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第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2:
好きなデータで学ぶ多変量解析
〜⾼校⽣からでも始められる
データサイエンス〜
慶應義塾湘南藤沢中等部・⾼等部
数学科教諭
⼩森晴菜
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 2
⽬次
1. 本校の統計教育
2. コンテストへの参加
3. 今後のねらい
4. 好きなデータで学ぶ多変量解析
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 3
講義担当者の紹介
⼩森 晴菜(こもり はるな)
• 2015年 慶應義塾湘南藤沢⾼等部卒業
• 2019年 慶應義塾⼤学理⼯学部(管理⼯学科)卒業
• 2021年 同⼤学院理⼯学研究科修了
現在、慶應義塾湘南藤沢中等部・⾼等部数学科教諭として勤務
趣味:プロ野球、ジャニーズ、お笑い
はじめに
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 4
⽬次
1. 本校の統計教育
2. コンテストへの参加
3. 今後のねらい
4. 好きなデータで学ぶ多変量解析
5
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
中学1・2年
「統計グラフ
コンクール」
⾼校数学
「場合の数と確率」
「データの分析」
「確率分布と統計的な推測」
⾼校3年選択必修
「データ科学」
社会科
数学科
数学科
⒈ 本校の統計教育
統計教育の流れ
6
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
この図を使って⾃⼰紹介をさせる
→ 初回授業で飽きさせない
→ ⼿取り早く理解させるい
⒈ 本校の統計教育
授業事例 ①⾼校1年 数学A
⒈ 本校の統計教育
7
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
数学クロスワード
→ 導⼊部分のまとめ
→ オンライン授業の
モチベーション
授業事例 ②⾼校2年 数学Ⅱb
8
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
ü ⾼校3年⽣の選択必修科⽬
ü R⾔語を⽤いてデータを分析
ü 1回あたり100分間、全15回前後
ü 受講者は昨年度20名
⒈ 本校の統計教育
⾼校3年選択授業「データ科学」
9
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
データビジネス創造コンテスト
和歌⼭県データ利活⽤コンペティション
4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉
2~3
⽉
Rの
基本
操作
多変量
解析
コンテストの準備
・研究発表
重回帰分析
判別分析
クラスター
分析
主成分分析
⒈ 本校の統計教育
⾼校3年選択授業「データ科学」
10
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
コンテストへの参加を必須課題にしている
2022年度実績
A. 第15回 データビジネス創造コンテスト 10名
B. 第6回 和歌⼭県データ利活⽤コンペティション 10名
※ 統計データ分析コンペティション2022には不参加
⒈ 本校の統計教育
⾼校3年選択授業「データ科学」
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 11
⽬次
1. 本校の統計教育
2. コンテストへの参加
3. 今後のねらい
4. 好きなデータで学ぶ多変量解析
12
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
◎学⽣・社会⼈コンシェルジュの指導あり
△⼤学⽣・院⽣のチームが多い
(⾼校⽣増えてきた)
貸与データあり
プレゼンテーション形式
https://dmc-lab.sfc.keio.ac.jp/dig15/
⒉ コンテストへの参加
データビジネス創造コンテスト
https://dmc-lab.sfc.keio.ac.jp/dig13/
13
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
◎⾼校⽣チームの参加数が多い
◎受講者にとって時期が良い(10⽉エントリー、12⽉審査会)
△テーマは決まっていながら貸与データがないため、
参加をするにはある程度のスキルが必要
https://datarikatsuyou.pref.wakayama.jp/jinzai/competition/
⒉ コンテストへの参加
和歌⼭県データ利活⽤コンペティション
貸与データなし
プレゼンテーション形式
14
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
◎分析結果を論⽂に仕上げるスキルまで⾝に付く
△⾼校⽣は論⽂形式よりもプレゼン形式を好む傾向に
ある…?
https://www.nstac.go.jp/statcompe/
2021年度は受賞者多数
⒉ コンテストへの参加
統計データ分析コンペティション
2022年度は参加者ゼロ
論⽂形式
貸与データなし
15
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
第13回
「モビリティデータが創るSmart City
〜スマートモビリティが⽀える未来の⽣活〜」
• SmaEva〜モビリティデータでハザードマップを作る〜
第15回
「寿命100歳時代を⽣き抜く知恵〜疾病予防と病後の
幸せな⽣活〜」
• 福やく−服薬週間を定着させるアプリ−
⒉ コンテストへの参加
受賞報告(DIG)
⾼校⽣部⾨賞受賞
最優秀賞受賞
16
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
第13回 データビジネス創造コンテスト 最優秀賞
独⾃性
ビジネス有効性
公益性
データ分析⼒
⾼校⽣らしさ
⒉ コンテストへの参加
受賞報告
17
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
第15回 データビジネス創造コンテスト ⾼校⽣部⾨賞
独⾃性
ビジネス有効性
公益性
データ分析⼒
⾼校⽣らしさ
⒉ コンテストへの参加
受賞報告
18
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
第6回 和歌⼭県データ利活⽤コンペティション NTT⻄⽇本賞
「⼈⼝減少社会における⼈や企業をひきつける
地域づくり」
• ⾕⼾地域を鬱病療養地に
⒉ コンテストへの参加
受賞報告(DIG以外)
独⾃性
公益性
データ分析⼒
⾼校⽣らしさ
19
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
• Rの使い⽅を理解できないままコンペに臨むことになり,
やりたいデータ処理ができなかった
• 夏休みに先⽣に質問をしながら取り組めばよかった
• 他のチームがクラスター分析を使った発表をしていた,
ああいったものができればよかった
⽣徒の声
⒉ コンテストへの参加
昨年度の反省
20
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
• 「詰め込み型」中⼼の授業を展開してしまった
• コンテストへの準備に時間をかけすぎ、好きなデータを
⾃由に分析する時間が確保できなかった
• 多くの履修者が希望していたスポーツデータの分析に
着⼿できなかった
担当者の反省
昨年度の反省
⒉ コンテストへの参加
21
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
• ⾼校⽣ならではの発想やアプローチは必要不可⽋
(⼤学⽣の下位互換にならないように)
• 他教科の教員にも⾒てもらえる強みを活かす
• ⾼校⽣でデータ分析のスキルが備わっていると強い
(⼤学⽣は質の⾼さ勝負でもある)
⒉ コンテストへの参加
DIG⼊賞への道
担当者視点
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 22
⽬次
1. 本校の統計教育
2. コンテストへの参加
3. 今後のねらい
4. 好きなデータで学ぶ多変量解析
23
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
⼩学⽣
「統計グラフ
コンクール」
中学1・2年
「統計グラフ
コンクール」
⾼校数学
「場合の数と確率」
「データの分析」
「確率分布と統計的な推測」
⾼校3年選択
「データ科学」
社会科
初等部
数学科
数学科
⼀貫校教育のねらい
⒊ 今後のねらい
24
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
データビジネス創造コンテスト
和歌⼭県データ利活⽤コンペティション
統計データ分析コンテスト
中⾼⽣スポーツデータ解析コンペティション
Rの
基本
操作
多変量
解析
コンテストの準備
・研究発表
・⾃主研究
4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2~3⽉
2回⽬
1回⽬
⼀貫校教育のねらい
⒊ 今後のねらい
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2 25
⽬次
1. 本校の統計教育
2. コンテストへの参加
3. 今後のねらい
4. 好きなデータで学ぶ多変量解析
スポーツデータで学ぶ多変量解析
26
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
野球は「データの宝庫」
• 勝敗に影響を及ぼす因⼦はなにか
• シーズン記録更新はどこまで可能か
• 両リーグDH制を導⼊した場合のシミュレーション
野⼿のシーズン成績に対する年俸の推定
(年俸に⾒合っていない活躍をしている選⼿は?)
私が⾼校⽣のときにトライしたテーマ
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
スポーツデータで学ぶ多変量解析
27
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
中⾼⽣スポーツデータ解析コンペティション
◎⽣徒の興味関⼼が強い
△履修者(⾼校3年⽣)を対象とするには時期が悪い
→⾼校1,2年⽣の段階で⼀度参加させたい
貸与データあり
プレゼンテーション形式
https://hs.sports.ywebsys.net/
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
アイドルのデータで学ぶ多変量解析
28
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
⼤学の必修科⽬の実験課題
(理⼯学部管理⼯学科3年)
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
• 量的変数 5種類以上(?)
• 質的変数 1種類
• データ30件以上(?)
上記の条件を満たすデータを作成し、
主成分分析・クラスター分析をしなさ
い。
アイドルのデータで学ぶ多変量解析
29
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
2017.06 デビュー後10年以上の
グループを対象に主成分分析
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
• TVレギュラー本数
• ラジオレギュラー本数
• CM本数
• ドラマ出演本数
• 映画出演本数
• 舞台出演本数
• 主演として出演している本数
• メンバーカラー(質的変数)
※あくまでも個⼈の⾒解です
アイドルのデータで学ぶ多変量解析
30
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
2017.06 デビュー後10年以上の
グループを対象にクラスター分析
• TVレギュラー本数
• ラジオレギュラー本数
• CM本数
• ドラマ出演本数
• 映画出演本数
• 舞台出演本数
• 主演として出演している本数
• メンバーカラー(質的変数)
※あくまでも個⼈の⾒解です
アイドルのデータで学ぶ多変量解析
31
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
2022.10 Kis-My-Ft2まで
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
2023.05 Kis-My-Ft2まで
Hey! Say!
JUMP
Kis-My-
Ft2
レ
ギ
#
ラ
%
多
関
ジ
ャ
ニ
∞
マルチに
活躍
アイドル
多才
アイドル
レ
ギ
#
ラ
%
多
TV多め
マルチに活躍
アイドル
多才
アイドル
マルチに
活躍
アイドル
※あくまでも個⼈の⾒解です
アイドルのデータで学ぶ多変量解析
32
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
2023.05 ジャニーズWESTまで
2023.05 Kis-My-Ft2まで
レ
ギ
#
ラ
%
多
TV多め
マルチに活躍
アイドル
多才
アイドル
マルチに
活躍
アイドル
レ
ギ
#
ラ
%
多
TV多め
マルチに活躍
アイドル
多才
アイドル
マルチに
活躍
アイドル
主
演
ア
イ
ド
ル
※あくまでも個⼈の⾒解です
お笑いデータで学ぶ多変量解析
33
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
昨今は「賞レース」が話題になりやすい
• ⾼得点を叩き出すには?
• どのようなネタを披露したら「⽖痕」を残せる?
• どの賞レースの影響⼒が⼤きい?
• 「漫才か漫才じゃないか論争」を分析するために
必要な尺度とは?
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
34
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
お笑いデータで学ぶ多変量解析
2023.05 THE SECOND
1×2+2×27+3×71
=269 点
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
⽣徒が持ってきてくれた
資料より抜粋
35
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
お笑いデータで学ぶ多変量解析
準決勝 第2戦 囲碁将棋vsギャロップ
囲碁将棋 ギャロップ
どちらを勝者にすべき?
1×0+2×16+3×84
=284 点
1×2+2×12+3×86
=284 点
⒋ 好きなデータで学ぶ多変量解析
⽣徒が持ってきてくれた
資料より抜粋
今後の⽬標
36
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2
• コンペで勝てるような発表を研究しつつ、⾃由度の⾼い
データ分析の授業
• 詰め込み型から「⾃らスキルを獲得しにいく」授業へ
• 教科横断をした総合的な指導
• ⾼校1・2年⽣にコンテストの存在をアピール
(スポーツデータ解析コンペ中⼼に)
• R以外のツールを導⼊することも検討
おわりに
第11回スキル養成講座 DIG⼊賞への道 #2:
好きなデータで学ぶ多変量解析
〜⾼校⽣からでも始められる
データサイエンス〜
ご清聴ありがとうございました!

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