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企画入門

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企画入門

  1. 1. 企画の立案入門 Linkazia CO. , LTD
  2. 2. 01 企画は3つの問い直し Linkazia企画づくりを理屈ではなく,マニュアルチックに展開したいと考えている。誰でもが,その手順通りに展開していけば,それなりに企画のカタチにはなる,といったように。 しかし,実はそのカタチに魂がなければ意味がない。企画すること自体は目的ではなく,企画したことを実現すること,更に言えば,そもそもの企画にいたった,企画によって解決しようとしている「問題」,つまりそもそもの問題意識そのものを達成しなくては,企画する意味がない。それこそが,魂である。したがって,まずは,“企画の魂”に触れるところから始めなくてはならない。●企画の出発点は「思い入れ」である 企画の「企」の字は,「人」と「止」と分解される。「止」は,踵を意味し,「企」は,「足をつま先立て,遠くを望む」の意味とされる。「画」は,はかりごと,あるいは「うまくいくよう前もってたくらむ」の意味である。当たり前のことながら,企画とは,「現状より尐し先のこと」を実現するプランを立てること,ということになる。 この「現状より尐し先のこと」が,いわば企画のアイデアといわれるものに当たるが,大事なことは,アイデアだけでは企画にはならない,それをどうすれば実現できるかの具対策を伴ってはじめて企画になる,ということである。しかし,この言い方では,企画の外側を撫ぜたにすぎない。一体,何が企画の出発点かが,ここにはないからだ。 企画の出発点は,尐しきざに言い方になるが“思い”である。現状への自分の思いである。「もっと何とかならないか」「ここはこうならないか」「もっとこうできないか」「こうなればいいのに」「こうできたらなァ」等々。これを問題意識と呼ぶ。それは,現状へ「問題」発見であり,それを何とかしたい,という思いである。尐なくとも,どんなにかっこいい企画も,出発点は個人の思い入れからしか出発しない。その個人的な思い入れなくては,何ひとつ新しいことは始まらない。その意味で,企画の出発点とは,個人の問題意識,あるいは解決したい「問題」そのものである。
  3. 3. 02 企画は3つの問い直し Linkaziaそれを「問題」にするのも自分なら,それを見過ごしにするのも自分である。たとえば,24時間風呂。多くの人が,毎日何の気なく風呂に入ってきたのに,誰も当たり前と思って気にもとめなかった,あるいはチラリとは思っても一笑に伏した,「何もしないで毎日湯が沸いていたらな」という願望を見過ごしにせず,「解決したい」と思った者がいたのである。「何とか毎日風呂を沸かす無駄を何とかならないか」と考えたか,「一々湯を沸かすのは面倒だ」と考えたかはわからないが,それを空想に終わらせないだけの強い思いを懐いた者がいたのである。その動機が何であったにせよ,その思いが直ぐに忘れてしまう思いつきではなく強く,深かったからこそ,それをどうしたら実現できるのかの工夫へとつながったのである。この思いなくしては始まらないのである。 更には,その「使い残しの風呂水を飲めるようにできないか」と考える人がいた。だからそれを濾過する「携帯浄水器」が開発されるところに至る。あるいは,外から電話でスイッチを入れられないか,指示する人の平熱に合わせて適正温度を見極めるサーモスタット付きの風呂はないか,シャワーだけ洗面時に使えないか等々。いわば,こうした思いは,際限はない。言ってしまえばわがままだからだ。しかし,わがままとは裏返せば,現状への要望水準が高いと言うことでもある。 だから,これを拾い上げる端緒となるのは,「このままでいいのか」「何とかならないか」という,現状をよしとしない思いである。それは,現状への不便や不平不満や不愉快だけでなく,現状への願望,夢,空想である。それを「何とかしたい」との思いがないかぎり,企画は始まらない。そこにこそ,「足をつま先立て,遠くを望む」という「企」の意味がある。これこそが,“企画の魂”である。●企画の3つの構成要素 だから,企画は,間違いなく「問題解決」なのである。 誰もが見過ごしたり,当たり前として見落としていることを見逃さず,「問題」(これが,企画の頭=何を解決すべき(実現したい)問題としたか)にし, それを何とか解決したいと考え,その解決案をカタチ(これが,企画の胴=どう解決をカタチにしたか)にし, その実現策(実施プラン)を具体化(これが,企画の脚=どう実施の手順を具体化したか)する。 これが,企画の3つの構成要素である。
  4. 4. 03 企画は3つの問い直し Linkazia第一は,現状への問い直しである。このままでいいのか,何とかならないのか,という問いを通して,こうしたい,こうすべきだ,こうなってほしい,こうすればいいのに等々といった「問題」が見えてくる。ウォークマンは,どこでもステレオが聞けないコトを「問題」にし,ファミコンはキーボードのあるパソコンによるゲームのマニアックさを「問題」にし,フロッピーディスクは,いちいちケースから出さなくてはならないLPレコードのわずらわしさを「問題」にし………と,これがいわば,「企画」の種である。現状に,何を「問題」にするかで,企画はまったく変わる。もちろん,現状には,自分の生きているいまもあれば,技術の現状もある,情報の現在もある。ヒト・モノ・カネ・チエ・コト・トキ・コトバのすべての現状が「問題」となりうる。ヒト・モノ・カネは説明の必要はないが,チエはノウハウ/知識を指す。コトは,状態だから,ヒトとモノ,モノとモノ,チエとモノ等々といった関係も含まれる。コトバは情報。実は,「問題にする」というのは,「ヒト」を「どうしたい」,「モノ」をどうしたい,ということを意味する。例えば,「ヒト」とはどういうヒト(例えば芸能人を想定してみる)で,その「ヒト」の何をするのか,「ヒト」づくりなのか,「ヒト」育てなのか,「ヒト」探しなのか,「ヒト」救いなのか,「ヒト」ハントなのか,等々。 第二は,解決の仕方の問い直しである。その「問題」をどうすれば解決できるか,実現できるかという,「解決」の問いを通して,新しい解決のカタチを見つけ出していく。問題が新しからといって解決の仕方が新しいとばかりは限らない。同じ「問題」でも,当然解決の仕方は変わる。例えば,24時間風呂でユニークだったのは,熱帯魚のサーモスタット・ヒーターを応用した湯船に浮かべるフロート式の装置だ。例のレジオネラ菌騒動で人気落ちだが,それで終わるかどうかは現状への思いによって決まる。問題があるということは解決しなくてはならない新たな固定観念があるということである。それは,レジオネラ対策を立てたというような,24時間風呂に別の解決の仕方を考えるということではないのである。いままでの24時間風呂をひとつの現状として,まったく別の「問題」の立て方が求められている。いままでの思いの延長線上ではなく,別の要求水準,例えば,それに入れば,湯が柔らかく,皮膚の老化防止になるとか,皮質保護に有効とか,皮質のみずみずしさを保つのに有効とか,普通の風呂以上の満足,利点,価値,楽しみを創り出すといったような。 第三は,実現の仕方の問い直しである。どうすれば実現できるのか,どういう手段・手順なら具体化できるのか,を詰めていく。そのとき,実現手段そのものを,売りものにするという発想転換もありえる。例えば,組みたて自動車の「キットカー」は,実現手段そのものを,「解決のカタチ」にしたから,そのアイデアの実現の仕方は,車検・車庫証明の不要,免許証の種類といった現実に走行を可能とする手続きの具体化となる。●「何を解決したいのか」が企画の目的となる とすれば,企画は,現状に見過ごさなかった「問題」を,どう解決するかにつきる。企画の目的,あるいは意味は,その「問題」を解決するコトである。だからこそ,始めの思いが重要である。個人発明家ならいざ知らず,組織人としての企画なら,まず個人的な思いの深さがなければならない。それなくてどうして他のメンバーや上司に,その面白さ,優れている点を伝えられようか,そうして初めてメンバーへの伝播力が生まれ,それがメンバーに思いを共有化させる原動力となる。その辺りは次回で触れることになるが,まず企画は個人の思いからしか始まらないことを確認しておきたい。自分がほしいもの,自分が実現したいもの,自分が買いたいもの,自分が使いたいもの……等々でなくてどうして他人がほしがるものになりえようか。その自分の思いが実現できたかどうかが,客観的な評価とは別に,企画した人間にとっての企画評価の前提である。つまり,企画は,結局,問題意識(の発生)に始まって,問題意識(の実現)で終わるのである。
  5. 5. 04 問題意識をどう掘り下げるか Linkazia●「問題」にする意識(気持)がいる さて,「問題意識」であるが,とりあえず,こう定義しておく。「誰も問題にしていないことを意識的に「問題」にすること」。この意味は,「問題」を考えることで,あきらかになろう。 「問題」はあるのではない。誰かが「問題にする」ことによって,初めて「問題になる」。だから,皆が大騒ぎして「問題になる」からといって,「問題にする」に値いしないことはある。逆に,自分たちのミスを見ないふりし,なかったことにすることで,「問題にしない」ことはできかるかもしれないが,クレームがそうであるように,自分は問題にしたくなくても,顧客の方が「問題にする」ことで,「問題になる」だけである。だから,「問題になる」前に「問題にする」ことが必要になる。例えば,「疑問」を「問題にする」(問題にできる)主体的な役割意識 「不安」を「問題にする」(問題にできる)当事者意識の責任感 「不足」を「問題にする」(問題にできる)カスタマーマインドの生活感 「不満」を「問題にする」(問題にできる)アウトサイドインの時代感覚 「理想」を「問題にする」(問題にできる)目的意識の方向感覚 「願望」を「問題にする」(問題にできる)現状に満足しない批判精神 等々。これが問題意識である。しかし,考えてみれば,こうして「問題にする」「問題」とは,自分の側に「~したい」「~あるべき」との思いがなければ存在しない。~を実現したい,~をしたい,~しなくてはならない,~すべきだ,等々という思いがあるからこそ,現状を「問題」にすることができる。 だから,問題意識を掘り下げるスキルより前に,前提として,目的意識や自分自身のやるべきテーマ,果たさなくてはならない使命・役割等々がなくては話にならない。いまはどうか知らないが,以前チューナーを買うと必ず,T字型のFMアンテナがついてきた。これは,ほんの間に合わせにしか使えない代物だが,それは,指向性(感度分布)がないからだ。しかし,これに,TVのアンテナ線(フィーダー)を切って,前後につけてやると,強い指向性をもつ。 これと同じで,問題意識の感度や深度は,指向性(何について)があって初めて研ぎ澄まされる。目的意識のないところでは,感度もセンスもアンテナも働かせようがないのである。もちろん,だからといって,これが自分の問題意識のないことへの言い訳には使えないことは言うまでもない。扇谷正造氏は,問題意識を,①「空気にツメをたてろ!」②原点に立ち返って問題を洗い直す③煮詰めてモノをいろいろな角度から考える と,された。「空気にツメをたてろ!」とは,あえて波風のないところに,波風を立てることと言ってもいい。「意識的に問題にすること」とは,この意味である。「原点に立ち返って」とは,何のために(目的),何をする(目標)ためなのかを洗い直せということだ。「いろいろな角度から考える」とは,「タテヨコナナメ十文字」に考えることだ。が,このアドバイスも,そもそもの目的意識が欠けていればから念仏に終わる。さて,以上を前提にして,どう問題意識を掘り下げるかに入ることにしたい。
  6. 6. 05 問題意識をどう掘り下げるか Linkazia●「問題」への感度を高める前提 「問題意識」を掘り下げるとは,ついつい「当たり前」のこととして,「問題にしない」固定観念に流されないようにする,ということだ。そのためには,次の3つの基本スタンスから始めなくてはならない。①知っていることをアテハメない 現状(いまあるもの),前提(いままでの経緯),条件(与えられた制約)を,鵜呑みにしない,そのまま当てはめない。「知っている」「わかっている」「やったことがある」という思い込みが一番まずい。わかっている!と思ったら,「本当にそうか?」と振り返らなくてはならない。②正解はひとつではない 問い方によって見え方が変わってくる-問い方が変われば正解は変わる。問いによって,分からない(知らない)ことが見えてくる,何が知らないことかが見えてくる。「答」がわかったら終わりではなく,出発点である。別の答を探さなくてはならないのである。人の見つけた答をなぞって何が面白いか。③キャッチボールする 問わなければ,分からないことがある。問いかけて初めて,見えてくることがある。現場,現物,現実に当たる,誰かに問い掛ける,キャッチボールによって,情報の幅と奥行が現れる。最後のキャッチボールについては説明がいる。この“キャッチボール”には明確なイメージがある。例の3Mのポストイット開発をめぐる逸話で,シルバー氏が,接着剤を開発していて,貼ってもすぐ剥がれてしまうものを創り出した。彼はそれを「失敗」とはみなさず,社内の技術者に,この特性を生かした使い道を考えてくれないかと主張したのである。それに応じて,いつも聖歌に挟む付箋に不便を感じていたフライ氏が,その使用方法として,ポストイットを発想したのである。ここには,大事なポイントが2つある。第一は,自分から人にアイデア(考え)を問い掛けるということ。第二は,失敗作という先入観にとらわれず,何とかできないかと受けとめる「聞く耳」をもっている人がいたということ。これが,③の趣旨である。カーネギーは『人を動かす』の中で,「二人の人がいていつも意見が一致するならそのうちひとりはいなくてもいい人間だ」と言っていた。人の意見が異なること(つまり異見)は当たり前なのである。むしろその違いを発想の多様性として生かせ,ということである。後でも触れるが,例の「ブレインストーミング」はまさにキャッチボールを機能させるためのルール,つまり,異見をいかに活かしていくかの仕掛けと考えるべきなのである。とすれば,何も何人かが集まらなくてはできないのではなく,こちらから,「これどう思う?」と問い掛けていく姿勢があれば,電話やEメールがそのままブレインストーミングになっていくはずなのである。そして,これこそが,人脈が必要な唯一の根拠なのである。●「問題意識」を掘り下げるスキル これは,位置,時間,立場,着眼点,状況等々を意識的変えて,「問い直し」てみるということだ。ここで問題なのは,現状の「いま・ここ」を「ありのまま」ではなく,多角的に見るにはどうしたらいいか,ということだ。筆者は,問い直しの切り口を,次の4つに整理して考えている。これを,勝手に“バラバラ化”と名づけている。①視点(立場)を変えるいまの位置・立場そのままでなく,相手の立場,他人の視点,子供の視点,外国人の視点,過去からの視点,未来からの視点,上下前後左右,表裏等々②見かけ(外観)を変える見えている形・大きさ・構造のままに見ない,大きくしたり小さくしたり,分けたり合わせたり,伸ばしたり縮めたり,早くしたり遅くしたり,前後上下を変えたり等々③意味(価値)を変える分かっている常識・知識のままに見ない,別の意味,裏の意味,逆の価値,具体化したり抽象化したり,まとめたりわけたり,喩えたり等々④条件(状況)を変える「いま」「ここ」だけでのピンポイントでなく,5年後,10年後,100年後等々
  7. 7. 06 問題意識をどう掘り下げるか Linkaziaここでいう,「変えてみる」とは,それを意識してみるという意味だ。例えば,「視点を変えてみる」の,「視点を意識してみる」とは,「~と見た」とき,「いま自分は,どういう視点・立場からみたのか」と振り返ってみるということだ。そのとき,会社の立場で見たのだとすれば,それ以外の,父親として見たらどうなるか,客の立場で見たらどうなるか,………等々,別の視点にもうひとつは気づけるはずである。その意識的な「問い直し」が,尐なくとも問題意識の端緒なのである。 A視点を変える C意味を変える (1) 位置を変える (1)まとめる(一般化する) (2)立場を変える (2)具体例で考える(具体化する) (3)方向を変える (3)言い換える (4)価値(気持)を変える (4)(全体と,他と)対比してみる (5) 機能(働き)を変える (5)区分を変える (6) 目のつけ所を変える (6) 連想する (7)データ(情報)を変える (7)喩(たと)える B見かけを変える D条件を変える (1)カタチを変える (1)理由(目的)を変える (2)大きさを変える (2)目標(主題)を変える (3)量を変える (3)対象を変える (4)性質を変える (4)主体を変える (5)状態(あり方)を変える (5)場所を変える (6)動きを変える (6)時を変える (7)位置(順序)を変える (7)やり方を変える (8)構造(仕組み)を変える (8)水準を変える (9)関係(つながり)を変える (9) 前提・制約を変える (10) 似たものに変える (11) 現れ方(消え方)を変える バラバラ化(問題意識を掘り下げる)のスキルとしては,この他に,いわゆるチェックリストやブレインストーミングがある。これについては,次に触 れたい。その後「企画課題」をどう絞り込むかへとつなげることとしたい。それは,企画の全体像とはどういうものかを描くことになるはずである。
  8. 8. 07 「問題」を「課題」にする Linkazia「問題」と「課題」は違う。「問題」は,「ガツンと一発」ではないが,酒場の紫煙と共に,ごまんとある。しかし,それは他人事にすぎない。それを解決するために自分は何をしなくてはならないか,と考えるところで,初めて「問題」は「課題」となる。企画は,そこから始まる。●企画の基本構成 企画は,その「解決すべき問題」(課題)の“解決案”と,その実現プラン(“解決策”)を具体化することである。それは分解すると,3つの構成になる。 目的-意味 「何のためにそれをするのか」(何を解決するのか)⇒これが企画の「課題」 目標-目指すもの「(そのために)何をするのか」(解決案)⇒これが企画の「アイデア」 方法-やり方 「どうしたら実現可能なのか」(解決策)⇒これが企画の「実現策」 問題群 ↓ 問題 ↓ 課題 企画の目的 ↓ テーマ 企画の目標 ↓ コンセプト ↓ コンセプトの具体化 ↓ 実施のプランニング 企画の実現策 この「企画」づくりの作業については,追々触れていくことになるが,尐し先走りすれば,その概略は,次の3つを具体化していくことなのである。 ①解決すべき「問題」の具体化現状で取り上げた「問題」を,「何をすべきか」まで個別化する。つまり,「問題意識」(このままでいいのか→何とかならないか)→「問題」(何がどう問題なの か)→「課題」(その解決のためにどうしたらいいか)→「テーマ」(その解決のために何をしたらいいか),と次々と絞込み,特定化していくことである。 ②解決手段の具体化アイデアのカタチを実現するための手段を特定化する。つまり,「テーマ」(何を実現するのか)→「コンセプト」(テーマの狙いは何か)→「実現手段の具体化」 (何によってどう実現するか),と何をするかのカタチを具象化していくことである。 ③実現のシナリオの具体化 アイデアを実現するための実施プランと実現の確実性を詳 細化する。つまり,「実施プラン」(誰と誰が,いつからいつまでに,どことどこで,どういうステップ で,どういうやり方で,どれくらいのコストで)→「確実性の検討」(実施上のリスク・実現可能性の分析),と実施の手段と手順を具体化していくことである。
  9. 9. 08 「問題」を「課題」にする Linkazia●企画の要件 当然のことながら,現状に「問題」を見つけたからといって,企画になるとは限らない。問題を解決するアイデアを思いついたからといって,企画に値するとは限らない。まして,実現したからといっていい企画とは限らない。では,「企画の要件」は何か。それは,当たり前のことだが,次の“3つの新しさ”である。●(発見した)「問題」の新しさ-人の気づかない新しい「問題」を発見すること●(解決の)カタチの新しさ-既成概念にとらわれぬ(解決の)カタチを創り出すこと●実現させる方法の新しさ-前例や過去の経緯に縛られず実現の仕方を創意工夫することここでいう“新しさ”とは,新規さだけでなく,改善・改良,応用・転用も含むが,企画は「問題」の新しさだけではない。たとえば, 「24時間風呂」は,「問題」(24時間入浴可能化)は新しいが,カタチ(サーモスタットや循環等々)は古い 「老人用オムツ」は,「問題」(老人用おしめ)は古いが,カタチ(紙オムツ)は新しい 「アタック」は,「問題」(洗剤のコンパクト化)は既に(ライオンで)試みられたが,カタチ(酵素による洗浄力アップ)は新しい 「プリウス」は,「問題」(二酸化炭素の削減)は古いが,カタチ(ガソリンと電気のハイブリット化)は新しい 「バリアフリー」は,「問題」(高齢化)も新しいが,カタチ(すべての居住空間,什器が対象)は新しい 「インターネット取引」は,「問題」(電子商取引)も新しいが,カタチ(流通)も新しい 「MP3」は,「問題」(ネット配信による録音)は新しいが,カタチ(携帯性のステレオ)はなじみのもの 「キットカー」は,「問題」(マイカーの組み立てキット)は新しいが,カタチ(キットもの)はおなじみのもの 等々,どこに新しさがあるかが問題ではなく,その実現がどれだけ使う側にインパクトを与えるかにある。そのインパクトの新しさが,どこにあるか,だけだ。
  10. 10. 09 「問題」を「課題」にする Linkazia●企画の特異点 尐し先走りしすぎた。まず,「問題」から「課題」の絞込みへ話を戻さなくてはならない。曲線で交点や角になっている点を,通常点に対して特異点と言うが,企画づくりでは,問題から課題を絞り込む収斂点を,そう名づけていい。ここは,企画づくりの分岐点であり,中心点なのである。「現状」(これが企画の「背景」)で何を「問題」にしようと,また何を絞り込もうと,そのために何を「課題」とするかで,企画はがらりと変わる。たとえば,「プリウス」開発の端緒となった問題意識は,「いつまでも同じ車のつくり方をしていていいのか?このままの開発で,21世紀に生き残れるのか?」という豊田英二氏の危機感にあった,と聞く。そこから始まったプロジェクトでも,「小さなパッケージで,燃費の良い車」というコンセプトにとどまり,ここからヴィツになっても,単なる低燃費車になってもおかしくない。そのとき, ・取り上げた「問題」が,現状で「企画」にするにふさわしい重大な問題なのかどうか ・絞り込んだ「課題」が,現状で「問題にした」ことの解決となっているかどうか が問われれば,「新しい車づくり」を解決するのは,「新しいエコカー」という課題でなくてはならない。そうでなくては,出発点となった問題意識にそぐわない。課題は何よりも,問題意識(の問題にしたこと)に応えるものでなくてはならないからだ。●「問題」から「課題」へ 問題から課題への絞込みは,「問題」のビックバン(大爆発)でなければならない。 この作業は,基本的に,“洗い出し"(枚挙・列挙)⇒“絞り込み"(収束・集約)の繰り返しである。洗い出しでは,多角的に眺め回して,ある意味で発散・拡散させ,絞り込みでは,それを一点に集約していく。このねらいは,・曖昧なものを次第に鮮明にしていく・幅広く(ヌケやオチなく)拾い上げ,順次特定化していく ・いままでのいきさつや行き掛かりにとらわれず発想しやすくするにある。この徹底にも,バラバラ化のスキルは有効である。
  11. 11. 10 「課題」をどうテーマに落とすか Linkazia「課題」と「テーマ」とは違う。「課題」は,「問題」を目的として,それを解決(達成)するために何をすべきか,何をしたらいいかを絞込み,「テーマ」は,「課題」を目的として,それを解決(達成)するために何をすべきかを絞り込む。「問題」から見て,3段階のブレイクダウンとなる。「テーマ」までに具体的な行動目標になっていなくてはならない。●課題の明確化自分の絞り込んだ「問題」を解決(達成)するには,「どうする」ことが,最もすべきこと,したいこと,必要なこと等々なのかと,「課題」を洗い出し,ひとつに絞っていく。その絞込みのスクリーン(網の目)の要件,つまり,「課題として何を明確にしておけばいいか」は,次の3点となる。①「どこの/何の(誰の)」(地域/対象)を (←これは企画対象を何にしたかで決まる)②「どういうこと(問題/原因)のために」(理由)(←これは何を「問題」にしたかで決まる)③「どういうことを達成(解決)したらいいのか(すべきなのか,したいのか)」(目指すこと=期待成果) ここでは,③を,ヒト・モノ・カネ・コト・チエ・トキ・コトバの「どれ」を「どうする」のかを絞り込むことになる。「どうする」とは,達成する,解決する,実現する,改善する等々を方向づけるが,その方向には,当初の「問題の仕方」に応じて,大別,次のような2つの(解決の)カタチがある①高い目標(理想,将来像)を実現したい(望ましい状態・モノの現実化)“目標設定型” いままで作られたことのない,他にないモノ・システム・制度・事業,いままでなかった,こういうものがほしい,こうありたいというニーズに応える,独自技術の用途開発,応用,使用方法の展開等々,“「こうしたい」ユメや願望の実現” たとえば,「問題」=「不精もの,体の不自由な人,老人でも,思い立ったらすぐ別世界へ旅立てることはできないか」(という願望)→「課題」=「ドアを開けたら,そこは旅先」という夢の旅行プラン開発②現状を改善・向上したい(不都合の原因,障害の改善・改善)“問題対策(対応)型” 求められている水準(売上高,利益率,品質,サービス等)に達していない,逸脱している,必要なレベル(規格,規定)に達しない,競合相手の勝てない(シェア,売上高)等々,“現実の不便・不満・不都合の解消”たとえば,「問題」=「椅子の座り心地が悪く疲れやすい」(という不都合)→「課題」=「作業者の仕事と姿勢にフィットした椅子」という現状改善 この2点を,前に述べた,新規/改善・改良/応用・転用の,3つの「新しさ」でマッピングすると,「課題のマッピング」表のように整理できる。その「新しさ」を具体化させるとすると,現実的には,結局のところ,次のような切り口に収斂させられるはずである。・モノづくり(製品開発,既存製品の見直し,既存設備の見直し・改良,土地開発・用地開発,新規施設づくり等のハコづくり等々)・ヒトづくり(ヒトの教育・育成,タレントの発掘・開発,作家や芸術家の発掘・育成)・コトづくり(モノやヒトづくりのシステムや制度,イベント,遊び・スポーツ・ゲーム等のステージづくり,システム支援のSCM・ERP等のソフトウエア等々)・チエづくり(生産技術・商品開発等のノウハウそのもの,あるいは知識,技能,ノウハウ等を集積するナレッジマネジメントのようなソフトウエア,ISO取得支援等々)・コトバ(情報)づくり(ITに関わるマスメディア,ミニコミ,パッケージメディア,データーベース,ホームページ,地域分化・歴史・史跡そのものの発信等々)・トキづくり(イベント,~祭り,~シーズン,~の季節,オークション,オートクチュール,深夜~,超特急~,1時間以内,30分~円,24時間サービス等々)・カネづくり(ベンチャーキャピタル,ヘッジファンド・デリバティブ等の金融商品等々)別の「する(DO)」と組み合わせることで,「つくる(MAKE)」以外も可能だ。もちろん,その場合「何も作らない」「何もしない」「一切手を加えない」という選択肢もある。
  12. 12. 11 「課題」をどうテーマに落とすか Linkazia●「テーマ」へ落とし込む「テーマ」は,「課題」を達成するのに何をすべきか,何をすること(あるいはしないこと)が最も効果的か,何があれば(あるいは何がなければ)いいのか,を多角的に洗い出すことから始まる。問題⇒課題の流れが,ビックバンであったように,課題⇒テーマの流れも,同じようにビックバンであり,洗い出し(枚挙)→絞込み(収束)の徹底の作業となる。 キャッチフレーズ風に言えば,「課題」から「テーマ」への落とし込みは,「課題」は(問題の)解決の方向(目的)を示し,「テーマ」で具体的な解決の目標(行動の対象)を定める。 となろう。重要なのは,課題は,ゾーンレベル,領域層レベルの絞込みでもいいが,テーマは,具体的に「何をするか」の行動レベルまでの絞込みになっていなくてはならないことだ。言い換えれば,具体的な仕事(業務)レベルまで落とさなくては,テーマとしての具体化はなされていないことになる。 したがって,「企画テーマ」の要件は, 具体的な行動の「個別目標」(何をする,何をつくる,何を表現する等)まで,特定されなくてはならない。(←具体的に“すること”が「何か」まで,明確になっていること) となろう。たとえば,先の例でいえば,「ドアを開けたら,そこは旅先」という夢実現タイプの「課題」なら,テーマは「ドア・ツー・ドアのわがまま旅プラン」の開発,となる。また,「作業者の仕事と姿勢にフィットした椅子」という現状改善タイプの「課題」なら,テーマは「作業内容と作業姿勢にフィットさせられる椅子」の開発,となる。 この「問題→課題→テーマの流れは,たとえば,「温泉地の名物」をめぐって問題を洗い出したとすると,下図のように階層化できるはずである。問題→課題→テーマの流れの階層問題 地域の地盤沈下 地域の名産品がない 過疎化 地場産業の衰退 既存の名物が売れない ↓ ↓ ↓課題 温泉饅頭 新しい名産品の開発 既存品のアピール 共通ブランド ↓ ↓ ↓テーマ 七色(味)饅頭 温泉饅頭 イメージキャラクターの採用 あくまで,この階層は相対的なものにすぎない。たとえば,温泉饅頭が,問題・課題・テーマのどこにきてもいい。問題に何が来るかで,具体化されるテーマの絞られ方が変わるだけである。たとえば,「温泉饅頭」が「課題」となったら,テーマは,より具体的,どういう饅頭にするかまでを,詳細に詰めなくてはならなくなるだけである。 無駄な作業のようでも,「課題」の絞り込み抜きで,問題→テーマと直結させると,「問題」を何のために解決するかの目的が欠けることになり,安易な真似や類似発想(「うちでも温泉饅頭を出そう云々」)になりやすいし,テーマが単なる問題の裏返しになりやすい。また,幅広い範囲で検討せず,それが是か非かの検討抜きに,いきなり限定したテーマに入ることになり,問題の部分解決にしかならないおそれがある。 「課題」は問題群全体の解決の最適(優先)解決であり,テーマは,課題全体の最適(優先)解決とならなくてはならない。「課題は解決の方向(目的)を示し,テーマで具体的な解決の目標を定める必要がある」とは,この意味である。
  13. 13. 12 テーマの検証からコンセプトへ Linkaziaテーマは,具体的行動目標だから,ある意味で,自分の取り上げた「問題」を解決するのに適切かという,問題意識を掘下げるための,内向きのチェックだけではなく,競争相手,実現可能性等々,現実的な意味が,具体的に問われなくてはならない。●「テーマ」を検証する 企画テーマが,具体的な行動目標であるということは,モノなら何をつくるのか,コトならどういうことをするのか,コトバならどういうメッセージをどう発信するのか,チエなら,どういうものをどういうスタイルでカタチにするのか等々を具体的に絞ることを意味する。その絞込みは,「何を,どこまで,どういうふうに,するのか」を具体化できていることである。これをして初めて「テー。その手順は,以下の作業となる。①テーマの条件の確認「テーマ」が,具体的な行動目標であるということで直面するのは,それを実行する上での現実上の前提,制約である。・成果レベルはどこか(達成しなくてはいけないのは何か)・前提条件は何か(組織の事業領域との適合,起案先,決裁者等)・制約事項はないか(組織の限度,予算,スケジュール,人員等)・外部状況に変化はないか(経済環境,国や公共団体の施策変更,住民意識等)②企画テーマ(の範囲)の確認「テーマ」で,誰が,どういう立場・役割で,どんなことを,どの程度するのか,の範囲を限定する。・誰(と誰)が主体か(その立場/役割・分担はどうするのか)・何をしようとしているのか(「目標=期待される成果」は何か) ・その必要要素/必要条件は何か(厳密に言えば,絶対条件(絶対に譲れないこと)と相対条件(できれば望ましい希望)とに区分し,何が欠けたらテーマの実現に不足なのか)を はっきりさせる・ターゲットは何か(対象は何か)・どこでどう展開するか(活動領域,展開チャンネルはどこか)・いつ(からいつまで)実施するのか(期限の猶予はあるか)・その予算/価格(どんな制約があるか)・競争相手の有無(先行者があるか)③テーマの意味づけ テーマを実現することの意義・価値を再確認し,企画実現の意味づけをする。 ・それをすることによってどんな効果が期待できるのか ・それをすることのメリットは何か/それが果たす機能・役割は何か ・いままで取り上げられたことは?/似たものは?/いまでの経過はどうか? 失敗したか成功したか ・それはやる値打ちがあるか/それにはどんな新しさ(面白さ)があるか
  14. 14. 13 テーマの検証からコンセプトへ Linkazia 確定テーマの妥当性チェックリスト●テーマの分析・情報収集 ◆方針・戦略面から テーマをタテ・ヨコ・ナナメ・十文字に掘り下げる。 ・組織の目的にふさわしいか ◇歴史的分析 ・組織イメージに合っているか ・同種・同類テーマの過去の経緯の洗い出し,今後のトレンド予測 ・規制,許認可等,法律上の制約はないか ・過去の商品(事業)のライフサイクル,どんな変遷をたどったか ・これを実施しないことのマイナスはどれほど大きいか ・現在の競合・類似テーマとの比較,同一対象の異業種での動き ・これを着手したことによるマイナスはどれくらいか ・成功事例・失敗事例 ・知的所有権との抵触のおそれはないか ◇構造的分析 ・知的所有権を獲得する可能性はあるか ・業界での仕組み(製造,販売方法,販売チャンネル,競争状況) ◆マーケット面から ・市場構造(大きさ,広がりの可能性,周辺・異業種からの参入可能性) ・どういう対象をねらっているのか ・顧客構造(ユーザーの特色) ・公共団体,国レベルの動きはあるか ・需要構造(その範囲,傾向,限界) ・それの将来性はあるのか ・競争構造(競合相手,隣接領域(異業種)の動向,代替・カバーするものの有無) ・住民(消費者)はこのニーズにお金を払うか こうした「テーマの確定」を試みる意味は,企画づくりを続けていくことへの確信をえる ・既存活動との競合はないかことにある。「問題」から「テーマ」具体化へのプロセスを通して,問題を“内向き”からの ・参入に障害/障壁はあるかみ掘下げ,作業全体を俯瞰していない。改めて,広い視野から全体をチェックし直し,テーマの条件づけ(テーマを成立させるのに必要な要件,条件)を洗い出すことになる。 ・従来のチャンネル・活動手法と一致しているか この作業は,テーマのめざすもの(ゴール)の範囲を想定する(絞り込む)ことであり, ◆開発・製作面からテーマ成立に何が不可欠かを収束させる作業となる。必然的に,次回に触れる,テーマ ・技術的な新しさはあるかのコンセプト(達成水準)づくりへとつながっていくのである。 ・いつでも着手可能か ・現有設備,人員で着手可能か ・人的,経済的資源はあるか ・これに着手することによって技術的な発展可能性はあるか ・後続活動を準備できるか ◆財務面から ・事業の経済的規模はどれほどのものか ・開発コストは妥当か ・初期投資に見合う回収ができるか
  15. 15. 14 コンセプトは企画の“へそ”である Linkaziaここで言う“コンセプト”は,当然ながら,キャッチフレーズやキャッチコピーとは違う。コンセプトは,大きくわけて,・「テーマの訴求点」(何をしたのか,どこが新しいのか)を明確化するもの・「テーマの達成水準」(創ろうとするものの“新しさ”をどこまで実現するか)を明確化するものという,2つの意味がある。 “解決案(アイデア)”が比較的容易なものは,それができてから,その意図(狙い)をイメージ化する意味のコンセプト(テーマの何が焦点なのか,キャッチコピー的に特徴をクローズアップさせる)でもいいが,“まだない新しいもの”を目指す場合,テーマの「新しい意味」を表現することには変わりないが,単に新しさを訴えるだけではなく,テーマを「どこまで実現する(したい)」のか,という目標水準(達成水準)を明確にし,“実現アイデア”を検討するときの条件(何を,どこまで実現するか)をはっきりさせ,企画づくり作業の基準とする,という意味をもった“コンセプト”でなくてはならない。ここでは,後者を前提に,話をすすめたい。●「テーマ分析」から“コンセプトづくり”へいま触れたように,「コンセプト」には,①創ろうとしている企画の「新しさ」の表現(「企画の意味づけ」)②創ろうとしている企画の目指しているもの(達成基準)の明確化(「企画の方針」)の2つの意味がある。①コンセプトは「創ろうとしている企画」の新しさ(特徴・効用・値打ち)を明確に意味づけるものである「コンセプト」の「新しさ」が,何が,どう,どの程度なのかを,次の4つで表現する。①テーマの方向性の指示 「テーマ」に込めた意図(「何を重視しているか」「何を大切にしているか」),願望(「何がしたかったのか」「何を実現させたいか」)といった「狙い」をはっきりさせる②テーマの範囲(境界)の確定「テーマ」を,どこまでやるのつもりなのか(ほんの手直しか,抜本的な見直しか)という,取り組みの「覚悟」を明らかにする③テーマの価値(意味)の掲揚 「テーマ」のもつ「新しさ」「強み」「特徴」を「コトバ」として明示する④テーマの感性の表現 「テーマ」のもつ「面白さ」「楽しさ」「熱中」を「イメージ」として表すこと こうした「コンセプト」の明確化には,「テーマの確定」作業をきちんとやっていればいるほど,何が新しさで,何をめざしているのか,が鮮明になっており,容易に焦点が絞りやすいはずである。当然,「テーマ」が同じでもコンセプトは異なる。コンセプトが異なることによって目指すものは変わり,達成水準も違う。達成水準が違えば,実現方法も違うし,当然達成結果も変わることになる。②コンセプトは,企画づくりを通しての“旗印(方針)"となる コンセプトの意味づけによって,“テーマが目指すこと(達成基準)”(どこまで,どれくらい)を明確化する。それによって「テーマ」の“落としどころ"が明確になり,企画づくり作業を通して,その基準や水準となり,「ずれ」や「逸脱」を正す規範となる。 また,「何を重視するか」「何を優先させるか」の判断基準として,何を取り,何を捨てるかのメリハリをつけ,企画の“目玉”(何が他と違うのか)の焦点が絞り込みやすくなるはずである。
  16. 16. 15 コンセプトは企画の“へそ”である Linkazia●“コンセプト”をつくる以上からもおわかりのように,コンセプトは,二重の意味で,“企画のへそ”である。第1は,企画づくりのへそである。企画づくり作業の基準であり,水準であるという意味で,企画をつくっていく上での“コアビジョン”である。第2は,企画そのもののへそである。目指す企画そのもののもつ意味と新しさの中心となる部分,“コアアイデア”である。となると,コンセプトがもつべき条件は,・イメージが具体的である(わかりやすい)こと・ターゲットにマッチしていること・他(他の競争相手)との違いが明確であること・組織のイメージに外れていないこと・新鮮であることでなくてはならない。したがって,コンセプトに表現すべき要件とは, ・テーマの価値(値打ち,新しさ)と意味(必要性,重要性)を表していること ・テーマの方向(何を目指しているか,意図)を示していること ・テーマの射程(どこまでやるつもりなのか,覚悟)を明示してあること ・テーマの感性(ウキウキ,ワクワク,ゾクゾク)を感じさせることとなろうか。 具体的にコンセプトをつくるスキルは次回にご紹介するとして,コンセプトがどういう位置にあるかを,問題→課題→テーマ→コンセプトの流れを一覧化して,次に示しておきたい。ひとつの例として,「忘年会」を「企画」するという例を取り上げてみた。あくまで,企画づくりを一望するための,ジョークとしてご覧戴ければありがたい。●「企画」をカタチにする 毎年不評の「忘年会」の幹事になった若手社員が,「いつもの忘年会はちっとも面白くない」との問題意識で,次のような設計をした,という仮定で,「企画」の構造を考えてみた(「企画づくりの流れ例」参照)。 ただ,ひとこと付け加えると,この場合,「忘年会」をすることを前提としていいのかどうかは,また別の問題である。それをしなくてはならない,真の「目的」 は別のところにあり,その(解決の)ためには,「忘年会」の「企画」ではなく,別のもの(しないことも含めて)のほうが,その目的にかなうことはありうるのである。 それはともかくとして,この例をみて戴ければおわかりのように,問題→課題→テーマ→コンセプトの中身を入れ替えると,別の企画のカタチになるところがミソなのである。このフローと構造が,“企画づくりの筋”なのである。このことをご理解戴ければ,ここでの意図は果たせたことになる。
  17. 17. 16 コンセプトをつくる Linkazia“コンセプト”は,別に「テーマ」の概念(意味内容)を表現するものではない。むしろ,正確な意味では,客観的な意味内容をどうシフトさせるか,偏らせるか,に“コンセプト”をつくる意味がある。誤解を恐れずに言うなら,コンセプトは,テーマの私的な方向づけなのである。テーマに,ウエイトづけし,シフトさせ,ある意味で特定部分にフォーカシングすることなのである。そうしたフォーカシングが,そのまま受け入れられたものが,固有名詞が一般名詞化したカタチで生き残っていくことになる。もちろん,ネーミングとコンセプトはイコールではないが,「セロテープ」「ウォークマン」「カップヌードル」「ごきぶりホイホイ」「ほか弁(ほっかほっか亭)」「ポストイット」「(スーパー)ガン保険」等々をみると,何にシフトし,どこに焦点を当てたかが鮮明に見えるはずである。●コンセプトをつくるスキル さて,そこで,コンセプトをどうつくるかである。このためのスキルが,“スクランブル法”である。これは,池辺陽氏のデザインスゴロクを簡略なステップ化した岩崎隆治氏のトライアングル法の変形版である。そのすすめ方は,次のようなステップとなる。1.取り上げるテーマの確認。ここで,テーマを最終確認する。テーマについてのニュアンス,意味あいの違いを刷りあわせておく。2.テーマに何が必要なのか,欠かせないのか,必要な「条件」,構成する「要素」,「要因」等々を,具体的に洗い出し,ラベルに書き出す。ここでは,テーマ決定後の,テーマの前提条件,意味づけ,テーマ分析での作業が生きてくるが,この作業で改めてテーマを多角的に見直すことになる。いまあるものを前提にする必要はなく,「いまはない」が,あるいは「いまは必要とされていない」が,「あったらいい要素(条件)」「あってほしい要素(条件)」「あるのが望ましい条件(要素)」「あればいいのにと願う要素(条件)」「あったらいいなと夢見ている条件(要素)」「他人は知らず自分には絶対必要だと感じている条件(要素)」等々の,「わがまま条件」「自分勝手条件」「身勝手条件」「好き勝手条件」「独りよがり条件」でかまわない。3.ラベルを,グループ化していく。どうしてもグループからはみ出すラベルは,独立したグループとして扱う。4.グループ化が終わったら,それぞれのグループ毎に,その各ラベルが何を主張しているかを読み取って,全体を的確に表現できる言葉で,タイトルをつける。5.グループ群の中から,重要性の高いものを9グループ選び出し,優先順位をつける。当然,何を重視するか,何を取るかで,テーマのニュアンスが変わっていくことになる。6.9グループの中の,優先順位の高い,1位,2位,3位の3グループを選び出し,(フォーマットの)トライアングルの一番外の角に,それぞれ置く。7.次に,優先順位の4,5,6位を取り出し,各辺の真ん中に,先に置いた2つのグループと関係がありそうなものを,それぞれ置く。8.更に,優先順位の7,8,9位を取り出し,各コーナーに,先に置いた3つのグループと関係がありそうなものを,それぞれ置く。9.テーマは要するにどういうことなのかを,キイワード(キイ・イメージ)として中心に書き入れる。中心のキイワードの見つけ方としては,次の2つのやり方がある。・全作業を通して,あるいは配置した結果を眺めながら,浮かんでくるものを見つける・(展開例のように)7~9位を配置するとき,3つのコーナーで,4つのタイトルに関係をつけたが,そこで得た意味やイメージを,積み重ねていくキイワードは,テーマの新しい意味の発見となる。このキイワードによって,テーマに新しい光が当たったり,新しいニュアンスを創り出しているものでなくてはならない。これが「コンセプト」となる。要するに,この作業は,・9個の組み合わせから見立てられるアナロジー・9個の組み合わせから喩えられる比喩・9個の組み合わせから象徴できるシンボル等々の発見である。キイワードは,イメージに置き換えたい。イメージで表現するメリットは,言葉で要約したり,説明しただけでは伝達しにくい,微妙なニュアンスが受け止められやすいところにある。
  18. 18. 17 コンセプトをつくる Linkazia10.結論として,最適コンセプトを見つける。 スクランブル法フォーマットこうして絞ったコンセプトは,次の評価基準でチェックしなくてはならない。・選んだコンセプトは,本当に,企画テーマの特徴や狙いを的確に表現したものになっているか・課題の求めるものとずれを生じていないか・コンセプトで,意味の説明だけでなく,やりたいことのニュアンスが表現されているか・それは,企画テーマの新しい価値と意味を具象化したものになっているか・それは,既に何処かで,誰かが,使ったものではないか,あるいはそれに似ていないか●“コンセプト”をつくってみる 別図のように,「うまいラーメン屋」というテーマのコンセプトをつくってみることができる。優先順位8~9位を配置するときに,図のようにイメージ化しておくと,それを積み重ねることで,全体のコンセプトを見つけ出す手段とすることができる。
  19. 19. 18 コンセプトのプロファイル化 Linkazia“コンセプト”は,ただテーマの条件を整理してキイワードに置き換えたままでは,未使用の風船でしかない。どこまで大きく膨らむものなのかまるでわからない。どこまで膨らむかは,まだ単なる「そうなるはず」の潜在的な可能性にすぎない。「企画」は,その風船に込めたキャパシティ以上に膨らむことはない。とすれば,企画がどこまで膨らむかは,風船に設計したユメの規模次第なのである。それを確定するのがコンセプトのプロファイル化なのである。●コンセプトを膨らませる つまり,“スクランブル法”で作り上げた「コンセプト」は,まだ企画コンセプトとしては完成していない,荒削りのラフスケッチに過ぎないのである。塑像をつくるにも,木組みに粘土で具体像に作り上げていくように,コンセプトもラフスケッチに肉付けしていく必要がある。それは,コンセプトのイメージを具体的に膨らませていく作業である。それには,に即して,そのイメージをどこまで具象化していけるかがやり方としては便利である。たとえば,誰が、何のために、何を求めて、どういうときに、どういう場所で、どの位なら、どんなふうに使うか あるいは どんなタイプの,誰が,何をするか、どんな特有のことが起きるか、それは,どうなっていくか、これから,どうなる可能性が高いか 等々。これを手順化しておくと,次のようになろう。①作成したコンセプトを,具体的場面(シーン)に置き換えてみる 例えば,「客が並ぶ店」というコンセプトの,「客」を具体化すると,サラリーマン,おやじ,学生,若者,若い女性等々いろいろあるが,どれかに限定するには,まだイメージが広すぎる。そこで,どういう場所(場面)で ・どういうとき(機会,時間帯,時期)に、等々,使われている(買われている,利用されている)場面,シチュエーションを具体的に思い描いてみる。②それにふさわしい登場人物を設定してみる その場面にふさわしい登場人物(たち)は ・誰(どんなターゲット,どんな対象,どんなグループ,どんな年齢層)が ふさわしいのか,性別,年齢,職業,背景,来歴等々を描きながら,それに似た映画,アニメ,マンガ,小説を借りて,ストーリーを描いてみる。③その場面の効果を上げるには,どんな仕掛け(舞台装置)がふさわしいかを列挙してみる ・デートの二人・親子(父と子,母と子)連れ・家族連れ・女子高校生連れ・体育会系の一団・学生グループ・サラリーマンの一団・OLの一団 等々によって,それに似つかわしい舞台装置は何かを,街,町並み,風景,季節,時間,衣装を含めて挙げてみる。④こうして,状況設定と登場人物によって,文脈が整い,ひとつのストーリーを描いてみる・何のために(動機,ニーズ,欲求) ・何を求めて(期待して,関心・動機) ・どのくらい(予算,コスト,値頃感,頻度) ・どんなふうに(使用方法,利用方法)⑤出来上がったコンセプトのストーリーから,新しい何かが見えたか ・いままでにないモノに見える(それは,急いで手に入れなくては!)・新しい意味(価値)が見える(へェ,そんな意味があるのか!)・新しい効用が見える(そうか,そんな効果が期待できるのか!)・新しい面白さが見える(ほう,それは是非やってみたい!)・新しい世界が見える(それは一度行ってみなくては!)・新しい生活が見える(あんな楽しい生活を送りたい!)等々⑥コンセプトは,課題(解決しなくてはならない「問題」)と焦点があっているか⑦コンセプトの展開上,何かネック,障害,問題となりそうなことはないか 以上のように,あれこれと具体的場面を想定しながら検討したコンセプトの具体像を,別表のような“コンセプト・プロファイルシート”にまとめる。まだこの段階では,実現策は具体化していないので,まだ細部の煮詰まっていないラフなものになる。ただし,たとえラフとはいえ,これ以降の企画づくりの作業は,このプロファイル化したコンセプトを実現するために,何を,どうするかを具体的に詰めていくことになるので,何をしようとするかの意図と狙いは明確化されなくてはならない。
  20. 20. 19 コンセプトのプロファイル化 Linkazia プロファイル・シート例●なぜコンセプトのプロファイル化が必要か コンセプトは,企画づくり全体の見取り図でなくてはならないのである。そのためには,たとえば,「うまいラーメン屋」のコンセプトも,「人が並ぶ店」だけでは,具体像に欠ける。並ぶのが,サラリーマンなのか,学生なのか,若い女性なのか,家族連れなのか等々によって,同じラーメン屋でも,「大学生の並ぶ店」なら,割安でボリュームがあり,味はそこそこ「体育会系のマッチョの並ぶ店」なら,安くててんこ盛りサービス「女子高生の並ぶ店」なら,小ぶりで選択肢の多いおしゃれな店構え「サラリーマンの並ぶ店」なら,安くて早くて,味で満足させる「若い女性の並ぶ店」なら,うまくて雰囲気のある小奇麗なつくり「家族連れの並ぶ店」なら,大人から子供までのバリエーションのある品揃え 等々と,まったく目指す方向も基準も違ってくる。ここまで具体化しなくては,コンセプトは完成したことにならない。コンセプトが企画づくりの“へそ”となるかどうかはここでのイメージの具体化と肉付けで決まる。 プロファイル化したものを実現していくのが,企画づくり作業のすべてである。その意味では,プロファイル化されたコンセプトが,実現手段の具体的検討をするための機軸となっていなくてはならない。 また,ここまで具体化して初めて,「課題」との整合性はどうか,「テーマ」とのリンクはできているか等の可否がチェックできるのである。 以上が,コンセプトという風船のキャパシティを確定する作業と言っていい。この作業が済んでこそ,いよいよ,コンセプトを具体化していくプロセス,つまりコンセプトの描いた風船の膨らみを具体化していく作業に入るのである。
  21. 21. 20 コンセプトの実現手段を煮詰める Linkaziaコンセプト”ができたところで,実は企画をカタチにする作業の山は越えたと言ってもいいのかもしれない。しかし,そこからは別の困難が待ちうけている。ここまでは,問題意識の描いたユメをカタチにすることと言える。しかし,実はユメにおいては,自分のために何をする(何をしたい)かだけが問題となるが,実践では,現実のさまざまな障害との,組織の前提や前例との,自分の弱気や妥協との取っ組み合いとなる。いかなる高邁なユメも,まがいものの実践ではそれを実現できない。実現できない「企画」は企画ではない。企画はあくまで実現することを目的にしているのである。●コンセプト具体化の鍵作り上げた「コンセプト」を実現するためには,次の3つの具体化が必要となる。①プロファイル化 コンセプトのねらい(目指すもの)の具体化(どこまで,どれだけ)②実現手段の具体化 その実現手段(何によって,どうやって)の徹底した具体化③プランの具体化 その実現のためのプランニング(ヒト・モノ・カネ・トキ・チエの手配り)の具体化プロファイル化については,既に触れた。②の「実現手段の具体化」は,・コンセプトの目指すものを具体化・そのための実現手段を具体化の2つの「具体化」が必要となる(③は,後で「実施計画」で詳しく触れる)。①コンセプトの狙い(目指すもの)の具体化 「コンセプトの狙いの具体化」とは,「どこまで」「どれだけ」を具体的にすることになる。たとえば,「どんなものがあればいいか」「どんなものが必要か」「何ができればいいのか」等々,必要な(ほしい)機能・働き・仕掛け等々を,具体的に洗い出す。具体的には,既に,コンセプトづくりで必要な条件・要因・要素を洗い出してあるので,見落としをチェックし,追加・修正しながら,コンセプトづくりで洗い出した「条件」「要素」「要因」を,「機能」「手段」に置き換えていく。 たとえば,モノなら(それに必要な)「機能」「性能」「材質」等となり,コトなら(それに必要な)「働き」「作用」「役割」等となり,ヒトなら(それに必要な)「役割」「職能」等となり,チエなら(それに必要な)「能力」「知識」「スキル」「技術」「性格」等となり,コトバなら(それに必要な)「インフラ」「ツール」「技術」等となる,等々。②コンセプトの実現手段の徹底した具体化 「コンセプトの実現手段の具体化」とは,「何によって」「どうやって」を具体化することである。コンセプトに必要な機能(働き),構成要素を実現するために何を,どうすればいいか,手段を具体的に掘り下げる。この場合,鍵となるのは,次の2点である。・必要機能が,どれだけ多角的に洗い出せたか(必要機能の追加・修正)・必要機能を,どれだけ具体的な手段にまで具体化できるか
  22. 22. 21 コンセプトの実現手段を煮詰める Linkazia●実現手段の煮詰め方 コンセプトの具体化例 実現手段を具体的に煮詰めるとは,すぐ具体的行動に着手できるところまで絞り込むことである。そのためには,“スクランブル法”の結果を活かすのが便利である。たとえば,ラーメン屋の“コンセプト”を,その具体像を検討する中で,「人が並ぶ店」から絞って,「若い女性が並ぶ店」と限定したとする。そのコンセプトを実現するために必要な“手段”を煮詰めるには,“スクランブル法”で集約した9つの必要条件を使えばいいのである。これは,コンセプト実現に何が重要かのウエイトづけを終えているのである。これをもとにすれば,①“条件”を,実現手段に置きかえる②見落としている手段を追加する ことで,後は,手段をどんどん具体的に洗い出していけばいいのである。
  23. 23. 22 コンセプトの実現手段を煮詰める Linkazia 洗い出した手段のうち,どの手段を取り,どの手段を捨てるかで,コンセプト「若い女性が並ぶ店」をどれだけ実現できるかが変わる。その場合,取捨の基準を,・“絶対条件"(何がなくてはコンセプトにならないか) ・“希望条件"(コンセプトの価値をつくるのに何がほしいか) で整理しておくのがいい。例えば,コンセプトの「若い女性を並ばせる」のに,「味」,「値段」,「ボリューム」(相対的な低価格化),「見た目」(相対的な高価格化)のどれを選択するかで,その実現手段が変わり,“実現のカタチ”が変わる。場合によっては,この段階で,コンセプトづくりの条件で挙げなかった手段の追加が必要となることもある。たとえば,(若い女性向けの)店構え・什器による雰囲気・イメージづくり,店員の服装等々。
  24. 24. 23 コンセプト実現手段の具体化手順 Linkazia“コンセプト”具体化をすすめる上での基本的な考え方を整理しておかなくてはならない。●コンセプト具体化の手順 コンセプト具体化の手順を一覧化するなら,下図のように構造化できる。ここでは,便宜的に2段階までしか降ろしていないが,手段が特定されなければ何段でも落とさなくてはならない。手段を,できるだけ特定の行動目標にまで落とすことがここでの目的である。すぐに「何から着手すればいいか」「何を調達するか」「何をするか」がわかるくらいの行動レベルまで絞り込めたかどうかである。 このやり方は,「コンセプト」を目的として,その実現に必要な手段を徹底的に洗い出す,下記の目的-手段分析の考え方に基づく。「目的」実現のためにどういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)………と,手段を次々にブレイクダウンしていく。これがモノなら,そのモノの働き(という目的)を実現するためのどういう機能が必要なのか,という機能分解に当たる。
  25. 25. 24 コンセプト実現手段の具体化手順 Linkazia上記はラフな機能系統だが,こうした目的-手段分析による機能整理に基づいて,機能評価をし,どう価値改善をするかを検討していくことになる。ここでは,価値分析よりは,機能分解を通して,機能間の整理統合,たとえば,「ガスの放出と着火の作業を一体化できないか」とか,機能の省略,たとえば,「手の力を伝える」部分をカットし,「手の力を受けたら即着火につなげることはできないか」という発想の着眼点になる部分にウエイトを置いておきたい。ともかく,こうして最終的に,個別の「何」「何をする」にまで具体化されるほど手段を細分化していく流れは,行動目標を特定することにつながるはずで,それは,そのまま必要なものを,何をどこで調達するかの段取りのステップにつながるはずである。たとえば,「醤油味」を具体化して,どういう味にする→「薄口」→「~メーカーの何々」と特定化していくと,何をどこで調達するかが特定されるということがイメージしやすいはずである。
  26. 26. 25 コンセプト実現手段の具体化手順 Linkazia●手段の最適組み合わせを見つける こうしてブレイクダウンした手段をすべて使うのではない。そのどれとどれを一体化するか,どれを省くか,どれとどれを組み合わせるか等々,この目安は「コンセプト」である。あくまで,コンセプト実現の手段を洗い出しているのだから,コンセプトのイメージを羅針盤に,どういう組み合わせがコンセプトにふさわしいか,構成要素とその実現手段の最適化を図るため,手段を大胆に取捨選択し,組み合わせる。「選択」とはウエイトづけ,「最適組み合わせ」とは注力する焦点を絞ることでなくてはならない。この場合,次の3つを最終案に絞っていく「原則」としたい。①総花化するな!目玉を作れ! 多機能化とは,何でもあるが,他に抜きん出たもの(=目玉となるもの)が何もないということにほかならない。何かを選択するとは,何かを捨てることである。たとえば,問題や欠点を解決しようとして陥りやすいのは,「~がない」から「~をつける」という発想だ。これは本質的な解決ではない。エレベータの待ち時間を短くするのはハードとしてのエレベータを増設するだけでなく,長く感じさせない工夫もあれば,運行ソフトの工夫もある。それをハードや多機能でカバーしてきたモノづくりの発想転換が必要となる。②ハコやカタチを作ることにこだわるな! 雑木林をそのままにする,野っ原をそのままにする,森をそのまま残す,古い町並みをそのまま活かす,等々どうすれば「何も作らない」「何も手を加えない」「何もない空間を残す」ことができるか,ということも企画たりうる。ハコづくりやモノづくりだからといって,何かをカタチにすることとは限らない。空間の使い道,空き(何もない)そのものをどう作るかということも含まれる。何も創らないという創造もある。③企画しようとするな! いかにも「企画」らしい,もっともらしい「企画」を疑うことだ。既にどこかにあるもの,誰かの成功したものにとらわれてはつまらない。何か「企画」らしいカタチにしないと気がすまないのは既に先入観だ。冒険や挑戦には失敗はある。尐なくとも,そこそこ成功するようにまとめようまとめようとするのは,「企画」の目的,何を解決したいと思ったのか,という初心を忘れている。もちろん,だからと言って,ペーパープランでいいということではない。それは別の問題だが,広大な野っ原を残すだけのことだって,それで当初の「問題意識」が解決されるなら,立派な企画となる。
  27. 27. 26 コンセプト実現手段の具体化手順 Linkazia●アイデアをまとめていくスキル アイデア出しのポイントは,自分の知識と経験の枠組みをどう崩し,いままなでの知識の整理棚をシャッフルできるかどうかにかかっている。発想というのは,結局,自分の“知識と経験の函数”であり,もっていないものを生み出すのではない。とすれば,既存の知識と経験を,どうすれば新しい枠組みや組み合わせが見つけられるか,つまり,自分の手持ちの駒である知識と経験を最大限に活かすにはどうすればいいか,そこにアイデアづくりの仕掛けがある。アイデアづくりのスキルは,「分ける」「グルーピングする」「組み合わせる」「アナロジー(類比・類推)」の4つである。●「分ける」は,分解してみる,細分化してみる,新たに分けてみる,分け方を変えてみる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける●「グルーピングする」は,くくり直す,束ね方を変える,一緒にしていたものを除く,区分の基準を変える,一緒でないものを一緒にする,強制的につなげ変える等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける●「組み合わせる」は,異質の分野のもの,異なるレベルのもの組み合わせる,新たに組み替える等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける●「アナロジー(類比/類推する)」は,似たもの,異分野の例になぞらえる,参照にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つけるしかし,このスキルを効果的にするには,バラバラ化の徹底が前提となる。バラバラ化は,既知の知識や視野をシャッフルするのが目的である。ブレインストーミングも,チェックリストも,既知の知識の眼鏡で見たり見なれた視界に配置してしまう既成概念を強制的に崩すところに狙いがある。だから,“バラバラ化”なのである。崩した知識の枠組みや分類を,どう再整理するかが基本スキルの役割である。●コンセプト具体化の要点 コンセプト実現手段を具体化する流れは「分ける」に当たる。具体化が足らなければ更に落とす。それを,(コンセプトを基準に)束ね直し(「グルーピングする」に当たる),更にはいくつかを「組み合わせる」,場合によっては他の事例(「客の並ぶ店」の例でいえば,ファミリーレストランの例や生そば屋の例),行列をつくるという意味ではゲームの新作発売,アイスクリーム等々も参照にしながらアイデアにつなげていく。そのためには,総花的に具体化した手段を羅列するのでなく,どう特色ある(売りになる)目玉(コンセプトの意図を実現できる,他とは違う何か)をカタチにするかが重要になる。従来と違う組み合わせ,異業種の行列の例を参考にする,別のものと組み合わせてみる等々の発想を試みる。何かを引き立てるには,何をどれだけ捨てるか,も鍵になる。ひとつひとつはありふれて特色がなくても,いまあるものをなくすだけでも変わるし,いくつかをくっつけたり,組み合わせることでもガラリと様相が変わる。
  28. 28. 27 企画構想をまとめる Linkaziaさて,コンセプト具体化のアイデアがまとまったとすると,いよいよそれをどう実現するかを考える段階となる。その“コンセプトの具体化案”(これが「企画アイデア」と呼ばれるものだが)を実現するためには, ・「企画アイデア(解決案)」の全体像を組み立てる・「企画アイデア(解決案)」を実現していくための「仕組み」と「仕掛け」づくり・どこから,どんな手順で実施していくかの実施プランニングの3つの構想が組み立てられなくてはならない。これが“企画構想”である。「企画アイデア(解決“案”)」は,実現への仕組みづくりが構想できて初めて「解決“策”」となる。ここまで立案して初めて,問題意識はカタチをなし,「企画」になる。●企画構想を組み立てる企画構想の全体像は,“基本構想”と“実現構想”にわかれる。・「基本構想」は,企画の目的/テーマ/コンセプト/コンセプトの具体化策等,企画の全体像。「『企画アイデア(解決案)』の全体像の組み立て」「『企画アイデア』を実現していくための仕組みと仕掛け」が含まれ,企画の“ビジョン”と“方針”という企画の“見取り図”を示すことである。・「実現構想」は,組織運営計画(組織編成・位置づけ,要員,役割分担)/予算計画(予算/コスト)/スケジュール計画(段取り/手順/日程)等々,「誰が」「いつ」「どういう手順で」実施していくのか,という基本構想実現のための“行動計画”である。まず,“基本構想”は,大よそ次のような点を固めておかなくてはならない。①構想の適合性の確認 ・企画目的をクリアしているか・課題はこのアイデアで解決できているか・初期の(前提・制約)条件を満たしているか②構想全体の展開と仕掛けを明確にする ・企画のテーマは何か・テーマのコンセプトをどう具体的なアイデアにまとめたか・アイデア(コンセプトの具体化案)の実現手段とその展開方法は詰められたか コンセプト実現のために何をするかをブレイクダウンした手段が,下図の「企画構想」のイメージ図に示したしたように,きちんと目的達成のステップになっているかどうか,逆に言うと,そのステップとその手段を確保できれば本当に実現できるかを具体的に示せなくてはならない。
  29. 29. 28 企画構想をまとめる Linkazia③企画構想を「構想スケッチ・シート」にまとめるこれは,“構想のフレームワーク化”作業であるが,この狙いは,次の3点にある。・企画構想の全体像を俯瞰する・構想に必要な要件をチェックし,漏れをなくす・全体のバランス・整合性を整えるフレームワーク化作業の核心は,「基本構想」の設計図(見取り図)を全体像として描くことである。「テーマ」(何の達成を目指したのか)「企画の背景」(企画の理由,つまりそもそも何を問題としたのか)「企画の目的」(何を解決すべき「問題」としたのか)「コンセプト」(どこまで,何を狙っているのか)「企画内容」(コンセプトの何を,どう具体化してみせたのか)「採算」「運営・組織」「スケジュール」等々。ここでやることは,企画の基本構想を実現するのに,ヒト・モノ・カネ・チエ・トキがどれだけ必要かを見積もることである。時間を含め使える手段・資源,その役割分担と配分(最終目標達成を何ヵ年計画とすると,初年度はどこまで,次年度はどこまで等々)をプランニングしてみることである。スケジューリングは,単なる時間配分と日程調整ではない。使える手段をにらみながら,構想実現にどれだけの時間がかかるかの見積もりである。これに基づいて,基本構想を実現するために,何から,どう実行していくかを練り上げるのが実現構想の作業となる。
  30. 30. 29 企画構想をまとめる Linkazia④「アイデア」(解決案)は実現策のプランニングという「説得力」(解決策)をもって初めて「企画」となる 「このままでいいのか」という思い(問題意識)は,アイデア化されて具体化されるが,それが「何のために/何を/どうやるのか」(意味と狙い,実施方法)を明確にして,初めて単なるアイデアから「企画」となる。いま漸く「企画」がカタチを取り始めたのである。
  31. 31. 30 行動計画を練り上げる Linkazia「実現構想」の具体化とは,「基本構想」を実行するための,具体的な行動プランを練り上げることである。それには,・企画そのものの進行プラン(誰と誰が,いつからいつまで,どういうステップで,どういうやり方で,どういう手順で,といった個々の進行スケジュール)・進行プランのシミュレーション(実行上にどういう障害と妨げがあるかを分析し,どういう仕掛けと段取りで実行できるようにもっていくかといった,現実化への詰め)の2本立てが必要である。●実現へのシナリオ(実施計画)づくり 実行のスケジュールづくりといっても,単なる日程調整ではない。目標実現に向けて,「ヒト・モノ・カネ・トキ・チエ」をどう分担・調達し,その制約の中で,いつからいつまでに,どういう手順とステップですすめていくのか,という“行動シナリオ”づくりである。①計画具体化のための5W3H何のために(目的、何(と何)を(目標=期待される成果)、誰(と誰)が(実行主体,共働者,協力者)、いつ(からいつまで)に(期間,期限)どこ(とどこ)で(担当部署,実施場所)、どういう手段と方法で(実施の道具,手立て,使用資源)どういう手順とステップで(実施の段取り,スケジュール)、どれくらいの予算・コストで(必要な経費)②具体化の鍵となる3つのキーポイント・どういう手段と方法で(実施の道具,手立て,使用資源)・どういう手順とステップで(実施の段取り,スケジュール)・どれくらいの予算・コストで(必要な経費) 計画具体化の鍵は,この3つである。行動の具体性を保証してくれるのは,何を使うかの道具(使用できる資源)の実現可能性である。ここをどれだけ検討するかによって,スケジュールとコストは決まる。逆に,スケジュールとコストが限定されれば,選択できる道具(使用できる資源)は制約される。③目標達成へのスケジューリング 目標到達に必要な作業ステップ全体を分解し,予定期間の中で配分し,それぞれ期日の中で,いつまでに,何(どういう作業段階)がどれだけ達成されていなくてはならないかが,スケジューリングされる。 立てた目標をどう達成するかは,それを現実化するための手段(方法)をどれだけ具体的にブレイクダウンできるかどうかにかかっている。もしも目標達成に問題があるとすれば,・設定した目標そのものが現状を踏まえない非現実的なものであった。・目標達成へのプランニングで,手持ちの手段・資源の見積りを高めに見誤った。・目標達成へのプランニングにおいて,手段具体化,手順化の詰めが甘かった。・目標達成のプランニングにおいて,日程見積もりのスケジューリングが甘かった。・目標達成のプロセスにおいて,チェック,軌道修正の指導が不十分であった。・見通しが甘く,予期しなかった障害が発生し,立てた計画の進行が大幅に狂った。等々である。これを防ぐには,次の3つの点が重要となる。イ)それを達成(実現)するために何をしたらいいか,そのための方法にはどんなものがあるかを,具体的,多角的に洗い出すロ)手段選択の優先順位を立て,手順化するハ)実施上予測される障害をできるだけ洗い出し,あらかじめ予防策を考えておくつまり,次の点のチェックが不可欠となる。①目標達成のための手段選択に誤りはないか②選択手段の優先順位(手順化)に誤りはないか③手段選択と手順化を実践していく力の見積もりに誤りはないか
  32. 32. 31 Linkazia④計画を確実にするためのプランニング上のキーポイント計画を確実にする,要は2つである。・第1は,“優先順位(手順化)”実行計画の“絶対必要条件”(この計画に不可欠な条件)と“希望条件”(できればほしい条件,あればいい条件)を洗い出し,これを基準に手順化する。・第2は,“予防対策” 計画全体の要となる“クリティカルポイント"(これが崩れると計画全体が意味をなさなくなる重大領域,複雑で困難が伴う箇所,他部門との関わりがある部分,未経験の部分等)を抑え,そこで発生する可能性のある障害をあらかじめ予測し,考えられる原因を推定し,対策を(できれば発生したらどうするかも)立てておく。さらにできれば,それでも発生したときの対応手順(どんな時に,どういう対応をするか)を決めておく。 以上の「実行構想」は確実に実行できなくては“行動プラン”としては不充分である。行動計画が確実に実行できるようにするためには,既に部分的には触れたが,進行プランのシミュレーションを試み,「企画構想の現実度」と「構想実現のハードル」をチェックすることによって,実行の確実性を確保する工夫がいる。これが,ペーパープランにとどまるかどうかの別れ道である。●「企画構想の現実度」をチェックする企画構想の現実度をチェックするには,2点の検討が必要である。①組織の活動領域(ドメイン)との適合性・目的/方針に反していないか・これまでの活動・活動領域・チャンネルと競合(矛盾)しないか・既存の活動と相殺することはないか②フィージビリティ(実現可能性)の検討・市場性(本当にその池には魚がいるか,既に競合はないか,あるとして勝てるのか)・技術性(開発技術,実行スキルの見通しはあるか)・組織性(人材はあるのか,決裁の見込み,誰が決裁の責任者か)・財務性(この投資に見合うのか,採算が合うまでの期間は?)・環境性(このことがもたらす環境への影響は,マイナスはないか)・社会性(狭い業界や特殊領域の常識が社会の非常識ということもうる。特に日本の常識が国際社会での非常識にならないようにすることは不可欠)・安全性(ISO等の国際標準に照らすことが絶対に必要となるが,それに反してでも絶対的基準は人間の フィージビリティチェック生命第一に考えること) チェック項目 予測される要因とそのマイナス面 その見通し 評価 市場性 技術性 組織性 財務性 環境性 社会性 安全性 フィージビリティチェック
  33. 33. 32 行動計画を練り上げる Linkazia●「構想実現のハードル」のチェック いわゆる“リスク分析”である。これは,あらかじめ,遂行上予想される阻害要因,障害を,どれだけ多角的にリストアップできるかが鍵となる。ここでも,バラバラ化のツールは有効である。前にも触れたが,その場合,「もし,こうなったらどうする」「もし,条件がこう変わったらどうする」等々,一定の仮説を立てては,その可否を検討するというのが実際的である。 リスク分析 遂行上予想される問題 予防対策・実行可能性 発生時対策予想される「問題」に対しては,・予防対策(重大な問題が発生しないように予め原因を除去したり,発生を押さえる対策を立てておく)。それが万全とはいえないのが現実だから,その場合は,・発生時対策(万一重大問題が発生した場合にあわてないように,予めどうするかを準備しておく) いわゆる報連相といわれるものが本当に必要になるのは,こういうときである。緊急時の連絡方法,連絡先,判断基準を明確にしておくことである。できうれば,・代替案の用意(代わりとなる施策,対案を,あらかじめ検討しておく)が,のぞましい。 以上の,「企画構想の現実度」と「構想実現のハードル」のチェックをして初めて,企画構想はペーパープランではなく,企画案となるのである。「企画」が「提案」と決定的に違うのは,ここである。提案は,解決案(アイデア)が提示されるだけで,実施プランを伴わない。従って, ・解決案の厳密な適合性は検討されていない ・実施計画がない ・解決策のフィージビリティ,リスク分析はなされていないのである。

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