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Startup Finance 2018
② ベンチャーファイナンスの型
・資本政策を検討する
・ベンチャーファイナンス
の型を身につける
資本政策を検討する
資本政策とは
中長期的な事業計画を前提に、株主構成、
発行株式数、資金調達などについて、検討
し、いつ、誰に、どのような手法で、実施
していくかを計画していく財務戦略のこと
資金 経営権
トレードオフの関係にある
資金と経営権のバランスをとる
最適なストーリーを作ること
資本政策
・資金調達を適切なタイミングで適切な人(組織)から適
切な方法で行うため → 資金調達がしやすくなる !
・スピード感のある意思決定をするための安定株主の確保
・高いモチベーションを維持するための創業者利潤の獲得
・優秀な従業員やキーパーソンのインセンティブを確保
・IPO(EXIT)に向けて公開市場の形式基準を満たすことを
検証
なぜ資本政策を行うのか?
適切な資本政策を立てると
事業全体の指針になり、
今後の計画が立てやすくなる
Cap Tableを作る
資金調達ステージが進む中で、
創業メンバーと投資家が
どれくらいのシェアを保持するのが
ベストかを検証するツール
Cap Tableとは
①いつ、どれくらいの金額でexitしたいのか?
②いつ、どれくらいの時価総額で、どれくらい
調達したいのか?
③どれくらい初期費用がかかるのか?(Jカーブ)
④ストックオプションをいつ、どれくらい
発行するのか
Cap Tableのチェックポイント
”いつ””どれくらいの金額”
でExitしたいのか?
Exitとは何か?
・スタートアップ(株主未公開企業)
に対する出資者が利益を得ること
・Exitの方法としては、株式公開による株式売却
(IPO)とM&A(バイアウト)による株式売却がある
・市場や他の企業からスタートアップが評価されて
自社の株や会社そのものを高く売りお金を得ること
資金調達をしたら短期でのExitがほぼ前提となる。
VCは出資するマネーに対して、短期間でのリターンを求
めている。資金を受け入れるということは、短期間での
Exitを目指す必要が出てくる。
ExitにはIPO(上場)とM&A(事業売却)がある
Exit を想定する
IPOとは?
IPOとはInitial Public Offeringの略で、未上場会社が、
新たに株式を自由に株を売買できる証券取引所に上場
し、一般投資家は、株を取得できるようになる。
株式の上場に際して、新たに株式が公募されたり、上
場前に株主が保有している株式が売り出される。これ
らの株が証券会社を通じて投資家へ配分される
会社そのものを金融商品にして、一般の投資家が売買
できる存在になること
・株主全員が儲かるので合意を得やすい
(日本のスタートアップエコシステムはまだ小さいので
、全体の合意を得るようなIPOスキームが受け入れられ
る)
・取引先、金融機関などから信用力の向上が図れる
・既存の従業員のモチベーション向上につながる
・優秀な人材を獲得しやすくなる
・証券市場から資金調達できるようになる
・Startup founderとしては大きな試金石になる
・既存の株主のExit
IPOのメリット
・一定額利益と成長が必要であり、監査やその準備などで時間
と労力が必要になる
・マクロの経済状況によって、上場のしやすさ、上場時の株価
が変わってくる
・株式売却の手続きが煩雑になる
・創業者メンバーによる株式売却は市場評価の悪材料になる
(創業者利益をすぐに得ることはできない)
・インサイダー取り引き規制のために売買時期の判断が難しい
・決算発表、有価証券報告書、など企業情報の開示が義務付け
られる
・短期的な数字を求められるため、中期的な視点で企業経営が
やりにくくなる(短期的な視点になりがち)
IPOのデメリット
http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
上場準備/上場とは
”創業メンバーの私物”
だったものを
”社会的公器”
に変革するプロセス
今から最低でも10年間
事業に100%以上コミットする
ことが求められる
上場を目指す意味
経営者として
自ら選んだ事業をベースに
今後の人生を上場企業の社長として
送りたいか?
創業者自身が
自分自身に問うべきこと
人生の時間
事業の
進行度
Copyright 2018 Masayuki Tadokoro All rights reserved
起業
PMF
達成
スケール
IPO
大企業 IPOを達成!
人生の時間
事業の
進行度
Copyright 2018 Masayuki Tadokoro All rights reserved
起業
PMF
達成
スケール
IPO
大企業
IPOの先に
さらに成長する
ことが期待される
上場後に
心理的メカニズムが
どう変わるかを留意する
経営者がこれをやりたい
これは自社の独自性
競合はいないはず
業界に新しい
価値を与える
マクロ環境の変化により
どんな価値が求められる
ニーズがあれば
競合がいる
その中で
他の会社と何が違うのか
その違いをうまく
活かせる手腕があるか?
上場前の
発想
上場後の
発想
経営者がこれをやりたい
これは自社の独自性
競合はいないはず
業界に新しい
価値を与える
マクロ環境の変化により
どんな価値が求められる
ニーズがあれば
競合がいる
その中で
他の会社と何が違うのか
その違いをうまく
活かせる手腕があるか?
上場前の
発想
上場後の
発想
上場前とは
逆の発想になる
上場前と上場後で
ステークホルダーの
インセンティブが変わる
ことを留意する
経営陣:上場して大き
くキャピタルゲイン
投資家:上場でExit
従業員:SOを行使
経営陣:株価上がって
も売れない
投資家:株価と配当
従業員:株価が倍にな
っても給料は変わらな
い
上場前の
インセンティブ
上場後の
インセンティブ
経営陣:上場して大き
くキャピタルゲイン
投資家:上場でExit
従業員:SOを行使
経営陣:株価上がって
も売れない
投資家:株価と配当
従業員:株価が倍にな
っても給料は変わらな
い
上場前の
インセンティブ
上場後の
インセンティブ
上場後は
インセンティブ
が変容する
・君に投資させてくれ
・(良いVCは)
辛い時でも頑張ろう
・(良いVCは)
一緒に課題を解決しよう
・ワクワク感があり
余って投資
・投資できるアセット
クラスは限られる
・別に他の会社でも良い
・ダメだったら即見切る
・ワクワク感ではなく冷
静に儲かるかで投資
・アセットクラスは柔軟
上場前の
投資家(VC)
上場後の
投資家(一般投資家)
・別に他の会社でも良い
・ダメだったら即見切る
・ワクワク感ではなく冷
静に儲かるかで投資
・アセットクラスは柔軟
上場前の
投資家(VC)
上場後の
投資家(一般投資家)
上場後の投資家は
よりドライになる
・君に投資させてくれ
・(良いVCは)
辛い時でも頑張ろう
・(良いVCは)
一緒に課題を解決しよう
・ワクワク感があり
余って投資
・投資できるアセット
クラスは限られる
投資家(VC)との投資契約で
期待されること:
短期間で急成長して
Exitすることが前提となる
投資家が求める
株式買取条項
投資契約違反の場合に、
投資家が会社に対して株式を
買い取ることを請求できる権利
日本のVCのほとんどの投資契約では
株式買取条項が定められている
・投資契約違反
・表明保証違反
・株式上場の要件を満たしているのに
上場しない場合
株式買取条項の発動事由
http://www.azx.co.jp/blog/?p=1778
・投資契約違反
・表明保証違反
・株式上場の要件を満たしているのに
上場しない場合
株式買取条項の発動事由
要注目
株式上場の要件を満たしているのに
上場しない場合とは?
・社歴が長くなってきて、自由経営をし
ていると、IPOに向けた準備が窮屈に感
じきてしまう
・市場環境の問題からIPOによるExitを延
期するケースがある。
起業家に覚悟がない場合
投資家(VC)との投資契約
悪魔との契約になり得る
完全にコミットできない事業に
自分を捧げることを要請されるから
上場してからもずっと
事業を続けたい、事業を伸ばしたい
という覚悟があるならば
投資契約は天使との契約になる
IPOを深く理解する
東証市場 JASDAQ
一部 二部 マザーズ スタンダード グロース
株主数 2200人以上 800人以上 300人以上 300人以上 300人以上
流通株式数 2万単位以上
4000単位以
上
2000単位以上
流通株式時価総額 10億以上 5億以上 5億以上 5億以上
流通比率
35%以上 30%以上 25%以上
公募の実施 500単位以上
公募1000単位以上or
上場株数の10%以上の公募・売り出し
時価総額 250億以上 20億以上 10億以上
事業継続年数 3年以上 3年以上 1年以上
純資産の額 10億以上 10億以上 2億以上 正しい
利益の額
最近2年間の合計が
5億円以上
最近1年間
1億円
株式公開市場の形式基準
東証市場 JASDAQ
一部 二部 マザーズ スタンダード グロース
株主数 2200人以上 800人以上 300人以上 300人以上 300人以上
流通株式数 2万単位以上
4000単位以
上
2000単位以上
流通株式時価総額 10億以上 5億以上 5億以上 5億以上
流通比率
35%以上 30%以上 25%以上
公募の実施 500単位以上
公募1000単位以上or
上場株数の10%以上の公募・売り出し
時価総額 250億以上 20億以上 10億以上
事業継続年数 3年以上 3年以上 1年以上
純資産の額 10億以上 10億以上 2億以上 正しい
利益の額
最近2年間の合計が
5億円以上
最近1年間
1億円
株式公開市場の形式基準
スタートアップが
最初に目指す
マザーズ市場では
25%以上流通させて
いる必要があり、
時価総額が10億以上
必要である
上場前のスケジュール
項目 直前々期 直前期 申請期
上場前規制
株式
第三者割当推奨
(上場時売却可能)
第三者割当可能
(上場時売却不可)
株式移動可能(上場時売却可能)
ストック
オプション
付与推奨
(権利行使により取得した
株式の上場時売却可能)
付与可能
(権利行使により取得した
株式の上場時売却不可)
株式分割
株式分割
推奨
公募前規制期間
開示対象期間
上
場
日
上場前のスケジュール
項目 直前々期 直前期 申請期
上場前規制
株式
第三者割当推奨
(上場時売却可能)
第三者割当可能
(上場時売却不可)
株式移動可能(上場時売却可能)
ストック
オプション
付与推奨
(権利行使により取得した
株式の上場時売却可能)
付与可能
(権利行使により取得した
株式の上場時売却不可)
株式分割
株式分割
推奨
公募前規制期間
開示対象期間
上
場
日
準備から上場
まで最低でも
3年を要する
上場前に行うこと
・上場準備責任者の設置
・ショートレビュー
・財務諸表監査対応
・予算管理制度の準備
・関連当事者との取引見直し
・関係会社の整理
・資本構成の適正化
・内部統制とリスク管理
上場企業で有価証券報告書の作成
対応を経験している人や、
上場準備、上場までを経験した
人を中途で採用する
上場準備責任者の設置
責任者が決まったら、監査法人とショー
トレビューの契約を結び、予算管理、経
営管理体制、関係会社の整理、会計制度
、業務プロセスや内部統制について、
現状の組織の状態について
レビューを受けて、課題を洗い出す
ショートレビューとは
ショートレビュー
のメリット
自分の会社を客観的に知ることで、
業務改善の示唆につながる
結果として業績が伸びるきっかけになり
上場準備のスケジュールが
立てやすくなる
ショートレビュー
のデメリット
2ヶ月ほど、
2〜3人の公認会計士が
担当するため最低でも
300万〜500万の費用がかかる
企業が監査を受ける体制にすること
・会計処理の根拠資料(契約書、請求書、領収書)が検証可能
な状態で保管されているか?
・網羅的に保管されているか?数字だけでなく日付も正確か?
・会計処理をしたとしても、勘定科目に不明な残高はないか?
(その他、諸口、雑費など)
・現金主義でなく、発生主義で会計処理されているか?
・実地の棚卸を定期的に行なっているか?
・在庫の払い出しと受け入れを正確に行なっているか?
・固定費資産を管理しているか?
財務諸表対応とは
予算管理制度とは
上場すると四半期ごとに決算を行う必要がある
。速報値は決算短信として開示の対象になる。
予算管理をしなければ、適時適切な開示ができ
ないということになる。
予算は、大枠でなく、事業や商品ごとに管理す
る必要がある
関連当事者と関係会社の整理
上場前はオーナーの個人会社や、親族、友人との取引が残
っている。
しかし、原則として、オーナーやその親族が代表を務める
企業との取引は解消が求められる。
上場準備段階で、取引を解消しておく方が、証券会社の引
受審査や、東証の審査でも余計な手間が減る
上場することは、オーナー個人の私的企業から広く株主を
募る社会的な企業になることを理解する
資本構成の適正化
創業メンバーや社員の持ち分を
いくらくらいにするのか?
安定株主として、取引先に持ってもらう
のか?ベンチャーキャピタルの持ち分は
?どの程度か?
社内関連規定を整備したり
マニュアル化を進めたり、
フローチャートを作ったり
文書の作成に加えて、
担当者と決裁者を分けること
牽制する部門を分けたりすること
内部統制とリスク管理
起業家にとってIPOは
メリットと
デメリット
の両面がある
ゼロの状態から連続的に
事業を起して行く
シリアルアントレプレーナー
になるという選択肢もある
人生の時間
事業の
進行度
上場せずに
Buyoutを
繰り返して
行くキャリア
Copyright 2018 Masayuki Tadokoro All rights reserved
起業
PMF
達成
スケール
IPO
大企業
Buyout
Buyout
Buyout
M&A(Buyout)
とは何か?
M&Aのメリット
・準備期間が比較短くても実施が可能
・保有株式を一括して売却しやすい
・一気に資産のキャッシュ化ができる
・利益が少ない(PLがペラペラ)でも、Buyer企業
との事業シナジーがあれば実現が可能
・シナジーを見込んでバリュエーション算出した場
合、IPO以上の企業価値で売却が達成できる場合が
ある
・上場コストがかからない
http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
M&Aのデメリット
・経営者は主導権を手放すことになる(ロックア
ップはかかる)
・IPOに比べて時価総額は低くなってしまう傾向
・Buyer側がシナジー効果をあまり考慮せず、
低いバリュエーションになってしまう可能性が高い
・IPOを達成できたというトラックレコードをもて
なくなる(IPOは、経営者にとって非常に大きな勲
章になる)
M&Aのパターン
① 伸びて行きそうな企業を割安のうちに買う
② 事業ポテンシャルはあるけど安いので買う
③ ダメそうだけど安いので買う
*買手からの視点
企業の
価値
時間
伸びて行きそうな企業を
割安のうちに買う(売る)
今後伸びて
行きそうだが
現時点で割安
なので買う
T1
(現時点)
V1
現時点
の価値
T2
(将来)
V2
将来
の価値
企業の
価値
時間
従来的には
もっと価値があるが
現状は割安なので
買う
T1
(現時点)
V1
現時点
の価値
T2
(将来)
V2
従来の
価値
②事業ポテンシャルは
あるけど割安なので買う
企業の
価値
時間
ダメになって
きているが
割安で買えるので
買う
T1
(現時点)
買収
価値
現在の
価値
③ダメそうだけど
安いので買う
M&Aの留意点
① 買収はIPOより、それほど早くない
IPOよりはExitが短期になる場合は
あるものの、それほど大きな差はない
IPOは7-8年ほど要する
M&Aも平均して5-6年ほどかかる
M&Aの留意点
② 事業売却は自分のコントロールの
範疇外にある
自分の作った事業を売却できるかは
、自分たちでコントロールできるも
のではない。事業を買収する側がコ
ントールする意思決定である
M&Aの留意点
③ MAを想定した事業計画はVCから
出資を受けにくくなる
VCは投資スタイルとして小さな成功を
望んでいない。VCは必然的にIPO狙い
で事業計画を立てた方が調達しやすく
なる
M&Aの留意点
④ 起業家の集中力を乱す
事業売却への努力は事業への集
中力を削いでしまう。事業を売
ると、全員で決定するまで、大
企業の買収担当と話さない方が
良い
資本政策を策定する際の
ExitはIPOを想定する
日本において、Exitの主流は、まだIPO
である。 Buyer企業への交渉においても
、Exitできる可能が十分にあることを示
しておいたほうが、交渉をより有利に進
めることができる。
以下をざっくり想定する
・IPOまでの調達プロセス
(調達時期と調達金額)
・IPOまで株のシェアがどう変動するか
・それぞれのステージでのバリュエーション
ExitはIPOを想定する
IPOに向かうまで
シェアとバリュエーション
がどう変化するか?
Exit時の
バリュエーションと
創業者としてどれくらい
シェアを掌握したいか?
株式には、
議決権が付いている
資本政策を考慮する
時の留意点
次回のファイナンスで
過半数を割り込む
シリーズAで株を渡しすぎたためにシリーズBの段階で、
シェアが過半数以下になってしまうため、重要な経営権を失う
今回のファイナンスで
2/3を割り込む
経営者がコントールを大幅失うと
事業計画のコントールも失い長期的に見て誰も得しない
いったん大きな持分を渡してしまうと、
その後の資金調達がやりにくくなる。
資本政策はやり直しがきかない!
起業家は持ち株比率に
どれくらいこだわるべきか?
資金調達を重ねて
創業メンバーの持ち分が希釈化すると
経営権の掌握が弱くなる
資金
経営権
1/3以上、50%強、2/3以上という
数字が経営に影響を及ぼす
2/3以上は”支配権”を持つ
重要な意思決定ができるスーパーパワーを持つ。
株主総会での特別決議を決定できる。増資、ストック
オプションの発行、取締役会の解任、合併定款の変更
、組織編成、減資や増資など、企業を根本に変えるよ
うな事項を決定できる
http://tyotatu.tsukioka-1.com/22/22.html
1/2以上は”経営権”を持つ
通常の意思決定ができる権利
株主総会で普通決議が可能になる。
役員/監査役の選任・解任・役員報酬
の決定など
1/3以上は”拒否権”を持つ
重要な意思決定の拒否権を持つことができる
株主総会での特別決議(定款変更、取締役の
解任、合併など)への拒否権を持てるように
なる
1/2以上を外部の株主に
握られていると
いつでも解任させられる
リスクがあるという認識が必要
資本政策の留意点
望ましい資本政策とは、上場時に創業メンバ
ーが50%強の比率で株をもっていること
Cap Tableを想定して最終的に50%以上の比
率を持てるシナリオを磨き込む
資本政策の留意点
一回のラウンドで発行する株式は10-15%までと
いうのが基本である。資金需要が大きい例外的な
場合でも、20%程度までにしておく必要がある。
20%以上大きな持ち株比率を要求する投資家は
疑いの目で見る
資本政策の留意点
持ち株比率にこだわりすぎて
事業をスケールできなかったり、競合に負け
たら本末転倒になってしまう
一番大事なのは事業を成功させることである
Pre-moneyと
Post-moneyとは
何か?
Pre-moneyとPost-moneyと
Price-per-share (一株あたりの値段)
Pre-moneyとは、新規投資がなされる前の企業価値
のことを指す。新規投資に当たって、投資家と創業
経営陣が交渉をするのは、Pre-moneyになる。
そのValuationを総株式総数で割ったものが、その時
点での、スタートアップの値段になる(Price-per-
share)
この価格をそのラウンドのリードインベスターと交
渉して、そのラウンドの引き受け価格が決まる
Post Money Valuation =
Pre money Valuation
+
New Money (今回の資金調達額)
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
シリーズ
A
Pre-money
Valuation
調達実行前の
バリュエーション
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
シリーズ
A
New Money
(今回の調達)
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
シリーズ
A
Post-money
Valuation
調達実行後の
バリュエーション
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
シリーズ
A
Capital
Gain
(創業者利益)
シリーズAが実行されたら
額面上でキャピタルゲイン
がうまれる
*利益確定ではない
Capital
Gain
(マークアップ)
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
A
Capital
Gain
(創業者利益)
初期の頃に投資した場合、
その後の資金調達を実現
した時のCapital Gainが大きくなる
B
Capital
Gain
(マークアップ)
Capital
Gain
(マークアップ)
創業者
一株あたり
の株価
株数
シード
ラウンド
A
Capital
Gain
(創業者利益)
B
IPO
IPOを達成できたら
創業者と投資家は
キャピタルゲインを得る
各ステージにおいて
バリュエーションを
どのように計算するか?
一般企業の企業価値の評価の場合は
DCF法やマルチプル法を活用する
Valuation
市場価値
本質的な
価値
時価総額
(公開企業)
Implied Value
直近株価x株数
(未公開企業)
Pre-money
Valuation
Post-money
Valuation
Discount
Cash Flow
企業のバリュエーションの求め方
Valuation
市場価値
本質的な
価値
時価総額
(公開企業)
Implied Value
直近株価x株数
(未公開企業)
Pre-money
Valuation
Post-money
Valuation
Discount
Cash Flow
企業のバリュエーションの求め方
一般企業向け
一般企業向け
スタートアップの特徴は、
リスク(通常のリスク+不確実性)
が極端に大きいので、
適切な割引率の適用ができない
今ラウンドでどれくらい
調達すべきかを
VCメソッドで想定する
Valuation
市場価値
本質的な
価値
時価総額
(公開企業)
Implied Value
直近株価x株数
(未公開企業)
Pre-money
Valuation
Post-money
Valuation
Discount
Cash Flow
企業のバリュエーションの求め方
スタートアップ
のバリュエーション
の求め方
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
EXIT(IPO)時のバリュエーション
(時価総額)を算出する
バリュエーション(上場時)=
経常利益 x PER
自分たちのビジネスモデル/業界と
似た事業を展開して
IPOした会社の
上場時のバリュエーション
を調べる
公開時の時価総額(参考値)
https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view
公開時の時価総額(参考値)
業界 時価総額とPER
https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view
マザーズ上場に必要な売り上げ:
平均値は23億円、中央値は14億円
マザーズ上場に経常利益:
平均値は1.4億円、中央値は1.2億円
参照情報
・公募で100億以上の時価総額をつけるには最低
でも3億の当期利益が必要
・3-4億の当期利益があっても事業が評価されに
くい場合がある
・1億の当期利益は事業体によるPER22-85倍の
レンジが大事
・当期利益1億円台で上場13社、公募時のレン
ジが22-86億
参照ポイント
https://careerdb.jp/articles/22
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
Exit時の
持ち分想定は
20%に
希釈化する
今ラウンドの
持ち分は29%
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
IPO時の投資家Aの持ち分:
24億円(120億x20%)
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
24億
1億
={1+0.575}
7
7年でExit(IPO)
すると想定する
Exit時の
VCの保持するバリュー
投資実行時の
VCの投資額スタートアップに
今ラウンドに
投資した時の期待
IRR(内部収益率)
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
投資家の期待する内部収益率
(参考値)
シード期 :50~70%
シリーズA:40~60%
シリーズB:30~50%
上場前 :20~35%
創業期は不確実性リスクが高いので期
待する内部収益率も高くなる
スタートアップに対する
投資対効果(ROI)は
”べき乗則(=Power Law)”
が適用される
リターン
損益分岐
スタートアップの
成功(ROI)は極端にへだたる!
リターン
損益分岐
投資先(ポートフォリオ)
のうち1〜2割が8割~9割の
利益を生み出す
リターン
損益分岐
スタートアップの
成功(ROI)は極端にへだたる!
後の8〜9割で
1~2割のリターン
アメリカ(シリコンバレー)
においても、隔たりは
顕著である!
http://blog.ourcrowd.com/wp-content/uploads/2015/06/stark-post-2.jpg
“ベンチャーキャピタルの秘密は、
投資先のスタートアップの中で、
最も成功した案件のリターンが、
その他の全ての案件の
合計リターンに匹敵するか、
それを超えることだ”
- ピーター ティール
“Zero to One”より
VCは最終的に
世界を大きく変えるポテンシャルを
持ったスタートアップ(= Outlier)
にしか興味はない
VCメソッドによる
今ラウンドのバリュエーションの求め方
投資実行時のVCの持ち分比率
(このラウンドで獲得するシェアから
Exit時にはどれくらい希釈化するか計算)
→ Exit時のVCのシェア ④
Exit時の利益(想定する) ①
比較類似企業の上場時PER ②
IPO時の想定時価総額 ③ (求め方:① x ②)
Exit時のVCの保持するバリュー ⑤ (求め方:③ x ④)
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
投資家の期待する
IRR(内部収益率)= ⑦
⑥>⑦ならば
投資実行
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
スタートアップに今ラウンドに投資した時の期待IRR(内部収益率)⑥
{1+ ⑥} =
y(Exitまで年数)
Exit時のVCの保持バリュー(⑤)
投資実行時VC投資額
24億
1億
={1+0.575}
7
年間で57.5%以上の
リターンを
臨めるか?
1億投資したリターンが
7年後の上場時に24億になる場合
もしVCが
このラウンドで
スタートアップに期待する
リターン(IRR)が
57.5%以上なら
投資は実行されない
もしVCが
このラウンドで
スタートアップに期待する
リターン(IRR)が
57.5%以下なら
投資は実行される
シード期 :50~70%
シリーズA:40~60%
シリーズB:30~50%
上場前 :20~35%
なぜ投資家が期待する
内部の収益率が変わるのか?
投資家の期待する内部収益率
(参考値)
各ステージで
どれくらいのバリュエーションで
どれくらいの資金を調達したのか、
他のスタートアップを
参考にする
参考:https://500startups.jp/wp-content/uploads/2017/06/amount3.png
参考:https://500startups.jp/wp-content/uploads/2017/06/amount3.png
時価総額のレンジ
(Post-money)
平均時価総額
(Post-money)
調達額のレンジ 平均調達額
Pre-seed 1億~2億 1.5億
1000万~
5000万
3000万
Seed 3億~10億 5億
5000万〜
2億
1億
Series A 7億~50億 11.6億 1億円~15億 2.6億
Series B 10億~200億 19億 1億~30億 3.8億
Series C 10億~200億 35億 1億~30億 4億
Series D
50億〜
1000億
66億 5億~80億 13.5億
資金調達
ステージ
レイター
アーリー
シード シリーズA シリーズ B IPO
全ての
スタートアップ
が先に進める
わけではない
シード シリーズA シリーズ B IPO
シードからシリーズA
に行けるのは
25~30%
シリーズAからB
に行けるのは
40%~50%
IPOできるのは
全体から見て
数パーセント
http://tomtunguz.com/followon-patterns/
シード シリーズA シリーズ B IPO
そもそも、なぜ
段階投資が行われるのか?
IPO
Series A
Series B
Series C
Mezzanine
Early
Stage
Later
Stage
Seed
Pre-
Seed
段階を経ると全体的な
事業リスクが変わる(一般的には下がる)
Seed
Stage事業
リスク
IPO
Series A
Series B
Series C
Mezzanine
Early
Stage
Later
Stage
Seed
Pre-
Seed
ステージ毎に異なったリスクが生まれる
Seed
Stage
Seed
Stageの
リスク
Early
Stageの
リスク
Later
Stegeの
リスク
それぞれのラウンドのインベスターが
ガバナンス(モニタリングとコントロール機能)
をもたせる。
ラウンドごとに適切な経営ができているかを
マネージメントできる
段階投資を行うと投資家は
効率よくスタートアップを
ガバナンス(管理)することができる
アーリーステージVC:
・メンタリング
経験をベースにして初期のスタートアップがやるべきこと、
避けるべきこと、適切なKPI設計をガイドする
・次ラウンド以降の資金調達
投資家のネットワークを活用して、次回ラウンド以降の投資
家を紹介
・Value-up
スタートアップの企業価値を高めるようなValue-upを行う
(安定的な売上を確保できる顧客の紹介)
スタートアップが投資家に期待すること:
CVC:
事業開発/営業の伴走
安定的な顧客ベースを確保するために
企業の持っている信頼を提供して、
事業開発・営業のサポートを行う
業務提携
資本提携だけでなく業務上のシナジーを画策
技術的なサポート、独自APIの提供など
スタートアップが投資家に期待すること:
レイターステージVC:
・IPO後の成長ストーリーの蓋然性を高める
・上場時に必要な外部投資家の割合を増やす
・上場準備に必要なリソース(資金、証券会社
や監査法人とのネットワークなど)を提供する
スタートアップが投資家に期待すること:
お金を集める
方法を知る
種類
誰に対して
発行するか
手続き
コスト
Stage
投資家
から見た
リスク
借入(Debt/Note)
関節金融:銀行
直接金融:社債 低
Series B
〜
低
高
新株予約権付社債
(Convertible Note)
エンジェル投資家(シード期)
投資家(ブリッジラウンド) 低
Seed,
Bridge
round
新株予約権
(Warrent, Stock option)
従業員・創業者 高
Series A
〜
種類株式
(優先株式)
投資家 高
Series A
〜
普通株 創業者 中
Initial
capitalization
資金調達の方法
資産 負債
資本
B/S
・元本に利息をつけて、返済する義務
・利息と元本の返済については
”金星消費貸借契約”に基づく
・会社を清算する場合は、株式よりも
優先して元本の返済を受けられる
・銀行融資(最終的な資金の出し手と
間に銀行が入る)
・社債での調達(最終的な資金の出し手
である一般投資家から直接資金を借りる)
・元本の返済義務はない
・利息はないが、利益に対して配当による
分配が期待されている
・会社を清算する場合、負債を全て返済した
後に残った財産に対して出資割合に応じて
分配を受け取る
Convertible
Note
優先株
普通株
借入・社債
負債と資本の違い
リスク
低い
高い
種類
誰に対して
発行するか
手続き
コスト
Stage
投資家
から見た
リスク
借入(Debt/Note)
関節金融:銀行
直接金融:社債 低
Series B
〜
低
高
新株予約権付社債
(Convertible Note)
エンジェル投資家(シード期)
投資家(ブリッジラウンド) 低
Seed,
Bridge
round
新株予約権
(Warrent, Stock option)
従業員・創業者 高
Series A
〜
種類株式
(優先株式)
投資家 高
Series A
〜
普通株 創業者 中
Initial
capitalization
資金調達の方法
コンバーチブルノートは
まだトラクションが少なく
Valuationを決定する要素が未確定な
初期段階で有効な資金調達手段になる
資産 負債
資本
転換前
資産 負債
資本
転換後
convertible
note
社債→
資本
株式へ
転換
・社債なので最初は借金であるというのが基本だが、株式へ転換されると
返済義務がない”資本”になる
・元本の返済義務を負うものだが、社債の元本分の”新株予約権”がセットで
あるため投資家が株式への転換権を行使すると、社債の元本が資本に転換
される
・転換社債の償還期日までに、事業が思うように成長せず、次のラウンド
で資金調達できない場合は、元本の返済をせまられる可能性があるリスク
を負う
コンバーチブルノートとは
コンバーチブルノートは
株のような借り入れである
借入
株
• 契約内容がシンプルで、バリュエーションの厳密な評価が不要なので
、すぐに投資家側とネゴをあまりせずにクロージングできる
• シンプル(優先株のような複雑な条項が入っていないし定款の変更も
必要ない)なのでリーガルフィーや手続きコストが少ない
• 標準的な条件(ターム)があり、活用することができる
• 複数の投資家が増資の手続きのタイミングを合わせなくてもよいので
クロージングがフレキシブルに設定できる
• 創業者が持つ株がいきなり希釈化しないので、モチベーションを維持
Convertible noteの利点
Convertible noteのデメリット
調達した、スタートアップは、債務超過になるため、他の企業との
取引対象の条件に満たないリスクがある(たとえば、金融機関から
借り入れが必要な状況になっても、借りれなくなる)
【投資家側】エンジェル税制の適用がない
【投資家側】もしローン形式であれば、投資家側は貸金登録が必要
【投資家側】また繰り返し行っていると貸金登録が必要になる可能
性がある
https://www.clairlaw.jp/newsletter/2012/11/newsletter1105.html
Convertible noteによる
調達はマラソンでなく
スプリントである!
コンバーチブルノートは
短い期間でクロージングできる
優先株などで投資する場合と比べて、交渉や事務にかかる手続
きが圧倒的に早くなる。
通常Series Aのタームシートならば、数ページから10ページ以
上、契約書面になれば合計で100ページを超える量になる。
それにくらべて、CN派、タームシートは1~2枚、Noteの本体は
、2~3ページ、契約書類は5~6ページになる。
CNは優先株に比べて
シンプルなのでリーガルコストがかからない
コンバーチブルノートは、圧倒的に書面の量が
少なくて済む。その結果として弁護士がやる作
業量も激減する。
資金調達の際にかかる最大のコストは弁護士費
用である。
株式投資の場合ならば、そのラウンドで投資する人
の足並みを基本的にそろえなければならないため
いつでも開始して、クロージングできるわけではな
い。
しかし、CNならば、いつでもクロージングできる
フレキシビリティーがある
CNはクロージングをいつでもできる
フレキシビリティがある
• いくら集めるか?(2000万円〜2億円)
• Discountをいくらにするか?
• Capをいくらにするか?
• 満期をいつに設定するか?
• 金利をいくらにするか?
• その他の条項(Drag-along条項など)
コンバーチブルノートの交渉ポイント
Discount とは
優先株による次回の増資ラウンド(資金調達)が行わ
れる祭の株価の評価額が、期待より低かったときに、
”割引率”(=ディスカウント率)を引いた額で購入す
ることができる
企業が成長しなかった場合に、先に投資した投資家を
守るためにやる。
増資時の株価
転換
価格
増資時
の株価
800円
増資時の株価より
20%ディスカウント
で購入できる
1000円
転換
価格
Discountが付いている場合
Equity Roundでの一株あたりの値段が高くなりすぎて
、Discountが効いたとしても一株あたりの株価が高す
ぎることがある。その不公平感をなくすために、Cap
を設ける場合があります。
→企業が大きく成長したときのために、先に投資した
投資家を守るためにやる
Capとは
増資時の株価
転換
価格
増資時
の株価
上限
価格
上限を超えたものは
ディスカウントになる
Capが付いている場合
磯崎哲也著「起業のファイナンス」参照
増資時の株価
転換
価格
増資時
の株価
上限
価格
上限を超えたものは
ディスカウントになる
Capとディスカウントが付いている場合
20%ディスカウント
磯崎哲也著「起業のファイナンス」参照
金利:できるだけ低く設定されるべきー税法上一番低い課
税率を検証して設定する
転換される日付:契約書の中で、転換される日付の記載が
ある
転換されるための最低調達金額:Equityラウンドでどれく
らい調達したいかによって、最低の調達金額を設定する
Convertible Note での他の留意点
500 Startup が
作ったJ-KISSのテンプレート
も活用できる
https://500startups.jp/j-kiss/
種類
誰に対して
発行するか
手続き
コスト
Stage
投資家
から見た
リスク
借入(Debt/Note)
関節金融:銀行
直接金融:社債 低
Series B
〜
低
高
新株予約権付社債
(Convertible Note)
エンジェル投資家(シード期)
投資家(ブリッジラウンド) 低
Seed,
Bridge
round
新株予約権
(Warrent, Stock option)
従業員・創業者 高
Series A
〜
種類株式
(優先株式)
投資家 高
Series A
〜
普通株 創業者 中
Initial
capitalization
資金調達の方法
種類株式の一部で、優先的な内容が定められて
いる株である。
(不利な株で定めてある場合は劣後株になる)
スタートアップにおいては、ほとんどの場合、
優先株を使うことになる。
優先株とは?
優先株による調達は
PMFを達成して、
ビジネスモデルが確立できた段階
(シード期〜シリーズ以降)
に行う
資産 負債
資本
B/S
・元本に利息をつけて、返済する義務
・利息と元本の返済については
”金星消費貸借契約”に基づく
・会社を清算する場合は、株式よりも
優先して元本の返済を受けられる
・銀行融資(最終的な資金の出し手と
間に銀行が入る)
・社債での調達(最終的な資金の出し手
である一般投資家から直接資金を借りる)
・元本の返済義務はない
・利息はないが、利益に対して配当による
分配が期待されている
・会社を清算する場合、負債を全て返済した
後に残った財産に対して出資割合に応じて
分配を受け取る
Convertible
Note
優先株
普通株
借入・社債
優先株の位置付け
リスク
低い
高い
優先株は
借り入れのような株である
借入
株
なぜそもそも
優先株を使うのか?
・ストックオプションのインセンティブを高めて、
優秀な人を社内に保持できる
→キャピタルゲインの効果を高める
・投資を受けやすくなる
→優先株ではバリュエーションを高めに設定できる
・経験豊かな優先株式の投資家を社外取締役(アドバイザー)
という立場で、会社の経営に参画させることができる
優先株を活用する
起業家のメリット
優先株を使う
起業家のデメリット
・複雑なので理解が難しい
・交渉に多くのリソースを要する
・定款の変更などリーガルフィーがかかる
・種類株主総会を運営する必要がある
・残余財産の配当権が劣後になってしまう
投資家から見た時のメリット
・詐欺的解散などのリスクヘッジができる
・優先的な残余財産分与権の設定を行い高いROI
比率を担保できる
・株式割合の希釈化防止
・取締役に就任することにより、スタートアップ
の経営のモニタリング/アドバイスをすることが
できる
投資家から見た時の
デメリット
・バリュエーションが比較的高くなってしまう
・投資契約書が複雑になり、一つ一つの
ディールに対して工数がかかってしまう
優先株の設定の論点
(交渉ポイント)
・会社のバリュエーション
一株いくらで発行するか?( Pre-moneyとPost-money)
・優先的残余財産請求権の設定
優先的残余財産分配を何倍に設定するか?
参加型か非参加型の設定
・優先的配当金請求権の設定
参加型か非参加型の設定
配当金の累積型か非累積型か
・金銭と引き換えにする取得請求権
・普通株式と引き換えにする取得請求権
・希釈化防止条項
加重平均か、フルラチェット
・取締役の就任権
・他の条項の設定
Pay-to-play条項
Drag-along right条項
先買条項
優先株の設定の論点
(交渉ポイント)
優先株の設定で最も
重要な条項
優先残余財産分配
優先的残余財産の分配とは
スタートアップが清算する場合(M&Aや
IPO)や潰れた場合に、債権者に債務を
支払った残りの財産をどうするかの権利
交渉において最も大事なポイントになる
・何倍を規定しているのかが、
重要である(1~2倍の間が一般的)
・参加型か非参加型かをチェックする
優先的残余財産の分配
のチェックポイント
日本国内における
残余財産分配権と参加権の内訳
参考資料:https://500startups.jp/deal-terms/
Valuation
優先分配権
あり
1x 1.5x 2x
高
低
優先分配権の
倍率が上がると
バリュエーションも
上がる
優先分配権
なし
どういうイベントの時に
清算(残余財産の分配)になるのか?
M&A:会社の所有権が変わるので精算になる
倒産:精算になる
IPO:IPOしたとしても安定株主としてみなされる
投資家は、株を安易に得ることができない(ロ
ックアップがかかる)ので精算(Liquidation)イ
ベントとしてはみなされない
優先的残余財産の意味:
Exit時の投資家の投資インセンティブを確保する
IPOの場合:
全ての種類株は普通株に転換される(通常1:1で転換される)
そして、普通株の総数 X 一株あたりの価値が時価総額になる
M&Aの場合:
残余財産の優先分配条項に従って、優先株は普通株より先に
、分配される。すべてのスタートアップがIPOを達成できるわ
けではない。達成できなかった時に、投資家が多めの分け前
を受けるため
複数の優先株を
発行のポイント
B種優先株式の投資家のほうが、とる事業リ
スクが低くなる。 A 種優先株式に比べて投資
の期待収益率は低くなる。つまり、A種に比
べて、より高い一株あたりの株価で株を買う
ことになる。その高い株価を正当化するため
に、B種優先株のほうが、シニアになる。
売却金額が増えていくほど、
最終的な取り分の割合は
株式のシェアに近づいていく
実際の数字で検証してみる
優先的残余財産の分配
による清算時のシュミレーション
IPOやExitなどの精算があった時に
どのように分配するかを検証する
分配できる
キャッシュ
最初
最後
借入
B種
優先株
A種
優先株
普通株
一番シニアな払い込み金から最
初に分配されていく
→ウォーターフォールと呼ばれ
る
最初
最後
借入
B種
優先株
A種
優先株
普通株
分配が終わった結果
借り入れ、B種優先株、A種優先株の
一部で、すべて使い切られてしまい
普通株に分配が無くなってしまった
分配できる
キャッシュ
最初
最後
借入
普通株
普通株なら
優先的な分配権が
設定されない
投資家 起業家
分配できる
キャッシュ
最初
最後
借入
普通株
普通株なら
Exit時の優先的な分配権はなく、
投資家と起業家に
平等に分配される
投資家 起業家
スモールExitになってしまった場合、
普通株で投資をしていたら、
リスクを背負ったにもかかわらず
多くのリターンが見込めない
優先的残余財産の意味:
スモールExitの正当化を防ぐため
分配できる
キャッシュ
最初
最後
借入
普通株
投資家
起業家
スモールExitの場合
投資家は
リスクをとったけど
それに見合う
リターンを獲ることが
できない
投資家からお金が入った直後に、
経営陣が2/3以上の議決権をもっているこ
とを利用して、会社の解散決議を行い精
算したら、普通株の場合、経営陣にキャ
ッシュが分配される。
もし、優先残余財産を定めた優先株なら
ばこのようなリスクを避けることができ
る
優先的残余財産を設定すると
詐欺的解散が起きてしまった時の
投資家のリスクをヘッジできる
残余財産分配権の
様々なケースの紹介
*磯崎哲也氏の『起業のファイナンス』
を参考にしつつ著者が独自に作成
Pre8億、Post10億
のバリュエーションで
2億円を普通株投資した場合
ケース①
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
2
10
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 1.6 3.2 4.8 8 40
投資家取分 0.4 0.8 1.2 2 10
80%
2億円
普通株
投資家の
取分
10
磯崎哲也著「起業のファイナンス」参照
Exitした額が
10億を超えない場合は
元本割れしてしまう!
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
2
10
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 1.6 3.2 4.8 8 40
投資家取分 0.4 0.8 1.2 2 10
80%
2億円
普通株
投資家の
取分
10
元本割れしてしまう
元本割れしてしまう
普通株投資のデメリットとは
?
・投資家から見てリスクが高いので、
投資に躊躇してしまう
・躊躇するのでクロージングに時間がかかってしまう
・普通株だと、バリュエーションを上げることが
できない
・詐欺的な解散を防止できない
Pre8億、Post10億で
残余財産1倍/
Or型の参加型で
2億円を優先株投資した場合
ケース②
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 2 4 8 40
投資家取分 2 2 2 2 10
80%
2億円
Or型
参加型
投資家の
取分20%
磯崎哲也著「起業のファイナンス」参照
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 2 4 8 40
投資家取分 2 2 2 2 10
80%
2億円
Or型
参加型
投資家の
取分20%
2億円は
保証される
優先株なので
まずこちらから
支払われる
Pre8億、Post10億で
残余財産1倍/
And型の参加型で
2億円を優先株投資した場合
ケース③
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
優先株の
参加分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 1.6 3.2 6.4 38.2
投資家取分 2 2.4 2.8 3.6 11.8
元本 2 2 2 2 2
参加分 0 0.4 0.8 1.6 9.8
80%
20%
2億円
And型
参加型
1xの
投資家の
取分
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
優先株の
参加分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 1.6 3.2 6.4 38.2
投資家取分 2 2.4 2.8 3.6 11.8
元本 2 2 2 2 2
参加分 0 0.4 0.8 1.6 9.8
80%
20%
2億円
And型
参加型
1xの
投資家の
取分
優先株なので
まずこちらから
支払われる
2億円は
まず保証
される
Pre8億、Post10億で
残余財産3倍/
And型の参加型で
2億円を優先株投資した場合
ケース④
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
参加分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 0 0 3.2 35.2
投資家取分 2 4 6 6.8 14.8
元本 (3x) 2 4 6 6 6
参加分 0 0 0 0.8 8.8
80%
20%
2億円
And型
参加型
3xの
投資家の
取分
6
6
6億円 元本 3x
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
元本
参加分
2
2
残余財産額 2 4 6 10 50
創業者 0 0 0 3.2 35.2
投資家取分 2 4 6 6.8 14.8
元本 (3x) 2 4 6 6 6
参加分 0 0 0 0.8 8.8
80%
20%
2億円
And型
参加型
3xの
投資家の
取分
6
6
6億円 元本 3x
優先株なので
まずこちらから
支払われる
6億円は
保証される
Pre8億、Post10億で
残余財産3倍/
Or型の参加型で
2億円を優先株投資した場合
ケース⑤
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
2
2
残余財産額 2 6 10 20 30 50
創業者 0 0 4 14 24 40
投資家取分 2 6 6 6 6 10
元本(3x) 2 6 6 6 6 6
参加分 0 0 0 0 0 4
80%
2億円
Or型
参加型
3xの
投資家の
取分
6
6
6億円 元本 3x
30
残余財産の額(単位:億円)
分
配
額
創業者の
取分
2
2
残余財産額 2 6 10 20 30 50
創業者 0 0 4 14 24 40
投資家取分 2 6 6 6 6 10
元本(3x) 2 6 6 6 6 6
参加分 0 0 0 0 0 4
80%
2億円
Or型
参加型
3xの
投資家の
取分
6
6
6億円 元本 3x
30
優先株なので
まずこちらから
支払われる
6億円は
保証される
スタートアップが
有利
投資家が
有利
交渉テーブル
に乗る
バリュエーション
のレンジ
ケース①
普通株投資
ケース⑤
残余財産3倍
And型の参加型
優先株投資
ケース④
残余財産3倍
Or型の参加型
優先株投資
ケース③
残余財産1倍
And型の参加型
優先株投資
ケース②
残余財産1倍
Or型の参加型
優先株投資
高い
低い
スタートアップが
有利
投資家が
有利
交渉テーブル
に乗る
バリュエーション
のレンジ
ケース①
普通株投資
ケース⑤
残余財産3倍
And型の参加型
優先株投資
ケース④
残余財産3倍
Or型の参加型
優先株投資
ケース③
残余財産1倍
And型の参加型
優先株投資
ケース②
残余財産1倍
Or型の参加型
優先株投資
高い
低い
残余財産分配権の条件と
バリュエーションを
天秤にかけながら
交渉をする
バリュエ
ーション
調整式の
種類
トレードオフの関係にある
調整式の種類とバリュエーションをとること
取得請求権の交渉
そもそもベンチャーファイナンスでは配
当金を設定しない場合が多い
ここに関する金額はあまり気にしなくて
良い。なぜならスタートアップの場合は
配当できる利益が出ない場合が多い。
(会社法上の規定で、分配可能な金額か
らしか、分配できない)
優先的剰余金配当請求権
投資家にとっての目的
・(あまり期待できない)万が一配
当の可能性が生じた時の対応策
・優先配当額として、蓄積させてお
いて、残余財産の分配時に反映させる
優先的剰余金配当請求権
優先的剰余金配当請求権
設定項目
参加型:まず優先株ホルダーが、配当金を得て、その
後に普通株ホルダーに配当されるパターン
非参加型:優先株ホルダーと普通株ホルダーが同額を
配当されるパターン(持ち株比率ベースで)
累積型:配当できなかった時に翌年に持ち越せる
→ずっと積もってしまう(最後の優先分配の時に、分
配される)
非累積型:配当できなかった時に翌年に持ち越せない
Startupにとって配当金とは?
あまりこだわる必要は無い
会社法上、剰余金の分配は、分配可能な
余剰キャッシュがなければ行えない。
→ 起業家は優先配当権の条件に固執す
る必要は無い、優先配当の条件を利用し
て、よりよい条件を獲得する
希釈化防止条項を
検討する
投資家が損をしないための施策
希釈化の防止
スタートアップがうまくいって、IPOになった場合
は、優先株は普通株に1:1で転換される。
しかし、ダウンランドファイナンス(新しいラウン
ドで、その前の発行株価を下回る価格で、投資家に
株式を発行する資金調達)の場合に投資家の持ち分
が希釈化しないように調整される。
希釈化防止条項の2つのパターン
希釈化防止条項を規定する必要がある。
その時の条項パターンとしては2種類がある
①ラチェット方式
②加重平均方式
希釈防止条項を規定せず、もし次のラウンドでダウ
ンラウンドになってしまった場合、もともと29%持
っていた、株が22%に希釈化してしまう
希釈防止条項を規定しない場合
フルラチェット方式で、規定した場合は、ダウンラウン
ドになった場合、投資家の希釈化が行われない。一方で
、経営陣の持ち分は大幅に希釈化してしまう
→VCにとって一番有利な条件になる
希釈防止条項をフルラチェット方式で
規定した場合
加重平均方式で、規定した場合は、ダウンラウンドにな
った場合、投資家の希釈化が多少行われる。ただし、何
も規定しない場合に比べて希釈化の割合は防止される
希釈防止条項を加重平均方式で
規定した場合
希釈化防止条項は、経営権(Control Term)にも影響
がある。この条項があると、起業家はダウンラウン
ド(を避けようとするモチベーションが生まれる。
たとえば、追加の資金が必要な場合でも、もしバリ
ュエーションが下がる場合は、それを避けようとす
るモチベーションが生まれる。
なぜ希釈化防止条項を設定するのか?
起業家としては、投資家と設定したマイ
ルストーンを達成して、バリュエーショ
ンを上げることにコミットすることにイ
ンセンティブが働く
なぜ希釈化防止条項を設定するのか?
希釈化防止条項のポイント
起業家より提示したバリュエーションが高
すぎると、ダウンサイドリスクをヘッジす
るために、フルラチェットで設定したいと
いう交渉が入る時がある。
希釈化防止条項のポイント
役員や従業員へのストックオプション
付与が著しく約されていないか?
をチェックする
希釈化防止規定を加味した時の
バリュエーションのポイント
シリーズAの投資家に、A種優先株式を割り
当てることを考えた場合、株価があまりにも
高いと、次のVCラウンドで、B種優先株式の
株価がA種優先株式の金額を下回ってしまう
可能性がある。なので、現実的な価格をつけ
る必要がある。
Valuation
フルラチェッ
ト
高
低
希釈化防止条項
がきつくなると
バリュエーションを
あげる要因になる
希釈化防止条項
なし
加重平均
方式
フル
ラチェット
加重平均
方式
希釈化防止
条項なし
A投資家がシリーズAを入れた段階で29%持っており、もし次のラ
ウンドで、一株につき50,000万円で10000万株の第三者割り当て
増資(Pre-money 35億、Post-money 40億)を行ったとする。そ
の場合、もともと持っていた29%から25%に希釈化する
→投資家にとって望ましい状態
次回ラウンドで大幅に
バリュエーションが上がった場合
A投資家がシリーズAを入れた段階で29%持っており、もし次の
ラウンドで、一株につき20,000円で25000株の第三者割り当て増
資(Pre-money 14億、Post-money 19億)を行ったとする。そ
の場合、もともと持っていた29%から21%に希釈化する
→投資家にとって望ましくない状態
次回ラウンドで大幅に
バリュエーションが上がらない場合
大幅に
希釈化!
種類
誰に対して
発行するか
手続き
コスト
Stage
投資家
から見た
リスク
借入(Debt/Note)
関節金融:銀行
直接金融:社債 低
Series B
〜
低
高
新株予約権付社債
(Convertible Note)
エンジェル投資家(シード期)
投資家(ブリッジラウンド) 低
Seed,
Bridge
round
新株予約権
(Warrent, Stock option)
従業員・創業者 高
Series A
〜
種類株式
(優先株式)
投資家 高
Series A
〜
普通株 創業者 中
Initial
capitalization
資金調達の方法
資金調達を受けるときに
ストックオプションの計画を立てる
ストックオプションとは?
将来、一定条件で、
株を安く買い取れる権利
(新株予約権)
ストックオプションは
スタートアップが優秀な人材を
引きつける最強のツールになる
無償で発行できるストックオプションを付与し
て、将来会社の価値が高まった時に、その権利
を行使して、株式の取得をしてもらうことで、
頑張ってきた役員、従業員もその利益を享受で
きる
スタートアップの成功の
最大要因は人である
スタートアップには
カネもなければ、人材も少なく
ノウハウも限られる
あるのは将来に向けた
可能性だけである
ストックオプションは
”将来の可能性”を
スタートアップの推進力に
変換する仕組み
ストックオプションとは
”将来、ある一定の条件で
株式を購入できる権利”
将来、株価が上がれば、
株価が上昇したぶん、
キャピタルゲインが
発生する
ストックオプションは
通常、会社が従業員に
無料で配るもので、従業員側に
リスクはない
ストックオプションの仕組み
株価
第1回
付与時
第2回
付与時
売却時
1万円
2万円
20万円
18万円(20万円ー2万円)
第2回付与時への
キャピタルゲイン
19万円(20万円ー1万円)
第2回付与時への
キャピタルゲイン
株価
第1回
付与時
第2回
付与時
売却時
1万円
2万円
20万円
一株いくらで株式を
購入できるか
Strike Price(行使価格)
という
株価
第1回
付与時
第2回
付与時
売却時
1万円
2万円
20万円
初期の頃に発行すれば、
行使価格を低めに設定できるので
キャピタルゲインが大きくなる
ストックオプション設定の
ポイント①
ストックオプションが
上場までの累計で
発行株式数の10%以内で
収まるように考えておけば
無難である
S.O.を出すときに目的が
リワード型なのか
ロイヤリティー型なのか
を整理する
ストックオプション設定の
ポイント②
創業期 急成長期
安定
成長期
資金調達
ステージ
社員数
会社の
課題
欲しい
人材
人事面
の課題
シード シリーズA シリーズB〜
上場期
IPO
10人
10人〜
30人
30人〜
50人
50人〜
PMF/
Unit Economics
急拡大への対応
・オペレーション確率
・部門の立ち上げ
・なんでもできる人
・5レンジャー
・採用担当者を
確保できるか
・リファラル採用
・急拡大についていける人
・売上に直結する人材
・経営陣の分身に
なってくれる人
・ CFO
・経営メンバーの業務
引っぺがし
・マネージメント力不足
・評価制度がない or
不透明
・上場準備
・制度の確立
(人事、予算)
・オペレーション最適
・スキル、経験、
知識が豊富な人
・バックオフィスに
強い人(人事のプロ
財務のプロ、上場経験者)
・創業メンバーの引き止め
・ミドルマネージメント
層の不足
・経営陣と現場の乖離
・スキル/経験/知識が
豊富なメンバーの採用
・IPO後の創業メンバー
の引き留め
・新卒やインターン
の採用
・全等級レベルでの
人材不足
・IPO
・一般組織に
変革
・上場後に
新たな成長の種
を作れる人
S.0.をロイヤリティ
(成果を報いる報酬)
として創業メンバー
を報いる
S.0.をリワード
(これから期待する成果
に対する報酬)
として設定する
ストックオプション設定の
ポイント③
ストックオプションでも
クリフとベスティング
スケジュールを設定する
S.O.を発行して
すぐに辞められてしまっては
意味がなくなるから
ベスティングパターン①
初年度クリフ x 毎年クリフ
Time
Year 1 Year 2 Year 3 Year 4
25%
50%
75%
100%
行使可能
割合
クリフ
期間
ベスティング
期間
ベスティングパターン②
初年度クリフ x 毎月ベスティング
Time
Year 1 Year 2 Year 3 Year 4
25%
50%
75%
100%
行使可能
割合
クリフ
期間
ベスティング
期間
ストックオプション設定の
ポイント④
ストックオプションの
魅力を維持するため
優先株を使ったほうが
ストックオプションにおける
キャピタルゲインの幅を
広げることができる
普通株でストックオプションを発行した場合の
キャピタルゲイン
1.5億円 = (20000円 - 5000円) X10000株
ストックオプションの行使価格は普通株の価格に合わせる
ことになるので、行使価格は5000円になる。
優先株でストックオプションを発行した場合の
キャピタルゲイン
1.9億円 = (20000円 - 1000円) X10000株
ストックオプションの行使価格を考慮した時、優先株は普通株より割
高になっているためストックオプションの優先株を普通株に転換する
時にかなり低くすることができる(上記は5分の1の例)
ストックオプションを決める
プロセス
1資本政策を構築する
2付与できるSOの量を想定する
3役職の付与ルール/ポリシーを決める
4誰がどれくらいのインセンティブになる
かのシュミレーションを行う
5全体を見て整合性が取れるかを検討する
ストックオプションは
発行株式総数の何%が適当か?
実務上 10~15%の場合多い
通常、CXOなどの幹部を採用するときは、ストックオプ
ションを用意することが有利に働く。これらのポジショ
ンの採用が終わっていないのならば、10%〜15%の枠を
残しておく。
法律上の上限はないが、あまりに多すぎると上場時に上
場時に設定された株価の信憑性が下がってしまう(上場
した瞬間に、すぐに権利が行使されて売り出されると株
価が下がる)
磯崎哲也著
『起業のファイナンス』
磯崎哲也著
『起業のエクイティ・ファイナンス』
詳しく知りたい方は以下を参照
*本スライドでも参照させていただきました
詳し く 知り たい方は以下を参照
*本スラ イ ド でも 参照さ せていただき まし た
http ://www.azx.co.jp/blog /?pag e_ id= 1 2
AZXブログ
http ://startup innovators.jp/blog /
Startup
Innovators
http s://5 0 0 startup s.jp /tag /fina nce/
5 0 0 Startup
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Startup finace 2018 ② ベンチャーファイナンスの型

Notes de l'éditeur

  1. 資金調達をスムーズに行うため 資金調達を受け入れるときに上場までのストーリーがなければ受けることができない 安定株主の確保 株式をバラまいてしまうと、上場やExitのストーリーを描きにくくなってしまう。株の割合によってできること、できないことが会社法で定められている。 バラバラだと重要な意思決定をスピードをもってできない 創業者利潤の獲得 役員や従業員のインセンティブ 優秀な人材を採用してRetainするために必要なもの
  2. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  3. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  4. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  5. http://www.azx.co.jp/blog/?p=1778
  6. http://www.azx.co.jp/blog/?p=1778
  7. http://www.azx.co.jp/blog/?p=1778
  8. http://www.azx.co.jp/blog/?p=1778
  9. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  10. どこをターゲットするのかをまず考えて見る マザーズは25%は流通していないとだめだが、 75%は流通していなくてもよい これをベースにして資本政策を組む
  11. 最初に目指すマザーズ市場では、 25%以上流通させている必要があり、 時価総額が10億円以上必要である どこをターゲットするのかをまず考えて見る マザーズは25%は流通していないとだめだが、 75%は流通していなくてもよい これをベースにして資本政策を組む
  12. https://globis.jp/article/1312
  13. https://globis.jp/article/1312
  14. https://kigyotv.jp/college/ipo-2/
  15. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  16. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  17. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  18. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  19. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  20. https://itpat.jimdo.com/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%8C%E3%83%91%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%92%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%91%EF%BC%90%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1/ Dropbox: network folder synchronization patent, Zynga: asynchronous challenge gaming patent, Square: patented system and method for decoding swipe card signals, GoPro: patented harness system for attaching a camera to a user, Google:breathtakingly valuable original PageRank patent.
  21. http://tyotatu.tsukioka-1.com/22/22.html
  22. http://tyotatu.tsukioka-1.com/22/22.html
  23. http://tyotatu.tsukioka-1.com/22/22.html
  24. http://tyotatu.tsukioka-1.com/22/22.html
  25. http://startupinnovators.jp/blog/120/
  26. http://startupinnovators.jp/blog/120/
  27. http://mk44.exblog.jp/16624425/
  28. VCメソッドで求めるバリュエーション
  29. VCメソッドで求めるバリュエーション
  30. http://mk44.exblog.jp/16624425/
  31. VCメソッドで求めるバリュエーション
  32. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  33. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  34. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  35. http://thestartup.jp/?p=15752 https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view
  36. http://thestartup.jp/?p=15752 https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view https://drive.google.com/file/d/0B7WPdlMHRdreZkJoYXlQR0loY1k/view
  37. https://careerdb.jp/articles/22
  38. https://careerdb.jp/articles/22
  39. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  40. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  41. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  42. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  43. http://blog.ourcrowd.com/wp-content/uploads/2015/06/stark-post-2.jpg
  44. IRR^exitまでの年数 = ⑤ / (投資実行時の投資額) y    Exitの金額 (1+IRR) = 投資実行時の投資額
  45. 段階的を減るたびに 事業リスクが下がっていく
  46. 段階的を減るたびに 事業リスクが下がっていく
  47. http://startupinnovators.jp/blog/120/ 段階的投資と呼ばれる手法は、次のラウンドの投資をコミットしないことによってベンチャー企業の目標達成を動機付ける手法です。つまり、いつでも手を引けるような仕組みで投資するということが、投資家のリスク管理の基本です。
  48. http://startupinnovators.jp/blog/120/ 段階的投資と呼ばれる手法は、次のラウンドの投資をコミットしないことによってベンチャー企業の目標達成を動機付ける手法です。つまり、いつでも手を引けるような仕組みで投資するということが、投資家のリスク管理の基本です。
  49. http://startupinnovators.jp/blog/120/ http://www.turnyourideasintoreality.com/2015/12/cvc/ 段階的投資と呼ばれる手法は、次のラウンドの投資をコミットしないことによってベンチャー企業の目標達成を動機付ける手法です。つまり、いつでも手を引けるような仕組みで投資するということが、投資家のリスク管理の基本です。
  50. http://startupinnovators.jp/blog/120/ 段階的投資と呼ばれる手法は、次のラウンドの投資をコミットしないことによってベンチャー企業の目標達成を動機付ける手法です。つまり、いつでも手を引けるような仕組みで投資するということが、投資家のリスク管理の基本です。
  51. http://startupinnovators.jp/blog/167/
  52. http://scrum.vc/ja/2016/05/12/convertible-notes/
  53. • 種類株のコスト回避 • 複数の投資家が増資手続のタイミングを合わせなくてもいい • バリエーションの厳密な評価不要 • 清算時に貸主は債権者となり株主に優先する • 創業者のモチベーション維持
  54. https://www.clairlaw.jp/newsletter/2012/11/newsletter1105.html コンバーチブルノートは債務のため、スタートアップにとっては債務超過の状態になってしまう エンジェルがconvertible noteで貸し付けを 繰り返し行うと、日本では貸金業法上、貸金登録が必要になる可能性がある • 調達企業は債務超過となり入札や取引対象の条件を具備できないこともある • エンジェル税制の適用がない • ローンの形式であれば貸主に貸金業登録が必要(よって、登録のないVCは転換社債を使うことになる。) むしろ「社債」なので借入と評価され、金融機関からの借入が必要になってもお金を借りるのはほぼ無理になります。 • 種類株のコスト回避 • 複数の投資家が増資手続のタイミングを合わせなくてもいい • バリエーションの厳密な評価不要 • 清算時に貸主は債権者となり株主に優先する • 創業者のモチベーション維持
  55. Preferred Stockで投資してもらう場合と比較して、圧倒的に交渉や事務処理が早いです。この事務処理の中身として、「Valuationを決める必要がないため、時間が節約できる」だとか、「株式投資の場合、そのラウンドで投資する人の足並みを基本的にそろえなければならないため時間がかかるが、CNやCEにはその必要はない」などという説明がよくされているようです。BizLawInfo.jpはその2点の説明には懐疑的であり、むしろ、CNやCEが「早い」理由として「株式投資に比べて、圧倒的に書面の量が少ない」という点を強調しています。 株式投資ですと、通常のSeries Aであれば、タームシートからして数ページから時に10ページ以上、実際の契約書面になれば、合計で優に100ページを超える量になります。弁護士側でも、1st Draftの作成に、少なく見積もっても6~8時間程度(1-2年目のアソシエイト前提)、ちょっとややこしくなると10時間とか15時間とかかかり、その後の投資家側のレビューや交渉、書面の修正、さらに調印までの管理を含め、かな~〜〜りたくさんの時間を費やすことになります。Series AAやSeries Seedといった軽めの優先株式を利用したシードファイナンスを行う場合であっても、やはり書面は合計で50ページ前後にはなるでしょうか。 それにくらべてCNときたら…タームシートは1枚(か2枚)、Note本体の書面は2-3ページ、Note Purchase Agreementは5ページ程度と、かなり分量が少ないです(内容にもよりますが)。CEもほぼ一緒で、10ページ以内には収まります。その分、文書作成の負担も激減します。極端な話、本当に典型的な条件のCNやCEでしたら、時には数十分で全部の書面ができてしまったりするわけです。 ということで、とにかく「早い」。
  56. 初期の起業家にとって時間は非常に重要である。 資金調達は時間と工数が取られるので プロダクトのイテレーションや salesに時間をがかけれなくなる 投資契約書だと時間がかかってしまう 上記のとおり、CNやCEは、圧倒的に書面の量が少なくて済みます。ということは、必然的に弁護士の作業量も激減します。資金調達の際の最大のコストは間違いなく弁護士費用ですので(笑)、それを大きく節約できるCNやCEは、調達額もそれほど大きくないSeed Financingにおいては、かなり魅力的ですね。 ということで、とにかく「安い」。
  57. Equity ラウンドならば、同じ種類株式で調達する必要があるために、同じラウンドでできる 株式投資の場合、そのラウンドで投資する人の足並みを基本的にそろえなければならないため時間がかかるが、CNやCEにはその必要はない」
  58. このようにして、リスクを取った初期投資家は、報酬を受けることができる 企業が成長しなかった場合、先に投資した投資家を守るためのものです。優先株による資金調達が行われるとき、その際の評価額が「増資前評価額の上限」を下回った場合(つまり、企業価値が伸びなかった場合)コンバーチブルノートで投資をした投資家は、その時点での評価額から「増資前評価額の割引率」を引いた額を評価額として優先株が発行されます。つまり企業がうまく成長しなかった場合でも、後から投資する投資家に比べて安い値段で優先株を手に入れられるということです。
  59. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた 20%でディスカウントした場合: 次の増資ラウンドで一株につき1000円という価格がついた時に、Convertible Noteのホルダーは一株につき800円で買うことができる
  60. しかし、Equityラウンドで入った投資家の中には CNのinvestorのために払うのをいやがる投資家もいる しかし、一番最初にCNで投資した投資家は、最もリスクを とったので、尊重されるべきである Capを設けないと、Equityラウンドで大きく跳ね上がった 時に、CNから転換された株は大きく希釈化してしまう 企業が大きく成長した場合、先に投資した投資家を守るためのものです。優先株による資金調達が行われるとき、企業価値が決められコンバーチブルノートのローンが優先株に転換されます。その際の評価額が「増資前評価額の上限」を超えた場合(つまり、企業価値がとても高くなった場合)コンバーチブルノートで投資をした投資家は「増資前評価の上限」を評価額として優先株が発行されます。つまり企業が成長した場合、後から投資する投資家に比べて安い値段で優先株を手に入れられるということです。
  61. http://startupinnovators.jp/blog/175/ 損益分岐点を早くして、 利益を上げた プレマネーバリュエーションの上限値を設定すると、起業家が「会社が予想外に早く成長した場合に、会社が満期のギリギリまで次のラウンドを控え、なるべくバリュエーションを高めてから転換を行うことで、ブリッジ投資家に割当てる株数を減らす」という行動に出ることを防止する効果があります。
  62. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた プレマネーバリュエーションの上限値を設定すると、起業家が「会社が予想外に早く成長した場合に、会社が満期のギリギリまで次のラウンドを控え、なるべくバリュエーションを高めてから転換を行うことで、ブリッジ投資家に割当てる株数を減らす」という行動に出ることを防止する効果があります。
  63. できるだけ低く設定されるべき 税法上一番低い課税率が何かを検証して、設定するべき
  64. https://500startups.jp/j-kiss/ https://app.box.com/embed/s/if9ct6fswhqwqmq4bl3pomof1ktr55ve/file/183923385899
  65. 種類株式の一つである 有利な内容で定めてあるので優先株という 優先株でやると、 起業家は、できるだけ大きく跳ねるように事業を舵をきる
  66. 株  借入   
  67. 日本では、かつて、ベンチャーファイナンスにも優先株式はあまり使用されていませんでした。これは、当時の優先株式のルールが厳格で使い勝手が悪かったことが原因とされています。平成17年に会社法が制定され、優先株式の使い勝手の悪さという問題は大きく解消されたことから、現在では広くベンチャーファイナンスに優先株式が利用されています。 ベンチャーファイナンスに優先株式を利用する理由はいくつかありますが、管理人が重要だと思う順にこれを説明します。 (1) 創業者のフリーライド防止(投資家の優先権確保) 「創業者利益発生のメカニズム」では、ベンチャー企業の企業価値の増え方を風船に、株式価値をパイのスライスに例えてご説明しました。そこでは、すべての種類の株式が同じ価値であることを前提にご説明していました。 実際、株式がめでたく公開されると、すべての優先株式が強制的に転換されて普通株式になるように優先株式を設計しますので*、株式が流動性を持ったときのことを考えると、潜在的には「すべての種類の株式が同じ価値」と考えることは間違っていません。 * 転換比率は1:1で作りつけます。希釈化防止条項がトリガーした場合はこの比率が変わってきます。 けれども、強制転換がされる前はどうでしょうか。 優先株式には、上記②にあるとおり、残余財産の優先分配の条項が定められており、この条項は、ベンチャーファイナンスのもう一つのエグジットであるM&Aの場合にも、残余財産の優先分配条項に従った優先権で、企業価値を株主間で分け合うこととしています。 つまり、ベンチャーファイナンスでは、株式の価値は以下のとおり条件によって2通りの計算で算出されるということになります。 (a) IPOまでたどり着いた場合 すべての株式は同一の価値となり、(一株当たり価値)=(時価総額)÷(総株式数)となる。 (b) IPOまでたどり着かなかった場合 優先株式と普通株式ではパイのスライスの大きさが異なり、その大きさは、それぞれ、企業価値を残余財産の優先分配条項に従って分配した場合の優先株主の取り分と普通株主の取り分となる。 このように株式が条件によって異なる価値になることに奇妙さを覚えるかもしれませんが、そのようなことはデリバティブの世界では日常茶飯事です。普通株主である創業者と優先株主である投資家は、企業価値が現金化したときの取り分をめぐってデリバティブ取引を行っているのだと管理人は大括りに理解しています。 このデリバティブ取引の勝ち負けは、現金化時点の企業価値と残余財産の優先分配条項がどのように作りつけられているかによって決まることになるかと思いますが、少なくとも初期の段階では優先株主に対する分配が多いはずです。 実例で考えてみましょう。会社設立の際、創業者が普通株式を1株10円で10,000株取得したとします。その後投資家がA種優先株式を1株100円で5,000株取得したとします。このA種優先株式には、残余財産分配請求権として、普通株主に先立って1株あたり200円が分配され、更に残額につき普通株式と同様に分配を受けられることになっていたとします。この時のポストマネー・バリュエーション(投資後の会社の価値)は、投資家が1株100円で購入していますので、 100円 ×(10,000株+5000株)= 1,500,000円 となります。ここですべての株式が普通株式だったと仮定した場合、1株あたりの価格は投資家の取得価格100円ですが、上記の優先分配条項に従えば、 投資家にはまず200円×5,000株=1,000,000円が分配され、 残り500,000円を投資家と創業者でパリパスで分けますので、 投資家には500,000円 ÷(10,000株+5,000株)× 5,000株 ≒ 16,7000円 創業者には333,000円が分配され、 結局、 創業者:333,000円(1株あたり33円) 投資家:1,167,000円(1株あたり233円) ということになります。 投資家の投資が普通株式だった場合に比べて創業者株式の潜在的な価値が抑えられていることが分かります。このような条件であることによって、投資家は当初の創業者株式の取得価格を安くしたファイナンスストラクチャーを許容することができていると考えられます。 なお、上記の価格は企業価値を創業者と投資家でどのような割合で持っているか、いわばパイのスライスの大きさを示したものに過ぎず、このような価格で売却できるということを意味するわけではありません。創業者と投資家は、あくまで将来売却することができたとすればどのような取り分となるかについての約束を保有しているに過ぎず、その意味で保有株式の価値は潜在的なものということができるかと思います。 (2) ストック・オプションの実効性確保 ストック・オプションは、保有者である従業員がこれを行使することによって普通株式を取得することができる権利です。保有者は、ストック・オプションを無償で割り当てられ、行使時に行使価格を会社に払い込むことで、普通株式を取得することができます。このストック・オプションが税制適格要件を満たすためには、行使価格はストック・オプション割当時の普通株式の価額以上でなければなりません。 ここで、ストック・オプションの割当ての時点でもし投資家に対して優先株式ではなく普通株式を発行していた場合、投資家に対する株式発行後ストック・オプションの割当て前に激しい企業価値の毀損がない限り、ストック・オプションの行使価格は、投資家に対する普通株式の発行価格よりも高くなければ税制適格要件を満たさないことになります。投資家と同じだけの価格を払わなければ株式を得られないのであれば、これはスタートアップ企業の従業員に対するインセンティブとして十分ではないと言わざるを得ません。 これに対し、投資家に対して割当てられる株式が優先株式の場合、先ほど(1)でご説明したとおり、普通株式の潜在的価値は優先株式の潜在的価値よりも相当程度低く抑えられます。これによって、ストック・オプションの行使価格を抑え、スタートアップ企業という極めて不確実性の高い企業に優秀な人材を惹きつけるための重要なツールとすることができるのです。 現に、シリコンバレーでは、起業から間もないスタートアップ企業では、普通株式の公正価額(=ストック・オプションの行使価格)は、その時点で発行されている優先株式の1株あたり発行額の10分の1程度が目安とされてきました。この実務は2006年ころから修正され、行使価格は割当て時点の企業価値を算出し普通株式の公正価額を算定することによって導く実務になっていますが、いずれにせよ、優先株式利用の実務的な理由として、ストック・オプションの魅力の維持というのは重要な要素になっていると考えられます。 (3) 稀釈化防止(優先株式の価値の維持) 優先株式から普通株式への転換比率は、当初1:1で設定されます。転換比率は、その後の企業の成長が順調に進むかぎり変化しませんが、いわゆるダウンラウンドファイナンス**を実施する場合には調整されます。 ** ダウンラウンドファイナンスとは、新ラウンドで従前の発行価格を下回る発行価格で投資家に株式を発行することによる資金調達を言います。 詳細は別にご説明しますが、ダウンラウンドを行うと、既存の優先株式が稀釈化され価値が低下してしまいますので、これを防止するために、一定の算式に従って転換比率が調整され、例えば1:1.2となります。これによって、普通株式ベースでの持株数を増やすことで、エグジットの際の既存投資家の取り分を保全しようとするものです。このようなアレンジメントが可能なのは、優先株式に転換権・転換条項がついているからにほかなりません。 (4) ベンチャー企業のモニタリング等 優先株式に拒否権を付することで、優先株主の投資価値に重要な影響を及ぼす事項について、資本多数決に負けずに投資家の権利を保護することができます。また、取締役選任権を得ることにより、取締役としてベンチャー企業のモニタリングを実施することができることになります。 これらも重要な権利ではありますが、普通株式で投資した場合でも、投資契約や株主間契約によって契約上担保することができるものです。*** *** 株式の内容となっている場合と契約上の合意とでは、違反の場合の効果などが異なる といった相違はあります。しかし、いずれにせよ仕組み上権利を保持していることは変わらないこと、株式の内容とすることで違反の場合に無効になるといったところで、そのよう な事態が起こり創業者と対立している時点で、投資としてうまくいかなかったということであること、といった理由から、この点をもって種類株のメリットであるというのは、種類株利用による手間を考えると、少なくともベンチャーファイナンスの文脈からは、ちょっとどうなのだろうかという気がします。
  68. ストックオプションのインセンティブを担保できる デメリット:
  69. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  70. ストックオプションのインセンティブを担保できる デメリット:
  71. http://www.find-job.net/startup/knowledge-of-buyout
  72. 通常は1倍
  73. No participationは株がratalyで参加しないということ 株が普通株に変換される Participationは、relatively low comeの時に威力を発揮する。 おおきく跳ねるようなビジネスモデルの場合は、あまり威力を発揮しない (Scaleして何倍になるかどうかで、このParticipationのTermが変わってくる)
  74. IPOは、Fundingのイベントか? もしくは、Liquidationのイベントか?
  75. 日本では、かつて、ベンチャーファイナンスにも優先株式はあまり使用されていませんでした。これは、当時の優先株式のルールが厳格で使い勝手が悪かったことが原因とされています。平成17年に会社法が制定され、優先株式の使い勝手の悪さという問題は大きく解消されたことから、現在では広くベンチャーファイナンスに優先株式が利用されています。 ベンチャーファイナンスに優先株式を利用する理由はいくつかありますが、管理人が重要だと思う順にこれを説明します。 (1) 創業者のフリーライド防止(投資家の優先権確保) 「創業者利益発生のメカニズム」では、ベンチャー企業の企業価値の増え方を風船に、株式価値をパイのスライスに例えてご説明しました。そこでは、すべての種類の株式が同じ価値であることを前提にご説明していました。 実際、株式がめでたく公開されると、すべての優先株式が強制的に転換されて普通株式になるように優先株式を設計しますので*、株式が流動性を持ったときのことを考えると、潜在的には「すべての種類の株式が同じ価値」と考えることは間違っていません。 * 転換比率は1:1で作りつけます。希釈化防止条項がトリガーした場合はこの比率が変わってきます。 けれども、強制転換がされる前はどうでしょうか。 優先株式には、上記②にあるとおり、残余財産の優先分配の条項が定められており、この条項は、ベンチャーファイナンスのもう一つのエグジットであるM&Aの場合にも、残余財産の優先分配条項に従った優先権で、企業価値を株主間で分け合うこととしています。 つまり、ベンチャーファイナンスでは、株式の価値は以下のとおり条件によって2通りの計算で算出されるということになります。 (a) IPOまでたどり着いた場合 すべての株式は同一の価値となり、(一株当たり価値)=(時価総額)÷(総株式数)となる。 (b) IPOまでたどり着かなかった場合 優先株式と普通株式ではパイのスライスの大きさが異なり、その大きさは、それぞれ、企業価値を残余財産の優先分配条項に従って分配した場合の優先株主の取り分と普通株主の取り分となる。 このように株式が条件によって異なる価値になることに奇妙さを覚えるかもしれませんが、そのようなことはデリバティブの世界では日常茶飯事です。普通株主である創業者と優先株主である投資家は、企業価値が現金化したときの取り分をめぐってデリバティブ取引を行っているのだと管理人は大括りに理解しています。 このデリバティブ取引の勝ち負けは、現金化時点の企業価値と残余財産の優先分配条項がどのように作りつけられているかによって決まることになるかと思いますが、少なくとも初期の段階では優先株主に対する分配が多いはずです。 実例で考えてみましょう。会社設立の際、創業者が普通株式を1株10円で10,000株取得したとします。その後投資家がA種優先株式を1株100円で5,000株取得したとします。このA種優先株式には、残余財産分配請求権として、普通株主に先立って1株あたり200円が分配され、更に残額につき普通株式と同様に分配を受けられることになっていたとします。この時のポストマネー・バリュエーション(投資後の会社の価値)は、投資家が1株100円で購入していますので、 100円 ×(10,000株+5000株)= 1,500,000円 となります。ここですべての株式が普通株式だったと仮定した場合、1株あたりの価格は投資家の取得価格100円ですが、上記の優先分配条項に従えば、 投資家にはまず200円×5,000株=1,000,000円が分配され、 残り500,000円を投資家と創業者でパリパスで分けますので、 投資家には500,000円 ÷(10,000株+5,000株)× 5,000株 ≒ 16,7000円 創業者には333,000円が分配され、 結局、 創業者:333,000円(1株あたり33円) 投資家:1,167,000円(1株あたり233円) ということになります。 投資家の投資が普通株式だった場合に比べて創業者株式の潜在的な価値が抑えられていることが分かります。このような条件であることによって、投資家は当初の創業者株式の取得価格を安くしたファイナンスストラクチャーを許容することができていると考えられます。 なお、上記の価格は企業価値を創業者と投資家でどのような割合で持っているか、いわばパイのスライスの大きさを示したものに過ぎず、このような価格で売却できるということを意味するわけではありません。創業者と投資家は、あくまで将来売却することができたとすればどのような取り分となるかについての約束を保有しているに過ぎず、その意味で保有株式の価値は潜在的なものということができるかと思います。 (2) ストック・オプションの実効性確保 ストック・オプションは、保有者である従業員がこれを行使することによって普通株式を取得することができる権利です。保有者は、ストック・オプションを無償で割り当てられ、行使時に行使価格を会社に払い込むことで、普通株式を取得することができます。このストック・オプションが税制適格要件を満たすためには、行使価格はストック・オプション割当時の普通株式の価額以上でなければなりません。 ここで、ストック・オプションの割当ての時点でもし投資家に対して優先株式ではなく普通株式を発行していた場合、投資家に対する株式発行後ストック・オプションの割当て前に激しい企業価値の毀損がない限り、ストック・オプションの行使価格は、投資家に対する普通株式の発行価格よりも高くなければ税制適格要件を満たさないことになります。投資家と同じだけの価格を払わなければ株式を得られないのであれば、これはスタートアップ企業の従業員に対するインセンティブとして十分ではないと言わざるを得ません。 これに対し、投資家に対して割当てられる株式が優先株式の場合、先ほど(1)でご説明したとおり、普通株式の潜在的価値は優先株式の潜在的価値よりも相当程度低く抑えられます。これによって、ストック・オプションの行使価格を抑え、スタートアップ企業という極めて不確実性の高い企業に優秀な人材を惹きつけるための重要なツールとすることができるのです。 現に、シリコンバレーでは、起業から間もないスタートアップ企業では、普通株式の公正価額(=ストック・オプションの行使価格)は、その時点で発行されている優先株式の1株あたり発行額の10分の1程度が目安とされてきました。この実務は2006年ころから修正され、行使価格は割当て時点の企業価値を算出し普通株式の公正価額を算定することによって導く実務になっていますが、いずれにせよ、優先株式利用の実務的な理由として、ストック・オプションの魅力の維持というのは重要な要素になっていると考えられます。 (3) 稀釈化防止(優先株式の価値の維持) 優先株式から普通株式への転換比率は、当初1:1で設定されます。転換比率は、その後の企業の成長が順調に進むかぎり変化しませんが、いわゆるダウンラウンドファイナンス**を実施する場合には調整されます。 ** ダウンラウンドファイナンスとは、新ラウンドで従前の発行価格を下回る発行価格で投資家に株式を発行することによる資金調達を言います。 詳細は別にご説明しますが、ダウンラウンドを行うと、既存の優先株式が稀釈化され価値が低下してしまいますので、これを防止するために、一定の算式に従って転換比率が調整され、例えば1:1.2となります。これによって、普通株式ベースでの持株数を増やすことで、エグジットの際の既存投資家の取り分を保全しようとするものです。このようなアレンジメントが可能なのは、優先株式に転換権・転換条項がついているからにほかなりません。 (4) ベンチャー企業のモニタリング等 優先株式に拒否権を付することで、優先株主の投資価値に重要な影響を及ぼす事項について、資本多数決に負けずに投資家の権利を保護することができます。また、取締役選任権を得ることにより、取締役としてベンチャー企業のモニタリングを実施することができることになります。 これらも重要な権利ではありますが、普通株式で投資した場合でも、投資契約や株主間契約によって契約上担保することができるものです。*** *** 株式の内容となっている場合と契約上の合意とでは、違反の場合の効果などが異なる といった相違はあります。しかし、いずれにせよ仕組み上権利を保持していることは変わらないこと、株式の内容とすることで違反の場合に無効になるといったところで、そのよう な事態が起こり創業者と対立している時点で、投資としてうまくいかなかったということであること、といった理由から、この点をもって種類株のメリットであるというのは、種類株利用による手間を考えると、少なくともベンチャーファイナンスの文脈からは、ちょっとどうなのだろうかという気がします。
  76. アントレプレナーは、 リスクをとって高く売るという モチベーションが生じる
  77. 日本では、かつて、ベンチャーファイナンスにも優先株式はあまり使用されていませんでした。これは、当時の優先株式のルールが厳格で使い勝手が悪かったことが原因とされています。平成17年に会社法が制定され、優先株式の使い勝手の悪さという問題は大きく解消されたことから、現在では広くベンチャーファイナンスに優先株式が利用されています。 ベンチャーファイナンスに優先株式を利用する理由はいくつかありますが、管理人が重要だと思う順にこれを説明します。 (1) 創業者のフリーライド防止(投資家の優先権確保) 「創業者利益発生のメカニズム」では、ベンチャー企業の企業価値の増え方を風船に、株式価値をパイのスライスに例えてご説明しました。そこでは、すべての種類の株式が同じ価値であることを前提にご説明していました。 実際、株式がめでたく公開されると、すべての優先株式が強制的に転換されて普通株式になるように優先株式を設計しますので*、株式が流動性を持ったときのことを考えると、潜在的には「すべての種類の株式が同じ価値」と考えることは間違っていません。 * 転換比率は1:1で作りつけます。希釈化防止条項がトリガーした場合はこの比率が変わってきます。 けれども、強制転換がされる前はどうでしょうか。 優先株式には、上記②にあるとおり、残余財産の優先分配の条項が定められており、この条項は、ベンチャーファイナンスのもう一つのエグジットであるM&Aの場合にも、残余財産の優先分配条項に従った優先権で、企業価値を株主間で分け合うこととしています。 つまり、ベンチャーファイナンスでは、株式の価値は以下のとおり条件によって2通りの計算で算出されるということになります。 (a) IPOまでたどり着いた場合 すべての株式は同一の価値となり、(一株当たり価値)=(時価総額)÷(総株式数)となる。 (b) IPOまでたどり着かなかった場合 優先株式と普通株式ではパイのスライスの大きさが異なり、その大きさは、それぞれ、企業価値を残余財産の優先分配条項に従って分配した場合の優先株主の取り分と普通株主の取り分となる。 このように株式が条件によって異なる価値になることに奇妙さを覚えるかもしれませんが、そのようなことはデリバティブの世界では日常茶飯事です。普通株主である創業者と優先株主である投資家は、企業価値が現金化したときの取り分をめぐってデリバティブ取引を行っているのだと管理人は大括りに理解しています。 このデリバティブ取引の勝ち負けは、現金化時点の企業価値と残余財産の優先分配条項がどのように作りつけられているかによって決まることになるかと思いますが、少なくとも初期の段階では優先株主に対する分配が多いはずです。 実例で考えてみましょう。会社設立の際、創業者が普通株式を1株10円で10,000株取得したとします。その後投資家がA種優先株式を1株100円で5,000株取得したとします。このA種優先株式には、残余財産分配請求権として、普通株主に先立って1株あたり200円が分配され、更に残額につき普通株式と同様に分配を受けられることになっていたとします。この時のポストマネー・バリュエーション(投資後の会社の価値)は、投資家が1株100円で購入していますので、 100円 ×(10,000株+5000株)= 1,500,000円 となります。ここですべての株式が普通株式だったと仮定した場合、1株あたりの価格は投資家の取得価格100円ですが、上記の優先分配条項に従えば、 投資家にはまず200円×5,000株=1,000,000円が分配され、 残り500,000円を投資家と創業者でパリパスで分けますので、 投資家には500,000円 ÷(10,000株+5,000株)× 5,000株 ≒ 16,7000円 創業者には333,000円が分配され、 結局、 創業者:333,000円(1株あたり33円) 投資家:1,167,000円(1株あたり233円) ということになります。 投資家の投資が普通株式だった場合に比べて創業者株式の潜在的な価値が抑えられていることが分かります。このような条件であることによって、投資家は当初の創業者株式の取得価格を安くしたファイナンスストラクチャーを許容することができていると考えられます。 なお、上記の価格は企業価値を創業者と投資家でどのような割合で持っているか、いわばパイのスライスの大きさを示したものに過ぎず、このような価格で売却できるということを意味するわけではありません。創業者と投資家は、あくまで将来売却することができたとすればどのような取り分となるかについての約束を保有しているに過ぎず、その意味で保有株式の価値は潜在的なものということができるかと思います。 (2) ストック・オプションの実効性確保 ストック・オプションは、保有者である従業員がこれを行使することによって普通株式を取得することができる権利です。保有者は、ストック・オプションを無償で割り当てられ、行使時に行使価格を会社に払い込むことで、普通株式を取得することができます。このストック・オプションが税制適格要件を満たすためには、行使価格はストック・オプション割当時の普通株式の価額以上でなければなりません。 ここで、ストック・オプションの割当ての時点でもし投資家に対して優先株式ではなく普通株式を発行していた場合、投資家に対する株式発行後ストック・オプションの割当て前に激しい企業価値の毀損がない限り、ストック・オプションの行使価格は、投資家に対する普通株式の発行価格よりも高くなければ税制適格要件を満たさないことになります。投資家と同じだけの価格を払わなければ株式を得られないのであれば、これはスタートアップ企業の従業員に対するインセンティブとして十分ではないと言わざるを得ません。 これに対し、投資家に対して割当てられる株式が優先株式の場合、先ほど(1)でご説明したとおり、普通株式の潜在的価値は優先株式の潜在的価値よりも相当程度低く抑えられます。これによって、ストック・オプションの行使価格を抑え、スタートアップ企業という極めて不確実性の高い企業に優秀な人材を惹きつけるための重要なツールとすることができるのです。 現に、シリコンバレーでは、起業から間もないスタートアップ企業では、普通株式の公正価額(=ストック・オプションの行使価格)は、その時点で発行されている優先株式の1株あたり発行額の10分の1程度が目安とされてきました。この実務は2006年ころから修正され、行使価格は割当て時点の企業価値を算出し普通株式の公正価額を算定することによって導く実務になっていますが、いずれにせよ、優先株式利用の実務的な理由として、ストック・オプションの魅力の維持というのは重要な要素になっていると考えられます。 (3) 稀釈化防止(優先株式の価値の維持) 優先株式から普通株式への転換比率は、当初1:1で設定されます。転換比率は、その後の企業の成長が順調に進むかぎり変化しませんが、いわゆるダウンラウンドファイナンス**を実施する場合には調整されます。 ** ダウンラウンドファイナンスとは、新ラウンドで従前の発行価格を下回る発行価格で投資家に株式を発行することによる資金調達を言います。 詳細は別にご説明しますが、ダウンラウンドを行うと、既存の優先株式が稀釈化され価値が低下してしまいますので、これを防止するために、一定の算式に従って転換比率が調整され、例えば1:1.2となります。これによって、普通株式ベースでの持株数を増やすことで、エグジットの際の既存投資家の取り分を保全しようとするものです。このようなアレンジメントが可能なのは、優先株式に転換権・転換条項がついているからにほかなりません。 (4) ベンチャー企業のモニタリング等 優先株式に拒否権を付することで、優先株主の投資価値に重要な影響を及ぼす事項について、資本多数決に負けずに投資家の権利を保護することができます。また、取締役選任権を得ることにより、取締役としてベンチャー企業のモニタリングを実施することができることになります。 これらも重要な権利ではありますが、普通株式で投資した場合でも、投資契約や株主間契約によって契約上担保することができるものです。*** *** 株式の内容となっている場合と契約上の合意とでは、違反の場合の効果などが異なる といった相違はあります。しかし、いずれにせよ仕組み上権利を保持していることは変わらないこと、株式の内容とすることで違反の場合に無効になるといったところで、そのよう な事態が起こり創業者と対立している時点で、投資としてうまくいかなかったということであること、といった理由から、この点をもって種類株のメリットであるというのは、種類株利用による手間を考えると、少なくともベンチャーファイナンスの文脈からは、ちょっとどうなのだろうかという気がします。
  78. http://www.azx.co.jp/modules/malma/index.php/content0045.html ②投資直後の詐欺的解散の防止:例えば、1株1万円で経営陣が1000株引き受けて会社を設立した後、その会社の企業価値が向上したとして、投資家が1株10万円で500株を引き受けて投資を行ったとする。それが全て普通株式で発行され、仮にキャッシュがそのまま6000万円残っている状態で、経営陣が3分の2以上の持株比率を保有していることを奇貨として、会社の解散決議と行い、清算したとすると、1株当たりの残余財産分配額は1株4万円となり、経営陣には4000万円が分配され、投資家には2000万円が分配される。その結果、経営陣は3000万円の利益を得て、投資家は3000万円の損失を被ることになる。普通株式での投資の場合は、このような投資直後の詐欺的解散のリスクがあることになるが、上記の例で、投資家が普通株式ではなく、1株当たり10万円の優先残余財産分配権を定めた種類株式で投資をすれば、このようなリスクを避けることができる。
  79. http://startupinnovators.jp/blog/120/
  80. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  81. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  82. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  83. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  84. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  85. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  86. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  87. 損益分岐点を早くして、 利益を上げた
  88. パターン1: 参加型:まず優先株ホルダーからもらって普通株に配当されるパターン 配当金が余った場合に、普通株に参加する 累積型:配当できなかった場合に、翌年に持ち越せるか? 非累積型:翌年以降には持ち越さない
  89. パターン1: 参加型:まず優先株ホルダーからもらって普通株に配当されるパターン 配当金が余った場合に、普通株に参加する 累積型:配当できなかった場合に、翌年に持ち越せるか? 非累積型:翌年以降には持ち越さない
  90. パターン1: 参加型:まず優先株ホルダーからもらって普通株に配当されるパターン 配当金が余った場合に、普通株に参加する 累積型:配当できなかった場合に、翌年に持ち越せるか? 非累積型:翌年以降には持ち越さない
  91. http://startupinnovators.jp/blog/375/ 剰余金の配当につき優先権を持つA種優先株式の優先分配権については、 ① 年間配当利率 ② 累積型・非累積型 ③ 参加型・非参加型 の3点について投資家と交渉することになります。 まず、会社法上、剰余金の配当は分配可能額がなければ行うことができません。ベンチャー企業は、すべての資金を投資に振り向けて、最終的な株式公開を目指して急速な成長を志向する企業ですから、ベンチャー企業には株式配当に回す資金はありません。このように、ベンチャー企業には通常配当を想定しにくいことから、起業家は、優先配当権の条件に固執するのでなく、優先配当の条件は、他のよりよい条件を獲得するための道具としてうまく活用するということになるかと思います。 上記のうち、①年間配当率は、A種優先株式の取得価額を基準に年率何%の配当を普通株主に優先して支払うかを定めるものです。例えばA種優先株式が1株100円で引き受けられ、年率8%の優先配当権があったとした場合、分配可能額がある限り、その後の分配日において1株8円の利息がつくべきことになります。 次に、②累積型とは、ある年に支払われるべき配当が全額は支払われなかった場合、その支払われなかった分は翌年に繰り越すことを定めるものです。例えば、上の例で分配可能額がなかった場合や、分配額があったけれども現に分配の決議をしなかった場合、ともに8円相当の配当額が翌年に繰り越されます。仮に、非累積型の場合、ある年に1株8円の配当をすべきだったとしても、これを翌期にはつながらず、翌期の優先配当で支払われるべき額は1株8円ということになります。 優先株式のバリュエーションを将来の期待配当から得られるキャッシュフロー累計の割戻しであると発想した場合、優先株式によるベンチャー企業に対する信用供与は、累積型をとったうえで、利率に当たる年間配当率がべらぼうに高くなるように直感的には思えるかもしれません。しかし、先述の通り、ベンチャー企業は配当をそもそも想定していません。そこで、シリコンバレーの実務では、非累積型とした上で、優先配当率も8%程度といったものもよくみられるように思います。 さらに、③参加型とは、優先株主に対して優先配当がなされた後、普通株主に対する配当に優先株主が普通株主と共にあずかれるタイプの取り決めをいいます。例えば、普通株式4,000株を発行している会社のA種優先株式が1株100円1,000株で引き受けられ、年率8%の優先配当権がある非累積型となっている場合で、仮に配当原資10万円の配当がされるとしたとき、 参加型の場合: A種優先株主に対する優先配当は8円×1,000株=8,000円と、 残り96,000円÷5,000株×1,000株=19,200円の合計27,200円 普通株主は72,800円を受け取ることになります。 非参加型の場合: A種優先株主に対する優先配当は8円×1,000株=8,000円のみ、 普通株主は92,000円を受け取ることになります。 ご説明したとおり、配当は現実には行われませんので、これも非参加とする例も多いですが、例えば減資がなされた場合には分配可能額が発生しますので、これに備えて参加型とするという考え方もあります。ただし、減資は通常、優先株主が承諾しない限り行うことができないように建付けますので、このような備えは本当に必要なのかという点は、議論の余地があるように思えます。 参加型の参加の仕方についてはバリエーションがありえますが、配当が行われることは想定されていませんんおで、優先配当の条項にこだわることには、ベンチャーファイナンスの文脈では、あまり合理性がある話ではないと考えられているように思います。 なお、後に説明する残余財産分配のルールでは、優先株主に対して、累積された未払いの優先配当額を追加して残余財産の優先分配ルールを決定するという取り決めを要求されることがあります。こうした取り決めの場合、配当が累積型になっていると、エグジットの際、これまで現実化していなかった優先配当分を上乗せして優先株主に企業価値の分配がなされることになります。起業家は、優先分配の規定は強くこだわらなくてもよいものの、エグジットの際の会社の売却額の分配の時に効いてくる規定もあるということは、憶えておいたほうが良いと思います。 優先株式を劣後負債のように用いることが通常という、ベンチャー投資とは異なるプラクティスを持つ業界もあり、投資家のベンチャー投資への習熟度や投資家の出身フィールドによっては、このような提案がなされるかも知れませんので、注意を払っておくべきでしょう。 優先配当の条項は、実際のものを少し簡略化して記載すると、例えば以下のようになっています。非累積・参加型となっていることが確認できるでしょうか。 1 当会社は、定款に定める剰余金の配当をするときは、A種優先株主に対し、普通株主に先立ち、事業年度ごとに、A種優先株式1株につき年◯◯円の配当金を支払う。 2 ある事業年度においてA種優先株主に対してした剰余金の配当額がA種優先配当金の額に達しないときであっても、その不足額は、翌事業年度以降に累積しない。 3 当会社が、A種優先株主に対してA種優先配当金を支払った後、普通株主に対して配当をするときは、同時に、A種優先株主に対して、A種優先株式1株あたり、普通株式1株あたりの剰余金の配当額と同額の剰余金の配当を行う。 優先株式の優先配当の条項は、優先株式を発行している会社の登記簿謄本(履歴事項証明書)をみれば、誰でも確認することができます。
  92. (3) 稀釈化防止(優先株式の価値の維持) 優先株式から普通株式への転換比率は、当初1:1で設定されます。転換比率は、その後の企業の成長が順調に進むかぎり変化しませんが、いわゆるダウンラウンドファイナンス**を実施する場合には調整されます。 ** ダウンラウンドファイナンスとは、新ラウンドで従前の発行価格を下回る発行価格で投資家に株式を発行することによる資金調達を言います。 詳細は別にご説明しますが、ダウンラウンドを行うと、既存の優先株式が稀釈化され価値が低下してしまいますので、これを防止するために、一定の算式に従って転換比率が調整され、例えば1:1.2となります。これによって、普通株式ベースでの持株数を増やすことで、エグジットの際の既存投資家の取り分を保全しようとするものです。このようなアレンジメントが可能なのは、優先株式に転換権・転換条項がついているからにほかなりません。 (4) ベンチャー企業のモニタリング等 優先株式に拒否権を付することで、優先株主の投資価値に重要な影響を及ぼす事項について、資本多数決に負けずに投資家の権利を保護することができます。また、取締役選任権を得ることにより、取締役としてベンチャー企業のモニタリングを実施することができることになります。 これらも重要な権利ではありますが、普通株式で投資した場合でも、投資契約や株主間契約によって契約上担保することができるものです。*** *** 株式の内容となっている場合と契約上の合意とでは、違反の場合の効果などが異なる といった相違はあります。しかし、いずれにせよ仕組み上権利を保持していることは変わらないこと、株式の内容とすることで違反の場合に無効になるといったところで、そのよう な事態が起こり創業者と対立している時点で、投資としてうまくいかなかったということであること、といった理由から、この点をもって種類株のメリットであるというのは、種類株利用による手間を考えると、少なくともベンチャーファイナンスの文脈からは、ちょっとどうなのだろうかという気がします。
  93. 【希薄化防止条項】 前回増資時のValuationよりもValuationを下げて調達せざるをえないダウンラウンドを余儀なくされる可能性もあります。 このようなときには既存投資家の持分は大きく希薄化されることになるため、これを防止する条項として以下の2つがあります。 1 ラチェット条項 2 こちらは投資家をかなり保護するもので、前回増資時の株価からダウンラウンドの株価に置き換えて調整するという条項になります。 3 優先株は普通株に転換するための転換価格が決められており(通常は取得価額と同じ)、この転換価格をダウンラウンドの株価にするということになります。 4 これだけ書いてもよく分からないので例を挙げると、株価1万円で1万株出資していたとして、ダウンラウンドで株価が5000円になったときは、 5 1万円×1万株÷5000円=2万株 6 というように持株数が調整されることになります。 7 加重平均方式 8 こちらがより一般的に採用される方式で、転換価格を加重平均で調整します。 9 計算式を表示したほうが分かりやすいと思いますので、以下になります。 10 事例をベースに見てみましょう。 <ケース> 起業家が1000万円(株価200円×50000株)で創業、その後シリーズAで1.5億円(株価1万円×15000株)、シリーズBで1.8億円(株価1.2万円×15000株)を調達していた。 増資前の資本構成はこのようになります。 ここでダウンラウンドで3.2億円(株価8000円×40000株)を調達したとします。 (色々事例のために数字を適当に入れてたけどラチェット条項はすごいな。。。下手すると元のシェアより増える。。。) それぞれの場合の資本構成は以下の通りになります。 ①希薄化防止条項なし ②加重平均方式 ③ラチェット方式 希薄化防止条項がどのようにシェアに影響を与えるのかの説明のために事例を作ってみました。 基本的に会社がValuationを下げて調達せざるを得ないときに、既存投資家が保護されないというのでは投資を呼び込みにくくなるので、いずれかの希薄化防止条項を入れることになると思いますが、まずは加重平均方式(潜在株を含めるかどうかも実はポイント)がベースになると思います。 次回はGovernanceに関わる条件について書こうと思います。 優先株について日米双方に通じて詳しくまとめられている増島先生のこちらも参考にしてください。
  94. 【希薄化防止条項】 前回増資時のValuationよりもValuationを下げて調達せざるをえないダウンラウンドを余儀なくされる可能性もあります。 このようなときには既存投資家の持分は大きく希薄化されることになるため、これを防止する条項として以下の2つがあります。 1 ラチェット条項 2 こちらは投資家をかなり保護するもので、前回増資時の株価からダウンラウンドの株価に置き換えて調整するという条項になります。 3 優先株は普通株に転換するための転換価格が決められており(通常は取得価額と同じ)、この転換価格をダウンラウンドの株価にするということになります。 4 これだけ書いてもよく分からないので例を挙げると、株価1万円で1万株出資していたとして、ダウンラウンドで株価が5000円になったときは、 5 1万円×1万株÷5000円=2万株 6 というように持株数が調整されることになります。 7 加重平均方式 8 こちらがより一般的に採用される方式で、転換価格を加重平均で調整します。 9 計算式を表示したほうが分かりやすいと思いますので、以下になります。 10 事例をベースに見てみましょう。 <ケース> 起業家が1000万円(株価200円×50000株)で創業、その後シリーズAで1.5億円(株価1万円×15000株)、シリーズBで1.8億円(株価1.2万円×15000株)を調達していた。 増資前の資本構成はこのようになります。 ここでダウンラウンドで3.2億円(株価8000円×40000株)を調達したとします。 (色々事例のために数字を適当に入れてたけどラチェット条項はすごいな。。。下手すると元のシェアより増える。。。) それぞれの場合の資本構成は以下の通りになります。 ①希薄化防止条項なし ②加重平均方式 ③ラチェット方式 希薄化防止条項がどのようにシェアに影響を与えるのかの説明のために事例を作ってみました。 基本的に会社がValuationを下げて調達せざるを得ないときに、既存投資家が保護されないというのでは投資を呼び込みにくくなるので、いずれかの希薄化防止条項を入れることになると思いますが、まずは加重平均方式(潜在株を含めるかどうかも実はポイント)がベースになると思います。 次回はGovernanceに関わる条件について書こうと思います。 優先株について日米双方に通じて詳しくまとめられている増島先生のこちらも参考にしてください。
  95. 【希薄化防止条項】 前回増資時のValuationよりもValuationを下げて調達せざるをえないダウンラウンドを余儀なくされる可能性もあります。 このようなときには既存投資家の持分は大きく希薄化されることになるため、これを防止する条項として以下の2つがあります。 1 ラチェット条項 2 こちらは投資家をかなり保護するもので、前回増資時の株価からダウンラウンドの株価に置き換えて調整するという条項になります。 3 優先株は普通株に転換するための転換価格が決められており(通常は取得価額と同じ)、この転換価格をダウンラウンドの株価にするということになります。 4 これだけ書いてもよく分からないので例を挙げると、株価1万円で1万株出資していたとして、ダウンラウンドで株価が5000円になったときは、 5 1万円×1万株÷5000円=2万株 6 というように持株数が調整されることになります。 7 加重平均方式 8 こちらがより一般的に採用される方式で、転換価格を加重平均で調整します。 9 計算式を表示したほうが分かりやすいと思いますので、以下になります。 10 事例をベースに見てみましょう。 <ケース> 起業家が1000万円(株価200円×50000株)で創業、その後シリーズAで1.5億円(株価1万円×15000株)、シリーズBで1.8億円(株価1.2万円×15000株)を調達していた。 増資前の資本構成はこのようになります。 ここでダウンラウンドで3.2億円(株価8000円×40000株)を調達したとします。 (色々事例のために数字を適当に入れてたけどラチェット条項はすごいな。。。下手すると元のシェアより増える。。。) それぞれの場合の資本構成は以下の通りになります。 ①希薄化防止条項なし ②加重平均方式 ③ラチェット方式 希薄化防止条項がどのようにシェアに影響を与えるのかの説明のために事例を作ってみました。 基本的に会社がValuationを下げて調達せざるを得ないときに、既存投資家が保護されないというのでは投資を呼び込みにくくなるので、いずれかの希薄化防止条項を入れることになると思いますが、まずは加重平均方式(潜在株を含めるかどうかも実はポイント)がベースになると思います。 次回はGovernanceに関わる条件について書こうと思います。 優先株について日米双方に通じて詳しくまとめられている増島先生のこちらも参考にしてください。
  96. http://www.shihonseisaku.com/venturecapital/
  97. エンジェル投資家にA種優先株式を割り当てることを考えた場合、引受価額があまり高いと、次のVCラウンドで、B種優先株式の引受価額がA種優先株式の引受価額を下回ってしまうおそれがあります。「転換請求権 (2/2)」でご説明したとおり、優先株式には稀釈化防止条項が盛り込まれているため、B種とA種の価額が逆転してしまうと、A種の稀釈化防止条項が発動してしまいます。
  98. No participationは株がratalyで参加しないということ 株が普通株に変換される Participationは、relatively low comeの時に威力を発揮する。 おおきく跳ねるようなビジネスモデルの場合は、あまり威力を発揮しない (Scaleして何倍になるかどうかで、このParticipationのTermが変わってくる)
  99. http://blog.zerotoone.jp/entry/2017/05/24/122858
  100. http://yuichiro826.com/archives/1495 http://yuichiro826.com/archives/1495
  101. (2) ストック・オプションの実効性確保 ストック・オプションは、保有者である従業員がこれを行使することによって普通株式を取得することができる権利です。保有者は、ストック・オプションを無償で割り当てられ、行使時に行使価格を会社に払い込むことで、普通株式を取得することができます。このストック・オプションが税制適格要件を満たすためには、行使価格はストック・オプション割当時の普通株式の価額以上でなければなりません。 ここで、ストック・オプションの割当ての時点でもし投資家に対して優先株式ではなく普通株式を発行していた場合、投資家に対する株式発行後ストック・オプションの割当て前に激しい企業価値の毀損がない限り、ストック・オプションの行使価格は、投資家に対する普通株式の発行価格よりも高くなければ税制適格要件を満たさないことになります。投資家と同じだけの価格を払わなければ株式を得られないのであれば、これはスタートアップ企業の従業員に対するインセンティブとして十分ではないと言わざるを得ません。 これに対し、投資家に対して割当てられる株式が優先株式の場合、先ほど(1)でご説明したとおり、普通株式の潜在的価値は優先株式の潜在的価値よりも相当程度低く抑えられます。これによって、ストック・オプションの行使価格を抑え、スタートアップ企業という極めて不確実性の高い企業に優秀な人材を惹きつけるための重要なツールとすることができるのです。 現に、シリコンバレーでは、起業から間もないスタートアップ企業では、普通株式の公正価額(=ストック・オプションの行使価格)は、その時点で発行されている優先株式の1株あたり発行額の10分の1程度が目安とされてきました。この実務は2006年ころから修正され、行使価格は割当て時点の企業価値を算出し普通株式の公正価額を算定することによって導く実務になっていますが、いずれにせよ、優先株式利用の実務的な理由として、ストック・オプションの魅力の維持というのは重要な要素になっていると考えられます。 (3) 稀釈化防止(優先株式の価値の維持) 優先株式から普通株式への転換比率は、当初1:1で設定されます。転換比率は、その後の企業の成長が順調に進むかぎり変化しませんが、いわゆるダウンラウンドファイナンス**を実施する場合には調整されます。 ** ダウンラウンドファイナンスとは、新ラウンドで従前の発行価格を下回る発行価格で投資家に株式を発行することによる資金調達を言います。 詳細は別にご説明しますが、ダウンラウンドを行うと、既存の優先株式が稀釈化され価値が低下してしまいますので、これを防止するために、一定の算式に従って転換比率が調整され、例えば1:1.2となります。これによって、普通株式ベースでの持株数を増やすことで、エグジットの際の既存投資家の取り分を保全しようとするものです。このようなアレンジメントが可能なのは、優先株式に転換権・転換条項がついているからにほかなりません。 (4) ベンチャー企業のモニタリング等 優先株式に拒否権を付することで、優先株主の投資価値に重要な影響を及ぼす事項について、資本多数決に負けずに投資家の権利を保護することができます。また、取締役選任権を得ることにより、取締役としてベンチャー企業のモニタリングを実施することができることになります。 これらも重要な権利ではありますが、普通株式で投資した場合でも、投資契約や株主間契約によって契約上担保することができるものです。*** *** 株式の内容となっている場合と契約上の合意とでは、違反の場合の効果などが異なる といった相違はあります。しかし、いずれにせよ仕組み上権利を保持していることは変わらないこと、株式の内容とすることで違反の場合に無効になるといったところで、そのよう な事態が起こり創業者と対立している時点で、投資としてうまくいかなかったということであること、といった理由から、この点をもって種類株のメリットであるというのは、種類株利用による手間を考えると、少なくともベンチャーファイナンスの文脈からは、ちょっとどうなのだろうかという気がします。
  102. トックオプションの行使価格は普通株の価格に合わせることになるので、行使価格は1万円になります。 普通株でS.O.を発行
  103. http://itokenv.com/archives/294 トックオプションの行使価格は普通株の価格に合わせることになるので、行使価格は1万円になります。 普通株でS.O.を発行