SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  15
.NETラボ 2023 02月勉強会
小鮒 通成
自己紹介です
 都内Sierに勤務し、Windows認証基盤のコンサル・
設計・構築・トラブルシュート・ブログ公開などを
やっています。
 Technetフォーラムで、ときどき回答しています。
 商業誌でWindows記事の寄稿を行うことがあります。
 MSMVP Enterprise Mobility→Securityを受賞してい
ます(MVP受賞回数20回+α)。
 秋葉原によく現れます。最近はCore i9-12900F&光る
PC組みました…。
オンプレミスドメインの統合
 ADMTを使って「オンプレミス上」で統合する
 気持ち的には安心
 オンプレミスを永久に使い続ける可能性
 Microsoft有償サポートが厳しい
 AADC CSを使って「クラウド上」で統合する
 とにかく簡単
 Azure AD参加ベースのAAD認証への移行
 既存環境の変更が極小・移行コストの最小化
AADC CSとは
 Azure AD Connect Cloud Sync という長い名前の
クラウドサービス
 Azure AD Connectのサブセットとしての機能
 信頼関係のないオンプレActive Directory統合が目的
 エージェントで動作するため、サーバーの負担が軽い
 パススルー認証は不可
 同期に関しての「高度な」属性カスタマイズは不可
 パスワード以外のWrite Back同期は不可
 デバイス登録は不可なので、ハイブリッドAzure AD参加は
できない
 Azure AD Connect クラウド同期とは - Microsoft Entra | Microsoft Learn
参考:AADCとは
 Azure AD Connect という長くない名前の
サーバーアプリケーション
 Active DirectoryからAzure ADへのプロビジョニング機
能
 Active Directoryユーザー・グループ情報をAzure ADに同期
 Azure ADに同期する内容(属性)をカスタマイズ
 オンプレActive Directoryとのシングルサインオン
 Azure AD側からオンプレへの同期(Write Back)
 Azure ADへのデバイス登録
AADC CSでのドメイン統合
 ユーザープリンシパル名での統合
 統合したいドメインすべてのuserPrincipalNameを統合先ド
メインに変更。
 userPrincipalName統合の際に「Windows信頼」は不要。
 移行前から移行後の属性変換
 メールアドレス(mail)は必須。AADC CSの属性マッピング
で設定が可能。
 シームレスシングルサインオン
 既定では無効になっており、AADCのコンポーネントを
使って有効化する。クラウド同期でシングル サインオンを
使用する方法 - Microsoft Entra | Microsoft Learnを参考のこ
と。
AADC CSでのドメイン統合(1)
ユーザープリンシパル名を統合する
[Active Directoryドメインと信頼関係]から[UPNサ
フィックス]-[代わりのUPNサフィックス]に値を入力
実ユーザーのUPNサフィックス名を変更
(実際はPowerShellでUPN全体を変更)
AADC CSでのドメイン統合(2)
AADC CSエージェントのインストールと構成
[Azure Active Directory]-[Azure AD Connect]-[クラウ
ド同期]-[Agents]からダウンロード。
インストール後の設定はウィザードに従えば問題ない。
AADC CSでのドメイン統合(3)
AADC CSクラウドサービスの構成
[Azure Active Directory]-[Azure AD Connect]-[クラウ
ド同期]-[構成]から、ドメイン名を選択して[作成]。
AADC CSでのドメイン統合(3)
AADC CSクラウドサービスの構成(cont.)
スコープフィルターの設定
[mail]属性マッピングの設定
IIF(IsPresent([mail]), Replace([mail], Mid([mail], InStr([mail], "@"), 1024), , ,
Mid([userPrincipalName], InStr([userPrincipalName], "@"), 1024), , ), Error("Empty"))
AADC CSでのドメイン統合(3)
AADC CSクラウドサービスの構成(cont.)
プロビジョニングテスト
サービスの有効化
AADC CSでのドメイン統合(4)
AADC CSクラウドサービス動作後の結果
統合されたUPNでのユーザー生成
メールアドレスが統合されたアドレスに変更
AADC CSでその他気づいたこと
式ビルダーは便利なんだけど…
式ビルダーで属性マッピング式をローコード風に使え
るが、使い勝手はかなり悪い。
動作の確認
[Azure Active Directory]-[Azure AD Connect]-[クラウ
ド同期]から、正常性を確認できる。[Agents]からエー
ジェントの動作状況も確認できる。
同画面の[プロビジョニングログ][監査ログ]から動作
の詳細が確認できる。[分析情報]でInsight情報も取れ
るが、Log Analyticsの統合構成が必要。
まとめ
 AADC CSを使えば、クラウド主体の統合環境ならば、
複数Active Directoryドメイン環境を簡単にまとめる
ことができる。
 移行の際の属性マッピングには注意する。Microsoft
365などでは"proxyAddresses" "usagelocation"など、
注意しなければならない属性が、ほかにも存在する。
 複数ドメイン環境では、ユーザー名が同一などの理
由で同期に失敗するケースがあり、検出やリカバー
対策を考える必要がある。
参考情報
 Azure AD Connect クラウド同期とは - Microsoft
Entra | Microsoft Learn
 Azure AD Connect クラウド同期の式と関数のリファ
レンス - Microsoft Entra | Microsoft Learn
 Azure AD での proxyAddresses 属性の設定方法 -
Active Directory | Microsoft Learn
 Azure AD Connect Health - 重複する属性の同期エ
ラーの診断 - Microsoft Entra | Microsoft Learn

Contenu connexe

Similaire à How to multiple on-premise AD migrate to single AAD

M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイドM04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
日本マイクロソフト株式会社
 
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
Osamu Takazoe
 
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
Ayako Omori
 

Similaire à How to multiple on-premise AD migrate to single AAD (20)

Android20170201
Android20170201Android20170201
Android20170201
 
M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイドM04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
M04_失敗しないための Azure Virtual Desktop 設計ガイド
 
Micro Service for Autonomous Infrastructure
Micro Service for Autonomous InfrastructureMicro Service for Autonomous Infrastructure
Micro Service for Autonomous Infrastructure
 
20200822 azuread gav
20200822 azuread gav20200822 azuread gav
20200822 azuread gav
 
安全なウェブサイトの作り方基礎編
安全なウェブサイトの作り方基礎編安全なウェブサイトの作り方基礎編
安全なウェブサイトの作り方基礎編
 
【Microsoft Build Recap!】 Azure Hybrid周りの注目Update + α
【Microsoft Build Recap!】 Azure Hybrid周りの注目Update + α【Microsoft Build Recap!】 Azure Hybrid周りの注目Update + α
【Microsoft Build Recap!】 Azure Hybrid周りの注目Update + α
 
Keynote
KeynoteKeynote
Keynote
 
話題のNode-REDでIoTアプリを作ってみよう
話題のNode-REDでIoTアプリを作ってみよう話題のNode-REDでIoTアプリを作ってみよう
話題のNode-REDでIoTアプリを作ってみよう
 
Windows10の展開手法
Windows10の展開手法Windows10の展開手法
Windows10の展開手法
 
お待たせしました! 真の VDI on Azure がついに実現します!~ Citrix と Microsoft のタッグがもたらす次世代型クラウド・デス...
お待たせしました! 真の VDI on Azure がついに実現します!~ Citrix と Microsoft のタッグがもたらす次世代型クラウド・デス...お待たせしました! 真の VDI on Azure がついに実現します!~ Citrix と Microsoft のタッグがもたらす次世代型クラウド・デス...
お待たせしました! 真の VDI on Azure がついに実現します!~ Citrix と Microsoft のタッグがもたらす次世代型クラウド・デス...
 
クラウドサービスで作成するノンコーディングBot
クラウドサービスで作成するノンコーディングBotクラウドサービスで作成するノンコーディングBot
クラウドサービスで作成するノンコーディングBot
 
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
共有用 Ws2012 r2-sc2012r2概要
 
Windows 10 の新機能 Azure AD Domain Join とは
Windows 10 の新機能 Azure AD Domain Join とはWindows 10 の新機能 Azure AD Domain Join とは
Windows 10 の新機能 Azure AD Domain Join とは
 
くまあず Nchikita 140628-2
くまあず Nchikita 140628-2くまあず Nchikita 140628-2
くまあず Nchikita 140628-2
 
Infrastructure as Code (IaC) 談義 2022
Infrastructure as Code (IaC) 談義 2022Infrastructure as Code (IaC) 談義 2022
Infrastructure as Code (IaC) 談義 2022
 
Npstudy#7 クラウドインフラのネットワーク自動描画
Npstudy#7 クラウドインフラのネットワーク自動描画Npstudy#7 クラウドインフラのネットワーク自動描画
Npstudy#7 クラウドインフラのネットワーク自動描画
 
SoftLayer and the possibility of baremetal
SoftLayer and the possibility of baremetal SoftLayer and the possibility of baremetal
SoftLayer and the possibility of baremetal
 
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
JAWSUG & JAZUG Sendai Azure Update 20140517
 
ベアメタルクラウドの可能性 ~ 今話題のベアメタルクラウドとは何か、 またその可能性について探求する ~
ベアメタルクラウドの可能性 ~ 今話題のベアメタルクラウドとは何か、またその可能性について探求する ~ベアメタルクラウドの可能性 ~ 今話題のベアメタルクラウドとは何か、またその可能性について探求する ~
ベアメタルクラウドの可能性 ~ 今話題のベアメタルクラウドとは何か、 またその可能性について探求する ~
 
VMwareとIBMクラウドの提携で広がるハイブリッド・クラウドの世界
VMwareとIBMクラウドの提携で広がるハイブリッド・クラウドの世界VMwareとIBMクラウドの提携で広がるハイブリッド・クラウドの世界
VMwareとIBMクラウドの提携で広がるハイブリッド・クラウドの世界
 

How to multiple on-premise AD migrate to single AAD