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Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 0‐ ©2013 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved
ブロックチェーン技術を用いた
仮想通貨とスマートコントラクト
~その私法・国際私法上の論点と課題~
©2016 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved
June 2018
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増 島 雅 和
Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐
<自己紹介>
増 島 雅 和(ますじま まさかず)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰
http://startupinnovators.jp/
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当)
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、
日本ブロックチェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会顧問、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等
2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員
2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員
経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
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ブロックチェーンの定義と基本的な仕組み
ブロックチェーンの基礎
http://bitcoin.peryaudo.org/design.html
① 各取引は、(i)支払元Aのアドレスが過去受け取り他のアドレスに移転されていないもの=unspent transaction
output(UTXO)のうちどれを移転させるか、(ii)送付先Bのアドレスとその送付額 が記述されている。
② AのUTXOを他のアドレスに移転させる取引を生成・実行できるのは、アドレスの秘密鍵を持っているAのみ
③ 各取引は10分に1つのプロックにまとめて記録されて帳簿の1ページを構成、これが糊付けられることでブロックチェーンを構成す
る
④ n番目のブロックのヘッダには(i)取引内容を要約したハッシュ値、(ii)n-1番めのブロックの内容ハッシュ値、(iii)ブロック作成時刻
等、(iv)nonceが含まれる。nonceは、各ブロックの内容のハッシュ値が一定の数より小さくなくてはならない、という条件を満た
す値である必要があり、ブロックの生成作業は、マイナーがこの条件を満たすnonceをいち早く発見したものが勝者となる
⑤ 勝者となったマイナーが新たなブロックをn番目のブロックとしてネットワーク上にブロードキャストし、各マイナーはこれを確認してn
番目のブロックを接続する。これにより、各ノードのブロックチェーンの統一が図られる。
「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束す
るプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」
「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に
分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェー
ンと呼ぶ。」
一般社団法人日本ブロックチェーン協会HPより
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ブロックチェーンが採用する技術とバリエーション
ブロックチェーンの基礎
ブロックチェーンを構成する技術の概要
分散型台帳/
P2Pネットワーク
ノード(コンピュータの端末)同士が対等にデータをやり取り
⇒ ネットワーク参加者全員による管理を実現
分散型合意形成技術
Proof of Work(PoW)又はこれに類似するプロセス(ビットコインでは「マイニング」と呼ばれる一定の
計算競争を伴うプロセス)
⇒ 参加者全員で管理する分散型台帳を整合的に更新
⇒ 悪意あるノードが存在しても、改ざん・二重譲渡は困難
暗号学的ハッシュ関数
元データが改ざんされていないか確認
⇒ データの連続性の保証
デジタル署名
秘密鍵を利用した電子署名(RSA, DSA, ECDSA)
⇒ なりすましの防止
ノード管理の形態 パブリック プライベート コンソーシアム
管理者 なし(ノード全員) 単独 複数パートナー
ノードへの参加
自由
(permissionless)
管理者による許可制
(permissioned)
合意形成の厳格さ 厳格 厳格でないことも可能
トランザクション速度 遅い 早い
 ブロックチェーン技術は、特定の帳簿管理者による事務処理への信頼を前提とせずに、帳簿の完全性(インテグリティ)を確保
することが技術的に可能であること(トラストレス)に革新性がある。
 一方において、トラストレス構造を維持するためのコンセンサス獲得に時間とコストがかかり、実務における取引帳簿として有用
な形で機能するために必要な処理速度(スケーラビリティ)を確保することが難しいという問題への対処が求められている。
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帳簿(データベース)を共有し、その書き換えに帳簿の共有者のコンセンサスを必要とするというブロックチェー
ンの特徴そのものが、単一の管理者が全体を管理する一般的なシステムと異なるリスクを顕現させる。
帳簿の完全性(インテグリティ)が他のノードに依存する仕組み
「誰がノードを持っているのか」(ノードを持っている人が信頼できる人であることを確認できるか)がリスクの評価にとってクリティカルに
重要
Permissionless Blockchain:誰でもノードを持つことができる
 ノード保有者のアイデンティティを確認できない(バックグラウンドチェック不能)
 コンセンサス確保の仕組みが重くなり、スケーラビリティの問題が発生
 すべての取引が透明化されるため、プライバシーの確保のための技術的な工夫が必要
諸リスクのコントロールは、ガバナンス枠組み(人)に置くことができないため、「コードに対する信頼」により確保される
Permissioned Blockchain:コンソーシアム又は管理者がシステムのアップデートを管理
 管理者による参加者のコントロール
 スケーラビリティやプライバシーの問題も顔が見える人同士のコンセンサスによって行われる
諸リスクのコントロールは、「コード+ガバナンス枠組み(人)に対する信頼」により確保される。
ブロックチェーンの基礎(リスクとガバナンス)
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資金決済法上の仮想通貨の定義
(1) 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用
することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電
子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。)であって、電子情報処理
組織を用いて移転することができるもの; 又は
(2) 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的
方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。)であって、電子情報処理組織
を用いて移転することができるもの
仮想通貨
ネットワーク経由で
移転できるか
Yes Yes
電子的記録か
Yes法定通貨又は通貨
建資産にあたるか
仮想通貨ではない
Yes不特定者への支
払に利用可能か
市場取引可能か
Yes
2号仮想通貨
1号仮想通貨No
No NoNoNo Yes
市場で1号仮想通貨と
相互交換可能か
<仮想通貨認定フローチャート>
No
仮想通貨の意義
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以下の条件を満たす電子的に記録された財産的価値:
(1) 不特定者に対する支払手段
(a)支払手段
(b)特定の者に対するものではない
すなわち : 以下のものは仮想通貨ではない
• 企業内コイン
• 加盟店でのみ用いることができる電子マネー
(2) 不特定者と取引可能
(a)購入及び売却が可能
(b)特定の者に対するものではない
すなわち : 一定の流動性を持つことが必要
ゲーム内通貨, リワードポイント, プリペイドカードは仮想通貨ではない
コンピュータネットワークにより移転可能
(a) 移転可能性
(b) コンピュータネットワーク(≒インターネット)により
法定通貨又は通貨建資産
(a) 法定通貨 = 本邦通貨 + 外国通貨
(b) 通貨建資産 : 銀行預金、債券、その他通貨にリンクした資産
不特定者との間ので1号仮想通貨と交換可能
(a) 1号仮想通貨と交換可能
(b) 特定の者との間のみではない
例 ビットコインと交換可能なアルトコイン
1号仮想通貨 2号仮想通貨
かつ
ただし、以下を除く
資金決済法上の仮想通貨の要件分析
仮想通貨の意義
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仮想通貨の定義を巡る展開
仮想通貨の意義
「仮想通貨」とは、分散型サービスに対して使用される①支払手段かつ②リソース提供者に対する報酬であり、従来型
の中央集権型ビジネスにおける電子マネー(前払式支払手段)と同列のものとして位置づけられる、という説
(例1)ビットコイン : ペイメントの分散型アプリケーション
 ペイメントとは、ユーザーの残高を追跡・更新する(=管理する)ことができる機能
 紙幣など物理的な形態をとらずにこれを行うため、信頼できる残高管理の主体が必要
 ナカモトサトシ論文の提案する解決方法は以下のとおり
• P2Pネットワークを作り、すべての取引を全員に通知する
• 通知では、ネットワーク上で消費したい資金を特定、これを暗号を用いて署名することでその取引が自ら行ったものであることが分かるようにする
• 二重消費を防止するためのタイムスタンプが必要になる。その方法として①誰かに最初の取引につきタイムスタンプを押させる方法、②タイムスタ
ンパーを競争によって都度決める方法がある
• 競争による解決はマーケットソリューション、そのためには報酬が必要になる。これがビットコイン
• 競争の手段は電気代を食う計算競争とする。コストを掛けさせてリワードすることで、同じコストを割いて悪事を働くインセンティブを下げる。これに
よりアダム・スミスの言う「我々が食事をできるのは、肉屋や酒屋やパン屋の主人が博愛心を発揮するからではなく、自分の利益を追求するからで
ある」と同じ原理を作り出し、ペイメントの仕組みを回す
• 電気代の支払いのためにマイナーはビットコインを売却することになり、これによりビットコインが流通することになる
• ビットコインは、中央管理者を市場競争に置き換えるためのリワードとして機能するとともに、支払ネットワーク上の支払手段として機能する
(例2)Filecoin : ストレージサービスの分散型アプリケーション
 余剰ハードディスクスペースの提供者に対し、報酬としてFilecoinが提供される
 ユーザーは、P2Pネットワーク上のストレージを用いるためにFilecoinが必要となる。
(例3)Ethereum : 分散型サービスを組成するための分散型アプリケーション(world computer)
 Ethereumの利用者(開発者)は、etherによるP2Pネットワークが既に組成されている上にアプリケーションを展開することができる
 コンピューティングリソースの提供者に対し、報酬としてetherが提供される
最初にうまれたビットコインが、たまたまペイメントアプリケーションのためのトークンだったため、仮想通貨は通貨に替わるなにかなのでは
ないかと世界中の人が誤解した可能性がある
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リソース
提供者
リソース
利用者
<Decentralized Apps> <トークンマーケット>
(仮想通貨取引所・販売所)
リソース
提供者
リソース
提供者
リソース
利用者
リソース
利用者
投資家
投資家
リソース
提供者
リソース
利用者
ネットワーク
開発者
多くの事業者は、仮想通貨の特性を活かすべく、国境を越えて展開されるサービスの支払手段(Utility Token,
App Token)として仮想通貨を活用することを見込んでサービス開発を行っている
仮想通貨支払
リソース提供
取引認証? 他の付加価値提供?
交換業者
仮想通貨のフロー
<分散型ビジネスモデル>
仮想通貨の意義
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仮想通貨の定義を巡る現状
仮想通貨の意義
<ペイメント・トークン>
 プロトコル・トークン:幅広い支払いのために用いられるべく設計されたもの
- Bitcoin, Ether等
- 多くの国で規制の対象外となっており、日本では仮想通貨として規制される
 ユーティリティトークン:特定のサービスやネットワークへのアクセス(支払)手段として用いられるべく設計さ
れたもの
- ERC20等を用いて生成されたトークン
- ICOで発行されるもののほとんどはUtility Token
- ユーティリティトークンは、日本では前払式支払手段か仮想通貨のいずれかに分類されるケースが多い
<アセット・トークン>
 証券トークン(Security Token):他人の事業からの経済的利益に参加(有価証券のトークン化)
- 米国ではHowey Test等により判断
- 日本では集団投資スキームの定義等に照らして判断
- 株式等のブロックチェーン化もSecurity Tokenと同じカテゴリ
 証券以外の資産トークン(Asset Token)
- ゴールドのトークン化、石油のトークン化、在庫のトークン化等
- トークンは、実アセットをアンダーライニングアセットとする引渡証、倉荷証券、船荷証券等であり、既存の何らかの証書の
電子化ととらえられる(Permissioned Blockchainの場合には証書構成をすることなく、一定の契約をブロックチェーン
により実装したものととらえられる)
- 「既存の何らかの証書」が証券法で規制されるものである場合にはSecurity Tokenと呼ばれ、証券法の規制外のもの
である場合にはAsset Tokenと呼ばれる
両者の差異は相対的
両者のミシン目がどこに
入るかは各国の証券法
次第
解釈による証券法制の
せり出し
解釈による仮想通貨法
制のせり出し
Virtual currency, cryptocurrencyという呼称が誤解を招くとして、cryptoassetと呼称する傾向が強まっている
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仮想通貨の意義
仮想通貨の私法上の性質についての我が国の議論の概要
実務において数千種類ものcryptoassetの発行が試みられ、独自に利用・流通が進んでいる現状にもかかわらず、特段の根拠なく
「ビットコイン」をその代表であると決めつけ、ビットコインを念頭に仮想通貨の私法上の性質や個別の論点を検討する、ということが未
だに日本の私法研究の世界で行われている。
<議論の対象の例>
 仮想通貨の私法上の性質
 仮想通貨に物権(又はこれに準ずるもの)、ないしは何らかの財産権としての地位を認める
 秘密鍵の排他的な管理を通じ、これに紐づくアドレスからアクセスできるビットコインを任意のアドレスに送付できる状態を独占
しているという事実状態に過ぎない
 ブロックチェーンのプログラム・コードに従うことの同意によって享受することができる経済的な利益
 個別論点として、以下の各論
 無権限者による仮想通貨の移転が行われた場合の元保有者の権利
 仮想通貨の預託が行われた場合における、預託者の権利
 仮想通貨の信託可能性
 ネットワーク参加者以外の者に対する効力(強制執行、相続等)
ビットコインを超えて、ブロックチェーン技術を用いた様々な特性を持つCryptoassetsが生まれている現状に鑑みると、ブロックチェーン
技術という、中央管理者が帳簿(口座)の記録の状態を一意にコントロールできるわけではないという仕様のElectronic
Transferrable Recordsによる何らかの価値記録の残高の増減を、法的にどのように理解・整理すればよいか、というアプローチから
議論すべきではないか。
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仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
森田宏樹教授による日本法における有価証券のペーパーレス化の基礎理論の概要
振替口座簿の記録をベースとする権利移転の法的仕組みについての森田宏樹教授の考察
 口座の記録の法的意義
 口座の記録は単なる形式(権利の証明手段)ではなく、権利の帰属それ自体が振替口座簿の記録によって定まる(実体説)
 紙・電子の媒体の差異を超えて両者に共通して妥当する有価証券法理の基礎として以下が認められる
<権利の存在形式について>
• 有価証券上の権利が券面に化体されることによって、あたかも動産のように流通する法的性質を獲得したこととパラレルに考え、振替口座簿の記録は、
紙媒体である券面に代わる新たな権利の媒体であって、有価証券上の権利が振替口座簿の記録と結び付けられることによって実在性が付与される
(振替口座簿は有価証券上の権利の新たな存在形式であるとの考え方)
• 「紙という有体物への化体」という構成によって、権利移転や善意取得等について、有体動産の「占有」を基礎として妥当する法的規律を有価証券に
も適用できるようになったのに対し、有体動産性のない電子データにとっては、「化体」という構成を経る必要性がなく、端的に口座名義人が権利の帰属
者であり、口座記録の更新によって権利が移転すると考えれば足りる。
<振替口座の記録により権利の帰属、移転、消滅等の実態法上の効果が発生するとすることの理論的な意味について>
• 抽象的・観念的な権利が形式を通じて外形的に認識できて初めて、具体的な権利行使が可能になるところ、口座記録の実体法上の効果は有価証
券上の権利に対する「事実上の支配権限」であり、法的にはこれをもって「占有」と捉えることができる(有価証券上の権利は、振替口座簿に記載され
た者が「占有」しており、権利に対する占有(事実上の支配権限)の取得によって、権利の「実在化」が図られる)。
- 紙媒体の券面は「所持」という物理的な支配を通じて、化体された権利を具体的に行使できたのと同様に、振替口座簿の記録は、口座管理機関との関係におい
て、制度上、振替口座簿に記録された口座名義人のみが有価証券上の権利の行使が認められているという意味で「事実上の支配権限」が認められる(民法
205条の「準占有」に相当)。
- 振替口座の記録は、この紙媒体の券面と「占有」概念を共有していることによって、有価証券法理の継承が可能になっている。
- 電子的な記録に有価証券上の権利の発生、移転、消滅等の効果を付与することとしているのは、理論的には、有価証券上の権利の準占有に対して、権利の発
生、移転、消滅等の実態法上の効果を付与することにほかならない。
 振替口座の増額記録による権利移転の有効要件
 振替法における権利移転は、(i)増額記録が譲渡人の意思に基づくものであること、及び(ii)当事者間に有効な譲渡契約が存在すること(原因
行為の有効性)が要件
 (i)は譲渡人による帳簿管理者に対する振替の申請が必要ということ(帳簿管理者による一方的な増額や第三者による記録書換えでは移転
の効果が発生しないということ)を、(ii)は移転記録の無因性は認められていないことを、それぞれ意味している。
 これは、有価証券上の権利が口座名義人に直接に帰属し、同一性を保ちながら移転するという直接保有方式を日本法が採用していることと関
係している。
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森田宏樹教授による日本法における有価証券のペーパーレス化の基礎理論の概要
 誤記録による善意取得
 不適法な振替の申請がなされたために口座の増額記録がなされた場合、悪意又は重過失がない限りは記録に関する権利を取得すること(法
77条、102条、152条、184条、207条、237条)の理論的な基礎
• 券面の占有に対して認められる実体法上の効果を、電子化された有価証券上の権利の「準占有」に当たる口座記録に対して及ぼしたもの。これにより流
通を保護する効果を期待。
 帳簿管理者の過誤により、実際よりも多額の過大記録がなされた場合、悪意又は重過失がない限りは記録に関する権利を取得することの理論
的な基礎
• 帳簿管理者が消却・解消義務を負い、それまでの間、発行者は超過分についての義務を負わず、超過分は発行者に対抗できない。超過分の免責は誤
記録をした帳簿管理者の加入者の権利が按分的に縮減(法78-81条、103-106条、153-156条、185-188条、208-211条、238-241条)
• 振替口座簿の記録に対する信頼を確保するため、帳簿管理者に善意取得者に対する保障責任を課したもの。
 人的抗弁の切断効
 有価証券上の権利を設定する際に、証券への高度の流通性を付与するために、義務者が予め人的抗弁の大綱を放棄する意思を定型的に示
していることに求められる。
 これは、有価証券法理から導かれるものではなく、振替口座簿に記録される有価証券上の権利それ自体に付与された法的効果。
 口座管理機関との法律関係
 直接保有方式:振替口座簿に記録される有価証券上の権利は、加入者に直接帰属し、口座振替によって同一性を保ったまま移転
 間接保有方式:加入者は口座管理機関を通じて間接的に有価証券上の権利を保有する(有価証券上の権利は口座管理機関に帰属し、
加入者は口座管理機関に対する信託受益権的な権利を保有-security entitlement)。したがって、振替決済による権利の移転は、譲渡
人の口座管理機関に対する権利の消滅と、譲受人の口座管理機関に対する権利の成立によって実現する。
• 間接保有方式による権利移転の考え方によると、譲渡人の振替申請の意思に基づかない場合や、有効な譲渡契約が存在しない場合であっても、譲受
人の振替口座簿の増額記録によって、譲受人が口座管理機関に対する権利を有効に取得することになる。
• これは、金融機関に対する預金口座を基礎とした金銭の振込取引にて採用されている法的構成と同じ。
 両方式の相違に基づく法的効果の差異
• 間接保有方式は、譲渡人の振替申請の意思の瑕疵や権利移転の原因行為の瑕疵から、譲受人の法的効果を遮断する点で、取引安全をより強く保護
する仕組み。その結果、善意取得制度によって取引安全を確保する必要性はなくなる。
• 口座管理機関が破綻した場合、直接保有方式であれば加入者は有価証券上の権利の取戻権を保有する反面、間接保有方式であれば、加入者は口
座管理機関に対する債権的権利しか持たない。
• 代替性のある資産の間接保有方式による管理は、混蔵型となるのに対し、直接保有方式の場合には記録そのものに加入者の直接的な権利性を認める
ため、紙媒体のように混蔵型と解する必要がなくなる。
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
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有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上の暗号資産への応用
<ペイメントトークンとアセットトークンの違い>
 アセットトークンは、セキュリティ・トークンであるか否かにかかわらず、アンダーライニングアセットや権利が存在
- ブロックチェーン技術と振替口座簿が採用する中央管理者方式の差異に注意しながら、有価証券の電子化の議論の応用に抵抗感が少ない
 ペイメントトークンは、明確なアンダーライニングアセットや権利を前提としていないが…
• 前払式支払手段型のペイメントトークンをブロックチェーンに乗せるケース
• ICOトークン(多くの場合パブリックブロックチェーン上で展開)をブロックチェーンに乗せるケース
• ビットコインやイーサをブロックチェーンに乗せるケース
- 技術としては同じブロックチェーン上に乗っているものについて、実体法上の権利が何に該当するかによって、アセットトークンの場合と異なる形で、
権利移転の法的仕組み等について議論の展開をしなければならないという理論的な根拠はないのではないか?
- ましてや、なにがアセットトークンであり、なにがユーティリティトークン(ペイメントトークン)であるかについての明確な線引きは存在していない。
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
暗号資産についても、権利移転部分については、基礎理論のあてはめが一定程度可能ではないか?
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有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上の暗号資産への応用
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
 ブロックチェーン上の暗号資産の記録の意味
 ノードの保有者(ブロックチェーン上に直接記録されている者≒交換業者等)
• UTXOを他のアドレスに移転させる取引を生成・実行できるのは、アドレスの秘密鍵を持っている者のみであり、アドレス上のUTXOを事実上支配している
• この事実上の支配状態をもって、当該UTXOを占有していると見ることが可能
 ノードを保有する事業者が提供する口座を保有する者(≒交換業者の顧客)
• ブロックチェーン上の直接記録者は交換業者であり、交換業者が提供するID・PWを通じて交換業者が管理するウォレット上に展開されるアドレスにアクセス
可能(秘密鍵は通常は保持していない)
• 交換業者がID・PWの管理体制(ガバナンス体制)を備えるべきことが制度上確保されていれば、そのID・PWに紐づくアドレス上に管理される暗号資産に
ついては、顧客がこれを占有していると見ることが可能
• ただし、この占有は、交換業者のRDB上にて残高管理されており、暗号資産にアクセスするための秘密鍵は交換業者が管理しているから、金融機関の預
金口座と同様、間接保有方式となっている。
 権利の移転要件
 ノードの保有者(交換業者)
ブロックチェーン上の記録の更新を伴うことになる
<記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合>
• 譲渡人による更新申請の意思+有効な譲渡契約の存在 を権利移転要件とすることが可能であり、振替法と同等の規律に服することになる(直接保有方
式)。
• これと異なるルールとすることも禁じられているわけではなく、それは管理者が定める規約による。
<記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合>
• 権利移転要件がコードに規定されていれば、その要件を満たさない限りはそもそもシステム上記録更新がなされない。
• コードに規定されない権利移転要件があるとした場合、記録更新に関する管理者がいない以上、権利移転要件を満たさない場合に巻き戻しが不可能であ
るため、結局、記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンについては、譲渡人の意思によらない移転が存在しえ、無因性を前提とした移転要件となら
ざるを得ない
※ 「譲渡人の意思によらない移転」が発生しうるようなコードは、インテグリティがないものとしてそもそも信頼されないから、実際には、ビットコインのようにコード
によりインテグリティが確保されているということが、ブロックチェーンとして実務上存在しうる条件となるはず。
 ノード保有者の提供する口座を保有する者(顧客)
<交換業者の顧客間の移転の場合>
• 移転はRDB内で完結し、ブロックチェーン上の記録の更新を伴わない
・ 交換業者の内部ルールによるが、預金債権と同じ構成を採用するのであれば、為替送金の場合と同じロジックとなる。
<交換業者のウォレットからの出庫を伴う場合>
・ ブロックチェーン上の記録の更新を伴うため、上記に同じ
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有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上のトークンへの応用
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
 誤記録による善意取得
 ブロックチェーン上の記録の更新を伴う場合
<記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合>
• 誤記録には、①無権限の譲渡人による場合等、当事者の事情によるものの場合と、②記録管理者の事情によるものの場合が存在
• ①については、口座記録というデジタル資産の占有に対する外観への信頼を保護するために善意取得を認めるのが合理的
• ②については、記録管理者の定める規約によるが、基本的には記録管理者による賠償義務による対応や、同等のデジタル資産を取得して譲渡人に戻す義務等
を負うと考えるのが合理的
<記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合>
• インテグリティの確保されているブロックチェーンであれば、②に相当する事情は原則的に発生しないこととなっている(51%攻撃等の例外はありうる)
• ①については、管理者がいない以上は記録を戻すことも対処をする者も存在しないため、善意取得を認めるのが合理的
なお、譲受人が悪意や重過失の場合にもこれを戻すための権限を持つ者がいない以上、不法行為等の債権的な責任を負うことはあっても、取戻権限はみとめら
れないと解されるべきではないか(これによって、事実上は占有が権利者とほぼ同等の状態になる)
 ブロックチェーン上の記録の更新を伴わない場合(交換業者のRDB内での移転)
• 交換業者の規約によることになるが、預金債権に関する誤振込と同様の規律に服すると考えるのが合理的
 仮想通貨の保有方式
 ノードの保有者(交換業者)
ブロックチェーン上の記録に書き込まれるため、直接保有方式
<記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合>
• 直接保有を主張することができるため、管理者破綻の場合にも直接保有を継続することができる
• 記録されたデジタル資産を直接保有することになるため、混蔵型を観念する必要がない
<記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合>
• もともと管理者が存在しないため、自らデジタル資産を直接占有する
• 混蔵型を観念する必要がない
 ノード保有者の提供する口座を保有する者(顧客)
交換業者が直接保有するデジタル資産に対する権利を持つため、間接保有方式
・ 交換業者が破綻した場合には、債権的な権利しか持たない
・ 交換業者提供のウォレットへの預け入れは、寄託的な整理というよりは仮想通貨の管理の委託として整理される
・ 交換業者によるデジタル資産の混蔵的な保管を観念
分別管理義務を課すことで、問屋に関する昭
和43年最判のような判断又は創設的信託
の成立により利用者保護を狙うことができる
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発行者の存在する暗号資産に関する規律
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
 振替口座について、株式などの有価証券は発行者が存在するが、発行者は振替口座簿の運営の仕組みにおいて重要な役割を担っていない。
 暗号資産についても、permissionlessなブロックチェーンで発行する場合とpermissionedなブロックチェーンで発行する場合が考えられるところ、
permissionedなブロックチェーンでかつ発行者がブロックチェーンの管理者でもある場合には、そのブロックチェーン上での暗号資産の振る舞いについて
は、発行者がネットワークを支配することができるため、通常の中央集権型のサービスと同様、発行者が作成する規約に拘束される。
 したがって問題は、permissionedなブロックチェーンの場合とpermissionlessなブロックチェーンの場合において、ブロックチェーンの管理者ではない発
行者が存在する暗号資産について、私法上の論点やその考え方について整理・理解すること。
視点
<Permissionedブロックチェーンの場合>
 発行者は、ブロックチェーンの管理者が作成する規約に従って、一定の権限を得たり制約を課されたりすることになる。
 これらの権限や制約は、コードによって組み込まれているものも、オフチェーンにおける合意(一般的な規約)によることもある。
 多くの場合、発行者は、暗号資産の発行者として、何らかの管理権限を付与されることが想定され、その権限については、発行者自身が暗号資産の発行
(ICO)に際して、暗号資産の購入者に対して遵守させるべき規約に従って行使されることになる。
<Permissionlessブロックチェーンの場合>
 ICOで数多く利用される、Public Ethereum上で作成するERC20規格に沿って生成されたトークンは、ブロックチェーンレベルでの管理者が存在しないため、
ERC20コードによる規律がコード上の規律として及ぶほかには、Ethereumレベルでの人(組織)によるガバナンスは及ばない
 他方において、ICOにて暗号資産を発行する発行者は、発行の時点で自らの暗号資産の取扱いについて、オフチェーンでの規約を持つことになるので、この暗号資
産の保有者は、この規約に従って、暗号資産を取り扱うことになる。
※ もちろん、コーディファイされていない規約上のルールが遵守されるか、具体的な執行と違反時のエンフォースメントをどうするか、という問題は残るが、これはこれま
での中央集権的なサービスと特段異なるところはない。
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ブロックチェーンのタイプ別にみた暗号資産への権限、権利移転の規律(まとめ)
仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
Permissioned
(Private, Consortium)
Permissionless
(Public)
管理者 顧客 ウォレット提供者 顧客
占有の有無 有り 有り 有り 有り
占有の形式 直接保有 間接保有 直接保有 間接保有
権利移転要件 譲渡意思+有因
外部:譲渡意思+有因
内部:預金債権と同じ コード支配+無因
外部:コード支配+無因
内部:預金債権と同じ
善意取得 -
外部:善意取得あり
内部:預金債権と同じ -
外部:悪意でも取得
内部:預金債権と同じ
管理者破綻時 - 分別管理の限度で保護 - 分別管理の限度で保護
ICOの規律(発行体のある暗号資産の規律)
管理者 発行体 - 発行体
規律の方法
On chain(コード)
Off chain(規約)
コード上で一部権限
Off chain(規約)
-
On chain(コード)
Off chain(規約)
赤字部分:管理者が存在せず、かつグローバルにノードが拡散していることにより抵触法的な調整が必要となる可能性がある事項
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暗号資産に対する規律のあり方から、スマートコントラクトについて検討すべきことが見えてくる
スマートコントラクトへの示唆
スマートコントラクトとは:
ブロックチェーン上の帳簿に記録されている暗号資産残高やその他のステート「A」を、一定のトリガー事由の発生をもって、その事由
に対してあらかじめ設定していたコードを走らせることで、別のステート「B」に自動的に更新する仕組み
(例)
・Aliceがブロックチェーンに記録されたG社株式500株のうち100株を、Bobに100ETHで譲渡
・譲渡期日は2018年6月17日午前0時
・譲渡はBobの100ETHの支払いと引換えに実施
・譲渡は、G社の譲渡承認がBobに通知されることを条件とする
State A
Alice:G社株式500株
Bob: G社株式0株
State B
Alice:G社株式400株
Bob: G社株式100株
State P
Alice:0ETH
Bob: 500ETH
State Q
Alice:100ETH
Bob: 400ETH
2018.6.17 0:00(oracle)
G社譲渡承認
If(条件式)
Then(実行式)
and
and
and
and
and
• 管理者のいるブロックチェーンについては、ブロックチェーン上の振る舞いを含めて、管理者が抵触法上の問題がないようにデザインし、規約を設ければ足りる。
※ グローバルに展開した結果、抵触法上の問題が発生するのであれば、それは管理者がコードを調整するか、又はユーザーがオフチェーンの合意で調整するかすれば足りる。
※ 本質的には、非ブロックチェーンにおけるB/Lの電子化プロジェクトなどと異なる論点は生じない。
• 管理者のいないブロックチェーンについて、その上にグローバルに機能するアプリ(スマートコントラクト)を書いた場合、コーダーが、ブロックチェーン上の振る舞いを含
めて抵触法上の問題がないようにデザインし、規約を設ければ足りる。
※ グローバルに展開した結果、抵触法上の問題が発生するのであれば、それはコーダーがコードを調整するか、又はユーザーがオフチェーンの合意で調整するかすれば足りる。
※ チューリング完全のブロックチェーンを念頭に置けば、抵触法も法である以上、運用される国の法とその適用法令との関係をコーディングすることは理論的に可能と思われる。
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エクイティ・トークンによるグローバルな分散型証券取引所構想
スマートコントラクトへの示唆
 個々の有価証券は、プロトコル・トークンの上に構築されるアプリケーション・トークンとして位置づけられる
 仮想通貨取引所に相当するプレイヤーとして、私設取引システム(PTS)認可を持つ一種業者(又は金融商品取引所)を想定
 仮想通貨がグローバルに取引されているのと同様の状況を、各国の証券法制を遵守したスマートコントラクトの形で実装し(RegTech)、各国の事
業者が運用する取引システムを接続することで創り出す
 現状のパブリックブロックチェーンはトランザクションを大量にさばくことができないが、同一グループの取引所内の決済スピードはブロックチェーンとは一応切
り離して考えることができる
Distributed Ledger
Protocol
(consensus algorithm)
Ether
(token)
Smart contract
Token
Smart contract
Token
Smart contract
Token
<参考> プロトコルトークンとアプリケーショントークンの例(イサリアムの場合)
A国 B国
C国
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弁護士 増 島 雅 和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03.5220.1812
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  • 1. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 0‐ ©2013 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved ブロックチェーン技術を用いた 仮想通貨とスマートコントラクト ~その私法・国際私法上の論点と課題~ ©2016 Mori Hamada & Matsumoto all rights reserved June 2018 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 増 島 雅 和
  • 2. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐ <自己紹介> 増 島 雅 和(ますじま まさかず) 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 2001 弁護士登録 2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス) 2007 ニューヨーク州弁護士登録 2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課 日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰 http://startupinnovators.jp/ 2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員 2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当) 日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、 日本ブロックチェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会顧問、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等 2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員 内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員 全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員 2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員 経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
  • 3. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 2‐ ブロックチェーンの定義と基本的な仕組み ブロックチェーンの基礎 http://bitcoin.peryaudo.org/design.html ① 各取引は、(i)支払元Aのアドレスが過去受け取り他のアドレスに移転されていないもの=unspent transaction output(UTXO)のうちどれを移転させるか、(ii)送付先Bのアドレスとその送付額 が記述されている。 ② AのUTXOを他のアドレスに移転させる取引を生成・実行できるのは、アドレスの秘密鍵を持っているAのみ ③ 各取引は10分に1つのプロックにまとめて記録されて帳簿の1ページを構成、これが糊付けられることでブロックチェーンを構成す る ④ n番目のブロックのヘッダには(i)取引内容を要約したハッシュ値、(ii)n-1番めのブロックの内容ハッシュ値、(iii)ブロック作成時刻 等、(iv)nonceが含まれる。nonceは、各ブロックの内容のハッシュ値が一定の数より小さくなくてはならない、という条件を満た す値である必要があり、ブロックの生成作業は、マイナーがこの条件を満たすnonceをいち早く発見したものが勝者となる ⑤ 勝者となったマイナーが新たなブロックをn番目のブロックとしてネットワーク上にブロードキャストし、各マイナーはこれを確認してn 番目のブロックを接続する。これにより、各ノードのブロックチェーンの統一が図られる。 「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束す るプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」 「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に 分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェー ンと呼ぶ。」 一般社団法人日本ブロックチェーン協会HPより
  • 4. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 3‐ ブロックチェーンが採用する技術とバリエーション ブロックチェーンの基礎 ブロックチェーンを構成する技術の概要 分散型台帳/ P2Pネットワーク ノード(コンピュータの端末)同士が対等にデータをやり取り ⇒ ネットワーク参加者全員による管理を実現 分散型合意形成技術 Proof of Work(PoW)又はこれに類似するプロセス(ビットコインでは「マイニング」と呼ばれる一定の 計算競争を伴うプロセス) ⇒ 参加者全員で管理する分散型台帳を整合的に更新 ⇒ 悪意あるノードが存在しても、改ざん・二重譲渡は困難 暗号学的ハッシュ関数 元データが改ざんされていないか確認 ⇒ データの連続性の保証 デジタル署名 秘密鍵を利用した電子署名(RSA, DSA, ECDSA) ⇒ なりすましの防止 ノード管理の形態 パブリック プライベート コンソーシアム 管理者 なし(ノード全員) 単独 複数パートナー ノードへの参加 自由 (permissionless) 管理者による許可制 (permissioned) 合意形成の厳格さ 厳格 厳格でないことも可能 トランザクション速度 遅い 早い  ブロックチェーン技術は、特定の帳簿管理者による事務処理への信頼を前提とせずに、帳簿の完全性(インテグリティ)を確保 することが技術的に可能であること(トラストレス)に革新性がある。  一方において、トラストレス構造を維持するためのコンセンサス獲得に時間とコストがかかり、実務における取引帳簿として有用 な形で機能するために必要な処理速度(スケーラビリティ)を確保することが難しいという問題への対処が求められている。
  • 5. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 4‐ 帳簿(データベース)を共有し、その書き換えに帳簿の共有者のコンセンサスを必要とするというブロックチェー ンの特徴そのものが、単一の管理者が全体を管理する一般的なシステムと異なるリスクを顕現させる。 帳簿の完全性(インテグリティ)が他のノードに依存する仕組み 「誰がノードを持っているのか」(ノードを持っている人が信頼できる人であることを確認できるか)がリスクの評価にとってクリティカルに 重要 Permissionless Blockchain:誰でもノードを持つことができる  ノード保有者のアイデンティティを確認できない(バックグラウンドチェック不能)  コンセンサス確保の仕組みが重くなり、スケーラビリティの問題が発生  すべての取引が透明化されるため、プライバシーの確保のための技術的な工夫が必要 諸リスクのコントロールは、ガバナンス枠組み(人)に置くことができないため、「コードに対する信頼」により確保される Permissioned Blockchain:コンソーシアム又は管理者がシステムのアップデートを管理  管理者による参加者のコントロール  スケーラビリティやプライバシーの問題も顔が見える人同士のコンセンサスによって行われる 諸リスクのコントロールは、「コード+ガバナンス枠組み(人)に対する信頼」により確保される。 ブロックチェーンの基礎(リスクとガバナンス)
  • 6. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 5‐ 資金決済法上の仮想通貨の定義 (1) 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用 することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電 子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。)であって、電子情報処理 組織を用いて移転することができるもの; 又は (2) 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的 方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。)であって、電子情報処理組織 を用いて移転することができるもの 仮想通貨 ネットワーク経由で 移転できるか Yes Yes 電子的記録か Yes法定通貨又は通貨 建資産にあたるか 仮想通貨ではない Yes不特定者への支 払に利用可能か 市場取引可能か Yes 2号仮想通貨 1号仮想通貨No No NoNoNo Yes 市場で1号仮想通貨と 相互交換可能か <仮想通貨認定フローチャート> No 仮想通貨の意義
  • 7. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 6‐ 以下の条件を満たす電子的に記録された財産的価値: (1) 不特定者に対する支払手段 (a)支払手段 (b)特定の者に対するものではない すなわち : 以下のものは仮想通貨ではない • 企業内コイン • 加盟店でのみ用いることができる電子マネー (2) 不特定者と取引可能 (a)購入及び売却が可能 (b)特定の者に対するものではない すなわち : 一定の流動性を持つことが必要 ゲーム内通貨, リワードポイント, プリペイドカードは仮想通貨ではない コンピュータネットワークにより移転可能 (a) 移転可能性 (b) コンピュータネットワーク(≒インターネット)により 法定通貨又は通貨建資産 (a) 法定通貨 = 本邦通貨 + 外国通貨 (b) 通貨建資産 : 銀行預金、債券、その他通貨にリンクした資産 不特定者との間ので1号仮想通貨と交換可能 (a) 1号仮想通貨と交換可能 (b) 特定の者との間のみではない 例 ビットコインと交換可能なアルトコイン 1号仮想通貨 2号仮想通貨 かつ ただし、以下を除く 資金決済法上の仮想通貨の要件分析 仮想通貨の意義
  • 8. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 7‐ 仮想通貨の定義を巡る展開 仮想通貨の意義 「仮想通貨」とは、分散型サービスに対して使用される①支払手段かつ②リソース提供者に対する報酬であり、従来型 の中央集権型ビジネスにおける電子マネー(前払式支払手段)と同列のものとして位置づけられる、という説 (例1)ビットコイン : ペイメントの分散型アプリケーション  ペイメントとは、ユーザーの残高を追跡・更新する(=管理する)ことができる機能  紙幣など物理的な形態をとらずにこれを行うため、信頼できる残高管理の主体が必要  ナカモトサトシ論文の提案する解決方法は以下のとおり • P2Pネットワークを作り、すべての取引を全員に通知する • 通知では、ネットワーク上で消費したい資金を特定、これを暗号を用いて署名することでその取引が自ら行ったものであることが分かるようにする • 二重消費を防止するためのタイムスタンプが必要になる。その方法として①誰かに最初の取引につきタイムスタンプを押させる方法、②タイムスタ ンパーを競争によって都度決める方法がある • 競争による解決はマーケットソリューション、そのためには報酬が必要になる。これがビットコイン • 競争の手段は電気代を食う計算競争とする。コストを掛けさせてリワードすることで、同じコストを割いて悪事を働くインセンティブを下げる。これに よりアダム・スミスの言う「我々が食事をできるのは、肉屋や酒屋やパン屋の主人が博愛心を発揮するからではなく、自分の利益を追求するからで ある」と同じ原理を作り出し、ペイメントの仕組みを回す • 電気代の支払いのためにマイナーはビットコインを売却することになり、これによりビットコインが流通することになる • ビットコインは、中央管理者を市場競争に置き換えるためのリワードとして機能するとともに、支払ネットワーク上の支払手段として機能する (例2)Filecoin : ストレージサービスの分散型アプリケーション  余剰ハードディスクスペースの提供者に対し、報酬としてFilecoinが提供される  ユーザーは、P2Pネットワーク上のストレージを用いるためにFilecoinが必要となる。 (例3)Ethereum : 分散型サービスを組成するための分散型アプリケーション(world computer)  Ethereumの利用者(開発者)は、etherによるP2Pネットワークが既に組成されている上にアプリケーションを展開することができる  コンピューティングリソースの提供者に対し、報酬としてetherが提供される 最初にうまれたビットコインが、たまたまペイメントアプリケーションのためのトークンだったため、仮想通貨は通貨に替わるなにかなのでは ないかと世界中の人が誤解した可能性がある
  • 9. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 8‐ リソース 提供者 リソース 利用者 <Decentralized Apps> <トークンマーケット> (仮想通貨取引所・販売所) リソース 提供者 リソース 提供者 リソース 利用者 リソース 利用者 投資家 投資家 リソース 提供者 リソース 利用者 ネットワーク 開発者 多くの事業者は、仮想通貨の特性を活かすべく、国境を越えて展開されるサービスの支払手段(Utility Token, App Token)として仮想通貨を活用することを見込んでサービス開発を行っている 仮想通貨支払 リソース提供 取引認証? 他の付加価値提供? 交換業者 仮想通貨のフロー <分散型ビジネスモデル> 仮想通貨の意義
  • 10. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 9‐ 仮想通貨の定義を巡る現状 仮想通貨の意義 <ペイメント・トークン>  プロトコル・トークン:幅広い支払いのために用いられるべく設計されたもの - Bitcoin, Ether等 - 多くの国で規制の対象外となっており、日本では仮想通貨として規制される  ユーティリティトークン:特定のサービスやネットワークへのアクセス(支払)手段として用いられるべく設計さ れたもの - ERC20等を用いて生成されたトークン - ICOで発行されるもののほとんどはUtility Token - ユーティリティトークンは、日本では前払式支払手段か仮想通貨のいずれかに分類されるケースが多い <アセット・トークン>  証券トークン(Security Token):他人の事業からの経済的利益に参加(有価証券のトークン化) - 米国ではHowey Test等により判断 - 日本では集団投資スキームの定義等に照らして判断 - 株式等のブロックチェーン化もSecurity Tokenと同じカテゴリ  証券以外の資産トークン(Asset Token) - ゴールドのトークン化、石油のトークン化、在庫のトークン化等 - トークンは、実アセットをアンダーライニングアセットとする引渡証、倉荷証券、船荷証券等であり、既存の何らかの証書の 電子化ととらえられる(Permissioned Blockchainの場合には証書構成をすることなく、一定の契約をブロックチェーン により実装したものととらえられる) - 「既存の何らかの証書」が証券法で規制されるものである場合にはSecurity Tokenと呼ばれ、証券法の規制外のもの である場合にはAsset Tokenと呼ばれる 両者の差異は相対的 両者のミシン目がどこに 入るかは各国の証券法 次第 解釈による証券法制の せり出し 解釈による仮想通貨法 制のせり出し Virtual currency, cryptocurrencyという呼称が誤解を招くとして、cryptoassetと呼称する傾向が強まっている
  • 11. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 10‐ 仮想通貨の意義 仮想通貨の私法上の性質についての我が国の議論の概要 実務において数千種類ものcryptoassetの発行が試みられ、独自に利用・流通が進んでいる現状にもかかわらず、特段の根拠なく 「ビットコイン」をその代表であると決めつけ、ビットコインを念頭に仮想通貨の私法上の性質や個別の論点を検討する、ということが未 だに日本の私法研究の世界で行われている。 <議論の対象の例>  仮想通貨の私法上の性質  仮想通貨に物権(又はこれに準ずるもの)、ないしは何らかの財産権としての地位を認める  秘密鍵の排他的な管理を通じ、これに紐づくアドレスからアクセスできるビットコインを任意のアドレスに送付できる状態を独占 しているという事実状態に過ぎない  ブロックチェーンのプログラム・コードに従うことの同意によって享受することができる経済的な利益  個別論点として、以下の各論  無権限者による仮想通貨の移転が行われた場合の元保有者の権利  仮想通貨の預託が行われた場合における、預託者の権利  仮想通貨の信託可能性  ネットワーク参加者以外の者に対する効力(強制執行、相続等) ビットコインを超えて、ブロックチェーン技術を用いた様々な特性を持つCryptoassetsが生まれている現状に鑑みると、ブロックチェーン 技術という、中央管理者が帳簿(口座)の記録の状態を一意にコントロールできるわけではないという仕様のElectronic Transferrable Recordsによる何らかの価値記録の残高の増減を、法的にどのように理解・整理すればよいか、というアプローチから 議論すべきではないか。
  • 12. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 11‐ 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考 森田宏樹教授による日本法における有価証券のペーパーレス化の基礎理論の概要 振替口座簿の記録をベースとする権利移転の法的仕組みについての森田宏樹教授の考察  口座の記録の法的意義  口座の記録は単なる形式(権利の証明手段)ではなく、権利の帰属それ自体が振替口座簿の記録によって定まる(実体説)  紙・電子の媒体の差異を超えて両者に共通して妥当する有価証券法理の基礎として以下が認められる <権利の存在形式について> • 有価証券上の権利が券面に化体されることによって、あたかも動産のように流通する法的性質を獲得したこととパラレルに考え、振替口座簿の記録は、 紙媒体である券面に代わる新たな権利の媒体であって、有価証券上の権利が振替口座簿の記録と結び付けられることによって実在性が付与される (振替口座簿は有価証券上の権利の新たな存在形式であるとの考え方) • 「紙という有体物への化体」という構成によって、権利移転や善意取得等について、有体動産の「占有」を基礎として妥当する法的規律を有価証券に も適用できるようになったのに対し、有体動産性のない電子データにとっては、「化体」という構成を経る必要性がなく、端的に口座名義人が権利の帰属 者であり、口座記録の更新によって権利が移転すると考えれば足りる。 <振替口座の記録により権利の帰属、移転、消滅等の実態法上の効果が発生するとすることの理論的な意味について> • 抽象的・観念的な権利が形式を通じて外形的に認識できて初めて、具体的な権利行使が可能になるところ、口座記録の実体法上の効果は有価証 券上の権利に対する「事実上の支配権限」であり、法的にはこれをもって「占有」と捉えることができる(有価証券上の権利は、振替口座簿に記載され た者が「占有」しており、権利に対する占有(事実上の支配権限)の取得によって、権利の「実在化」が図られる)。 - 紙媒体の券面は「所持」という物理的な支配を通じて、化体された権利を具体的に行使できたのと同様に、振替口座簿の記録は、口座管理機関との関係におい て、制度上、振替口座簿に記録された口座名義人のみが有価証券上の権利の行使が認められているという意味で「事実上の支配権限」が認められる(民法 205条の「準占有」に相当)。 - 振替口座の記録は、この紙媒体の券面と「占有」概念を共有していることによって、有価証券法理の継承が可能になっている。 - 電子的な記録に有価証券上の権利の発生、移転、消滅等の効果を付与することとしているのは、理論的には、有価証券上の権利の準占有に対して、権利の発 生、移転、消滅等の実態法上の効果を付与することにほかならない。  振替口座の増額記録による権利移転の有効要件  振替法における権利移転は、(i)増額記録が譲渡人の意思に基づくものであること、及び(ii)当事者間に有効な譲渡契約が存在すること(原因 行為の有効性)が要件  (i)は譲渡人による帳簿管理者に対する振替の申請が必要ということ(帳簿管理者による一方的な増額や第三者による記録書換えでは移転 の効果が発生しないということ)を、(ii)は移転記録の無因性は認められていないことを、それぞれ意味している。  これは、有価証券上の権利が口座名義人に直接に帰属し、同一性を保ちながら移転するという直接保有方式を日本法が採用していることと関 係している。
  • 13. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 12‐ 森田宏樹教授による日本法における有価証券のペーパーレス化の基礎理論の概要  誤記録による善意取得  不適法な振替の申請がなされたために口座の増額記録がなされた場合、悪意又は重過失がない限りは記録に関する権利を取得すること(法 77条、102条、152条、184条、207条、237条)の理論的な基礎 • 券面の占有に対して認められる実体法上の効果を、電子化された有価証券上の権利の「準占有」に当たる口座記録に対して及ぼしたもの。これにより流 通を保護する効果を期待。  帳簿管理者の過誤により、実際よりも多額の過大記録がなされた場合、悪意又は重過失がない限りは記録に関する権利を取得することの理論 的な基礎 • 帳簿管理者が消却・解消義務を負い、それまでの間、発行者は超過分についての義務を負わず、超過分は発行者に対抗できない。超過分の免責は誤 記録をした帳簿管理者の加入者の権利が按分的に縮減(法78-81条、103-106条、153-156条、185-188条、208-211条、238-241条) • 振替口座簿の記録に対する信頼を確保するため、帳簿管理者に善意取得者に対する保障責任を課したもの。  人的抗弁の切断効  有価証券上の権利を設定する際に、証券への高度の流通性を付与するために、義務者が予め人的抗弁の大綱を放棄する意思を定型的に示 していることに求められる。  これは、有価証券法理から導かれるものではなく、振替口座簿に記録される有価証券上の権利それ自体に付与された法的効果。  口座管理機関との法律関係  直接保有方式:振替口座簿に記録される有価証券上の権利は、加入者に直接帰属し、口座振替によって同一性を保ったまま移転  間接保有方式:加入者は口座管理機関を通じて間接的に有価証券上の権利を保有する(有価証券上の権利は口座管理機関に帰属し、 加入者は口座管理機関に対する信託受益権的な権利を保有-security entitlement)。したがって、振替決済による権利の移転は、譲渡 人の口座管理機関に対する権利の消滅と、譲受人の口座管理機関に対する権利の成立によって実現する。 • 間接保有方式による権利移転の考え方によると、譲渡人の振替申請の意思に基づかない場合や、有効な譲渡契約が存在しない場合であっても、譲受 人の振替口座簿の増額記録によって、譲受人が口座管理機関に対する権利を有効に取得することになる。 • これは、金融機関に対する預金口座を基礎とした金銭の振込取引にて採用されている法的構成と同じ。  両方式の相違に基づく法的効果の差異 • 間接保有方式は、譲渡人の振替申請の意思の瑕疵や権利移転の原因行為の瑕疵から、譲受人の法的効果を遮断する点で、取引安全をより強く保護 する仕組み。その結果、善意取得制度によって取引安全を確保する必要性はなくなる。 • 口座管理機関が破綻した場合、直接保有方式であれば加入者は有価証券上の権利の取戻権を保有する反面、間接保有方式であれば、加入者は口 座管理機関に対する債権的権利しか持たない。 • 代替性のある資産の間接保有方式による管理は、混蔵型となるのに対し、直接保有方式の場合には記録そのものに加入者の直接的な権利性を認める ため、紙媒体のように混蔵型と解する必要がなくなる。 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考
  • 14. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 13‐ 有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上の暗号資産への応用 <ペイメントトークンとアセットトークンの違い>  アセットトークンは、セキュリティ・トークンであるか否かにかかわらず、アンダーライニングアセットや権利が存在 - ブロックチェーン技術と振替口座簿が採用する中央管理者方式の差異に注意しながら、有価証券の電子化の議論の応用に抵抗感が少ない  ペイメントトークンは、明確なアンダーライニングアセットや権利を前提としていないが… • 前払式支払手段型のペイメントトークンをブロックチェーンに乗せるケース • ICOトークン(多くの場合パブリックブロックチェーン上で展開)をブロックチェーンに乗せるケース • ビットコインやイーサをブロックチェーンに乗せるケース - 技術としては同じブロックチェーン上に乗っているものについて、実体法上の権利が何に該当するかによって、アセットトークンの場合と異なる形で、 権利移転の法的仕組み等について議論の展開をしなければならないという理論的な根拠はないのではないか? - ましてや、なにがアセットトークンであり、なにがユーティリティトークン(ペイメントトークン)であるかについての明確な線引きは存在していない。 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考 暗号資産についても、権利移転部分については、基礎理論のあてはめが一定程度可能ではないか?
  • 15. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 14‐ 有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上の暗号資産への応用 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考  ブロックチェーン上の暗号資産の記録の意味  ノードの保有者(ブロックチェーン上に直接記録されている者≒交換業者等) • UTXOを他のアドレスに移転させる取引を生成・実行できるのは、アドレスの秘密鍵を持っている者のみであり、アドレス上のUTXOを事実上支配している • この事実上の支配状態をもって、当該UTXOを占有していると見ることが可能  ノードを保有する事業者が提供する口座を保有する者(≒交換業者の顧客) • ブロックチェーン上の直接記録者は交換業者であり、交換業者が提供するID・PWを通じて交換業者が管理するウォレット上に展開されるアドレスにアクセス 可能(秘密鍵は通常は保持していない) • 交換業者がID・PWの管理体制(ガバナンス体制)を備えるべきことが制度上確保されていれば、そのID・PWに紐づくアドレス上に管理される暗号資産に ついては、顧客がこれを占有していると見ることが可能 • ただし、この占有は、交換業者のRDB上にて残高管理されており、暗号資産にアクセスするための秘密鍵は交換業者が管理しているから、金融機関の預 金口座と同様、間接保有方式となっている。  権利の移転要件  ノードの保有者(交換業者) ブロックチェーン上の記録の更新を伴うことになる <記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合> • 譲渡人による更新申請の意思+有効な譲渡契約の存在 を権利移転要件とすることが可能であり、振替法と同等の規律に服することになる(直接保有方 式)。 • これと異なるルールとすることも禁じられているわけではなく、それは管理者が定める規約による。 <記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合> • 権利移転要件がコードに規定されていれば、その要件を満たさない限りはそもそもシステム上記録更新がなされない。 • コードに規定されない権利移転要件があるとした場合、記録更新に関する管理者がいない以上、権利移転要件を満たさない場合に巻き戻しが不可能であ るため、結局、記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンについては、譲渡人の意思によらない移転が存在しえ、無因性を前提とした移転要件となら ざるを得ない ※ 「譲渡人の意思によらない移転」が発生しうるようなコードは、インテグリティがないものとしてそもそも信頼されないから、実際には、ビットコインのようにコード によりインテグリティが確保されているということが、ブロックチェーンとして実務上存在しうる条件となるはず。  ノード保有者の提供する口座を保有する者(顧客) <交換業者の顧客間の移転の場合> • 移転はRDB内で完結し、ブロックチェーン上の記録の更新を伴わない ・ 交換業者の内部ルールによるが、預金債権と同じ構成を採用するのであれば、為替送金の場合と同じロジックとなる。 <交換業者のウォレットからの出庫を伴う場合> ・ ブロックチェーン上の記録の更新を伴うため、上記に同じ
  • 16. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 15‐ 有価証券のペーパーレス化の基礎理論のブロックチェーン技術上のトークンへの応用 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考  誤記録による善意取得  ブロックチェーン上の記録の更新を伴う場合 <記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合> • 誤記録には、①無権限の譲渡人による場合等、当事者の事情によるものの場合と、②記録管理者の事情によるものの場合が存在 • ①については、口座記録というデジタル資産の占有に対する外観への信頼を保護するために善意取得を認めるのが合理的 • ②については、記録管理者の定める規約によるが、基本的には記録管理者による賠償義務による対応や、同等のデジタル資産を取得して譲渡人に戻す義務等 を負うと考えるのが合理的 <記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合> • インテグリティの確保されているブロックチェーンであれば、②に相当する事情は原則的に発生しないこととなっている(51%攻撃等の例外はありうる) • ①については、管理者がいない以上は記録を戻すことも対処をする者も存在しないため、善意取得を認めるのが合理的 なお、譲受人が悪意や重過失の場合にもこれを戻すための権限を持つ者がいない以上、不法行為等の債権的な責任を負うことはあっても、取戻権限はみとめら れないと解されるべきではないか(これによって、事実上は占有が権利者とほぼ同等の状態になる)  ブロックチェーン上の記録の更新を伴わない場合(交換業者のRDB内での移転) • 交換業者の規約によることになるが、預金債権に関する誤振込と同様の規律に服すると考えるのが合理的  仮想通貨の保有方式  ノードの保有者(交換業者) ブロックチェーン上の記録に書き込まれるため、直接保有方式 <記録更新に関する管理者のいるブロックチェーンの場合> • 直接保有を主張することができるため、管理者破綻の場合にも直接保有を継続することができる • 記録されたデジタル資産を直接保有することになるため、混蔵型を観念する必要がない <記録更新に関する管理者のいないブロックチェーンの場合> • もともと管理者が存在しないため、自らデジタル資産を直接占有する • 混蔵型を観念する必要がない  ノード保有者の提供する口座を保有する者(顧客) 交換業者が直接保有するデジタル資産に対する権利を持つため、間接保有方式 ・ 交換業者が破綻した場合には、債権的な権利しか持たない ・ 交換業者提供のウォレットへの預け入れは、寄託的な整理というよりは仮想通貨の管理の委託として整理される ・ 交換業者によるデジタル資産の混蔵的な保管を観念 分別管理義務を課すことで、問屋に関する昭 和43年最判のような判断又は創設的信託 の成立により利用者保護を狙うことができる
  • 17. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 16‐ 発行者の存在する暗号資産に関する規律 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考  振替口座について、株式などの有価証券は発行者が存在するが、発行者は振替口座簿の運営の仕組みにおいて重要な役割を担っていない。  暗号資産についても、permissionlessなブロックチェーンで発行する場合とpermissionedなブロックチェーンで発行する場合が考えられるところ、 permissionedなブロックチェーンでかつ発行者がブロックチェーンの管理者でもある場合には、そのブロックチェーン上での暗号資産の振る舞いについて は、発行者がネットワークを支配することができるため、通常の中央集権型のサービスと同様、発行者が作成する規約に拘束される。  したがって問題は、permissionedなブロックチェーンの場合とpermissionlessなブロックチェーンの場合において、ブロックチェーンの管理者ではない発 行者が存在する暗号資産について、私法上の論点やその考え方について整理・理解すること。 視点 <Permissionedブロックチェーンの場合>  発行者は、ブロックチェーンの管理者が作成する規約に従って、一定の権限を得たり制約を課されたりすることになる。  これらの権限や制約は、コードによって組み込まれているものも、オフチェーンにおける合意(一般的な規約)によることもある。  多くの場合、発行者は、暗号資産の発行者として、何らかの管理権限を付与されることが想定され、その権限については、発行者自身が暗号資産の発行 (ICO)に際して、暗号資産の購入者に対して遵守させるべき規約に従って行使されることになる。 <Permissionlessブロックチェーンの場合>  ICOで数多く利用される、Public Ethereum上で作成するERC20規格に沿って生成されたトークンは、ブロックチェーンレベルでの管理者が存在しないため、 ERC20コードによる規律がコード上の規律として及ぶほかには、Ethereumレベルでの人(組織)によるガバナンスは及ばない  他方において、ICOにて暗号資産を発行する発行者は、発行の時点で自らの暗号資産の取扱いについて、オフチェーンでの規約を持つことになるので、この暗号資 産の保有者は、この規約に従って、暗号資産を取り扱うことになる。 ※ もちろん、コーディファイされていない規約上のルールが遵守されるか、具体的な執行と違反時のエンフォースメントをどうするか、という問題は残るが、これはこれま での中央集権的なサービスと特段異なるところはない。
  • 18. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 17‐ ブロックチェーンのタイプ別にみた暗号資産への権限、権利移転の規律(まとめ) 仮想通貨に関する私法上の議論のアプローチの再考 Permissioned (Private, Consortium) Permissionless (Public) 管理者 顧客 ウォレット提供者 顧客 占有の有無 有り 有り 有り 有り 占有の形式 直接保有 間接保有 直接保有 間接保有 権利移転要件 譲渡意思+有因 外部:譲渡意思+有因 内部:預金債権と同じ コード支配+無因 外部:コード支配+無因 内部:預金債権と同じ 善意取得 - 外部:善意取得あり 内部:預金債権と同じ - 外部:悪意でも取得 内部:預金債権と同じ 管理者破綻時 - 分別管理の限度で保護 - 分別管理の限度で保護 ICOの規律(発行体のある暗号資産の規律) 管理者 発行体 - 発行体 規律の方法 On chain(コード) Off chain(規約) コード上で一部権限 Off chain(規約) - On chain(コード) Off chain(規約) 赤字部分:管理者が存在せず、かつグローバルにノードが拡散していることにより抵触法的な調整が必要となる可能性がある事項
  • 19. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 18‐ 暗号資産に対する規律のあり方から、スマートコントラクトについて検討すべきことが見えてくる スマートコントラクトへの示唆 スマートコントラクトとは: ブロックチェーン上の帳簿に記録されている暗号資産残高やその他のステート「A」を、一定のトリガー事由の発生をもって、その事由 に対してあらかじめ設定していたコードを走らせることで、別のステート「B」に自動的に更新する仕組み (例) ・Aliceがブロックチェーンに記録されたG社株式500株のうち100株を、Bobに100ETHで譲渡 ・譲渡期日は2018年6月17日午前0時 ・譲渡はBobの100ETHの支払いと引換えに実施 ・譲渡は、G社の譲渡承認がBobに通知されることを条件とする State A Alice:G社株式500株 Bob: G社株式0株 State B Alice:G社株式400株 Bob: G社株式100株 State P Alice:0ETH Bob: 500ETH State Q Alice:100ETH Bob: 400ETH 2018.6.17 0:00(oracle) G社譲渡承認 If(条件式) Then(実行式) and and and and and • 管理者のいるブロックチェーンについては、ブロックチェーン上の振る舞いを含めて、管理者が抵触法上の問題がないようにデザインし、規約を設ければ足りる。 ※ グローバルに展開した結果、抵触法上の問題が発生するのであれば、それは管理者がコードを調整するか、又はユーザーがオフチェーンの合意で調整するかすれば足りる。 ※ 本質的には、非ブロックチェーンにおけるB/Lの電子化プロジェクトなどと異なる論点は生じない。 • 管理者のいないブロックチェーンについて、その上にグローバルに機能するアプリ(スマートコントラクト)を書いた場合、コーダーが、ブロックチェーン上の振る舞いを含 めて抵触法上の問題がないようにデザインし、規約を設ければ足りる。 ※ グローバルに展開した結果、抵触法上の問題が発生するのであれば、それはコーダーがコードを調整するか、又はユーザーがオフチェーンの合意で調整するかすれば足りる。 ※ チューリング完全のブロックチェーンを念頭に置けば、抵触法も法である以上、運用される国の法とその適用法令との関係をコーディングすることは理論的に可能と思われる。
  • 20. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 19‐ エクイティ・トークンによるグローバルな分散型証券取引所構想 スマートコントラクトへの示唆  個々の有価証券は、プロトコル・トークンの上に構築されるアプリケーション・トークンとして位置づけられる  仮想通貨取引所に相当するプレイヤーとして、私設取引システム(PTS)認可を持つ一種業者(又は金融商品取引所)を想定  仮想通貨がグローバルに取引されているのと同様の状況を、各国の証券法制を遵守したスマートコントラクトの形で実装し(RegTech)、各国の事 業者が運用する取引システムを接続することで創り出す  現状のパブリックブロックチェーンはトランザクションを大量にさばくことができないが、同一グループの取引所内の決済スピードはブロックチェーンとは一応切 り離して考えることができる Distributed Ledger Protocol (consensus algorithm) Ether (token) Smart contract Token Smart contract Token Smart contract Token <参考> プロトコルトークンとアプリケーショントークンの例(イサリアムの場合) A国 B国 C国
  • 21. Copyright © 2016 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 20‐10 弁護士 増 島 雅 和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03.5220.1812 email. masakazu.masujima@mhmjapan.com