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データドリブン
マーケティング
発表者:島岡聖世
データドリブンマーケティング
• マーケティングのPDCAサイクルを数値指標によって駆動させる
効果測定キャンペーンの実⾏キャンペーンの選択
学習とフィードバック
数値指標
マーケティング格差
• キャンペーンの選択
• 53% キャンペーンを選択する際に、投資収益率、顧客⽣涯価値、顧
客満⾜度などの指標を使⽤していない
• キャンペーンの実⾏
• 63% 各段階の成果を指標を使って検証していない
• 効果測定
• 40% 効果を測定できるようにキャンペーンを設計していない
データドリブンマーケティングを⾏えている企業ほど
財務指標でみた企業業績が良いが、、、
あるボード会にて、
マーケティング
担当者 財務
担当者
最低限知っておくべき15の数値指標
① ブランド認知率
② 試乗(お試し)
③ 解約率
④ 顧客満⾜度
⑤ オファー応諾率
⑥ 利益
⑦ 正味現在価値
⑧ 内部収益率
⑨ 投資回収期間
⑩ 顧客⽣涯価値
⑪ クリック単価
⑫ TCV率
⑬ 広告費⽤対効果
⑭ 直帰率
⑮ ⼝コミ増幅係数
伝統的な
マーケティング指標
⾮財務系指標
財務系指標
ネット時代の
マーケティング指標
マーケティング活動ごとに適切な指標
がある
認知
⽐較検討・評価
ロイヤル
顧客化
ファネルごとのマーケティング
顧客価値ベースマーケティング
WEBマーケティング
購買
(トライアル)
認知向上マーケティング
⽐較検討・評価
ロイヤル
顧客化
認知
⽬的 ブランドイメージの形成
⼿段 TV・雑誌広告、スポーツチーム
へのスポンサーシップ、命名権
重要指標 ブランド認知率
商品やサービスを想起する⼈の
割合
購買
(トライアル)
認知向上マーケティング
<事例>フィリップスの若年男性を
ターゲットとしたブランディング広告
22
25
9
15
0
5
10
15
20
25
30
キャンペーン前 キャンペーン後
ブランド認知率と購⼊意向の前後⽐較
商品のブランド認知率 購⼊意向
認知向上マーケティング
ブランディングに課題
理想
⼤問題
到達の課題
助成
ブランド
想起率
⾮助成広告認識率
全媒体平均
全
媒
体
平
均
TV広告
インターネット
雑誌広告
Metro誌広告
ポスター
バイラル広告
媒体ごとにブランド認知率と広告認識率
を計測しキャンペーンを事後評価
⽐較マーケティング
ロイヤル
顧客化
認知
⽐較検討・評価
⽬的 複数の商品やサービスを⽐較検
討できるようにすることで、購
⼊意向を⾼める
⼿段 製品パンフレット、製品⽐較
チャート、試乗キャンペーン
重要指標 試乗(お試し)
購⼊前の顧客によるお試し使⽤
将来の売上の先⾏指標
購買
(トライアル)
⽐較マーケティング
<事例>ポルシェの試乗キャンペーン
WEB広告で2億4100万インプレッション
新聞・雑誌広告で700万のリーチ
▶ 2000⼈の消費者が試乗申し込み
▶ネット広告のアクセスから週ごとに獲
得された⾒込み客を地域ごとに把握
▶過去の売上構成⽐と⽐較して⾒込み客
が少なすぎる地域には広告の追加投⼊
⽐較マーケティング
<事例>レイバンのサングラス
のウェブサイトでのバーチャル
試着
サングラスの写真の印刷数を試
乗の指標としてトラッキング
▶ 試乗数から需要予測し製品ご
との製造数量を最適化
需要喚起型マーケティング
ロイヤル
顧客化
認知
⽐較検討・評価
⽬的 商品やサービスの購⼊を直接促す
ことで、短期間で収⼊を増やす
⼿段 クーポン、期間限定割引、プロ
モーションイベント
重要指標 ・利益
・正味現在価値
・内部収益率
・投資回収期間
投資案件の
評価に⽤いる
財務指標!
購買
(トライアル)
需要喚起型マーケティング
投資リターン
を⽰せ!
• 需要喚起型マーケティングはマーケティング予算全体の50%を
占め、施策効果が直接的に売上に結びつくので、投資として扱
い、財務指標で評価する
マーケティング
担当者
財務
担当者
ロイヤルティマーケティング
認知
⽐較検討・評価
ロイヤル
顧客化
⽬的 ロイヤルティを⾼める
⼿段 限定優待、カスタマーサポート、
全額返⾦保証
重要指標 ・解約率
既存顧客の中で、商品やサービ
スの購買を中⽌する⼈の割合
購買
(トライアル)
ロイヤルティマーケティング
<事例>レクサスのオーナー向け
サービス
・代⾞の無償提供
・無料の洗⾞サービス
・⼀部ディーラーにおける⼟曜⽇の朝
⾷サービス
・レクサス・ライフスタイル誌の無料
送付
・ゴルフイベントへの招待
▶ リピート購買率は70%であり、
他のある⾼級⾞の50%よりも⾼い
(5年ベースの解約率 6% vs 10 %)
ロイヤルティマーケティング
<事例>アースリンク社
▶ 顧客アクションに基づいて解約
率を予測する決定⽊モデルを作成
▶ 予想解約率が⾼いセグメントに
対してターゲットマーケティングを
実施
⽉間利⽤回数は9.5回以上か?
⼈数 解約率
30000 5.2%
⼈数 解約率
1500 17.5%
⼈数 解約率
26000 4.2%
⼈数 解約率
4000 12.8%
⼈数 解約率
2500 8.3%
コールセンターに電話したか?
yes no
yes no
ロイヤルティマーケティング
⽉間利⽤回数は9.5回以上か?
⼈数 解約率
30000 5.2%
⼈数 解約率
1500 17.5%
⼈数 解約率
26000 4.2%
⼈数 解約率
4000 12.8%
⼈数 解約率
2500 8.3%
コールセンターに電話したか?
yes no
yes no
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
30 60 90 120
ターゲットマーケティング実施後
30~120⽇の解約率
コントロール群 オファー群
⻩⾦指標:顧客満⾜度
• 「友⼈や同僚にこのサービスを勧めたいと思いますか?」
• ⻑期的にブランドイメージやロイヤルティに⼤きく影響するた
め、マーケティング全体に関連(⻩⾦指標)
顧客満⾜度
認知
⽐較検討・評価
購買
(トライアル)
ロイヤル
顧客化
⻩⾦指標:顧客満⾜度
70%
30%
靴の購⼊額の割合
今後4ヶ⽉
DSW その他の靴店
55%
45%
靴の購⼊額の割合
過去4ヶ⽉
DSW その他の靴店
<事例>DSW社
オンラインとオフラインで連
携したポイント付与キャン
ペーンを実施
顧客満⾜度と購買意向をアン
ケート調査
▶ 満⾜度が⾼い顧客は将来の
⽀出意向が⾼いと判明
ファネルの段階ごとの指標のまとめ
認知
⽐較検討・評価
購買(トライアル)
ロイヤル
顧客化
ブランド認知率
試乗(お試し)
利益、正味現在価値、
内部収益率、投資回収期間
解約率
顧客満⾜度
全ての顧客は平等、、ではない!
顧客⽣涯価値(CLTV):顧客が将来にわたりもたらす利益の現在価値
顧客価値ベースマーケティング
<事例>コンチネンタル航空
フライトキャンセル時の返⾦額
を顧客価値に基づいて算出
▶ 100万ドルの単位の費⽤削減
▶ 価値が⾼い顧客の顧客満⾜
度上昇・解約率低下
⾼価値顧客と低価値顧客100⼈への返⾦事例
施策実施前 実施後
顧客価値ベースマーケティング
<事例>コンチネンタル航空
フライトキャンセル時に12時間
以内に「申し訳ございません」
と書いた⼿紙を送る
▶⼿紙を受け取った顧客の⽣涯
価値が8%増加
マーケティング運⽤業務を効率化
• オファー応諾率 = オファー応諾数 / オファー送付数
• マーケティング上のオファーは様々
• ダイレクトメール
• WEB広告インプレッション
• テレマーケティング
• 製品情報のダウンロード
• マーケティングの効率を測り、運⽤を最適化する汎⽤的な
指標として重要
マーケティング運⽤業務を効率化
<事例>メレディス社のメルマガ
週次で1400万⼈の顧客をスコアリング
顧客属性(年齢・趣味・⼦供・地域等)と過去の購買情
報を元に、ロジスティック回帰。購⼊確率の最も⾼い商
品を推薦
オファー応諾率(メール開封率)をみて、メール送信の
頻度を決定
▶ オファー応諾率30~50%増加
▶ メルマガ購読率20~40%増
▶ コンバージョン率40%増加
WEBにおけるオファー応諾率向上
サイトコンテンツ
の改善
改善の必要なし
打ち切りを検討 広告の改善
クリック率
コンバージョン率 ⾼
低
⾼
低
オファー応諾率=クリック率 × コンバージョン率
クリック単価とオファー応諾率に基づい
たインターネット広告の最適化
打ち切り 媒体内で、広告
費⽤対効果が⾼
い広告に絞る
オファー応諾率
の向上(前スライド)
予算投⼊強化
媒体の
クリック単価
(平均⼊札価格)
オファー応諾率(クリック率× コンバージョン率)
⾼
低
⾼
低
まとめ
• データドリブン:マーケティングのPDCAを数値指標で駆動!
• 企業間のマーケティング格差の原因になっている
• マーケティング活動に合わせて適切な指標を選ぶ
• 認知向上マーケティングには、ブランド認知率
• ⽐較検討マーケティングには、試乗(お試し)
• 需要喚起型マーケティングには、4つの財務指標
• ロイヤルティマーケティングには、解約率
• どの段階でも重要な⻩⾦指標は、顧客満⾜度
• オペレーションの最適化には、オファー応諾率
• ターゲティングには、顧客⽣涯価値
• WEBマーケティングには、クリック単価、CV率、広告費⽤対効果など
顧客価値ベースマーケティング戦略
DM送付なし
プレミアム
DMを送付
プレミアム
DMを送付
DM送付なし DM送付なし
ミドルエンド
DMを送付
DM送付なし DM送付なし
低コストDM
送付
CLTV高
CLTV中
CLTV低
オファー応諾率低 オファー応諾率中 オファー応諾率高
効果測定のヒエラルキー
戦略的
(将来指標)
戦術的
(過去指標)
運⽤上
(内部プロセス管理指標)
先⾏指標として使える⻑期的な測定値
例)ブランド認知率、顧客満⾜度、顧客⽣涯価値、試乗
具体的なキャンペーンや戦術の効率性を図る指標
例)売上⾼、リードコンバージョン
施策実⾏の効率性を測る指標
例)オファー応諾率、広告費、運⽤費⽤
ヒエラルキーの中からバランスよく指標を選択する

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