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QGISで
野⽣生動物の追跡結果を解析してみよう	
オープンソースGIS(FOSS4G)の現状と応⽤用〜~ざっくりFOSS4G〜~
中⻄西  希  (琉琉球⼤大学理理⼯工学研究科)  
とRで
MPJ2013  ミニ・シンポジウム
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
⾃自⼰己紹介
twitter:  NozomiIriomote
中⻄西  希  琉琉球⼤大学理理学部
ポスドク研究員・⾮非常勤講師
イリオモテヤマネコ・ツシマヤマネコの⽣生態
社会構造・採餌⽣生態・頭⾻骨形態など
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
野⽣生動物の追跡調査
VHF・GPSトラッキング
位置データの取得(X座標値とY座標値)
⾏行行動圏の算出(最外郭法・カーネル法)
空間配置、環境選択、⾏行行動軌跡  …  etc.
今回はここまで
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
なぜQGISを使うのか?
ArcView,  ArcGISのエクステンション  
“Animal  Movement”
“Home  range  extension”
“Hawthʼ’s  Analysis  tools”
ü  なんといっても⾼高価だった。
ü  バージョンアップしたら使えなくなった...。
もっと⼿手軽に使えるソフトはないのか〜~?
追跡データの解析といえば、
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
Quantum  GIS
動物の⾏行行動圏解析プラグイン
“Home  range  analysis” “AniMove”
しかし、そんなに簡単にはいかなかった…
Phython  errorに苦しむ…
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
パッケージ  adehabitat
  QGISのプラグインは、Rのadehabitatを
使っていた。
じゃあ、Rで計算すればいいじゃん!
Rで⾏行行動圏⾯面積は計算できそうだけど、
図も描きたい…。
マニュアル読んだら、図も描けるみたい。
じゃあ、やってみよう!
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
⾏行行動圏⾯面積の算出と地図描画
ツシマヤマネコのラジオ・トラッキングデータ解析
この地図を
描いてみよう!
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
作業⼿手順
1.  個体位置を地図に表⽰示する(プロットを落落とす)
→QGISで座標値を地図上に図⽰示する。
2.  最外郭⾏行行動圏を描き、⾯面積を算出する。
→QGISの空間演算ツールを使う。
3.  固定カーネル法で⾏行行動圏⾯面積を算出する。
→Rのadehabitatを使う。
4.  固定カーネル法で算出した⾏行行動圏を地図に重ねる。
→RのデータをQGISで図⽰示する。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
X	
 Y	
 CatID	
 Date	
 Time	
 Remarks	
 PlotID	
 TrackID	
526689.110	
 3825199.117	
 CAT02	
 2013/1/1	
 00:30	
 R	
 1	
 99	
526724.490	
 3825205.644	
 CAT02	
 2013/1/1	
 10:41	
 R	
 2	
 99	
526958.835	
 3825249.398	
 CAT02	
 2013/1/1	
 12:14	
 R	
 3	
 99	
526632.275	
 3825226.068	
 CAT02	
 2013/1/1	
 15:28	
 R	
 4	
 99	
526589.022	
 3825318.490	
 CAT02	
 2013/1/4	
 18:52	
 R	
 5	
 99	
526454.539	
 3825219.336	
 CAT02	
 2013/1/4	
 20:51	
 R	
 6	
 99	
526654.409	
 3824887.075	
 CAT02	
 2013/1/4	
 23:56	
 R	
 7	
 99	
526770.855	
 3825098.945	
 CAT02	
 2013/1/5	
 02:44	
 R	
 8	
 99	
526765.279	
 3824909.748	
 CAT02	
 2013/1/5	
 09:39	
 A	
 9	
 99	
526672.171	
 3824994.699	
 CAT02	
 2013/1/5	
 16:44	
 R	
 10	
 99	
1.  個体位置をQGISで表⽰示する
①  UTM座標に変換したヤマネコの位置データをCSV形式で
保存する。(位置データ、個体番号、⽇日付…)
X座標値、Y座標値、個体番号
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
1.  個体位置をQGISで表⽰示する
②  [レイヤ]-‐‑‒[デリミティッドテキストレイヤの追加]
→追加したcsvファイル名でレイヤが作成される。
「座標参照系選択」という画⾯面がでるので、⾃自分で設定した座標系を選択する。
(この後の作業中にも出てきますが、説明は省省略略しています)
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
1.  個体位置をQGISで表⽰示する
③  レイヤ名を右クリック-‐‑‒[名前を付けて保存…]から
shp.ファイルで保存できる。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
①  [ベクタ]-‐‑‒[空間演算ツール]-‐‑‒[凸包]
いちばん簡単な⽅方法
簡単に⾏行行動圏が描けた!
2. 最外郭⾏行行動圏を描く  
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
2. 最外郭⾏行行動圏を描く  
②  [ベクタ]-‐‑‒[ジオメトリツール]-‐‑‒[ジオメトリカラムの出⼒力力/
追加]→属性テーブルにデータが追加される。
いちばん簡単な⽅方法
属性テーブルに⾯面積と周囲⻑⾧長が追加された。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
n パッケージ    ʻ‘adehabitatʼ’  をロードする。
        ʻ‘ade4ʼ’
        ʻ‘tkrplotsʼ’
        ʻ‘shapefilesʼ’
n Rで表⽰示する数字の桁数を10桁に変更更する。
    >options(digits=10)
準備
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
X	
 Y	
 CatID	
 Date	
 Time	
 Remarks	
 PlotID	
 TrackID	
526689.110	
 3825199.117	
 CAT02	
 2013/1/1	
 00:30	
 R	
 1	
 99	
526724.490	
 3825205.644	
 CAT02	
 2013/1/1	
 10:41	
 R	
 2	
 99	
526958.835	
 3825249.398	
 CAT02	
 2013/1/1	
 12:14	
 R	
 3	
 99	
526632.275	
 3825226.068	
 CAT02	
 2013/1/1	
 15:28	
 R	
 4	
 99	
526589.022	
 3825318.490	
 CAT02	
 2013/1/4	
 18:52	
 R	
 5	
 99	
526454.539	
 3825219.336	
 CAT02	
 2013/1/4	
 20:51	
 R	
 6	
 99	
526654.409	
 3824887.075	
 CAT02	
 2013/1/4	
 23:56	
 R	
 7	
 99	
526770.855	
 3825098.945	
 CAT02	
 2013/1/5	
 02:44	
 R	
 8	
 99	
526765.279	
 3824909.748	
 CAT02	
 2013/1/5	
 09:39	
 A	
 9	
 99	
526672.171	
 3824994.699	
 CAT02	
 2013/1/5	
 16:44	
 R	
 10	
 99	
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
①  Rで個体位置データ(csvファイル)を読み込む。
CAT02 <- read.csv(”~/CAT02.csv“) #データテーブル読み込み	
QGISで個体位置を表⽰示した時のデータファイルと同じもの
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
②  固定カーネル法で⾏行行動圏を算出する。
CAT02.coords <- CAT02[,c(1:2)] #テレメデータから位置座標だけ取り出す	
CAT02.name <- CAT02[,c(3)] #テレメデータから個体番号だけ取り出す	
	
ud <- kernelUD(CAT02.coords, CAT02.name, h=“href", grid=40, same4all=FALSE,
kern="bivnorm", extent=0.5
       ) #kernelを算出
kernelUD(座標値,  個体番号)    
kernelUD()
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
②  固定カーネル⾏行行動圏を算出し、95%カーネルを図⽰示。
ver95 <- getverticeshr(ud, 95)
plot(ver95, colpol=NA,
xlab="X", ylab="Y", main=”CAT02”)
getvetivceshr()
ここに求めたい割合を⼊入⼒力力
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
②  算出したカーネル⾏行行動圏を.shpファイルに書き出す。
ver95shp <- kver2shapefile(ver95)
write.shapefile(ver95shp, “CAT02k95", arcgis=T)
CAT02k95.shp
CAT02k95.shx  
CAT02k95.dbf  
マイドキュメントに という3つのファイルが保存される。
kver2shapefile()
write,shapefile()
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
cuicuiadhoc <- kernel.area(CAT02.coords, CAT02.name, h=“href",
grid=40, same4all=FALSE,
kern = "bivnorm", levels = seq(20, 95, by=5),
unin = "m", unout = "km2", extent=0.5)
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
②  固定カーネル⾏行行動圏⾯面積の算出  kernel.area()
cuicuiadhoc	
20〜~95%で、5%ごとに⾯面積を算出
個体位置の座標単位
算出⾯面積の単位
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
cuicuiadhoc <- kernel.area(CAT02.coords, CAT02.name, h="href",
grid=40, same4all=FALSE,
kern = "bivnorm", levels = seq(20, 95, by=5),
unin = "m", unout = "km2", extent=0.5)
  CAT02
20 0.03182033482
25 0.05658046516
30 0.07134058351
35 0.08856042808
40 0.12865078888
45 0.13338107190
50 0.15496121414
55 0.17204142661
60 0.21402175953
65 0.24969205279
70 0.26151239660
75 0.33702275076
80 0.39360323592
85 0.44863385277
90 0.57195670220
95 0.78308402690	
3.     adehabitatで⾏行行動圏を算出する
②  固定カーネル⾏行行動圏⾯面積の算出  kernel.area()
cuicuiadhoc	
20~∼90%まで、5%ごとの⾯面積が
算出された。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
4. カーネル⾏行行動圏をQGISで表⽰示する
①  2で作成した画⾯面を表⽰示する。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
4. カーネル⾏行行動圏をQGISで表⽰示する
①  [ベクタ]-‐‑‒[ベクタレイヤの追加...]  CAT02K95.shpを選択
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
4. カーネル⾏行行動圏をQGISで表⽰示する
完成!
*個体位置や⾏行行動圏のカラーパターンはレイヤ名をダブルクリックし、レイヤプロパティから変更更してください。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
FOSS4Gと野⽣生動物追跡データ解析	
野⽣生動物追跡データ解析⽤用パッケージが充実。
解析結果をshp.ファイルで出⼒力力が可能。
adehabitatHR,  adehabitatLTなど
  QGISとRを連携させることによって、
様々な解析が可能になる。
位置データや⾏行行動圏の描画が容易易。
野⽣生動物追跡データ解析⽤用プラグインが開発中。
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
AniMovメーリングリスト
http://lists.faunalia.it/cgi-bin/mailman/listinfo/animov	
解析に使⽤用して、問題点等をフィードバックしよう!
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会

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