Process-Based Therapy勉強会の第4回前半，森下 結花さんによる発表資料です。"Learning Process-Based Therapy"という書籍の第7章前半の内容がまとめられています。 勉強会の概要はこちら。 https://note.com/junkashihara/n/n6e93928a8fcb

1. 1
Chapter 7-1
Context Sensitivity
and Retention
Process-Based Therapy勉強会
2022年6月30日
森下結花 (稲荷山武田病院)

2. 自己紹介
2
◼ 森下結花（もりしたゆうか）
• 臨床心理士
• 公認心理師
• ACTを臨床でよく使っています
◼ 所属
• 稲荷山武田病院（武田病院グループ）
• リエゾン心理（緩和ケア・糖尿病・心臓リハビリテーション）
• 職員のメンタルケア⇒EAP領域に転職予定

3. PBTへの期待（多職種連携）
3
心理って何ができるの？ どういう風に役立つの？
どんな風に結果に反映
されているの？
多職種にもわかりや
すく，共通認識を持
つことができる支援
ができないか？

4. 4
第7章前半の要約

5. Variation Selection Retention Context
Affect
Cognition
Attention
Self
Motivation
Overt Behavior
Biophysiological
Sociocultural
Dimensions
Levels
Adaptive
第7章では
5
Variation Selection Retention Context
Affect
Cognition
Attention
Self
Motivation
Overt Behavior
Biophysiological
Sociocultural
Dimensions
Levels
Maladaptive

6. セラピーでの目標
6
◼ Context （文脈）
• クライエント内外の状況（個人史，遺伝的素因，文化的アイデ
ンティティ，職場の環境，生活状況，地位 など）
Maladaptive Adaptive
最年少で昇格することが
決まった！！！
職場 友人

7. セラピーでの目標
7
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高める
• 文脈に応じたより適応的な反応を柔軟に選択することができる
◼ Retention（保持力）を高める
• 選択した新しい適応的な反応を定着させることができる
マヤ（関西弁慢性腰痛ナース）の
インテーク以降のセッションでみてみましょう！

8. ◼ マヤのインテーク
マヤ︓ 腰が痛いねん。布団出れへんねん。⼀⽇パーや。
どうしたらええんねん。あー、けったクソ悪い。
ワレ、これ、どないしてくれへん。
マヤ（慢性腰痛）の事例
8
怒り
慢性腰痛
活動の制限と
仕事の回避

9. 9
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高めるには
①ネットワーク内の主要な反応を特定
仕事による怪我
再起不能になること
への恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなることは
ない」）
不当性（怪我は雇い
主の過失・「起こる
はずではなかっ
た」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例

10. 10
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高めるには
②主要な反応を強化・維持する要因を特定
仕事による怪我
再起不能になること
への恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなることは
ない」）
不当性（怪我は雇い
主の過失・「起こる
はずではなかっ
た」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例

11. 11
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高める
③反応を強化・維持する要因を追加・削除する
仕事による怪我
再起不能になるこ
とへの恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなること
はない」）
不当性（怪我は雇
い主の過失・「起
こるはずではな
かった」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例
⇒多くの場合はクライエントの状況における重要な要素を取り除くことはできない

12. マヤ（慢性腰痛）の事例
12
◼ マインドフルネスエクササイズの導入
• 痛みに振り回されることなく，より柔軟に，評価なしで，意図
的に注意を向けることができるようになる。
• 再起不能になることを恐れたり，心配や怒りにとらわれたり，
痛みに固執していることに気づいたときはいつでも，その瞬間
をマインドフルネスを実践する機会として使うことができる。

13. 13
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高める
仕事による怪我
再起不能になるこ
とへの恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなること
はない」）
不当性（怪我は雇
い主の過失・「起
こるはずではな
かった」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例
マインドフルネス
エクササイズ
※白抜き矢印は要因の強度を弱めることを示している。

14. 14
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高める
仕事による怪我
再起不能になるこ
とへの恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなること
はない」）
不当性（怪我は雇
い主の過失・「起
こるはずではな
かった」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例
マインドフルネス
エクササイズ

15. マヤ（慢性腰痛）の事例
15
◼ 自己効力感を高めるように支援
• 自分で選んだ目標を設定し，達成する経験を徐々に積み重ねて
いくことで，クライエントは自分の能力に対する自信を高めて
いくことができる。
➡クライエントが自分自身に課している制限・限界を超える能
力があることをセラピー内で示す。
「腕をできるだけ高くあげてください。」
「では，そこからあと1ミリ持ち上げられるか見てみましょう」

16. マヤ（慢性腰痛）の事例
16
◼ 自己効力感の増大によって
①もう⼀度自分の人生の積極的な主体になることで，（部分的に
は無力感から生じていた）怒りの感覚を減少させる。
②慢性疼痛が人生に及ぼす影響が減少し，痛みについて反すうし
たり，心配したりする可能性が低くなる。

17. 17
◼ Context Sensitivity（文脈感受性）を高める
仕事による怪我
再起不能になるこ
とへの恐れ
慢性腰痛
危険な作業で
あることの警告
活動の制限と
仕事の回避
反すうと心配
（「なくなること
はない」）
不当性（怪我は雇
い主の過失・「起
こるはずではな
かった」）
怒り
痛みへの
注意
マヤ（慢性腰痛）の事例
マインドフルネス
エクササイズ
※白抜き矢印は要因の強度を弱めることを示している。
自己効力感

18. 18
考察・発展的な議論

19. 19
◼ ネットワーク図を用いたACT
• 追加するノードの選択において，ACTありきの選択になってい
ないか？
• ACTを流派としない方々には，どのように見えるだろうか…。
共通言語として使えるのだろうか…。
◼ 臨床のスキルに左右される（一貫した選択にならない）
• ネットワークを作っていく際の，ノードの追加・削除はどのよ
うに決めていくのか？⼀貫したものを作成することは目的では
ないのか？
個人的な感想