SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  22
THE AI 2018 2nd
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 / ソニー株式会社
シニアマシンラーニングリサーチャー
小林 由幸
Deep Learningのもたらすゲームチェンジと、
飛躍へのヒント
2
自己紹介
小林 由幸
1999年にソニーに入社、2003年より機械学習
技術の研究開発を始め、音楽解析技術「12音
解析」のコアアルゴリズム、認識技術の自動
生成技術「ELFE」などを開発。近年は
「Neural Network Console」を中心にディー
プラーニング関連の技術・ソフトウェア開発
を進める一方、機械学習普及促進や新しいア
プリケーションの発掘にも注力。
こばやし よしゆき
3
Deep Learningのもたらすゲームチェンジ
4
28.2 25.8 26.1
16.4
11.7
6.7
3.57
2.99
2.25
1
10
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
Top-5ErrorRate[%]
Year
Deep Learning従来型
機械学習
圧倒的な認識性能を示すDeep Learning
従来の性能限界を打ち破り、数々の課題で人を超える性能を達成しつつある
人の認識誤差
?
画像認識における精度向上
年率50%に迫る
誤差の改善
5
人の認識性能を超えたことで、機械学習の実用化が急加速
人の認識性能
認識
性能
2015 20182012
実用化
機械学習を使えば自動化できるが、
人の品質にはかなわない。
適用できるシーンは限定的。
Deep Learningを用いるほうが
人が作業するよりも高品質、
さらに速くて安い。
相転移
6
Deep Learningを用い、認識機を作成するために必要な作業
…
…
…
…
…
…
…
画像認識機
(Neural Network)
Input:画像 Output:画像認識結果
「2」
1. データセットを用意する
入力と、期待する出力のペアを多数用意
(教材の準備に相当)
2. ニューラルネットワークの構造を
設計する(脳の構造設計に相当)
3. 用意したデータセットで、設計した
ニューラルネットワークを学習する
従来の機械学習手法と比較して、高い性能を実現できると同時に扱いやすい技術でもある
… 「0」
… 「1」
… 「2」
… 「3」
… 「4」
… 「5」
… 「6」
… 「7」
… 「8」
… 「9」
7
入出力次第で広がるDeep Learningの活用
…入力 出力
実現する機能 入力 出力
画像認識 画像 カテゴリ
文章の自動仕分け 文章 文章カテゴリ
音声認識 音声 文字列
機械翻訳 英単語列 日単語列
人工無能(チャットボット) 入力発話の単語列 期待応答の単語列
画像加工 入力画像 出力画像
ロボット制御 ロボットのセンサ ロボットのアクチュエーター
…
Deep Learningは高い汎用性を備えた技術。応用範囲はどんどん広がっている
実現する機能
8
Deep Learningにより大きく変わる機能開発の概念
従来
機能をモジュールに分解して開発
Deep Learning時代
End-to-end学習
• 必要な機能をモジュールに分解(設計)
• プログラムにより各モジュールを実装
実現できる機能の複雑さ∝プログラム量
• 入力から出力を得る機能をデータからの
学習で直接獲得
実現できる機能の複雑さ∝データ量
高機能、高性能を実現するために求められるものは、設計ノウハウからデータに
画像勾配計算
手書き数字認識
画像特徴抽出前処理
ヒストグラム
判別分析
9
Deep Learningのもたらすゲームチェンジ
• Deep Learningは簡単。知的処理の開発は、一般の技術者でも十分可能に
• Deep Learningは汎用。画像認識以外にも様々な機能を実現できる
• 機能分解型の設計から、End-to-End学習による機能開発へ
• Deep Learningにおいて、性能を決定づけるのはノウハウではなくデータ
• 企業の価値創造に求められるスキルセットが変化
• 需要増:「何を実現すればよいか」を見出す能力、データを集める能力
• 需要減: 機能分解型の設計ノウハウ
企業によっては戦略の見直しが必要に
10
AIは破壊的テクノロジー
半導体 デジタル コンピュータ インターネット クラウド (AI)
破壊的テクノロジーの特徴
• 今まで難しかったことを簡単にする
• 応用範囲が極めて広い
• 技術の進歩が、技術の進歩自身を加速する
• 使う側に意識の変容を求める
• 広大な市場を創出する
早期の取り組みが極めて有利に働く
11
ソニーのDeep Learningへの取り組みと活用事例
12
ソニーのDeep Learningに対する取り組み
Neural Network Libraries / Consoleにより、効率的なAI技術の研究開発を実現
2000年以前~ 機械学習の研究開発
2010年~ Deep Learningの研究開発
2011年~
初代コアライブラリ 2013年~
第二世代コアライブラリ 2016年~ 第3世代コアライブラリ
Neural Network Libraries
2015年~ GUIツール
2010年~ Deep Learning開発者向けソフトウェアの開発
Deep Learningを用いた認識技術等の
開発者が用いるソフトウェア群
技術開発効率を圧倒的に向上
Neural Network
Console
17/8/17 Windows版無償公開
18/5/9 クラウド版正式サービス開始
17/6/27 オープンソースとして公開
13
Neural Network Libraries / Consoleとは
Neural Network Libraries
・Deep Learning研究開発者向けオープンソースフレーム
ワーク(他社製既存Deep Learning FWに相当)
・コーディングを通じて利用→高い自由度
・最先端の研究や製品への実装にも柔軟に対応
Neural Network Console
・研究や、商用レベルの技術開発に対応したDeep
Learningツール
・様々なサポート機能→高い開発効率
・GUIによるビジュアルな操作→敷居が低い
主なターゲット
・じっくりと研究・開発に取り組まれる方
・プログラミング可能な研究、開発者
import nnabla as nn
import nnabla.functions as F
import nnabla.parametric_functions as PF
x = nn.Variable(100)
t = nn.Variable(10)
h = F.tanh(PF.affine(x, 300, name='affine1'))
y = PF.affine(h, 10, name='affine2')
loss = F.mean(F.softmax_cross_entropy(y, t))
主なターゲット
・特に開発効率を重視される方
・はじめてDeep Learningに触れる方
研究開発における課題を解決し、Deep Learningの研究開発を効率化するソフトウェア
学習エンジンとして
Neural Network Librariesを利用
14
Deep Learning 応用技術開発の流れ
コアアルゴリズム開発 開発環境
商品技術開発
各事業会社
応用技術開発
R&D
および
各事業会社
コア技術開発
R&D
Neural
Network
Libraries/
Console
○○認識機等、各種Deep Learning応用技術の開発
各種製品、サービスへのDeep Learning応用技術の搭載
…
研究開発者だけではなく、各事業部の担当者が直接Deep Learningを活用
…
15
Neural Network Libraries / Consoleのソニーグループ内活用事例
価格推定 ソニー不動産の「不動産価格推定エンジン」に、Neural Network
Librariesが使用されています。この技術を核として、ソニー不動産が持つ査定ノウハウ
やナレッジをベースとした独自のアルゴリズムに基づいて膨大な量のデータを解析し、
不動産売買における成約価格を統計的に推定する本ソリューションが実現されました。
本ソリューションは、「おうちダイレクト」や、「物件探索マップ」「自動査定」な
ど、ソニー不動産の様々なビジネスに活用されています。
ジェスチャー認識 ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Ear」の
ヘッドジェスチャー認識機能にNeural Network Librariesが使用されています。「Xperia
Ear」に搭載されているセンサーからのデータを元に、ヘッドジェスチャー認識機能に
より、首を縦や横に振るだけで、「Xperia Ear」に搭載されているアシスタントに対し
て「はい/いいえ」の応答や、着信の応答/拒否、通知の読み上げキャンセル、次/前
のトラックのスキップを行えます
デジタルペーパー ソニーのデジタルペーパー「DPT-RP1」の手書きマーク検索
のうち、*の認識にNeural Network Librariesが使用されています。文書を読んでいて
「ここが大切」「ここを後で読みたい」と思ったら、 *や☆のマークをさっと手書きし
ます。手書きマークを認識する機能により、ページ数の多い文書でも、マークを付けた
箇所を素早く検索し、開くことができます。
既にソニーグループ内で多数の商品化・実用化実績
16
17
Neural Network Libraries/Console開発コンセプト
• 大幅に不足していると言われるDeep Learningの研究開発者を育成する
• これからDeep Learningを始ようとするユーザにとっての敷居をとことん下げる
• 使っている間に、いつのまにかDeep Learningのエキスパートへ
• Deep Learningの研究開発者に、目的達成のためのハイウェイを提供する
• 最先端研究・商用レベルの技術開発に必要なツールを提供する
• Deep Learningの研究開発における面倒を機能で徹底的に解決し、高い開発効率を実現する
初心者にとってもエキスパートへのショートカットとして機能する
18
Neural Network Libraries最新情報
• 17/6/27 v0.9.1 最初のOSSバージョン
• 17/7/22 v0.9.2 Python 3のサポート
• 17/8/3 v0.9.3 マルチGPUのサポート
• 17/8/22 v0.9.4 C++のみによる推論機能
• 17/11/8 v0.9.5 MacOSビルドの正式対応など多数の改善
• 17/11/27 v0.9.6 マルチノードのサポート
• 17/12/7 v0.9.7 様々な改善
• 18/3/6 v0.9.8 分散学習の改善
• 18/3/28 v0.9.9 Mixed Precision学習対応
• 18/6/27 v1.0.0 ONNX対応、C++学習機能、C Runtime機能、ほか様々な改善
nnabla.org
github.com/sony/nnabla
https://github.com/sony/nnabla/releases
https://github.com/sony/nnabla-ext-cuda/releases
より使いやすく、より高速に、より幅広い環境で利用可能に
19
Neural Network Console最新情報
• ニューラルネットワークの学習には膨大な演算が必要
• 必要な演算量は主に扱うデータの量とニューラルネットワークの
構造に依存
• GPU、マルチGPUを用いると、学習完了までの時間を
大幅に短縮できる
• ネットワークにもよるが、10倍~数百倍高速に学習できる
• 同じ開発期間でより多くの試行錯誤を行うことが可能に
• 環境のセットアップ、メンテナンス作業不要で豊富な
GPUリソースを利用可能
• 開発者はDeep Learningの開発作業に集中できる
最先端研究者と同等の環境(1ジョブあたり8GPU×無制限の並列利用)をGUI環境から利用可能
※計算リソース利用料は
学習・評価実行中のみの従量課金
20
Neural Network Libraries/Console
優れたDeep Learningの開発環境を提供し、需要の急拡大するAI技術の普及・発展に貢献
Neural Network Libraries
https://nnabla.org/
Neural Network Console
https://dl.sony.com/
import nnabla as nn
import nnabla.functions as F
import nnabla.parametric_functions as PF
x = nn.Variable(100)
t = nn.Variable(10)
h = F.tanh(PF.affine(x, 300, name='affine1'))
y = PF.affine(h, 10, name='affine2')
loss = F.mean(F.softmax_cross_entropy(y, t))
実現
• Deep Learning技術者の迅速な育成
• 効率的なDeep Learning応用技術の研究開発~実用化
様々な特長を兼ね備えた最新世代のDeep Learningフレームワーク 商用クオリティのDeep Learning応用技術開発を実現する統合開発環境
21
まとめ
Deep Learningは圧倒的に高い性能を実現するだけではなく、簡単で汎用。
今後急速な活用・普及拡大が予想される
Deep Learningの開発はデータトリブンなEnd-to-end学習。
従来からの技術開発の在り方を変える
ソニーではNeural Network Libraries/Consoleを社内に展開することで、
効率的なDeep Learning人材の育成と応用技術の開発、実用化を実現してきた
ゲームチェンジを受け入れ、飛躍につなげるためには早期の取り組みが重要。
積極活用し、より豊かな社会の実現を
SONYはソニー株式会社の登録商標または商標です。
各ソニー製品の商品名・サービス名はソニー株式会社またはグループ各社の登録商標または商標です。その他の製品および会社名は、各社の商号、登録商標または商標です。

Contenu connexe

Tendances

Lab introduction 2014
Lab introduction 2014Lab introduction 2014
Lab introduction 2014
nlab_utokyo
 
全脳関西編(松尾)
全脳関西編(松尾)全脳関西編(松尾)
全脳関西編(松尾)
Yutaka Matsuo
 

Tendances (20)

2018/6/26 deep learning Neural Network Console hands-on
2018/6/26 deep learning Neural Network Console hands-on2018/6/26 deep learning Neural Network Console hands-on
2018/6/26 deep learning Neural Network Console hands-on
 
20190313_Introduction of ai development neural network console which became f...
20190313_Introduction of ai development neural network console which became f...20190313_Introduction of ai development neural network console which became f...
20190313_Introduction of ai development neural network console which became f...
 
20190316_Let's try low power-consumption ai with sony's spresense hands-on
20190316_Let's try low power-consumption ai with sony's spresense hands-on20190316_Let's try low power-consumption ai with sony's spresense hands-on
20190316_Let's try low power-consumption ai with sony's spresense hands-on
 
「機械学習とは?」から始める Deep learning実践入門
「機械学習とは?」から始める Deep learning実践入門「機械学習とは?」から始める Deep learning実践入門
「機械学習とは?」から始める Deep learning実践入門
 
ディープラーニングの最新動向
ディープラーニングの最新動向ディープラーニングの最新動向
ディープラーニングの最新動向
 
Software for Edge Heavy Computing @ INTEROP 2016 Tokyo
Software for Edge Heavy Computing @ INTEROP 2016 TokyoSoftware for Edge Heavy Computing @ INTEROP 2016 Tokyo
Software for Edge Heavy Computing @ INTEROP 2016 Tokyo
 
非技術者でもわかる(?)コンピュータビジョン紹介資料
非技術者でもわかる(?)コンピュータビジョン紹介資料非技術者でもわかる(?)コンピュータビジョン紹介資料
非技術者でもわかる(?)コンピュータビジョン紹介資料
 
ICLR読み会 奥村純 20170617
ICLR読み会 奥村純 20170617ICLR読み会 奥村純 20170617
ICLR読み会 奥村純 20170617
 
20171201 dll#05 名古屋_pfn_hiroshi_maruyama
20171201 dll#05 名古屋_pfn_hiroshi_maruyama20171201 dll#05 名古屋_pfn_hiroshi_maruyama
20171201 dll#05 名古屋_pfn_hiroshi_maruyama
 
Deep learningの概要とドメインモデルの変遷
Deep learningの概要とドメインモデルの変遷Deep learningの概要とドメインモデルの変遷
Deep learningの概要とドメインモデルの変遷
 
ゲーム体験を支える強化学習の実応用について
ゲーム体験を支える強化学習の実応用についてゲーム体験を支える強化学習の実応用について
ゲーム体験を支える強化学習の実応用について
 
DeNAにおける先端AI技術活用のチャレンジ
DeNAにおける先端AI技術活用のチャレンジDeNAにおける先端AI技術活用のチャレンジ
DeNAにおける先端AI技術活用のチャレンジ
 
Deep learningの軽い紹介
Deep learningの軽い紹介Deep learningの軽い紹介
Deep learningの軽い紹介
 
有名論文から学ぶディープラーニング 2016.03.25
有名論文から学ぶディープラーニング 2016.03.25有名論文から学ぶディープラーニング 2016.03.25
有名論文から学ぶディープラーニング 2016.03.25
 
DLフレームワークChainerの紹介と分散深層強化学習によるロボット制御
DLフレームワークChainerの紹介と分散深層強化学習によるロボット制御DLフレームワークChainerの紹介と分散深層強化学習によるロボット制御
DLフレームワークChainerの紹介と分散深層強化学習によるロボット制御
 
Lab introduction 2014
Lab introduction 2014Lab introduction 2014
Lab introduction 2014
 
全脳関西編(松尾)
全脳関西編(松尾)全脳関西編(松尾)
全脳関西編(松尾)
 
鳥肌必至のニューラルネットワークによる近未来の画像認識技術を体験し、IoTの知られざるパワーを知る
鳥肌必至のニューラルネットワークによる近未来の画像認識技術を体験し、IoTの知られざるパワーを知る鳥肌必至のニューラルネットワークによる近未来の画像認識技術を体験し、IoTの知られざるパワーを知る
鳥肌必至のニューラルネットワークによる近未来の画像認識技術を体験し、IoTの知られざるパワーを知る
 
【参考文献追加】20180115_東大医学部機能生物学セミナー_深層学習の最前線とこれから_岡野原大輔
【参考文献追加】20180115_東大医学部機能生物学セミナー_深層学習の最前線とこれから_岡野原大輔【参考文献追加】20180115_東大医学部機能生物学セミナー_深層学習の最前線とこれから_岡野原大輔
【参考文献追加】20180115_東大医学部機能生物学セミナー_深層学習の最前線とこれから_岡野原大輔
 
20150414seminar
20150414seminar20150414seminar
20150414seminar
 

Similaire à 2018/07/26 Game change by Deep Learning and tips to make a leap

受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
Ikkai Takeshi
 
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
Ikkai Takeshi
 
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会 デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
IoTビジネス共創ラボ
 

Similaire à 2018/07/26 Game change by Deep Learning and tips to make a leap (20)

ディープラーニングの産業応用とそれを支える技術
ディープラーニングの産業応用とそれを支える技術ディープラーニングの産業応用とそれを支える技術
ディープラーニングの産業応用とそれを支える技術
 
[Japan Tech summit 2017] MAI 001
[Japan Tech summit 2017]  MAI 001[Japan Tech summit 2017]  MAI 001
[Japan Tech summit 2017] MAI 001
 
『Mobageの大規模データマイニング活用と 意思決定』- #IBIS 2012 -ビジネスと機械学習の接点-
『Mobageの大規模データマイニング活用と 意思決定』- #IBIS 2012 -ビジネスと機械学習の接点- 『Mobageの大規模データマイニング活用と 意思決定』- #IBIS 2012 -ビジネスと機械学習の接点-
『Mobageの大規模データマイニング活用と 意思決定』- #IBIS 2012 -ビジネスと機械学習の接点-
 
受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWIndows8ストアアプリ
 
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
受託案件を通じてみたWindows8ストアアプリ
 
リアルタイムトレンド抽出飛び込み用
リアルタイムトレンド抽出飛び込み用リアルタイムトレンド抽出飛び込み用
リアルタイムトレンド抽出飛び込み用
 
[Gree] グリーのソーシャルゲームにおける機械学習活用事例
[Gree] グリーのソーシャルゲームにおける機械学習活用事例[Gree] グリーのソーシャルゲームにおける機械学習活用事例
[Gree] グリーのソーシャルゲームにおける機械学習活用事例
 
JUIZ DLK 組込み向けDeep Learningコンパイラ
JUIZ DLK 組込み向けDeep LearningコンパイラJUIZ DLK 組込み向けDeep Learningコンパイラ
JUIZ DLK 組込み向けDeep Learningコンパイラ
 
深層学習を製造業の課題解決に用いた経験から学んだ、深層学習の社会実装が進まない理由
深層学習を製造業の課題解決に用いた経験から学んだ、深層学習の社会実装が進まない理由深層学習を製造業の課題解決に用いた経験から学んだ、深層学習の社会実装が進まない理由
深層学習を製造業の課題解決に用いた経験から学んだ、深層学習の社会実装が進まない理由
 
【ヒカ☆ラボ】株式会社エアー様~ETLツール活用法について~
【ヒカ☆ラボ】株式会社エアー様~ETLツール活用法について~【ヒカ☆ラボ】株式会社エアー様~ETLツール活用法について~
【ヒカ☆ラボ】株式会社エアー様~ETLツール活用法について~
 
JUIZ DLK: 組込み向け Deep Learning コンパイラ
JUIZ DLK: 組込み向け Deep Learning コンパイラJUIZ DLK: 組込み向け Deep Learning コンパイラ
JUIZ DLK: 組込み向け Deep Learning コンパイラ
 
NLPソリューション開発の最前線_DLLAB_自然言語処理ナイト_200702
NLPソリューション開発の最前線_DLLAB_自然言語処理ナイト_200702NLPソリューション開発の最前線_DLLAB_自然言語処理ナイト_200702
NLPソリューション開発の最前線_DLLAB_自然言語処理ナイト_200702
 
NLPソリューション開発の最前線
NLPソリューション開発の最前線NLPソリューション開発の最前線
NLPソリューション開発の最前線
 
AIとScrumとスケール
AIとScrumとスケールAIとScrumとスケール
AIとScrumとスケール
 
IoTに活用!センサの基礎セミナー
IoTに活用!センサの基礎セミナーIoTに活用!センサの基礎セミナー
IoTに活用!センサの基礎セミナー
 
エヌビディアのディープラーニング戦略
エヌビディアのディープラーニング戦略エヌビディアのディープラーニング戦略
エヌビディアのディープラーニング戦略
 
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会 デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
デバイスをセキュアにつないで可視化する – Azure Sphere、Digital Twin紹介_IoTビジネス共創ラボ 第10回 勉強会
 
Hacka chan-2018
Hacka chan-2018Hacka chan-2018
Hacka chan-2018
 
Ossaj seminar usi 20120118 print
Ossaj seminar usi 20120118 printOssaj seminar usi 20120118 print
Ossaj seminar usi 20120118 print
 
プログラムデザイン
プログラムデザインプログラムデザイン
プログラムデザイン
 

2018/07/26 Game change by Deep Learning and tips to make a leap

  • 1. THE AI 2018 2nd ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 / ソニー株式会社 シニアマシンラーニングリサーチャー 小林 由幸 Deep Learningのもたらすゲームチェンジと、 飛躍へのヒント
  • 2. 2 自己紹介 小林 由幸 1999年にソニーに入社、2003年より機械学習 技術の研究開発を始め、音楽解析技術「12音 解析」のコアアルゴリズム、認識技術の自動 生成技術「ELFE」などを開発。近年は 「Neural Network Console」を中心にディー プラーニング関連の技術・ソフトウェア開発 を進める一方、機械学習普及促進や新しいア プリケーションの発掘にも注力。 こばやし よしゆき
  • 4. 4 28.2 25.8 26.1 16.4 11.7 6.7 3.57 2.99 2.25 1 10 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Top-5ErrorRate[%] Year Deep Learning従来型 機械学習 圧倒的な認識性能を示すDeep Learning 従来の性能限界を打ち破り、数々の課題で人を超える性能を達成しつつある 人の認識誤差 ? 画像認識における精度向上 年率50%に迫る 誤差の改善
  • 6. 6 Deep Learningを用い、認識機を作成するために必要な作業 … … … … … … … 画像認識機 (Neural Network) Input:画像 Output:画像認識結果 「2」 1. データセットを用意する 入力と、期待する出力のペアを多数用意 (教材の準備に相当) 2. ニューラルネットワークの構造を 設計する(脳の構造設計に相当) 3. 用意したデータセットで、設計した ニューラルネットワークを学習する 従来の機械学習手法と比較して、高い性能を実現できると同時に扱いやすい技術でもある … 「0」 … 「1」 … 「2」 … 「3」 … 「4」 … 「5」 … 「6」 … 「7」 … 「8」 … 「9」
  • 7. 7 入出力次第で広がるDeep Learningの活用 …入力 出力 実現する機能 入力 出力 画像認識 画像 カテゴリ 文章の自動仕分け 文章 文章カテゴリ 音声認識 音声 文字列 機械翻訳 英単語列 日単語列 人工無能(チャットボット) 入力発話の単語列 期待応答の単語列 画像加工 入力画像 出力画像 ロボット制御 ロボットのセンサ ロボットのアクチュエーター … Deep Learningは高い汎用性を備えた技術。応用範囲はどんどん広がっている 実現する機能
  • 8. 8 Deep Learningにより大きく変わる機能開発の概念 従来 機能をモジュールに分解して開発 Deep Learning時代 End-to-end学習 • 必要な機能をモジュールに分解(設計) • プログラムにより各モジュールを実装 実現できる機能の複雑さ∝プログラム量 • 入力から出力を得る機能をデータからの 学習で直接獲得 実現できる機能の複雑さ∝データ量 高機能、高性能を実現するために求められるものは、設計ノウハウからデータに 画像勾配計算 手書き数字認識 画像特徴抽出前処理 ヒストグラム 判別分析
  • 9. 9 Deep Learningのもたらすゲームチェンジ • Deep Learningは簡単。知的処理の開発は、一般の技術者でも十分可能に • Deep Learningは汎用。画像認識以外にも様々な機能を実現できる • 機能分解型の設計から、End-to-End学習による機能開発へ • Deep Learningにおいて、性能を決定づけるのはノウハウではなくデータ • 企業の価値創造に求められるスキルセットが変化 • 需要増:「何を実現すればよいか」を見出す能力、データを集める能力 • 需要減: 機能分解型の設計ノウハウ 企業によっては戦略の見直しが必要に
  • 10. 10 AIは破壊的テクノロジー 半導体 デジタル コンピュータ インターネット クラウド (AI) 破壊的テクノロジーの特徴 • 今まで難しかったことを簡単にする • 応用範囲が極めて広い • 技術の進歩が、技術の進歩自身を加速する • 使う側に意識の変容を求める • 広大な市場を創出する 早期の取り組みが極めて有利に働く
  • 12. 12 ソニーのDeep Learningに対する取り組み Neural Network Libraries / Consoleにより、効率的なAI技術の研究開発を実現 2000年以前~ 機械学習の研究開発 2010年~ Deep Learningの研究開発 2011年~ 初代コアライブラリ 2013年~ 第二世代コアライブラリ 2016年~ 第3世代コアライブラリ Neural Network Libraries 2015年~ GUIツール 2010年~ Deep Learning開発者向けソフトウェアの開発 Deep Learningを用いた認識技術等の 開発者が用いるソフトウェア群 技術開発効率を圧倒的に向上 Neural Network Console 17/8/17 Windows版無償公開 18/5/9 クラウド版正式サービス開始 17/6/27 オープンソースとして公開
  • 13. 13 Neural Network Libraries / Consoleとは Neural Network Libraries ・Deep Learning研究開発者向けオープンソースフレーム ワーク(他社製既存Deep Learning FWに相当) ・コーディングを通じて利用→高い自由度 ・最先端の研究や製品への実装にも柔軟に対応 Neural Network Console ・研究や、商用レベルの技術開発に対応したDeep Learningツール ・様々なサポート機能→高い開発効率 ・GUIによるビジュアルな操作→敷居が低い 主なターゲット ・じっくりと研究・開発に取り組まれる方 ・プログラミング可能な研究、開発者 import nnabla as nn import nnabla.functions as F import nnabla.parametric_functions as PF x = nn.Variable(100) t = nn.Variable(10) h = F.tanh(PF.affine(x, 300, name='affine1')) y = PF.affine(h, 10, name='affine2') loss = F.mean(F.softmax_cross_entropy(y, t)) 主なターゲット ・特に開発効率を重視される方 ・はじめてDeep Learningに触れる方 研究開発における課題を解決し、Deep Learningの研究開発を効率化するソフトウェア 学習エンジンとして Neural Network Librariesを利用
  • 14. 14 Deep Learning 応用技術開発の流れ コアアルゴリズム開発 開発環境 商品技術開発 各事業会社 応用技術開発 R&D および 各事業会社 コア技術開発 R&D Neural Network Libraries/ Console ○○認識機等、各種Deep Learning応用技術の開発 各種製品、サービスへのDeep Learning応用技術の搭載 … 研究開発者だけではなく、各事業部の担当者が直接Deep Learningを活用 …
  • 15. 15 Neural Network Libraries / Consoleのソニーグループ内活用事例 価格推定 ソニー不動産の「不動産価格推定エンジン」に、Neural Network Librariesが使用されています。この技術を核として、ソニー不動産が持つ査定ノウハウ やナレッジをベースとした独自のアルゴリズムに基づいて膨大な量のデータを解析し、 不動産売買における成約価格を統計的に推定する本ソリューションが実現されました。 本ソリューションは、「おうちダイレクト」や、「物件探索マップ」「自動査定」な ど、ソニー不動産の様々なビジネスに活用されています。 ジェスチャー認識 ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Ear」の ヘッドジェスチャー認識機能にNeural Network Librariesが使用されています。「Xperia Ear」に搭載されているセンサーからのデータを元に、ヘッドジェスチャー認識機能に より、首を縦や横に振るだけで、「Xperia Ear」に搭載されているアシスタントに対し て「はい/いいえ」の応答や、着信の応答/拒否、通知の読み上げキャンセル、次/前 のトラックのスキップを行えます デジタルペーパー ソニーのデジタルペーパー「DPT-RP1」の手書きマーク検索 のうち、*の認識にNeural Network Librariesが使用されています。文書を読んでいて 「ここが大切」「ここを後で読みたい」と思ったら、 *や☆のマークをさっと手書きし ます。手書きマークを認識する機能により、ページ数の多い文書でも、マークを付けた 箇所を素早く検索し、開くことができます。 既にソニーグループ内で多数の商品化・実用化実績
  • 16. 16
  • 17. 17 Neural Network Libraries/Console開発コンセプト • 大幅に不足していると言われるDeep Learningの研究開発者を育成する • これからDeep Learningを始ようとするユーザにとっての敷居をとことん下げる • 使っている間に、いつのまにかDeep Learningのエキスパートへ • Deep Learningの研究開発者に、目的達成のためのハイウェイを提供する • 最先端研究・商用レベルの技術開発に必要なツールを提供する • Deep Learningの研究開発における面倒を機能で徹底的に解決し、高い開発効率を実現する 初心者にとってもエキスパートへのショートカットとして機能する
  • 18. 18 Neural Network Libraries最新情報 • 17/6/27 v0.9.1 最初のOSSバージョン • 17/7/22 v0.9.2 Python 3のサポート • 17/8/3 v0.9.3 マルチGPUのサポート • 17/8/22 v0.9.4 C++のみによる推論機能 • 17/11/8 v0.9.5 MacOSビルドの正式対応など多数の改善 • 17/11/27 v0.9.6 マルチノードのサポート • 17/12/7 v0.9.7 様々な改善 • 18/3/6 v0.9.8 分散学習の改善 • 18/3/28 v0.9.9 Mixed Precision学習対応 • 18/6/27 v1.0.0 ONNX対応、C++学習機能、C Runtime機能、ほか様々な改善 nnabla.org github.com/sony/nnabla https://github.com/sony/nnabla/releases https://github.com/sony/nnabla-ext-cuda/releases より使いやすく、より高速に、より幅広い環境で利用可能に
  • 19. 19 Neural Network Console最新情報 • ニューラルネットワークの学習には膨大な演算が必要 • 必要な演算量は主に扱うデータの量とニューラルネットワークの 構造に依存 • GPU、マルチGPUを用いると、学習完了までの時間を 大幅に短縮できる • ネットワークにもよるが、10倍~数百倍高速に学習できる • 同じ開発期間でより多くの試行錯誤を行うことが可能に • 環境のセットアップ、メンテナンス作業不要で豊富な GPUリソースを利用可能 • 開発者はDeep Learningの開発作業に集中できる 最先端研究者と同等の環境(1ジョブあたり8GPU×無制限の並列利用)をGUI環境から利用可能 ※計算リソース利用料は 学習・評価実行中のみの従量課金
  • 20. 20 Neural Network Libraries/Console 優れたDeep Learningの開発環境を提供し、需要の急拡大するAI技術の普及・発展に貢献 Neural Network Libraries https://nnabla.org/ Neural Network Console https://dl.sony.com/ import nnabla as nn import nnabla.functions as F import nnabla.parametric_functions as PF x = nn.Variable(100) t = nn.Variable(10) h = F.tanh(PF.affine(x, 300, name='affine1')) y = PF.affine(h, 10, name='affine2') loss = F.mean(F.softmax_cross_entropy(y, t)) 実現 • Deep Learning技術者の迅速な育成 • 効率的なDeep Learning応用技術の研究開発~実用化 様々な特長を兼ね備えた最新世代のDeep Learningフレームワーク 商用クオリティのDeep Learning応用技術開発を実現する統合開発環境
  • 21. 21 まとめ Deep Learningは圧倒的に高い性能を実現するだけではなく、簡単で汎用。 今後急速な活用・普及拡大が予想される Deep Learningの開発はデータトリブンなEnd-to-end学習。 従来からの技術開発の在り方を変える ソニーではNeural Network Libraries/Consoleを社内に展開することで、 効率的なDeep Learning人材の育成と応用技術の開発、実用化を実現してきた ゲームチェンジを受け入れ、飛躍につなげるためには早期の取り組みが重要。 積極活用し、より豊かな社会の実現を