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#06
市場調査(1次データ)
前回に引き続いて情報の入手と分析について考えます。今回
は自ら収集したデータ、すなわち1次データについて検討します。
1
一橋大学大学院商学研究科
松井 剛
#matsuimktg2010
マーケティング・マネジメント・プロセス
の全体像(講義の構成)
Part I Introduction
R STP MM I C
Marketing
Segmentation Mix Implemen-
Research Targeting Product, Price tation
Control
Positioning Place, and
Promotion
Part II R Part II STP Part IV MM
2
Part V Application 2
1
2. 第3章 目次
■ 情報、インテリジェンス、リサーチでマーケティ
ング意思決定を支援する( 今回あつかうところ)
ング意思決定を支援する(→今回あつかうところ)
■ 売上予測と需要測定(前回)
■ マクロ環境のトレンドと要因(前回)
3
■ 情報、インテリジェンス、リサーチでマーケティング意
思決定を支援する
マーケティング情報システム
(MARKETING INFORMATION SYSTEM)
マーケティング 注文、売上、価格、コスト、在
社内記録 庫レベル、売掛金、買掛金など
情報システム に関する結果情報
マーケティング意
思決定者に必要な マーケティング・ マーケティング環境で今まさに
情報を 確
情報を正確かつタ
タ インテリジェンス 起 り
起こりつつある事実に関する情
ある事実 関する情
イムリーに収集、 活動 報を得るための手順と情報源
選別、分析、評価
、分配するための
人員、装置、手順
企業が直面する特定の市場状況
マーケティング・ に関するデータと調査結果の体
4
リサーチ 系的なデザイン、収集、分析、
報告
2
3. マーケティング・インテリジェンス活動の
例:資生堂「お客様センター」
資生堂
販売会社 販売会社
系列小売店 ドラッグストア
消費者 消費者
5
出所:嶋口充輝他(2008)『マーケティング優良企業の条件:創造的適応へ
の挑戦』日本経済新聞社.
資生堂「お客様センター」を介した情報の流れ
TUBAKIコンディショナー、「残り 逆さまにしても容器が起つよう
が少なくなると中身が出にくい」 にキャップの形状を改良
( 情
年 報
電話(フリ ダイヤル)
電話(フリーダイヤル) 3 各自検索
4 シ 経
手紙 Push/On Demand
顧 万 ス 配信 営
件 テ そ 陣
客 電子メール 以 ム 品質情報公開広場
の
上 「
ボイスネットプレスなど ・
他
美容セミナー ) ボ 速報
部 事
イス 業
店舗 ネ マーケティング会議
門 部
ビューティーコンサル ッ (月1回) 部
タント/SiDo ト
パ その他会議 門
ネ
この部分は
C
マーケティング・リサーチ
」 ・ 6
ル インターネット
出所:嶋口他(2008)
3
4. マーケティング・リサーチ
1. 問題と調査目的の明確化 新聞や雑誌の記事などを検
索して、ある企業のマーケ
ティング・リサーチ(p. 51
ティング リサ チ(
2. 調査計画の作成 )の具体例を挙げて、これ
がマーケティング上の意思
決定や行動にどのように活
3. 情報の収集 用されているのかを説明し
なさい。
4. 情報の分析
5. 調査結果の提出
7
6. 意思決定
マーケティング・リサーチ会社
調査事業 前年比
売上高 伸び率
順位 2003年 社名 (百万円) (%)
1 1 ビデオリサーチ
ビデオリサ チ 19,162
19 162 -0.1
01
2 2 インテージ 15,930 12.3
3 3 電通リサーチ 7,541 11.5
4 5 ACニールセン 6,000(推定) 0.0
5 4 日経リサーチ 5,739 -5.4
6 6 サーベイリサーチセンター 4,820 14.0
7 - マクロミル 3,613 74.0
8 7 リサーチインターナショナルジャパン 3,600(推定) -10.0
9 8 日本リサーチセンター
日本リサ チセンタ 3,582
3 582 5.1
51
10 - インテージリサーチ 3,071
11 9 日本統計調査 3,064 -2.4
12 10 リサーチアンドディベロップメント 3,040 -0.2
出所:「国内マーケティングリサーチ企業売上ランキング」『宣伝会議』, 2006年 8
3月15日号, p. 83.
4
5. マーケティング・リサーチの6段階
第1段階:問題と調査目的の明確化
1. 問題と調査目的の明確化 具体性がある問題の定義
3つのタイプ
2. 調査計画の作成 探索型:問題そのものがな
にかを明らかにする
記述型:事実を把握する
3. 情報の収集
因果型:因果関係を特定す
る
4. 情報の分析
5. 調査結果の提出
9
6. 意思決定
後半で主要
な1次デー
第2段階:調査計画の作成 タ手法につ
いて説明
1. 問題と調査目的の明確化 データ
2次データ 1次データ
2. 調査計画の作成
観察
3. 情報の収集 質的調査
フォーカス・グループ
4. 情報の分析
質問票調査 サーベイ
5. 調査結果の提出
機械装置 行動データ
10
6. 意思決定 実験
5
6. 第2段階:調査計画の作成
サンプリング計画、コンタクト方法
サンプリング単位:なにが母
集団なのか不明確なことが多 母集団
い
サンプル・サイズ:コストを
最小化する
サンプリング手順:
確率による方法(例:単純無作
為法、層化抽出法)
為法 層化抽出法)
確率によらない方法
サンプル
コンタクト方法(表3‐2, p. 57
):使い分けることが大事
11
第3段階:情報の収集
1. 問題と調査目的の明確化 最もコストがかかり、
間違いが生じやすい
2. 調査計画の作成 例:サーベイ調査
1. 回答者が留守の場合
3. 情報の収集
2. 協力を拒む者
3. 偏りのある回答をす
る者
4. 情報の分析 4.
4 正直に答えない者
5. 調査結果の提出
12
6. 意思決定
6
7. 第4段階:情報の分析
1. 問題と調査目的の明確化 度数分布、クロス集計、
平均 分散
平均・分散
2. 調査計画の作成 分散分析、回帰分析、因
子分析など
3. 情報の収集
データの解釈:因果の見
4. 情報の分析
出し方
都道部県別で見た場合の
都道部県別 見た場合
「パソコンの出荷台数」
5. 調査結果の提出 と「アニメDVDの販売枚
数」
13
6. 意思決定
第5段階:調査結果の提出
第6段階:意思決定 報告書
1. 問題と調査目的の明確化 要約(Executive Summary)
主な調査結果
結論
2. 調査計画の作成 提案
課題の定義(調査の目的)
調査設計
3. 情報の収集 調査設計の種類
必要とした情報と収集方法
尺度
4. 情報の分析 調査対象
サンプリングの方法
データ分析
5. 調査結果の提出 分析結果
結論と提言
6. 意思決定 付録 14
7
8. データ収集の全体像:ポイントは使い分け
二次データ
低コスト
しかし、調査目的に合致するとは限らない
一次データ
(a) サーベイ
(b) 観察
(c) 実験
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(A) サーベイ
いわゆる「アンケート」
一定数以上のサンプルに対して 構成型(structured
定数以上のサンプルに対して、構成型(structured
)の調査票を用いてデータを収集する方法
16
8
9. 面 電 留 郵 調 フ 調 イ
サーベイの各手法 接 話 置 送 査 ァ 査 ン
法 法 法 法 ッ タ
ク ー
ス ネ
ッ
ト
サンプルの代表性が確保され
○ △ ○ × △ △
ている
多数の質問ができる ○ × ○ △ △ ○
複雑な質問ができる ◎ × △ △ △ △
ヴィジュアルエイドが活用で
○ × △ △ △ ○
きる
データの回収が短期間で済む ○ ○ × × △ ◎
調査エリアの制約がない × ○ × ○ ○ ◎
調査活動にともなう干渉バイ
× △ ○ ○ ○ ○
アスが排除できる
低コストである ×× △ × ◎ ○ ◎
17
注:◎…特に優れている、○…優れている、△…多少問題がある、×…問題があ
17
る、××…非常に問題がある
(B) 観察
対象者の行動や状況を、ヴィデオなどの記録装置や
観察者自身の五感をもって把握する手法
具体例
小売店舗の出入客数のカウント
立地の評価のため周辺の交通量測定
ファッショントレンド把握のためのタウン・ウオッチ
ング
18
9
11. (C) 実験
人為的に特定の変数を操作したグループと、操作し
ないグル プを比 ることで、その変数がもたらす
ないグループを比べることで その変数がもたらす
効果について調査手法
21
サーベイで、ある製品の購買者がその広告をよく見
ているという結果
広告を見たから買ったのか?
認知的不協和(Festinger 1957)を解消するために買っ
てから見るようになったのか?
21
認知的不協和 (COGNITIVE DISSONANCE)
不満足の状態、すなわち事前期待<知覚された製品
パフォーマンス
フォ マンス
22
2つの認知が矛盾→不快
解消する方法:
例:自分の買った製品の広告を見る
22
11
12. 新車購入
新車を購入したばかりの人:不協和が生じる
考慮したが買わなかったブランドの長所
自分が購入したブランドの短所
この不協和を提言するための努力をする
広告:広告しているブランドを褒めるもの
1. 彼らは、購入した車に関する広告を、他の型の車
の広告よりも、たくさん読むだろう
2. 彼らは、一度は考慮したが購入しなかった車に関
する広告を読むのを回避するだろう
3. 同じ車でも古い型の持ち主たちは、車の広告を読
む上で、こうした行動はとらないだろう。なぜな
らば彼らの不協和はほとんどなくなっているだろ
うから。
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自動車の広告に関する調査の手続き
1. サンプル
新車を購入して4~6週間たった成人男子65名
新車を購入して4 6週間た た成人男子 名
3年以上も前の古い型の自動車を所有する成人男子60名
2. 電話でアポを取り、「雑誌や新聞の購読に関する調査
の一部である」と説明
3. 回答者の家への訪問時に、普段読んでいるという雑誌
を4週間分と新聞7日間分を持参
4. これら雑誌や新聞に掲載された自動車の広告を見せて
、目についたかどうか、さらに読んだかどうかを質問
目についたかどうか さらに読んだかどうかを質問
5. インタビューの最後に、いまの車を買う前に真剣に考
慮したことのある車の名前を挙げるよう求めた
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12
13. <自分の車>および<他の車>の広告の読み方
読んだ広告の
目についた広告の
パーセントの平均
パ セントの平均値
パーセントの平均値
値
広告の内容 新型 旧型 新型 旧型
自分の車 70 66 65 41
決定の際に考慮された車 66 - 40 -
他の車 46 - 34 -
考慮された車と他の車との合
計
48 41 35 30
出所:Festinger, Leon (1957), A Theory of Cognitive Dissonance, Evanston:
Row, Peterson & Co.(レオン・フェスティンガー『認知的不協和の理論』誠信書房, 25
1965).
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3つの1次データ収集方法の比較:
ポイントは使い分け!
サーベイ
コスト
サンプルサイズ
コスト
因果の把握 サンプルサイズ
(他の要因の統制)
複雑な現実の把握
調査デザインの柔軟性
因果の把握(時間の流れ)
因果の把握
(他の要因の統制)
実験 観察
複雑な現実の把握 26
調査デザインの
柔軟性
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