果物の樹のお伽話 第2話:立て札を追加する話
- 2. むかしむかし、村の近くの草原に、 おいしい果物が実る樹が生えていました。 この果実は、 最初はあまりおいしくありませんでしたが、 多くの人が協力して世話を続けたおかげで、 おいしい果実が実るようになりました。 樹の脇には、 「誰でも自由にお持ちください」 という立て札が立っていました。 みんなで世話した樹なので、 誰でも好きなだけ果物を持っていって 構わなかったのです。 果物が足らない人は、枝を接ぎ木して、 自分の樹を育てることができました。
- 6. 若者の方は、 自分が世話をしている樹の立て札を 次のように書き換えました。 「誰でも自由にお持ちください ただし樹を育てる場合には、 これと同じ立て札を付けること」 そして、この樹を一生懸命に世話しました。 村人のある人は、 「こんなややこしい条件は面倒だ」と 、若者の樹を避けるようになりました。 でも、 ビジネスマンのやり口を聞いた人の中には、 「こうしないと、自由な樹がなくなってしまう」と、若者の作業を 積極的に手伝う人もいました。