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放射線の専門家はなぜ信頼を失ったのか?―低線量被曝をめぐる科学と社会
- 3. 放射線の健康影響
2つのタイプがある
1.「症状、徴候が現れる身体的障害(確定的影響)
・1000ミリシーベルト以下では起こらない
・症状ごとに「しきい線量」がある
2.将来がんが発生する可能性(リスク)が高まる
かもしれない影響(確率的影響)(晩発影響)
・被ばく集団と非被ばく集団の比較で検知
・被ばく者個人は認知できない
・防護の目的で低線量(100mリシーベルト以
下)でも
150ミリシーベルト以上と同様に線量に比例し
てリス
クが増加すると仮定(しきい線量なし)
- 4. 日本学術会議(金沢一郎)会長談話
放射線防護の対策を正しく理解するために
2012年6月17日(金沢会長は19日に定年退任)
平成23 年3 月11 日に発生した事故により東京電力
福
島第一原子力発電所から漏出した放射性物質の人体へ
の影響などに関して、科学者の間から様々な意見が出
さ
れており、国民の皆さんが戸惑っておられることを憂
慮し
ています。/事故から10 日後の3 月21 日、国際放射
線
- 8. 遠藤啓吾(5月12日)
「祖父母の幸せ--放射性物質のもう一つの顔」
放射性物質「ヨウ素-131」を、100億ベクレル以上。
これは今から26年前、甲状腺がんの手術と、肺への
転移の治療のために、私がある女子高校生に3回にわ
たって投与した放射線量です。
このヨウ素-131だけでなく、同様に今回の原発事
故で大気中に放出されているセシウム-137、ストロン
チウム-90などの放射性物質やその関連物質は、病院
では患者の治療に使われているのです。当然、人体へ
の影響もかなり研究されています。
特にヨウ素-131は、50年以上前からバセドウ病、
甲状腺がんを代表とした甲状腺などの病気の治療に、
カプセル剤として投与されています。ヨウ素 -131の
出す放射線の作用で、狙った細胞に強く障害を与えよ
うと、病気の部分にできるだけ多く集まるように工夫
しながら大量に投与します。
- 11. Ⅱ.低線量放射線の確率的影響をどう見る
か?
SMC(http://smc-japan.sakura.ne.jp)3/22
「放射性物質の影響:山下俊一・長崎大教授」
1度に100mSv以上の放射線を浴びるとがんになる
確率が尐し増えますが、これを50mSvまでに抑えれ
ば大丈夫と言われています。原発の作業員の安全被
ばく制限が年間に50mSvに抑えてあるのもより安全
域を考えてのことです。
放射線を被ばくをして一般の人が恐れるのは将来が
んになるかもしれないということです。そこで、も
し仮に100人の人が1度に100msvを浴びる と、が
んになる人が1生涯のうちに1人か2人増えます
(日本人の3人に1人はがんで亡くなります)。で
すから、現状では
になる人が目に見えて増えるというよ うなことは
- 15. 「UNSCEAR2000年報告書によれば、固形がんの
場合には、被ばく時年齢が低いほど生涯がん死
亡率が高くなる。一方、白血病の場合は、10歳
以下の被ばくでリスクが高くなる。(中略)
ICRP1990年勧告は、若年齢群(20歳以下)の生
涯がん死亡率は、成人群(20~64歳)のおおよ
そ3倍と見積もっている。」
放射線医学総合研究所編(土居雅広責任編集)
『虎の巻 低線量放射線と健康影響』医療科学
社、2007年
先の発がんについての計算にこのがん死の数値
をあてはめると、子どもの発がんは32,25%、
53,75%に増えるということになる。
- 18. 「電離放射線の生態影響に関する諮問委員会の報
告」BEIRⅦ2005 (「一般向けの概要」結論の
前)
「疫学研究でも実験研究でも、なんらか
の相関が見出せる線量域なら線形モデルと
矛盾するものは見出されていない。電離放
射線の健康影響の主だった研究は 1945年の
広島・長崎の原爆被爆生存者を調べること
で確立された。それらの生存者のうち65%
が低線量被曝、すなわち、この報告書で定
義した 「100mSvに相当するかそれ以下」の
低線量に相当する。放射線にしきい値があ
ることや放射線の健康へのよい影響がある
ことを支持する被爆者データはな い。他の
疫学研究も電離放射線の危険度は線量の関
数であることを示している。」
- 21. 中川保雄『放射線被曝の歴史』(技術と人間、
1991、明石書店、10月再刊)
第2に調査対象時期を1950年10月1日以後とした
ことから、つぎのような問題が生まれた。第1にア
メリカ軍合同調査委員会とABCC[原爆障害調査
委員会]は放射線による急性死は原爆投下後ほぼ40
日ほどで終息したと評価したが、そ れ以後もおよ
そ3ヶ月間引き続いた急性死がそこでは切り捨てら
れている。…第2に急性死と急性障害の時期 を生き
抜いたとしても…骨髄中の幹細胞の減尐によるリン
パ球、白血球の減尐は避けられない。…それらの減
尐は免疫機能の低下をもたらし、その結果感染症等
による死亡の増加となって現れたに
ちがいない。
- 25. Ⅲ.低線量被曝は健康によいことを示す研
究
◇酒井一夫(電中研→放医研)
文部科学省放射線審議会委員
原子力安全委員会専門委員
国連科学委員会(UNSCEAR)国内対
応委員会委員長
日本保健物理学会国際対応委員会
(旧 ICRP等対応委員会)委員長
ICRP第5専門委員会委員
首相官邸原子力災害専門家グループ
メンバー
内閣官房低線量被ばくのリスク管理
に関するワーキンググループメン
バー
原子力安全委員会放射線防護部会
UNSCEAR原子力事故報告書国内対
応検討ワーキンググループメンバー
日本学術会議放射線の健康への影響
- 31. 低線量被曝安全論=しきい値あり論の系譜
1984年にラッキー博士の論文を知った電中研は、
ラッキー博士の主張について、その当否を米国電力研
究所に質問し、米国に責任ある回答を要求しました。
1985年8月、米国はカルフォルニア大学医学部に頼み、
エネルギー省と電力研究所の共済で放射線ホルミシス
の専門会議を開きました。(オークランド)。この会議は、
予定の3倍を超える参加者で、放射線ホルミシスを肯定
する専門者会議となりました。カルフォルニア大学と
協力し、1985年秋、会議の座長を務めた 米国電力研究
所環境部のレナード・セイガン氏から、「ラッキー博士
の主張は科学的に誤りではないが、昆虫など小動物
データーが多い。だから哺乳動物実験など、積極的に
研究をするべきである。」という回答をいただきまし
た。