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STEM が統合された学習環境における創造性の構成概念
-21st Century Skills のタスク固有性の検討と超領域的な学習への適用-
Constructs of Creativities in a STEM Integrated Learning Environment
: Examination of Task Specificity of 21st Century Skills and the Application
to the Integrative Learning
2017/8/29
科学教育学会 年会 高松
静岡大学
齊藤智樹
Tomoki Saito, Shizuoka University
How
Why
Outline
• 背景
– 21st Century Skills
– Approach Integration
– Transfer(転移)
– 領域固有・一般性
Domain Specific / General
• 本研究
– 文脈、参加者
– 理論的枠組み、方法論
– 方法
What
Then?
• 結果
– TTCT
– CAT
– Where applied creativity
• 考察Discussion
• まとめConclusion
背
景
背景
構成概念Construct
そもそも、21st Century Skills のようなスキルの評価を開発する場合、そ
の構成概念は定義が幅広く、一般的である傾向がある(Koening, 2011).
創造性も流暢性・柔軟性・独創性・綿密性等、創造性を特徴づける発散
的思考の4つの「操作的定義」である(Bear, 1993)とされ、タスクごとに得点が
得られるが、一般的な創造性として扱われたり、状況要因の変化に関わら
ず用いられている.
(c)2017 Tomoki Saito
傾性概念(Disposition Concept)
• 特定の 状況下で観察された行動パターンを抽象的に記述し ただけの概念であり,概
念の意味内容は観察に完全に還元さ れる.いわゆる「操作的定義」 の できる概念の
多くは傾性概念である。状況要因が変化した時の記述の正当性は保証されない.
理論的構成概念(Theoretical Constructs: Hypothetical Constructs)
• 理論的構成概念は傾性概念と異なり 、観察に還元できない剰余 意 味(surplus
meanings)を持っている。剰余意味は多くの場合,観察された行動パターンを規定す
る生体の内的過程など,外的な状況要因と は基本的に独立な理論的実体と対応して
いる.その意味で理論的構成概念は状況が変化しても 記述の正当性を維持するし,
観察された行動パターンの原因についての情報を含むものと考えられる.
背景
21st Century Skills
(c)2017 Tomoki Saito
21st Century Skills (NRC, 2011)
認知的
スキル
一定の順序のない課題解決
(nonroutine problem solving),
批判的思考 (critical thinking),
システム思考(systems thinking)
対人
スキル
複雑なコミュニケーション
(complex communication),
社会的スキル(social skills),
チームワーク(team-work),
文化的感受性(cultural sensitivity),
多様性への対処(dealing with diversity)
内面
スキル
自己管理(self-management),
時間管理(time management),
自己啓発(self-development),
自己管理(self-regulation),
順応性(adaptability),
実行機能(executive functioning)
一定の順序のない課題解決
Non-routine Problem Solving
熟練した課題解決者は、広範な情報を
調べ、パターン認識し、情報を絞り込ん
で課題の診断にたどり着くために専門的
な思考をする。診断を超えて解決策へと
移行するには、課題解決戦略が働いてい
るかを振り返り、それがうまくいってい
ない場合、他の戦略に切り替える能力
(Levy・Murnane, 2004)-メタ認知を含め、情報
がいかに概念的につながっているかにつ
いての知識を必要とする。それには、新
しくてイノベーティブな解決策を生成す
る創造性、無関係に見える情報を統合す
ること、そして他者が見逃しているであ
ろう可能性を楽しむことなどが含まれる
(Houston, 2007)。
背景
道田(2013)が紹介
批判的思考の導入アプローチ
STEM Ed. ACT(2015)
(c)2017 Tomoki Saito
General(一般的)
Infusion(導入)
Immersion( 没 入 )
Mixed(混合)
Ennis (1989)
Transdisciplinary
Single-discipline
Multiple-discipline
Q1
Which way(s) support 21st Century Skills more?
↓
How & When do ways support 21st Century Skills?
How to introduce the Idea of **
取り出し
教科内
背景
転移(Transfer)と創造性
(c)2017 Tomoki Saito
ある分野からある分
野への転移 4 が考え
得るし、STEM のよう
に「現実社会を反映し
た課題を中心に知識を
構造化することで、他
の場面への転移可能な
知識の獲得が促進され
る可能性がある 」1
(三宅・大島・大島, 2011)
Learning Environment
Integrative subject-separated
GeneralTransferSpecificTransfer
Transferability
背景
創造性の領域固有性・一般性Domain Specific / General in Creativity
(c)2017 Tomoki Saito
一般性の根拠:一因子説
この立場に立った場合
創造性≒発散的思考
流暢性・柔軟性・独創性・綿密性は
その下位概念。
固有性の根拠:創造性の定義&データ
ある分野の専門家が創造的であると
判断したものを創造性とする。これは、
他の認知的スキルにもある程度当ては
まる(e.g.批判的思考)
発散的思考の発案者は、必ずしも下
位概念の合計を創造性だと考えてはい
なかった。
そもそも対立する
アイデアであるのか?
TTCT(Torrance Test of Creative Thinking)
サブスコア・トータルスコアを提供するが、
一般的に創造性評価に利用される。
CAT(Consensual Assessment Technique)
科学教育orSTEMへの利用例はあり。
Transdisciplinaryな学習環境での例はまだない。
Domain Specificity
Rather “Task Specificity”
“Generality” depends on Single Factor Theory
“Specificity” depends on Definition & Data
方
法
本研究
文脈Context
(c)2017 Tomoki Saito
静岡STEMジュニアプロジェクト(次世代科学者育成プログラム)
2013年度から実施
静岡・藤枝・浜松・三島(2014年度)
Stage2(2016年度)
静岡大学教育学部で実施
Participants参加者
小学5年生~中学校3年生
19名
県レベル以上の科学賞を受賞しているか、
市レベルでも2度以上受賞していること。
本研究
日程Schedules
(c)2017 Tomoki Saito
日付 内容
5/15 開講式、受講者の自由研究発表、TTCT・CATの実施、疑問・課題のブレイ
ンストーミング、疑問・課題の決定とグループ分け
5/29 グループ研究のための課題の設定と今年度のスケジュールの予想
6/11 グループ研究1
6/18 グループ研究2
7/9 グループ研究3
8/22-24 グループ研究4
9/3 グループ研究5
9/17 グループ研究6
10/15 グループ研究7
10/29 グループ研究8
11/12 グループ研究9
11/23 受講者の自由研究発表、TTCTの実施、閉講式
Themesテーマ
PBLの成果物
2016年度の例
二酸化炭素を酸素に人工的に変える方法
動物と話す機械
空を飛べる炭酸ロケット
シミのできない服
本研究
理論的枠組み、方法論Theoretical Framework & Methodology
(c)2017 Tomoki Saito
プラグマティズムPragmatism
STEMが統合された学習環境STEM Integrated Learning Environment(SILE)
デザイン研究Design-based Research
混合研究法
Mixed Methods
「トライアンギュレーションデザイン収斂モデル」
Triangulation-convergence model
(訳:大谷, 2011)
本研究
方法量 Quantitative Methods
(c)2017 Tomoki Saito
TTCT(Torrance Test of Creative Thinking: Iowa Assessment Packageを援用)
見慣れない状況(Unfamiliar Situation→Unfamiliar, Ill-structured Problemに通ずる)にお
いて、1)疑問(課題)、2)予想される結果、3)あり得る結論を想起する。
それぞれ想起数をカウント
無関係→スコア無
関係のある答え→流暢性
ユニークなものの数→独創性 →評価者間信頼性α
→Iowa Assessment Packageでは「創造性領域」に合計されている
↓
一般的な創造性を想定している(?)
↓
収束的・弁別的妥当性の検討Convergent/discriminant Validity
CAT(Consensual Assessment Technique: Bear, 1993に倣う)
専門家による「製品」の評価。PBLとも相性◎。
今回は、STEM各分野の専門家に依頼。
自然科学のみ、複数名参加していただけた。
評価者間信頼性α→信頼性が取れれば→相関分析
STSに既に利用されている
本研究
方法質Qualitative Methods
(c)2017 Tomoki Saito
Coding based on 8 Practices
• Data Collection on Moodle
• 今日の活動で創造的に考えたのはどこだったか?
• 今日の活動で批判的に考えたのはどこだったか?
• あなたの自由研究の準備で、どんなときに創造的あるいは批判的に考える
とよさそうですか?
• 今年のあなたの自由研究で、どんなときに創造的あるいは批判的に考えま
したか?
これにより
• 実際の場面への適用
• 他の場面への適用
• 8つの活動に収まらない事例は見られるか
といったことが見いだされ
RQ2・3
a)STEMが統合された学習環境におけるグループ研究において、受講者は研究
のどのような場面に発散的思考を適用するのか。
b)また、各自の自由研究の場面に戻った場合、発散的思考はどのように彼らの
個人研究に応用されるか。
結
果
事前調査 事後調査 N=13
M SD α M SD α T E. S. Power(1-β)
1) 疑問・課題 8.62 3.25 12.0 4.53 -5.50
**
1.52 0.99
1-2)独創的な疑問・課題 2.09 0.94 0.80 2.74 1.12 0.75 -2.81
*
0.78 0.97
2) 考えられる原因 5.54 2.54 8.62 3.50 -2.90
*
0.81 0.90
2-2) 独創的な原因 1.74 0.94 0.84 2.35 0.84 0.76 -2.29
*
0.64 0.88
3) 予想される結論 4.38 1.85 7.00 4.08 -2.68
*
0.74 0.83
3-2) 独創的な結論 1.18 0.67 0.82 1.46 0.67 0.43 -1.30 0.35 0.41
**p<.01; *p<.05 two tailed
本研究
• 結果TTCT
(c)2017 Tomoki Saito
• 1),2),3)のタスクについては、事前・事後で有意な向上が見
られた。
• -2)のタスクについては、3-2)を除いて有意な向上が見られ
るが、事後調査については、十分な信頼性係数αを得られ
ていない。
本研究
結果TTCT
(c)2017 Tomoki Saito
事前調査
流暢1流暢2 流暢3
流暢1 1.00
流暢2 .235 1.00
流暢3 .525 .648 * 1.00
事後調査
流暢1 流暢2 流暢3
流暢1 1.00
流暢2 .549 1.00
流暢3 .579 +
.803 **
1.00
タスク間のスコアには、
事前・事後とも 2)と 3)の流暢性スコア間で
のみ有意な相関がみられた。
偏相関分析(学年・性別・グループ)
*=.05, **=.01, (+=.10)
妥当性は
収束的妥当性 (convergent validity)と弁別
的妥当性(discriminant validity)に分類される。
収束的妥当性とは、同一の構成概念を測定
していると想定している変数間で実際に高い
相関が観察されることである。
弁別的妥当性とは、異なる構成概念を測定
していると想定している変数間で実際に低い
相関が観察されることである。
本研究
結果CAT
(c)2017 Tomoki Saito
評価者グループごとの信頼性係数 (N=17)
事前調査 評価者数 Cronbach α
自然科学の専門家 3 0.42
教育学も含めた専門家 5 0.32
準専門家 7 0.72
全体 13 0.81
今回の結果に限ることにはなるが、
STEM が統合された学習において、自然科学の専門家
を自由研究の評価者として扱うことは難しい。また、準
専門家による共通理解も得られておらず、より細かい自
然科学の分野、例えば物化生地や、更に小さな専門分野
の専門家が「適切な評価者」であることが示唆される。
しかし、そこまで細分化された専門家による評価は、
実現可能性がより低くなる。
Natural Scientists
Science Educators
Quasi Experts
本研究
結果-いつ発散的思考を適用したか
(c)2017 Tomoki Saito
Practices サブカテゴリー
1
グループ研究のための疑問を問うたり、課題をはっきりさせること A
グループのテーマのための具体的なトピック B
活動の中で将来的に起こってくる課題をはっきりさせること
疑問に対する振り返り
3
方法の開発 C
調査を計画するために情報を集めること
調査における変数を決定するための
実験器具のリストアップ
ニーズの識別
準備のための思考
4
結果の解釈 D
今後の展開と解釈 E
8
グループ内での議論
研究の発表 F
他のグループの発表時
X
批判的思考による制約
振り返り
下位の課題に対する解決策を考える
STEM活動がなかなか前に進まな
かったこともあり、8つのPractices
のうち、前半に特に適用した場面が
偏ることになった。
表3-1-3 8つの科学と工学の体験的・経験的活動
1 疑問をも・課題を明確にする
2 モデルをつくり、用いる。
3 調査を計画し、実行する
4 データを分析し解釈する
5 数学を用いて計算的思考をする
6 説明を構築する・製品をデザインする
7 証拠にもとづいた議論を展開する
8 情報を手に入れ、評価し、交流する
Practices サブカテゴリー
1
疑問を問うたり課題を書き出したりする A
テーマの決定 B
目的の決定、研究の正当性について考える、自問自答する
2 予想/仮説を作る時
3
方法について考えること C
実験のための道具の開発 C
材料のリストを作る時、次の実験の計画、研究する環境の決定
受講者の
自由研究への
具体的応用
改善
Y
効率
非効率
使い方
測定の仕方
作り方
変数の決め方
4
データをどう解釈するか D
研究の見通し E
原因と結果の分析、受講者の自由研究への具体的な応用
5 データを数値的に整理すること
6
やったこと見つけたことの説明、解決策をデザインすること、受講者の自由研究への具
体的な応用
8
聴衆(仲間)とのやり取り、プロポーザルを書くとき、基礎的な知識の取得
研究の公開の準備 F
本研究
結果-自由研究のどこに適用したか
(c)2017 Tomoki Saito
各自の自由研究におい
ては、Practiceの2・
5・6等、STEM活動の
中では適用が見られな
かった活動にも、応用範
囲を広げている。
本研究
結果-質的分析
• A~Fまでのアルファベットで表されるように、STEMの活動
中と各自の自由研究の両方に見られる項目があり、特に
Practice3の研究の計画と実行については具体的なところま
で応用が行き届いている(Y)ことを考えると、Bear(1993)のい
うような、タスク固有な創造性の学習と、その転移がプログ
ラムの内外で関連するSTEM活動の具体的なタスクに及んで
いる可能性が示唆される。
• ただし、これらは文脈こそ違えど、似通ったタスク同士であ
るので、従来の転移研究が既にその可能性を指摘している。
• また、各自の自由研究には8つのPracticesの範囲を超えるも
のは見いだされなかった。
• これらは、そのまま構成概念として、将来のアセスメントタ
スクとなる可能性を持っている。
(c)2017 Tomoki Saito
考
察
考察
量的分析から
• 過去にSTSに利用されたTTCTの範疇では、STEMを通じても創造性は伸
長する。
• ただし、独創性(uniqueness)についてはプログラムの前後で評価者間信
頼性が失われた。
• 特にタスク2と3、すなわち原因と結果の間の想起数に有意な相関が
みられることから、必ずしもタスク同士が弁別できているとは言えな
い(これはSILEにのみ当てはまる事か→TTCTの成立を考えればYes)。
• 一方で、収束的妥当性を示す十分に高い相関があるとも言えないため、
利用の仕方に注意が必要である。Creativity×→Creativities〇。
• CATにおいては、自然科学の分野でさえ専門家の共通理解(Consensus)
に基づいた評価を実施することはできなかったため、創造性はSTEM領
域より小さいレベルで評価されている→STEM分野ごとに弁別可能か?
• 過去に準専門家による評価を是とする研究も見られるが、少なくとも
本研究の参加者による評価では評価者間信頼性を得られなかった。
• 最小限のサンプル数で、複数回調査されるべき。
(c)2017 Tomoki Saito
考察
質的分析から
• 活動内→本人の自由研究という似通ったタスクに対する個
別具体的な転移Specific Transfer
• 活動内→本人の自由研究でも活動内では扱われなかったタ
スクへの転移。特に個人的な方法に集中している。
※タスク一般性の可能性 Task General Transferability
• 転移の可能性を上げるトリガーとは?
– PBLによる目的意識
– タスク固有のアプローチ(DT/CTパネル)
– 自由研究を経験してきた・完成させようとする自信(自己肯定感・自己効力感)
(c)2017 Tomoki Saito
結
論
まとめ
質・量 併せて考えると
• タスク一般性があるとすれば
• 質的分析によって見つかった「可能性あるタスク」の全
てが量的に弁別可能であるとは考えにくい。
• 実際TTCTの2)と3)は相関している。
• また、学習環境の変化によって、これらの性質は変化す
ることが考えられる→傾性概念
• あらゆる文脈・教科での発散的思考の扱い、
• 分野ごとの構成概念の洗い出しが必要。
• 現時点ではテストユースにはあまり向かない
• 形成的な評価とのマッチング
(c)2017 Tomoki Saito
背景
構成概念Construct
そもそも、21st Century Skills のようなスキルの評価を開発する場合、そ
の構成概念は定義が幅広く、一般的である傾向がある(Koening, 2011).
創造性も流暢性・柔軟性・独創性・綿密性等、創造性を特徴づける発散
的思考の4つの「操作的定義」である(Bear, 1993)とされ、タスクごとに得点が
得られるが、一般的な創造性として扱われたり、状況要因の変化に関わら
ず用いられている.
(c)2017 Tomoki Saito
傾性概念(Disposition Concept)
• 特定の 状況下で観察された行動パターンを抽象的に記述し ただけの概念であり,概
念の意味内容は観察に完全に還元さ れる.いわゆる「操作的定義」 の できる概念の
多くは傾性概念である。状況要因が変化した時の記述の正当性は保証されない.
理論的構成概念(Theoretical Constructs: Hypothetical Constructs)
• 理論的構成概念は傾性概念と異なり 、観察に還元できない剰余 意 味(surplus
meanings)を持っている。剰余意味は多くの場合,観察された行動パターンを規定す
る生体の内的過程など,外的な状況要因と は基本的に独立な理論的実体と対応して
いる.その意味で理論的構成概念は状況が変化しても 記述の正当性を維持するし,
観察された行動パターンの原因についての情報を含むものと考えられる.
まとめ
今後の研究課題
• 他の文脈、学習環境でのタスク同士の相関はどうなるのか
(例えば2)と3))。
• どのタスク同士が関係しており、転移可能であるのかを各
事例でマッピングしていく必要がある。
• 他のスキル(例えば批判的思考)や教育的介入との関係性を描
き出していくにはどうしたら良いか。
→あらゆる21st Century Skillsについて検討が必要
仮説
• 各教科の学力試験と相関しているタスクとそうでないタス
クがある。
• どの時間でやるべきか、どのアプローチでやるべきかの参
考にできる。 (c)2017 Tomoki Saito
ご清聴ありがとうございました。
Any Questions?
tomsent@shizuoka.ac.jp
Izu Peninsular in Shizuoka→Geopark.
Acknowledgement
この研究は科学研究費補助金(研究
代表者:熊野善介)及びJST次世代科
学者育成プログラムと、ミネソタ大学
STEM教育センターのNSFプロジェ
クトであるEngrTEAMSによる支援
を受けて行った。

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170828STEMが統合された学習環境における創造性の構成概念

  • 1. STEM が統合された学習環境における創造性の構成概念 -21st Century Skills のタスク固有性の検討と超領域的な学習への適用- Constructs of Creativities in a STEM Integrated Learning Environment : Examination of Task Specificity of 21st Century Skills and the Application to the Integrative Learning 2017/8/29 科学教育学会 年会 高松 静岡大学 齊藤智樹 Tomoki Saito, Shizuoka University
  • 2. How Why Outline • 背景 – 21st Century Skills – Approach Integration – Transfer(転移) – 領域固有・一般性 Domain Specific / General • 本研究 – 文脈、参加者 – 理論的枠組み、方法論 – 方法 What Then? • 結果 – TTCT – CAT – Where applied creativity • 考察Discussion • まとめConclusion
  • 4. 背景 構成概念Construct そもそも、21st Century Skills のようなスキルの評価を開発する場合、そ の構成概念は定義が幅広く、一般的である傾向がある(Koening, 2011). 創造性も流暢性・柔軟性・独創性・綿密性等、創造性を特徴づける発散 的思考の4つの「操作的定義」である(Bear, 1993)とされ、タスクごとに得点が 得られるが、一般的な創造性として扱われたり、状況要因の変化に関わら ず用いられている. (c)2017 Tomoki Saito 傾性概念(Disposition Concept) • 特定の 状況下で観察された行動パターンを抽象的に記述し ただけの概念であり,概 念の意味内容は観察に完全に還元さ れる.いわゆる「操作的定義」 の できる概念の 多くは傾性概念である。状況要因が変化した時の記述の正当性は保証されない. 理論的構成概念(Theoretical Constructs: Hypothetical Constructs) • 理論的構成概念は傾性概念と異なり 、観察に還元できない剰余 意 味(surplus meanings)を持っている。剰余意味は多くの場合,観察された行動パターンを規定す る生体の内的過程など,外的な状況要因と は基本的に独立な理論的実体と対応して いる.その意味で理論的構成概念は状況が変化しても 記述の正当性を維持するし, 観察された行動パターンの原因についての情報を含むものと考えられる.
  • 5. 背景 21st Century Skills (c)2017 Tomoki Saito 21st Century Skills (NRC, 2011) 認知的 スキル 一定の順序のない課題解決 (nonroutine problem solving), 批判的思考 (critical thinking), システム思考(systems thinking) 対人 スキル 複雑なコミュニケーション (complex communication), 社会的スキル(social skills), チームワーク(team-work), 文化的感受性(cultural sensitivity), 多様性への対処(dealing with diversity) 内面 スキル 自己管理(self-management), 時間管理(time management), 自己啓発(self-development), 自己管理(self-regulation), 順応性(adaptability), 実行機能(executive functioning) 一定の順序のない課題解決 Non-routine Problem Solving 熟練した課題解決者は、広範な情報を 調べ、パターン認識し、情報を絞り込ん で課題の診断にたどり着くために専門的 な思考をする。診断を超えて解決策へと 移行するには、課題解決戦略が働いてい るかを振り返り、それがうまくいってい ない場合、他の戦略に切り替える能力 (Levy・Murnane, 2004)-メタ認知を含め、情報 がいかに概念的につながっているかにつ いての知識を必要とする。それには、新 しくてイノベーティブな解決策を生成す る創造性、無関係に見える情報を統合す ること、そして他者が見逃しているであ ろう可能性を楽しむことなどが含まれる (Houston, 2007)。
  • 6. 背景 道田(2013)が紹介 批判的思考の導入アプローチ STEM Ed. ACT(2015) (c)2017 Tomoki Saito General(一般的) Infusion(導入) Immersion( 没 入 ) Mixed(混合) Ennis (1989) Transdisciplinary Single-discipline Multiple-discipline Q1 Which way(s) support 21st Century Skills more? ↓ How & When do ways support 21st Century Skills? How to introduce the Idea of ** 取り出し 教科内
  • 7. 背景 転移(Transfer)と創造性 (c)2017 Tomoki Saito ある分野からある分 野への転移 4 が考え 得るし、STEM のよう に「現実社会を反映し た課題を中心に知識を 構造化することで、他 の場面への転移可能な 知識の獲得が促進され る可能性がある 」1 (三宅・大島・大島, 2011) Learning Environment Integrative subject-separated GeneralTransferSpecificTransfer Transferability
  • 8. 背景 創造性の領域固有性・一般性Domain Specific / General in Creativity (c)2017 Tomoki Saito 一般性の根拠:一因子説 この立場に立った場合 創造性≒発散的思考 流暢性・柔軟性・独創性・綿密性は その下位概念。 固有性の根拠:創造性の定義&データ ある分野の専門家が創造的であると 判断したものを創造性とする。これは、 他の認知的スキルにもある程度当ては まる(e.g.批判的思考) 発散的思考の発案者は、必ずしも下 位概念の合計を創造性だと考えてはい なかった。 そもそも対立する アイデアであるのか? TTCT(Torrance Test of Creative Thinking) サブスコア・トータルスコアを提供するが、 一般的に創造性評価に利用される。 CAT(Consensual Assessment Technique) 科学教育orSTEMへの利用例はあり。 Transdisciplinaryな学習環境での例はまだない。 Domain Specificity Rather “Task Specificity” “Generality” depends on Single Factor Theory “Specificity” depends on Definition & Data
  • 11. 本研究 日程Schedules (c)2017 Tomoki Saito 日付 内容 5/15 開講式、受講者の自由研究発表、TTCT・CATの実施、疑問・課題のブレイ ンストーミング、疑問・課題の決定とグループ分け 5/29 グループ研究のための課題の設定と今年度のスケジュールの予想 6/11 グループ研究1 6/18 グループ研究2 7/9 グループ研究3 8/22-24 グループ研究4 9/3 グループ研究5 9/17 グループ研究6 10/15 グループ研究7 10/29 グループ研究8 11/12 グループ研究9 11/23 受講者の自由研究発表、TTCTの実施、閉講式 Themesテーマ PBLの成果物 2016年度の例 二酸化炭素を酸素に人工的に変える方法 動物と話す機械 空を飛べる炭酸ロケット シミのできない服
  • 12. 本研究 理論的枠組み、方法論Theoretical Framework & Methodology (c)2017 Tomoki Saito プラグマティズムPragmatism STEMが統合された学習環境STEM Integrated Learning Environment(SILE) デザイン研究Design-based Research 混合研究法 Mixed Methods 「トライアンギュレーションデザイン収斂モデル」 Triangulation-convergence model (訳:大谷, 2011)
  • 13. 本研究 方法量 Quantitative Methods (c)2017 Tomoki Saito TTCT(Torrance Test of Creative Thinking: Iowa Assessment Packageを援用) 見慣れない状況(Unfamiliar Situation→Unfamiliar, Ill-structured Problemに通ずる)にお いて、1)疑問(課題)、2)予想される結果、3)あり得る結論を想起する。 それぞれ想起数をカウント 無関係→スコア無 関係のある答え→流暢性 ユニークなものの数→独創性 →評価者間信頼性α →Iowa Assessment Packageでは「創造性領域」に合計されている ↓ 一般的な創造性を想定している(?) ↓ 収束的・弁別的妥当性の検討Convergent/discriminant Validity CAT(Consensual Assessment Technique: Bear, 1993に倣う) 専門家による「製品」の評価。PBLとも相性◎。 今回は、STEM各分野の専門家に依頼。 自然科学のみ、複数名参加していただけた。 評価者間信頼性α→信頼性が取れれば→相関分析 STSに既に利用されている
  • 14. 本研究 方法質Qualitative Methods (c)2017 Tomoki Saito Coding based on 8 Practices • Data Collection on Moodle • 今日の活動で創造的に考えたのはどこだったか? • 今日の活動で批判的に考えたのはどこだったか? • あなたの自由研究の準備で、どんなときに創造的あるいは批判的に考える とよさそうですか? • 今年のあなたの自由研究で、どんなときに創造的あるいは批判的に考えま したか? これにより • 実際の場面への適用 • 他の場面への適用 • 8つの活動に収まらない事例は見られるか といったことが見いだされ RQ2・3 a)STEMが統合された学習環境におけるグループ研究において、受講者は研究 のどのような場面に発散的思考を適用するのか。 b)また、各自の自由研究の場面に戻った場合、発散的思考はどのように彼らの 個人研究に応用されるか。
  • 16. 事前調査 事後調査 N=13 M SD α M SD α T E. S. Power(1-β) 1) 疑問・課題 8.62 3.25 12.0 4.53 -5.50 ** 1.52 0.99 1-2)独創的な疑問・課題 2.09 0.94 0.80 2.74 1.12 0.75 -2.81 * 0.78 0.97 2) 考えられる原因 5.54 2.54 8.62 3.50 -2.90 * 0.81 0.90 2-2) 独創的な原因 1.74 0.94 0.84 2.35 0.84 0.76 -2.29 * 0.64 0.88 3) 予想される結論 4.38 1.85 7.00 4.08 -2.68 * 0.74 0.83 3-2) 独創的な結論 1.18 0.67 0.82 1.46 0.67 0.43 -1.30 0.35 0.41 **p<.01; *p<.05 two tailed 本研究 • 結果TTCT (c)2017 Tomoki Saito • 1),2),3)のタスクについては、事前・事後で有意な向上が見 られた。 • -2)のタスクについては、3-2)を除いて有意な向上が見られ るが、事後調査については、十分な信頼性係数αを得られ ていない。
  • 17. 本研究 結果TTCT (c)2017 Tomoki Saito 事前調査 流暢1流暢2 流暢3 流暢1 1.00 流暢2 .235 1.00 流暢3 .525 .648 * 1.00 事後調査 流暢1 流暢2 流暢3 流暢1 1.00 流暢2 .549 1.00 流暢3 .579 + .803 ** 1.00 タスク間のスコアには、 事前・事後とも 2)と 3)の流暢性スコア間で のみ有意な相関がみられた。 偏相関分析(学年・性別・グループ) *=.05, **=.01, (+=.10) 妥当性は 収束的妥当性 (convergent validity)と弁別 的妥当性(discriminant validity)に分類される。 収束的妥当性とは、同一の構成概念を測定 していると想定している変数間で実際に高い 相関が観察されることである。 弁別的妥当性とは、異なる構成概念を測定 していると想定している変数間で実際に低い 相関が観察されることである。
  • 18. 本研究 結果CAT (c)2017 Tomoki Saito 評価者グループごとの信頼性係数 (N=17) 事前調査 評価者数 Cronbach α 自然科学の専門家 3 0.42 教育学も含めた専門家 5 0.32 準専門家 7 0.72 全体 13 0.81 今回の結果に限ることにはなるが、 STEM が統合された学習において、自然科学の専門家 を自由研究の評価者として扱うことは難しい。また、準 専門家による共通理解も得られておらず、より細かい自 然科学の分野、例えば物化生地や、更に小さな専門分野 の専門家が「適切な評価者」であることが示唆される。 しかし、そこまで細分化された専門家による評価は、 実現可能性がより低くなる。 Natural Scientists Science Educators Quasi Experts
  • 19. 本研究 結果-いつ発散的思考を適用したか (c)2017 Tomoki Saito Practices サブカテゴリー 1 グループ研究のための疑問を問うたり、課題をはっきりさせること A グループのテーマのための具体的なトピック B 活動の中で将来的に起こってくる課題をはっきりさせること 疑問に対する振り返り 3 方法の開発 C 調査を計画するために情報を集めること 調査における変数を決定するための 実験器具のリストアップ ニーズの識別 準備のための思考 4 結果の解釈 D 今後の展開と解釈 E 8 グループ内での議論 研究の発表 F 他のグループの発表時 X 批判的思考による制約 振り返り 下位の課題に対する解決策を考える STEM活動がなかなか前に進まな かったこともあり、8つのPractices のうち、前半に特に適用した場面が 偏ることになった。 表3-1-3 8つの科学と工学の体験的・経験的活動 1 疑問をも・課題を明確にする 2 モデルをつくり、用いる。 3 調査を計画し、実行する 4 データを分析し解釈する 5 数学を用いて計算的思考をする 6 説明を構築する・製品をデザインする 7 証拠にもとづいた議論を展開する 8 情報を手に入れ、評価し、交流する
  • 20. Practices サブカテゴリー 1 疑問を問うたり課題を書き出したりする A テーマの決定 B 目的の決定、研究の正当性について考える、自問自答する 2 予想/仮説を作る時 3 方法について考えること C 実験のための道具の開発 C 材料のリストを作る時、次の実験の計画、研究する環境の決定 受講者の 自由研究への 具体的応用 改善 Y 効率 非効率 使い方 測定の仕方 作り方 変数の決め方 4 データをどう解釈するか D 研究の見通し E 原因と結果の分析、受講者の自由研究への具体的な応用 5 データを数値的に整理すること 6 やったこと見つけたことの説明、解決策をデザインすること、受講者の自由研究への具 体的な応用 8 聴衆(仲間)とのやり取り、プロポーザルを書くとき、基礎的な知識の取得 研究の公開の準備 F 本研究 結果-自由研究のどこに適用したか (c)2017 Tomoki Saito 各自の自由研究におい ては、Practiceの2・ 5・6等、STEM活動の 中では適用が見られな かった活動にも、応用範 囲を広げている。
  • 21. 本研究 結果-質的分析 • A~Fまでのアルファベットで表されるように、STEMの活動 中と各自の自由研究の両方に見られる項目があり、特に Practice3の研究の計画と実行については具体的なところま で応用が行き届いている(Y)ことを考えると、Bear(1993)のい うような、タスク固有な創造性の学習と、その転移がプログ ラムの内外で関連するSTEM活動の具体的なタスクに及んで いる可能性が示唆される。 • ただし、これらは文脈こそ違えど、似通ったタスク同士であ るので、従来の転移研究が既にその可能性を指摘している。 • また、各自の自由研究には8つのPracticesの範囲を超えるも のは見いだされなかった。 • これらは、そのまま構成概念として、将来のアセスメントタ スクとなる可能性を持っている。 (c)2017 Tomoki Saito
  • 23. 考察 量的分析から • 過去にSTSに利用されたTTCTの範疇では、STEMを通じても創造性は伸 長する。 • ただし、独創性(uniqueness)についてはプログラムの前後で評価者間信 頼性が失われた。 • 特にタスク2と3、すなわち原因と結果の間の想起数に有意な相関が みられることから、必ずしもタスク同士が弁別できているとは言えな い(これはSILEにのみ当てはまる事か→TTCTの成立を考えればYes)。 • 一方で、収束的妥当性を示す十分に高い相関があるとも言えないため、 利用の仕方に注意が必要である。Creativity×→Creativities〇。 • CATにおいては、自然科学の分野でさえ専門家の共通理解(Consensus) に基づいた評価を実施することはできなかったため、創造性はSTEM領 域より小さいレベルで評価されている→STEM分野ごとに弁別可能か? • 過去に準専門家による評価を是とする研究も見られるが、少なくとも 本研究の参加者による評価では評価者間信頼性を得られなかった。 • 最小限のサンプル数で、複数回調査されるべき。 (c)2017 Tomoki Saito
  • 24. 考察 質的分析から • 活動内→本人の自由研究という似通ったタスクに対する個 別具体的な転移Specific Transfer • 活動内→本人の自由研究でも活動内では扱われなかったタ スクへの転移。特に個人的な方法に集中している。 ※タスク一般性の可能性 Task General Transferability • 転移の可能性を上げるトリガーとは? – PBLによる目的意識 – タスク固有のアプローチ(DT/CTパネル) – 自由研究を経験してきた・完成させようとする自信(自己肯定感・自己効力感) (c)2017 Tomoki Saito
  • 26. まとめ 質・量 併せて考えると • タスク一般性があるとすれば • 質的分析によって見つかった「可能性あるタスク」の全 てが量的に弁別可能であるとは考えにくい。 • 実際TTCTの2)と3)は相関している。 • また、学習環境の変化によって、これらの性質は変化す ることが考えられる→傾性概念 • あらゆる文脈・教科での発散的思考の扱い、 • 分野ごとの構成概念の洗い出しが必要。 • 現時点ではテストユースにはあまり向かない • 形成的な評価とのマッチング (c)2017 Tomoki Saito
  • 27. 背景 構成概念Construct そもそも、21st Century Skills のようなスキルの評価を開発する場合、そ の構成概念は定義が幅広く、一般的である傾向がある(Koening, 2011). 創造性も流暢性・柔軟性・独創性・綿密性等、創造性を特徴づける発散 的思考の4つの「操作的定義」である(Bear, 1993)とされ、タスクごとに得点が 得られるが、一般的な創造性として扱われたり、状況要因の変化に関わら ず用いられている. (c)2017 Tomoki Saito 傾性概念(Disposition Concept) • 特定の 状況下で観察された行動パターンを抽象的に記述し ただけの概念であり,概 念の意味内容は観察に完全に還元さ れる.いわゆる「操作的定義」 の できる概念の 多くは傾性概念である。状況要因が変化した時の記述の正当性は保証されない. 理論的構成概念(Theoretical Constructs: Hypothetical Constructs) • 理論的構成概念は傾性概念と異なり 、観察に還元できない剰余 意 味(surplus meanings)を持っている。剰余意味は多くの場合,観察された行動パターンを規定す る生体の内的過程など,外的な状況要因と は基本的に独立な理論的実体と対応して いる.その意味で理論的構成概念は状況が変化しても 記述の正当性を維持するし, 観察された行動パターンの原因についての情報を含むものと考えられる.
  • 28. まとめ 今後の研究課題 • 他の文脈、学習環境でのタスク同士の相関はどうなるのか (例えば2)と3))。 • どのタスク同士が関係しており、転移可能であるのかを各 事例でマッピングしていく必要がある。 • 他のスキル(例えば批判的思考)や教育的介入との関係性を描 き出していくにはどうしたら良いか。 →あらゆる21st Century Skillsについて検討が必要 仮説 • 各教科の学力試験と相関しているタスクとそうでないタス クがある。 • どの時間でやるべきか、どのアプローチでやるべきかの参 考にできる。 (c)2017 Tomoki Saito
  • 29. ご清聴ありがとうございました。 Any Questions? tomsent@shizuoka.ac.jp Izu Peninsular in Shizuoka→Geopark. Acknowledgement この研究は科学研究費補助金(研究 代表者:熊野善介)及びJST次世代科 学者育成プログラムと、ミネソタ大学 STEM教育センターのNSFプロジェ クトであるEngrTEAMSによる支援 を受けて行った。