ビジネスのための未来学
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新規事業を考えるために、事業の継続性を担保するために、未来のことを考えるの必須の作業です。一方で未来をどの様にとらえるべきか、学んだことがある人はいるでしょうか？ もちろん未来予測は容易ではありません。ただ、未来に起こり得る「変」と未来における「不変」なものを自分事としてとらえることはできるはずです。そのための入り口をご提供します。
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ビジネスのための未来学
- 1. ビジネスのための未来学 （ワーク無し縮小版） IF Inc. 小塩 篤史 Atsushi Koshio koshio@i-f.co.jp
- 2. 略歴 小塩 篤史（Atsushi Koshio） 株式会社IF 代表取締役CEO 神戸情報大学院大学 客員教授 アジア開発銀行 高度技術活用基金 Lead Specialist 専門分野である、未来学、データサイエンス、人工知能、技術経営などを背景に、未来課題に対して、現場 の知と最先端の研究を活用したソリューションを提案する。 株式会社IFでは未来社会の課題解決に貢献する人工知能や新規事業開発を行い、事業構想大学院大学では、未 来への柔軟な発想力を持った人材育成に取り組む。現在は、その他にも知的IoTを推進する株式会社I cube、 ゲームによる認知症予防を目指す株式会社HyperCubeなどを創業し、アジア開発銀行のAI関連コンサルティン グをおこなっている。 過去の実績として、病院向け意思決定支援システムの開発、クラウドをベースにした電子カルテシステムの 開発・医療情報データ解析のプロジェクト、地域医療情報システムの開発、歯科向け画像解析システム開発等 を実施。その他医療機関やICT企業、製薬メーカー、医療機器メーカーへのコンサルティングを行う。 研究分野では、未来学の方法論構築、イノベーション創発手法の開発、革新的デジタルマーケティング手法、 集合知システムの開発などに取り組み、MITスローン経営大学院とAIやシミュレーションによる経営改善、並 びにデジタルマーケティングに関する共同研究を実施した。 ■現職： ・株式会社IF 代表取締役CEO ・神戸情報大学院大学 情報技術研究科 客員教授 ・株式会社I cube 代表取締役 ・株式会社HYPER CUBE 取締役CIO ・株式会社エブリプラン 特別顧問 ・株式会社ソーシャルヘルスケアデザイン アドバイザー ■社会活動： ・アジア開発銀行 人工知能分野 High Level Technology Lead Specialist ・一般社団法人GESTISS ボードメンバー ・一般社団法人 未来医療研究機構 理事 ・次世代医療経営研究会（約50名）、次世代薬局構想研究会等幹事（約15名） ・名古屋工業大学、信州大学、明治学院大学 非常勤講師 等 ■経歴： ・事業構想大学院大学事業構想研究科 准教授・教授・研究科長 ・マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 客員研究員 ・株式会社CSK-IS 医療グループ 研究員・コンサルタント ・東京大学政策ビジョン研究センター 特任研究員 ・日本医科大学医療管理学教室 助教 ・文部科学省科学技術学術政策研究所 客員研究官（医療分野） その他、有識者委員など多数 ■執筆： ・2014年「事業構想学を構想する」月刊事業構想 ・2013年「Projecting Long Term Care Needs in Japan」国際マイクロシミュレーション学会、 「医療ビッグデータの現状と展望」 その他、学会誌、記事等多数 ■学歴： ・東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程 ・マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 客員学生 ■その他：主な事業受託実績 ・厚生労働省、文部科学省、経済産業省、総務省、滋賀県、長野県 ・大手メーカー、大手物流、大手通信事業者等の人工知能開発、経営戦略立案、新規事業開発
- 6. • 目的地を決めずに出発しますか？ • 目的地と現在地の把握 • 目的地の多そうな道を選んでいる
- 12. イノベーションのための７つの機会 ドラッカーは、イノベーションを起こせる機会は７つあると分析 第４の機会 第５の機会 第６の機会 第７の機会 顧客の反応、売れ筋の変化など、予期せぬことが起こった時は、 イノベーションの予兆である可能性が高い 第１の機会 予期しない変化 飛行機の発明、ペニシリンの発見といった知識によるイノベーション。 当たれば大きいが、成功のチャンスは極めて低い 第３の機会 顧客のニーズをつかめたらイノベーションのチャンス。しかし、ニー ズに合った新たな商品やサービスをゼロから開発するのは難しい ニーズの存在 産業構造が変化するときはイノベーションの大きなチャンスである と同時に、イノベーションを起こせない企業は衰退する産業構造の変化 少子高齢化、ベビーブームなど、人口構造の変化は新たな市場 を生み、イノベーションのビッグチャンスが出現する 人口構造の変化 健康意識、ライフスタイルなど認識の変化は、これまでなかった 新たな市場を生み、イノベーションの可能性を広げる 認識の変化 第２の機会 ギャップの存在 需要と業績、常識と実際などギャップが生じている場合は イノベーションの予兆である可能性が高い 新しい知識の出現 ひらめきやアイデア どんなに素晴らしいイノベーションでも、「ひらめき」には再現性 がない。それに期待するのはギャンブルに等しい論外 高 中 低 難易度 未来洞察 から見える もの 基礎研究
- 15. ビジネスのための未来学 • 未来学とは「変」と「不変」に関する分野と定義する • 「不変の追求」と「変化の読み解き」 • そのための資料としての「変の探求」
- 16. 「不変の追求」 • 変化する未来社会の中でも「不変」なものを想像する →変化を前提とした不変なもの • 抽象的「不変性」を追求し、変化する未来環境に落とし込む →現象としての不変性ではなく、背後の概念的不変性に注目 • 未来の環境でも通じるビジョンを構想すること
- 17. 「変化の読み解き」 • 未来予測のための方法論 • 未来予測そのものよりも、未来予測を前提を定めることが重要 • 変化の兆しをいかに発見するのか→「変の探求」
- 21. 国際的な未来学の歴史 〇歴史変動の研究 司馬遷 イブンハァルドゥーン 〇ユートピア研究 プラトン トマスモア 〇未来学の始祖 HGウェルズ foresight概念
- 22. アメリカにおける未来学の発展 〇アメリカでの発展 社会工学的アプローチをとるロシアへの戦略的対抗軸として発展 ハーマンカーン RAND Peter Schwartz シェル 〇学術的展開 サイバネティクス マクルーハン・バックミンスターフラー 〇社会への警鐘として レイチェルカーソン ローマクラブ
- 23. 1 未経験科学 としての 未来学 時間軸 未来 史学 外挿法−101年−現未来史 文明史的−102年−近未来史 人類史的−103年−中未来史 地球史的−104年−遠未来史 生物史・ 考未来学 2 2’ 経験科学 としての 未来学 先験科学 としての 未来学 無時間的 文化人類学・宗教学・心理学など 哲学 理論未来学 3 応用未来学 政策・工学・経済など 応用未来学 梅棹の定義する未来学領域
- 25. Backcasting
- 32. The Best way to predict future is to invent it. Alan Kay
- 40. バックキャスティングのトレーニング • 考え方を転換するためにバックキャスティングは有効 • 思考の枠組みを外す 30年後などの未来に時間軸を設定することで、発想が自由に なる（オズボーンの６ハット的効果） • 夢や理想を言語化する やりたいことや理想論を語る時間が極端に少ない
- 43. プロセス Input 入力条件 Output 出力 逆算的思考法 積み上げ的問題設定が多い １＋１＝？ 〇＋〇=1000 英語と国語が得意だから翻訳家を目指す 翻訳家になりたいから、〇〇をおこなう
- 44. 未来の理想の概念化 • いきなり答えには辿り着かない たくさんの言語化作業の上に 立脚する • 具体的だけれでも今とは違うものをどのようにたくさん発想す るか？
- 45. 未来の「住む」 • 一緒に住む • 二か所に住む • 家以外に住む 「名詞」発想は機能に 「動詞」発想は体験（ライフスタイル）に
- 46. 「動詞」で考える意味 • 主語をイメージすることが出来る 抽象的な未来像をより具体的に考えることができる 未来のペルソナを併せて考えて、それぞれの人びとにとって理想 的なライフスタイルを考える • 「ライフスタイル」につながる • 「動詞」は最後の砦
- 47. 住民の未来に関する対話 生活の中の「動詞」から理想を考える • 住む • 働く • 遊ぶ • 治す • 買う • ケアされる • 動く • 育てる • 学ぶ • 癒される • つながる • 死ぬ • 寝る • 愛する • 支える • 助ける • 食べる • 創る • 儲ける • 話す • 聞く • 残す • 飲む • 乘る 等
- 48. 理想を考えるために • 未来をイメージするのは、未来の技術を使うためではない • 未来の中で本当に理想の姿を具体化する作業 • 自分・あるいは子供が過ごしたい本当の理想の「暮らし」は何 だろうか？
- 49. 「変化の読み解き」 • 未来予測のための方法論 未来洞察 • 未来予測そのものよりも、未来予測を前提を定めることが重要 • 変化の兆しをいかに発見するのか→「変の探求」
- 51. 「変の探求」 • 変なものに目を光らせる • 自分が感じる違和感 • 常識や非常識 • 変な人 • リードユーザー
- 52. DEVELOPING NEW PRODUCTS: THE LEAD USER STRATEGY 新商品開発のためのリードユーザー戦略 ○ Lead User：by Dr. Eric von Hippel @MIT ●新製品や新技術の初期 利用者 ● リードユーザーは、商 業的解決策がない場 合、解決策をつくる (インディアンで ‘Jugaad’)
- 54. 最も有名な未来シナリオ
- 61. Super System System Sub System 過去 現在 未来 2X年 X年 考える 対象 機能や要素技 術 社会制度や インフラ ① ② ⑦ ⑧③⑥ ④ ⑤ ⑨ 未来の対象 過去と現在の差分 から予測される未 来の機能や要素技 術 過去と現在の差分 から予測される未 来の社会制度やイ ンフラ 過去の社会制 度やインフラ 過去の 考える 対象 過去の対象の 機能や要素技 術 ９WINDOWS from TRIZ
- 62. Super System System Sub System 過去 現在 未来 2X年 X年 健康 薬やサプリメ ント 運動 医療保険 病院・診療所 ① ② ⑦ ⑧③⑥ ④ ⑨ 未来の健康 薬やサプリメント を活用しながら、 健康的な行いがで きる よりインフラは身 近になる 自宅？ 療養所 健康 道を行い、善を積む ことを楽しむ 病にかかることの無 い健康な生活を快く 楽しむ（養生訓） ９WINDOWS from TRIZ
- 63. 世界の人口波動 出典：古田隆彦『人口波動で未来を読む』 120億 20億 40億 60億 80億 100億 1600 1800 2000 2200 2.5億 3.0億 3.5億 4.0億 4.5億 900 1100 1300 1.0億 1.5億 2.0億 2.5億 -2500 -1500 -500 500 1000万 2000万 3000万 4000万 5000万 -8000 -6000 -4000 0 100万 200万 300万 400万 500万 600万 -50000 -40000 -30000 -20000 -10000 人 口 西暦 石器前波 石器後波 農業前波 農業後波 工業現波 世界歴史 ﾙﾈｻﾝｽ 現在
- 64. 先進国の寿命変遷 鬼頭ら、生命表による 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 1750 1800 1850 1900 1950 2000 スエーデン, ベルギー, デンマーク, イギリス フィンランド フランス イタリア オランダ スイス 日本 ゼロ歳 平均余命 欧州 1910頃 日本 1947 50歳を越えた年 日本特定の村 日本全国 産 業 革 命 近 代 医 学 成 立 2 つ の 世 界 戦 争
- 65. 生涯未婚率 50歳までの未婚率 男女別、人口問題研究所2012年推計 0 5 10 15 20 25 30 1920 1940 1960 1980 2000 2020 男 女 団 塊 世 代 団 塊 Jr 世 代 昭 和 一 桁 世 代 現 在 ％ 1/3近く 1/4近く
- 69. 日本の文化を創ってきた４４の生活原理（90歳ヒアリングから得られたキーワード） 1. 自然に寄り添って暮らす 2. 自然を活かす知恵 3. 山、川、海から得る食材 4. 食の基本は自給自足 5. 手間隙かけて作る保存食 6. 質素な毎日の食事 7. ハレの日はごちそう 8. 野山で遊びほうける 9. 水を巧みに利用する（水を使い分ける、 水を確保する） 10. 燃料は近くの山や林から 11. 家の中心に火がある 12. 自然物に手をあわせる 13. 庭の木が暮らしを支える 14. 暮らしを映す家のかたち 15. 一年分を備蓄する 16. 何でも手作りする 17. 直しながらていねいに使う 18. 最後の最後まで使う 19. 工夫を重ねる 20. 身近に生きものがいる 21. 暮らしの中に歌がある 22. 助け合うしくみ 23. 分け合う気持ち 24. つきあいの楽しみ 25. 人をもてなす 26. 出会いの場がある 27. 祭りと市の楽しみ 28. 行事を守る 29. 身近な生と死 30. 大勢で暮らす 31. 家族を思いやる 32. みんなが役割を持つ 33. 子どもも働く 34. ともに暮らしながら伝える 35. いくつもの生業を持つ 36. お金を介さないやりとり 37. 町と村のつながり 38. 小さな店、町場のにぎわい 39. 振り売り、量り売り 40. どこまでも歩く 41. ささやかな贅沢 42. ちょっといい話 43. ちょうどいい塩梅 44. 生かされて生きる