Pm34 胸部x線写真の読影④
- 5. 82歳女性:
発熱、意識障害
A) ER portable 右内頚よりCVラインが挿入されています。
B) 胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 両肺上葉、右肺下葉に多発する結節がみられる。一部には空洞形成が
疑われる。
[評価]
肺胞に浸潤のある肺胞性肺炎の所見、肺炎球菌性肺炎を考えるが陰影の辺縁がは
っきりせずスリガラス様のためマイコプラズマによる肺炎も考慮する必要がある。
- 12. 73歳女性: 検診異常
A) 立位AP (側面では前屈で撮影されている。)
B) 胸郭の変形はなく、胸部では骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 左肺底部背側に辺縁平滑な腫瘤が見られる。
[評価]
CTで見ると、この陰影は横隔膜欠損部から逸脱した脂肪組織であることがわかる。
Bochdalekヘルニアの所見である。
- 22. 20歳男性:
発熱・呼吸困難
A) 立位PA
B) 胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 全体に末梢優位の間質影が目立ち、いわゆるKerleyのA,Bラインが描
出されている。
胸部CT:両肺には全体に間質影が目立ち、末梢側には限局性のややdenseなスリ
ガラス陰影や斑状影が散見される。肺底部では肥厚した小葉間隔壁が描出されてい
る。間質影 + 末梢側優位のいわゆる”negative butterfly appearance”を呈して
おり、病歴と併せて急性好酸球性肺炎が疑われる。
- 32. 13歳女性: 胸写異常
A) 立位PA
B) 左第3-4肋骨の低形成がみられる。また、左の乳房のラインは対側に
比して描出されておらず、乳腺の低形成が推測される。透過性も左側で
やや亢進しており、左乳腺低形成や大胸筋欠損が推測される。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。心はやや右側へ偏位している。
F) 全体肺野に明らかな異常陰影をは認めらない。
- 38. 39歳女性: 発熱 咳 呼吸苦
A) 立位PA
B) 胸椎はやや側弯、その他骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 全体両肺には広く淡い微細粒状影が認められる。小葉中心性の分布を
呈している。リンパ節腫大など見られない。
<経過>
転地およびステロイド内服にて改善した。
- 43. 70歳/女性: 胸写異常
A) 立位PA
B) 骨軟骨部に異常を認めません。
C) 左 CP angle は やや dull です。
D) 気管右側に長軸1.5cm程度の範囲で限局性壁肥厚を認める。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 右中肺野に浸潤陰影を認める。
【評価】 気管内腫瘤
- 45. 54歳/女性: 咳嗽 胸写異常
A) 立位PA
B) 提示された写真範囲内では、骨軟骨部に異常を認めません。
D) 気管は左に圧排され狭窄し、右気管傍線(rt. paratracheal stripe)も
不明瞭となっている。気管壁に接する右上縦隔腫瘤の所見。気管の最大偏位レベルは右胸腔への突出するレベル
とほぼ等しく、右側縁~下縁~左側縁とほぼ球形に近い形態であるように見える。上行大動脈~大動脈弓部~下行大動脈の陰影と
は離れている。比較的濃度の高い腫瘤で、その上部の頸部に明らかな濃度上昇、左右差はないようである。肺野については提示画
像内では明らかな結節は見られず、肺門腫大も見られない
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 右上肺野内側に外側凸の半球状陰影を認める。腫瘤の下部、右側の辺
縁は明瞭、上部は不明瞭。胸郭からの立ち上がりはなだらか。
(extrapleural sign 胸膜外徴候) 肺外病変であることが示唆される。
【評価】 右鎖骨下動脈瘤
- 52. 19歳/男性: 胸部単純写真異常
A) 立位PA
B) 左頚部・左側胸部にも皮下気腫と思われる透過性亢進域がある。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 食道左縁や下行大動脈に沿って線状の透過性亢進が見られ、縦隔気腫
が疑われる。
F) 右肺尖部には境界明瞭な線状影がある。
【診断】(特発性)縦隔気腫、皮下気腫、右奇静脈葉