10. Yule 過程
10
(続き) N(t) を時刻 t における種数で、毎時間ごとに 1 つの種が増えるので、
N(t)=N(0)+t である。ここで N(0)=1 である場合を考える。このとき Xi(t) は
を満⾜する。再帰的に、X1(t) に関する期待値は、以下の関係式を満⾜する:
とする。計算を⾏うと
を得る。
Complex Graphs and Networks, Linyuan Lu and Fan Chung, AMS (2006)
https://www.ma.utexas.edu/users/rav/ComplexNetworks/
11. Yule 過程
11
(続き) ここで
したがって
さらに であるから、⼗分⼤きな t に対して
Complex Graphs and Networks, Linyuan Lu and Fan Chung, AMS (2006)
https://www.ma.utexas.edu/users/rav/ComplexNetworks/
20. Dirichlet 過程
20
Further reading…
⽣物学研究の観点では、集団遺伝学の分野で
研究されてきた Ewensʼs sampling formula
(infinite allele model) が、two-step
Dirichlet Poisson 過程 (Pitman-Yoh 過程
や Chinese Restaurant 過程) と同じである
ことが証明されている。
[参考⽂献]
The Poisson-Dirichlet Distribution and Related Topics, Shui Feng, Springer (2010)
The Ubiquitous Ewens Sampling Formula, Harry Crane, Statist. Sci. 31 (2016), 1-19.
Neutral Community Theory: How Stochasticity and Dispersal-Limitation Can Explain Species
Coexistence, R.S. Etienne, D. Alonso, Journal of Statistical Physics 128 (2007) pp 485-510
中⽴モデルの新展開, 時⽥ 恵⼀郎, 数理解析研究所講究録 1706, 1-14
21. Cellular automaton
21
off off on off on
off off off on off
on on on off on
off off on off on
on off off on on
Cellular Automaton (CA: セルオートマトン)
セルと呼ばれる格⼦の、あるルールに従った局所的な相互作⽤により、
ときには複雑かつ多様なパターンが⽣成される。
CA では cell の grid (左図では⼆次元格⼦)、
state (左図では on/off)、neighborhood
(隣接するセル)、rule (隣接するセルの
state の組み合わせによって次の state を決
定する規則) を与えることで、次のステップ
での状態が決定される。
off on off
?
ルールの⼀例
https://en.wikipedia.org/wiki/Elementary_cellular_automaton
22. Cellular automaton
22
Elementary Cellular Automaton (ECA)
各セルの状態が 0 or 1、かつ近傍合わせて3つの組でルールが定まるとき、
Elementary cellular automaton と呼ぶ。ECA は全部で 26=256 個存在
CA の挙動
ECA は、ほとんどの全ての初期配置に対して以下の4つのクラスに分類
できることがしられている。
Class 1. ⼗分な時間経過後、全セルの状態が 0 or 1 となる。
Class 2. ⼗分な時間経過後、周期的な挙動を⽰す。
Class 3. カオス的な挙動を⽰す。
Class 4. 周期とランダムなパターンが⼊り混じった複雑な挙動
を⽰す。
https://en.wikipedia.org/wiki/Elementary_cellular_automaton
27. Cellular automaton
27
Further reading…
CA は、elementary CA のみなら
ず、空間伝播する現象はじめ、空間
ダイナミクスをシミュレーションす
るための⼿段として幅広く利⽤され
ている。ルールも決定論的ではなく、
確率性を導⼊したモデルが感染症伝
播、変異株の出現など様々な応⽤が
ある。
[参考⽂献]
Cellular Automata, Stanford Encyclopedia of
Philosophyhttp://plato.stanford.edu/entries/cellular-automata/
Cellular Automaton Modeling of Biological Pattern Formation, A. Deutsch, S. Dormann (2005)
28. Agent Based
Simulation
28
エージェントベースドシミュレーション (ABM)
ヒトや動物など複雑な⾏動をとる個体 (エージェント) の相互作⽤によって
形成される感染症伝播や⽣態系のダイナミクスを計算機で表現するため、
エージェントのとるルールと⾏動変化を個体レベルで記述して時間変化を
追跡 (シミュレーション) する⽅法が存在する。これらは⼀般に、Agent
Based Model (エージェントベースドモデル) と呼ばれている。
NetLogo など、ABM を実装するソフトウェ
アは多数存在し、モデルはどこまでも複雑に
できる。ここでは、統計解析ソフト R の
パッケージである simecol を⽤いた ABM
の実装を例に紹介する。
体サイズ成⻑するミジンコ
(Daphnia) は、古くから⽣
態学で研究されてきた。
T. Petzoldt, K. Rinke, simecol: An Object-Oriented Framework for
Ecological Modeling in R, J. of Statistical Software, 22, 1--31 (2007)
30. Agent Based
Simulation
30
R package (simecol) での実装例
ミジンコ個体クラスの定義
個体の年齢を扱う関数
個体の⽣存を扱う関数
個体の産卵を扱う関数
各イベント (産卵、成熟、死亡) は、条件が満たされた場合に発⽣する
ため、各関数ではイベント発⽣の条件を記述する必要がある。
イベント発⽣の条件は、パラメーターの値に左右されるため (気温など)、
パラメーターの値と定義を記述する必要がある。
イベント発⽣のルール (起こりやすさと待ち時間) を決定する必要がある。
Poisson 過程による確率シミュレーションをルールに採⽤することがある。
T. Petzoldt, K. Rinke, simecol: An Object-Oriented Framework for
Ecological Modeling in R, J. of Statistical Software, 22, 1--31 (2007)