代表的研究者:ヴィゴツキー
  •   人は生まれつき人に向かい,人と交流することで
      知能を獲得する


                           48
内言および自己中心的言語に対するピアジェと
    ヴィゴツキーの考え方の相違(”Thought and
          Language”, 1986)
• Piagetの自己中心語:子どもの思考は物事の特定の面だけに注
  目して他の面を無視する傾向にある.これを自己中心性と呼ぶ
  が,この特徴が言語面に表れたものを自己中心的言語という.
  例えば,幼稚園などでは大勢の子どもがお互いに無関係にしゃ
  べっていることがあり,Piagetはこれを集団的独語と呼び,幼
  児の自己中心性のあらわれであると考えた.
• Vygotskyの内言:他者とのコミュニケーションの手段として機
  能していた言語が次第に内面化され,自分自身の中でのコミュ
  ニケーション,いわば自己内対話が行われるようになり,思考
  や自身の行動を統制する機能を担うようになったものを内言と
  いう.内言は音声を伴わない自分のための内的言語であり,思
  考の道具として,自己制御機能をもつ.外言は他者に向かって
  用いる音声言語であり,伝達の機能を持つ.最初は外言しか持
  たない子どもが発達に伴って外言と内言に分化させるが,その
  移行期である幼児期には,内言が音声を伴って現れることがあ  49
ピアジェとヴィゴツキーにおける思考と言語の発達の捉え方の違い
                         (”Thought and Language”, 1986)
ピアジェ
                                  =子どもが未熟なことの証
                                                         置き換わる
                                                                       社会化された言葉
                                      自己中心的言葉
  外言的自閉的思考                                                               と
                                           と
  (=無意識的思考)                 分化                           置き換わる         論理的思考
                                      自己中心的思考
 (=自閉的な思考が外に                                                        (合理的,意識的思考)
  出てしまったもの)
                                                 社会的な存在から矯正される




ヴィゴツキー


                                                         社会的言語
                                                         (コミュニケーションのための言語)

                                 分化
         社会的言語
                                      内化
   (=最初から誰かに向けられている)
                                                         内言
                                                         (思考のための,自分自身のための言語)


                                                考えていることがつい
                          自己中心的言語
                                                口をついて出てしまう
                       (=子どもが発達している証)
発達の最近接領域
(3)記号的媒介
• 人間の認知機能は,人間の活動が機器な
  どの技術的道具や言語・記号などの心的
  道具によって媒介されることで成立して
  いる

→技術的道具も心的道具も特定の文化や歴史にお
 いて徐々に形成されたものであるため,それを
 媒介とする人間の心的活動も必然的にその文化
 や歴史に強く規定されたものである
白熊の三段論法
 ( 『認識の史的発達』 ,1976,明治図書)

• ルリア:ヴィゴツキーをスカウト.ヴィゴツ
  キー理論 を忠実に踏襲.

• ルリアが1930年代にウズベク地方で調査
 – 識字文化が個人の思考過程に与える影響を検討
 – 参加者が個人的経験を持たないような状況を想定
   した三段論法を提示し、そこから推論するよう求
   めた.
  • 雪の降る極北では熊はすべて白い。
  • ノーバヤ・ゼムリヤーは極北にある。
  • そこの熊は何色をしているか?

• ルスタム氏他5名はどのように回答したか      53
参加者1 ルスタム 47歳
     (パルマン村農民、非識字者)
• ――北方の熊はどんな色ですか?
• 「大いに経験もあり、あちこち行ったことのある人ならその
  問いに答えられるだろうね。」
• ――では私が話したことからその質問に答えられますか?
• 「寒い国に何度も行ったことや居たことがあって、何でも見
  た人ならその質問に答えられるだろうし、そこでは熊がどん
  な色をしているかも知っているだろうね。」
• ――シベリアの北のほうではいつも雪があります。私はあな
  たに、雪のあるところでは熊は白いといいましたね。シベリ
  アの北では熊はどんな色をしているんでしょうか?
• 「私はシベリアのほうには行ったことがないな。去年死んだ
  タバジイ・アカならシベリアを見たことがあるんだが。彼は
  私に、そこには白熊がいると話してくれたが、それがどんな
  ものなのか言ってはくれなかった。」
                            54
参加者2 アブドゥラフ 37歳
         ( カシュガル村出身、非識字者)
•   (<白熊>の三段論法が与えられる。)「いろいろな獣がいる。」
•   (三段論法がくり返される。)「わからないな。黒い熊なら見たことがあるがほ
    かのは見たことがないし……。それぞれの土地にはそれぞれの動d物がいるよ。
    白い土地であれば白い動物、黄色い土地には黄色い動物が。」
•   ――ところでノーバヤ・ゼムリヤーにはどんな熊がいますか?
•   「われわれは見たことだけを話す。見たこともないものについてはしゃべらない
    のだ。」
•   ――さっきの話からはどうなりますか?(三段論法がくり返される。)
•   「どういうことなんだろう。われわれの旅は君たちの旅とは似ていないし、君た
    ちの旅はわれわれの旅には似ていない。君の話に答えられるのは見たことのある
    者だけだね。見たことのない者は君の話を聞いても何も言うことはできない
    よ。」
•   ――いつも雪のある北方では熊は白いと私は言いましたが、そこからノーバヤ・
    ゼムリヤーの熊はどのようだと結論づけられますか?
•   「60歳とか80歳の人で、その人が白熊を見たことがあって喋るならば信用して
                                        55
    もよいだろうが、私は白熊を見たことがないんだよ。だから話すことはできない
参加者3 ガスル・アクバル      26歳   (識字者)
•   (白熊の三段論法が与えられる)
•   「君はそこは寒くて雪があると言ったね、ということはつまりそこの雪は
    白いということだ。」

          参加者4 イシャンクル 63歳
        (村で最も尊敬されている1人,非識字者)
•   (白熊の三段論法が与えられる)北方のAという町では熊は何色でしょう
    か?
•   「熊が寒さで白くなるというのならそこでは白いに違いない。恐らくはそ
    こでは熊はロシアのよりももっと白いだろう。」


    参加者5 アブドゥル    45歳   (コルホーズ長,識字者)

•   (白熊の三段論法が与えられる)北方のAという町では熊は何色でしょう
    か?
•    「もし風がよく吹いて涼しいところなら、そこの熊はさまざな色をして
    いるだろう。」
•   ――私の話したことからはどうなりますか?
•   (三段論法がくり返される。)
•   「君の言葉に従うならば、みな白色でなくちゃいけないね」      56
正統的周辺参加論(LPP)
• LaveとWengerによる西アフリカ,ヴァイ族と
  ゴラ族の仕立て屋での学びのプロセス研究
• 特徴
 – 徒弟制になっている
 – 洋服の製造工程と逆の順序で学んでいく
    • アイロン掛け・ボタン付け→縫製→裁断
    – アイロン掛け・ボタン付け:洋服の構造を知る.
    – 縫製:洋服を構成する布地の関係やそのような形で裁断
      する理由を理解する.
    – 致命的な失敗も防げる
 – 互いの仕事内容が見渡せる仕事場

 →周辺から中心に参加していくにつれ自然に学べる構
  造
                           57
正統的周辺参加論(LPP)の主張
• 学習とは本来的に徒弟的なものである

• 周辺的参加から十全的参加への参加形態
  の変化が学習である.
→つまり,知識とか技能というのはその結果とし
 て起こる副産物に過ぎない
 「勉強をする、というのはおかしい。何かをするとき
に、「勉強」が結果的に伴っている、というのが本来の
学習なのだ 」


• 学習は転移しない.つまり抽象的な技能
  や能力,知識などは存在しない.
                         58
「反省的実践家としての熟達者」論

• Donald Schön(ドナルド・ショーン)
• 熟達者は「専門的知識が豊富な人」ではない.
• むしろ,現場の様々なイレギュラーな出来事か
  ら,問題解決に繋がる知識を発見していくこと
  が熟達者の特徴である.
• 知識・スキルではなく,反省的実践が重要
 – 知識を問題に当てはめるのではない.
 – 知識を問題に当てはめ,それでも解決しない理由を
   考え,必要に応じて問題の捉え方自体を考え直して
   いくプロセス.
                             59
例えば,眼科医のケース
• 症例の80~85%は,既存の診断基準に当て
  はまらない.
  – 例)緑内障と炎症の合併症
    • 緑内障を治療する→炎症が悪化
    • 炎症を治療する→緑内障が悪化
  • ある眼科医は,何もせずしばらく様子を見た
     →患者の炎症が減少し,緑内障も消失.
     →緑内障はこれまでの投薬が原因と判明
• よい医者は症例を理解する新たな仮説を検証する
  ための実験を考案する.

                           60
テストについて
• 内容
 – 第2章全体と第5章3~5節に関する問題
 – 最終プレゼン等の内容に関して以下より2つ
   •   プログラム学習
   •   インフォームド・アセスメント
   •   自己決定理論
   •   社会構成主義
   •   学習方略
   •   記憶モデル・二重符号化説
   •   デューイの経験の原理

                          61

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  • 2. 今日のアジェンダ • 授業目的や到達目標,評価基準,ルール 等 • ICT活用について • 今日のワーク – 教育心理学理論をつくろう • 連絡事項 2
  • 3. 授業目的と到達目標 人が学び,成長する過程においてコミュニケーションが いかに本質的に関わっているかを,心理学を中心に,教育 学,人類学,認知科学などの研究知見に基づいて理解し, 関連する専門知識を身につける。 (1)この100年間ほどの教育研究トレンドの変遷とその 理由を行動主義以前,行動主義,認知主義,認知主義 以降の4つに分けて説明することができる。 (2)認知発達について,ピアジェとヴィゴツキーの理論 の違いを説明することができる。 (3)学習においてコミュニケーションが果たす役割につ いて自分の考えを論じることができる。 加えて,授業を通して コミュニケーション力も培ってほしい 3
  • 4. 受講のルールにかかわる情報: • グループ活動やプレゼンテーションなど参加型の活動に参 加することが受講の条件です。 • 修学支援システムや大学のメールなどを必ずよく見るメー ルアドレスに転送設定してください。また,これらのメー ルは,平日は毎日ご確認ください。 • 学期末テストに出席できない場合は,2週間以上前に申し出 てください。 • 以下に授業に関連したリンク集や資料がありますので,第 2回の講義までに必ず訪れてください。 http://www.slideshare.net/EijiTomida 4
  • 5. 教材にかかわる情報: – 教科書:『教育方法学』 佐藤学/著 岩波書店 – 参考書:シラバスを参照のこと – その他,授業中に資料を配付します。 評価にかかわる情報: – 授業への積極的参加: 30% – 提出物: 30% – テスト等: 40% オフィスアワー・その他: – オフィスアワー:月曜5限,水曜2限 – Eメール:tomida@ehime-u.ac.jp – 授業用ツイッターアカウント:etinclass – フェイスブック 5
  • 6. PC等を活用した学習 • 資料はウェブからダウンロード – ダウンロードするにはSlideShareにログインが必要 • FaceBookのアカウントがあればなお便利 • 修学支援システム – 携帯またはPCメールに転送設定をしておくこと – 大学のメールは平日は毎日チェックすること • PCやスマホを授業中にも活用してください – メディアセンターのIDとパスで無線LAN使用可 →授業のスライドを授業中にDLして書き込み →分からない語はすぐ調べる →ツイッターで授業中に発言する 等々 6
  • 7. この授業の展開 • 前半 – 教育心理学理論を素朴につくる – 受講生が現代人に必要なスキルを互いに教える – その教授学習過程を他の受講生が観察する – 素朴につくった教育心理学理論を洗練させる • 後半 – 自分たちのつくった理論とプロの理論を関連づけ る – 理論が社会の実践にどのように貢献できるか明確 化 7
  • 8. 授業の背景にある問題意識 • 新しい社会「知識基盤社会」の到来 • 過去の学校モデルへの執着 – 世の中の問題には答えがあるという誤った信念 – 国内「学力」競争に勝つことが人生の成功に繋がるという誤った 信念 – 社会や組織ではなく,個人の利益だけを追い求める狭い自己意識 • このような社会では従来の理論は役立ちにくい – 「活動理論」の可能性 – ヴィゴツキー → レオンチェフ → エンゲストローム の系 譜 • しかし,理論だけでは分かりにくい – 自らの素朴理論を自分たちの過去経験に基づいて構成し,それと 照らし合わせながら,プロの理論を理解する – 「理論」というものを体験的に理解してほしい 8
  • 9. 何を説明する理論? • 子どもの発達 • 色彩 • 生徒に好かれる教師 • 成績のあげ方 • 予習復習の役割や効果的な方法 • 効果的な教授法 • 児童生徒の意欲を高める授業のつくりかた – 授業で子どもに考えさせる方法:発問,グループワーク等 – 外発的動機づけから内発的動機づけの変遷の方法 • 特別支援のあり方 • ノートの取り方の理論 • 楽しく分かりやすい授業のつくりかた • 生徒とのコミュニケーションの取り方 • 学級運営 – みんなの居場所のある教室作り – いじめをなくすための教員の取組 – 保護者・児童生徒の関係作り • 義務教育の効果・意義 • 学習の環境 – 家庭内環境,教師のサポート – 物理的環境(机の並べ方など) 9
  • 10. 次回までの課題 • 過去の授業資料をダウンロードしてみる – ツイッターなど,その他のツールも試してみ る • 未だ買っていない人は教科書を買う • 次回のワークについて,自分のアイデア を考えてくる 10
  • 11. 次回のワーク • 相互教授学習のテーマを決める – あなたができることの中で,他の人が身につ ければ今後の人生に役立ちそうなことは何で しょうか • 役割を決める – 相互教授学習に取り組むグループ – 上記グループの観察をするグループ • プレテストとしてのディスカッション 11
  • 12. 素朴教育心理学 • ノートを取らせる方法 • 効果的教授法 – 色ペン,プリント – 身近な内容と結びつける – 予習復習,授業での取り方 – 生徒から意見を引き出す • 効果的な教授法 • 義務教育の年齢 – 子どもの主体性を中心に – 早期教育が重要 – 内発的動機づけが重要 • 楽しく分かりやすい授業 • 効果的な動機づけ – 子どもへの敬意が重要 – (+)競争,目標の魅力,賞 – 教師の内発的動機づけが重要 罰 • 生徒に好かれる教師 – (ー)命令,アンダーマイニ – 筋が通っている,明るくおもしろ ング い • 発問GWによる意欲向上 – 深く関わることができる先生 – 安心感の醸成が重要 • LDの通常学級における支援 – 正の強化が効果的(行動主 – 多様性の確保が教育に効果的 義) • トークン・エコノミー • いじめをなくす • 生徒とのコミュニケーショ – いじめは偏見が原因→価値が重要 ン • 学級運営における親との関係作り – 子どもを信頼 – 間接:親の信頼感は子どもの評価を 12 通して形成される – しかり方:簡潔にその場で
  • 13. 相互教授学習のテーマ • 折り紙 3名 1T • 英語発音 1名1T • 姿勢 6名 2T • 走り方 8名1T • 東北弁 3名 1T • お箸 4名1名 • イラスト 1名 1T • ハングルの書き方 6 • 色の塗り絵 4名 1 名2T T • 鹿児島弁 10名1T 13
  • 14. グループ分け • グループ • 役割分担 – 教師 – 生徒 – 研究者 14
  • 15. 用紙の使い方 • 全員分の氏名 グループ名 • 先生チーム – 教えるプラン 必要な道具 • 観察チーム – 観察対象 必要な道具 15
  • 16. 宿題 • 教師役 – 教えられるように材料を用意する – 購入する必要のあるものは今週中にメール • 生徒 – ノート • 研究者 – 記録用の道具:ノート,カメラ,ビデオ,PC 16
  • 17. ふり返り • 教師と調査者 – 白紙の紙に「氏名」「今日の良かった点」「反省点(教え るのが難しかった点は必ず含める)」「次回への改善案」 「感想」 • 学習者への共通アンケート – おもしろそうだと思った – やりがいがあった – やればできそうだと思った – やってよかったと思った – 新しい発見があったか – 内容を理解できた – 学んだこと(自由記述) – 感想(必ず書いてください) 17
  • 18. 次回の課題 • 時間外に2時間程度集まる+各自2時間程 度 – 調査グループ • 観察結果とアンケートをWord等にまとめる – 学習の促進要因と阻害要因について仮説をつくる – 仮説検証や要因解明に繋がる調査法を提案する – 担当者やテーマが分かるように文頭に示す – 教師グループ • 今回の「実施内容」と「反省点」「改善案」「次 回の学習指導案」をWord等で作成 • 担当者やテーマが分かるように文頭に示す →それぞれ来週月曜までにEメールで提出 tomida@ehime-u.ac.jp 18
  • 19. グループ一覧 • イラスト • ハングル • 英語発音 • 美しい姿勢 • 鹿児島弁 • 走り方 • 色塗り • 折り紙 • 箸の使い方 • 東北弁 19
  • 20. スケジュール • 11/15 インストラクション2 – 課題:プレゼンの準備 • 11/22 プレゼンテーション – 課題:教科書やその他の文献を読む • 11/29 文献による仮説の検証 20
  • 21. 今日の活動 • 前回の課題のシェアリング(10分) – 教師チームと調査チームに分かれて議論 • インストラクションと調査の打合せ(15分) – 教師チームと調査チームに分かれて議論 – 機材等の準備 • 本日のインストラクション(50分) • 授業時間外の打合せ(5分) 21
  • 22. 次回(11月22日)までの課題 • これまでの活動を通して分かったことを集約 – 自分達が観察・体験したことに基づいていること – 事実と推論,推論と思いつきを分けること • 全員で協力して,A4一枚の配布資料を作成 – 来週月曜までに提出 • 5分間でプレゼンする準備 – 誰でも発表できるように – パワーポイントで画像や動画を活用 – 来週月曜までに提出 22
  • 23. 宿題 • 自分たちの授業で分かったことに関連し た文献を印刷してくる – CiNii(さいにぃ) – Googleスカラー – 図書館 – コピーカードが必要な人は富田まで 23
  • 24. 前回の提出物について • (前回)関連論文の提出 – 班の中で大きなバラツキ – テーマを集約する必要がある – 今日の議論:どのようなテーマで論文を集めるか検 討 • 特定の「仮説」や「主張」に関連した論文に絞る • これまでの相互教授活動に関連したものに限る • 次々回への展開 – 毎回3つの班ごとに論文調査で分かったことを発表 – 12月20日は「食事マナー」「ハングル」「走り方」 • 今週中に一度ドラフトを富田に送ってください • 新しく論文が増えた時は富田にメールで送る(URL/PDF) 24
  • 25. 前回の宿題と今後の展開 • 12月20日の発表に備えて – 「食事マナー」「ハングル」「走り方」が発表 • 12月9日までに一度ドラフトを富田に送る • 新しく論文が増えた時は富田にメールで送る (URL/PDF) • 教科書の内容について – 年内で第2章について理解する – 12月22日までの宿題:年表を作成して提出 – 新年の授業でグループでまとめる • 最終的に,各班の教授学習理論を年表に関連づける • 筆記のテストは第15回で実施します 25
  • 26. 観察した事実 他の教育場面で 学校の先生が に基づいてい も利用できそう 知らなそう る 色の塗り方 4.11 2.44 4.18 折り紙 3.89 2.50 4.10 東北弁 4.23 3.11 4.08 イラスト 3.26 2.55 3.69 英語の発音 3.84 2.81 4.13 美しい姿勢 3.87 3.08 4.15 お箸のマ 3.48 2.28 3.67 ナー 鹿児島弁 3.31 2.44 3.40 ハングル 4.10 2.87 4.29 走り方 3.98 3.07 4.23
  • 27. 教科書第2章第1節 • 近代以前の教育方法 – キーワードは「リテラシー」 – リテラシーの2つの側面 • 民衆を支配する道具として • 民衆をエンパワーする道具として – 道具や媒介は必ず双方向性を持っている – 教育という活動が持つ典型的展開 » 支配のために与えた道具や培った力量が,民衆の自 立の道具になっていく 27
  • 28. リーディング・クエスチョン • コメニウスとペスタロッチの教育理論の 違い • ヘルバルトとペスタロッチの教育理論の 違い • ライン理論は形式的段階をどのように変 化させたか • デューイがもたらした教育方法の転換と は 28
  • 29. 12月22日締切の宿題 • 教科書2章の内容を年表にしてまとめる • 形式 – A4横置き1ページ(Word) – Eメールに添付して提出 – 提出先 submissionet@googlegroups.com 29
  • 30. 教育史 人の知は先験的に 規定されている =経験以前の話 • 古代ギリシャ – プラトンの『メノン』・・・観念論 • 中世の教会 • 宗教革命と印刷技術の発明・・・経験論 • 市民社会のための教育 知識は人々の • 国民国家のための教育 経験の結果 • 新しい市民社会のための教育 30
  • 31. 教授学の成立 The First Pedagogy • Comenius『大教授学』 – いろいろな意味で世界初の体系的な教授学 1. 全ての民衆を対象に段階に分かれた学校制度の構想 – 幼児学校,初等学校,中等学校,大学 2. ラテン語→母国語への翻訳 – 民衆教育へのアプローチ 3. 教育方法に関連づけられた教育内容の開発 – 教科書『開かれた言語の扉』:一種の百科事典 4. 帰納法的経験主義によって基礎づけられている – ベーコンの認識論を基礎に 5. メディアミックス – 挿絵つき教科書の採用 6. 教授の技術を体系化 – 庭仕事,大工仕事,絵画,印刷としての教育 – 「印刷機」としての教師,「紙」としての子ども 31
  • 32. 冬休みの宿題(第10回の宿 題) • 教科書の第5章(V)まで読む • グループ研究をさらに進める – 適切な論文の検索 – 文献研究結果の集約 32
  • 33. 2012年1月17日(12回)へ の課題 • 第2章と第4章を読んでくる • 時間があれば,第5章も 33
  • 34. 合自然の教育学 Developing Independent-Minded Citizens • Pestalozzi『探究』 • 自然主義教育学のルソーに影響を受ける • 市民革命:封建主義からの解放は魂の解放を意 味しない。不平等,貧困,略奪,不公平な競争。 →人間の内面からの主体的な解放が重要 • 孤児と貧困児童のための学校運営 – 合自然の認識論と教育方法:労働重視,親的な教師像 – 「あいまいな直観から言語的概念へ」 • 子どもの近代的な主体の獲得過程 – ただし,教師や学校の役割は限定的 34
  • 35. 国民国家の教育学 Pedagogy for Nation States • Herbart『一般的教育学』 – 一斉授業の普及と制度化 – ペスタロッチの「直観から概念へ」に影響 – 教育学と心理学の統合 – 教育目標を「品性」の陶冶に置いた – 教育過程:「管理(態度)」「訓練(意欲)」「教授(知識)」 – 教授過程:明瞭→連合→系統→方法 • ヘルバルトの段階的教授 • 特徴:「主体の脱落」「国民国家の建設」「個人の脱落」 • ZillerとReinへと引き継がれ,世界に影響 35
  • 36. 進歩主義的教育 Progressive Education • Dewey「実験学校(1896-1904)」 – 産業社会の発展 → 民主主義の担い手を育てる教育 – 子どもの関心や興味から出発する活動的学習 • 学校の整備に尽力 – 学校は社会の縮図:学校での主体的な経験が,民主 主義を支える市民を育成する • 現代教育への影響 – Kilpatrick「プロジェクトメソッド」 – 「フリースクール」「総合的な学習の時間」「話し合い」 – 知識伝達から「学び」や「学びあい」への展開 36
  • 37. 経験の原理①:連続性の原理 (Dewey, 1938) • 現在の状況と類似しているから過去経験が利用できる • これまで経験したものは必ず未来に影響を与える • そのため,教育内容は将来活かされる状況に対応すべき – 教師の言動や存在は社会の一員を代表したものでなければ,学 習者にとって意味を持たない 現在: 状況A 過去: 状況A’ 37
  • 38. 経験の原理②:相互作用の原理 (Dewey, 1938) • 内的条件は変えられない.内的条件を読み取り,それに あわせて客観的条件を調整するのが教育者の役割 状 況 子ど 客観的条件 内的条件に 内的 も 条件 合わせて調整 解釈 調整 親や 教師 先人の知恵や 専門的知識 38
  • 39. 効率主義の教育学 Engineered Approach to Education • Bobbit – カリキュラムの科学的研究の創始者 • テイラーによる「科学的経営の原理」を援用 • 組み立て工場における生産過程を教育に持ち込む • 「教育目標」という概念が登場 • 国家主義と産業主義の二重支配構造が確立 – Chartersへと継承 • 教育工学へと発展 – 例)Instructional Design:ADDIEモデル 39
  • 40. 2012年1月31日(14回)への課 題 • 課題 – 以前に提出した年表を2部印刷して持参 • 次回の予定 – 第2章に関するグループディスカッション – 講義の補足 – 試験に関する説明 40
  • 41. 第14回 今日の内容 • DP対応調査 • デューイの「経験の原理」解説 • ヴィゴツキー理論の解説 • 正統的周辺参加論の解説 • 年表についてディスカッション – 時代は理論に何を付け加えたのか • テストについて 41
  • 42. ヴィゴツキーの理論的貢献 • 媒介項が高次精神機能の肝 – 心理学ツールを通して文化的蓄積は個人に影響 – 特に言語的媒介が高次精神機能を支える • 媒介項(補助的刺激)X S R • 人間が外部の力を借り,外部から自分 の行動をコントロール可能 • Sの意味をXが媒介するだけでなく, RによってXを持ち込み,自発的にS を作ることができる X • 心理的ツール:言語,計数システム, 記憶術,数シンボルシステム,芸術作 媒介された行為の構造 品,文字,略図・図解・地図・製図, 様式的記号など(Vygotsky, 1981) • しかし,社会との関係については 検討が深くなされていない 42
  • 43. ヴィゴツキー理論の3つのテーマ (Wertsch,1985) (1)発生的方法:発生的方法(Genetic Method)の必要を唱える (2)認知機能の社会的起源:個人の認知 機能は社会的相互作用に由来する (3)社会的媒介:心的過程は心的道具や 記号によって媒介される 43
  • 44. (1)発生的方法 • 前提:人間の心的過程はより原始的な形態からの 系統発生的発達という観点からのみ理解されうる • 発達を捉える3つの領域 – a.進化的・系統発生的領域:ヒトが類人猿 からいかにヒトとなりえたか – b.社会・文化的歴史の領域:人類の原始的 祖先がいかに文明化したのか – c.個体発生的領域:人間の個体はいかに発達 するのか • →大人の心的機能は以上の3つの領域における発 達の結果として眼前に現れたものである 44
  • 45. (2)認知機能の社会的起源 • 文化的発達の一般発生的法則 – General Gentic Law of Cultural Development • 「・・・子どもの文化的発達におけるすべて の機能は,二度,二つの水準にあらわれる. 最初は社会的水準であり,後に心理的水準に あらわれる.すなわち,最初は精神間カテゴ リーとして人々の間に,後に精神内カテゴ リーとして人々の間にあらわれる.このこと は,随意的注意,論理的記憶,概念形成,意 志の発達など,いずれにも同じようにあては まる.」 45
  • 46. スキャフォールディングにおけるチュー ターの 機能( Wood, Bruner & Ross, 1976) 1. チューターが定義したのと同じ課題への関心を子ど もから引きだす. 2. 課題を単純化することによって問題解決に必要なス テップの数を減らし,学習者自身がプロセスの要素 を管理し,いつ課題が要求するものに達したのか認 識できるようにする. 3. 子どもの動機付けと活動の方向付けを通して,目標 の追求を維持する. 4. 子どもが生産したものと理想的な解との違いの決定 的な違いを特徴づける. 5. 問題解決におけるフラストレーションとリスクを抑 制する. 6. 遂行すべき理想的な仕方で問題を解いてみせる. 46
  • 47. 足場作り(スキャフォールディング)の例 7+6+5= □ +5 – 先生:「□のところにはどんな数が入るかな。」 – 児童:「23。」 – 先生:「どうやって答えを出したのかな。」 – 児童:まず□を指さし,続いて「7」と「6」を指差しな がら, 「13と10を足して,23になる。」 – 先生:7と6を手で覆いながら, 「これを隠すわね。そうすると,両側には何が見 えるかしら。5と5よね。」 47
  • 48. 思考力の発達を巡る議論 1. 思考力→コミュニケーション力 – 代表的研究者:ピアジェ • 子どもは自分のことに夢中で他者と共同的でない が,自分を客観視できるほどの知能を獲得した後 に他者と共同することができる 2. コミュニケーション力→思考力 – 代表的研究者:ヴィゴツキー • 人は生まれつき人に向かい,人と交流することで 知能を獲得する 48
  • 49. 内言および自己中心的言語に対するピアジェと ヴィゴツキーの考え方の相違(”Thought and Language”, 1986) • Piagetの自己中心語:子どもの思考は物事の特定の面だけに注 目して他の面を無視する傾向にある.これを自己中心性と呼ぶ が,この特徴が言語面に表れたものを自己中心的言語という. 例えば,幼稚園などでは大勢の子どもがお互いに無関係にしゃ べっていることがあり,Piagetはこれを集団的独語と呼び,幼 児の自己中心性のあらわれであると考えた. • Vygotskyの内言:他者とのコミュニケーションの手段として機 能していた言語が次第に内面化され,自分自身の中でのコミュ ニケーション,いわば自己内対話が行われるようになり,思考 や自身の行動を統制する機能を担うようになったものを内言と いう.内言は音声を伴わない自分のための内的言語であり,思 考の道具として,自己制御機能をもつ.外言は他者に向かって 用いる音声言語であり,伝達の機能を持つ.最初は外言しか持 たない子どもが発達に伴って外言と内言に分化させるが,その 移行期である幼児期には,内言が音声を伴って現れることがあ 49
  • 50. ピアジェとヴィゴツキーにおける思考と言語の発達の捉え方の違い (”Thought and Language”, 1986) ピアジェ =子どもが未熟なことの証 置き換わる 社会化された言葉 自己中心的言葉 外言的自閉的思考 と と (=無意識的思考) 分化 置き換わる 論理的思考 自己中心的思考 (=自閉的な思考が外に (合理的,意識的思考) 出てしまったもの) 社会的な存在から矯正される ヴィゴツキー 社会的言語 (コミュニケーションのための言語) 分化 社会的言語 内化 (=最初から誰かに向けられている) 内言 (思考のための,自分自身のための言語) 考えていることがつい 自己中心的言語 口をついて出てしまう (=子どもが発達している証)
  • 52. (3)記号的媒介 • 人間の認知機能は,人間の活動が機器な どの技術的道具や言語・記号などの心的 道具によって媒介されることで成立して いる →技術的道具も心的道具も特定の文化や歴史にお いて徐々に形成されたものであるため,それを 媒介とする人間の心的活動も必然的にその文化 や歴史に強く規定されたものである
  • 53. 白熊の三段論法 ( 『認識の史的発達』 ,1976,明治図書) • ルリア:ヴィゴツキーをスカウト.ヴィゴツ キー理論 を忠実に踏襲. • ルリアが1930年代にウズベク地方で調査 – 識字文化が個人の思考過程に与える影響を検討 – 参加者が個人的経験を持たないような状況を想定 した三段論法を提示し、そこから推論するよう求 めた. • 雪の降る極北では熊はすべて白い。 • ノーバヤ・ゼムリヤーは極北にある。 • そこの熊は何色をしているか? • ルスタム氏他5名はどのように回答したか 53
  • 54. 参加者1 ルスタム 47歳 (パルマン村農民、非識字者) • ――北方の熊はどんな色ですか? • 「大いに経験もあり、あちこち行ったことのある人ならその 問いに答えられるだろうね。」 • ――では私が話したことからその質問に答えられますか? • 「寒い国に何度も行ったことや居たことがあって、何でも見 た人ならその質問に答えられるだろうし、そこでは熊がどん な色をしているかも知っているだろうね。」 • ――シベリアの北のほうではいつも雪があります。私はあな たに、雪のあるところでは熊は白いといいましたね。シベリ アの北では熊はどんな色をしているんでしょうか? • 「私はシベリアのほうには行ったことがないな。去年死んだ タバジイ・アカならシベリアを見たことがあるんだが。彼は 私に、そこには白熊がいると話してくれたが、それがどんな ものなのか言ってはくれなかった。」 54
  • 55. 参加者2 アブドゥラフ 37歳 ( カシュガル村出身、非識字者) • (<白熊>の三段論法が与えられる。)「いろいろな獣がいる。」 • (三段論法がくり返される。)「わからないな。黒い熊なら見たことがあるがほ かのは見たことがないし……。それぞれの土地にはそれぞれの動d物がいるよ。 白い土地であれば白い動物、黄色い土地には黄色い動物が。」 • ――ところでノーバヤ・ゼムリヤーにはどんな熊がいますか? • 「われわれは見たことだけを話す。見たこともないものについてはしゃべらない のだ。」 • ――さっきの話からはどうなりますか?(三段論法がくり返される。) • 「どういうことなんだろう。われわれの旅は君たちの旅とは似ていないし、君た ちの旅はわれわれの旅には似ていない。君の話に答えられるのは見たことのある 者だけだね。見たことのない者は君の話を聞いても何も言うことはできない よ。」 • ――いつも雪のある北方では熊は白いと私は言いましたが、そこからノーバヤ・ ゼムリヤーの熊はどのようだと結論づけられますか? • 「60歳とか80歳の人で、その人が白熊を見たことがあって喋るならば信用して 55 もよいだろうが、私は白熊を見たことがないんだよ。だから話すことはできない
  • 56. 参加者3 ガスル・アクバル 26歳 (識字者) • (白熊の三段論法が与えられる) • 「君はそこは寒くて雪があると言ったね、ということはつまりそこの雪は 白いということだ。」 参加者4 イシャンクル 63歳 (村で最も尊敬されている1人,非識字者) • (白熊の三段論法が与えられる)北方のAという町では熊は何色でしょう か? • 「熊が寒さで白くなるというのならそこでは白いに違いない。恐らくはそ こでは熊はロシアのよりももっと白いだろう。」 参加者5 アブドゥル 45歳 (コルホーズ長,識字者) • (白熊の三段論法が与えられる)北方のAという町では熊は何色でしょう か? • 「もし風がよく吹いて涼しいところなら、そこの熊はさまざな色をして いるだろう。」 • ――私の話したことからはどうなりますか? • (三段論法がくり返される。) • 「君の言葉に従うならば、みな白色でなくちゃいけないね」 56
  • 57. 正統的周辺参加論(LPP) • LaveとWengerによる西アフリカ,ヴァイ族と ゴラ族の仕立て屋での学びのプロセス研究 • 特徴 – 徒弟制になっている – 洋服の製造工程と逆の順序で学んでいく • アイロン掛け・ボタン付け→縫製→裁断 – アイロン掛け・ボタン付け:洋服の構造を知る. – 縫製:洋服を構成する布地の関係やそのような形で裁断 する理由を理解する. – 致命的な失敗も防げる – 互いの仕事内容が見渡せる仕事場 →周辺から中心に参加していくにつれ自然に学べる構 造 57
  • 58. 正統的周辺参加論(LPP)の主張 • 学習とは本来的に徒弟的なものである • 周辺的参加から十全的参加への参加形態 の変化が学習である. →つまり,知識とか技能というのはその結果とし て起こる副産物に過ぎない 「勉強をする、というのはおかしい。何かをするとき に、「勉強」が結果的に伴っている、というのが本来の 学習なのだ 」 • 学習は転移しない.つまり抽象的な技能 や能力,知識などは存在しない. 58
  • 59. 「反省的実践家としての熟達者」論 • Donald Schön(ドナルド・ショーン) • 熟達者は「専門的知識が豊富な人」ではない. • むしろ,現場の様々なイレギュラーな出来事か ら,問題解決に繋がる知識を発見していくこと が熟達者の特徴である. • 知識・スキルではなく,反省的実践が重要 – 知識を問題に当てはめるのではない. – 知識を問題に当てはめ,それでも解決しない理由を 考え,必要に応じて問題の捉え方自体を考え直して いくプロセス. 59
  • 60. 例えば,眼科医のケース • 症例の80~85%は,既存の診断基準に当て はまらない. – 例)緑内障と炎症の合併症 • 緑内障を治療する→炎症が悪化 • 炎症を治療する→緑内障が悪化 • ある眼科医は,何もせずしばらく様子を見た →患者の炎症が減少し,緑内障も消失. →緑内障はこれまでの投薬が原因と判明 • よい医者は症例を理解する新たな仮説を検証する ための実験を考案する. 60
  • 61. テストについて • 内容 – 第2章全体と第5章3~5節に関する問題 – 最終プレゼン等の内容に関して以下より2つ • プログラム学習 • インフォームド・アセスメント • 自己決定理論 • 社会構成主義 • 学習方略 • 記憶モデル・二重符号化説 • デューイの経験の原理 61