＜NEURAL GP Networkとは＞ 島根県発・総合診療医育成プロジェクト 地域医療現場と大学を結ぶTeal型組織構造 診療医療の育成は現場においてのみ可能である。 しかし、現場だけでは日本全体の総合診療を成長させるには不十分。 だから、わたしたちは今、 島根県からITを駆使して総合医療のニューラルネットワーク構築を目指します。 NEURAL GP Network WEBサイト: https://shimanegp.com/

1. v
死亡診断書作成
隠岐病院
副院長 加藤一朗

2. 死亡診断書（死体検案書）の意義
• 人間の死亡を医学的・法律的に証明すること、
我が国の死因統計作成の資料となることの２つの大きな意義がある
• 医師法第19条第2項（応招義務等）
「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又
は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があった場合には、正当な事由がなけれ
ば、これを拒んではならない」

3. 死亡診断書と死体検案書の使い分け
死亡者は傷病で診療中の患者か？
死亡の原因は診療に関わる傷病か？
死亡診断書発行 死体を検案して異状があるか？
死体検案書発行
警察に届出（監察医等が死亡検案書発行）
はい
はい
はい いいえ
いいえ
いいえ

4. 記入時の注意点 ～傷病名～
• 傷病名は医学界で通常用いられているものを記入し、
略語やあまり使用されていない医学用語はさける。
例： ×AMI → ○急性心筋梗塞 ×SAH → ○くも膜下出血
• 「心不全」、「呼吸不全」等は記入しないようにする
（WHOが正しい死亡原因の記入方法ではないとしている）。

5. 記入時の注意点 ～傷病名の記入順～
• Ⅰ欄に、傷病名は最も死亡に影響を与えた傷病名を医学的因果関係
の順番に簡潔に記入する
• （ア）欄の原因となる傷病名があれば（イ）欄にその傷病名を
一つ記入する
Ⅰ欄
(ア) 高血圧による脳幹出血
(イ)
(ウ)
(エ)
Ⅰ欄
(ア) 脳幹出血
(イ) 高血圧
(ウ)
(エ)

6. 記入時の注意点 ～死因の種類～
• 外因死の場合は、「外因死の追加事項欄」にその状況を必ず記入する。
• 自殺の場合は、手段に如何によらず「9自殺」を○で囲む。
例：首つりによる自殺は、「6窒息」ではなく「9自殺」
• 疾病と外因がともに死亡に影響している場合は、最も死亡に近い原因から、
医学的因果関係のある限りさかのぼって疾病か外因かで判断する。
例：Ⅰ欄（ア）溺死 （イ）てんかん発作→病死

7. 記入例① ～誤嚥性肺炎～
介護施設の食事介助でむせ込み多く、これまでも誤嚥性肺炎で繰り返し入
院歴ある90歳男性。今回発熱・酸素化低下のため受診され、誤嚥性肺炎で
入院治療行うも徐々に病状悪化し死亡。
• 死亡の原因：（ア）誤嚥性肺炎 （イ）老衰
• 死因の種類： 1病死および自然死

8. 記入例② ～縊死～
• 自殺は外因死であり死体検案書を作成する。仮に蘇生されて入院後に死亡し
ても所轄警察署に異状死届出が必要である。
• 死亡したとき： 死体現象、最終生存確認の状況から推定する
• 死亡の原因： Ⅰ欄（ア）縊頸 短時間（推定）
• 死因の種類： 9自殺
• 外因死の追加事項に、警察から聴取した内容をもとに記入する
自宅裏庭の木にかけたロープで首をつっているのを発見された。
自宅台所には遺書も見つかり、現場で死亡確認された。

9. 参考資料
• 厚生労働省発行「死亡診断書（死体検案書）記入マニュアル