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1  sur  9
石原 尚
研究基礎講座 第6回
発表で論証を伝えよう
新入生講習会 2016-04-27
2
今回の学習の目標
分かり易い発表資料は何かを知る
論証図,論述文,発表資料の対応を知る
論証をわかりやすく,短い時間で訴える力「発表力」を身に
つける
• 論述と発表は似て非なる表現の場
• 論述では,書くべき内容の正確性,情報の十分性が重要
• 発表では,限られた時間で納得させることが重要
• ただし,論証の構造を反映させる点では同じ!
3
個別の結論とその繋がりが一目でわかるもの!
分かりやすい資料とは?
実は分かりやすい資料は説明もしやすい!
結果1
結果の考察
×分かりにくい資料 ○分かりやすい資料
結果:時間的変化
予想外の上昇傾向を示した
では,なぜ上昇したのか?
考察:上昇傾向の原因
促進物質Aの存在の疑い
物質Aの存在量の確認が必要
データ
物質A 上昇を促進
• 物質Aが含まれていた
のではないか
結果は結局よかったのか
悪かったのかわからない
結果の何に対して
なぜ考察が必要なのかわからない
だからどうすべきか?
という次の話がみえてこない
「結果の時間的変化はどう
だったか」という論点が明確
論点に対する結論が明確
結論の根拠が明確
次の論点との繋がりが明確予想
4
説明すべき順に内容が並んでいるもの!
説明しやすい資料とは?
論点,結論,結論の補足,次の論点への繋ぎ,の順で書いて読むだけ!
結果:時間的変化
予想外の上昇傾向を示した
では,なぜ上昇したのか?
考察:上昇傾向の原因
促進物質Aの存在の疑い
物質Aの存在量の確認が必要
データ
物質A 上昇を促進
○分かりやすい資料 = ○説明しやすい資料 データが時間的にどう変化したかを見てみました.
すると,予想外の上昇傾向を示していました.
つまり,データ近似直線の傾きは負でなく正でした.
では,なぜ上昇したのかについて考えてみます.
今回は促進物質Aの存在が疑われます.
物質Aは,データを上昇させる作用を持つのです.
従って,物質Aの存在量の確認が必要です.
予想
5
説明の流れに合わせた情報配置
分かりやすく,また説明しやすい資料の構造とは?
このような構造に決めておけば,実は作るのも楽!
結果:時間的変化
予想外の上昇傾向を示した
では,なぜ上昇したのか?
論点:ヘッダ部にシンプルに明示
結論:見出しには論点に対する明確
な答えを大きなフォントで記載
結論の根拠や補足情報を図示
結論と繋がる次の論点を明示
6
提案
衝撃防護被覆の実装
理由①
大事なことは目立つ場所に.構造を図示.
論証図・論述文との対応
理由②
衝撃耐久性の不足
以下では,二つの理由について解説
機構設計維持の
必要性
論証図を反映した論述文のアウトライン
論証図を反映した発表資料
7
被覆が必要である理由①
機構自体の衝撃耐久性不足
過去の転倒時の部位別故障リスト
大事なことは目立つ場所に.構造を図示.
論証図・論述文との対応
論述文の一つの段落(一つの論証単位)
論証図を反映した発表資料
この理由は以下の二つである.一つ目の理由は,このロ
ボットの関節機構自体の衝撃耐久性が,継続的な動作実
験を実施する上で不足していることである.これまでの
走行実験における数度の転倒のほとんどの場合において,
機構部材の変形やセンサ部の故障が生じたために,実験
を中断せざるを得なかった.このことから,機構の衝撃
耐久性の不足は明らかである.
ほとんどの場合にどこかの部品が故障!
1回目 2回目 3回目 4回目 五回目
機構部 故障 故障
センサ部 故障 故障 故障
駆動部 故障 故障
8
記載すべき内容とその配置を規定
このPowerPointスライドのテンプレート構造の紹介
このテンプレートに合わせて作成すれば楽に作れる
9
構造化された資料をつくりましょう
まとめ
○構造化された資料
○分かりやすい ○説明しやすい ○作りやすい
やっぱり論証図が大事

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