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Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
課題の洗い出しと
解決のための行動方針
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
組織開発の方針
【 現状の理解 】
離職率が高い要因を知る
(この点に関しては
マーケティングも必要)
介護の現場に属する人々の
思考傾向を理解する
【 目標 】包括的な組織開発を行う先に、
■ 利用者(を預けるご家族)の満足度
■ 職員が働く場としての職場満足度
の向上を実現する
マネジメントの方針を
固める
【 マネジメントの方向性 】
育成のサイクルを回す
管理職の職責を果たす
(職員の無力感をケアし、
職員の自尊心を高める)
ケア側に「自主経営」を導入
する(ビュートゾルフ式)
導入
教育
選ばれる特老を創る
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
離職率 高さの要因
計画性 将来への不安
■ 生活設計が立たない(給与の面で)
■ 施設のビジョンと、年間総合計画の整合性
がない
■ そもそもビジョンに向かう行動計画がない
■ 仕事量と比した際の給与が低い
■ 施設の将来性が見えない
■ 自分の仕事の将来性が見えない
■ 求人が恒常的になされている
(組織に問題が在るがなおざりにされて
いる、もしくは職員は代えが効くと
思っていて、募集すれば良いと暗に
示している)
タスクを起因とする現実 人間関係/環境
■ 人員の少なさによる業務量の過多 ■ 利用者さんとのコミュニケーション
(コミュニケーションとして返ってくる
ものがない)
■ 上司との関係
■ 同僚との関係
■ 部下との関係
■ 物理的な職場環境(汚物臭など)
組織独自の現状分析が必要です。
人間の志向特性に沿って、
「私たちの組織に足りないもの」
を明らかにしていく必要があります
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
給与の問題ではない
脳科学と心理学による人の志向特性の傾向
そもそも大企業で働く人のように「競争・成長・勝利」を(福祉の分野で働く多くの
職員は)目指していない
脳科学的・心理学的に人は
この様に個性が分けられる
とされていて、介護の現場
に圧倒的に多いのは右下の
象限に当てはまる人々だと
思われます。
こうした方々の使命感を支
えることが、マネジメント
に求められるのではないで
しょうか。
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
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タスクの充実、改善 人間関係の向上
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② 現場の職員に裁量権
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②
■ 職員を人間として扱う
・利用者さんをケアしながら、
無力感を最も感じているのは
職員だということを忘れては
ならない
・職員を「人として」扱ったとき、
彼らは「語らない」利用者さんの人間性を
保つための職責に戻っていく意欲が戻る
・同僚の存在に敬意を払っているか?
③
整
合
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Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
職員がもつ「無力感のケア」が必要
毎日ケアしているけれど、状態は改善することがない。
認知症の症状は進む、介護の手間が多くなる、ご家族は無関心、などなど…
無力感を一番感じているのは職員です(なぜなら、利用者さんは現実的に
「衰退」に向かっていくからです)
【 「ケア以外の部分」で職員の人間性を取り戻す 】
人間の自尊心を形成する要素は三つです!
・有能感 … 自分に出来ることをもって人に貢献できること
・自律感 … 自分で選び取ることができること。理想としては、組織のビジョンを
実現するために「これが正しい」と思う行動を選び取って行動する
ことができること
・関係性 … 自分が「このチームにとって不可欠な人間」だと思えること
施設長や管理職にある方々が、自尊心を支える三つの要素をよく理解して、現場に
赴き、職員を労い、出来ていること、出来にくいこと、不安、不満、改善への
アイデアを聞き、三つの要素の改善に繋げていくことが重要です
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
「ビュートゾルフ式」を導入する
【 ビュートゾルフとは 】
■ オランダでヨス・デ・ブロック氏が創業した、非営利の
在宅ケア組織のこと
■ 現在は九州ほどの広さのオランダ国内で、約850チーム、
約10,000人の看護師・介護士等が活躍している
国の財政を社会保障費が
逼迫したため、
在宅ケアの効率化と
分業化が進んだ
ケア側も「やらなければ
ならないこと」が
増えすぎた
あまりに効率化を
進めたため、ケア行為が
画一的かつ断片的に
なった
ケア人員が入れ替わり
すぎるようになり、
利用者の負担が増えた
ケア側の人々が、「やりがい」を見出すことが出来なくなり、
結果として離職する人が増えた
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
「ビュートゾルフ式」を導入する
【 ビュートゾルフとは 】
■ オランダでヨス・デ・ブロック氏が創業した、非営利の
在宅ケア組織のこと
■ 現在は九州ほどの広さのオランダ国内で、約850チーム、
約10,000人の看護師・介護士等が活躍している
ケアに関わる人々が全プロセスに責任をもち、その専門性を存分に
発揮する場を創れば、
■ コストを抑えつつ
■ 質の高いケアを提供する
ことができるのではないか?
そうした視点からビュートゾルフの活動がスタートしました
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
「ビュートゾルフ式」を導入する
■ (割合として)チーム最大12人のメンバーで約40人~60人の利用者をサポートする
■ 各チームは独立している。チームごとに利用者へのケア、看護・介護職の採用・教育、財務管理
等の裁量と責任が与えられている
■ 定例ミーティングで、各々の役割と責任の確認とリフレクションがなされている
■ 40~45チームに1人のコーチが配置されている
■ バックオフィスは現場のサポートをする。介護料請求、労働契約、給与支払など。つまり、
現場が利用者への全人的なケアに集中できるように、その他の業務を行っている、ということ
■ そのためにICTを活用する。専用アプリによって、業務日誌や利用者の様子、ケアの内容など、
メンバー間の情報共有を支援している
■ 業務日誌に記載された作業内容と時間を元にして、各メンバーの生産性が自動算出され、
メンバーに公表される
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
「ビュートゾルフ式」を導入する
■ メンバーの一人ひとり
が「進化する目的」を
仕事の中に見出して
いる
■ 情報共有が活発化し、
利用者にとっての最善
のケアを探ることが
できる
■ 自分が望ましいと
思えるケアを行う
ことができる
ケアに関わる人々が「利用者の全人的なケアを行う」ために、
看護・介護者自身が最も望ましいと思うケアを自分たちの裁量で決めていける
ことが本質的に目指す組織像ではないか?
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
組織と人財を育てるサイクルを回す
全人的なケアの実施
ジョイン支援人財育成
組織文化への橋渡し
自主経営
採用
カウンセリング
広報
【 心理的支援 】
【 コミュニケーション支援 】
【 キャリア開発支援 】 個人の目標と
組織の目標の
すりあわせ
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
■ 「高齢者が好き」という人材を採用
する
■ 全人的なケアに対して想いのある
人材を採用する
採用目標
■ 「全人的なケア」で最期まで利用者に
寄りそうことを示す
■ 利用者が幸せに囲まれている場を創る
ために「人が集う」場を形成する
広報
「選ばれる」施設を創る
■ 組織としての危機を実感していたら、トップマネジメントが「改革をする!」と宣言する
■ そのために必要なことを行う、と宣言する
改革への宣言
ご家族の
満足度を
高め、
地域での
評判を
高める
■ 「利用者にとって、最も良い」ケアを行うと決断し、実行する
■ そのために現存のスタッフの意見と本音を集める
組織改革
人財を
集める
環境を
改善
コミュニティホールの活用
Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue
マズローの5段階欲求は…
マズローの5段階欲求は、科学的正しさは証明
されてはいない
とはいえ…離職防止に繋がる「やりがい」は、
自己実現とは密接な関係にあると思われるので、
現場で働く方々が、仕事を通して安定性と周りとの
関係性を保つことができ、かつ「自分が実現したいケア」
を実現することに向かうことを支援することが、
バックオフィスに求められるのではないでしょうか。
そのためにやるべきことは、
① 現場が「全人的なケア」に集中できるように、
代行できることはバックオフィスが行う
② 離職に繋がるとされる諸問題の解決や軽減を
バックオフィスが担う
③ 現場に「自主経営」を導入する
④ バックオフィスが、現場で働く人々の「自分は
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コンサルを行う
ことかと思料します

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  • 1. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 課題の洗い出しと 解決のための行動方針
  • 2. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 組織開発の方針 【 現状の理解 】 離職率が高い要因を知る (この点に関しては マーケティングも必要) 介護の現場に属する人々の 思考傾向を理解する 【 目標 】包括的な組織開発を行う先に、 ■ 利用者(を預けるご家族)の満足度 ■ 職員が働く場としての職場満足度 の向上を実現する マネジメントの方針を 固める 【 マネジメントの方向性 】 育成のサイクルを回す 管理職の職責を果たす (職員の無力感をケアし、 職員の自尊心を高める) ケア側に「自主経営」を導入 する(ビュートゾルフ式) 導入 教育 選ばれる特老を創る
  • 3. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 離職率 高さの要因 計画性 将来への不安 ■ 生活設計が立たない(給与の面で) ■ 施設のビジョンと、年間総合計画の整合性 がない ■ そもそもビジョンに向かう行動計画がない ■ 仕事量と比した際の給与が低い ■ 施設の将来性が見えない ■ 自分の仕事の将来性が見えない ■ 求人が恒常的になされている (組織に問題が在るがなおざりにされて いる、もしくは職員は代えが効くと 思っていて、募集すれば良いと暗に 示している) タスクを起因とする現実 人間関係/環境 ■ 人員の少なさによる業務量の過多 ■ 利用者さんとのコミュニケーション (コミュニケーションとして返ってくる ものがない) ■ 上司との関係 ■ 同僚との関係 ■ 部下との関係 ■ 物理的な職場環境(汚物臭など) 組織独自の現状分析が必要です。 人間の志向特性に沿って、 「私たちの組織に足りないもの」 を明らかにしていく必要があります
  • 4. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 給与の問題ではない 脳科学と心理学による人の志向特性の傾向 そもそも大企業で働く人のように「競争・成長・勝利」を(福祉の分野で働く多くの 職員は)目指していない 脳科学的・心理学的に人は この様に個性が分けられる とされていて、介護の現場 に圧倒的に多いのは右下の 象限に当てはまる人々だと 思われます。 こうした方々の使命感を支 えることが、マネジメント に求められるのではないで しょうか。
  • 5. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue マネジメントの基本 明確な計画 将来への希望 タスクの充実、改善 人間関係の向上 「私たちは○○に向かう」 という明確なビジョン (高齢者の方々の○○を 支えていく、といった ビジョン) ビジョンを実現する ための計画を立てる。 10ヶ年、5ヶ年、 3ヶ年、1ヶ年… ビジョンに近づいて いくことが誰にでも 分かるように計画を 立てる ① 日々のタスクに 落とし込む ① 現場の職員に自主 経営を任せる ② 現場の職員に裁量権 と責任を持たせる ② ■ 職員を人間として扱う ・利用者さんをケアしながら、 無力感を最も感じているのは 職員だということを忘れては ならない ・職員を「人として」扱ったとき、 彼らは「語らない」利用者さんの人間性を 保つための職責に戻っていく意欲が戻る ・同僚の存在に敬意を払っているか? ③ 整 合 性
  • 6. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 職員がもつ「無力感のケア」が必要 毎日ケアしているけれど、状態は改善することがない。 認知症の症状は進む、介護の手間が多くなる、ご家族は無関心、などなど… 無力感を一番感じているのは職員です(なぜなら、利用者さんは現実的に 「衰退」に向かっていくからです) 【 「ケア以外の部分」で職員の人間性を取り戻す 】 人間の自尊心を形成する要素は三つです! ・有能感 … 自分に出来ることをもって人に貢献できること ・自律感 … 自分で選び取ることができること。理想としては、組織のビジョンを 実現するために「これが正しい」と思う行動を選び取って行動する ことができること ・関係性 … 自分が「このチームにとって不可欠な人間」だと思えること 施設長や管理職にある方々が、自尊心を支える三つの要素をよく理解して、現場に 赴き、職員を労い、出来ていること、出来にくいこと、不安、不満、改善への アイデアを聞き、三つの要素の改善に繋げていくことが重要です
  • 7. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 「ビュートゾルフ式」を導入する 【 ビュートゾルフとは 】 ■ オランダでヨス・デ・ブロック氏が創業した、非営利の 在宅ケア組織のこと ■ 現在は九州ほどの広さのオランダ国内で、約850チーム、 約10,000人の看護師・介護士等が活躍している 国の財政を社会保障費が 逼迫したため、 在宅ケアの効率化と 分業化が進んだ ケア側も「やらなければ ならないこと」が 増えすぎた あまりに効率化を 進めたため、ケア行為が 画一的かつ断片的に なった ケア人員が入れ替わり すぎるようになり、 利用者の負担が増えた ケア側の人々が、「やりがい」を見出すことが出来なくなり、 結果として離職する人が増えた
  • 8. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 「ビュートゾルフ式」を導入する 【 ビュートゾルフとは 】 ■ オランダでヨス・デ・ブロック氏が創業した、非営利の 在宅ケア組織のこと ■ 現在は九州ほどの広さのオランダ国内で、約850チーム、 約10,000人の看護師・介護士等が活躍している ケアに関わる人々が全プロセスに責任をもち、その専門性を存分に 発揮する場を創れば、 ■ コストを抑えつつ ■ 質の高いケアを提供する ことができるのではないか? そうした視点からビュートゾルフの活動がスタートしました
  • 9. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 「ビュートゾルフ式」を導入する ■ (割合として)チーム最大12人のメンバーで約40人~60人の利用者をサポートする ■ 各チームは独立している。チームごとに利用者へのケア、看護・介護職の採用・教育、財務管理 等の裁量と責任が与えられている ■ 定例ミーティングで、各々の役割と責任の確認とリフレクションがなされている ■ 40~45チームに1人のコーチが配置されている ■ バックオフィスは現場のサポートをする。介護料請求、労働契約、給与支払など。つまり、 現場が利用者への全人的なケアに集中できるように、その他の業務を行っている、ということ ■ そのためにICTを活用する。専用アプリによって、業務日誌や利用者の様子、ケアの内容など、 メンバー間の情報共有を支援している ■ 業務日誌に記載された作業内容と時間を元にして、各メンバーの生産性が自動算出され、 メンバーに公表される
  • 10. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 「ビュートゾルフ式」を導入する ■ メンバーの一人ひとり が「進化する目的」を 仕事の中に見出して いる ■ 情報共有が活発化し、 利用者にとっての最善 のケアを探ることが できる ■ 自分が望ましいと 思えるケアを行う ことができる ケアに関わる人々が「利用者の全人的なケアを行う」ために、 看護・介護者自身が最も望ましいと思うケアを自分たちの裁量で決めていける ことが本質的に目指す組織像ではないか?
  • 11. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue 組織と人財を育てるサイクルを回す 全人的なケアの実施 ジョイン支援人財育成 組織文化への橋渡し 自主経営 採用 カウンセリング 広報 【 心理的支援 】 【 コミュニケーション支援 】 【 キャリア開発支援 】 個人の目標と 組織の目標の すりあわせ
  • 12. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue ■ 「高齢者が好き」という人材を採用 する ■ 全人的なケアに対して想いのある 人材を採用する 採用目標 ■ 「全人的なケア」で最期まで利用者に 寄りそうことを示す ■ 利用者が幸せに囲まれている場を創る ために「人が集う」場を形成する 広報 「選ばれる」施設を創る ■ 組織としての危機を実感していたら、トップマネジメントが「改革をする!」と宣言する ■ そのために必要なことを行う、と宣言する 改革への宣言 ご家族の 満足度を 高め、 地域での 評判を 高める ■ 「利用者にとって、最も良い」ケアを行うと決断し、実行する ■ そのために現存のスタッフの意見と本音を集める 組織改革 人財を 集める 環境を 改善 コミュニティホールの活用
  • 13. Copyright 2018 © All rights reserved, Takashi Inoue マズローの5段階欲求は… マズローの5段階欲求は、科学的正しさは証明 されてはいない とはいえ…離職防止に繋がる「やりがい」は、 自己実現とは密接な関係にあると思われるので、 現場で働く方々が、仕事を通して安定性と周りとの 関係性を保つことができ、かつ「自分が実現したいケア」 を実現することに向かうことを支援することが、 バックオフィスに求められるのではないでしょうか。 そのためにやるべきことは、 ① 現場が「全人的なケア」に集中できるように、 代行できることはバックオフィスが行う ② 離職に繋がるとされる諸問題の解決や軽減を バックオフィスが担う ③ 現場に「自主経営」を導入する ④ バックオフィスが、現場で働く人々の「自分は どう成っていきたい」という思いを実現するための コンサルを行う ことかと思料します