なぜクラフトビール事業を行っているのか？ そんな話です。地域で事業を行う際の参考になったら嬉しいです。

1. 地域発の
クラフトビールに
込めた思い
大森山王ブルワリー
MobilExSchool合同会社
町田 佳路

2. ■自己紹介
2011年、31歳の時に独立し、ウルサイ株式会社設
立。
スマートフォンアプリやWEBサイトの企画・制作
を行う傍、会社があり、自分が住む大森のまちが
より楽しくなればと、2013年から地域活性化活動
を積極的に行うようになる。
紆余曲折を経て、2018年、大森発のクラフトビー
ルが作りたいとMobilExSchool合同会社を設立。
2019年7月に大森山王ビール、NAOMI＆GEORGE
をリリース。まちに根ざした工場、いやまちの中
での関係作りを目的に現在活動中。

3. ■アジェンダ
１）大森山王ブルワリーとは？
２）大森山王ブルワリーができるまで
３）大森山王ブルワリーが持つ
思いの裏にある体験
４）大森山王ブルワリーの
課題との付き合い方
５）大森山王ブルワリーのこれから

4. １）大森山王ブルワリーとは？

5. ■大森山王ブルワリーとは？
大森の人たちがクラフトビール、ビールを通して、大森のことをもっと楽しめる機会を作りたいと、
2019年7月に生まれました。地域にゆかりのある人物をモチーフにビールを企画し、製造販売してい
ます。また販売のみならず、地域の企業や人たちと共創しながら、地域イベントの企画・運営やコ
ミュニティの企画・運営も行っています。

6. ■大森山王ビールの特徴１：大森山王ビールのモチーフ（地域の過去との関係）
町の景色は変わりましたが、町の本質はそこにいる人たち。このまちにいる人こそが主役である。
だからこそ大森山王ビールは大森にゆかりにある人や登場人物を名前を拝借し、その人のストー
リーと共にビールとビール文化を販売しています。
かつては文豪・政治家・外国人が住み、文化度が高く、ハイカラなまちであった大森。
そんな今でも残る大森の魅力を再発見して、ゴクッと味で表現したいと開発したのが大森山王ビー
ルです。
NAOMI GEORGE KAORU YOU

7. 会社の経営を地域の人たちとできないか？ということから、月２回の日曜日を利用し、会社の形を
したコミュニティを運営し、その場を使って、会社の経営戦略を立てています。
大手企業で働く人から町で店を開く人まで、年齢も３０〜５０代のメンバーでスタート。
タグラインを決めたり、お店のOPENを手伝ってくれたり、飲みに行ったり、同じ町に住む仲間がで
きたということが何よりでした。
■大森山王ビールの特徴２：サンデーカンパニー（地域の人たちとの関係）

8. 2020/8/8、大森山王ブルワリービールスタンド「Hi-Time」をOPEN。コロナ禍でのOPENという
こともあり、メディアにも注目され、初日から沢山の人に来ていただき、大きな収益源となった。
この場所はもともとは、閉店した大手スーパーの駐輪場。商店街の人たちのご厚意で、特別条件で
場所を借りることができ、スタートアップの僕らにとって非常にありがたいことだった。
■大森山王ビールの特徴３：公式ショップHi-Time（地域との関係）

9. ■大森山王ビール
の特徴：まとめ
まだまだではありますが、地域の企業
や人たちとの関係で事業をしています。
が、ここまで来るのに７年ほどかかり
ました。長くて遠い、周りに回ってき
た、そんな歴史を紹介いたします。
たくさんの失敗のおかげで成り立って
います。

10. ２）大森山王ブルワリーができるまで

11. ■大森山王ブルワリーとは？
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ボランティア活動期）
☆初期(2011年〜2014年)
2011年にWEB系の制作会社として独立後、当時小さかった息子やいずれ高齢者になる親の世代のた
めに、自分の住むまちでなにかアクションできないかと考え、2013年より、商店街にあるアキナイ
山王亭に入居し、リアルなこと（当時はまちづくりと考えていた）をし始めた。
最初は一人で始めたが、広がりや運営など一人だけで出来ることの限界を感じ、大森に住む、子供
をもつ親が中心のチーム「大森コレカラカイギ」を結成し、様々な企画をし始めた。

12. ■大森山王ブルワリーとは？
☆中期(1014年〜2017年)
このコレカラカイギを通じて様々な活動を約３年ほど続けた。
定期的に皆で集まり、夏祭りや地域祭りに始まり、特異なイベントから震災関連まで様々な企画を
立て、行動を起こした。
■まちのウェディング
コレカラカイギのメンバーであった
後輩達の結婚式。
新婦にはサプライズで企画を実行。
全て商店街にあるもので結婚式を作
り上げた。商店街、地域団体、仲間
たちを多く巻き込み成功させた。
■大森ハロウィン
商店街発ではなく、各店舗に協力を
お願いして始まった「ハロウィン」。
４回目を迎えた２０１８年は２０店
舗近く、１００人近い参加者を迎え
る企画となった。
■大分湯布院訪問
２０１６年の熊本地震の後、大分出
身のメンバーがいたことから、
現地の子どもたちに何かを届けられ
ないか、風評被害で人が減った場所
に何かしら貢献できないかというこ
とで、大森近辺の小学校に掛け合い、
６００個のメッセージと大森名物の
海苔を届けに行った。
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ボランティア活動期）

13. ■大森山王ブルワリーとは？
メディアなどに露出もされたり、一風、順風満帆かに見える活動をしていた。
しかし、いくつかの要因が重なり、
ボランティア活動だけでは金銭的にも精神的にも立ちいかなくなってきた。
１）ボランティアに近い活動に力を入れれば入れるほど、本業が疎かにな
り会社の業績が下がっていく。（一人会社のため）
２）活動場所としていた、アキナイ山王亭に出ていた補助金が終了するこ
とになり、それまでのような破格な家賃では続けていけなくなった。
３）メンバーが固定化して、周りから見ると内輪の集まりにしか見えなく
なった。
などなど。
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ボランティア活動期）

14. ■大森山王ブルワリーとは？
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（転換）
という流れから、
１）参加ハードルをどうにか下げることで、
もっとまちの人たちが参加しやすい土壌を作り、活気を生むことができな
いか。
２）地域活動と商売は離れたものでなく共存することができないか。
を考えるようになる。
当時「とりあえずビール」という存在から「多様性のビール」へ転換を
図ろうとするビール、そしてクラフトビールに興味をもち、このビール
を象徴として地域活動をしたいと考えるようになった。
（2017年後期）

15. ■大森山王ブルワリーとは？
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ビール事業立ち上げ）
商店街という場所を生かしたビールが作るために、主要炭水化物（米、小麦、蕎麦）を入れ
たら、どんな食事にも合うんじゃないかなということで、で作ったのが初代ビール。
大森山王の名前を取り、大森のビールとして、
「SUNNo.808」というブランド名で展開開始。（2018年）

16. ■大森山王ブルワリーとは？
しかしうまく行かない・・・
地域のお祭りに出たり、バンドとコラボビールを作ったり、
比較的楽しく、ちょっとずつ認知もされていき始めていった。
ただ、展開していくにしたがって
「これ、どこが大森のビールなの？？」
という声をちょっとずつ聞くようになり、自信をなくしていった。
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ビール事業立ち上げ）

17. ■大森山王ブルワリーとは？
大森で文化的活動を続ける「大森まちづくりカフェ」の夜学に
行ったことがきっかけで、大森の歴史を各種資料にしている馬込分子村継承会という団体に出会う。
そこで、大森の歴史を学び、１つの資料を作ったのが２０１９年。
並行して、その資料からビールのコンセプトを１から考え直した。
この資料がきっかけで、いろいろなことが繋がり始めた。
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ビール事業立ち上げ）
「大森のためのビール」といいながら、
口先だけで自分のことしか考えていなかった。
「このまちの魅力、面白さをこの町の人たちに知ってほしい！」
という大義ができたことで、ようやく展開が見えた。

18. 大森の歴史を調べ、ハイカラで
あった町を再起させたいという
事で、
谷崎潤一郎の「痴人の愛」から、
NAOMI、GEORGEの名前を拝
借し、
２種類のビールをリリース。
■大森山王ブルワリーが生まれるまでの紆余曲折（ビール事業立ち上げ）

19. ■大森山王ブルワリーが生まれるま
での紆余曲折
（ビール事業立ち上げ）
リリースした７月にアトレ大森さんご協力のもと、
ビールデビュー記念のイベントを行った。
２日間で約５００人ほど来場し、大森の人にお披
露目ができた。

20. そして、デビュー後すぐの８月末よ
り、飲食店への卸売販売を開始。
こちらもやはり、これまでの活動を
通じて、「Bar tendary」、「吟
吟」などの大森で有名なお店が積極
的に販売してくれ、大森界隈を中心
に現在５０店舗強に卸売中。
■大森山王ブルワリーが生まれる
までの紆余曲折（ビール事業立ち上げ）

21. ■大森山王ブルワリーが
生まれるまでの紆余曲
折：まとめ
文脈、大義名分などを欠いた自分よがりの
ビールは全く広がりを見せなかった。
なぜ、このビールが必要なのか？どんな思
いがあるのか？それを丁寧に伝えることで、
ちょっとずつ道がひらけてきた。
そして、そこには、服従の関係ではない、
対等な関係を築くチャンスなんだとも気付
いた。
それは僕の原体験へとさかのぼります。

22. ３）大森山王ブルワリーの原体験

23. ■原体験１
「高校時代のラグビー部」
当時２０年以上前、僕は甲子園を本気で目指し野球部に
入ったのだが、エラーしたボールを１年生が拾う姿に？
を覚え、２日でやめてしまった。
その後、出合ったのが熱心に誘ってくれたラグビー部。
このラグビー部は一年生にはとにかく練習を、面倒なこ
とは上級生がやるという姿勢。
その代わり毎日練習に来て、とにかくラグビーを好きに
なって、うまくなって欲しいと。自分たちが一年生の時
はコキを使われていた先輩たちが、同じことをしなかっ
た。
彼らは今を楽にすることではなく、このチームの未来を
楽にしたかった。そして僕らは何より楽しくラグビーが
できた。

24. ■原体験２
「就職活動」
大学４年生時、就職活動で１つも採用をもらえな
かった。特に集団面接がきつく、品定めされてい
る感がどうも耐えられなかった。
なぜ、「僕は採用されないといけないのか？」そ
こがずっと「？」だった。
採用＝雇用主→従業員という関係であり、「良い
人材（財）」という言葉もすごく嫌です。
そこで思った「？」が今でも生きています。

25. ■原体験：まとめ
「先輩だから〇〇、社員だから〇〇」
そんな、色々な上下がどうしても肌に合わないし、
その世界は果たして楽しい世界なんだろうか？
目的を同じにする仲間ではないんだろうか？
サンデーカンパニーや地域との関係もそこから来てい
て、
どうやったら「フラットな関係」を作れるか。
その関係にひょっとしたらビールが役に立つのではな
いか？
というのも、ビールにたどり着いたきっかけです。

26. ■原体験：まとめ
（参考）
福沢諭吉の一言にも影響を受けました。
「ビィール」と云ふ酒あり。是は麦酒にて、其味至て苦けれど、胸膈を開く
為に妙なり。亦人々の性分に由り、其苦き味を賞翫（しょうがん）して飲む
人も多し。（「西洋衣食住」／『福澤諭吉全集』所収）
「胸郭を開く」とは、「腹を割って話す」という意味。ビールは苦いが、コ
ミュニケーションを活性化するのに適したお酒として考えていたのでは？士
農工商などの壁も破れると期待したのかもしれない。
福沢諭吉は「社会」を「人間交際」と訳そうとしたという逸話も好きです。
• じゃあ、今の課題は？？

27. ４）大森山王ブルワリーの課題との付き合い方

28. ■大森山王ブルワリー
の課題との付き合い方
「そもそも「課題解決」って言うけど、
課題って解決してる自体でベンチャー
じゃないんじゃない？？」
これは、東京芸術大学の日比野克彦さん
に言われた言葉で、
ずっとそれが頭にあります。
課題は解決するものではなく、
常にそれと向き合いながら良くしていく
もの。

29. と考えると、喫緊の課題は、
１）ちゃんと僕らの考えていることが必要な人たちに伝わっているのか？
→そもそも、僕らは伝えるんじゃなくて、
聞くことが大事なんではないだろうか？
２）どうやったら、もっとフラットに参加してもらえるのか？
→そもそも参加の仕方がわからないのでは？？
と、課題を徹底的に本当にそれが適切か常に考え、
そんなことをサンデーカンパニーでは話しています。
その実装が大森山王ブルワリーのこれからです。
■大森山王ブルワリーの課題との付き合い方

30. ５）大森山王ブルワリーのこれから

31. ■大森山王ブルワリーのこれから
「聞くこと」「参加の仕方」を踏まえて、
体験価値をどうやってあげることができるか？
１）SPECIAL END ２）２号店 ３）地域活動 & 工場へ ４）テーマパーク構想
コミュニティには実
は弊害があって、
「いつ参加したらい
い？」＝「参加しな
い」となってる可能
性があるので、
・始まりと終わり
を用意することで、
参加障壁をさげてい
く。
これを各コンテンツ
に実装。
そんな「SPECIAL
END」=「SPEND」
ビールとの付き合い
方、ビールのある時
間を定義できるよう
なお店を１０月中旬
にOPEN。
コロナもありなかな
かできなかった、地
域イベントに積極的
に参加し、知って貰
い参加できる余地を
作っていく。
その流れで来年末を
目指して、参加でき
るビール工場を設立。
工場はゴールではな
く、スタート。工場
やビールをきっかけ
に、さらにまちの人
たちがアクセスしや
すくなるような、ま
ちなかでまるっと
色々な楽しみを体験
できるテーマパーク
にしていく。

32. ■大森山王ブルワリー
のこれから
こんなことを描いていますが、
僕らは「ビール屋」。
どんな苦難や大変なことがあっても、
前向きに笑いながら、
課題とともに、損得ではないフラッ
トな仲間たちと
新しい価値を作っていきます。
ご静聴ありがとうございました^^