SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  86
Télécharger pour lire hors ligne
1
九州大学大学院システム情報科学研究院
データサイエンス実践特別講座
データサイエンス概論第一
第7回 画像処理
システム情報科学研究院情報知能工学部門
内田誠一
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
2
データサイエンス概論第一の内容
 データとは
 データのベクトル表現と集合
 平均と分散
 データ間の距離
 データ間の類似度
 データのクラスタリング
(グルーピング)
 線形代数に基づくデータ解析の基礎
 主成分分析と因子分析
 回帰分析
 相関・頻度・ヒストグラム
 確率と確率分布
 信頼区間と統計的検定
 カテゴリカルデータの検定(予定)
 時系列データの解析
 異常検出
 画像処理
 パターン認識と深層学習
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
3
画像とは?
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
4
2値画像,濃淡画像,カラー画像
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
5
2値画像
50
100
150
200
50
100
150
200
0
0.25
0.5
0.75
1
50
100
150
200九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
6
濃淡画像
50
100
150
200
50
100
150
200
0
100
200
50
100
150
200
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
7
カラー画像
R成分 G成分 B成分
= + +
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
8参考(飛ばしてOK) 8
波長と光
「可視光」
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
波長=380nm 750nm
あれ? 色って
R+G+Bでは??
wikipedia
9参考(飛ばしてOK)
人間による色の「知覚」はいい加減?
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
単一波による黄色
RとGを
混色して
できる
黄色
(波形としては全然違うのに)人間はこれらを区別できない!
10参考(飛ばしてOK)
人間の視細胞
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
wikipedia
青錐体 赤錐体緑錐体
wikipedia
biz.websuccess.jp/cud/colorsense/
11参考(飛ばしてOK) 11
RGB表色系
 R(赤、 700nm)
 G(緑、 546.1nm)
 B(青、 435.8nm)
 この3原色の混ぜ具合によって,色を表現
色=α R + βG + γB
(α,β,γ)
の3つの数字で色を表す
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
12参考(飛ばしてOK) 12
マンセル表色系とHSV表色系
 色相(Hue)
 彩度(Chroma)
 明度(Value)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
RGB表色系から
擬似的に変換可能
(HSV表色系とか
HSI表色系と呼ばれる)
V成分を取り除けば
照明変動に強い
画像表現が可能!
13
動画像=静止画像の時系列
フレーム
(静止画像)
時間九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
14参考(飛ばしてOK)
画像情報学の技術曼荼羅
コンピュテーショナル
フォトグラフィ
画
像
取
得
(
光
学
系
)
デ
ィ
ジ
タ
ル
化
(
標
本
化
・
量
子
化
)
領域分割・検出
二値化
対象検出
領域分割
画素単位処理
フィルタ
色変換
輝度変換
動き解析
対象追跡
オプティカルフロー
画像認識
コンピュータビジョン
3次元再構成
反射特性推定
位置合わせ
画像合成
コンピュータグラフィクス
超解像
取得系
一次処理
二次処理
識別理論
特徴抽出
クラスタリング
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
15参考(飛ばしてOK)
画像情報処理技術はあらゆる分野で必要
画像情報
処理技術
生物学・化学・
物理学
エネルギー・製造・
プラント・インフラ
医学・薬学・農学
電気電子デバイス・
マテリアル
機械・オートモティ
ブ・ロボティクス
理工系学術分野
定量化,形状解析
データ可視化,計数
イメージング,診断
検査,対象認識...
データサイエンス・ICT
アルゴリズム・
プログラミング
確率統計・線形代
数・グラフ理論
データ定量化・知識発見
機械学習・
人工知能
データベース・
可視化
最適化・
信号処理
社会科学・社会
工学・環境科学
法学・法医学・
プライバシー
心理学・感性
工学・人間科学
芸術・デザイン・
メディア工学
図書館学・人文学
人文系学術分野
デジタルデータ化,
認知・認証,
監視・見守り,
映像表現,…
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
16
コンピュータに画像が保存されるまでの処理
~標本化,量子化,そして圧縮
いわゆる「アナログ→ディジタル変換」と画像圧縮
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
17
標本化:
デジタル画像生成の第一歩
点(画素)の集合連続的
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
アナログ世界 デジタル世界
18
標本化の方法:
有限個の撮影素子のそれぞれが光強度をセンシング
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4http://www.kayoo.org/home/mext/joho-kiki/ より引用
19
標本化周期(解像度)による画像の変化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
640x480 320x240
160x120 80x60
信号の細かさに比べ解像度が
低すぎて生じる偽信号(エリアシング)
20参考(飛ばしてOK) 20
標本化に関する余談:
条件を満たせば完全にアナログ情報を戻せる
 「シャノンの標本化定理」
 =「もともとの模様の細かさ(周波数)が分かっていれば,それ以上に細かく標本
化すれば,元に戻せる」
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
点(画素)の集合連続的
アナログ世界 デジタル世界
2121
量子化(quantization)の概念
 連続量→(四捨五入的処理)→離散量
 必ずロスが発生(元には戻らない)
量子化
0
1
2
3
4
(4,0,4,4,3,3,3,1,2,1,0)(1.74, -2.034, 2.897, …..)
量子化
誤差
標本化された信号 標本化+量子化された信号
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
22
量子化レベルによる画像の変化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
256(8bit)
64(6bit)
32(5bit)
16(4bit)
23
量子化レベルによる画像の変化(つづき)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
8(3bit)
4(2bit)
2(1bit)
24
量子化レベルによる画像の変化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
RGB各256レベル
(8bit×3=24bit)
64(6bit×3)
32(5bit×3)
16(4bit×3)
25
量子化レベルによる画像の変化(つづき)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
RGB各8レベル
(3bit×3)
4(2bit×3)
2(1bit×3)
2626
画像圧縮~種類と応用先
 可逆符号化 X=X’
 医用画像,文化財(古文書)保存,リモートセンシング画像
 圧縮率 1/2 ~ 1/3 程度
 非可逆符号化 X≠X’ but X≒X’
 通信用画像(Web上の画像,デジカメ画像),動画
 圧縮率1/10 ~ 1/50 ~....
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
画像X → 圧縮 → 復元 → X’
普通のJPEGは
こちら
27
画像は各周波数に分解できる
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
低 高
低
高
水平周波数
垂直周波数
28
JPEGの原理:小ブロック毎に周波数分解
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
低 高
低
高
水平周波数
垂直周波数
周波数
成分に
分解
値の大きな成分は低周波数域に集中する(energy compaction)
8x8ブロック
29
最も低い周波数成分だけで表現
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
30
もう少しだけ使って表現
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
31
拡大版
ブロック歪みが良く見えます
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
32
なぜ圧縮できる?
(濃淡画像)こちらを
送らずに
(周波数成分)
こちらを送る
ここは
捨てる
圧縮
復元
しかしブロック歪には要注意!
画像処理はブロック歪に弱い!
さらに
この部分を
量子化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
33
以前やった,以下の話と全く同じ!
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
高周波数
成分が
相当する
34
ブロック歪み(block-noise)
量子化 粗量子化 密
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
35
モスキートノイズ(mosquito noise)
原画像
JPEG圧縮後
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
36参考(飛ばしてOK) 36
可逆圧縮 PNG
 汎用圧縮方式 (LZ77圧縮)が中心技術
 似たパターンが繰り返し出現することに着目した手法
 GZIP等でも利用
 画像特有の性質を積極的に活用した手法ではない
 色は24ビットRGB
 RGB各8ビット=JPEGと同じ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061012/250605/?P=7
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
37
画像の2値化
濃淡画像を,白画素と黒画素にする
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
3838
画像の2値化
 濃淡画像を白と黒の2階調に変換
 利用目的の例
 前景(物体)と背景の分離,各種成分抽出(連結成分解析,後述)
 ノイズ除去
 画像の高速処理,画像の圧縮蓄積
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
原画像(濃淡画像) 2値画像(白黒画像)
領域境界が
ハッキリする
39
2値化の手がかり:ヒストグラム(頻度)
黒 白
画素数
どうもこの辺が
「白線」部分?
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
キリン(?)の表皮
(濃淡画像)
40
2値化の手がかり:ヒストグラム
黒 白
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
どこに
「しきい値」
(threshold)
を設定?
4141
モード法
 ヒストグラムの谷=しきい値
黒(0)
画素数
白(255)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
4242
大津の二値化
 最適しきい値を決定
黒 白
分散A 分散B
左部分の平均 右部分の平均
分散C
分散A 分散B
分散C
+
評価基準
これを最大化
するように
しきい値を
決定九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
4343
Pタイル法
 「画像中のp%が前景」→既知なら使える方法
 全体的に明るさが変わってもOK!
100%
p %
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
4444
連結成分解析
 連結成分=黒(or 白)画素の塊
 全体での数や,各成分の面積や形が定量化できるようになる!
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
Fiji sample image “Blobs”
64個
総黒画素面積 22243
平均面積 347.547
面積
個数
45
4連結と8連結:
どこまでを「隣」とみるか?
 4連結での「隣」
 8連結での「隣」
 4連結か,8連結かで変わる
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
(黒の)連結成分数は何個?
(白の)連結成分数は
つながっている!?
46
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
膨張・収縮による2値化後のノイズ除去
膨張 膨張 膨張
膨張 膨張
収縮
収縮 収縮 収縮 収縮 収縮
http://imagingsolution.blog107.fc2.com/blog-entry-101.html
小さなギャップを埋められる
小さな孤立点を潰せる
47
より進んだ二値化:局所二値化
原画像
全体で二値化
局所二値化
局所領域
輝度値
#画素数
前景 背景
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
48参考(飛ばしてOK) 48
より進んだ二値化:背景推定
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
平滑化による補完
絶対前景と思われる
黒画素領域
(多少余計にとってもOK)
49参考(飛ばしてOK) 49
より進んだ二値化:最適化に基づく方法
 評価関数:
 元の色を維持したい+ 隣と同じ色にしたい
 グラフカットによる最適化が一般的
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
[石川SSII-2007]
50
画像の領域分割
写っているものを個々に分離する
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
[Krähenbühl NIPS-2011]
51
古典的方法1:ヒストグラムを用いた多値化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
5252
古典的方法2: Region Growing法
1. 初期画素K個を選び、それぞれ(大きさ1の)領域とみなす
2. 各領域1…Kについて、領域に隣接する画素が似た性質を持てば
領域に加える
3. 2.を繰り返す。ただし2領域が接触した場合、統合判定を行う
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4http://astro.temple.edu/~siddu
53
古典的方法4: Split-and-Merge法
http://codezine.jp/static/images/article/167/concept.gif
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
http://astro.temple.edu/~siddu
54
古典的方法5: Watershed(分水嶺)法
(二値化利用型)
分水嶺
領域境界
からの距離
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
55
古典的方法5: Watershed(分水嶺)法
(輝度勾配変化利用型)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
原画像 輝度勾配画像
(変化の大きいところ→明るい)
3D表示
分水嶺(尾根線)
http://en.wikipedia.org/wiki/Watershed_%28image_processing%29
56
Watershed,アニメーションで
http://cmm.ensmp.fr/~beucher/wtshed.html
注目
入力 処理過程
(アニメ)
結果
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
57
より最近のセグメンテーション法
Mean-shift (座標+色でクラスタリング) Grabcut (ユーザースケッチ+グラフカット)
Superpixel
条件付きランダム場+最適化
(セマンティックセグメンテーション)
[Krähenbühl NIPS-2011]
[Mori ICCV-2005]
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
58
ディープニューラルネットワークによる
“セマンティック”セグメンテーション
[Badrinarayanan+, “SegNet: A Deep Convolutional Encoder-Decoder Architecture for Image Segmentation”, TPAMI2017]九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
59
画像のフィルタリング
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
60
フィルタリング
何かしらの
計算結果
画像の全画素に
ついて計算
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
6161
最も基本的なフィルタ:平滑化 (1/2)
まずは1次元で考えてみる
フィルタ
マスク
原信号
13 3 33 3 00 1 03 0
1/31/3 1/3
2.3
2.3
1/31/3 1/3
2.3
1/31/3 1/3
1
1/31/3 1/3
3
1/31/3 1/3
2
1/31/3 1/3
1.3
1/31/3 1/3
0.3
1/31/3 1/3
1.3
1/31/3 1/3
1.3
1/31/3 1/3
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
6262
最も基本的なフィルタ:平滑化 (2/2)
画像の場合
1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9
平滑化用
フィルタマスク
(3x3)
10 10 10
10 20 10
10 10 10
1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9
10 10 10
10 11 10
10 10 10
内積
マスク原画像平滑化後
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
63
最も基本的なフィルタ:平滑化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
64
基本的なフィルタ:エッジ検出
まずは1次元で考えてみる
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
フィルタ
マスク
原信号
33 3 33 3 00 0 00 0
-1/2-1/2 1
0 0 0 0
3/2
-3/2
0 0 0 0 0
6565
エッジ検出例
 横方向と 縦方向で エッジを出して,それらを合成(Sobel)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
6666
非線形フィルタ:メディアンフィルタ
 各局所領域の「中央値」を採る処理
 中央値=濃淡値を大小順に並べ、その中で真ん中の値
 内積型ではないフィルタの代表例
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
http://www.mvision.co.jp/WebHelpIM/_RESOURCE/Filter_Mvc_Median.html
フィルタサイズ=3x3 10x10
6767
非線形フィルタ:バイラテラルフィルタ
 エッジは保存しながら細かい変化を平滑化
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
[Tomasi+, ICCV1998]
68参考(飛ばしてOK) 68
バイラテラルフィルタ,どうやってエッジを保存?
 現在の画素との輝度差が大きい部分の平滑化を抑える!
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
f:平滑化
g:輝度差による重み
f・g
http://scien.stanford.edu/
輝度
重み小
重み大
注目画素
69
ディープニューラルネットワークによるフィルタリング:
ノイズ除去
[Mao+, “Image Restoration Using Convolutional Auto-encoders with Symmetric Skip Connections”, arXiv2016]九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
70
ディープニューラルネットワークによるフィルタリング:
白黒画像のカラー化
Iizuka+, “Let there be Color!: Joint End-to-end Learning of Global and Local Image Priors for Automatic Image Colorization with Simultaneous Classification”. TOG2016]九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
71
ディープニューラルネットワークによるフィルタリング:
こんなことまでできる!
昼→夜への変換
[Isola+, “Image-to-Image Translation with Conditional Adversarial Networks," arXiv2016]
地図⇔衛星画像の相互変換
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
72
物体追跡
(トラッキング)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
73
トラッキングの例
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
データ提供:鈴木利治先生(北大薬学)
74
トラッキングの原理
時間
追跡対象
0 Tt-1 t
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
追跡対象と類似した
箇所をつないでいく
7575
最も簡単な方法:
テンプレートマッチング
 何をもって「似ている」とするかがカギ
 隠れや極端な変形→見失う 九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
テンプレート
時刻t時刻t-1
時刻t-1での位置の周囲で,
テンプレートに最も似た領域
→時刻tでの位置
76
その他,代表的なトラッキング手法
 テンプレートマッチング
 最も基本
 Mean Shift
 一般にカラーヒストグラムで物体を表現
 形状変化に頑強
 カルマンフィルタ
 前時刻までの移動状況から次時刻位
置を予測
 パーティクルフィルタ
 複数候補を並列的に探索
 動的計画法
 最適経路問題として解く
 ネットワークフローによるトラッキング
 多物体同時追跡も可能
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
リアルタイム処理型
時々刻々と位置を決定していく
オフライン処理型
全フレームを利用して一括決定
(リアルタイム性↓,精度↑)
77
動き解析
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
7878
どこが動いたか?
フレーム間差分を用いるのが簡単!
 動きの有無がわかるだけ
 それでも結構役立つ場合も
時刻t 時刻t+1 動いていない
部分は消える
動いた
部分が残る
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
79
フレーム間差分の例
差分画像
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
時間
80参考(飛ばしてOK)
Motion History Image
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
 数フレーム分の背景差分を画像化したもの
 2フレーム間の差分よりは,長い時間変化を捉えられる
[Bobick & Davis, IEEE TPAMI, 2001]
81参考(飛ばしてOK)
背景差分
(これも簡単で便利です)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
画像は http://www.ipa.go.jp/jinzai/esp/2006mito1/mdata/10-13.html より引用
現在の画像背景画像
82
より本格的な動き解析:オプティカルフロー
2フレーム間における「画素レベル」の動き
時間
トラッキング
時間
オプティカルフロー
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
83
オプティカルフローの例
(ImageJのflowJ利用)
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
時間
……
84
テンプレートマッチングによるオプティカルフロー
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
各画素を中心としたテンプレートのマッチングにより
対応点を決定
85
動き推定結果
テンプレートマッチングによるオプティカルフロー
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
時間
86
開口問題:
画像情報だけでは完全なオプティカルフローは困難
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター/ 年 月版2018 4
時刻t 時刻t+1
?
人間ですら…

Contenu connexe

Tendances

整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
Kentaro Kanamori
 
不均衡データのクラス分類
不均衡データのクラス分類不均衡データのクラス分類
不均衡データのクラス分類
Shintaro Fukushima
 
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
takehikoihayashi
 

Tendances (20)

【論文調査】XAI技術の効能を ユーザ実験で評価する研究
【論文調査】XAI技術の効能を ユーザ実験で評価する研究【論文調査】XAI技術の効能を ユーザ実験で評価する研究
【論文調査】XAI技術の効能を ユーザ実験で評価する研究
 
データサイエンス概論第一=3-1 線形代数に基づくデータ解析の基礎
データサイエンス概論第一=3-1 線形代数に基づくデータ解析の基礎データサイエンス概論第一=3-1 線形代数に基づくデータ解析の基礎
データサイエンス概論第一=3-1 線形代数に基づくデータ解析の基礎
 
13 分類とパターン認識
13 分類とパターン認識13 分類とパターン認識
13 分類とパターン認識
 
データサイエンス概論第一=1-3 平均と分散
データサイエンス概論第一=1-3 平均と分散データサイエンス概論第一=1-3 平均と分散
データサイエンス概論第一=1-3 平均と分散
 
Domain Adaptation 発展と動向まとめ(サーベイ資料)
Domain Adaptation 発展と動向まとめ(サーベイ資料)Domain Adaptation 発展と動向まとめ(サーベイ資料)
Domain Adaptation 発展と動向まとめ(サーベイ資料)
 
整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
整数計画法に基づく説明可能性な機械学習へのアプローチ
 
データサイエンス概論第一=1-1 データとは
データサイエンス概論第一=1-1 データとはデータサイエンス概論第一=1-1 データとは
データサイエンス概論第一=1-1 データとは
 
距離とクラスタリング
距離とクラスタリング距離とクラスタリング
距離とクラスタリング
 
リプシッツ連続性に基づく勾配法・ニュートン型手法の計算量解析
リプシッツ連続性に基づく勾配法・ニュートン型手法の計算量解析リプシッツ連続性に基づく勾配法・ニュートン型手法の計算量解析
リプシッツ連続性に基づく勾配法・ニュートン型手法の計算量解析
 
不均衡データのクラス分類
不均衡データのクラス分類不均衡データのクラス分類
不均衡データのクラス分類
 
データサイエンス概論第一=3-2 主成分分析と因子分析
データサイエンス概論第一=3-2 主成分分析と因子分析データサイエンス概論第一=3-2 主成分分析と因子分析
データサイエンス概論第一=3-2 主成分分析と因子分析
 
異常検知と変化検知 9章 部分空間法による変化点検知
異常検知と変化検知 9章 部分空間法による変化点検知異常検知と変化検知 9章 部分空間法による変化点検知
異常検知と変化検知 9章 部分空間法による変化点検知
 
「内積が見えると統計学も見える」第5回 プログラマのための数学勉強会 発表資料
「内積が見えると統計学も見える」第5回 プログラマのための数学勉強会 発表資料 「内積が見えると統計学も見える」第5回 プログラマのための数学勉強会 発表資料
「内積が見えると統計学も見える」第5回 プログラマのための数学勉強会 発表資料
 
Explanation in Machine Learning and Its Reliability
Explanation in Machine Learning and Its ReliabilityExplanation in Machine Learning and Its Reliability
Explanation in Machine Learning and Its Reliability
 
相関分析と回帰分析
相関分析と回帰分析相関分析と回帰分析
相関分析と回帰分析
 
データサイエンス概論第一=0 まえがき
データサイエンス概論第一=0 まえがきデータサイエンス概論第一=0 まえがき
データサイエンス概論第一=0 まえがき
 
Bayesian Neural Networks : Survey
Bayesian Neural Networks : SurveyBayesian Neural Networks : Survey
Bayesian Neural Networks : Survey
 
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心
 
機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明
 
1 データとデータ分析
1 データとデータ分析1 データとデータ分析
1 データとデータ分析
 

Similaire à データサイエンス概論第一=7 画像処理

Similaire à データサイエンス概論第一=7 画像処理 (7)

Cloud Impact on Business in Japan
Cloud Impact on Business in JapanCloud Impact on Business in Japan
Cloud Impact on Business in Japan
 
ブラックリッターマン法による リスクベースポートフォリオの拡張 ~リスクベースポートフォリオの課題と拡張への取り組み~
ブラックリッターマン法による リスクベースポートフォリオの拡張 ~リスクベースポートフォリオの課題と拡張への取り組み~ブラックリッターマン法による リスクベースポートフォリオの拡張 ~リスクベースポートフォリオの課題と拡張への取り組み~
ブラックリッターマン法による リスクベースポートフォリオの拡張 ~リスクベースポートフォリオの課題と拡張への取り組み~
 
日本弁理士会主催の継続研修「人工知能に関連する技術・ビジネスの動向と今後の知財実務へのヒント~最近の潮流,技術の実態,人工知能のビジネス活用事例,知財関連...
日本弁理士会主催の継続研修「人工知能に関連する技術・ビジネスの動向と今後の知財実務へのヒント~最近の潮流,技術の実態,人工知能のビジネス活用事例,知財関連...日本弁理士会主催の継続研修「人工知能に関連する技術・ビジネスの動向と今後の知財実務へのヒント~最近の潮流,技術の実態,人工知能のビジネス活用事例,知財関連...
日本弁理士会主催の継続研修「人工知能に関連する技術・ビジネスの動向と今後の知財実務へのヒント~最近の潮流,技術の実態,人工知能のビジネス活用事例,知財関連...
 
認知心理学への実践:データ生成メカニズムのベイズモデリング【※Docswellにも同じものを上げています】
認知心理学への実践:データ生成メカニズムのベイズモデリング【※Docswellにも同じものを上げています】認知心理学への実践:データ生成メカニズムのベイズモデリング【※Docswellにも同じものを上げています】
認知心理学への実践:データ生成メカニズムのベイズモデリング【※Docswellにも同じものを上げています】
 
最適化数理分野(研究室)の案内
最適化数理分野(研究室)の案内最適化数理分野(研究室)の案内
最適化数理分野(研究室)の案内
 
Fit22
Fit22 Fit22
Fit22
 
20190131 lidar-camera fusion semantic segmentation survey
20190131 lidar-camera fusion semantic segmentation survey20190131 lidar-camera fusion semantic segmentation survey
20190131 lidar-camera fusion semantic segmentation survey
 

Plus de Seiichi Uchida

Plus de Seiichi Uchida (20)

9 可視化
9 可視化9 可視化
9 可視化
 
12 非構造化データ解析
12 非構造化データ解析12 非構造化データ解析
12 非構造化データ解析
 
0 データサイエンス概論まえがき
0 データサイエンス概論まえがき0 データサイエンス概論まえがき
0 データサイエンス概論まえがき
 
15 人工知能入門
15 人工知能入門15 人工知能入門
15 人工知能入門
 
14 データ収集とバイアス
14 データ収集とバイアス14 データ収集とバイアス
14 データ収集とバイアス
 
10 確率と確率分布
10 確率と確率分布10 確率と確率分布
10 確率と確率分布
 
8 予測と回帰分析
8 予測と回帰分析8 予測と回帰分析
8 予測と回帰分析
 
7 主成分分析
7 主成分分析7 主成分分析
7 主成分分析
 
6 線形代数に基づくデータ解析の基礎
6 線形代数に基づくデータ解析の基礎6 線形代数に基づくデータ解析の基礎
6 線形代数に基づくデータ解析の基礎
 
5 クラスタリングと異常検出
5 クラスタリングと異常検出5 クラスタリングと異常検出
5 クラスタリングと異常検出
 
4 データ間の距離と類似度
4 データ間の距離と類似度4 データ間の距離と類似度
4 データ間の距離と類似度
 
3 平均・分散・相関
3 平均・分散・相関3 平均・分散・相関
3 平均・分散・相関
 
2 データのベクトル表現と集合
2 データのベクトル表現と集合2 データのベクトル表現と集合
2 データのベクトル表現と集合
 
「あなたがいま読んでいるものは文字です」~画像情報学から見た文字研究のこれから
「あなたがいま読んでいるものは文字です」~画像情報学から見た文字研究のこれから「あなたがいま読んでいるものは文字です」~画像情報学から見た文字研究のこれから
「あなたがいま読んでいるものは文字です」~画像情報学から見た文字研究のこれから
 
Machine learning for document analysis and understanding
Machine learning for document analysis and understandingMachine learning for document analysis and understanding
Machine learning for document analysis and understanding
 
An opening talk at ICDAR2017 Future Workshop - Beyond 100%
An opening talk at ICDAR2017 Future Workshop - Beyond 100%An opening talk at ICDAR2017 Future Workshop - Beyond 100%
An opening talk at ICDAR2017 Future Workshop - Beyond 100%
 
データサイエンス概論第一 6 異常検出
データサイエンス概論第一 6 異常検出データサイエンス概論第一 6 異常検出
データサイエンス概論第一 6 異常検出
 
データサイエンス概論第一=4-2 確率と確率分布
データサイエンス概論第一=4-2 確率と確率分布データサイエンス概論第一=4-2 確率と確率分布
データサイエンス概論第一=4-2 確率と確率分布
 
データサイエンス概論第一=3-3 回帰分析
データサイエンス概論第一=3-3 回帰分析データサイエンス概論第一=3-3 回帰分析
データサイエンス概論第一=3-3 回帰分析
 
データサイエンス概論第一=2-2 クラスタリング
データサイエンス概論第一=2-2 クラスタリングデータサイエンス概論第一=2-2 クラスタリング
データサイエンス概論第一=2-2 クラスタリング
 

データサイエンス概論第一=7 画像処理