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MSCS2017
モデルベースト制御における
機械学習とダイナミクスの融合調査研究会
(DML研究会)の目指すところ
慶應義塾大学
理工学部 物理情報工学科
足立 修一
http://arx.appi.keio.ac.jp/
岡山大学 津島キャンパス 一般教育棟3階
2017年 3月 7日(火) 9:00 ~ 9:20
DML 研究会(Dynamical Machine Learning)
2
HP : http://dml.sice-ctrl.jp/
DML 研究会
 主 査:足立修一(慶大)
 副主査:加嶋健司(京大)
 幹 事:丸田一郎(京大),堀 豊(慶大)
 委 員:46名(2017.3.1現在)
うち,企業技術者14名,博士学生3名,女性研究者4名
中堅・若手研究者が中心
 活動期間:2017.1.1~2018.12.31(2年間)
 数か月に1回,活動予定
 年間予算:10万円
3
DML.sice-ctrl.jp
DML 研究会委員(計50名)
 赤阪大介(マスワークス)
 飯野 穣(東芝)
 池田卓矢(京大)
 石川将人(阪大)
 石崎孝幸(東工大)
 井上正樹(慶大)
 大須賀公一(阪大)
 奥 宏史(大工大)
 加納 学(京大)
 川口貴弘(慶大)
 岸田昌子(情報学研)
 喜住祐紀(Honda)
 小西克巳(工学院大)
 小林俊介(新日鐵住金)
 澤田孝信(日産)
 神保智彦(豊田中研)
 杉本謙二(NAIST)
4
 薄 良彦(府立大)
 鈴木雅康(宇大)
 高橋正樹(慶大)
 武田朗子(統数研)
 田中英明(デンソー)
 田中秀幸(広大)
 田辺弘子(東大)
 中須賀真一(東大)
 仲田勇人(トヨタ)
 永原正章(北九州市立大)
 成岡 優(JAXA)
 野中健一郎(都市大)
 平田光男(宇大)
 福永修一(産業技術高専)
 藤井正和(IHI)
 藤本悠介(京大)
 藤原幸広(Honda)
 松波 勲(北九州市立大)
 松原崇充(NAIST)
 南 裕樹(阪大)
 矢入健久(東大)
 安井裕司(Honda)
 山崎直子(東大)
 山科亮太(リコー)
 山中 理(東芝)
 我妻広明(九工大)
 和田孝之(阪大)
 成瀬 康(NICT)
 江藤 力(NECデータサイ
エンス研究所)
 堀 豊 (慶大)
 丸田一郎(京大)
 加嶋健司(京大)
 足立修一 (慶大)
さまざまな分野から melting pot
DML 研究会の担当分野(設置趣意書)
 いわゆるビッグデータを背景とした機械学習理論は,人
工知能研究者のグループで精力的に研究されているが,
その主流はデータオリエンティッドな方法論である
 一方,われわれ制御のコミュニティでは,モデルベース
ト制御の枠組みで,対象となるシステムが従う物理的な
法則(これをダイナミクスと呼ぶ)を数理モデルで表現
し,そのモデルと対象から得られるデータの両方を用い
たアプローチをとる
 その典型的な例がカルマンフィルタであり,時系列やシ
ステムのダイナミクスを状態空間モデルで表現し,さら
に観測データを活用することによって,対象の状態推定
(フィルタリング)を行う
5
DML 研究会の担当分野
 機械学習理論が物理化学的な対象に対して,より効果的
に機能するためには,このようなダイナミクスを考慮し
た機械学習理論の研究が,理論と産業応用の両面から強
く望まれている。DML 研究会ではこれを主な担当分野
として活動する。
 制御の分野で対象のデータを利用する方法として,シス
テム同定理論が1960年代から研究されている。このシ
ステム同定理論と機械学習理論の類似点と相違点を調べ
ることによって,制御分野で機械学習理論を活用するた
めの方法論を検討していくことも DML 研究会の担当分
野である。
6
DML研究会の(本当の)ねらい
 SICEを活性化したい!
 義務感で学会活動をしていても疲れるだけ
 自発的に参加したくなるような学会
 元気が出るワクワクする研究テーマ
 理論から実用化まで,幅広い人が興味をもつテーマ
 学会に人が集まるかどうかは,魅力的な研究テーマが
るかどうかにかかっている
 残念ながら,1990年代のH∞制御以来,制御理論で抜
群の集客力のある研究テーマは見当たらない
7
研究は楽しくなければ!
DML研究会の(本当の)ねらい
 SICE若手会員のネットワーキング
 大学関係の若手研究者に,企業の人とネットワークを
構成してほしい
 企業の技術者/研究者にも,SICEの優秀な若手研究
者を知ってほしい
8
仮想世界ではなく,
現実世界で!
AIが流行っている理由は?(私見)
9
 ビッグデータの活用 ・・・ 宝の持ち腐れは嫌
 計算機能力の向上
 非理科系(物理や工学以外)の人が直感的に受け入れや
すい概念 ⇒ 期待感
 非理科系の分野でAIの活用がすすむ
⇒ 理工系はこれから
 たくさん勉強して暗記(データ)しておけば,試験でい
い点はとれそうだが頭(ダイナミクス)を使ってもっと
かっこよくいい点とりたいな! by adachi
DML研究会の活動予定(2017年)
 第0回 2016年11月10日 北九州
 設立準備委員会
 第1回 2017年1月30日 慶大
 矢入先生の講演
 全体討論
 第2回 2017年3月7日 岡山大,OS
 第3回 2017年5, 6月頃 京大(予定)
 第4回 2017年9月 東京(予定)
 第5回 2017年11月18日(土) 慶大
 3つの班の成果発表会
10
DML第1回研究会@慶大(1/30)
 13:00~ DML研究会の立ち上げについて(足立)
 13:10~ 講演:機械学習とシステム同定 ~ 動的システ
ム学習の過去と現在 ~ 矢入健久(東大 航空宇宙)
⇒ Youtube(慶應チャンネル 足立研セミナー)
 15:00~ 研究会の進め方
 17:00~ 懇親会
11
講演会には100名近くの聴講者
DML第2回研究会@岡山大学
 モデルベースト制御における機械学習とダイナミクスの
融合調査研究会(DML研究会)の目指すところ
足立修一(慶大)
 データでみる機械学習と制御理論の類似点と相違点
丸田一郎(京大)
 因果関係を理解するためのデータ駆動手法とモデル駆動
アプローチ
石川将人(阪大)
 省エネルギーのための自動制御と人工知能
永原正章(北九州市立大)
 デンソーにおける制御設計への取り組みと今後の課題
田中英明(デンソー)
12
3つの研究班
50名の大所帯なので,3つの班に分かれて活動
 A班(足立・丸田)
 教師あり学習
 同定・モデリング
 B班(小西・堀)
 教師なし学習
 特徴量抽出
 C班(加嶋・丸田)
 強化学習
13
2年後:DML研究会の出口
 委員同士の交流から共同研究へ
 大学間,大学と企業,…
 科研費「新学術領域研究(研究領域提案型)」
・・・ 新たな研究領域を設定して異分野連携や共同研究,
人材育成等を図る大規模なグループ研究をサポート
 新たな展開
 ・・・ ・・・ ・・・
14
物理とデータ
 機械学習
 データから,対象システムを理解するためのヒントを
見つける ⇒ データから法則性(物理)を発見する
 社会システムなど,物理が明確でない対象
 ビッグデータ
 複雑な実システムのモデリング
 対象から観測されるデータと,対象が従う物理法則
(ダイナミクス)の両者を活用することによって,合
理的な対象のモデルを構築する
15
第一原理モデリングとシステム同定
物理帝国主義(?) ⇒ 機械学習(AI)
16
第一原理
モデリング
システム同定
 情報(データ),統計,
 実験データ
 事後解析(モノがないと
モデリングできない)
パイロットプラント(たとえば風洞試験)
 物理,化学,…
 数値解析,スパコン
 事前解析(モノを作る前
にモデリング)
バランスが重要!
Black-box modelingWhite-box modeling
Gray-box modeling
データと物理のバランス
17
物理 データ
 物理モデリング
 機械学習
 システム同定
 カルマンフィルタ
 物理的な洞察(ダイナミ
クス)のもとで,データ
を活用することが重要!
 制御や動力学的なセンス
工学分野でAIを活用するときに最も重要なポイント
バランスをとること
18
 Trade-off をはかること
⇒ 制御屋さんの得意分野
 AI,特に機械学習はSICEでも研究すべきテーマ
機械学習とシステム同定の類似点
19
 対象
 機械学習:大規模システム,ネットワーク
 非線形,相関関係
 システム同定(制御):動的システム
 線形,因果関係
 モデル選択
たとえば,…
IBIS2016@京都(2016.11)に参加して
 最初は50名程度で始まったワークショップ,19回目の
大会は500名の参加者
 ネクタイをしない研究者や技術者が中心で,とにかく若
い! 博士学生,ポスドク,助教クラスが中心
 その一方で,80歳の甘利先生が特別講演
 さまざまな分野(物理,工学,マーケティング,…)
 研究の出口となる企業(リクルート,博報堂,…)も多
数参加しているので,熱い!
20
機械学習の研究課題
 説明可能性,性能保証
 深層学習のモデル:ブラックボックス(分散表現,多
層,非線形)である
 性能保証をどのように達成するのか? ホワイトボッ
クス的なテストができるか?
 Non i.i.d.(independent and identically distributed)なデ
ータに対して,汎化能力をどのように達成するか?
21
岡野原大輔氏(Preferred Networks 副社長)
の講演より
機械学習の研究課題
 物理モデルの学習
 人や動物は,経験(データ)から物理世界のシミュレ
ータを作る
 データから物理モデルを学習し,それを利用したうえ
で,認識・制御をしたい
 シミュレーション ⇒ データ同化
 制御 ⇒ システム同定
 強化学習 ⇒ 遷移確率
22
まとめ
 SICE制御部門に新たに立ち上げたDML研究会に
ついて簡単に紹介した
 本研究会にご興味のある方は,足立,あるいは
DML研究会の加嶋副主査,丸田・堀幹事にご連
絡ください。お待ちしています。
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